JP6437482B2 - 取付型制振器、及びそれを用いた制振方法 - Google Patents

取付型制振器、及びそれを用いた制振方法 Download PDF

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この発明は、精密製造装置の構造体やその架台等に取り付ける制振器に関する。
近年、精密製造装置の構造体の分野では、1000分の1mm以下にも及ぶ精度で稼働部分を制御することが要求される一方で、製造速度の高速化に対する要請が増大し、精密機器製造装置やこれを支える精密構造体のような、重量が大きく剛性が大きい構造物に対しても高度な振動対策が必要とされている。
そこで、かかる精密構造体の制振を行う技術が提案されるに至り、例えば、特許文献1では、工作機械に付設する動吸振器が提案されている。
特許文献1の動吸振器は、制振対象となる振動系の振動方向に対向する一対の平行な板ばね間に錘体を設けたもので、板ばねの枚数、寸法、材質の変更により、あるいは、板ばねに対し錘体をスライドさせたり質量の異なる錘体に交換したりして、板ばねの固有振動数を調整するようにしている。
特開2011−106590
しかし、特許文献1の動吸振器では、錘体が振動系から突設されるため、精密機器製造装置のようにスペースが限られている場合には設置できないという問題が有り、また、固有振動数等の調整に手間がかかるという問題が有る。
本発明は、かかる課題を踏まえてなされたものであり、スペースが限られている場所にも取り付けることが可能で、固有振動数等の調整の容易な取付型制振器の提供を目的とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、制振対象物に取り付けて前記制振対象物の制振を行う取付型制振器であって、棒状の質量体、及び前記質量体の長手方向に間欠的にかつ前記質量体の外周を包むように設けられる複数の緩衝材を有する制振部材と、前記制振部材が挿入される貫通孔又は溝からなる制振部材挿入部を有する拘束部材と、前記拘束部材を制振対象物に取付ける取付け手段とを備え、前記制振部材挿入部は、少なくとも前記複数の緩衝材の位置で前記制振部材を内包し、緩衝材の外面側から前記緩衝材を拘束するよう構成され、前記拘束部材が、長板状部材からなり、複数の前記取付け手段が、前記拘束部材の長手方向に間欠的に設けられており、前記取付け手段は、前記拘束部材の曲げ1次モードにおける2箇所の節付近に設けられていることを特徴とする。
本発明の取付型制振器は、質量部材の長手方向に間欠的に設けた複数の緩衝材の数、及び間隔を変更することにより、容易に固有振動数を調節することができる。
また、制振部材を長手方向の複数個所で制振対象物に取り付けて制振対象物の制振対象面に沿って制振部材を取り付けるため、制振対象面からの突出高さを抑制することができる。
また、本発明は、前記拘束部材が、長板状部材からなり、複数の前記取付け手段が、前記拘束部材の長手方向に間欠的に設けられる。拘束部材が長い板材からなる場合に、この拘束部材の長手方向の複数個所に取付け手段を設けることで、拘束部材も一定の間隔に支持することができるため、拘束部材のフリーの部分を制振対象物に共振させて動吸振器の様に働かせることにより、あるいは、拘束部材と制振対象面の衝突や、拘束部材と制振対象物との摩擦により制振対象物の制振をより効果的に行うことができる。
前記取付け手段は、前記拘束部材の曲げ1次モードにおける2箇所の節に設けられている。拘束部材が長い板材からなる場合に、当該拘束部材の1次振動モードにおける2箇所の節付近に取付け手段を設けることで、拘束部材による制振効果をより一層高めることができる。
ここで、「節付近」とは、当該節に隣接する振動の腹の位置より当該節に近い位置をい
うものとする。
本発明は、制振対象物に取り付けて前記制振対象物の制振を行う取付型制振器であって、棒状の質量体、及び前記質量体の長手方向に間欠的にかつ前記質量体の外周を包むように設けられる複数の緩衝材を有する制振部材と、前記制振部材が挿入される貫通孔又は溝からなる制振部材挿入部を有する拘束部材と、前記拘束部材を制振対象物に取付ける取付け手段とを備え、前記制振部材挿入部は、少なくとも前記複数の緩衝材の位置で前記制振部材を内包し、緩衝材の外面側から前記緩衝材を拘束するよう構成され、前記拘束部材が、長板状部材からなり、複数の前記取付け手段が、前記拘束部材の長手方向に間欠的に設けられており、前記取付け手段は、前記拘束部材の長手方向において、曲げ2次モードにおける中央の振動の節付近の位置、及び両端の振動の節付近の位置、若しくは両端の振動の節付近より端部側の位置の前記拘束部材の長手方向の3箇所に設けられていることを特徴とする取付型制振器を含む。
このように、前記取付け手段が、前記拘束部材の長手方向において、曲げ2次モードにおける中央の振動の節付近の位置、及び両端の振動の節付近の位置、若しくは両端の振動の節より端部側の位置の前記拘束部材の長手方向の3箇所に設けられていることで、さらに一層拘束部材による制振効果を高めることができる。
前記制振部材は、緩衝材を3つ以上備え、前記質量体が前記緩衝材により複数スパンに分割されていることが好ましい。こうすることで、1つの制振部材を複数の制振部材として作用させることができ、より効果的に制振対象物の制振を行うことができる。
本発明の取付型制振器は、前記制振部材を複数本備えるものを含む。
このように、制振部材を複数本にすることで、制振体の本数を簡単に増やせ、その相乗効果により、より高い制振効果が発揮される。
本発明は、上述した制振部材の緩衝材を設ける箇所数及び位置を調節することで制振効果を高めることを特徴とする取付型制振器を用いた制振方法を含む。
このように、緩衝材、又は取付け手段を設ける箇所数及び位置を調節することで制振器の制振効果を高めるようにしたので、容易に制振器の調節を行うことができる。
以上説明したように、本発明の取付型制振器によれば、スペースの限られた場所にも取り付けることが可能で、固有振動数等を容易に調整することができる。
本発明の第1実施形態に係る取付型制振器を制振対象物に取り付けた様子を、制振部材を一部引き出した状態で示した斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る振動試験に用いた拘束部材の各部の寸法を示した(a)側面図、(b)平面図である。 本発明の第1実施形態に係る振動試験に用いた制振対象物の各部の寸法を示した(a)側面図、(b)平面図である。 本発明の第1実施形態に係る振動試験の様子を模式的に示した(a)側面図(b)平面図、(c)正面図である。 本発明の第1実施形態に係る振動試験1の測定結果である。 本発明の第1実施形態に係る振動試験2の測定結果である。 本発明の第2実施形態に係る振動試験に用いた拘束部材の各部の寸法を示す(a)側面図、(b)平面図である。 (a)本発明の第2実施形態に係る取付型制振器を制振対象物に取り付けた様子を示す斜視図である。(b)第2実施形態に係る振動試験において、制振対象物の背面側に設置した加速度計の位置と、加振位置とを示した斜視図である。 本発明の第2実施形態に係る取付型制振器に制振部材を挿入した様子を示す要部斜視図である。 本発明の第2実施形態に係る振動試験3の結果である。 本発明の第2実施形態に係る振動試験4の結果である。 本発明の第3実施形態の取付型制振器の斜視図である。 本発明の第4実施形態の取付型制振器の斜視図である。 本発明の第5実施形態の取付型制振器を制振対象物に取り付けた様子を(a)上方から見た斜視図、(b)下方から見た斜視図である。
以下、適宜図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳述する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る取付型制振器(以下単に「制振器」ともいう。)100を制振対象物Aに取り付けた様子を示している。制振器100は、制振部材1と、拘束部材2と、取付け手段3(以下「ボルト3」ともいう。)とを備えている。
制振対象物Aは、図1に示すように、長板状の鋼板からなり、周縁に沿って取付け手段3を挿通する複数のボルト挿通孔A1が設けられている。
制振部材1は、図1に示すように、棒状の質量体4と、複数の緩衝材5とを備えている。質量体4は、軟鋼製の丸鋼からなり、拘束部材2と同じ長さを有している。緩衝材5は、CR(クロロプレン)ゴム製の短冊状スポンジからなり、質量体4に巻回されている。緩衝材5は、質量部材4の少なくとも両端を含む複数個所に等間隔に設けられている。
拘束部材2は、アルミニウム合金製の長板からなり、長手方向に延びる角溝からなる3本の制振部材挿入部6を備え、周縁に沿って取付け手段3を螺合する複数の雌ネジ貫通孔21が設けられている。取付け手段3は、六角穴付きボルトからなる。
取付型制振器100を制振対象物Aに取り付ける際には、図1に示すように、拘束部材2の制振部材挿入部6に制振部材1を挿入した後、制振部材挿入部6の有る面を制振対象物Aの制振対象面A2(図3参照)に密着させた状態で、所定数のボルト3をワッシャー31を介して制振対象物Aの適宜のボルト挿通孔A1に挿通した後、拘束部材2の雌ネジ貫通孔21(図2参照)に螺合する。緩衝材5は、溝状の制振部材挿入部6と制振対象面A2からなる角孔の4つの内壁と質量体4の間に挟まれて拘束される。
このように、拘束部材2をボルト3で制振対象物Aに固定することにより、ボルト3と拘束部材2の摩擦や、ボルト3と制振対象物Aの摩擦、拘束部材2と制振対象物Aとの摩擦によって、あるいは、拘束部材2と制振対象物Aの衝突によっても制振効果を高めることができ、また、拘束部材2が動吸振器の様に働くことによっても制振効果を高めることができる。
次に、第1実施形態に係る比較例、及び実施例を用いて行った振動試験について詳述する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<振動試験1>
制振対象物Aと拘束部材2を固定するボルト3の最もよい締結位置を調べるため、以下
に示す比較例3、実施例2、及び実施例3の試験体を用いて振動試験1を行った。また固有振動数、及び減衰比の比較対象として、制振対象物Aのみを試験体とした比較例1について振動試験を行った。
比較例3
図2に示した寸法(単位mm)に加工したA5052製のアルミニウム板を拘束部材2とし、図3に示した寸法(単位mm)に加工したSS400製軟鋼板を制振対象物Aとし、制振部材1を用いず、鋼製のM6六角穴付きボルト(JIS B1054強度区分10.9)からなる取付け手段3を、図5に示すように、18個のボルト挿通孔A1すべてに挿入して、締付トルク4.2N・mにて、制振対象物Aと拘束部材2と結合して試験体を形成した。
かかる試験体を図4に示すように、CRゴム製の左右一対の直方体状ブロックR(高さ100mm×縦100mm×横50mm、硬度30)の上に拘束部材2の両端から3列目となる計4個の取り付け部材(ボルト)3の頭を載置して支持した。
しかる後、加速度計Q(PCB製356A17)を、図4に示した位置の一つに設置し、符号Pの位置をインパクトハンマ(PCB製:086C03、白チップ)で叩いて加振した。
振動試験は、加速度計Qの位置を変えながら5回実施した。
こうして加速度計にて得られたデータからOROS社製FFTアナライザ(型式OR35−8)を用いて曲げ1次モード、及び曲げ2次モードの固有振動数、及び減衰比を算出し、比較例1(制振対象物Aのみ)の固有振動数、及び減衰比に対する固有振動数倍率、及び減衰比倍率を求めた。
(実施例2、3)
ボルト3の個数、及び締結位置を、図5に示した通りとした他は、比較例3と同じようにして試験を実施した。
実施例3においては、左右一対ずつ計4本のM8穴付六角ボルトSの軸部を拘束部材2の両端から3列目となる計4個の雌ネジ貫通孔21に下側から螺入したのち、制振対象物Aのボルト挿通孔A1に挿入し、ボルトSの頭をブロックRに載置して試験体を支持した。
(比較例1)
試験体を、制振対象物Aのみとした他は、実施例3と同じようにして試験を行った。(図6参照)
<振動試験2>
緩衝材5のピッチと減衰比倍率の関係、及び制振部材1の本数と減衰比倍率の関係を調べるため以下の要領で振動試験2を行った。
(実施例4)
質量体4として、φ4mm×長さ500mmのSS400製丸鋼を用い、緩衝材5とし
て片面に接着剤層が設けられた厚さ1mm×幅15mm×長さ22mmのCRゴム製のス
ポンジ材を用いた。質量体4の両端に1個ずつ計2個の緩衝材5を2巻程度に巻回して、
制振部材1を形成した。A5052製のアルミニウム板を図2に示した寸法に加工して拘
束部材2とし、1本の制振部材1を拘束部材2の3本の制振部材挿入部6のうち端の1本
に挿入して取付型制振器100とした。SS400製軟鋼板を図4に示した寸法(単位m
m)に加工して制振対象物Aとした。
6個のM6六角穴付きボルトからなる取付け手段3を、制振器100の長さ方向の2個
×9列の貫通孔21のうち両端と中央の3列に挿入して制振器100を制振対象物Aに固
定し、実施例に係る試験体とした。振動試験は実施例3と同様に行った。
(実施例5〜実施例12)
緩衝材5の個数、及びピッチを図6に示したように変更した以外は実施例4と同様にして実施例5〜実施例12について曲げ1次モードの固有振動数、減衰比、固有振動数倍率、及び減衰比倍率を求めた。
(実施例13)
実施例4から12で、最も比較例1に対する減衰比倍率の高かった実施例8と同じ制振部材1を3本用いた。3本の制振部材1を実施例4と同じ拘束部材2の3本の制振部材挿入部6に1本ずつ挿入した以外は、実施例4と同様にして試験を行って曲げ1次モードの固有振動数、減衰比及び減衰比倍率を求めた。
実施例4〜実施例13の試験結果を図6に示す。
図6に示した実施例4〜実施例12の結果から、緩衝材5は6個でピッチが100.0mmの場合に最も減衰比倍率が高くなり、緩衝材の個数が多すぎても少なすぎても(緩衝材のピッチが短かすぎても長すぎても)減衰比倍率が下がり、緩衝材には最適のピッチ、及び個数があることが分かった。
また、実施例13のように、制振部材の本数を増やすと減衰比倍率が大きくなることが分かった。
尚、振動試験2において、ボルト3を拘束部材の2次曲げ節位置の3箇所で締め付けたもののみを実施例としたが、本発明は、振動試験2の各実施例のボルト締付位置を全箇所締結や1次節位置の2箇所締結の他、あらゆる締付ボルト位置で締め付けたものを含むことは言うまでもない。
(第2実施形態)
図8は、本発明の第2実施形態に係る取付型制振器200を制振対象物Bに取り付けた様子を示している。制振器200は、制振部材1(図1、図9参照)と、拘束部材202(図7)と、取付け手段3とを備えている。
尚、第2実施形態以降の実施形態において、第1実施形態と共通する部材については、同一符号を付して説明を省略する。
制振対象物Bは軟鋼から形成された梁型構造物からなり、角型鋼管からなる一対の柱部B3と、一対の柱部B3間に設けられH字に形成された梁部B4と、柱部B3を支持する角型鋼管からなる基台部B5と、基台部B5の下に敷設される一対の敷設板B6とを備えている。梁部B4の制振対象面B2には、ボルト3を螺合する雌ネジ貫通孔(不図示)が1列当たり13個ずつ上下2列で計26個設けられている。
拘束部材202は、アルミニウム合金からなる矩形の長板状をなし、長手方向に貫通する平行な3本の円形貫通孔からなる制振部材挿入部206が設けられ、ボルト3を挿通するボルト挿通孔221が幅方向の両端に13個ずつ計26個設けられている。
制振部材1は、第1実施形態と同様のものが用いられ、制振部材1を拘束部材202の制振部材挿入部206に適宜の数だけ挿入して制振器200が形成される。
制振器200は、ボルト3を拘束部材202のボルト挿通孔221に挿通した後、制振対象面B2の雌ネジ貫通孔に螺合することにより、制振対象物Bに取り付けられる。
次に、第2実施形態に係る振動試験について詳述する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<振動試験3>
制振対象物Bと拘束部材202を固定するボルト3の最もよい締結位置を調べるため、以下に示す比較例4、実施例15から実施例17の試験体を用いて、振動試験3を行った。また固有振動数、及び減衰比の比較対象として、制振対象物Bのみを試験体とした比較例2について振動試験を行った。
比較例4
制振対象物Bは、全体を軟鋼(SS400)から形成した。柱部B3を200mm角×厚さ6mm×長さ510mmの角型鋼管から形成し、梁部B4を長さ(高さ)500mm×厚さ55mm×幅1560mmに形成し、基台部B5を250mm角×厚み6mm×長さ1985mmの角形鋼管から形成し、敷設板B6を幅150mm×厚み19mm×長さ550mmに形成した。雌ネジ貫通孔B1は、M10ボルト孔とした。
拘束部材202は、アルミニウム合金板(A5052P)から図8に示した寸法(単位mm)に形成した。
そして、ボルト3として、鋼製のM10六角穴付きボルト(JIS B1054強度区分10.9)を用い、26個のボルト挿通孔221全てにボルト3を配設して締付トルク21N・mにて拘束部材202を制振対象物Bに取り付けて、比較例4の試験体とした。
かかる試験体を図8に示すように、左右の敷設板B6の下に、CRゴム製の直方体状ブロックR(高さ100mm×縦100mm×横50mm、硬度45度4個(左右2個ずつ)を敷いて、図8(b)に示すように、梁部B4の制振対象面B2の裏面B7中央の上下方向両端、及び水平方向両端に加速度計Q(PCB製356A17)を設置し、梁部B4裏面側の上下方向及び水平方向の中央Pの位置をインパクトハンマ(PCB製:086C03、白チップ)で叩いて加振した。こうして加速度計にて得られたデータからOROS社製FFTアナライザ(型式OR35−8)を用いて、面外変形の曲げ1次モードで、固有振動数、及び減衰比を算出し、後述する比較例2(制振対象物Bのみ)の固有振動数、及び減衰比に対する固有振動数倍率、及び減衰比倍率を求めた。
(実施例15〜17)
図10に示した位置でボルト3の締付を行った以外は、比較例4と同様にして振動試
験を行った。
(比較例2)
制振対象物Bのみで比較例4と同様にして振動試験を行った。振動試験3(実施例
から実施例17、及び比較例2、比較例4)の結果を図10に示す。尚、比較例2についてコンピュータ解析により求めた固有振動数を合わせて示す。
振動試験3の結果から、拘束部材202を全ボルト挿入孔221にボルト3を配設して締結するよりも、拘束部材202を、その長さ方向における面外変形の曲げ1次モード(以下単に「1次モード」のようにいう。)の節の位置2箇所、2次モードの節の位置3箇所、又は、中央と両端(2次モードの両端の節より外側)の位置の3箇所で締結する方が減衰比が高くなった。また、2次モードの節の位置3箇所で固定するより、1次モードの節2箇所、又は中央と両端の3箇所で固定する方が減衰比が高く、中央と両端の3箇所で固定する場合が最も減衰比倍率が高かった。
<振動試験4>
緩衝材5のピッチと減衰比倍率の関係、及び制振部材1の本数と減衰比倍率の関係を調べるため以下の要領で振動試験4を行った。
(実施例18)
質量体4として、φ6mm×長さ1230mmのSS400製丸鋼(0.3kg)を用い、緩衝材5として片面に接着剤層が設けられた厚さ1mm×幅15mm×長さ30mmのCRゴム製のスポンジ材を用いた。質量体4の両端に1個ずつ計2個の緩衝材5を巻回して、制振部材1を形成した。1本の制振部材1を比較例5と同じ拘束部材202の3本の制振部材挿入部206のうち最も上側の1本に挿入して取付型制振器200とした。
6個のM10六角穴付きボルトからなる取付け手段3を、制振器200の長さ方向の2個×13列のボルト挿通孔221のうち、振動試験3で最も減衰比倍率の高かった両端と中央の3列に挿入して締付トルク21N・mで締めつけて制振器200を制振対象物Bに固定し、比較例5と同じようにして振動試験を行った。
(実施例19〜25)
図11に示した数の緩衝材5を質量体4の両端を含む長手方向の等間隔位置に配置して制振部材1とした他は、実施例18と同様にして振動試験を行った。
(実施例26)
実施例21と同じ制振部材1(緩衝材5を5個備える制振部材1)を図10(b)に示すように3本用いた他は、実施例18と同様にして振動試験を行った。
比較例5
ボルト締結位置を26カ所全箇所締結とした以外は、実施例26と同様にして振動試験
を行った。
振動試験4の結果を図11に示す。
図11に示すように、制振部材1を1本とした実施例18〜25において、5個の緩衝材を用いた実施例21が最も減衰比倍率が高く、緩衝材5の数が多すぎても少なすぎても減衰比倍率が下がり、緩衝材には最適のピッチ、及び個数があることが分かった。
また、実施例21と実施例26の結果から制振部材の本数が多い方が減衰比倍率が大きくなることが分かった。
さらに、実施例26よりボルトの締結箇所の多い比較例5で減衰比倍率が低下したこ
とから、緩衝部材だけでなくボルトもうまく配置することで制振効果を高められることが
分かった。ボルトの締付位置が多すぎると制振効果が落ちる理由は、拘束部材と制振対象
面の摩擦や衝突が抑制されることに加え、拘束部材のフリーの部分が動吸振器の様に機能
することによる効果が抑制されることが推察される。
(第3実施形態)
図12は、本発明の第3実施形態に係る取付型制振器300を示している。制振器300は、制振部材1と、3個の拘束部材302とを主に備える他、補助質量部材307を備えている。
制振部材1は、実施形態1と同じ質量体4と緩衝材5を用いて形成され、長手方向両端と中央の3箇所に緩衝材5が巻回されている。図13では、制振部材1を3本設けた例を示したが、制振部材1は、2本以下でも4本以上でもよい。
拘束部材302は、直方体のブロック状をなし、制振部材1を挿通する制振部材挿入部306を3本備えている。拘束部材302は、制振部材1の長手方向の両端、及び中央において緩衝材5を拘束している。拘束部材302は、制振部材挿入部306の並列方向に平行な面308を、接着剤や磁石、粘着テープ、ボルト等の取付け手段(図示せず)により制振対象物の制振対象面に貼着される。拘束部材302は、制振部材1の長手方向に緩衝材5と共に摺動可能に構成され、最も制振効果の高い位置に移動させて制振対象面に貼着する。
補助質量体307は、断面がC字、若しくは円形の筒状部材からなり、質量体4に環装されるとともに質量体4に沿って摺動可能に構成されている。補助質量体307の位置は、制振部材1の制振効果が最も高くなるよう調節される。補助質量部材307は、1又は複数個設けることができる。
(第4実施形態)
図13は、本発明の第4実施形態に係る取付型制振器400を示している。制振器400は、制振部材1と、拘束部材402と、取付け手段3を主に備えている。制振部材1は、棒状の質量体4の長手方向の両端と中間部分の2箇所の計4箇所に実施形態1と同じ緩衝材5が巻回されている。
拘束部材402は、矩形長板状の拘束板402aと、金属製のU字バンド402bとを備えている。U字バンド402bは、緩衝材5の位置で制振部材1をまたがるようにして拘束板402aにネジ固定される。緩衝材5は、拘束板402aとU字バンド402bとにより拘束される。拘束板402aは、六角穴付ボルトからなる取付け手段3により制振対象面に取り付けられる。第4実施形態では、U字バンドの内面が制振部材挿入部406に相当する。
(第5実施形態)
図14は、本発明の第5実施形態に係る取付型制振器500をガントリー型の制振対象物Cに取付けた様子を示している。制振器500は、制振部材1と、拘束部材502と、取付け手段3を主に備えている。制振部材1は、棒状の質量体4の長手方向の複数個所に実施形態1と同じ緩衝材5が巻回されており、拘束部材502の長手方向に延びる5つの円形貫通孔からなる制振部材挿入部506に挿入されている。図14に示したように、第5実施形態では、制振対象物Cの梁部の上下面、左右の脚部の外側面、及びその下面の計6か所に取付型制振器500が設けられている。
(その他の実施形態)
実施形態1〜実施形態5では、制振部材挿入部を外気に連通した溝又は貫通孔としたが、制振部材挿入部を密閉された空間とし、制振部材挿入部の内部を油等、空気とは粘性の異なる物質により満たしたものも本発明の取付型制振器に含まれる。このように、制振部材挿入部を満たす物質の粘性を変えることにより制振器の減衰係数を変えることができる。
本発明のフレーム組立用制振器は、上記の実施形態に限らず、例えば、取付け手段としては、長尺状部材を一又は複数スパンに分割して支持するものであれば、ボルトに限らず、リベットや、キャッチクリップ、万力等の固定治具、溶接など公知の支持手段を適宜に用いることができる。緩衝材は、短冊状のものに限らず、筒状のものを棒状の質量体に環装するようにしてもよい。また、緩衝材は、棒状の質量体にその断面外周から中心に向かって弾性力を加えるように作用するものであれば、樹脂に限らず金属製のバネ等公知の弾性部材を適宜に用いることができる。拘束部材は平板に限らず、制振対象面が曲面であればそれに合わせて曲面とすることができる。複数の制振部材を設ける場合、制振部材により質量体の長さや緩衝材のピッチが異なっていてもよい。
A,B,C 制振対象物
100,200,300,400、500 取付型制振器
1 制振部材
2,202,302,402,502 拘束部材
3 取付け手段
4 質量体
5 緩衝材
6,206,306,406,506 制振部材挿入部

Claims (5)

  1. 制振対象物に取り付けて前記制振対象物の制振を行う取付型制振器であって、
    棒状の質量体、及び前記質量体の長手方向に間欠的にかつ前記質量体の外周を包むように設けられる複数の緩衝材を有する制振部材と、
    前記制振部材が挿入される貫通孔又は溝からなる制振部材挿入部を有する拘束部材と、
    前記拘束部材を制振対象物に取付ける取付け手段と
    を備え、
    前記制振部材挿入部は、少なくとも前記複数の緩衝材の位置で前記制振部材を内包し、緩衝材の外面側から前記緩衝材を拘束するよう構成され、
    前記拘束部材が、長板状部材からなり、複数の前記取付け手段が、前記拘束部材の長手方向に間欠的に設けられており、
    前記取付け手段は、前記拘束部材の曲げ1次モードにおける2箇所の節付近に設けられていることを特徴とする取付型制振器。
  2. 制振対象物に取り付けて前記制振対象物の制振を行う取付型制振器であって、
    棒状の質量体、及び前記質量体の長手方向に間欠的にかつ前記質量体の外周を包むように設けられる複数の緩衝材を有する制振部材と、
    前記制振部材が挿入される貫通孔又は溝からなる制振部材挿入部を有する拘束部材と、
    前記拘束部材を制振対象物に取付ける取付け手段と
    を備え、
    前記制振部材挿入部は、少なくとも前記複数の緩衝材の位置で前記制振部材を内包し、緩衝材の外面側から前記緩衝材を拘束するよう構成され、
    前記拘束部材が、長板状部材からなり、複数の前記取付け手段が、前記拘束部材の長手方向に間欠的に設けられており、
    前記取付け手段は、前記拘束部材の長手方向において、曲げ2次モードにおける中央の振動の節付近の位置、及び両端の振動の節付近の位置、若しくは両端の振動の節付近より端部側の位置の前記拘束部材の長手方向の3箇所に設けられていることを特徴とする取付型制振器。
  3. 前記制振部材は、緩衝材を3つ以上備え、前記質量体が前記緩衝材により複数スパンに分割されている請求項1、又は請求項2に記載の取付型制振器。
  4. 前記制振部材を複数本備える請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の取付型制振器。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の取付型制振器を用い、
    前記緩衝材を設ける箇所数及び位置を調節することで制振効果を高めることを特徴とする取付型制振器を用いた制振方法。
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