上述したように、特許文献1に記載の締結構造によれば、SBWモータ(アクチュエータ)の盗難防止とメンテナンス性とを両立することができる。しかしながら、この締結構造では、特殊な専用の締結具が必要となるため、例えば、コストの上昇や、質量の増加等を生じる。また、車両製造時における取付け工数も増大する。
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、自動変速機のシフトバイワイヤ機構を構成するアクチュエータとシフトシャフトとの嵌合構造であって、新規部品を追加することなく(すなわち、新規部品の追加による質量増大やコスト上昇を生じることなく)、かつ、組付け作業性を悪化させることなく、盗難防止性能を向上させることが可能なアクチュエータとシフトシャフトとの嵌合構造を提供することを目的とする。
本発明に係るアクチュエータとシフトシャフトとの嵌合構造は、自動変速機のシフトバイワイヤ機構を構成するアクチュエータとシフトシャフトとの嵌合構造であって、アクチュエータが、内周面に内スプラインが形成された外軸を有し、シフトシャフトの端部には、外周面に外スプラインが形成されており、シフトシャフトの外周面に形成された外スプラインの軸方向先端部、及び、外軸の内周面に形成された内スプラインの軸方向先端部のうち、少なくともいずれか一方の先端部にはチャンファが形成されており、上記内スプラインには、切欠き部が、外軸の内周面の周方向に沿って全周にわたって形成されており、上記外スプラインには、内スプラインを構成する軸方向先端側のスプラインの軸方向の長さよりも軸方向の長さが長い切欠き部が、シフトシャフトの外周面の周方向に沿って全周にわたって形成されており、内スプラインに形成された切欠き部の軸方向の長さが、外スプラインを構成する軸方向先端側のスプラインの軸方向の長さよりも長いことを特徴とする。
本発明に係るアクチュエータとシフトシャフトとの嵌合構造によれば、シフトシャフトの外周面に形成された外スプラインの先端部、及び、外軸の内周面に形成された内スプラインの先端部のうち、少なくともいずれか一方の先端部にチャンファが形成されているため、内スプラインと外スプラインとが嵌合される際には、チャンファによって対向するスプラインが掻き分けられる(押し分けられる)ことにより、双方のスプラインの位相が合い、スムーズに嵌合することができる。
一方、内スプラインには、外スプラインを構成する軸方向先端側のスプラインの軸方向の長さよりも長い切欠き部が、外軸の内周面の周方向に沿って全周にわたって形成されており、外スプラインには、内スプラインを構成する軸方向先端側のスプラインの軸方向の長さよりも長い切欠き部が、シフトシャフトの外周面の周方向に沿って全周にわたって形成されている。そのため、シフトシャフトからアクチュエータを取り外す(軸方向に引き抜く)場合には、内スプライン及び外スプラインそれぞれの位相を一致させたまま引き抜かないと、スプライン同士が引っ掛かり(干渉し)、シフトシャフトからアクチュエータを取り外すことができなくなる。より具体的には、取り外す際に、内スプラインに形成された切欠き部に、外スプラインを構成する軸方向先端側のスプラインが位置し、外スプラインに形成された切欠き部に、内スプラインを構成する軸方向先端側のスプラインが位置するときに、スプライン嵌合が一時的に解除される。よって、ここで双方のスプラインの位相がずれると、外スプラインを構成する軸方向先端側のスプラインの後端部と、内スプラインを構成する軸方向先端側のスプラインの後端部とが干渉し、シフトシャフトからアクチュエータを取り外すことが困難になる。その結果、新規部品を追加することなく(すなわち、新規部品の追加による質量増大やコスト上昇を生じることなく)、かつ、組付け作業性を悪化させることなく、盗難防止性能を向上させることが可能となる。
なお、例えばメンテナンス時等において、内スプライン及び外スプラインそれぞれの位相を一致させたまま軸方向に引き抜くことができれば、スプライン同士が引っ掛かることなく(干渉することなく)、シフトシャフトからアクチュエータを取り外すことができる。
本発明に係るシフト制御装置では、上記外スプラインを構成する軸方向先端側のスプライン、及び軸方向基端側のスプラインそれぞれの位相が同一であり、上記内スプラインを構成する軸方向先端側のスプライン、及び軸方向基端側のスプラインそれぞれの位相が同一であることが好ましい。
このようにすれば、シフトシャフトにアクチュエータを組み付ける際の作業性を良好に保つことができる。また、外スプライン及び内スプラインの加工(製造)も切欠き部の追加工を加えるだけでよく、比較的容易なため、工数やコストなどの観点からも優位性のある構造とすることができる。
本発明に係るアクチュエータとシフトシャフトとの嵌合構造は、自動変速機のシフトバイワイヤ機構を構成するアクチュエータとシフトシャフトとの嵌合構造であって、アクチュエータが、内周面に内スプラインが形成された外軸を有し、シフトシャフトの端部には、外周面に外スプラインが形成されており、シフトシャフトの外周面に形成された外スプラインには、軸方向先端部にチャンファが形成されており、外軸の内周面に形成された内スプラインには、外スプラインの軸方向の長さよりも軸方向の長さが長い切欠き部が、外軸の内周面の周方向に沿って全周にわたって形成されていることを特徴とする。
本発明に係るアクチュエータとシフトシャフトとの嵌合構造によれば、シフトシャフトの外周面に形成された外スプラインの先端部にチャンファが形成されているため、アクチュエータが有する外軸の内周面に形成された内スプラインと、外スプラインとが嵌合される際には、チャンファによって対向する内スプラインが掻き分けられる(押し分けられる)ことにより、双方のスプラインの位相が合い、スムーズに嵌合することができる。一方、内スプラインには、外スプラインの軸方向の長さよりも長い切欠き部が、外軸の内周面の周方向に沿って全周にわたって形成されている。そのため、シフトシャフトからアクチュエータを取り外す(軸方向に引き抜く)際に、内スプラインに形成された切欠き部に、外スプラインが位置するときに、スプライン嵌合が一時的に解除される。よって、ここで双方のスプラインの位相がずれると、外スプラインの後端部と、内スプラインを構成する軸方向先端側のスプラインの後端部とが干渉し、シフトシャフトからアクチュエータを取り外すことが困難になる。その結果、新規部品を追加することなく、かつ、組付け作業性を悪化させることなく、盗難防止性能を向上させることが可能となる。
本発明に係るアクチュエータとシフトシャフトとの嵌合構造は、自動変速機のシフトバイワイヤ機構を構成するアクチュエータとシフトシャフトとの嵌合構造であって、アクチュエータが、内周面に内スプラインが形成された外軸を有し、シフトシャフトの端部には、外周面に外スプラインが形成されており、外軸の内周面に形成された内スプラインには、軸方向先端部にチャンファが形成されており、シフトシャフトの外周面に形成された外スプラインには、内スプラインの軸方向の長さよりも軸方向の長さが長い切欠き部が、シフトシャフトの外周面の周方向に沿って全周にわたって形成されていることを特徴とする。
本発明に係るアクチュエータとシフトシャフトとの嵌合構造によれば、外軸の内周面に形成された内スプラインの先端部にチャンファが形成されているため、内スプラインと、シフトシャフトの外周面に形成された外スプラインとが嵌合される際には、チャンファによって対向する外スプラインが掻き分けられる(押し分けられる)ことにより、双方のスプラインの位相が合い、スムーズに嵌合することができる。一方、外スプラインには、内スプラインの軸方向の長さよりも長い切欠き部が、シフトシャフトの外周面の周方向に沿って全周にわたって形成されている。そのため、シフトシャフトからアクチュエータを取り外す(軸方向に引き抜く)際に、外スプラインに形成された切欠き部に、内スプラインが位置するときに、スプライン嵌合が一時的に解除される。よって、ここで双方のスプラインの位相がずれると、外スプラインを構成する軸方向先端側のスプラインの後端部と、内スプラインの後端部とが干渉し、シフトシャフトからアクチュエータを取り外すことが困難になる。その結果、新規部品を追加することなく、かつ、組付け作業性を悪化させることなく、盗難防止性能を向上させることが可能となる。
本発明に係るアクチュエータとシフトシャフトとの嵌合構造は、自動変速機のシフトバイワイヤ機構を構成するアクチュエータとシフトシャフトとの嵌合構造であって、アクチュエータが、外周面に外スプラインが形成された内軸を有し、シフトシャフトが、端部に、内周面に内スプラインが形成された外軸を有し、内軸の外周面に形成された外スプラインの軸方向先端部、及び、外軸の内周面に形成された内スプラインの軸方向先端部のうち、少なくともいずれか一方の先端部にはチャンファが形成されており、上記内スプラインには、切欠き部が、外軸の内周面の周方向に沿って全周にわたって形成されており、上記外スプラインには、内スプラインを構成する軸方向先端側のスプラインの軸方向の長さよりも軸方向の長さが長い切欠き部が、内軸の外周面の周方向に沿って全周にわたって形成されており、内スプラインに形成された切欠き部の軸方向の長さが、外スプラインを構成する軸方向先端側のスプラインの軸方向の長さよりも長いことを特徴とする。
本発明に係るアクチュエータとシフトシャフトとの嵌合構造によれば、内軸の外周面に形成された外スプラインの先端部、及び、外軸の内周面に形成された内スプラインの先端部のうち、少なくともいずれか一方の先端部にチャンファが形成されているため、外スプラインと内スプラインとが嵌合される際には、チャンファによって対向するスプラインが掻き分けられる(押し分けられる)ことにより、双方のスプラインの位相が合い、スムーズに嵌合することができる。
一方、内スプラインには、外スプラインを構成する軸方向先端側のスプラインの軸方向の長さよりも長い切欠き部が、外軸の内周面の周方向に沿って全周にわたって形成されており、外スプラインには、内スプラインを構成する軸方向先端側のスプラインの軸方向の長さよりも長い切欠き部が、内軸の外周面の周方向に沿って全周にわたって形成されている。そのため、シフトシャフトからアクチュエータを取り外す(軸方向に引き抜く)場合には、内スプライン及び外スプラインそれぞれの位相を一致させたまま引き抜かないと、スプライン同士が引っ掛かり(干渉し)、シフトシャフトからアクチュエータを取り外すことができなくなる。より具体的には、取り外す際に、内スプラインに形成された切欠き部に、外スプラインを構成する軸方向先端側のスプラインが位置し、外スプラインに形成された切欠き部に、内スプラインを構成する軸方向先端側のスプラインが位置するときに、スプライン嵌合が一時的に解除される。よって、ここで双方のスプラインの位相がずれると、外スプラインを構成する先端側のスプラインの後端部と、内スプラインを構成する先端側のスプラインの後端部とが干渉し、シフトシャフトからアクチュエータを取り外すことが困難になる。その結果、新規部品を追加することなく、かつ、組付け作業性を悪化させることなく、盗難防止性能を向上させることが可能となる。
本発明に係るアクチュエータとシフトシャフトとの嵌合構造では、上記外スプラインを構成する軸方向先端側のスプライン、及び軸方向基端側のスプラインそれぞれの位相が同一であり、上記内スプラインを構成する軸方向先端側のスプライン、及び軸方向基端側のスプラインそれぞれの位相が同一であることが好ましい。
このようにすれば、シフトシャフトにアクチュエータを組み付ける際の作業性を良好に保つことができる。また、外スプライン及び内スプラインの加工(製造)も切欠き部の追加工を加えるだけでよく、比較的容易なため、工数やコストなどの観点からも優位性のある構造とすることができる。
本発明に係るアクチュエータとシフトシャフトとの嵌合構造は、自動変速機のシフトバイワイヤ機構を構成するアクチュエータとシフトシャフトとの嵌合構造であって、アクチュエータが、外周面に外スプラインが形成された内軸を有し、シフトシャフトが、端部に、内周面に内スプラインが形成された外軸を有し、内軸の外周面に形成された外スプラインには、軸方向先端部にチャンファが形成されており、外軸の内周面に形成された内スプラインには、外スプラインの軸方向の長さよりも軸方向の長さが長い切欠き部が、外軸の内周面の周方向に沿って全周にわたって形成されていることを特徴とする。
本発明に係るアクチュエータとシフトシャフトとの嵌合構造によれば、内軸の外周面に形成された外スプラインの先端部にチャンファが形成されているため、シフトシャフトが有する外軸の内周面に形成された内スプラインと、外スプラインとが嵌合される際には、チャンファによって対向する内スプラインが掻き分けられる(押し分けられる)ことにより、双方のスプラインの位相が合い、スムーズに嵌合することができる。一方、内スプラインには、外スプラインの軸方向の長さよりも長い切欠き部が外軸の内周面の周方向に沿って、全周にわたって形成されている。そのため、シフトシャフトからアクチュエータを取り外す(軸方向に引き抜く)際に、内スプラインに形成された切欠き部に、外スプラインが位置するときに、スプライン嵌合が一時的に解除される。よって、ここで双方のスプラインの位相がずれると、外スプライン後端部と、内スプラインを構成する軸方向先端側のスプラインの後端部とが干渉し、シフトシャフトからアクチュエータを取り外すことが困難になる。その結果、新規部品を追加することなく、かつ、組付け作業性を悪化させることなく、盗難防止性能を向上させることが可能となる。
本発明に係るアクチュエータとシフトシャフトとの嵌合構造は、自動変速機のシフトバイワイヤ機構を構成するアクチュエータとシフトシャフトとの嵌合構造であって、アクチュエータが、外周面に外スプラインが形成された内軸を有し、シフトシャフトが、端部に、内周面に内スプラインが形成された外軸を有し、外軸の内周面に形成された内スプラインには、軸方向先端部にチャンファが形成されており、内軸の外周面に形成された外スプラインには、内スプラインの軸方向の長さよりも軸方向の長さが長い切欠き部が、内軸の外周面の周方向に沿って全周にわたって形成されていることを特徴とする。
本発明に係るアクチュエータとシフトシャフトとの嵌合構造によれば、外軸の内周面に形成された内スプラインの先端部にチャンファが形成されているため、内スプラインと、内軸の外周面に形成された外スプラインとが嵌合される際には、チャンファによって対向する外スプラインが掻き分けられる(押し分けられる)ことにより、双方のスプラインの位相が合い、スムーズに嵌合することができる。一方、外スプラインには、内スプラインの軸方向の長さよりも長い切欠き部が、内軸の外周面の周方向に沿って全周にわたって形成されている。そのため、シフトシャフトからアクチュエータを取り外す(軸方向に引き抜く)際に、外スプラインに形成された切欠き部に、内スプラインが位置するときに、スプライン嵌合が一時的に解除される。よって、ここで双方のスプラインの位相がずれると、外スプラインを構成する軸方向先端側のスプラインの後端部と、内スプラインの後端部とが干渉し、シフトシャフトからアクチュエータを取り外すことが困難になる。その結果、新規部品を追加することなく、かつ、組付け作業性を悪化させることなく、盗難防止性能を向上させることが可能となる。
本発明によれば、新規部品を追加することなく(すなわち、新規部品の追加による質量増大やコスト上昇を生じることなく)、かつ、組付け作業性を悪化させることなく、盗難防止性能を向上させることが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図中、同一又は相当部分には同一符号を用いることとする。また、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
まず、図1〜3を併せて用いて、実施形態に係る嵌合構造によってシフトシャフト11と嵌合されたシフトバイワイヤ・アクチュエータ(以下「SBWアクチュエータ」という)20を備える自動変速機のシフトバイワイヤ機構及びパーキングロック機構の構成について説明する。図1は、自動変速機のシフトバイワイヤ機構を構成するSBWアクチュエータ20及びシフトシャフト11等のパーツの組み付け関係を説明するための斜視図である。図2及び図3は、自動変速機のパーキング機構の構成を示す図である。
シフトバイワイヤ(SBW)機構は、運転者が選択したシフトレンジ(シフトレバーの位置)をスイッチ等によって検出し、その検出結果に基づいてSBWアクチュエータ20を駆動することにより、自動変速機のシフトレンジを電気的に切り替える機構である。SBWアクチュエータ20は、例えば、自動変速機ケース(メインケース)100の側面に、4本のボルトによって取り付けられる。SBWアクチュエータ20は、シフトバイワイヤ・コントロールユニット(以下「SBW−CU」という)(図示省略)と電気的に接続され、該SBW−CUからの制御信号(駆動信号)に応じて、自動変速機のシフトレンジを切り替える。なお、SBW−CUとSBWアクチュエータ20とは、一体的に構成されていてもよい。
SBWアクチュエータ20としては、例えば、電動モータ等が好適に用いられる。ここで、自動変速機は、例えば、5つのシフトレンジ、すなわち、駐車レンジ(パーキング(P)レンジ)、後進走行レンジ(リバース(R)レンジ)、中立レンジ(ニュートラル(N)レンジ)、前進走行レンジ(ドライブ(D)レンジ)、及び、手動レンジ(マニュアル(M)レンジ)を取り得るように構成されている。
自動変速機のパーキング機構は、パーキング(P)レンジが選択されたときに、車輪が回転しないよう自動変速機内部で回転をロックする機構である。SBW−CUにより駆動されるSBWアクチュエータ20の出力軸には、スプライン嵌合されたシフトシャフト11を介して、ディテンドプレート(マニュアルプレート)130が取り付けられている。なお、ディテンドプレート130は、ストレートピン131によってシフトシャフト11に固定され、一体化されている。ディテンドプレート130には、パーキングロッド140が軸方向に進退可能に接続されている。一方、自動変速機の出力軸には、パーキングギヤ160がスプライン嵌合されている。また、該パーキングギヤ160と噛み合うことができるように、パーキングポール150が揺動可能に設けられている。
パーキング(P)レンジが選択されたときには、SBWアクチュエータ20が回動されることにより、シフトシャフト11が回転して、ディテンドプレート130が揺動し、パーキングロッド140が軸方向に進出する。そして、該パーキングロッド140によってパーキングポール150が背面から押されて揺動し、パーキングギヤ160と噛み合う。これにより、自動変速機の回転がロックされる。
ここで、上述したパーキング機構では、自動変速機ケース100に取り付けられたSBWアクチュエータ20が取り外されると、自動変速機内のシフトシャフト11を工具等で回すことにより、パーキング状態を解除することができる。すなわち、車両を移動可能にすることができる。そこで、本実施形態では、車両の盗難防止性能を向上させるために、SBWアクチュエータ20とシフトシャフト11との嵌合部に、組付け作業性を悪化させることなく、SBWアクチュエータ20を取り外し難くすることのできる嵌合構造(スプライン嵌合構造)を採用している。
続いて、図4〜11を併せて用いて、SBWアクチュエータ20とシフトシャフト11との嵌合構造(スプライン嵌合構造)について説明する。
シフトシャフト(内軸)11の端部には、外周面に複数のスプライン歯(外歯スプライン)が周方向に等間隔で形成されることにより、外(雄)スプライン12が形成されている。このシフトシャフト11の外周面に形成された外スプライン12には、切欠き部15が、シフトシャフト11の外周面の周方向に沿って全周にわたって形成されている。この切欠き部15は、軸方向の長さL15が、後述するSBWアクチュエータ20に形成された内(雌)スプライン22を構成する軸方向先端側のスプライン23の軸方向の長さL23よりも長くなるように形成されている(図5等参照)。
上述したように切欠かれる(スプライン歯が取り除かれる)ことにより、シフトシャフト11の外周面に形成された外スプライン12は、切欠き部15を挟んで、軸方向先端側に設けられたスプライン13と、軸方向基端側に設けられたスプライン14とに2分割されている。なお、外スプライン12を構成する軸方向先端側のスプライン13、及び軸方向基端側のスプライン14それぞれの位相は同一とされている。
外スプライン12の軸方向先端部、すなわち、軸方向先端側のスプライン13の先端部にはエッジが面取りされたチャンファ13aが形成されている。なお、先端側スプライン13の後端部、及び、基端側スプライン14の先端部並びに後端部には、チャンファは形成されていない。
一方、SBWアクチュエータ20には、その駆動軸の先端に筒状の外軸(筒軸)21が取り付けられている。外軸21の内周面には、複数のスプライン歯(内歯スプライン)が周方向に等間隔で形成されることにより、内(雌)スプライン22が形成されている。この外軸21の内周面に形成された内スプライン22には、切欠き部25が、外軸21の内周面の周方向に沿って全周にわたって形成されている。この切欠き部25は、軸方向の長さL25が、上述したシフトシャフト11に形成された外スプライン12を構成する軸方向先端側のスプライン13の軸方向の長さL13よりも長くなるように形成されている(図5等参照)。なお、外スプライン12の全長(先端側スプライン13の先端から基端側スプライン14の後端までの長さ)と、内スプライン22の全長(先端側スプライン23の先端から基端側スプライン24の後端までの長さ)は略同一とされている。
上述したように切欠かれる(スプライン歯が取り除かれる)ことにより、外軸21の内周面に形成された内スプライン22は、切欠き部25を挟んで、軸方向先端側に設けられたスプライン23と軸方向基端側に設けられたスプライン24とに2分割されている。なお、内スプライン22を構成する軸方向先端側のスプライン23、及び軸方向基端側のスプライン24それぞれの位相は同一とされている。また、先端側スプライン23、及び基端側スプライン14のいずれにもチャンファは形成されていない。
上述したシフトシャフト11側のスプライン12とSBWアクチュエータ20側のスプライン22とがスプライン嵌合するときには、シフトシャフト11の先端側スプライン13とSBWアクチュエータ20の基端側スプライン24とがスプライン嵌合するとともに、シフシャフト11の基端側スプライン14とSBWアクチュエータ20の先端側スプライン23とがスプライン嵌合する。これにより、SBWアクチュエータ20の駆動力がシフトシャフト11に伝達可能となる(図7参照)。
次に、図4〜図11を併せて参照しつつ、SBWアクチュエータ20をシフトシャフト11に嵌合させるとき、及び、SBWアクチュエータ20をシフトシャフト11から引き抜くときにおける、SBWアクチュエータ20とシフトシャフト11との嵌合構造の働きについて説明する。
まず、SBWアクチュエータ20を変速機ケース100に取り付ける際には、図4に示されるように、SBWアクチュエータ20の外軸21とシフトシャフト11とを同軸上に対向させた後、SBWアクチュエータ20の外軸21をシフトシャフト11に嵌め込むことにより、SBWアクチュエータ20が有する外軸21の内周面に形成された内スプライン22を、シフトシャフト11の外周面に形成された外スプライン12に嵌合させる。
このときには、シフトシャフト11の先端側スプライン13の先端部にチャンファ13aが形成されているため、図5に示されるように、チャンファ13aによって、対向するSBWアクチュエータ20側の内スプライン22が掻き分けられる(押し分けられる)ことにより、SBWアクチュエータ20側の内スプライン22が回転して双方のスプラインの位相が合う。そのため、SBWアクチュエータ20側のスプライン22とシフトシャフト11側のスプライン12との初期位相がずれていたとしても、スムーズに嵌合することができる。
シフトシャフト11側の外スプライン12とSBWアクチュエータ20側の内スプライン22とが完全に嵌合(スプライン嵌合)した状態を図6〜8に示す。図6〜8に示されるように、完全に嵌合した状態では、シフトシャフト11(外スプライン12)の先端側スプライン13とSBWアクチュエータ20(内スプライン22)の基端側スプライン24とがスプライン嵌合するとともに、シフシャフト11の基端側スプライン14とSBWアクチュエータ20の先端側スプライン23とがスプライン嵌合している。この状態となることにより、SBWアクチュエータ20の駆動力がシフトシャフト11に伝達可能となる。
一方、シフトシャフト11に嵌合しているSBWアクチュエータ20を取り外す場合には、SBWアクチュエータ20の外軸21をシフトシャフト11から軸方向に引き抜く必要がある。ここで、上述したように、シフトシャフト11の外スプライン12に形成された切欠き部15は、軸方向の長さが、SBWアクチュエータ20の外軸21に形成された内スプライン22を構成する先端側スプライン23の軸方向の長さよりも長く、かつ、SBWアクチュエータ20の外軸21の内スプライン22に形成された切欠き部25は、軸方向の長さが、シフトシャフト11に形成された外スプライン12を構成する先端側スプライン13の軸方向の長さよりも長い。
そのため、シフトシャフト11からSBWアクチュエータ20を取り外す(軸方向に引き抜く)際に、外スプライン12に形成された切欠き部15に、内スプライン22を構成する先端側スプライン23が位置するとき(すなわち、内スプライン22の切欠き部25には外スプライン12を構成する先端側スプライン13が位置する)に、スプライン嵌合が一時的に解除される。よって、ここで双方のスプラインの位相がずれると、図10に示されるように、シフトシャフト11側の外スプライン12を構成する先端側スプライン13の後端部と、SBWアクチュエータ20側の内スプライン22を構成する先端側スプライン23の後端部とが干渉し、シフトシャフト11からSBWアクチュエータ20を取り外すことができなくなる。
以上、説明したように、本実施形態によれば、シフトシャフト11の外周面に形成された外スプライン12(先端側スプライン13)の先端部にチャンファ13aが形成されているため、SBWアクチュエータ20が有する外軸21の内周面に形成された内スプライン22と、外スプライン12とが嵌合される際には、チャンファ13aによって対向する内スプライン22が掻き分けられる(押し分けられる)ことにより、内スプライン22(外筒21)が回転して位相が合い、スムーズに嵌合することができる。
一方、内スプライン22には、外スプライン12を構成する先端側スプライン13の軸方向の長さよりも長い切欠き部25が、外軸21の内周面の周方向に沿って全周にわたって形成されており、外スプライン12には、内スプライン22を構成する先端側スプライン23の軸方向の長さよりも長い切欠き部15が、シフトシャフト11の外周面の周方向に沿って全周にわたって形成されている。そのため、シフトシャフト11からSBWアクチュエータ20を取り外す(軸方向に引き抜く)場合には、内スプライン22及び外スプライン12それぞれの位相を一致させたまま引き抜かないと、スプライン同士が引っ掛かり(干渉し)、シフトシャフト11からSBWアクチュエータ20を取り外すことができなくなる。より具体的には、取り外す際に、内スプライン22に形成された切欠き部25に、外スプライン12を構成する先端側スプライン13が位置し、外スプライン12に形成された切欠き部15に、内スプライン22を構成する先端側スプライン23が位置するときに、スプライン嵌合が一時的に解除される。よって、ここで双方のスプラインの位相がずれると、先端側スプライン13の後端部と先端側スプライン23の後端部とが干渉し、シフトシャフト11からSBWアクチュエータ20を取り外すことが困難になる。その結果、新規部品を追加することなく(すなわち、新規部品の追加による質量増大やコスト上昇を生じることなく)、かつ、組付け作業性を悪化させることなく、車両の盗難防止性能を向上させることが可能となる。
なお、例えばメンテナンス時等において、内スプライン22及び外スプライン12それぞれの位相を一致させたまま軸方向に引き抜くことができれば、スプライン同士が引っ掛かることなく(干渉することなく)、シフトシャフト11からアクチュエータ20を取り外すことができる。
また、本実施形態によれば、外スプライン12を構成する先端側スプライン13、及び基端側スプライン14それぞれの位相が同一とされ、かつ、内スプライン22を構成する先端側のスプライン23、及び基端側スプライン24それぞれの位相が同一とされている。そのため、シフトシャフト11にSBWアクチュエータ20を組み付ける際の作業性を良好に保つことができる。また、外スプライン12及び内スプライン22の加工(製造)も切欠き部15,25の追加工を追加するだけでよく、比較的容易なため、工数やコストなどの観点からも優位性のある構造とすることができる。
(第1変形例)
上述した実施形態では、シフトシャフト11の外周面に形成された外スプライン12が、切欠き部15を挟んで、軸方向先端側に設けられたスプライン13と、軸方向基端側に設けられたスプライン14とに2分割されていたが、図12に示されるように、外スプライン12Bが先端側スプライン13のみを有する構造、すなわち、基端側スプライン14がない構造とすることもできる。ここで、図12は、第1変形例に係るSBWアクチュエータ20とシフトシャフト11との嵌合構造(嵌合前)を示した図である。なお、図12において上記実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号が付されている。
この場合、シフトシャフト11側の外スプライン12BとSBWアクチュエータ20側の内スプライン22とがスプライン嵌合するときには、シフトシャフト11(外スプライン12B)の先端側スプライン13とSBWアクチュエータ20(内スプライン22)の基端側スプライン24とがスプライン嵌合する。これにより、SBWアクチュエータ20の駆動力がシフトシャフト11に伝達可能となる。なお、その他の構成は、上述した実施形態と同一または同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
本変形例によれば、シフトシャフト11の外周面に形成された外スプライン12B(先端側スプライン13)の先端部にチャンファ13aが形成されているため、SBWアクチュエータ20が有する外軸21の内周面に形成された内スプライン22と、外スプライン12B(先端側スプライン13)とが嵌合される際には、チャンファ13aによって対向する内スプライン22が掻き分けられる(押し分けられる)ことにより、内スプライン22(外筒21)が回転して位相が合い、スムーズに嵌合することができる。一方、内スプライン22には、外スプライン12B(先端側スプライン13)の軸方向の長さよりも長い切欠き部25が、外軸21の内周面の周方向に沿って全周にわたって形成されている。そのため、シフトシャフト11からSBWアクチュエータ20を取り外す(軸方向に引き抜く)際に、内スプライン22に形成された切欠き部25に、外スプライン12B(先端側スプライン13)が位置するときに、スプライン嵌合が一時的に解除される。よって、ここで双方のスプラインの位相がずれると、外スプライン12B(先端側スプライン13)の後端部と、内スプライン22を構成する軸方向先端側のスプライン23の後端部とが干渉し、シフトシャフト11からSBWアクチュエータ20を取り外すことが困難になる。その結果、新規部品を追加することなく、かつ、組付け作業性を悪化させることなく、車両の盗難防止性能を向上させることが可能となる。
(第2変形例)
上述した実施形態では、SBWアクチュエータ20の外軸21の内周面に形成された内スプライン22が、切欠き部25を挟んで、軸方向先端側に設けられたスプライン23と軸方向基端側に設けられたスプライン24とに2分割されていたが、図13に示されるように、内スプライン22Bが先端側スプライン23のみを有する構造、すなわち、基端側スプライン24がない構造とすることもできる。この場合には、外軸21の先端側スプライン23の先端部にチャンファ23aが形成される。一方、シフトシャフト11の先端側スプライン13のチャンファは必ずしも必要ではない。ここで、図13は、第2変形例に係るSBWアクチュエータ20とシフトシャフト11との嵌合構造(嵌合前)を示した図である。なお、図13において上記実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号が付されている。
この場合、シフトシャフト11側の外スプライン12とSBWアクチュエータ20側の内スプライン22Bとがスプライン嵌合するときには、シフシャフト11(外スプライン12)の基端側スプライン14とSBWアクチュエータ20(内スプライン22B)の先端側スプライン23とがスプライン嵌合する。これにより、SBWアクチュエータ20の駆動力がシフトシャフト11に伝達可能となる。なお、その他の構成は、上述した実施形態と同一または同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
本変形例によれば、外軸21の内周面に形成された内スプライン22B(先端側スプライン23)の先端部にチャンファ23aが形成されているため、内スプライン22B(先端側スプライン23)と、シフトシャフト11の外周面に形成された外スプライン12とが嵌合される際には、チャンファ23aによって対向する外スプライン12が掻き分けられる(押し分けられる)ことにより、双方のスプラインの位相が合い、スムーズに嵌合することができる。一方、外スプライン12には、内スプライン22B(先端側スプライン23)の軸方向の長さよりも長い切欠き部15が、シフトシャフト11の外周面の周方向に沿って全周にわたって形成されている。そのため、シフトシャフト11からSBWアクチュエータ20を取り外す(軸方向に引き抜く)際に、外スプライン12に形成された切欠き部に、内スプライン22B(先端側スプライン23)が位置するときに、スプライン嵌合が一時的に解除される。よって、ここで双方のスプラインの位相がずれると、外スプライン12を構成する軸方向先端側のスプライン13の後端部と、内スプライン22B(先端側スプライン23)の後端部とが干渉し、シフトシャフト11からSBWアクチュエータ20を取り外すことが困難になる。その結果、新規部品を追加することなく、かつ、組付け作業性を悪化させることなく、車両の盗難防止性能を向上させることが可能となる。
(第3変形例)
上述した実施形態では、シフトシャフト11が、その外周面に、切欠き部15を挟んで、軸方向先端側に設けられたスプライン13と、軸方向基端側に設けられたスプライン14とに2分割された外スプライン12を有し、SBWアクチュエータ20が、切欠き部25を挟んで、軸方向先端側に設けられたスプライン23と軸方向基端側に設けられたスプライン24とに2分割された内スプライン22が内周面に形成された外軸21を有していた。
これに対して、図14に示されるように、シフトシャフト11が、外スプライン12に代えて、切欠き部25を挟んで、軸方向先端側に設けられたスプライン23と軸方向基端側に設けられたスプライン24とに2分割された内スプライン22が内周面に形成された筒状の外軸(筒軸)21を有し、SWBアクチュエータ20が、内スプライン22(外軸21)に代えて、切欠き部15を挟んで、軸方向先端側に設けられたスプライン13と、軸方向基端側に設けられたスプライン14とに2分割された外スプライン12が外周面に形成された内軸(シャフト)11Bを有する構造とすることもできる。ここで、図14は、第3変形例に係るSBWアクチュエータ20とシフトシャフト11との嵌合構造(嵌合前)を示した図である。なお、図14において上記実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号が付されている。
この場合、SBWアクチュエータ20側の外スプライン12とシフトシャフト11側の内スプライン22とがスプライン嵌合するときには、SBWアクチュエータ20(外スプライン12)の先端側スプライン13とシフトシャフト11(内スプライン22)の基端側スプライン24とがスプライン嵌合するとともに、SBWアクチュエータ20の基端側スプライン14とシフトシャフト11の先端側スプライン23とがスプライン嵌合する。これにより、SBWアクチュエータ20の駆動力がシフトシャフト11に伝達可能となる。なお、その他の構成は、上述した実施形態と同一または同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
本変形例によれば、内軸11Bの外周面に形成された外スプライン12(先端側スプライン13)の先端部にチャンファ13aが形成されているため、外スプライン12と、シフトシャフト11が有する外軸21の内周面に形成された内スプライン22とが嵌合される際には、チャンファ13aによって対向する内スプライン22が掻き分けられる(押し分けられる)ことにより、双方のスプラインの位相が合い、スムーズに嵌合することができる。
一方、内スプライン22には、外スプライン12を構成する軸方向先端側のスプライン13の軸方向の長さよりも長い切欠き部25が、外軸21の内周面の周方向に沿って全周にわたって形成されており、外スプライン12には、内スプライン22を構成する軸方向先端側のスプライン23の軸方向の長さよりも長い切欠き部15が、内軸11Bの外周面の周方向に沿って全周にわたって形成されている。そのため、シフトシャフト11からSBWアクチュエータ20を取り外す(軸方向に引き抜く)場合には、内スプライン22及び外スプライン12それぞれの位相を一致させたまま引き抜かないと、スプライン同士が引っ掛かり(干渉し)、シフトシャフト11からSBWアクチュエータ20を取り外すことができなくなる。より具体的には、取り外す際に、内スプライン22に形成された切欠き部25に、外スプライン12を構成する軸方向先端側のスプライン13が位置し、外スプライン12に形成された切欠き部15に、内スプライン22を構成する軸方向先端側のスプライン23が位置するときに、スプライン嵌合が一時的に解除される。よって、ここで双方のスプラインの位相がずれると、先端側スプライン13の後端部と先端側スプライン23の後端部とが干渉し、シフトシャフト11からSBWアクチュエータ20を取り外すことが困難になる。その結果、新規部品を追加することなく、かつ、組付け作業性を悪化させることなく、車両の盗難防止性能を向上させることが可能となる。
(第4変形例)
上述した第3変形例では、SBWアクチュエータ20の内軸11Bの外周面に形成された外スプライン12が、切欠き部15を挟んで、軸方向先端側に設けられたスプライン13と、軸方向基端側に設けられたスプライン14とに2分割されていたが、図15に示されるように、外スプライン12Bが先端側スプライン13のみを有する構造、すなわち、基端側スプライン14がない構造とすることもできる。ここで、図15は、第4変形例に係るSBWアクチュエータ20とシフトシャフト11との嵌合構造(嵌合前)を示した図である。なお、図15において上記第3変形例と同一又は同等の構成要素については同一の符号が付されている。
この場合、SBWアクチュエータ20側の外スプライン12Bとシフトシャフト11側の内スプライン22とがスプライン嵌合するときには、SBWアクチュエータ20(外スプライン12B)の先端側スプライン13とシフトシャフト11(内スプライン22)の基端側スプライン24とがスプライン嵌合する。これにより、SBWアクチュエータ20の駆動力がシフトシャフト11に伝達可能となる。なお、その他の構成は、上述した第3変形例と同一または同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
本変形例によれば、内軸11Bの外周面に形成された外スプライン12B(先端側スプライン13)の先端部にチャンファ13aが形成されているため、外スプライン12B(先端側スプライン13)と、シフトシャフト11が有する外軸21の内周面に形成された内スプライン22とが嵌合される際には、チャンファ13aによって対向する内スプライン22が掻き分けられる(押し分けられる)ことにより、双方のスプラインの位相が合い、スムーズに嵌合することができる。一方、内スプライン22には、外スプライン12B(先端側スプライン13)の軸方向の長さよりも長い切欠き部25が、外軸21の内周面の周方向に沿って全周にわたって形成されている。そのため、シフトシャフト11からSBWアクチュエータ20を取り外す(軸方向に引き抜く)際に、内スプライン22に形成された切欠き部25に、外スプライン12B(先端側スプライン13)が位置するときに、スプライン嵌合が一時的に解除される。よって、ここで双方のスプラインの位相がずれると、外スプライン12B(先端側スプライン13)の後端部と、内スプライン22を構成する先端側スプライン23の後端部とが干渉し、シフトシャフト11からSBWアクチュエータ20を取り外すことが困難になる。その結果、新規部品を追加することなく、かつ、組付け作業性を悪化させることなく、車両の盗難防止性能を向上させることが可能となる。
(第5変形例)
上述した第3変形例では、シフトシャフト11の外軸21の内周面に形成された内スプライン22が、切欠き部25を挟んで、軸方向先端側に設けられたスプライン23と、軸方向基端側に設けられたスプライン24とに2分割されていたが、図16に示されるように、内スプライン22Bが、先端側スプライン23のみを有する構造、すなわち、基端側スプライン24がない構造とすることもできる。ここで、図16は、第5変形例に係るSBWアクチュエータ20とシフトシャフト11との嵌合構造(嵌合前)を示した図である。なお、図16において上記第3変形例と同一又は同等の構成要素については同一の符号が付されている。この場合には、外軸21の先端側スプライン23の先端部にチャンファ23aが形成される。一方、SBWアクチュエータ20の内軸11Bの先端側スプライン13のチャンファは必ずしも必要ではない。
この場合、SBWアクチュエータ20側の外スプライン12とシフトシャフト11側の内スプライン22Bとがスプライン嵌合するときには、SBWアクチュエータ20(外スプライン12)の基端側スプライン14とシフトシャフト11(内スプライン22B)の先端側スプライン23とがスプライン嵌合する。これにより、SBWアクチュエータ20の駆動力がシフトシャフト11に伝達可能となる。なお、その他の構成は、上述した第3変形例と同一または同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
本変形例によれば、外軸21の内周面に形成された内スプライン22B(先端側スプライン23)の先端部にチャンファ23aが形成されているため、内スプライン22B(先端側スプライン23)と、内軸11Bの外周面に形成された外スプライン12とが嵌合される際には、チャンファ23aによって対向する外スプライン12が掻き分けられる(押し分けられる)ことにより、双方のスプラインの位相が合い、スムーズに嵌合することができる。一方、外スプライン12には、内スプライン22B(先端側スプライン23)の軸方向の長さよりも長い切欠き部15が、内軸11Bの外周面の周方向に沿って全周にわたって形成されている。そのため、シフトシャフト11からSBWアクチュエータ20を取り外す(軸方向に引き抜く)際に、外スプライン12に形成された切欠き部15に、内スプライン22B(先端側スプライン23)が位置するときに、スプライン嵌合が一時的に解除される。よって、ここで双方のスプラインの位相がずれると、外スプライン12を構成する先端側スプライン13の後端部と、内スプライン22B(先端側スプライン23)の後端部とが干渉し、シフトシャフト11からSBWアクチュエータ20を取り外すことが困難になる。その結果、新規部品を追加することなく、かつ、組付け作業性を悪化させることなく、車両の盗難防止性能を向上させることが可能となる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態及び第1〜5変形例に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、外スプライン12及び内スプライン22それぞれを切欠き部15,25により2分割したが、2つ以上の切欠き部を形成することにより、外スプライン12及び内スプライン22を3つ以上に分割する構造としてもよい。
上記実施形態では、シフトシャフト11の先端側スプライン13の先端部にのみチャンファ13aを形成したが、先端側スプライン13の後端部及びSBWアクチュエータ20(外軸21)の先端側スプライン23の後端部以外であれば、例えば、基端側スプライン14の先端部や基端側スプライン24の先端部等にもチャンファを設けてもよい。