以下、本発明の実施の形態について、電動アシスト自転車の例をもって説明する。しかしながら、本発明の実施の形態の適用対象は、電動アシスト自転車だけに限定されない。すなわち、本実施の形態は、人力に応じた、モータ等の電動機(動力装置とも呼ぶ)による補助を利用して移動する移動体(例えば、台車、車いす、昇降機など。電動アシスト装置とも呼ぶ。)についても適用可能である。なお、電動機に供給される電力を蓄電するバッテリ等の蓄電装置や電動機を駆動する駆動装置は、移動体と一体化される場合もあれば、移動体とは別途設置される場合もある。
[実施の形態1]
図1に、電動アシスト自転車の全体の外観図を示す。電動アシスト自転車1は、バッテリ付きモータ駆動制御装置101と、トルクセンサ103と、ペダル回転センサ104と、モータ105と、操作パネル106とを有する。なお、電動アシスト自転車1は、フリーホイール及び変速機も有している。
バッテリ付きモータ駆動制御装置101は、例えば、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル水素蓄電池などを含み、駆動時にはモータ105に対して電力を供給し、回生時にはモータ105からの回生電力によって充電も行う。さらに、バッテリ付きモータ駆動制御装置101は、モータ105の回転センサ、トルクセンサ103及びペダル回転センサ104等からの信号に基づき所定の演算を行って、モータ105の駆動を制御し、モータ105による回生の制御も行う。
トルクセンサ103は、クランク軸に取付けられたホイールに設けられており、運転者によるペダルの踏力を検出し、この検出結果をバッテリ付きモータ駆動制御装置101に出力する。また、ペダル回転センサ104は、トルクセンサ103と同様に、クランク軸に取付けられたホイールに設けられており、回転に応じたパルス信号をバッテリ付きモータ駆動制御装置101に出力する。
モータ105は、例えば周知の三相ブラシレスモータであり、例えば電動アシスト自転車1の前輪に装着されている。モータ105は、前輪を回転させるとともに、前輪の回転に応じてローターが回転するように、ローターが前輪に直接又は減速器などを介して連結されている。さらに、モータ105はホール素子等の回転センサを備えてローターの回転情報(すなわちホール信号)をバッテリ付きモータ駆動制御装置101に出力する。
操作パネル106は、バッテリ付きモータ駆動制御装置101にケーブルを介して接続され、例えばアシストの有無に関する指示入力等をユーザから受け付けてバッテリ付きモータ駆動制御装置101に出力し、バッテリ付きモータ駆動制御装置101等から充電レベルを表す情報を受信して表示部に表示する。操作パネル106は、その他の機能を有するようにしてもよい。例えば、アシスト有りの場合に希望アシスト比等の指示入力を受け付けるようにしたり、バッテリ付きモータ駆動制御装置101によって演算された結果である走行距離、走行時間、消費カロリー、回生電力量等のデータを表示する機能を有する場合もある。
図2に、本実施の形態に係るバッテリ付きモータ駆動制御装置101の構成例を示す。本実施の形態に係るバッテリ付きモータ駆動制御装置101は、その外装内部に、電池保護部1110と、電池セル1150と、充電FET(Field Effect Transistor)1111と、放電FET1112と、第1レギュレータ1113と、充放電電流を検出するための抵抗1115と、第1制御部1114と、6つのスイッチ(ここではFET)を含む3相ブリッジインバータ1024と、FET駆動部1023と、第2制御部1022と、第2レギュレータ1021とを有する。さらに、バッテリ付きモータ駆動制御装置101は、モータ105との接続部1030と、モータ105との通信用の接続部1026と、トルクセンサ103及びペダル回転センサ104に対する通信用及び電力供給の接続部1027と、操作パネル106に対する通信用及び電力供給用の接続部1028とを有する。
充電FET1111は、例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)であり、そのソースが3相ブリッジインバータ1024等に接続され、ゲートが電池保護部1110に接続され、ドレインが放電FET1112のドレインに接続される。放電FET1112は、例えばMOSFETであり、そのソースは電池セル1150の充放電用の端子に接続され、ドレインは充電FET1111のドレインに接続され、ゲートは電池保護部1110に接続される。
電池保護部1110は、第1制御部1114と連携して、充電FET1111及び放電FET1112を制御し、電池セル1150に対する充放電を開始又は停止する。より具体的には、電池セル1150へ過度な充電、電池セル1150からの過度の放電、異常温度時の充電又は放電が起きないように、温度情報及び抵抗1115に流れる電流に関する電流情報、各セルの電圧値といった状態に応じて、電池保護部1110及び第1制御部1114は、充電FET1111及び放電FET1112を制御する。なお、電池保護部1110は、サーミスタなどの温度検出素子を含み、充電FET1111及び放電FET1112の温度情報と、電池セル1150の温度情報を取得する。
また、電池保護部1110は、電池セル1150中における各セルに接続されており、これらの電圧を検出する。具体的には、電池保護部1110及び第1制御部1114は、直列接続された各セルの電圧を検出し、また直列接続されたセルの電圧バランスが崩れないように各々のセルに対し放電制御を行い電圧バランスを整える。さらに、電池保護部1110は、電池セル1150の接地側端子と接地ラインに接続された抵抗1115に接続されており、例えば電池セル1150に係る充電及び放電電流を検知する。例えば、抵抗1115のように電流路に直接接続された抵抗の電圧降下の値から電流値を計算してもよい。電流の検知方法についてはこれに限定されるものではなく、ホールセンサといった種々の電流検知方法を用いても良い。
なお、第1レギュレータ1113は、電池セル1150から供給される電力を電池保護部1110及び第1制御部1114に適切な電圧にて供給する。また、第2レギュレータ1021は、電池セル1150から供給される電力を第2制御部1022及びFET駆動部1023に適切な電圧にて供給する。
第2制御部1022は、第1制御部1114と通信を行って、モータ105から接続部1026を介して得られる信号と、トルクセンサ103及びペダル回転センサ104から接続部1027を介して得られる信号とに基づき、モータ105の駆動及びモータ105からの回生を制御する。すなわち、第2制御部1022は、得られた情報に基づき、所定の態様で3相ブリッジインバータ1024をスイッチングさせるように、FET駆動部1023に指示する。FET駆動部1023は、第2制御部1022からの指示に基づき、3相ブリッジインバータ1024に含まれる各FETを所定のタイミングでオン又はオフさせる。なお、少なくともFET駆動部1023と3相ブリッジインバータ1024とがモータ105を駆動する駆動部として機能する。
第1制御部1114及び第2制御部1022は、マイクロプロセッサが、例えばROM(Read Only Memory)に記録されているプログラムをRAM(Random Access Memory)にロードして実行することで実現されるが、専用の半導体装置にて実現するようにしても良い。さらに、マイクロプロセッサ及びプログラムと、専用の半導体装置との組み合わせにて実現される場合もある。
モータ105は、電力供給用の接続部1030だけではなく通信用の接続部1026を介して、電力を供給するためのラインと、接地用のラインと、第2制御部1022との通信用のラインとを含むケーブルでバッテリ付きモータ駆動制御装置101に接続されている。
トルクセンサ103及びペダル回転センサ104は、接続部1027を介して、電力を供給するためのラインと、接地用のラインと、第2制御部1022との通信用のラインとを含むケーブルでバッテリ付きモータ駆動制御装置101に接続されている。
操作パネル106は、接続部1028を介して、電力を供給するためのラインと、接地用のラインと、第2制御部1022との通信用のラインとを含むケーブルでバッテリ付きモータ駆動制御装置101に接続されている。
このような電池パックとモータ駆動制御装置とが一体化されたバッテリ付きモータ駆動制御装置101を採用することで、これまで電池パックとモータ駆動制御装置との接続部分に要していた防水及び防塵措置が不要となる。すなわち、この分コストが削減される。なお、バッテリ付きモータ駆動制御装置101は、電動アシスト自転車1から着脱可能な形で設置される場合もあれば、電動アシスト自転車1に固定的に設置される場合もある。いずれの場合も、これまで電池パックとモータ駆動制御装置とを電動アシスト自転車1に装着してから出荷する場合には、それぞれを順に装着しなければならないが、本実施の形態のようにバッテリ付きモータ駆動制御装置101にすれば、装着に要する作業が軽減される。
なお、図2に示したような構成例は、さらにコスト削減のため図3に示すような構成例に変更してもよい。
この構成例に係るバッテリ付きモータ駆動制御装置101bでは、第1レギュレータ1113と第2レギュレータ1021とが統合されて第3レギュレータ1116となり、第1制御部1114と第2制御部1022とが統合されて第3制御部1117となる。このようにすることで、部品点数が削減されてコストが抑制されることになる。第3制御部1117は、マイクロプロセッサが、例えばROMに記録されているプログラムをRAMにロードして実行することで実現されるが、専用の半導体装置にて実現するようにしても良い。さらに、マイクロプロセッサ及びプログラムと、専用の半導体装置との組み合わせにて実現される場合もある。
バッテリ付きモータ駆動制御装置101bも、電動アシスト自転車1に固定的に設置される場合もあれば、取り外し可能な態様で設置される場合もある。
[実施の形態2]
本実施の形態では、バッテリ付きモータ駆動制御装置101bに充電端子を設ける。第1の実施の形態では、基本的にはモータ105からの回生により電池セル1150に充電することとしていたが、本実施の形態ではバッテリ付きモータ駆動制御装置101bに対する充電方法の多様化を図るために充電端子を設けることとする。
このようにすれば、例えば図4に示すように、太陽光発電パネル107を電動アシスト自転車1に設置して、当該太陽光発電パネル107で発電した電力を、ケーブル108を介してバッテリ付きモータ駆動制御装置101cに供給する。太陽光発電パネル107は一例であって、風力発電機その他のエナジーハーベストデバイスを採用するようにしても良い。さらに、例えば所定電圧の直流電源を商用電源から生成するような機構が存在する場合には、当該機構の設置場所で当該機構から電力を供給するようにしても良い。
本実施の形態に係るバッテリ付きモータ駆動制御装置101cは、図5に示すような構成を有する。図5で示すように、外部I/F(Interface)回路1031と充電端子1032とが、バッテリ付きモータ駆動制御装置101bに追加されており、第3制御部1117bには、第1の実施の形態における第3制御部1117に対して機能が追加されている。
外部I/F回路1031の端子aは、3相ブリッジインバータ1024に含まれるFET124のソース及びFET125のドレインに接続されており、端子bは接地されている。外部I/F回路1031の端子cは、充電端子1032の入力電圧端子に接続されており、端子dは、充電端子1032の接地端子に接続されている。さらに、外部I/F回路1031は、第3制御部1117bにも接続されている。なお、外部I/F回路1031は、第3制御部1117bからの指示に従って、電流を流すようになっている。
充電端子1032は、ケーブル108との接続端子であり、例えばUSB(Universal Serial Bus)端子、Micro USB端子、Mini USB端子、USB−PD(Power Delivery)端子などであってもよい。さらに、PoE(Power over Ether)のコネクタであっても良い。その他、電力入力が可能な規格におけるコネクタであっても良い。図4の例では、バッテリ付きモータ駆動制御装置101cの上部に配置しているが、使用態様に併せてどのような位置に配置しても良い。
外部I/F回路1031は、FET124及び125と共に直流電圧の電圧変換回路を構成するものである。すなわち、充電端子1032の端子cに印加された直流電圧を、電池セル1150の充電電圧に変換する。
本実施の形態に係る第3制御部1117bは、モータ105の駆動もモータ105からの回生も行っていない時間帯に、充電端子1032に充電に係る電力供給があることを検出すると、FET駆動部1023に指示して、FET124及び125に、充電に係る電圧を充電電圧に変換するようにスイッチングを行わせる。
外部I/F回路1031の構成例を、図6に示す。図6に示した例では、外部I/F回路1031は、スイッチング素子10312と、インダクタ10311とを含む。端子d及び端子bについては接地されている。また、端子cはスイッチング素子10312の一端に接続され、スイッチング素子10312の他端はインダクタ10311の一端と接続されている。インダクタ10311の他端は、端子aと接続されている。
第3制御部1117bは、端子cに接続されており、モータ105の駆動もモータ105からの回生も行っていない時間帯に、充電端子1032に印加された電圧を検出すると、このスイッチング素子10312をオンにして端子cとインダクタ10311とを接続させる。そして、第3制御部1117bは、FET駆動部1023に指示して、FET124及び125に、充電に係る電圧を電池セル1150に対する充電電圧に昇圧するようにスイッチングを行わせる。すなわち、インダクタ10311とFET124及び125とによって昇圧回路を構成する。
第3制御部1117bは、モータ105の駆動又はモータ105からの回生を行う場合には、たとえ充電端子1032に電圧が印加されていたとしても、スイッチング素子10312をオフさせて、充電を行わないようにする。すなわち、充電端子1032からの充電とモータ105の駆動及びモータ105からの回生とは排他的に行われる。
なお、スイッチング素子10312には、リレー、FETの突き合わせ接続(逆直列)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)等が用いられる。
インダクタ10311は、電圧変換回路を構成するために最もシンプルな回路要素であるが、上で述べたようにFET124及び125と併せて用いた場合に電圧変換回路を構成することができる他の回路要素又は回路(チャージポンプ回路、スイッチトキャパシタなど)を採用しても良い。
このようにすれば、FET124及び125を有効活用して充電端子1032を介して外部電源からの充電を行うことができるようになる。従来の電池パックのモジュールに充電端子を設けるような場合があるが、バッテリ付きモータ駆動制御装置101cのように電池パックとモータ駆動制御装置とを一体化した場合にも、充電端子1032を設けることができる。さらに、充電に要する回路要素を削減することができ、コスト削減が図られる。
なお、スイッチング素子10312は、上で述べたような排他性を確保できるのであれば無くしても良い。例えば、バッテリ付きモータ駆動制御装置101cを取り外した時のみ充電端子1032を介して充電できるようにすれば、上記の排他性は確保される。このことを確実にするように、バッテリ付きモータ駆動制御装置101cが電動アシスト自転車1に装着されている間は、充電端子1032が外部に見えないようにカバーで覆うなどすればよい。
さらに、3相ブリッジインバータ1024は、FETのペアを3つ含むので、図7に示すように3つの充電端子を設けるような構成も可能である。
すなわち、FET126及び127と外部I/F回路1033と充電端子1034とで1つの電圧変換回路を構成し、FET128及び129と外部I/F回路1035と充電端子1036とで1つの電圧変換回路を構成する。外部I/F回路1033及び1035は、外部I/F回路1031と同じ構成である。
このようにすれば、3つの異なる外部電源からの並列に充電を行うことも可能となる。この際にも、既に存在するFET124乃至129を有効活用して、コスト削減が図られる。
なお、上では説明をわかりやすくするために、電池セル1150への充電を最初に説明したが、モータ105以外の外部機器(例えばスマートフォンなどの携帯機器)に対する電力供給についても、外部I/F回路1031と同じ回路を用いることができる。充電端子についても、電力供給端子として用いることができるが、充電端子と電力供給端子とを区別したい場合には、別のタイプの端子を使用することが好ましい。この場合にも、第3制御部1117bは、モータ105の駆動又はモータ105からの回生を行う場合には、たとえ電力供給端子に外部機器が接続されていたとしても、スイッチング素子10312をオフさせて、電力供給を行わないようにする。すなわち、電力供給端子からの電力供給とモータ105の駆動及びモータ105からの回生とは排他的に行われる。そして、第3制御部1117bは、FET駆動部1023に指示して、FETのペアに、電池セル1150の出力電圧を電力供給に係る電圧に変換するようにスイッチングを行わせる。
モータ105以外の機器に電力供給する場合も、3相ブリッジインバータ1024に含まれるFETの3つのペアの各々に、電力供給端子を設けるようにしてもよい。これによって、複数の機器に対して並列に電力供給することができるようになる。
さらに、充電端子については、充放電端子として、すなわち、充電用にも電力供給用にも用いることができ、外部I/F回路1031の構成も同じでよい。この場合も、上で述べた排他性については維持する。さらに、第3制御部1117bは、充電と電力供給とのいずれかを区別して、上で述べたようにFETのペアのスイッチングをFET駆動部1023に行わせる。充放電端子を複数設けるようにしてもよい。
[実施の形態3]
第1の実施の形態のようなバッテリ付きモータ駆動制御装置101を複数台(例えば2台)電動アシスト自転車1に搭載することで、アシスト可能な距離が単純に増加するだけではなく、回生と駆動とを適切に切り替えることで、効率的な運行が可能となる。
図8に、本実施の形態に係るバッテリ付きモータ駆動制御装置1010A及び1010Bを2台用いる場合の接続状態の概要を示す。
電動アシスト自転車1には、バッテリ付きモータ駆動制御装置1010A及び1010Bに接続するための接続部300が設けられている。この接続部300を介して、バッテリ付きモータ駆動制御装置1010A及び1010Bは、それぞれモータ105、操作パネル106、トルクセンサ103及びペダル回転センサ104に接続されるようになっている。
すなわち、接続部300の第1端子301はバッテリ付きモータ駆動制御装置1010Aの対応する端子と接続されており、接続部300の第2端子302はバッテリ付きモータ駆動制御装置1010Bの対応する端子と接続される。第1端子301及び第2端子302は、モータ105と接続されている。
さらに、接続部300の第3端子303はバッテリ付きモータ駆動制御装置1010Aの対応する端子と接続され、接続部300の第4端子306はバッテリ付きモータ駆動制御装置1010Bの対応する端子に接続される。第3端子303及び第4端子306は、操作パネル106に接続されている。
また、接続部300の第5端子304はバッテリ付きモータ駆動制御装置1010Aの対応する端子と接続され、接続部300の第6端子307はバッテリ付きモータ駆動制御装置1010Bの対応する端子に接続される。第5端子304及び第6端子307は、トルクセンサ103及びペダル回転センサ104に接続されている。
さらに、接続部300の第7端子305はバッテリ付きモータ駆動制御装置1010Aの対応する端子と接続され、接続部300の第8端子308はバッテリ付きモータ駆動制御装置1010Bの対応する端子と接続される。第7端子305及び第8端子308は、互いに接続されている。
なお、バッテリ付きモータ駆動制御装置1010A及び1010Bは、充電レベルを表示するためのLED(Light Emitting Diode)群1013A及び1013Bと、LED群1013A及び1013Bを点灯させるように指示するためのボタン1014A及び1014Bをも有している。
LED群1013A及び1013Bについては、例えば、75%以上100%以下の充電レベルの場合には全LEDを点灯させ、50%以上75%未満の充電レベルの場合には下から3つのLEDを点灯させ、25%以上50未満の充電レベルの場合には下から2つのLEDを点灯させ、5%を超えて25%未満の充電レベルの場合には下から1つのLEDを点灯させ、5%以下の充電レベルの場合には1つもLEDを点灯させない、といったルールに従って点灯させる。但し、これは一例であり、従来から行われているので、これ以上説明しない。
バッテリ付きモータ駆動制御装置1010A及び1010Bは、同じ構成を有しており、例えば図9に示すような構成を有する。
基本的な構成はバッテリ付きモータ駆動制御装置101bと同じである。ここで、接続部300の第1端子301又は第2端子302に対応する端子は端子1040であり、接続部300の第3端子303又は第4端子306に対応する端子は端子1041であり、接続部300の第5端子304又は第6端子307に対応する端子は端子1042であり、接続部300の第7端子305又は第8端子308に対応する端子は端子1043である。すなわち、第3制御部1117cは、端子1043を介して、他のバッテリ付きモータ駆動制御装置1010の第3制御部1117cと通信可能になっており、いずれかのバッテリ付きモータ駆動制御装置1010でモータ105の駆動を行うと共に、いずれかのバッテリ付きモータ駆動制御装置1010でモータ105からの回生を行う。
本実施の形態では、第3制御部1117cは、図10及び図11に示すような処理を実行する。
まず、第3制御部1117cは、その内部においてモータ駆動及び回生の制御を行う部分からの指示を検出する(図10:ステップS1)。この指示に含まれる回生指示及び駆動指示は、操作パネル106からのアシストONの指示、トルクセンサ103及びペダル回転センサ104からのデータ、モータ105からのデータ等に基づき出力される。
第3制御部1117cは、検出した指示が駆動指示であるか否かを判断する(ステップS3)。駆動指示ではない場合には、処理はステップS17に移行する。
一方、駆動指示を検出した場合には、バッテリ付きモータ駆動制御装置1010A(簡略化して「モジュールA」とも呼ぶ)とバッテリ付きモータ駆動制御装置1010B(簡略化して「モジュールB」とも呼ぶ)とは、電池セル1150のバッテリ残量(充電残量とも呼ぶ)を電池保護部1110から取得して、そのデータを端子1043を介して交換する(ステップS5)。
そして、第3制御部1117cは、モジュールAのバッテリ残量>モジュールBのバッテリ残量という関係が成り立つか否かを判断する(ステップS7)。このような関係が成立する場合には、モジュールAの第3制御部1117cは、モータ駆動の制御を実行する(ステップS9)。なお、モジュールBの第3制御部1117cは、モータ駆動の制御は行わずに、指示を待機する。そして処理はステップS13に移行する。
一方、ステップS7で示した関係が成立しない場合には、モジュールBの第3制御部1117cは、モータ駆動の制御を実行する(ステップS11)。なお、モジュールAの第3制御部1117cは、モータ駆動の制御は行わずに、指示を待機する。そして処理はステップS13に移行する。
このように、バッテリ残量の多い方のバッテリ付きモータ駆動制御装置1010によってモータ105の駆動が行われる。よって、他方のバッテリ付きモータ駆動制御装置1010のバッテリ残量が一方的に少なくなるような事態を回避できる。また、片方のみを動作させるので、バッテリ及び回路の温度上昇を抑えて、外気温が高いなどの過酷な環境下においても動作を維持できるようになる。
そして、第3制御部1117cは、駆動終了が指示されたか否かを判断する(ステップS13)。この判断についても、操作パネル106からのアシストOFFの指示、トルクセンサ103及びペダル回転センサ104からのデータ、モータ105からのデータ等に基づき行われる。駆動終了ではない場合には、処理はステップS5に戻る。
一方、駆動終了が指示されると、モータ駆動制御を行っていた第3制御部1117cは、モータ105の駆動を停止させる(ステップS15)。そして処理はステップS19に移行する。
検出した指示が駆動指示ではない場合には、第3制御部1117cは、検出した指示が回生指示であるか否かを判断する(ステップS17)。検出した指示が回生指示でない場合には、第3制御部1117cは、処理終了が指示されたか否かを判断する(ステップS19)。例えば、操作パネル106からのアシストOFFの指示などがなされたか否かで判断する。処理終了でない場合には、処理はステップS1に戻る。一方、処理終了であれば、第3制御部1117cは、この処理を終了する。
検出した指示が回生指示であれば、処理は端子Aを介して図11の処理に移行する。図11において、モジュールAの第3制御部1117cとモジュールBの第3制御部1117cは、電池セル1150のバッテリ残量を電池保護部1110から取得して、そのデータを端子1043を介して交換する(ステップS21)。
そして、第3制御部1117cは、モジュールAのバッテリ残量>モジュールBのバッテリ残量という関係が成り立つか否かを判断する(ステップS23)。このような関係が成立する場合には、モジュールBの第3制御部1117cは、モータからの回生の制御を実行する(ステップS25)。なお、モジュールAの第3制御部1117cは、モータ105からの回生の制御は行わずに、指示を待機する。そして処理はステップS29に移行する。
一方、ステップS23で示した関係が成立しない場合には、モジュールAの第3制御部1117cは、モータ105からの回生の制御を実行する(ステップS27)。なお、モジュールBの第3制御部1117cは、モータ105からの回生の制御は行わずに、指示を待機する。そして処理はステップS29に移行する。
このように、バッテリ残量の少ない方のバッテリ付きモータ駆動制御装置1010によってモータ105からの回生及び充電が行われる。よって、他方のバッテリ付きモータ駆動制御装置1010のバッテリ残量が一方的に増加するような事態を回避できる。
その後、第3制御部1117cは、回生終了が指示されたか否かを判断する(ステップS29)。この判断についても、操作パネル106からのアシストOFFの指示、トルクセンサ103及びペダル回転センサ104からのデータ、モータ105からのデータ等に基づき行われる。回生終了ではない場合には、処理はステップS21に戻る。
一方、回生終了が指示されると、回生制御を行っていた第3制御部1117cは、モータ105からの回生及び充電を停止させる(ステップS31)。そして処理は端子Bを介して図10のステップS19に移行する。
このような動作を行うことで、上で述べたように、効率的な運行が可能となる。
なお、電池セル1150のバッテリ容量は、モジュールAとモジュールBとで異なる場合もある。このような場合には、バッテリ残量/全容量=充電率などの指標値によって判断する場合もある。同じバッテリ容量のモジュールであっても、充電率などの指標値を用いるようにしても良い。簡易的には、上で述べた充電レベルを用いるようにしても良い。さらに、空き容量又は空き容量の比率などを指標値として用いるようにしても良いが、不等号を反対にする。
また、モジュールAとモジュールBとでマスタとスレーブを予め設定しておき、マスタが上で述べたような判断を行って、スレーブ側に動作指示を行うような形にしても良い。
[実施の形態4]
第2の実施の形態に係るバッテリ付きモータ駆動制御装置101cを複数台(例えば2台)用いた上で、太陽光発電パネル107を接続させるような場合もある。このような構成で充電と回生と駆動とを適切に切り替えることで、効率的な運行が可能となる。
例えば、図12に、本実施の形態に係るバッテリ付きモータ駆動制御装置1010C及び1010Dを2台と太陽光発電パネル107とを用いる場合の接続状態の概要を示す。
本実施の形態では、二股のケーブル108bの一端は太陽光発電パネル107に接続され、ケーブル108bの2つ他端はバッテリ付きモータ駆動制御装置1010C及び1010Dに接続されるようになっている。すなわち、太陽光発電パネル107から、バッテリ付きモータ駆動制御装置1010C及び1010Dのいずれにも電力供給が可能となっている。
図13に、バッテリ付きモータ駆動制御装置1010C又は1010Dの構成例を示す。基本的には、図5に示した構成と図9に示した構成とを組み合わせた形になっており、本実施の形態では第3制御部1117dが、主要な処理を実行する。
具体的には、第3制御部1117dは、図14及び図15に示すような処理を実行する。
図14の処理フローは、図10に類似するが、ステップS10及びS12が追加されている。すなわち、モジュールAのバッテリ残量>モジュールBのバッテリ残量という関係が成立した場合には、モジュールAの第3制御部1117dが、モータ駆動の制御を実行する(ステップS9)。一方、モジュールBの第3制御部1117dは、外部電源(例えば太陽光発電パネル107)からの充電を実行するように制御する(ステップS10)。そして処理はステップS13に移行する。
このようにすれば、回生も駆動も行っていないモジュールBに対して充電を行うことができるようになる。
一方、ステップS7の関係が成立しない場合には、モジュールBの第3制御部1117dは、モータ駆動の制御を実行する(ステップS11)。一方、モジュールAの第3制御部1117dは、外部電源からの充電を実行するように制御する(ステップS12)。そして処理はステップS13に移行する。ステップS12ではステップS10とは逆のモジュールに充電がなされる。
図15の処理フローは、図11に類似するが、ステップS25の代わりにステップS41を採用し、ステップS27の代わりにステップS43を採用する。
すなわち、モジュールAのバッテリ残量>モジュールBのバッテリ残量という関係が成立した場合には、モジュールBの第3制御部1117dは、モータ105からの回生の制御を実行する(ステップS41)。この段階で、本来はモジュールBに対して外部電源からの充電も行うべきであるが、回生の制御と充電とは同時にはできないので、回生を優先させて外部電源からの充電は中断させるか、満充電状態でなければ、モジュールAの第3制御部1117dは、外部電源による充電を実行するようにしても良い。そして処理はステップS29に移行する。
一方、ステップS23で示した関係が成立しない場合には、モジュールAの第3制御部1117dは、モータ105からの回生の制御を実行する(ステップS43)。この段階で、本来はモジュールAに対して外部電源からの充電も行うべきであるが、回生の制御と充電とは同時にはできないので、回生を優先させて外部電源からの充電は中断させるか、満充電状態でなければ、モジュールBの第3制御部1117dは、外部電源による充電を実行するようにしても良い。そして処理はステップS29に移行する。
以上述べたような処理を実行することで、モータ駆動とモータからの回生と外部電源からの充電とを適切に切り替えて、効率的な運行が可能になる。すなわち、アシスト可能距離が増加する。
以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、同様の作用を実現する他の回路構成を代わりに採用するようにしても良い。
また、第2の実施の形態に係るバッテリ付きモータ駆動制御装置101c及び101dについてはバッテリとモータ駆動制御装置とが別々に構成される場合にも成り立つ。
さらに、図7において充電端子と放電端子とを混在させることも可能であるが、充電と放電とを同時に実行できるようにするのは好ましくない。従って、第3制御部1117bは、いずれかのみを実施するように制御する。
さらに、上で述べた実施の形態では、電池セルが含まれている例を示したが、キャパシタなどの蓄電デバイスを用いるような形に変更しても良い。その場合には、キャパシタの特性に合わせて充電及び放電を制御する。
なお、第4の実施の形態において二股のケーブル108bを用いたが、単純なケーブル108を用いていずれかのバッテリ付きモータ駆動制御装置に太陽光発電パネル107を接続させるようにしても良い。但し、この場合、充電先を切り替えられないので、接続先のバッテリ付きモータ駆動制御装置が満充電になると、充電機会を失うことになる。
さらに、第4の実施の形態では、太陽光発電パネル107のような外部電源装置について説明したが、携帯端末その他の外部機器を接続するような場合もある。
以上述べた実施の形態をまとめると、以下のようになる。
実施の形態に係る駆動装置は、(A)人力を補助するための電動機を駆動する駆動部と、(B)蓄電デバイスと、(C)駆動部による電動機の駆動及び電動機からの回生と蓄電デバイスに対する充放電とを制御する制御部と、(D)駆動部と蓄電デバイスと制御部とを1つに収める外装とを有する。
このように蓄電デバイスと駆動部と制御部とが一体化されると、様々な回路要素や例えばコネクタ等が削減されて、製造コストを抑制できるようになる。
また、上で述べた駆動部は、蓄電デバイスから供給される電力の電圧変換を電動機に対して行うためのスイッチ(例えば3相ブリッジインバータに含まれるFET)を含むようにしても良い。そして、(E)上で述べた駆動装置は、蓄電デバイスに対する充電に用いられ且つ電動機との接続用の第1の接続部とは異なる第2の接続部と、(F)第2の接続部とスイッチとに接続されており、第2の接続部に印加された電圧を蓄電デバイスに対する充電のための電圧に変換するための回路とをさらに有するようにしても良い。このようにすれば、駆動部を有効活用することで外部電源から充電もできるようになる。コストの増加も抑制されている。
さらに、上で述べた駆動部は、蓄電デバイスから供給される電力の電圧変換を電動機に対して行うためのスイッチを含むようにしても良い。そして、(G)蓄電デバイスからの電力供給に用いられ且つ電動機との接続用の第1の接続部とは異なる第2の接続部と、(H)第2の接続部とスイッチとに接続されており、第2の接続部から出力する電圧に蓄電デバイスの出力電圧を変換するための回路とをさらに有するようにしても良い。このようにすれば、駆動部を有効活用することで外部機器への電力供給もできるようになる。コストの増加も抑制されている。
また、上で述べた駆動部は、蓄電デバイスから供給される電力の電圧変換を電動機に対して行うための複数組のスイッチを含むようにしてもよい。そして、(I)蓄電デバイスに対する充電に用いられ且つ電動機との接続用の第1の接続部とは異なる複数の第2の接続部と、(J)複数の第2の接続部のいずれか1つと複数組のスイッチのいずれか1つの組と接続されており、第2の接続部のいずれか1つに印加された電圧を蓄電デバイスに対する充電のための電圧に変換するための複数の回路とをさらに有するようにしても良い。駆動部を有効活用することで、並列に外部電源から充電を行うことができるようになる。
さらに、上で述べた駆動部は、蓄電デバイスから供給される電力の電圧変換を電動機に対して行うための複数組のスイッチを含むようにしてもよい。そして、(K)蓄電デバイスからの電力供給に用いられ且つ電動機との接続用の第1の接続部とは異なる複数の第2の接続部と、(L)複数の第2の接続部のいずれか1つと複数組のスイッチのいずれか1つの組と接続されており、第2の接続部のいずれか1つから出力する電圧に蓄電デバイスからの出力電圧を変換するための複数の回路とをさらに有するようにしても良い。駆動部を有効活用することで、並列に外部機器に対して電力供給することができるようになる。
なお、上で述べた制御部は、第2の接続部からの充電と電動機の駆動と電動機からの回生とのいずれか1つのみを実行するように制御するようにしても良い。駆動部を活用するのでこのような排他性を確保することが好ましい。同様に、上で述べた制御部は、第2の接続部への電力供給と電動機の駆動と電動機からの回生とのいずれか1つのみを実行するように制御するようにしても良い。
また、実施の形態に係る電動アシスト装置は、上で述べた構成を有する第1及び第2の駆動装置を有するようにしてもよい。この場合、第1及び第2の駆動装置の制御部は、他方と通信可能になっており、第1及び第2の駆動装置の制御部は、自駆動装置の蓄電デバイスの充電残量に関する指標値と、他方の駆動装置の蓄電デバイスの充電残量との比較結果に関する指標値に基づき、自駆動装置において電動機の駆動の制御又は電動機からの回生の制御を実行する。第1及び第2の駆動装置に対して回生と駆動とを適切に切り替えることで、効率的な運行が可能になる。なお、第1及び第2の駆動装置の制御部が独立して判断を行うようにしても良いし、いずれかがマスタとして判断を行って他方のスレーブに対して指示するようにしても良い。
さらに、上で述べた第1及び第2の駆動装置の駆動部は、蓄電デバイスから供給される電力の電圧変換を電動機に対して行うためのスイッチを含むようにしても良い。この場合、第1及び第2の駆動装置は、蓄電デバイスに対する充電に用いられ且つ電動機との接続用の第1の接続部とは異なる第2の接続部と、第2の接続部とスイッチとに接続されており、第2の接続部に印加された電圧を蓄電デバイスに対する充電のための電圧に変換するための回路とをさらに有するようにしても良い。そして、第1及び第2の駆動装置の第2の接続部が、共に同一の外部電源装置に接続されている場合、第1及び第2の駆動装置の制御部のいずれかが、自駆動装置の蓄電デバイスの充電残量に関する指標値と、他方の駆動装置の蓄電デバイスの充電残量に関する指標値との比較結果に基づき、外部電源装置からの充電の制御を行うようにしても良い。排他性を維持するためである。
さらに、外部電源装置からの充電を行うとされた駆動装置の制御部が電動機からの回生の制御を行う際には、外部電源装置からの充電を停止する、又は、外部電源装置からの充電を行うとされた駆動装置ではない方の駆動装置の制御部が、外部電源装置からの充電の制御を行うようにしても良い。より効率的に充電をするためである。
このような構成は、実施の形態に述べられた事項に限定されるものではなく、実質的に同一の効果を奏する他の構成にて実施される場合もある。