以下、一実施形態の構成を、図面を参照して説明する。
図3ないし図6において、11は自律走行体としての電気掃除機であり、この電気掃除機11は、例えば充電回路を内蔵した図示しない基地装置としての充電装置(充電台)などとともに、自律走行体装置としての電気掃除装置を構成する。
そして、電気掃除機11は、本実施形態において、走行面としての被掃除面である床面上を自律走行(自走)しつつ床面を掃除する、いわゆる自走式のロボットクリーナ(掃除ロボット)である。この電気掃除機11は、中空状の本体ケース15と、この本体ケース15を床面上で走行させる走行部16と、床面などの塵埃を掃除する掃除部17と、充電装置を含む外部装置と通信する通信部18と、各種情報を表示する表示部19と、走行部16、掃除部17、通信部18および表示部19を制御する制御手段20と、これら走行部16、掃除部17、通信部18、表示部および制御手段20などに給電する二次電池21とを備えている。なお、以下、電気掃除機11(本体ケース15)の走行方向に沿った方向を前後方向(図4などに示す矢印FR,RR方向)とし、この前後方向に対して交差(直交)する左右方向(両側方向)を幅方向として説明する。また、図7などに示す矢印Xの指す方向が、電気掃除機11(本体ケース15)の前側を表すものとする。
本体ケース15は、例えば合成樹脂などにより扁平な円柱状(円盤状)などに形成されており、床面に対向する下面に吸込口22および排気口23がそれぞれ開口されている。
走行部16は、複数(一対)の駆動部としての駆動輪25,25と、これら駆動輪25,25を駆動させる動作部としての駆動手段であるモータ26,26と、旋回用の旋回輪27と、各種センサを有するセンサ部28などを備えている。
各駆動輪25は、電気掃除機11(本体ケース15)を床面上で前進方向および後退方向に走行(自律走行)させる、すなわち走行用のものであり、左右幅方向に沿って図示しない回転軸を有し、幅方向に対称に配置されている。
各モータ26は、例えば駆動輪25のそれぞれに対応して配置されており、各駆動輪25を独立して駆動させることが可能となっている。
旋回輪27は、本体ケース15の下面の幅方向の略中央部で、かつ、前部に位置しており、床面に沿って旋回可能な従動輪である。
センサ部28は、例えば各駆動輪25(各モータ26)の回転数を検出する回転数検出手段30と、本体ケース15の前方の所定距離以内の壁や家具などの物理的な物体(障害物)の存否を検出する(第1の)障害物検出手段である物体検出手段31と、本体ケース15の側部前方の所定距離以内の壁や家具などの物理的な物体(障害物)の存否を検出する(第2の)障害物検出手段である検出手段32と、床面の塵埃量を検出する塵埃量検出手段33とを備えている。このセンサ部28には、他に、床面の段差などを検出する赤外線センサなどの図示しない段差検出手段、充電装置などからの無線信号(赤外線信号)を受信するフォトトランジスタなどの基地装置検出手段、充電装置や領域区画手段(バーチャルガード)などの外部装置から出力される無線信号(赤外線信号)を検出することで、この無線信号によって外部装置の周囲や掃除領域内などに形成された仮想的な物体(障害物)を検出する赤外線センサなどの物体検出手段としての障害物検出手段である衝突防止信号検出手段(衝突防止センサ)となどを備えていてもよい。
回転数検出手段30は、例えば光エンコーダなどであり、この測定した駆動輪25(モータ26)の回転数によって電気掃除機11(本体ケース15)の旋回角度や進行距離を検出するようになっている。すなわち、この回転数検出手段30は、旋回角度検出手段、および、距離検出手段の機能をそれぞれ有している。
物体検出手段31は、本実施形態では、本体ケース15の前側半分を構成する可動的な円弧状の接触子であるバンパ35と、このバンパ35の移動によって動作されるスイッチ36とを有し、バンパ35と物体との接触を検出する接触センサである。すなわち、本実施形態の物体検出手段31は、本体ケース15に対して接触する(ゼロ距離に位置する)物体を検出するようになっている。
バンパ35は、本体ケース15の径方向に沿って移動可能となっており、例えば図示しないばねなどの付勢手段によって、本体ケース15から突出する方向に付勢されている。なお、このバンパ35は、例えば本体ケース15の一側から前部を介して他側まで連続する半円弧状としてもよいし、本体ケース15の一側から前部を介して他側までの半円弧領域を複数に分割した円弧状としてもよい。このようにバンパ35を複数に分割して構成する場合には、左右対称な配置とすることが好ましく、例えば前部と左右両側との3箇所などに分割するものとする。
スイッチ36は、物体との接触によって相対的に後退したバンパ35との接触により動作すなわちオンオフが切り換わるもので、少なくとも本体ケース15の両側にてバンパ35の背面側に対向して配置されている。そして、これらスイッチ36のいずれのオンオフが切り換わったにより、バンパ35の物体との接触、および、その接触位置(接触方向)を検出可能となっている。本実施形態では、物体検出手段31は、複数の領域が設定されており、例えば本体ケース15(バンパ35)の左右方向の中心位置を含む前側の左右略均等な所定角度に亘る前側領域と、この前側領域の右側に隣接し本体ケース15(バンパ35)の右側部に亘る右側の所定角度の右側領域と、前側領域の左側に隣接し本体ケース15(バンパ35)の左側部に亘る左側の所定角度の左側領域とのそれぞれのうち、どの領域が物体と接触したかを検出可能となっている。したがって、物体検出手段31は、本体ケース15の前側の複数(3つ)の方向の角度範囲の所定距離以内の物体の存否を検出するようになっている。
検出手段32は、本体ケース15に対して所定距離に離間された位置の物体を検出する、換言すれば側部前方に位置する物体との距離を検出する例えば超音波センサ、あるいは赤外線センサなどの非接触センサである。すなわち、この検出手段32は、物体検出手段(測距手段)の機能を有している。この検出手段32は、本実施形態では、例えば物体検出手段31の右側領域および左側領域のそれぞれの中央部、すなわち、本体ケース15の前方に対して左右方向にそれぞれ45°の角度に傾斜した位置に配置されている。したがって、この検出手段32は、左右対称に配置されている。
塵埃量検出手段33は、例えば赤外光を発光する発光手段としての発光部と、この発光部により発光された赤外光を受光する受光手段としての受光部とを互いに対向する位置に備えた光センサであり、少なくとも掃除部17が動作している掃除中において、吸込口22から捕集する塵埃量などに対応する信号を制御手段20に出力可能となっている。すなわち、吸込口22から捕集する塵埃量が相対的に多い場合には、発光部からの赤外光が塵埃によって相対的に多く遮られて受光部での受光量が相対的に減少し、塵埃量が相対的に少ない場合には、その反対に受光部での受光量が相対的に増加する。したがって、塵埃量検出手段33は、発光部からの赤外光の受光部での受光量に基づき、吸込口22が対向する床面の塵埃量を検出できる。
掃除部17は、例えば本体ケース15内に位置して塵埃を吸い込む電動送風機37と、吸込口22に回転可能に取り付けられて塵埃を掻き上げる回転清掃体としての回転ブラシ38およびこの回転ブラシを回転駆動させるブラシモータ39と、本体ケース15の前側などの両側に回転可能に取り付けられて塵埃を掻き集める旋回清掃部としての補助掃除手段であるサイドブラシ40およびこのサイドブラシ40を駆動させるサイドブラシモータ41と、塵埃を溜める集塵部42となどを備えている。なお、電動送風機37と、回転ブラシ38およびブラシモータ39と、サイドブラシ40およびサイドブラシモータ41とは、少なくともいずれかを備えていればよい。
通信部18は、例えば充電装置などの外部装置に対して無線信号(赤外線信号)を送信する赤外線発光素子などの送信手段46を備えている。なお、この通信部18には、例えばアクセスポイントなどを介して例えば携帯端末などの外部装置との無線信号の送受信をする無線LANデバイスなどとを備えていてもよい。
表示部19は、時刻や時間、あるいは電気掃除機11に関する各種情報などを表示するものであり、例えば本体ケース15の上部に配置されている。なお、この表示部19は、例えば使用者が各種設定を直接入力可能である入力操作手段の機能を兼ね備えるタッチパネルなどとしてもよい。
制御手段20は、例えばCPUやタイマおよびカウンタなどを備えたマイコンであり、センサ部28による検出結果に基づいて、自律走行しつつ掃除部17により掃除をする掃除モードと、充電装置を探索して充電装置へと帰還する帰還モードと、充電装置を介して二次電池21を充電する充電モードと、動作待機中の待機モードとを有している。そして、掃除モード中には、複数、例えば6つの走行モード、すなわち第1走行モードないし第6走行モードがそれぞれ設定されており、これらの走行モードが例えば所定時間T1毎に切り換わるようになっている。
第1走行モードは、物体(障害物)が少ない掃除領域(オープンスペース)を効率よく走行するための基本パターンであり、電気掃除機11(本体ケース15)が部屋の中を物体に対して所定距離以内に接近する(物体に衝突する)毎に向きを変えつつ直進する、ランダムバウンド走行モードとも呼び得るもので、電気掃除機11(本体ケース15)を直進させるとともに、物体検出手段31により物理的な物体(障害物)を所定距離以内に検出(電気掃除機11(本体ケース15(バンパ35))との接触を検出)したり、検出手段32により物体(障害物)を所定距離以内に検出したりすると、所定の旋回角度だけ旋回(超信地旋回)して走行方向をランダムに変え、さらに直進させるようにモータ26,26(駆動輪25,25)の動作を制御するものである(図7(a)中の矢印S1に示す)。なお、以下、直進とは、直線に沿って進行するものだけでなく、直線に近似した円弧などに沿って進行する、実質的な直進も含むものとする。
第2走行モードは、例えば塵埃が溜まりやすい壁などの障害物の近傍や、掃除領域の隅などをサイドブラシ40(掃除部17)によって効果的に掃除するためのもので、電気掃除機11(本体ケース15)が物体検出手段31あるいは検出手段32により検出した物体である障害物(壁)などの掃除領域の外縁に対して略一定の所定距離を維持しながら略平行に走行する、壁沿い走行モードとも呼び得るもので、検出手段32により側方の障害物(壁)を検出しつつこの障害物に沿って略直線状に走行させるとともに、物体検出手段31により前方に物体を検出すると、その位置で所定角度だけ旋回(超信地旋回)して電気掃除機11(本体ケース15)の側部すなわち検出手段32を物体に向けるように方向を変え、さらに壁に沿って直線状に走行させるようにモータ26,26(駆動輪25,25)の動作を制御するものである(図7(b)中の矢印S2に示す)。なお、本実施形態では、第2走行モードは、以下、電気掃除機11(本体ケース15)の右側に壁を臨みながら、換言すれば電気掃除機11(本体ケース15)の右側を物体である障害物(壁)に沿わせながら走行する、いわゆる右手沿いのモードとするが、動作を左右反転した左手沿いのモードとしてもよいし、これら右手沿いのモードと左手沿いのモードとを所定条件に基づいて、例えば所定時間(10分)経過する毎に第2走行モードの右手沿いと左手沿いとを切り換えるようにしてもよい。
第3走行モードは、例えば塵埃が溜まりやすい家具の脚などの周囲をサイドブラシ40(掃除部17)によって効果的に掃除するためのもので、物体検出手段31あるいは検出手段32により検出した物体が壁であるか壁でないかを簡易的に判断し、壁である場合には壁に沿って電気掃除機11(本体ケース15)が直線状に走行し、壁でない場合には電気掃除機11(本体ケース15)が物体を周回するように回り込むモードである(図7(c)中の矢印S3に示す)。この第3走行モードは、例えば所望の周回条件、すなわち周回角度や周回時間などに基づいて終了するようにしてもよい。
第4走行モードは、例えば第1走行モードでは入り込みにくいテーブルなどの障害物の下部や椅子の下部などの狭所を掃除するためのもので、物体検出手段31あるいは検出手段32により検出した物体が壁であるか壁でないかを簡易的に判断し、壁である場合には壁に沿って電気掃除機11(本体ケース15)が直線状に走行し、壁でない場合には電気掃除機11(本体ケース15)が物体を迂回して前進するモードである(図7(d)中の矢印S4に示す)。
第5走行モードは、床面の塵埃が多い箇所を集中的に掃除するためのもので、塵埃量検出手段により検出した塵埃量が所定以上の床面の位置を所定の半径(例えば20cm)で所定回数、例えば2回周回(スパイラル旋回)するように制御するものである(図7(e)中の矢印S5に示す)。
第6走行モードは、テーブルなどの障害物の下部や椅子の下部などの狭所に入り込んで掃除をした際に狭所から抜け出すための、狭所脱出走行モードとも呼び得るもので、掃除動作中に電気掃除機11(本体ケース15)が狭所に滞留した(狭所滞留)と判断したときに実行するモードである。この第6走行モードとしては、例えば物体検出手段31のバンパ35を物体である障害物(壁)に繰り返し接触させながら電気掃除機11(本体ケース15)を物体に沿って湾曲状(円弧状)に走行させるようにしてもよい(図7(f)中の矢印S6に示す)。狭所滞留の判断は、掃除領域が複雑であるかどうかの判断と同じであり、その判断方法の詳細については後述する。
また、二次電池21は、例えば本体ケース15の下面の後部の両側に露出する接続部としての充電端子48,48と電気的に接続されており、これら充電端子48,48が充電装置側の充電用端子と電気的および機械的に接続されることで、充電装置を介して充電されるようになっている。
次に、上記一実施形態の動作を説明する。
一般に、電気掃除機11は、掃除をする掃除作業と、充電装置によって二次電池21を充電する充電作業とに大別される。そして、掃除作業は、充電装置から電気掃除機11が離脱する離脱動作、この離脱動作の後掃除部17によって掃除をする掃除動作、この掃除動作の後あるいは掃除動作の最中に充電装置の探索をする探索動作、この探索動作により検出した充電装置に向かって電気掃除機11が走行する接近(アプローチ)動作、および、充電装置に接近した電気掃除機11が充電装置と接続(ドッキング)する接続動作などにより構成されている。
(掃除作業)
掃除作業の概要を図1に示すフローチャートも参照しながら説明する。まず、電気掃除機11は、例えば予め設定された掃除開始時刻となったときなど、掃除の開始のタイミングで、制御手段20が待機モードから掃除モードに切り換わり、掃除部17および走行部16などを駆動させ、充電装置から例えば直線状に離脱する(離脱動作(ステップ1))。この離脱動作としては、本実施形態では例えば5秒程度を想定する。
次いで、制御手段20は、センサ部28からの検出に対応して駆動輪25,25(モータ26,26)を駆動させることで、各走行モードを用いて電気掃除機11(本体ケース15)を床面上で走行させつつ、掃除部17によって床面の塵埃を掃除して捕集するとともに、掃除をしながら、掃除領域の広さや複雑さ、および、掃除領域の汚れ具合を判断する(掃除動作(ステップ2))。
ここで、掃除領域の広さは、電気掃除機11(本体ケース15)の最大直線距離(最大直進距離)に基づいて判断される。最大直線距離とは、電気掃除機11(本体ケース15)が所定の直線上で移動した距離をいうものであり、例えば電気掃除機11(本体ケース15)が直線状に移動した場合(図8(a))には、その移動距離L1が最大直線距離となり、例えば電気掃除機11(本体ケース15)が旋回しつつ湾曲状に移動した場合(図8(b))には、その弦の長さ、すなわち動作の始点と終点とを結んだ直線の長さL2が最大直線距離となる。すなわち、電気掃除機11(本体ケース15)の最大直線距離は、掃除領域が広いほど大きくなるため、この最大直線距離によって、掃除領域の広さを判断できる。基本的には、第1走行モードのときに電気掃除機11(本体ケース15)が最大に直進するようになっているため、掃除動作においては、第1走行モードでの走行を少なくとも1回以上行うことが好ましい。
また、掃除領域の複雑さは、電気掃除機11(本体ケース15)が所定の時間T2以内に所定動作を何回繰り返したかによって判断される。より具体的には、物体検出手段31または検出手段32が所定の時間T2(例えば4000ms)以内に物体を検出することが所定回数(例えば5回)以上連続したときに掃除領域が複雑であると判断し、物体検出手段31または検出手段32が所定の時間T2以内に物体を検出しない場合、または、物体検出手段31または検出手段32が所定の時間T2以内に物体を検出することが所定回数以上連続しない場合に、掃除領域が複雑でないと判断する。すなわち、テーブルや椅子の脚などの障害物が密集して存在することにより掃除領域が複雑であるほど、電気掃除機11(本体ケース15)は、物体(障害物)を物体検出手段31や検出手段32によって検出する回数が増加し、同じ動作を繰り返しやすくなるため、電気掃除機11(本体ケース15)が所定の時間以内に所定動作を何回繰り返したかによって掃除領域の複雑さを判断できる。この判断は、例えば制御手段20に備えられたカウンタなどを用いて容易に実現できる。すなわち、物体検出手段31または検出手段32により物体を検出したタイミングから、所定の時間T2以内に再度物体検出手段31または検出手段32により物体を検出した場合にはカウンタを1加算し、物体検出手段31または検出手段32により物体を検出したタイミングから物体検出手段31または検出手段32により物体を検出することなく所定の時間T2が経過した場合にはカウンタを0にリセットすることにより、このカウンタの値を所定値と比較することで、物体検出手段31または検出手段32が所定の時間T2以内に物体を検出することが所定回数以上連続したかどうかを判断できる。また、上記の掃除領域が複雑であるかどうかの判断は、電気掃除機11(本体ケース15)が障害物に疎外されより狭い範囲でしか移動できない状態、すなわち狭所滞留であるかどうかの判断と同じである。そして、狭所滞留であると判断した場合には、制御手段20は現状の走行モードを中断し、狭所から抜け出るために用意されている第6走行モード(狭所脱出走行モード)が実行される。第6走行モードが終了すると、中断前の走行モードやその他の走行モードに切り換わり、掃除が継続される。
さらに、掃除領域の汚れ具合は、塵埃量検出手段33により検出する塵埃量に基づいて、より具体的には、塵埃量検出手段33によって所定時間T3内に検出する塵埃量に基づいて判断される。すなわち、塵埃量検出手段33により検出する(所定時間T3当たりの)塵埃量が多いほど掃除領域が汚れているといえるため、この塵埃量検出手段33の検出に基づいて掃除領域の汚れ具合を推定できる。そして、この塵埃量検出手段33により検出した(所定時間T3当たりの)塵埃量が所定量以上である場合には、掃除領域が汚れていると判断し、この塵埃量検出手段33により検出した(所定時間T3当たりの)塵埃量が所定量以上である場合には、掃除領域が汚れていないと判断する。
狭所滞留であるとの判断(掃除領域が複雑であるとの判断)、および、掃除領域が汚れているとの判断は、それぞれ掃除中に複数回にわたり発生することがあるため、これらの判断回数を数えるカウンタを制御手段20などに備えることができる。これらのカウンタにより、狭所滞留であるとの判断(掃除領域が複雑であるとの判断)、および、掃除領域が汚れている判断のそれぞれの有無だけでなく、掃除領域の複雑さの度合いや掃除領域の汚れ程度を得ることができる。
次いで、制御手段20は、所定時間T4(所定判断時間)、例えば20分が経過したかどうかを判断する(ステップ3)。このステップ3において、所定時間T4(所定判断時間)が経過していないと判断した場合には、ステップ2に戻る。また、このステップ3において、所定時間T4(所定判断時間)が経過したと判断した場合には、制御手段20は、掃除を継続するか終了するか、換言すれば掃除を延長するかどうかを判断する(ステップ4)。
このステップ4の判断は、ステップ2にて掃除しながら判断した掃除領域の広さや複雑さに基づいて算出した掃除時間に基づいて行われる。この掃除時間は、制御手段20は、予め設定された、あるいは使用者によって設定された例えば図2に示すような参照データであるテーブルに基づいて行われる。すなわち、最大直線距離が大きいほど、掃除領域が広く、掃除時間が長く必要になるものと考えられるため、最大直線距離の複数の互いに異なる閾値を設定して、最大直線距離が各閾値を越える毎に掃除時間が長くなるように設定される。
また、掃除領域が複雑であるほど、また、掃除領域が汚れているほど、掃除時間が長く必要になるものと考えられるため、掃除領域が複雑でなく、かつ、掃除領域が汚れていない場合と比較して、掃除領域が複雑である、または、掃除領域が汚れている場合の方が、掃除時間が長くなるように設定される。
すなわち、本実施形態では、掃除領域の複雑さ、または、掃除領域の汚れ具合に応じて、異なる複数(2つ)のテーブルが設定され、各テーブルを比較すると、掃除領域の複雑さ、または、掃除領域の汚れ具合が大きいときに、相対的に掃除時間が長くなるように設定されており、それぞれのテーブルでは、最大直線距離が大きい(掃除領域が広い)ほど、掃除時間が長くなるように設定される。
具体的に、図2(a)のテーブルに示すように、掃除領域が相対的に複雑でないと判断した場合、あるいは、掃除領域が相対的に汚れていないと判断した場合、掃除時間を延長するかどうかを判断する所定判断時間、例えば20分、40分、60分のそれぞれについて、最大直線距離から掃除時間へ変換する3レベルのテーブルとなっている。符合TH[n]a[m]は、nが閾値のレベル(例えば1、2、3)を示し、mが掃除時間の判断タイミング(ここでは1が20分に対応し、2が40分に対応し、3が60分に対応する)を示していて、テーブルは合計9個の要素で構成されている。
制御手段20は、最初の掃除時間を延長するかどうかを判断する判断時間(20分)では、(一方の)第1閾値TH1a1である254cm未満のときは、掃除時間が20分、最大直線距離が第1閾値TH1a1である254cm以上で、かつ、(一方の)第2閾値TH2a1である382cm未満のときは、掃除時間が40分、最大直線距離が第2閾値TH2a1である382cm以上で、かつ、(一方の)第3閾値TH3a1である509cm未満のときは、掃除時間が60分、最大直線距離が第3閾値TH3a1である509cm以上のときは、掃除時間が80分と判断する。そして、制御手段20は、判断した掃除時間が掃除を実施した時間よりも大きければ掃除を延長し、そうでなければ掃除を終了するように決定する。同様に、制御手段20は、次の判断時間に掃除を延長するかどうかを最大直線距離から判断時間に対応するテーブルを参照し掃除時間を判断する。したがって、制御手段20は、判断時間が40分であれば第1閾値TH1a2、第2閾値TH2a2、第3閾値TH3a2の3閾値、判断時間が60分であれば第1閾値TH1a3、第2閾値TH2a3、第3閾値TH3a3の3閾値を用いて、同様に判断する。本実施形態では、同じレベルの閾値は同じ判断時間によらずに同じ値としているが、最大直線距離は掃除時間により増加する傾向があるため、判断時間毎に同じレベルの閾値を異なる値に設定することでより詳細に掃除時間を判断することも可能である。
一方、図2(b)のテーブルに示すように、掃除領域が相対的に複雑であると判断した場合、あるいは、掃除領域が相対的に汚れていると判断した場合、掃除時間を延長するかどうかを判断する所定判断時間、例えば20分、40分、60分のそれぞれについて、最大直線距離から掃除時間へ変換する3レベルのテーブルとなっている。符合TH[n]b[m]は、nが閾値のレベル(例えば1、2、3)を示し、mが掃除時間の判断時間(ここでは1が20分に対応し、2が40分に対応し、3が60分に対応する)を示していて、テーブルは合計9個の要素で構成されている。
制御手段20は、最初の掃除時間を延長するかどうかを判断する判断時間(20分)では、(他方の)第1閾値TH1b1である180cm未満のときは、掃除時間が20分、最大直線距離が第1閾値TH1b1である180cm以上で、かつ、(他方の)第2閾値TH2b1である300cm未満のときは、掃除時間が40分、最大直線距離が第2閾値TH2b1である300cm以上で、かつ、(他方の)第3閾値TH3b1である450cm未満のときは、掃除時間が60分、最大直線距離が第3閾値TH3b1である450cm以上のときは、掃除時間が80分と判断する。そして、制御手段20は、判断した掃除時間が掃除を実施した時間よりも大きければ掃除を延長し、そうでなければ掃除を終了するように決定する。同様に、制御手段20は、次の判断時間に掃除を延長するかどうかを最大直線距離から判断時刻に対応するテーブルを参照し掃除時間を判断する。したがって、制御手段20は、判断時間が40分であれば、第1閾値TH1b2、第2閾値TH2b2、第2閾値TH3b2の3閾値、判断時間が60分であれば、第1閾値TH1b3、第2閾値TH2b3、第3閾値TH3b3の3閾値を用いて、同様に判断する。本実施形態では、同じレベルの閾値は同じ判断時間によらずに同じ値としているが、最大直線距離が掃除時間により増加する傾向があるため、判断時間毎に同じレベルの閾値を異なる値に設定することでより詳細に掃除時間を判断することも可能である。
また、本実施形態では、掃除を延長するかどうかは所定時間T4(所定判断時間)毎に判断するので、各掃除時間については、この所定時間T4(所定判断時間)の倍数として設定されるが、上記の判断時間は、等間隔である必要はなく任意でよく、また、3つでなく2つや4つ以上の判断時間を設定することもできる。この場合、判断時間の回数に対応して閾値のレベルを設定できる。そして、判断時間毎にテーブルを設定し、例えば掃除時間の短い判断時間の早期は判断時間の間隔を狭くし、掃除を継続するかどうかをきめ細かく判断することもできる。
ステップ4において、最大直線距離と、掃除領域の複雑さおよび掃除領域の汚れ具合のいずれか一方とに基づいてテーブルにて設定された掃除時間と掃除を開始してから現在までの時間とを比較して、掃除を延長する(掃除を継続する)と判断した場合には、ステップ2に戻る。一方、ステップ4において、掃除を延長しない(掃除を終了する)と判断した場合には、制御手段20が帰還モードに切り換わり、この制御手段20により駆動輪25,25(モータ26,26)を駆動させて走行しながら充電装置を探索する(探索動作(ステップ5))。この探索動作では、電気掃除機11は、充電装置の信号出力手段から発信されている無線信号を受信手段により受信するかどうかを検出する。そして、探索動作によって探索して検出した充電装置に向かうように電気掃除機11(本体ケース15)を走行させた後、所定距離まで近づくと、充電端子48,48を充電装置に向けて、無線信号(誘導信号)に沿って直線状に充電装置へと接近する(接近動作(ステップ6))。この後、充電端子48,48を充電用端子と接続(ドッキング)する(接続動作(ステップ7))。そして、電気掃除機11と充電装置との接続が終了すると、制御手段20は、掃除部17および走行部16などを停止させて掃除作業を終了する。探索動作、接近動作および接続動作は、本実施形態では例えば全体で3分程度を想定する。なお、二次電池21の容量としては、上記の離脱動作から接続動作までの時間に加えて、探索動作、接近動作および接続動作などの時間を必要に応じて延長できるように、10分弱、例えば7分程度の余分が生じるように設定されている。
(充電作業)
充電装置に電気掃除機11が接続された後、所定のタイミング、例えば予め設定された充電開始時刻となったとき、あるいは電気掃除機11が充電装置に接続されてから所定時間が経過したときなどに、制御手段20は充電モードに移行し、充電装置から二次電池21の充電を開始する。そして、二次電池21の電圧が所定の使用可能電圧まで上昇したと判断すると、充電作業を終了し、制御手段20が待機モードとなる。
以上説明した一実施形態によれば、電気掃除機11(本体ケース15)が所定の時間T2以内に所定動作を繰り返した回数に基づいて掃除領域の複雑さを判断し、所定時間T4(所定判断時間)毎に、電気掃除機11(本体ケース15)が移動した最大直線距離と判断した掃除領域の複雑さとに基づいて掃除を継続するか終了するかを判断するので、掃除時間を固定とする場合と比較して、掃除領域の状況に適した掃除時間を自動設定できる。
また、制御手段20は、物体検出手段31あるいは検出手段32が所定の時間T2以内に物体を検出することが所定回数以上連続したかどうかに基づいて掃除領域の複雑さを判断するので、掃除領域の複雑さを、より容易で、かつ、精度よく判断できるとともに、掃除領域の複雑さを判断するための動作を別途必要とすることなく、一連の掃除動作中の物体検出手段31あるいは検出手段32の物体の検出を用いて容易かつ確実に判断できる。
同様に、塵埃量検出手段33により検出した床面の塵埃量に基づいて掃除領域の汚れ具合を判断し、所定時間T4(所定判断時間)毎に、電気掃除機11(本体ケース15)が移動した最大直線距離と判断した掃除領域の汚れ具合とに基づいて掃除を継続するか終了するかを判断するので、掃除時間を固定とする場合と比較して、掃除領域の状況に適した掃除時間を自動設定できる。
特に、掃除領域の複雑さや掃除領域の汚れは、各走行モードを用いて掃除領域を掃除しながら、それら走行モードに用いられる物体検出手段31、検出手段32、あるいは塵埃量検出手段33の検出値に基づいて所定時間T4(所定判断時間)毎に判断するので、これら物体検出手段31、検出手段32および塵埃量検出手段33によりデータを検出する時間を充分に取れ、これらデータのばらつきを抑制して、より実際の掃除領域の状況に即したデータを得ることができる。したがって、掃除領域の複雑さや掃除領域の汚れを、より精度よく判断できる。
なお、上記一実施形態において、物体検出手段31は、本体ケース15に対して所定距離に離間された位置の物体を検出する、例えば超音波センサ、あるいは赤外線センサなどの非接触センサなどとしてもよい。
また、制御手段20の走行モードは例を示しているに過ぎず、他の任意の走行モードを用いることもできるが、電気掃除機11(本体ケース15)を少なくとも直進(略直進)させるようにモータ26,26(駆動輪25,25)の動作を制御する走行モードを少なくとも1つ備えていることが好ましい。
さらに、掃除領域が複雑さおよび掃除領域の汚れ具合に基づいて、掃除時間のテーブルを切り換えたが、これらについては、少なくともいずれか一方に基づいて掃除時間を切り換えればよい。したがって、掃除領域の複雑さを判断する構成(物体検出手段31および検出手段32)と掃除領域の汚れ具合を判断する構成(塵埃量検出手段33)とは、いずれか一方のみを備え他方を備えない構成としてもよい。
そして、2つのテーブルを切り換えたが、掃除領域の複雑さと掃除領域の汚れ具合との少なくともいずれか一方を3つ以上の段階に判断し、それぞれに応じたテーブルを設定してもよい。すなわち、テーブルは2つに限らず、3つ以上設定されていてもよい。さらに、掃除時間は、テーブルによる切り換えに限らず、例えば複数の所定の関数(カーブ)を参照データとして用い、最大直線距離と、掃除領域の複雑さ、あるいは掃除領域の汚れ具合とに基づきアナログ的あるいはデジタル的によりきめ細かく設定することもできる。
本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。