(1.部品実装機1の全体構成)
本実施形態の部品実装機1の全体構成について、図1を参照して説明する。部品実装機1は、ノズルツール自動交換方式の機種である。部品実装機1は、基板搬送装置2、部品供給装置3、部品移載装置4及び部品カメラ5を備える。
基板搬送装置2は、回路基板KをX軸方向に搬送すると共に、所定の実装位置にて保持する。部品供給装置3は、複数の部品種の部品を供給する。図1の部品供給装置3は、基台9上に複数のテープフィーダをX軸方向に並設したタイプを例示する。
部品移載装置4は、部品供給装置3から供給される部品を、基板搬送装置2に保持された回路基板Kに移載する。部品移載装置4は、例えば、XYロボットにより構成され、基台9に対してX軸方向及びY軸方向に移動可能な移動台(X軸スライダ43)を備える。部品移載装置4は、基板搬送装置2及び部品供給装置3の上方に設けられる。
部品移載装置4は、ガイドレール41、Y軸スライダ42、移動台としてのX軸スライダ43、装着ヘッド44、ノズルツール45及び基板カメラ46を備える。ガイドレール41は、基台9にY軸方向に延びるように設けられる。Y軸スライダ42は、ガイドレール41に沿ってY軸方向に移動可能に設けられ、サーボモータにより駆動される。移動台としてのX軸スライダ43は、Y軸スライダ42にX軸方向に移動可能に案内支持され、サーボモータにより駆動される。
装着ヘッド44は、移動台としてのX軸スライダ43に着脱可能に設けられる。装着ヘッド44は、下方に、ノズルツール45を着脱可能に保持する。ここで、ノズルツール45には、例えば、1個の大型の吸着ノズルを保持するシングルノズルツール、4個の吸着ノズルを保持する汎用4マルチノズルツール、12個の吸着ノズルを保持する高速12マルチノズルツールなどがある。つまり、装着ヘッド44は、移載する部品に応じて、複数のノズルツール45を自動交換する。
装着ヘッド44は、さらに、ノズルツール45全体を旋回するためのR軸駆動機構(図示せず)、複数個の吸着ノズルを保持するノズルツール45においてノズルツール45の本体部に対して吸着ノズル240を旋回するためのθ軸駆動機構(図示せず)、吸着ノズル240をZ軸方向に移動させるZ軸駆動機構(図示せず)などを備える。
さらに、装着ヘッド44は、ノズルツール45との間でエア(正圧エア及び負圧エア)を流通させることにより部品の吸着及び離脱を行う機構(図2及び図3等に示す)と、エアを用いたノズルツール45のクランプ機構(図2及び図3等に示す)とを備える。部品の吸着及び離脱を行う機構、並びに、クランプ機構は、後述する。
基板カメラ46は、X軸スライダ43の底面に下向きに設けられ、回路基板Kを撮像する。基板カメラ46により撮像される画像は、部品を装着する位置を制御するために用いられる。部品カメラ5は、基板搬送装置2と部品供給装置3との間の基台9上に、上向きに設けられる。部品カメラ5は、装着ヘッド44及びノズルツール45が移動する途中に、吸着ノズル240に保持されている部品の状態を撮像する。
(2.装着ヘッド44及びノズルツール45の詳細構成)
装着ヘッド44及びノズルツール45の詳細構成について、図2〜図7を参照して説明する。ここでは、装着ヘッド44のうち、部品の吸着及び離脱を行うための機構、並びに、ノズルツールをクランプする機構を主として説明する。なお、ノズルツール45は、1個の吸着ノズル240を保持するシングルノズルツールを例示する。
(2−1.装着ヘッド44の構成)
図2に示すように、装着ヘッド44は、R軸ハウジング110、分岐路形成ユニット130、ピストン機構140、複数のクランプ部材150、エアフィルタユニット160、複数のシール部材171,172、複数の位置基準ピン180、θ軸ハウジング190、負圧源191、弁193及び流量計194を備える。
R軸ハウジング110は、図3に示すように、装着ヘッド44の下方に突出して設けられる。R軸ハウジング110は、装着ヘッド44の本体部(図示せず)に、中心軸周りに回転可能に設けられる。R軸ハウジング110は、部品としての分類では、第一ハウジング110aと第二ハウジング110bとを備える。R軸ハウジング110は、機能として分類では、軸状部111、小径筒部112、複数の係止部113及び複数の基準マーク114を備える。
軸状部111は、図2及び図3に示すように、中央に貫通孔を有する円筒状に形成され、装着ヘッド44の本体部に対して中心軸周りに回転可能である。軸状部111は、第一ハウジング110aと第二ハウジング110bの一部とを含む。ここで、軸状部111は、シリンダ111d(後述する)を形成するために2部材(第一ハウジング110aと第二ハウジング110b)により形成するが、1部材により形成することもできる。
軸状部111は、円筒外周面及び円形の端面を有する。軸状部111は、端面に、ヘッド基準面111a及び逃がし凹溝111bを備える。ヘッド基準面111aは、平面状に形成され、軸状部111の端面の最外周面に環状に設けられる。ヘッド基準面111aは、ノズルツール45のツール基準面212(後述する)に当接する面となる。
逃がし凹溝111bは、ヘッド基準面111aの内周側に環状に形成される。逃がし凹溝111bは、ノズルツール45の爪部213(後述する)がクランプ部材150(後述する)の押圧力によって変形する場合に、爪部213の一部を収容する領域として機能する。
軸状部111の内部に形成される貫通孔は、上孔111c、シリンダ111d及び下孔111eを備える。上孔111cは、軸状部111の上端から下方に延びるように形成され、円筒内周面を有する。上孔111cは、軸状部111の中央に形成される。シリンダ111dは、上孔111cの下方に連続して形成され、上孔111cと同軸状であり上孔111cより大径の円筒内周面を有する。上孔111c及びシリンダ111dは、第一ハウジング110aに形成される。下孔111eは、シリンダ111dの下方に連続して形成され、軸状部111の下方に開口する。下孔111eは、第二ハウジング110bに形成される。
軸状部111は、第一エア接続路111f、第二エア接続路111g、フィルタ装着孔111h、第一室流路111i、第二室流路111j及びエア排出路111kを備える。
第一エア接続路111fは、図2及び図6の中心軸線より右部分に示すように、シリンダ111dと軸状部111の端面(第二ハウジング110bの端面の外周部)の外部とを連通し、エアを流通する。第一エア接続路111fの一方は、シリンダ111dの上端のうち上孔111cの外周側に開口し、第一エア接続路111fの他方は、軸状部111の端面の外周側に位置するヘッド基準面111aに開口する。つまり、第一エア接続路111fは、軸状部111の内部の外周側に形成される。より詳細には、第一エア接続路111fは、シリンダ111d側の開口部から上方に延び、続いて周方向にU字状に折り返し、さらに続いて下方へ向かうことで軸状部111のヘッド基準面111aに開口する。
第二エア接続路111gは、図2の中心軸線より左部分に示すように、上孔111cと軸状部111の端面(第二ハウジング110bの端面の外周部)の外部とを連通し、エアを流通する。第二エア接続路111gの一方は、上孔111cの内周面に開口し、第二エア接続路111gの他方は、軸状部111の端面の外周側に位置するヘッド基準面111aに開口する。つまり、第二エア接続路111gは、軸状部111の内部の外周側に形成される。より詳細には、第二エア接続路111gは、上孔111c側の開口部から径方向外方に延び、続いて下方へ向かうことで軸状部111のヘッド基準面111aに開口する。
フィルタ装着孔111hは、図6に示すように、第一エア接続路111fのU字状の折り返し部分に形成され、軸状部111の円筒外周面に開口する。フィルタ装着孔111hは、後述するエアフィルタ161が装着される部位である。
第一室流路111iは、図7の右部分に示すように、軸状部111の外周側に形成され、上孔111cとシリンダ111dとを連通し、エアを流通する。詳細には、第一室流路111iの一方は、上孔111cの内周面に開口し、第一室流路111iの他方は、シリンダ111dの内周面のうち上方に開口する。
第二室流路111jは、図7の左部分に示すように、軸状部111の外周側に形成され、上孔111cとシリンダ111dとを連通し、エアを流通する。詳細には、第二室流路111jの一方は、上孔111cの内周面に開口し、第二室流路111jは、シリンダ111dの内周面のうち下方、すなわち第一室流路111iの開口部より下方に開口する。
エア排出路111kは、軸状部111の外周側に形成され、上孔111cと下孔111eとを連通し、エアを流通する。詳細には、エア排出路111kの一方は、上孔111cの内周面に開口し、エア排出路111kの他方は、下孔111eの内周面に開口する。より詳細には、エア排出路111kは、第一ハウジング110aに形成される第一エア排出路111k1と、第二ハウジング110bに形成され第一エア排出路111k1に連通する第二エア排出路111k2とを備える。
小径筒部112は、中央に貫通孔が形成され、軸状部111の端面の中央部から下方へ突出形成される。小径筒部112の内周側は、軸状部111の下孔111eに連通する。小径筒部112には、内周面から外周面に亘って貫通する複数の窓部112aが形成される。本実施形態においては、小径筒部112には、4個の窓部112aが等間隔で形成される。窓部112aは、円形に形成される。
複数の係止部113は、図3に示すように、小径筒部112の外周面から径方向外方に突出形成される。複数の係止部113は、図4に示すように、小径筒部112の窓部112aより下方に形成され、且つ、窓部112aに対して周方向にずれて形成される。
複数の基準マーク114は、小径筒部112の端面に設けられる。複数の基準マーク114の相対的な位置関係から、R軸ハウジング110の中心位置が検出される。
分岐路形成ユニット130は、図6に示すように、軸状部111の上孔111c及びシリンダ111dの上方領域に配置される。分岐路形成ユニット130は、第一分岐路形成部131、複数の区画管132,133,134,135、第二分岐路形成部136及び蓋部137を備える。
第一分岐路形成部131は、上孔111cの下方に配置される。第一分岐路形成部131は、筒状に形成される。第一分岐路形成部131の外周面には、4個のOリングを配置するための4個の環状溝が形成される。第一分岐路形成部131の内周面は、下方に行くに従って、縮径するような階段状に形成される。さらに、第一分岐路形成部131には、内周側と、第二エア接続路111g、第一室流路111i、第二室流路111j、エア排出路111kのそれぞれと連通するように、径方向に複数の貫通穴が形成される。
複数の区画管132,133,134,135は、上孔111cのうち第一分岐路形成部131の上方の領域に配置される。複数の区画管132,133,134,135は、順に径が小さくなるように、且つ、径方向隙間を有するように形成される。従って、区画管132の外周面と上孔111cの内周面との間、区画管132,133の間、区画管133,134の間、区画管133,134の間には隙間が形成される。
第二分岐路形成部136は、中心孔を有する円盤状に形成される。さらに、第二分岐路形成部136の一方端面には、径方向に延びる溝が形成される。第二分岐路形成部136は、溝が形成されていない側の端面が第一分岐路形成部131の下面に当接するように、シリンダ111d内に設けられる。蓋部137は、円盤状に形成され、第二分岐路形成部136の下面側を閉塞するように第一ハウジング110aに固定される。
ピストン機構140は、ピストン141とスプリング142とを備える。ピストン141は、シルクハット形状、すなわち円盤状鍔部を有する有底筒状に形成される。ピストン141の筒状部分の外周面のうち鍔部の反対側は、先細テーパ状に形成される。
ピストン141は、鍔部が上孔111c側に位置するように、シリンダ111d及び下孔111eの内側に軸方向(上下方向)に相対移動可能に配置される。ピストン141の鍔部の外周縁が、シリンダ111dの内周側にOリングを介して摺動する。つまり、ピストン141は、シリンダ111d内を、上方の第一室と下方の第二室とを区画する。第一室は、第一室流路111iが開口する領域である。第二室は、第二室流路111jが開口する領域である。
さらに、ピストン141の筒状部分の外周面が、下孔111eの内周側に、Oリングを介して摺動する。特に、ピストン141の軸方向の移動範囲に、エア排出路111kが開口する。つまり、ピストン141の筒状部分が下方に移動しているときには、下孔111eに開口するエア排出路111kの開口部を閉塞する。ピストン141の筒状が上方に移動しているときには、下孔111eに開口するエア排出路111kの開口部を開放する。
スプリング142は、蓋部137の下面とピストン141の底面との間に配置される。スプリング142は、蓋部137に対してピストン141を下方向に付勢する。
複数のクランプ部材150は、球体である。複数のクランプ部材150は、小径筒部112の複数の窓部112aのそれぞれに配置される。複数のクランプ部材150は、小径筒部112の外周面から突出する位置と、小径筒部112の外周面より径方向内方の位置との間で、移動する。
エアフィルタユニット160は、軸状部111の外周面に開口するフィルタ装着孔111hに着脱可能に設けられる。エアフィルタユニット160は、エアフィルタ161及びフィルタ固定部162を備える。エアフィルタ161は、第一エア接続路111fに介在する位置に配置される。フィルタ固定部162は、エアフィルタ161を固定するための部材である。
シール部材171は、第一エア接続路111fの開口部位に着脱可能に設けられる。シール部材171は、例えば、筒状弾性部材である。複数のシール部材172は、第二エア接続路111gの開口部位に着脱可能に設けられる。複数のシール部材172は、例えば、Oリングである。
複数の位置基準ピン180(位相基準部に相当)は、軸状部111の端面のヘッド基準面111aに、下方に延びるように設けられる。複数の位置基準ピン180は、180度間隔に2つ設けられる。
θ軸ハウジング190は、図3に示すように、R軸ハウジング110の軸状部111の外周側に相対回転可能に設けられる。θ軸ハウジング190は、下端に凹凸状の環状クラッチ190aを備える。θ軸ハウジング190は、1個の吸着ノズル240を保持するノズルツール45の場合には、使用されない。θ軸ハウジング190は、複数個の吸着ノズル240を保持するノズルツール45の場合に使用される。
負圧源191は、部品実装機1の本体に設けられるポンプである。さらに、装着ヘッド44は、負圧源191と中央に位置する区画管135の内部とを連通する流路を有する。さらに、図6に示すように、装着ヘッド44は、正圧源192と複数の区画管132〜135のそれぞれにより形成される各流路との間で連通される流路を有する。
弁193は、負圧源191及び正圧源192と、複数の区画管132〜135のそれぞれにより形成される各流路との間に配置され、正圧エアが供給される流路及び負圧エアが供給される流路を切り替える。
上孔111cと区画管132との間に供給される正圧エアは、図7の右部分に示すように、シリンダ111dの第二室に供給される。区画管132,133の間に供給される正圧エアは、図6の左部分に示すようにエア排出路111kに供給される。区画管133,134の間に供給される正圧エアは、図7の右部分に示すように、シリンダ111dの第一室に供給される。区画管134,135の間に供給される負圧エアは、図2に示すように、第二エア接続路111gに供給される。区画管135の内側に供給される正圧エア又は負圧エアは、図2に示すように、第一エア接続路111fに供給される。
流量計194は、区画管132,133の間の流路と弁193との間に設けられ、区画管132,133の間の流路、すなわち図6の左部分に示すようにエア排出路111kを流通するエア流量を計測する。
ここで、部品実装機1は、図6に示すように、制御部(ピストン位置判定部に相当)6を備える。制御部6は、弁193の切替制御を行うと共に、流量計194により計測される流量に基づいて、ピストン141の位置を判定する。ピストン141の位置判定についての詳細は後述する。
(2−2.ノズルツール45の構成)
ノズルツール45は、図2に示すように、ツール本体部210、蓋部220、ノズル固定部230、吸着ノズル240及びスプリング250を備える。ツール本体部210は、貫通孔を有する筒状に形成されると共に、外径が下方に行くに従って小さくなるような階段状に形成される。ツール本体部210の上面側は、装着ヘッド44の軸状部111の端面に対向する面である。ツール本体部210の上端面の中央部には、R軸ハウジング110の小径筒部112を収容する凹所211が形成される。ツール本体部210の上端面の外周側は、平面状に形成される環状のツール基準面212を備える。ツール基準面212は、ヘッド基準面111aに当接する部位である。
ツール本体部210は、凹所211の開口縁に径方向内方に向かって突出形成される環状の爪部213を備える。つまり、爪部213は、ツール本体部210の中央部に設けられる。爪部213は、クランプ部材150がクランプ位置、すなわち小径筒部112の外周面より突出する位置に位置するときに、クランプ部材150に係止される被クランプ部である。爪部213の内周面は、凹所211の奥側からツール基準面212側に向かって、縮径するテーパ状に形成される。
爪部213の内周縁には、図5に示すように、複数の切欠213aが形成される。複数の切欠213aは、装着ヘッド44の係止部113を通過可能に形成される。一方、爪部213のうち複数の切欠213a以外の部位は、係止部113に係止される。つまり、爪部213は、係止部113に係止される被係止部である。
ツール本体部210は、さらに、第一エア被接続路214及び位置決め孔216(位相被装着部)を備える。第一エア被接続路214は、ツール本体部210の上面側において、爪部213より外周側に開口するように設けられる。第一エア被接続路214は、ツール基準面212と凹所211より下方の中央孔とを連通する。第一エア被接続路214のツール基準面212側の開口部は、軸状部111の第一エア接続路111fに接続される。第一エア被接続路214は、第一エア接続路111fとの間でエアを流通する。
複数の位置決め孔216は、ツール基準面212に形成され、複数の位置基準ピン180に対応する位置に形成される。なお、1個の吸着ノズル240を保持するノズルツール45は、第二エア接続路111gに接続される流路を有しない。後述するが、複数個の吸着ノズル240を保持するマルチノズルツールは、第二エア接続路111gに接続される第二エア被接続路を備える。
蓋部220は、ツール本体部210の凹所211の底部を閉塞する。つまり、蓋部220は、凹所211と、ツール本体部210の先細側の貫通孔とを区画する。ノズル固定部230は、筒状に形成される。ノズル固定部230の一部は、ツール本体部210の先細側の貫通孔に、軸方向に移動可能に挿入される。ただし、ノズル固定部230は、ツール本体部210の下方へ脱落しないように係止される。
吸着ノズル240は、ノズル固定部230の先端に取り付けられる。吸着ノズル240は、端部から離れた位置に、径方向外方に突出するフランジ部241を備える。スプリング250は、ツール本体部210の階段状外周面と吸着ノズル240のフランジ部241との間に配置され、両者を離間する方向に付勢する。
(3.装着ヘッド44の動作)
(3−1.クランプ動作)
装着ヘッド44がノズルツール45をクランプする動作について、図2,図6及び図7を参照して説明する。ノズルツール45がツールステーション(図示しない)に保管されている状態で、制御部6が、装着ヘッド44を移動して、装着ヘッド44にノズルツール45をクランプさせる。
まず、制御部6は、X軸スライダ43及びY軸スライダ42を駆動する。制御部6は、複数の基準マーク114の位置を認識して、装着ヘッド44がツールステーションに保管されているノズルツール45をクランプ可能な位置に装着ヘッド44を移動する。このとき、装着ヘッド44の小径筒部112がノズルツール45の凹所211の上方に位置する。この状態において、装着ヘッド44の係止部113とノズルツール45の爪部213の切欠213aとが位相合わせされている。
続いて、制御部6が、R軸ハウジング110を下方へ移動させることにより、R軸ハウジング110をツールステーションに保管されているノズルツール45に近づける。図10に示すように、係止部113が切欠213aを通過する。そして、装着ヘッド44の小径筒部112の一部が、ノズルツール45の凹所211に入り込む。
続いて、図8及び図9に示すように、制御部6は、R軸ハウジング110を回転させて、係止部113と切欠213aの位相をずらす。位置基準ピン180と位置決め孔216との位置が合わせられる。このとき、クランプ部材150が、切欠213a以外の位相に位置する。この状態で、制御部6がR軸ハウジング110を下方へ移動することにより、図2に示すように、装着ヘッド44の小径筒部112がノズルツール45の凹所211に収容される。同時に、位置基準ピン180が位置決め孔216に嵌め込まれる。
続いて、図7に示すように、弁193の切替によって、正圧エアが区画管133,134の間に供給される。従って、正圧エアが、第一室流路111iを通過して、シリンダ111dの第一室(ピストン141の上方領域)に供給される。一方、弁193の切替によって、シリンダ111dの第二室(ピストン141の下方領域)内のエアが、第二室流路111jを通過して外部へ排出される。
そうすると、ピストン141が、図2、図6及び図7に示すように、下方へ移動する。ピストン141が下方へ移動すると、ピストン141の外周面のテーパ状部分が、クランプ部材150に当接する。ピストン141がさらに下方へ移動すると、クランプ部材150が径方向外方へ移動する。つまり、クランプ部材150が小径筒部112の外周面から突出する状態となる。
ここで、ノズルツール45の爪部213は、突出するクランプ部材150より上方に位置している。クランプ部材150が小径筒部112の外周面から突出することに伴って、クランプ部材150は、被クランプ部としての爪部213のテーパ状部分を押圧し、ノズルツール45がR軸ハウジング110の軸状部111側へ引き込まれる。
さらに、クランプ部材150がさらに径方向外方へ突出すると、ツール基準面212がヘッド基準面111aに面接触する状態となる。この状態が、ノズルツール45を軸状部111に対して移動規制するクランプ状態である。そして、クランプ状態におけるクランプ部材150の位置が、クランプ位置である。つまり、ピストン141が下方に移動することで、クランプ部材150によりノズルツール45が確実にR軸ハウジング110にクランプされる。
ここで、クランプ状態において、爪部213がクランプ部材150に押圧されることにより、爪部213の先端側がツール基準面212より突出するように変形する。爪部213の先端側は、軸状部111の端面に形成される逃がし凹溝111bに入り込む。従って、クランプ部材150が爪部213を軸状部111側に確実に引き込みつつ、ヘッド基準面111aとツール基準面212とが確実に面接触する。つまり、ノズルツール45が装着ヘッド44に常に安定した状態で位置決めされる。
また、クランプ状態において、図6に示すように、正圧エアが区画管132,133の間に常時供給され続けている。従って、正圧エアが、エア排出路111kに供給され続ける。ここで、クランプ状態では、ピストン141が下方に移動している。そのため、エア排出路111kの開口部は、ピストン141により閉塞されている。つまり、正圧エアはエア排出路111kを流通しない。
流量計194は、エア排出路111kを流通する流量を計測する。従って、流量計194は、ゼロ又はゼロに近い値を示す。制御部6は、流量計194により計測される流量を受け取り、ピストン141の位置を判定する。流量計194により計測される流量がゼロに近い値であるため、制御部6は、ピストン141が下方に位置していると判定する。言い換えると、制御部6は、流量がゼロに近い値であることにより、クランプ部材150がクランプ状態であると判定できる。
(3−2.部品の吸着及び離脱)
吸着ノズル240が部品を吸着する場合の装着ヘッド44の動作について、図2を参照して説明する。クランプ状態において、制御部6が、X軸スライダ43をX軸方向及びY軸方向に移動させて、吸着ノズル240を部品供給装置3における部品の位置に移動させる。この位置において、図2に示すように、弁193の切替によって、負圧エアが区画管135の内側に供給される。従って、負圧エアが、第一エア接続路111fを通過して、第一エア被接続路214に供給される。その結果、部品が吸着ノズル240に吸着される。
ここで、エアフィルタ161が第一エア接続路111fに介在している。従って、吸着ノズル240から第一エア被接続路214を介して第一エア接続路111fへ流通するエアは、エアフィルタ161を通過する。つまり、エアフィルタ161により、第一エア接続路111fよりさらに奥側への異物の侵入が抑制される。
次に、吸着ノズル240が吸着した部品を離脱する場合の装着ヘッド44の動作について、図2を参照して説明する。クランプ状態において、制御部6が、X軸スライダ43をX軸方向及びY軸方向に移動させて、吸着ノズル240を回路基板Kの所定位置に移動させる。この位置において、図2に示すように、弁193の切替によって、負圧エアの供給が停止される。さらに、弁193の切替によって、正圧エアが区画管135の内側に供給される。従って、正圧エアが、第一エア接続路111fを通過して、第一エア被接続路214に供給される。その結果、部品が吸着ノズル240から確実に離脱する。
(3−3.アンクランプ動作)
装着ヘッド44がノズルツール45をアンクランプする動作について、図8,図9,図11及び図12を参照して説明する。ノズルツール45を自動交換する際に、装着ヘッド44が現在クランプしているノズルツール45がツールステーションに戻される。そこで、制御部6は、ノズルツール45を保持している状態の装着ヘッド44を移動して、装着ヘッド44にノズルツール45をアンクランプさせる。
制御部6は、X軸スライダ43及びY軸スライダ42を駆動して、ノズルツール45をツールステーションにセットする。このとき、クランプ部材150はクランプ位置に位置する。そして、制御部6は弁193を切り替えて、正圧エアが上孔111cと区画管132との間に供給される。従って、正圧エアが、第二室流路111jを通過して、シリンダ111dの第二室(ピストン141の下方領域)に供給される。一方、弁193の切替によって、シリンダ111dの第一室(ピストン141の上方領域)内のエアが、第一室流路111iを通過して外部へ排出される。
そうすると、ピストン141が、図11に示すように、上方へ移動する。ピストン141の上方への移動に伴って、クランプ部材150への径方向外方への押圧力が低下する。このとき、クランプ部材150自身は、径方向内方へ移動する動力を有していない。そのため、図11に示すように、ピストン141が上方へ移動したとしても、クランプ部材150がクランプ位置に位置する状態となることがある。ただし、ピストン141は上方へ移動しているため、クランプ部材150は径方向内方、すなわちアンクランプ位置への移動が許容される状態となる。この状態が、離脱許容状態の一態様としてのアンクランプ許容状態である。なお、離脱許容状態は、ノズルツール45を軸状部111から離脱することを許容する状態であって、アンクランプ許容状態の他に、後述するアンクランプ状態を含む意味である。
ここで、エア排出路111kには、正圧エアが供給され続けている。アンクランプ許容状態では、ピストン141は、上方に移動している。そのため、エア排出路111kの開口部は、ピストン141により閉塞されておらず開放されている。つまり、正圧エアは、エア排出路111kの開口部から排出される。正圧エアは、ピストン141の存在により、小径筒部112の下方の開口からノズルツール45の凹所211の底面に向けて排出される。つまり、ノズルツール45には、軸状部111から離脱させる力が作用する。
この状態で、制御部6は、R軸ハウジング110を上方へ移動させる。そうすると、エア排出路111kから排出される正圧エアの影響により、ノズルツール45が軸状部111から離れる。同時に、クランプ部材150が径方向内方へ移動し、小径筒部112の外周面より内側に位置する。従って、クランプ部材150による爪部213への係止が、確実に解除される。この状態が、離脱許容状態のもう一つの態様としてのアンクランプ状態である。つまり、アンクランプ状態は、クランプ部材150がアンクランプ位置に位置し、ノズルツール45がクランプ状態から下方へ移動する際にクランプ部材150が被クランプ部としての爪部213に係止されない状態である。
クランプ状態からアンクランプ状態に移行して軸状部111とノズルツール45とが離れると、図8及び図9に示すように、係止部113が被係止部としての爪部213に係止する状態になる。そこで、制御部6はR軸ハウジング110を回転し、係止部113と切欠213aとの位相が一致する状態にする。続いて、制御部6は、さらにR軸ハウジング110を上方へ移動することにより、係止部113が切欠213aを通過し、R軸ハウジング110がノズルツール45から完全に離脱する。
また、アンクランプ許容状態及びアンクランプ状態において、エア排出路111kから排出された正圧エアは、軸状部111の端面の中央部から小径筒部112を介して排出し、その後にヘッド基準面111aとツール基準面212との隙間を通過して径方向外方へ流出する。ヘッド基準面111aとツール基準面212との隙間を正圧エアが通過することで、両面に異物の付着を防止できると共に、付着した異物を除去できる。
また、流量計194は、エア排出路111kを流通する流量を計測する。ここで、アンクランプ許容状態又はアンクランプ状態では、ピストン141が上方に移動している。そのため、エア排出路111kの開口部は、ピストン141により閉塞されておらず開放されている。従って、流量計194は、クランプ状態のときと比べて大きな値を示す。制御部6は、流量計194により計測される流量を受け取り、ピストン141の位置を判定する。流量計194により計測される流量が大きな値であるため、制御部6は、ピストン141が上方に位置していると判定する。言い換えると、制御部6は、流量が大きな値であることにより、クランプ部材150が離脱許容状態(アンクランプ状態又はアンクランプ許容状態)であると判定できる。
(3−4.ノズルツール手動交換時の動作)
作業者がノズルツール45を手動交換する際の装着ヘッド44の動作について、図8,図9及び図11を参照して説明する。通常時には、ノズルツール45は自動交換される。装着ヘッド44が異常停止した場合などに、ノズルツール45を装着ヘッド44から取り外したい場合がある。この場合、作業者が、手動によりノズルツール45を装着ヘッド44から取り外す。
まず、異常停止により、装着ヘッド44が停止したとする。ただし、この場合の異常停止は、ノズルツール45の手動交換を許容する種別の異常停止である。この状態で、図8又は図9に示すように、クランプ部材150はクランプ状態からアンクランプ状態となる。つまり、ノズルツール45が、軸状部111の下方に移動する。
若しくは、一時的に、図11に示すように、クランプ部材150がクランプ状態からアンクランプ許容状態となる。クランプ部材150がアンクランプ許容状態のときには、正圧エアがエア排出路111kから排出されているため、直後にはノズルツール45が軸状部111の下方に移動すると共に、クランプ部材150はアンクランプ許容状態からアンクランプ状態となる。つまり、ノズルツール45は、図8及び図9に示す状態となる。
若しくは、シール部材171,172が、摩擦力により第一エア接続路111f又は第二エア接続路111gに付着した状態となることがある。このとき、クランプ部材150はアンクランプ状態ではあるが、ノズルツール45は装着ヘッド44にくっついた状態となる。クランプ部材150がアンクランプ状態のときには、正圧エアがエア排出路111kから排出されているため、直後にはノズルツール45は、軸状部111の下方に移動して図8及び図9に示す状態となる。
つまり、図8及び図9に示すように、クランプ部材150がクランプ状態からアンクランプ状態に移行したときに、ノズルツール45が下方へ移動する際に、被係止部としての爪部213が係止部113に係止される。従って、異常停止のときに、ノズルツール45が装着ヘッド44から落下することはなく、装着ヘッド44に引っ掛けられている状態となる。つまり、この時点までにおいて、作業者がノズルツール45を保持しておく必要はない。続いて、作業者は、ノズルツール45を回転して係止部113と切欠213aとの位相を合わせ、ノズルツール45を装着ヘッド44から取り外す。
(3−5.メンテナンス動作)
作業者は、装着ヘッド44のメンテナンスとして、消耗品であるエアフィルタ161を交換することがある。この場合、作業者は、軸状部111の外周面に配置されているフィルタ固定部162及びエアフィルタ161をR軸ハウジング110から取り外す。そして、作業者は、新しいエアフィルタ161とフィルタ固定部162を軸状部111に取り付ける。従って、作業者は、容易にエアフィルタ161を交換できる。
また、作業者は、装着ヘッド44のメンテナンスとして、消耗品であるシール部材171,172を交換することがある。この場合、作業者は、軸状部111の端面において、軸状部111の外周側からシール部材171,172を取り外す。そして、作業者は、新しいシール部材171,172を軸状部111に取り付ける。シール部材171,172は、軸状部111の端面のうちクランプ部材150及び小径筒部112より外周側に設けられている。そのため、作業者によるシール部材171,172の交換時に、クランプ部材150及び小径筒部112が邪魔になることはない。従って、作業者は、容易にシール部材171,172を交換できる。
(4.ノズルツール300の構成)
上記におけるノズルツール45は、1個の吸着ノズル240を保持する。ノズルツール45は、自動交換可能であるため、装着ヘッド44に着脱可能な他のノズルツール300について、図13を参照して説明する。
図13に示すノズルツール300は、12個の吸着ノズルを保持する12マルチノズルツールである。ノズルツール300は、ツール本体部301、円筒ギヤ302、12個のノズルホルダ303、12個の吸着ノズル304、θ軸ギヤ305、係止片306及びバルブ操作片307を備える。
ツール本体部301は、装着ヘッド44の軸状部111にクランプされる。ここで、図13には図示しないが、ツール本体部301の上面の中央の凹所301aには、ノズルツール45の上面側の凹所211、ツール基準面212、爪部213第一エア被接続路214を備える。さらに、図示しないが、ツール本体部301の上面の中央の凹所301aには、軸状部111の第二エア接続路111gに接続される第二エア被接続路が形成される。
円筒ギヤ302は、凹所301aの外周側に、ツール本体部301に相対回転可能に設けられる。円筒ギヤ302の外周面には、軸長方向に延びるギヤ歯(図示せず)が形成される。円筒ギヤ302の上端面には、θ軸ハウジング190(図3に示す)の凹凸状の環状クラッチ190aに噛み合う凹凸状の環状クラッチ302aが形成される。つまり、環状クラッチ190a,302aが噛み合うことで、円筒ギヤ302はθ軸ハウジング190と共に回転する。
12個のノズルホルダ303は、12個の吸着ノズル304を先端側に保持する。12個のノズルホルダ303は、それぞれ独立して、ツール本体部301に対して上下方向に移動可能に設けられる。さらに、12個のノズルホルダ303は、ツール本体部301に対して自転可能に設けられる。
θ軸ギヤ305は、ノズルホルダ303の上端に設けられ、円筒ギヤ302の外周面のギヤ歯に噛合する。そして、ノズルホルダ303が上下方向に移動する場合、θ軸ギヤ305は、円筒ギヤ302のギヤ歯に噛合した状態を維持する。つまり、θ軸ハウジング190が回転することで、ノズルホルダ303及び吸着ノズル304が自転する。
係止片306は、ノズルホルダ303に設けられ、装着ヘッド44に設けられるZ軸駆動機構(図示せず)によって昇降駆動される。つまり、係止片306の昇降駆動により、吸着ノズル304が昇降する。
バルブ操作片307は、ツール本体部301の内部に設けられるバルブ(図示せず)の切替操作を行う。バルブは、吸着ノズル304へ供給するエアを、装着ヘッド44の第一エア接続路111fを介して供給される正圧エアと、装着ヘッド44の第二エア接続路111gを介して供給される負圧エアとを何れかで切り替える。バルブ操作片307は、装着ヘッド44に設けられるバルブ切替機構(図示せず)に係合することで動作する。つまり、装着ヘッド44において、弁193(図6に示す)によって、第一エア接続路111fには常に正圧エアが供給され、第二エア接続路111gには常に負圧エアが供給される。
ノズルツール300を適用する場合において、クランプ動作、アンクランプ動作、ノズルツール手動交換時の動作及びメンテナンス動作は、上記のノズルツール45の場合と同様である。
ただし、吸着した部品の吸着及び離脱が異なる。クランプ状態において、制御部6が、X軸スライダ43をX軸方向及びY軸方向に移動させて、吸着ノズル304を部品供給装置3における部品の位置に移動させる。この位置において、バルブ操作片307の操作によって、吸着ノズル304へ負圧エアが供給されることにより、部品が吸着ノズル304に吸着される。この場合、負圧エアは、第二エア接続路111gを通過して、第二エア被接続路(図示せず)に供給される。
また、クランプ状態において、制御部6が、X軸スライダ43をX軸方向及びY軸方向に移動させて、吸着ノズル304を回路基板Kの所定位置に移動させる。この位置において、バルブ操作片307の操作によって、吸着ノズル304への負圧エアの供給が遮断される。さらに、バルブ操作片307の操作によって、吸着ノズル304への正圧エアの供給が開始される。その結果、部品が吸着ノズル304から確実に離脱する。この場合、正圧エアは、第一エア接続路111fを通過して、第一エア被接続路(図示せず)に供給される。
(5.実施形態の効果)
(A)本実施形態の効果を以下に説明する。本実施形態の部品実装機1は、装着ヘッド44と、装着ヘッド44に着脱可能に設けられると共に吸着ノズル240,304を保持するノズルツール45,300とを備える。
装着ヘッド44は、回転可能な軸状部111を有するR軸ハウジング110と、R軸ハウジング110の軸状部111の端面の中央部に設けられるクランプ部材150とを備える。R軸ハウジング110の軸状部111は、軸状部111の端面においてクランプ部材150より外周側に開口し、エアを流通するエア接続路111f,111gを備える。ノズルツール45,300は、装着ヘッド44のクランプ部材150に係止される被クランプ部(爪部213に相当)と、エア接続路111f,111gに接続され、エア接続路111f,111gとの間でエアを流通するエア被接続路214とを備える。
上記のとおり、装着ヘッド44のクランプ部材150が、R軸ハウジング110の軸状部111の端面の中央部に設けられる。装着ヘッド44のエア接続路111f,111gが、軸状部111の端面においてクランプ部材150より径方向外方に開口する。従って、作業者がエア接続路111f,111gの開口のメンテナンスを行う際に、クランプ部材150が邪魔にならない。そのため、メンテナンス性が非常に向上する。
また、装着ヘッド44は、エア接続路111f,111gの開口部位に着脱可能に設けられるシール部材171,172を備える。シール部材171,172は、クランプ部材150より径方向外方に位置する。従って、作業者によるシール部材171,172の交換が、容易に行われる。
また、エア接続路111f,111gは、R軸ハウジング110の軸状部111の内部の外周側に形成される。さらに、装着ヘッド44は、R軸ハウジング110の軸状部111の外周面から着脱可能に設けられ、R軸ハウジング110の軸状部111の内部を流通するエア接続路111fに介在するエアフィルタ161を備える。従って、作業者は、エアフィルタ161の交換を非常に容易に行うことができる。
また、R軸ハウジング110は、軸状部111の端面の中央部から突出形成され、内周面から外周面に亘って貫通する複数の窓部112aが形成される筒部(小径筒部112に相当)と、軸状部111の内部の中央部に形成され、筒部(112)の内周側に連通するシリンダ111dとを備える。さらに、装着ヘッド44は、R軸ハウジング110の筒部(112)の内周側及びシリンダ111dの内周側を相対移動可能に設けられるピストン141を備える。クランプ部材150は、複数の窓部112aのそれぞれに設けられ、ピストン141の軸方向移動に伴ってピストン141の外周面に押圧されることにより小径筒部112の外周面から突出する。ノズルツール45は、筒部(112)を収容する凹所211と、凹所211の開口縁に径方向内方に向かって突出形成され、クランプ部材150が筒部(112)の外周面から突出することに伴いノズルツール45をR軸ハウジング110側へ引き込む爪部213とを備える。クランプ機構が上記のような構成を採用する場合、クランプ機構が軸状部111の中央部に配置することが、クランプの安定性に寄与する。そして、クランプ機構が軸状部111の中央部に設けられるため、軸状部111の端面においてクランプ部材150より外周側に開口するエア接続路111f,111gが容易に形成できる。つまり、上記構成により、クランプの安定性が図られると共に、メンテナンス性が非常に向上する。
また、R軸ハウジング110は、筒部(112)の端面に設けられ、R軸ハウジング110の中心位置を検出する基準マーク114を備える。筒部(112)の端面は、ノズルツール45のツール基準面212に接触させる部位ではない。ヘッド基準面111aが筒部(112)より径方向外方に設けられるため、ツール基準面212と接触する面積は、十分確保されている。そこで、基準マーク114が設けられることが、クランプの安定性の低下の要因とはならない。また、筒部(112)の端面は、筒部(112)の中心から一定の距離だけ離れている。従って、基準マーク114による中心検出精度は、十分に確保できる。
また、R軸ハウジング110は、凸状又は凹状の位相基準部(位置基準ピン180に相当)を備え、ノズルツール45は、位相基準部に対応する凹状又は凸状の位相被装着部(位置決め孔216に相当)を備える。これにより、装着ヘッド44とノズルツール45との相対位相が高精度に位置決めされる。なお、上記実施形態においては、位置基準ピン180が凸状とし、位置決め孔216が凹状としたが、凹凸を逆にしてもよい。
また、本実施形態のノズルツール45,300は、部品実装機1に用いられ、装着ヘッド44に着脱可能に設けられると共に、吸着ノズル240,304を保持する。ノズルツール45,300は、装着ヘッド44に対向する面の中央部に設けられ、装着ヘッド44のクランプ部材150に係止される被クランプ部(213)と、装着ヘッド44に対向する面において被クランプ部(213)より外周側に開口し、装着ヘッド44のエア接続路111f,111gに接続され、エア接続路111f,111gとの間でエアを流通するエア被接続路214とを備える。この場合、メンテナンス性が非常に向上する。
(B)装着ヘッド44は、回転可能な軸状部111を有するR軸ハウジング110と、R軸ハウジング110の軸状部111に移動可能に設けられるクランプ部材150であり、ノズルツール45,300を軸状部111に対して移動規制するクランプ状態(図2に示す状態)、及び、ノズルツール45,300を軸状部111から離脱することを許容する離脱許容状態(図8及び図9の状態、図10の状態、並びに、図11の状態)で切り替わるクランプ部材150と、クランプ部材150が離脱許容状態のときにノズルツール45,300に向けて軸状部111から正圧エアを排出し、ノズルツール45,300をR軸ハウジングの軸状部111から離脱させるエア排出路111kとを備える。
これにより、クランプ部材150が離脱許容状態のときに、正圧エアにより、ノズルツール45,300が確実にR軸ハウジング110の軸状部111から離脱する。
また、軸状部111は、端面の外周側に設けられるヘッド基準面111aを備え、ノズルツール45,300は、ヘッド基準面111aに当接するツール基準面212を備える。エア排出路111kが排出した正圧エアは、軸状部111の端面の中央部から排出し、ヘッド基準面111aとツール基準面212との隙間を通過して径方向外方へ流出する。ヘッド基準面111aとツール基準面212との隙間を正圧エアが通過することで、両面に異物の付着を防止できると共に、付着した異物を除去できる。
また、軸状部111は、シリンダ111dを備え、装着ヘッド44は、シリンダ111dの内周側を相対移動可能に設けられ、クランプ部材150を軸状部111に対して移動させるピストン141を備える。エア排出路111kは、軸状部111におけるピストン141の軸方向の移動範囲に開口する。ピストン141は、クランプ部材150をクランプ状態にするときにエア排出路111kの開口部を閉塞し、クランプ部材を離脱許容状態にするときにエア排出路111kの開口部を開放する。ノズルツール45,300が軸状部111から離脱されるときは、クランプ部材150が離脱許容状態のときである。そこで、上記構成により、離脱許容状態のときに、エア排出路111kからエアが排出されるようにできる。また、ピストン141をエア排出路111kのバルブとして兼用することで、構造の簡易化及び部品点数の削減が図られる。
また、部品実装機1は、エア排出路111kの流量に基づいてピストン141の位置を判定するピストン位置判定部(制御部6に相当)を備える。流量がゼロに近い値のときには、ピストン141が下方に移動している状態になる。一方、流量が大きな値のときには、ピストン141が上方に移動している状態になる。つまり、エア排出路111kの流量を用いることにより、ピストン141の位置が正確に把握される。
また、軸状部111は、軸状部111の内部の中央部に形成されるシリンダ111dを備え、装着ヘッド44は、軸状部111の中央部にシリンダ111dの内周側を相対移動可能に設けられ、クランプ部材150を軸状部111に対して移動させるピストン141を備える。エア排出路111kは、軸状部111におけるピストン141の軸方向の移動範囲に開口する。エア排出路111kが供給した正圧エアは、軸状部111の端面の中央部に設けられる開口から、ヘッド基準面111aとツール基準面212との隙間を通過して径方向外方へ流出する。つまり、中央のシリンダ111dを利用することで、正圧エアが中央部から供給される。
また、R軸ハウジング110は、軸状部111の端面の中央部から突出形成され、内周面から外周面に亘って貫通する複数の窓部112aが形成される筒部(112)と、軸状部111の内部の中央部に形成され、筒部(112)の内周側に連通するシリンダ11dとを備える。装着ヘッド44は、R軸ハウジング110の筒部(112)の内周側及びシリンダ111dの内周側を相対移動可能に設けられるピストン141を備える。クランプ部材150は、複数の窓部112aのそれぞれに設けられ、ピストン141の軸方向移動に伴ってピストン141の外周面に押圧されることにより筒部(112)の外周面から突出する。ノズルツール45,300は、筒部(112)を収容する凹所211と、凹所211の開口縁に径方向内方に向かって突出形成され、クランプ部材150が筒部(112)の外周面から突出することに伴いノズルツール45,300をR軸ハウジング110側へ引き込む爪部213とを備える。
さらに、クランプ部材150は、クランプ位置にて移動規制されるクランプ状態(図2の状態)、離脱許容状態としてクランプ位置に位置し且つクランプ位置からアンクランプ位置への移動が許容されるアンクランプ許容状態(図11の状態)、及び、アンクランプ位置に位置するアンクランプ状態(図8及び図9の状態)で切り替わる。エア排出路111kは、クランプ部材150がアンクランプ許容状態のときにノズルツール45,300に向けて正圧エアを排出する。この構成により、クランプ部材150がアンクランプ許容状態のときに、確実に、ノズルツール45,300が正圧エアにより軸状部111から離脱される。
(C)装着ヘッド44は、R軸ハウジング110と、R軸ハウジング110に移動可能に設けられるクランプ部材150を備える。クランプ部材150は、ノズルツール45,300をR軸ハウジング110に対して移動規制するクランプ状態、及び、ノズルツール45,300をR軸ハウジング110から離脱することを許容すると共にノズルツール45,300がクランプ状態から下方へ移動する際にノズルツール45,300に係止されないアンクランプ状態で切り替わる。
R軸ハウジング110は、クランプ部材150がクランプ状態からアンクランプ状態に移行したときに、ノズルツール45,300が下方へ移動する際にノズルツール45,300を係止する係止部113を備える。従って、クランプ部材150がノズルツール45,300を引っ掛けることができない場合において、クランプ部材150とは異なる係止部113を用いて、ノズルツール45,300が装着ヘッド44から脱落することを防止できる。
また、R軸ハウジング110は、筒部(112)を備える。クランプ部材150は、クランプ状態において筒部(112)の外周面から径方向外方に突出するクランプ位置に位置し、アンクランプ状態において筒部(112)の外周面より径方向内方のアンクランプ位置に位置する。ノズルツール45,300、筒部(112)を収容する凹所211と、凹所211の開口縁に径方向内方に向かって突出形成され、クランプ部材150がクランプ位置に位置するときにノズルツール45,300をR軸ハウジング110に当接させる環状の爪部213とを備える。係止部113は、筒部(112)の外周面から径方向外方に突出し、且つ、爪部213に係止する。
つまり、爪部213は、クランプ部材150に係止する部位として用いられることに加えて、係止部113に係止する部位としても用いられる。このように、爪部213が、クランプ機能及び脱落防止機能の兼用で用いられる。従って、構造が非常に容易にできる。
また、係止部113は、クランプ部材150とは異なる位相に形成される。さらに、爪部213において、クランプ部材150に当接する位相と係止部113に係止される位相とは異なる。これにより、筒部(112)において、窓部112aの形成位置と係止部113の形成位置とが、異なる位相となる。従って、筒部(112)の軸方向長さが短くできる。
また、爪部213は、内周縁に係止部113を通過可能な切欠213aを備える。係止部113は、爪部213の切欠213a以外の部位に係止し、クランプ部材150は、クランプ状態において爪部213の切欠213a以外の部位に当接する。これにより、係止部113の突出量及びクランプ位置に位置するクランプ部材150の突出量が少なくても、確実に、係止部113による係止、及び、クランプ部材150による係止が実現できる。
また、本実施形態のノズルツール45,300は、部品実装機1に用いられ、装着ヘッド44に着脱可能に設けられると共に、吸着ノズル240,304を保持する。ここで、ノズルツール45,300が装着ヘッド44のクランプ部材150との係止によって装着ヘッド44に対して移動規制される状態がクランプ状態とし、且つ、ノズルツール45,300が装着ヘッド44から離脱することを許容されると共にノズルツール45,300がクランプ部材150に係止されない状態がアンクランプ状態とする。
ノズルツール45,300は、クランプ状態においてクランプ部材150に係止され、且つ、アンクランプ状態においてクランプ部材150に係止されない被クランプ部(213)と、クランプ部材150がクランプ状態からアンクランプ状態に移行したときに、ノズルツール45,300が下方へ移動する際に装着ヘッド44の係止部113に係止される被係止部(213)とを備える。
クランプ部材150がノズルツール45,300を引っ掛けることができない場合において、クランプ部材150とは異なる係止部113を用いて、ノズルツール45,300が装着ヘッド44から脱落することを防止できる。
また、クランプ部材150は、クランプ状態において装着ヘッド44の筒部(小径筒部112に相当)の外周面から径方向外方に突出するクランプ位置に位置し、アンクランプ状態において筒部(112)の外周面より径方向内方のアンクランプ位置に位置する。ノズルツール45,300は、筒部(112)を収容する凹所211と、凹所211の開口縁に径方向内方に向かって突出形成され、クランプ部材150がクランプ位置に位置するときにノズルツール45,300をR軸ハウジング110に当接させる環状の爪部213とを備える。被クランプ部(213)及び被係止部(213)は、爪部213である。
つまり、爪部213は、クランプ部材150に係止する被クランプ部として用いられることに加えて、係止部113に係止する被係止部としても用いられる。このように、爪部213が、クランプ機能及び脱落防止機能の兼用で用いられる。従って、構造が非常に容易にできる。