JP6439274B2 - アブレーションデバイス及びアブレーションシステム - Google Patents

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Description

本発明は、生体の管腔周囲の組織に対してアブレーションを行うアブレーションシステム及びアブレーションデバイスに関する。
腎動脈の外膜近傍に存在する神経が焼灼されると、長期的に血圧が下がることが知られており、高血圧の治療へ応用が期待されている。このような腎動脈において神経を焼灼する手法は、腎動脈交感神経アブレーションや腎デナベーションと称されている。腎動脈交感神経アブレーションの一つとして、電極を有するバルーンカテーテルを左右の腎動脈に挿入して、電極を発熱させて腎動脈の内腔側から加熱を行い、その熱を腎動脈の外膜まで到達させて神経を焼灼する手法がある。
しかしながら、神経を焼灼するに必要な60〜70℃程度の熱を、腎動脈の内腔側から外膜まで到達させると、内膜に付与される熱によって、浮腫や血栓などの副作用が高頻度で生じるという問題が懸念されている。また、内腔側から外膜まで必要な熱を到達させるために数分間が必要であり、その間、患者に熱さや疼痛を与えることもある。
前述された問題に対して、カテーテルを用いてパルスレーザを腎動脈に導き、集光レンズによって腎動脈の外膜にパルスレーザを集光し、焦点位置において多光子吸収を生じさせることによって、焦点位置にある外膜にアブレーションを行う装置が提案されている(特許文献1)。
国際公開2013/047261号
しかしながら、特許文献1に記載の装置は、カテーテル内に集光レンズなどを配置するためカテーテルの構造が複雑になるという問題がある。また、パルスレーザの焦点位置が、血管壁の厚みや血管内におけるカテーテルの位置に依存するので、パルスレーザの焦点位置を所望の位置に精度よく位置決めすることが難しいという問題もある。例えば、血管壁の厚みには個人差があるので、予めアブレーションを行う個人の血管壁の厚みを計測して、その血管壁の厚みに集光レンズの焦点位置を調整する必要があるという問題や、カテーテルが血管の中心からずれて位置決めされると、血管の周方向において、パルスレーザの焦点位置が血管壁の厚み方向に対して一様にならないという問題が生じ得る。
また、短時間に効率よくアブレーションを行うために、レーザ光の出力を高めることが望ましいが、レーザ光の出力を高めると、反射材などに焦げや剥がれなどの損傷が生じるおそれがある。
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、生体の管腔周囲の深部の組織に対して加熱を行うとともに、管腔内膜への熱損傷を抑制することができるアブレーションデバイスを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、レーザ光の出力を高めても反射材に損傷が生じ難いアブレーションデバイスを提供することにある。
本発明に係るアブレーションデバイスは、シャフトと、上記シャフトの先端側に設けられて弾性的に膨張可能なバルーンと、上記シャフトに沿って設けられており、上記バルーンへ流体を流通させるための流体ルーメンと、上記シャフトに沿って設けられており、上記バルーン内へレーザ光を導く導光材と、上記バルーン内において上記導光材から出射されるレーザ光を上記導光材が延出された第1方向と交差する第2方向へ反射する反射材と、を具備する。上記反射材は、上記導光材の先端に対して上記第1方向に対向して配置されている。
生体の管腔へ挿入されたアブレーションデバイスは、所望の位置において流体が流通されてバルーンが膨張される。導光材によりレーザ光がバルーン内へ導かれ、反射材によって第2方向へ反射される。これにより、レーザ光が管腔の周囲の組織へ照射される。管腔の内面にはバルーンが接触しており、レーザ光による内面への加熱は、バルーン内の流体によって冷却されることにより抑制される。反射材が、導光材の先端に対向して配置されているので、反射材がレーザ光により損傷され難い。
好ましくは、上記反射材は、上記バルーンに流通する流体の流路内に配置されている。
これにより、反射材が流体により冷却されるので、レーザ光による損傷が更に抑制される。
好ましくは、上記反射材は、表面に金属層を有するものである。
好ましくは、上記反射材は、上記第1方向に沿って上記バルーン内を移動可能であり、かつ上記第1方向に沿った上記シャフトの軸線周りに回転可能である。
反射材が第1方向に沿ってバルーン内を移動されつつ、シャフトの軸線周りに回転されることによって、管腔の周囲の組織に対して一様にレーザ光が照射される。なお、シャフトの軸線周りの回転には、シャフトの軸線から距離を隔てた位置における反射材の回動と、シャフトの軸線上における反射材の回転とが含まれる。
好ましくは、上記第1方向に沿って上記バルーン内を移動可能であり、かつ上記第1方向に沿った上記シャフトの軸線周りに回転可能な導光用チューブが上記シャフトに沿って設けられており、上記導光材及び上記反射材は、上記導光用チューブの内部空間に配置されたものである。
これにより、導光材及び反射材が相互の位置関係を保持した状態で、移動及び回転可能となる。
好ましくは、上記導光用チューブは、上記反射材の反射面に外部の流体を接触可能とする開口を有する。
これにより、反射材の反射面が流体により冷却される。
本発明は、上記アブレーションデバイスと、上記導光材へレーザ光を照射するレーザ光発生手段と、上記流体ルーメンを通じて上記バルーンの内部空間に流体を還流させる流体還流手段と、を具備するアブレーションシステムとして捉えられてもよい。
本発明によれば、生体の管腔周囲の深部の組織に対して加熱を行うとともに、管腔内膜への熱損傷を抑制することができる。また、レーザ光による反射材の損傷を抑制することができる。
図1は、バルーン21が収縮姿勢である状態のアブレーションデバイス11を備えたアブレーションシステム10の構成を示す図である。 図2は、アブレーションデバイス11の部分断面である。 図3は、腎動脈40にアブレーションを行っている状態のアブレーションデバイス11を示す断面図である。 図4(A)は、アブレーションデバイス61のバルーン71付近の部分断面図であり、図4(B)は、図4(A)におけるB−B切断面を示す断面図であり、図4(C)は、図4(A)におけるC付近を示す拡大断面図である。 図5は、アブレーションデバイス61のコネクタ部73付近の部分断面図である。
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、本実施形態は本発明の一実施態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様を変更できることは言うまでもない。
[第1実施形態]
[アブレーションシステム10]
図1に示されるように、アブレーションシステム10は、アブレーションデバイス11、レーザ光発生手段12、流体還流手段13、駆動機構14、及び制御手段15を有する。
[アブレーションデバイス11]
図1,2に示されるように、アブレーションデバイス11は、先端側にバルーン21が設けられたシャフト22を有する。シャフト22は、軸線方向101に長尺な部材である。シャフト22は、軸線方向101に対して湾曲するように弾性的に撓み得る管体である。湾曲していない状態のシャフト22が延びる方向が、本明細書において軸線方向101と称される。軸線方向101が第1方向に相当する。
シャフト22には、イン側チューブ27及び導光用チューブ34が挿通されている。シャフト22の外径及び内径は、軸線方向101に対して必ずしも一定である必要はないが、操作性の観点からは、先端側より基端側の剛性が高いことが好ましい。シャフト22は、合成樹脂やステンレスなど、バルーンカテーテルに用いられている公知の材質が使用でき、また、必ずしも1種類の素材のみから構成される必要はなく、他素材からなる複数の部品が組み付けられて構成されていてもよい。
なお、本実施形態において基端側とは、アブレーションデバイス11が血管に挿入される向きに対して後ろ側(図1における右側)をいう。先端側とは、アブレーションデバイス11が血管に挿入される向きに対して前側(図1における左側)をいう。
シャフト22の先端側には、バルーン21が設けられている。バルーン21は、内部空間に流体(液体、気体)が流入されることにより弾性的に膨張し、内部空間から流体が流出されることにより収縮するものである。図1,2においては、収縮した状態のバルーン21が示されている。バルーン21の内部空間は、シャフト22の内部空間及びイン側チューブ27の内部空間とそれぞれ連通されている。イン側チューブ27を通じてバルーン21の内部空間に流体が流入されると、バルーン21は、軸線方向101の中央が最大径となるように軸線方向101と直交する径方向へ膨張する。バルーン21が膨張を維持する流体の圧力を保持する程度の流量の流体がバルーン21へ流入されつつ、シャフト22の内部空間を通じてバルーン21から流体が流出されることにより、バルーン21において流体が還流される。バルーン21の材質や、バルーン21とシャフト22との固定方法は、バルーンカテーテルにおいて用いられる公知の材質及び方法が使用できる。イン側チューブ27の内部空間及びシャフト22の内部空間が流体ルーメンに相当する。
シャフト22の基端側にはアウト用ポート28が設けられている。アウト用ポート28は、シャフト22の内部空間と連続している。シャフト22の内部空間を通じて、バルーン21に還流される流体がアウト用ポート28から流出する。
シャフト22の基端にはハブ23が設けられている。ハブ23には、光ファイバ29が挿通されている。ハブ23には、光ファイバ29の挿通口とは別個にイン用ポート26が設けられている。イン用ポート26は、イン側チューブ27の内部空間と連続している。イン側チューブ27の内部空間を通じて、バルーン21に還流される流体がイン用ポート26から流入する。
シャフト22の外側には、ガイドワイヤ用チューブ24が設けられている。ガイドワイヤ用チューブ24は、シャフト22の軸線方向101の長さに対して十分に短い。なお、ガイドワイヤ用チューブ24は、必ずしもシャフト22の外側に設けられる必要はない。例えば、本実施形態のようなラピッドエクスチェンジ型に代えて、モノレール型が採用されるのであれば、ガイドワイヤ用チューブ24はシャフト22の内部空間に挿通されていてもよい。
シャフト22の内部に挿通されたイン側チューブ27は、先端側がバルーン21の内部空間へ至っており、基端側がイン用ポート26に接続されている。イン側チューブ27の先端は、バルーン21の先端側に設けられた先端チップ25に接続されている。イン側チューブ27の先端チップ25付近には、イン側チューブ27の周壁を貫通する開口30,31が設けられている。開口30,31は、イン側チューブ27の内部空間を流通する流体がバルーン21内へ流出するためのものであり、軸線方向101の周方向に対して異なる位置に配置されている。
先端チップ25には、造影剤を素材としたマーカーが設けられている。造影剤としては、例えば、硫酸バリウム、酸化ビスマス、次炭酸ビスマスなどが挙げられる。
導光用チューブ34は、軸線方向101に対して湾曲するように弾性的に撓み得る管体である。イン側チューブ27の内部に挿通された導光用チューブ34は、先端側がイン側チューブ27の開口30,31付近へ至っており、基端側がハブ23を通じて外部へ延出されている。導光用チューブ34の先端付近であってバルーン21の内部空間となる位置の側壁には開口35が形成されている。開口35により、導光用チューブ34の内部空間が外部と連通されている。
光ファイバ29は、ハブ23から導光用チューブ34の内部に挿通されて、開口35まで延出されている。導光用チューブ34の内部空間の内径は、光ファイバ29の外径と同等である。したがって、光ファイバ29の軸線と導光用チューブ34の軸線とはほぼ合致している。光ファイバ29の先端面32は、軸線と直交している。光ファイバ29は、レーザ光発生手段12において発生され、光ファイバ29の基端に照射されたレーザ光を先端側へ伝播するものである。光ファイバ29は、レーザ光の波長において全反射する屈折率を有するものが適宜採用され、具体的には、単一モードファイバ、偏波保持ファイバ、マルチモードファイバ、イメージ伝送用バンドルファイバが挙げられる。光ファイバ29が導光材に相当する。
反射材33は、導光用チューブ34の内部空間において、光ファイバ29の先端面32と軸線方向101に対向して配置されている。反射材33において先端面32と対向する反射面36は、光ファイバ29の軸線に対して45度の角度となるように傾斜された平面である。先端面32及び反射面36は、導光用チューブ34の開口35を通じて導光用チューブ34の外部へ露出されている。反射材33は、光ファイバや樹脂などからなる円柱体であり、その外径は、導光用チューブ34の内部空間の内径と同等である。したがって、反射材33の軸線と導光用チューブ34の軸線とはほぼ合致している。反射材33において反射面36を含む表面には、金属層が積層されている。金属層は、例えば、ニッケル、金、アルミニウム、クロムなどが単独又は混合されて反射材33の表面にメッキ又はスパッタリングなどにより形成されたものである。
光ファイバ29及び反射材33は、先端面32及び反射面36の位置関係、すなわち離間距離及び反射面36の角度を保持した状態で、導光用チューブ34と一体として軸線(軸線方向101)周りに回転可能であり、かつ軸線方向101へスライド可能である。光ファイバ29及び反射材33の回転及びスライドは、ハブ23から延出された導光用チューブ34の基端側が直接又は間接に操作されることによって制御される。具体的には、導光用チューブ34の基端側に駆動機構14からの駆動力が付与されることによって、導光用チューブ34が回転及びスライドされる。
なお、各図には示されてないが、バルーン21内におけるイン側チューブ27の外壁などに温度センサが設けられてもよい。温度センサとしては、バルーン21の内部に設置可能なものであれば、例えば熱電対などの公知のものを用いることができる。温度センサから延出されたケーブルが外部へ導かれることによって、バルーン21内の流体の温度をモニタリングすることができる。また、シャフト22に第3ルーメンを設けて、内視鏡、IVUS、OCTなどのイメージング部材が内挿されてもよい。
レーザ光発生手段12は、公知のレーザ光発生装置を用いることができる。レーザ光発生手段12は、例えば、励起源の光がレーザ媒質に与えられ、光共振器の反射により発振されて出力するものである。レーザ光発生手段12から出力されるレーザ光は、連続波であることが好ましく、また、レーザ光の波長としては400〜2000nmの範囲であることが好ましい。特に、レーザ光の波長が800〜1500nmの範囲(915nm、980nm、1470nm)である場合に、局所的な温度上昇が確認でき、腎動脈の内膜を適切に加温できる。レーザ光発生手段12は、光ファイバ29の基端と接続されており、レーザ光発生手段12から出力されたレーザ光は光ファイバ29の基端面に照射される。
流体還流手段13は、ローラポンプやシリンジポンプを有する公知の装置を用いることができる。流体還流手段13は、アブレーションデバイス11のイン用ポート26及びアウト用ポート28とチューブなどの流路を介して接続されている。流体還流手段13は、流体を貯留するタンクを有しており、ポンプの駆動力によってタンクからイン用ポート26に所望の流量及び圧力で流体を供給する。また、アウト用ポート28から流出した流体は、タンクに還流させてもよいし、廃液として廃棄してもよい。また、流体還流手段13は、タンク内の流体を冷却するための冷却装置を備えていてもよい。流体は特に限定されないが、腎動脈のアブレーションを目的としては、生理食塩水と造影剤の混合溶液が好ましい。
駆動機構14は、導光用チューブ34の基端側を軸線方向101に対して回転及びスライドさせる駆動力を付与するものであり、モータやスライダなどを組み合わせた機構が採用され得る。なお、駆動機構14は必須ではなく、導光用チューブ34の基端側を施術者がハンドリングすることにより、導光用チューブ34が軸線方向101に対して回転及びスライドされてもよい。
制御手段15は、例えば、予めプログラムされたプロトコルに基づいて、レーザ光発生手段12からレーザ光を所定の光強度及び時間で発生させたり、流体還流手段13の流量及び圧力を制御したり、駆動機構14の駆動量及びタイミングを制御したりするものである。制御手段15は、これらの動作制御を行うための演算装置を備えている。
[アブレーションデバイス11の使用方法]
以下に、腎動脈40の神経41を切断するためのアブレーションシステム10の使用方法が説明される。
図1に示されるように、アブレーションデバイス11は、レーザ光発生手段12、流体還流手段13、及び駆動機構14と接続されている。また、レーザ光発生手段12、流体還流手段13、及び駆動機構14は制御手段15と接続されている。制御手段15には、腎動脈40に対してアブレーションを行うに適したプログラムが予め設定されている。
アブレーションデバイス11は、先端側から腎動脈40に挿入される。腎動脈40には、X線透視下で造影を行いながら、ガイドワイヤが予め挿通されて目的部分へ到達されている。このようなガイドワイヤの挿通は、例えば、特開2006−326226号公報や特開2006−230442号公報に開示された公知の手法によりなされる。
アブレーションデバイス11が腎動脈40へ挿入されるときには、バルーン21には流体が圧入されておらず、バルーン21は収縮した状態である。この状態のアブレーションデバイス11の先端から、ガイドワイヤがガイドワイヤ用チューブ24に挿通される。そして、アブレーションデバイス11が、ガイドワイヤに沿って腎動脈40に挿入される。腎動脈40におけるアブレーションデバイス11の挿入位置は、例えば、先端チップ25に設置されたマーカをX線下により確認することによって把握される。
図3に示されるように、アブレーションデバイス11が腎動脈40の目的部分まで挿入されると、制御手段15によって流体還流手段13が駆動され、流体還流手段13からイン側チューブ27を通じて生理食塩水などの流体がバルーン21へ流入されてバルーン21が拡張する。また、バルーン21からシャフト22を通じてアウト用ポート28から流体が流体還流手段13に還流される。図3において矢印51で示されるバルーン21に対する流体の還流は、制御手段15によって流体還流手段13が制御されることによって、所望の流速及び圧力となるように管理されている。また、流体還流手段13に貯留されている流体は、腎動脈40の内膜を冷却するに適した温度に管理されている。
続いて、制御手段15によってレーザ光発生手段12及び駆動機構14が駆動され、レーザ光発生手段12から発生されたレーザ光42が、光ファイバ29を通じてバルーン21内へ伝播され、先端面32が出射されたレーザ光42が反射材33の反射面36によって軸線方向101と交差する方向(本実施形態では直交する方向、第2方向に相当する。)へ反射される。反射されたレーザ光42は、イン側チューブ27及びバルーン21を透過して、腎動脈40の血管壁へ照射され、血管壁を透過して神経41に到達する。これにより、レーザ光42が照射された神経41(図3では便宜的に2点鎖線で示されている。)がアブレーションされる。なお、レーザ光42の強度や照射時間は、制御手段15によって管理されている。
また、制御手段15によって駆動機構14が駆動されることによって、導光用チューブ34が、軸線方向101に対して回転されつつスライドされる。導光用チューブ34の回転及びスライドに伴って、光ファイバ29及び反射材33も回転及びスライドされるので、反射材33によって反射されるレーザ光42の向きが軸線方向101の周方向に変位する(矢印52)。これにより、腎動脈40の周方向に存在する神経41に対して一様にアブレーションを行うことができる。また、反射材33によって反射されるレーザ光42が軸線方向101に変位する(矢印53)。これにより、腎動脈40が延びる方向(軸線方向101と同じ方向である。)に存在する神経41に対して一様にアブレーションを行うことができる。
なお、導光用チューブ34の回転及びスライドのパターンは、制御手段15におけるプログラミングによって任意に設定できる。したがって、例えば、導光用チューブ34が回転されつつスライドされることによって、腎動脈40の神経41に対して螺旋状にレーザ光42を照射することができる。また、光ファイバ29の回転又はスライドを一時停止したときにレーザ光発生手段12からレーザ光42を照射することによって、腎動脈40の神経41に対してスポット状にレーザ光42を照射することもできる。つまり、腎動脈40が延びる方向の所定の範囲の全周に存在する神経41に対して、レーザ光42を照射するタイミングや順序などは、任意に設定することができる。
一方、反射材33によって反射されたレーザ光42は、腎動脈40の神経41に到達する前に、腎動脈40の内膜側の組織にも照射されることとなる。腎動脈40の内膜には拡張されたバルーン21が接触しており、バルーン21内に流体が還流されている。この流体の冷却効果によって、腎動脈40の内膜側の加熱が抑制される。したがって、光ファイバ29のスライド範囲は、バルーン21が腎動脈40の内膜に接触している範囲とすることが好適である。また、バルーン21内に還流される流体は、導光用チューブ34の開口35を通じて、反射材33の反射面36に接触する。これにより、反射面36が流体により冷却される。
[第1実施形態の作用効果]
前述された実施形態によれば、腎動脈40の神経41に対してアブレーションを行うとともに、腎動脈40の内膜への加熱を抑制して、内膜への熱損傷を抑制することができる。
また、反射材33が、光ファイバ29の先端面32に対向して配置されているので、反射材33がレーザ光42により損傷され難い。
また、反射材33は、バルーン21に流通する流体の流路内に配置されているので、反射材33が流体により冷却され、レーザ光42による損傷が更に抑制される。
また、反射材33が軸線方向101に沿ってバルーン21内を移動されつつ、シャフト22の軸線周りに回転されることによって、腎動脈40の周囲の組織に対して一様にレーザ光42が照射される。
また、光ファイバ29及び反射材33は、導光用チューブ34の内部空間に配置されているので、光ファイバ29及び反射材33が相互の位置関係を保持した状態で、移動及び回転可能となる。
また、導光用チューブ34は、反射材33の反射面36に外部の流体を接触可能とする開口35を有するので、反射材33の反射面36が流体により冷却される。
[変形例]
なお、本実施形態では、光ファイバ29の先端面32と反射材33の反射面36との間に他の部材が設けられていないが、光ファイバ29の先端面32と反射材33の反射面36との間にレンズなどのレーザ光を透過する部材が設けられていてもよい。
また、本実施形態では、導光用チューブ34がイン側チューブ27内を挿通されているが、導光用チューブ34は、先端側がバルーン21内に到達していれば、挿通経路は限定されない。したがって、例えば、シャフト22の内部空間に挿通されていてもよいし、シャフト22の外側からバルーン21内へ挿入されていてもよい。
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態に係るアブレーションデバイス61が説明される。アブレーションデバイス61は、図1に示されたアブレーションデバイス11と同様に、レーザ光発生手段12、流体還流手段13、駆動機構14、及び制御手段15を有するアブレーションシステムの一部を構成する。
図4,5に示されるように、アブレーションデバイス61は、先端側にバルーン71が設けられたメインシャフト72を有する。メインシャフト72は、軸線方向101に長尺な部材である。メインシャフト72は、軸線方向101に対して湾曲するように弾性的に撓み得る管体である。湾曲していない状態のメインシャフト72が延びる方向が、本明細書において軸線方向101と称される。
メインシャフト72には、イン側チューブ77、サブシャフト74、導光用チューブ89及びガイドワイヤシャフト84が挿通されている。メインシャフト72の外径及び内径は、軸線方向101に対して必ずしも一定である必要はないが、操作性の観点からは、先端側より基端側の剛性が高いことが好ましい。メインシャフト72は、合成樹脂やステンレスなど、バルーンカテーテルに用いられている公知の材質が使用でき、また、必ずしも1種類の素材のみから構成される必要はなく、他素材からなる複数の部品が組み付けられて構成されていてもよい。
なお、本実施形態において基端側とは、アブレーションデバイス61が血管に挿入される向きに対して後ろ側(図4における右側)をいう。先端側とは、アブレーションデバイス61が血管に挿入される向きに対して前側(図4における左側)をいう。
メインシャフト72の先端側には、バルーン71が設けられている。バルーン71は、内部空間に流体(液体、気体)が流入されることにより弾性的に膨張し、内部空間から流体が流出されることにより収縮するものである。図4においては、拡張した状態のバルーン71が示されている。バルーン71の内部空間は、メインシャフト72の内部空間及びイン側チューブ77の内部空間とそれぞれ連通されている。イン側チューブ77を通じてバルーン71の内部空間に流体が流入されると、バルーン71は、軸線方向101の中央が最大径となるように軸線方向101と直交する径方向へ膨張する。バルーン71が膨張を維持する流体の圧力を保持する程度の流量の流体がバルーン71へ流入されつつ、メインシャフト72の内部空間を通じてバルーン71から流体が流出されることにより、バルーン71において流体が還流される。バルーン71の材質や、バルーン71とメインシャフト72との固定方法は、バルーンカテーテルにおいて用いられる公知の材質及び方法が使用できる。イン側チューブ77の内部空間、並びにメインシャフト72とイン側チューブ77との間の空間が流体ルーメンに相当する。
メインシャフト72の内部に挿通されたイン側チューブ77は、先端側がバルーン71の内部空間へ至っており、基端側がコネクタ部73のイン用ポート76に接続されている。イン側チューブ77の先端は、バルーン71の先端側に設けられた先端チップ75に接続されている。イン側チューブ77の先端チップ75付近には、イン側チューブ77の周壁を貫通する開口80,81が設けられている。開口80,81は、イン側チューブ77の内部空間を流通する流体がバルーン71内へ流出するためのものであり、軸線方向101の周方向に対して異なる位置に配置されている。
先端チップ75には、造影剤を素材としたマーカーが設けられている。造影剤としては、例えば、硫酸バリウム、酸化ビスマス、次炭酸ビスマスなどが挙げられる。
イン側チューブ77には、サブシャフト74が挿通されている。サブシャフト74は、コネクタ部73の外側からバルーン71の内部まで延出されている。サブシャフト74は、軸線方向101に長尺な部材であり、軸線方向101に対して湾曲するように弾性的に撓み、かつ先端チップ75に接続されていないので軸線方向101周りの回転をコネクタ部73側から先端側まで伝達可能な管体である。サブシャフト74は、例えばステンレスコイルから構成される管体である。
サブシャフト74の内部空間にはガイドワイヤシャフト84が挿通されている。ガイドワイヤシャフト84は、先端チップ75に接続されている。先端チップ75には、ガイドワイヤシャフト84の内部空間を外部へ連続させるように軸線方向101に沿った孔85が形成されている。ガイドワイヤシャフト84の先端は、孔85を挿通して先端チップ75の先端に到達している。ガイドワイヤシャフト84の素材としては、公知のものが採用され得る。ガイドワイヤシャフト84の内部空間がワイヤルーメンである。
導光用チューブ89は、軸線方向101に対して湾曲するように弾性的に撓み得る管体である。導光用チューブ89は、コネクタ部73の外側からサブシャフト74の外周に接着されて軸線方向101に延出され、バルーン71の内部まで到達している。導光用チューブ89の先端付近であってバルーン71の内部空間となる位置の側壁には開口90が形成されている。開口90により、導光用チューブ89の内部空間が外部と連通されている。
光ファイバ79は、コネクタ部73から導光用チューブ89の内部に挿通されて、開口90まで延出されている。導光用チューブ89の内部空間の内径は、光ファイバ79の外径と同等である。したがって、光ファイバ79の軸線と導光用チューブ89の軸線とはほぼ合致している。光ファイバ79の先端面82は、軸線と直交している。光ファイバ79は、レーザ光発生手段12において発生され、光ファイバ79の基端に照射されたレーザ光を先端側へ伝播するものである。光ファイバ79は、レーザ光の波長において全反射する屈折率を有するものが適宜採用され、具体的には、単一モードファイバ、偏波保持ファイバ、マルチモードファイバ、イメージ伝送用バンドルファイバが挙げられる。光ファイバ29が導光材に相当する。
反射材83は、導光用チューブ89の内部空間において、光ファイバ79の先端面82と軸線方向101に対向して配置されている。反射材83において先端面82と対向する反射面91は、光ファイバ79の軸線に対して45度の角度となるように傾斜された平面である。先端面82及び反射面91、導光用チューブ89の開口90を通じて導光用チューブ89の外部へ露出されている。反射材83は、光ファイバや樹脂などからなる円柱体であり、その外径は、導光用チューブ89の内部空間の内径と同等である。したがって、反射材83の軸線と導光用チューブ89の軸線とはほぼ合致している。反射材83において反射面91を含む表面には、金属層が積層されている。金属層は、例えば、ニッケル、金、アルミニウム、クロムなどが単独又は混合されて反射材83の表面にメッキ又はスパッタリングなどにより形成されたものである。
光ファイバ79及び反射材83は、先端面82及び反射面91の位置関係、すなわち離間距離及び反射面91の角度を保持した状態で、サブシャフト74及び導光用チューブ89と一体として軸線方向101周りに回転可能であり、かつ軸線方向101へスライド可能である。光ファイバ79及び反射材83の回転及びスライドは、コネクタ部73から延出されたサブシャフト74の基端側が直接又は間接に操作されることによって制御される。具体的には、サブシャフト74の基端側に駆動機構14からの駆動力が付与されることによって、サブシャフト74が回転及びスライドされる。
なお、各図には示されてないが、バルーン71内におけるイン側チューブ77の外壁などに温度センサが設けられてもよい。温度センサとしては、バルーン71の内部に設置可能なものであれば、例えば熱電対などの公知のものを用いることができる。温度センサから延出されたケーブルが外部へ導かれることによって、バルーン71内の流体の温度をモニタリングすることができる。
図5に示されるように、メインシャフト72の基端側にはコネクタ部73が設けられている。コネクタ部73は、アブレーションデバイス61を操作するときに施術者が持つ部分である。コネクタ部73にはアウト用ポート78が設けられている。アウト用ポート78は、メインシャフト72とイン側チューブ77との間の空間と連続している。この空間を通じて、バルーン71に還流される流体がアウト用ポート78から流出する。
コネクタ部73には、イン用ポート76が設けられている。イン用ポート76は、イン側チューブ77とサブシャフト74との間の空間と連続している。この空間を通じて、バルーン71に還流される流体がイン用ポート76から流入する。なお、コネクタ部73の内部において、イン用ポート76及びアウト用ポート78はそれぞれがOリング86,87によって液密に分離されている。また、イン用ポート76及びアウト用ポート78は、図1に示される流体還流手段13と接続されている。
サブシャフト74及び導光用チューブ89は、コネクタ部73の基端から外部へ延出されている。サブシャフト74及び導光用チューブ89は、コネクタ部73に対して軸線方向101に沿って移動可能であり、かつ軸線方向101周りに回転可能である。なお、コネクタ部73の内部において、サブシャフト74及び導光用チューブ89の周囲は、Oリング88によって液密が確保されている。導光用チューブ89に挿入されている光ファイバ79は、図1に示されるレーザ光発生手段12と接続されており、また、サブシャフト74は、図1に示される駆動機構14と接続されている。
前述されたアブレーションデバイス61の使用方法は、アブレーションデバイス11の使用方法と同様であり、使用方法の一例として、図1に示されるアブレーションシステム10として使用される。
すなわち、アブレーションデバイス61は、先端側から腎動脈40に挿入されてる。このとき、腎動脈40には、ガイドワイヤが予め挿通されて目的部分へ到達されており、アブレーションデバイス61のガイドワイヤシャフト84にガイドワイヤが挿通され、そのガイドワイヤに沿ってアブレーションデバイス61のメインシャフト72が腎動脈40に挿入される。
そして、アブレーションデバイス61が腎動脈40の目的部分まで挿入されると、流体がバルーン71へ還流されてバルーン71が拡張する。続いて、レーザ光が、光ファイバ79を通じてバルーン71内へ伝播されて先端面82から出射され、反射材83の反射面91によって軸線方向101と交差する方向であってメインシャフト72の外側へ反射される。反射されたレーザ光は、イン側チューブ77及びバルーン71を透過して、腎動脈40の血管壁へ照射され、血管壁を透過して神経に到達する。導光用チューブ89は、サブシャフト74の外周に沿って移動及び回転するので、メインシャフト72の外側へ反射されるレーザ光がサブシャフト74やガイドワイヤシャフト84に挿通されたガイドワイヤによって遮断されることがない。したがって、腎動脈40にレーザ光が照射されるとき、すなわち、アブレーションが行われるときにガイドワイヤがガイドワイヤシャフト84から引き出されている必要はない。
[第2実施形態の作用効果]
前述された第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、腎動脈の神経に対してアブレーションを行うとともに、腎動脈の内膜への加熱を抑制して、内膜への熱損傷を抑制することができる。
また、反射材83が、光ファイバ79の先端面82に対向して配置されているので、反射材83がレーザ光により損傷され難い。
また、導光用チューブ89がサブシャフト74の外周に固定されており、反射材83が軸線方向101と交差する方向であってメインシャフト72の外側へレーザ光を反射するので、サブシャフト74の内部に挿通されたガイドワイヤシャフト84や、ガイドワイヤシャフト84に挿通されたガイドワイヤによって、反射されたレーザ光が遮断されない。これにより、アブレーションデバイス61にガイドワイヤを挿通した状態でアブレーションを行うことができる。また、ガイドワイヤシャフト84は、メインシャフト72の先端から基端まで延出されているので、アブレーションデバイス61からガイドワイヤを抜いた後、再びアブレーションデバイス61へガイドワイヤを挿通することが容易である。
[変形例]
なお、第2実施形態では、光ファイバ79の先端面82と反射材83の反射面91との間に他の部材が設けられていないが、光ファイバ79の先端面82と反射材83の反射面91との間にレンズなどのレーザ光を透過する部材が設けられていてもよい。
また、ガイドワイヤシャフト84が設けられることなく、サブシャフト74にガイドワイヤが挿通されるように構成されてもよい。
10 アブレーションシステム
11,61 アブレーションデバイス
12 レーザ光発生手段
13 流体還流手段
21,71 バルーン
22 シャフト(流体ルーメン)
27,77 イン側チューブ(流体ルーメン)
29,79 光ファイバ(導光材)
33,83 反射材
36,91 反射面
34,89 導光用チューブ
35,90 開口
72 メインシャフト

Claims (4)

  1. シャフトと、
    上記シャフトの先端側に設けられて弾性的に膨張可能なバルーンと、
    上記シャフトに挿通されて先端側が上記バルーンの内部空間に至っており、上記バルーンに流体を流入させるためのチューブと、
    上記シャフトに沿って設けられており、上記バルーン内へレーザ光を導く導光材と、
    上記バルーン内において上記導光材から出射されるレーザ光を上記導光材が延出された第1方向と交差する第2方向へ反射する反射材と、
    上記チューブに挿通されており、上記第1方向に沿って上記バルーン内を移動可能であり、かつ上記第1方向に沿った上記シャフトの軸線周りに回転可能な導光用チューブと、を具備しており、
    上記シャフトの内部空間に、上記バルーンから流体を流出させるためのルーメンが形成されており、
    上記導光材及び上記反射材は、上記導光用チューブの内部空間において、上記反射材の反射面と上記導光材の先端面とが空間を隔てて上記第1方向に対向して配置されており、
    上記導光用チューブは、上記反射材の反射面に外部の流体を接触可能とする開口を有しており、
    上記導光材及び上記反射材は、上記導光用チューブと共に、上記第1方向に沿って上記バルーン内を移動可能であり、かつ上記第1方向に沿った上記シャフトの軸線周りに回転可能であるアブレーションデバイス。
  2. 上記導光用チューブの内部空間の内径は、上記導光材の外径と同等である請求項1に記載のアブレーションデバイス。
  3. 上記反射面は、上記反射材の表面に積層された金属層からなる請求項1又は2に記載のアブレーションデバイス。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のアブレーションデバイスと、
    上記導光材へレーザ光を照射するレーザ光発生手段と、
    上記チューブ及び上記ルーメンを通じて上記バルーンの内部空間に流体を還流させる流体還流手段と、を具備するアブレーションシステム。
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