JP6437186B2 - 鉄道車両 - Google Patents
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回転鉄心は、環状の固定子の径方向内側に配置されており、鉄心押さえによって軸方向の両側から挟み込まれた状態でロータシャフトに取り付けられている。固定子は、該固定子及び回転子を覆うケーシングの内側に取り付けられている。このケーシングには、ロータシャフトの軸方向両端部をそれぞれ回転自在に支持する一対の軸受が設けられている。これにより、ケーシングは、固定子や回転鉄心を内部に収容した状態で軸受を介してロータシャフトを回転自在に支持している。
例えば、従来の電動機では、外気を取り込む入気口と、外気を排出する排気口とがそれぞれケーシングに形成されている。この際、入気口及び排気口は、回転鉄心を挟んで軸方向の反対側に位置するように形成されている。ケーシングの内部には、ロータシャフトと共に回転するファンが、排気口側に位置する軸受と鉄心押さえとの間に設けられている。このファンは、略放射状に形成された複数の羽根を具備しており、これら羽根の回転による吸引力により外気を取り込むことが可能とされている。
ところが、微小な塵埃については、フィルターをすり抜けてしまい、ケーシングの内部に入り込んでしまう。フィルターの網目(メッシュ)を細かくすることで、微小な塵埃を捕捉することが可能となるが、その分、フィルターの清掃回数が多くなってしまい、保守点検に多大な労力がかかってしまう。よって、実際には網目を細かくすることには限度がある。仮に網目を微細にしたとしても、塵埃を完全に捕捉できるものではなく、ケーシング内部への進入を完全に防止することは難しい。このようなことから、ケーシングの内部には外気と共に塵埃が取り込まれてしまう。
<第1の実施形態>
〔鉄道車両の構成〕
図1に示すように、本実施形態の鉄道車両1は、車体2と、この車体2の床下に台車3を介して設置された電動機(車両用電動機)4と、を備えている。
これにより、電動機4は、供給された交流電力により回転駆動し、ギアボックスを介して回転力を車軸9及び車輪8に伝達することで鉄道車両1の走行を可能とさせている。
上記電動機4について、詳細に説明する。
図2に示すように、電動機4は、固定子20と、軸線O回りに回転するロータシャフト31と接続される回転子30と、これら固定子20及び回転子30の周囲を覆うケーシング40と、を備えた車両駆動用主電動機である。
上記固定子20は、ステータ鉄心21及びステータコイル22を備えている。
ステータ鉄心21は、鉄心(鋼板)を複数枚積層することでリング状に形成されており、回転子30を構成するロータ鉄心32の径方向の外側に配置されている。この際、ステータ鉄心21は、環状に形成された一対の鉄心押さえ23によって、左右方向L2の両側から挟まれるように固定されている。そして、ステータ鉄心21及び一対の鉄心押さえ23は、後述する外枠ケース42における外筒部42aの内周面側に固定されることで、ケーシング40に支持されている。
上記回転子30は、固定子20よりも径方向の内側に配設されて軸線O回りに回転するインナーロータとされ、左右方向L2に延びる上記ロータシャフト31に固定されたロータ鉄心32を備えている。
なお、図示の例では、ロータシャフト31は軸方向に径が適宜変化する多段軸とされている場合を例に挙げているが、この場合に限定されるものではない。
図2に示すように、ケーシング40は、一対の軸受33A、33Bの径方向の外側にそれぞれ配置された環状の一対の軸受ブラケット41A、41Bと、ロータシャフト31を径方向の外側から囲みながら一対の軸受ブラケット41A、41Bにそれぞれ接続された外枠ケース42と、を備え、これら外枠ケース42及び一対の軸受ブラケット41A、41Bによって左右両端が閉塞された概略円筒状に形成されている。
そして、このケーシング40は、固定子20及び回転子30を内部に収容しながら、一対の軸受33A、33Bを介してロータシャフト31を回転自在に支持している。
反駆動側に位置する蓋体43Aは、円板状に形成され、軸受33Aを左右方向L2の外側から塞ぐように軸受ブラケット41Aにボルト等の締結手段により固定されている。これにより、ロータシャフト31の端部をケーシング40の内部に閉じ込めている。一方、駆動側に位置する蓋体43Bは、環状に形成され、ロータシャフト31を径方向の外側から囲むように、軸受ブラケット41Bにボルト等の締結手段により固定されている。
但し、転がり軸受に限定されるものではなく、ロータシャフト31を軸支できればどのようなタイプの軸受でも構わない。また、負荷する荷重の方向に応じて、ラジアル軸受やスラスト軸受等、適宜選択して構わない。
ところで、ケーシング40には、外部から該ケーシング40の内部に冷却風(外気)Aを入気させる入気口50と、この冷却風Aを該ケーシング40の外部に排出させる排気口51とが、それぞれ形成されている。
これら入気口50及び排気口51は、ケーシング40における外枠ケース42の外筒部42aにそれぞれ形成されている。このうち入気口50は、外筒部42aの上部側(車体2側)であって、ロータ鉄心32よりも反駆動側に形成されている。一方、排気口51は、外筒部42aのうちロータ鉄心32よりも駆動側に位置する部分に形成されている。なお、排気口51は、周方向に間隔をあけて複数形成されており、周方向に沿って間欠的に並ぶように配置されている。
このように、これら入気口50及び排気口51の位置や個数、形状等は、例えば台車3との関係や、鉄道車両1の種類等に応じて適宜変更して構わない。
上述のように構成されたケーシング40の内部には、駆動側に位置するロータ鉄心32と軸受33Bとの間においてロータシャフト31と共に回転し、上記入気口50を通じて冷却風Aをケーシング40の内部に取り込むファン55が設けられている。
このファン55は、内周縁部から外周縁部に向かうにつれて左右方向L2の外側に湾曲しながら延びた円筒状の主板55aと、この主板55aの内面(固定子20及び回転子30に対向する面)側に形成された羽根55bと、を備え、その全体の外形形状が概略円錐台状とされている。ファン55の羽根55bは、例えばステータコイル22のコイルエンド22aよりも径方向の外側に位置しており、軸線Oを中心に放射状に形成されている。
ファン55の主板55aの外周縁部は、外筒部42aに形成された排気口51の近傍まで延びており、ケーシング40の内部に取り込まれた冷却風Aを排気口51に向けてスムーズに誘導することが可能とされている。
ところで、図2〜図4に示すように、ロータ鉄心32の内周側には、該ロータ鉄心32を左右方向L2に貫通するように形成され、上記冷却風Aを反駆動側(軸方向の一方側)から駆動側(軸方向の他方側)に向けて流動させる通風ダクト60が形成されている。
図示の例では、通風ダクト60は、周方向に間隔をあけて複数形成されており、周方向に沿って間欠的に並ぶように配置されている。また、一対のロータ鉄心押さえ35には、該ロータ鉄心押さえ35を貫通すると共に通風ダクト60に連通する連通孔35aがそれぞれ形成されている。
具体的には、抵抗低減手段61は通風ダクト60内に圧入された中空管62を備えている。この中空管62は、所定の厚みを有する円筒状の管であり、通風ダクト60と略同じ長さとされ、通風ダクト60の全長に亘って圧入されている。中空管62の外周面は、圧入によって通風ダクト60の内周面に対して接しており、中空管62の内周面は凹凸の少ない滑らかな滑面とされている。
次に、上述したように構成された電動機4の作用について説明する。
鉄道車両1を走行させる場合、図2に示すように、車両用電力変換装置から供給される交流電力をステータコイル22に通電する。これにより、回転磁界を作ることができ、この回転磁界の中に配置されている回転子30のロータバー36に電流が誘起され、その電流と回転磁界との相互作用によってトルクが発生して回転子30が軸線O回りに回転する。特に、ロータ鉄心32は複数枚の鋼板34が積層されることで形成され、ステータ鉄心21も同様に複数枚の鋼板が積層されることで形成されているので、ロータ鉄心32及びステータ鉄心21は共に過電流によるエネルギー損失が抑制されている。これらのことにより、ロータ鉄心32は非常に効率の良い回転を行う。
そして、上記回転力はカップリング10を介してギアボックスに伝わり、該ギアボックスから車軸9及び車輪8に伝達される。その結果、車輪8を駆動でき、鉄道車両1を走行させることができる。
このように、本実施形態の電動機4では、外部からの冷却風Aを利用して、固定子20及び回転子30を冷却し続けて温度上昇を防止できるので、安定した出力性能を発揮することができると共に、さらなる高出力化を図ることも可能である。
ファン55の吸引力により入気口50からケーシング40の内部に取り込まれた冷却風Aは、反駆動側から、ステータ鉄心21とロータ鉄心32との間のエアギャップG、及び中空管62の内部を通って駆動側に流れる。そして、駆動側に達した冷却風Aは、ファン55の羽根55bの回転力により径方向の外側に向けて流れの向きを変えた後、排気口51を通じてケーシング40の外部に排出される。
そして、冷却風Aを取り込んでから排出されるまでの過程において、固定子20及び回転子30を冷却することができる。特に、通風ダクト60内に設けられた中空管62の内部を冷却風Aが流れるので、該中空管62を経由してロータ鉄心32及びロータバー36で発生する熱を冷却風Aに放熱でき、回転子30を効率良く冷却することができる。
なお、図5及び図6では、上記通風孔Rを具備する従来の電動機R1の一例を示している。これら図5及び図6では、本実施形態における構成品と同等の構成品については、同じ符号を付している。
特に、塵埃Mにはロータ鉄心32の回転による遠心力が作用するので、図5及び図6に示すように、通風孔Rの内周面のうち径方向の内側部分よりも径方向の外側部分により多くの堆積物M1が形成される。しかも、付着する塵埃Mの遠心力が加わるので、堆積物M1は固く押し固められてしまう。
このように、従来では、複数の通風孔Rの内周面に塵埃Mが固まった堆積物M1が形成される不都合が生じる。
詳細には、流動時、塵埃Mはロータ鉄心32の回転による遠心力によって中空管62の内周面に押し付けられた状態となるが、この中空管62の内周面は滑らかな滑面となっており、摩擦抵抗が小さい。そのため、塵埃Mが引っ掛かって堆積しはじめる起点をなくすことができ、塵埃Mを堆積させることなく中空管62から速やかに排出させることができる。
また、塵埃Mの堆積を抑制できるので、良好な回転バランスで回転子30を回転させることができ、安定した出力性能を発揮させることができる。これらのことから、鉄道車両1の走行性能の向上化に繋げることができる。
上述した第1の実施形態では、通風ダクト60内に中空管62を圧入させたが、圧入に限定されるものではなく、通風ダクト60内に中空管62を挿入した後、何らかの手段で固定しても構わない。また、通風ダクト60の全長に亘って略同じ長さの中空管62を圧入したが、例えば通風ダクト60よりも長さの短い複数の中空管62を連続して圧入しても構わない。
中空管62の表面粗さをできるだけ小さくすることで、摩擦抵抗をより小さくでき、結果的に流体抵抗をさらに小さくして塵埃Mを付着させ難くすることができる。また、中空管62の熱伝導率を高めることで、回転子30から発生する熱をより効率良く冷却風Aに放熱できるので、冷却効率をさらに高めることができる。
なお、フッ素樹脂からなるコーティング膜65に限定されるものではなく、その他の膜体であっても構わない。また、これら膜体の形成方法としては、塗布や、蒸着、スパッタリングや表面改質等、種々の方法を選択して良く、中空管62の材質等に応じて適宜選択すれば良い。
次に、本発明に係る第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態との異なる点は、中空管62が通風ダクト60内に圧入されているだけでなく、通風ダクト60に係止されている点である。
なお、この第2の実施形態においては、第1の実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
図8に示すように、本実施形態の電動機(車両用電動機)70では、中空管62のうち、冷却風Aが入気してくる反駆動側に開口する入気側開口端から、該中空管62の径方向の外側に向かって環状のフランジ部(係止部)71が設けられている。そして、このフランジ部71がロータ鉄心32の側面に左右方向L2の外側から接触することで、通風ダクト60の開口縁に係止している。
なお、図示の例では、環状のフランジ部71としたが、環状でなくても良く、例えば中空管62の外側に向かって延びた爪状の突起であっても良い。この場合、突起は1つでも構わないし、入気側開口端に沿って間隔をあけて複数形成されていても構わない。
本実施形態の電動機70によれば、第1の実施形態と同様の作用効果を奏功することができることに加え、フランジ部71が通風ダクト60の入気側開口縁に係止しているので、中空管62がそれ以上駆動側に移動することを規制することができる。
従って、冷却風Aの圧力が大きくても、中空管62が通風ダクト60内で駆動側に移動することを防止でき、通風ダクト60内での位置ずれや、通風ダクト60内からの抜けを防止することができる。
上述した第2の実施形態では、中空管62の内周面が軸線Oに対して平行とされていたが、この場合に限定されるものではなく、内周面の少なくとも一部が中空管62の軸方向に延在し且つ軸線Oに対して傾斜する傾斜面とされていても構わない。
次に、本発明に係る第3の実施形態について説明する。
第2の実施形態との異なる点は、フランジ部71を通風ダクト60の入気側開口縁に係止させるのではなく、ロータ鉄心押さえ35に係止する点である。
なお、この第3の実施形態においては、第2の実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
図12に示すように、本実施形態の電動機(車両用電動機)80では、中空管62が反駆動側に位置するロータ鉄心押さえ35に形成された連通孔35a内にも挿入される長さとされており、フランジ部71がロータ鉄心押さえ35の側面に左右方向L2の外側から接触することで、連通孔35aの入気側開口縁に係止している。
本実施形態の電動機80によれば、第2の実施形態と同様の作用効果を奏功することができることに加え、冷却風Aを直ちに中空管62の内部に入れることができるので、さらに抗少なく冷却風Aを流すことができ、通風量を向上させて冷却効率を高めることができる。
上述した第3の実施形態において、図13に示すように、中空管62の外周面と、通風ダクト60の内周面との間に充填材81を充填しても構わない。このようにすることで、ロータ鉄心32を構成する各鋼板34における貫通孔34aと中空管62との間の隙間を充填材81で埋めることができるので、中空管62をがたつかせることなくより安定させることができる。
さらには、フランジ部71の一部を、例えばロータ鉄心押さえ35側に爪状に折り曲げて、この折り曲げた部分をロータ鉄心押さえ35に食いこませるように係止させることで、固定を行っても構わない。
この場合であっても、通風ダクト60内への中空管62の挿入時に係止突起83を係止孔84に嵌め入れて係止させることで、中空管62の回り止めと、反駆動側及び駆動側への中空管62の抜け止めとを同時に行うことができる。
また、係止突起83の位置は、上記のように中空管62の外筒部42aのうち反駆動側ではなく、駆動側寄りに形成しても良く、この場合には、駆動側に位置するロータ鉄心押さえ35側に係止孔84を形成すれば良い。この場合であっても同様の作用効果を奏功することができる。
次に、本発明に係る第4の実施形態について説明する。
第1の実施形態との異なる点は、第1の実施形態では中空管62を利用して通風ダクト60内の流体抵抗を低下させたが、第4の実施形態では、中空管62を利用せずに流体抵抗を低下させる点である。
なお、この第4の実施形態においては、第1の実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
図16及び図17に示すように、本実施形態の電動機(車両用電動機)90では、抵抗低減手段61が、通風ダクト60の内周面に形成された被覆膜91を備えている。この被覆膜91は、通風ダクト60の内周面全体を覆うように形成されている。具体的に、この被覆膜91は、ロータ鉄心32を構成する各鋼板34同士の多少のずれによって生じる凹凸を埋めるように塗布された充填ペースト92(図18参照)が、その後に硬化することで形成された硬化膜である。
本実施形態の電動機90であっても、第1の実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。つまり、通風ダクト60の内周面が被覆膜91で覆われているので、従来よりも流体抵抗を低下させることができ、冷却風Aを抵抗少なくスムーズに流動させることができる。従って、冷却風Aに塵埃Mが含まれていたとしても、従来に比べて塵埃Mを通風ダクト60内から排出させ易くすることができる。
特に、被覆膜91の内周面は滑らかな滑面となっており、摩擦抵抗が小さい。そのため、塵埃Mが引っ掛かって堆積しはじめる起点をなくすことができ、塵埃Mを堆積させることなく中空管62から速やかに排出させることができる。
はじめに、図18に示すように、通風ダクト60の内周面の全体に充填ペースト92を塗布する。この塗布方法としては、特に限定されるものではなく、十分な厚みを持ってムラなく塗布すれば良い。次いで、外周面が凹凸のない滑らかな滑面とされた円柱状の治具ロッド93を、充填ペースト92が塗布された通風ダクト60内に挿入する。
なお、治具ロッド93としては、例えば耐熱性及び離型性に優れたフッ素樹脂等からなる樹脂製であることが好ましい。
なお、上記した被覆膜91の形成方法は一例であり、この場合に限定されるものではない。
上述した第4の実施形態では、通風ダクト60の内周面の全体に被覆膜91を形成したが、この場合に限定されるものではなく、内周面の一部に被覆膜91を形成しても構わない。
例えば、通風ダクト60の内周面のうち、径方向の外側部分にだけ該通風ダクト60の長手方向に沿って被覆膜91を形成しても構わない。この場合であっても、ロータ鉄心32の回転による遠心力によって塵埃Mが押し付けられる側に、被覆膜91を配置できるので、塵埃Mを堆積させることなく中空管62から速やかに排出させることができる。
次に、本発明に係る第5の実施形態について説明する。
第1の実施形態との異なる点は、第1の実施形態では中空管62を利用して通風ダクト60内の流体抵抗を低下させたが、第5の実施形態では、中空管62を利用せずに流体抵抗を低下させる点である。
なお、この第5の実施形態においては、第1の実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
図21及び図22に示すように、本実施形態の電動機(車両用電動機)100では、抵抗低減手段61が、通風ダクト60の内周面を切削加工することで形成された加工面101を備えている。この加工面101は、例えばフライスやリーマ等の図示しない各種の加工工具で切削加工が施された面であり、各鋼板34の隣り合う貫通孔34aの段差によって生み出される凹凸が削られ、滑らかな滑面とされている。
なお、通風ダクト60の内周面の全体が切削加工されているので、通風ダクト60の内径は上記通風孔Rの内径よりも切削加工の分だけ僅かに大きい。
本実施形態の電動機100であっても、第1の実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。つまり、通風ダクト60の内周面が加工面101とされているので、従来よりも流体抵抗を低下させることができ、冷却風Aを抵抗少なくスムーズに流動させることができる。従って、冷却風Aに塵埃Mが含まれていたとしても、従来に比べて塵埃Mを通風ダクト60内から排出させ易くすることができる。
特に、加工面101は滑らかな滑面であるので、摩擦抵抗が小さい。そのため、塵埃Mが引っ掛かって堆積しはじめる起点をなくすことができ、塵埃Mを堆積させることなく中空管62から速やかに排出させることができる。
上述した第5の実施形態では、通風ダクト60の内周面の全体を切削加工によって加工面101としたが、この場合に限定されるものではなく、内周面の一部を切削加工することで加工面101としても構わない。
この場合であっても、ロータ鉄心32の回転による遠心力によって塵埃Mが押し付けられる側に、加工面101を配置できるので、塵埃Mを堆積させることなく中空管62から速やかに排出させることができる。
また、フレーム付きの電動機で説明したが、フレームレス構造の電動機であっても良い。さらには、誘導電動機を例に挙げて説明したが、電動機の種類としては、誘導電動機に限定されるものではなく、永久磁石式等、各種形式の電動機に適用することが可能である。
さらに、ファン55の回転による吸引力により冷却風Aを入気口50からケーシング40の内部に取り込むが、この冷却風Aとしては、例えば走行に伴って生じる走行風を利用しても構わないし、或いはブロア等を車体2に設置し、このブロアによって強制的に冷却風Aを発生させ、その冷却風Aを入気口50まで導いても構わない。
G…エアギャップ(微小隙間)
M…塵埃
O…軸線
R…通風孔
L1…前後方向
L2…左右方向
L3…上下方向
M1…堆積物
R1…従来の電動機
1…鉄道車両
2…車体
3…台車
3a…軸箱
4、70、80、90、100…電動機(車両用電動機)
5…架線
6…パンタグラフ
7…緩衝装置
8…車輪
9…車軸
10…カップリング(継手)
20…固定子
21…ステータ鉄心
22…ステータコイル
22a…コイルエンド
23…鉄心押さえ
30…回転子
31…ロータシャフト
32…ロータ鉄心
33A、33B…軸受
34…鋼板(電磁鋼板)
34a…貫通孔
35…ロータ鉄心押さえ
35a…連通孔
36…ロータバー
36a…バーエンド
37…短絡環
40…ケーシング
41A、41B…軸受ブラケット
42…外枠ケース
42a…外筒部
42b…側壁部
43A、43B…蓋体
50…入気口
51…排気口
55…ファン
55a…主板
55b…羽根
60…通風ダクト
61…抵抗低減手段
62…中空管
65…コーティング膜(膜体)
70…電動機(車両用電動機)
71…フランジ部(係止部)
72、73、74…傾斜面
81…充填材
82…ボルト
83…係止突起(係止部)
84…係止孔
91…被覆膜
92…充填ペースト
93…治具ロッド
101…加工面
Claims (4)
- 車体と、
前記車体に取り付けられた車両用電動機と、を備え、
前記車両用電動機は、
ステータ鉄心と、
貫通孔を有する複数の鋼板を積層し、外気を取り込んで冷却風を送風するファンが固定された軸線回りに回転するロータシャフトに固定されると共に、前記ステータ鉄心の径方向内側に配置されたロータ鉄心と、
前記ロータシャフトに固定されると共に、前記ロータ鉄心を前記軸線方向両側から挟んで前記ロータシャフトに前記ロータ鉄心を固定するロータ鉄心押さえと、
複数の前記貫通孔により形成され、外部からの前記冷却風を軸方向の一方側から軸方向の他方側に向けて流動させる通風ダクトと、
前記ロータ鉄心押さえを貫通すると共に、前記通風ダクトに連通する連通孔と、
を備え、
前記通風ダクト、及び前記連通孔内には、前記複数の鋼板の積層によって前記貫通孔が軸方向に繋がった通風孔よりも、前記流動時における流体抵抗を低下させる、抵抗低減手段が設けられており、
前記抵抗低減手段は、
前記通風ダクト、及び前記連通孔内に挿入され内周面が凹凸の少ない滑らかな滑面とされた中空管を備え、
前記中空管の外周面と前記通風ダクトの内周面との間にのみ、エポキシ・コンパウンド及びシリコンゴム・コンパウンドのうちのいずれか一方が充填されている鉄道車両。 - 請求項1に記載の鉄道車両において、
前記中空管には、前記通風ダクトの開口縁又は前記ロータ鉄心押さえに係止される係止部が設けられている鉄道車両。 - 請求項1又は2に記載の鉄道車両において、
前記中空管の内周面には、前記軸方向に延在し且つ前記軸線に対して傾斜する傾斜面が形成されている鉄道車両。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の鉄道車両において、
前記中空管の内周面には、膜体が形成されている鉄道車両。
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