JP6437186B2 - 鉄道車両 - Google Patents

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本発明の実施形態は、道車両に関する。
一般に、鉄道車両では、車体の床下に配置された台車に主電動機(以下、単に電動機という)を取り付け、外部から供給される電力により電動機に回転力を発生させ、その回転力を継手(カップリング)及び歯車装置(ギアボックス)を介して車輪に伝達することで、車両を走行させている。
従来、この種の電動機としては、ロータシャフトに取り付けられた回転鉄心と、この回転鉄心に埋め込まれた複数のロータバーと、各ロータバーのうち回転鉄心よりもロータシャフトの軸方向に張り出している張出し部分を一体的に連結する短絡環と、を有するかご型回転子を具備する誘導電動機が主に採用されている。
回転鉄心は、環状の固定子の径方向内側に配置されており、鉄心押さえによって軸方向の両側から挟み込まれた状態でロータシャフトに取り付けられている。固定子は、該固定子及び回転子を覆うケーシングの内側に取り付けられている。このケーシングには、ロータシャフトの軸方向両端部をそれぞれ回転自在に支持する一対の軸受が設けられている。これにより、ケーシングは、固定子や回転鉄心を内部に収容した状態で軸受を介してロータシャフトを回転自在に支持している。
ところで、電動機の冷却方式として、ロータシャフトと共に回転するファンを利用して外気を電動機内部に取り込み、固定子や回転鉄心に直接外気を当てて、これらを効率良く冷却するものが知られている。
例えば、従来の電動機では、外気を取り込む入気口と、外気を排出する排気口とがそれぞれケーシングに形成されている。この際、入気口及び排気口は、回転鉄心を挟んで軸方向の反対側に位置するように形成されている。ケーシングの内部には、ロータシャフトと共に回転するファンが、排気口側に位置する軸受と鉄心押さえとの間に設けられている。このファンは、略放射状に形成された複数の羽根を具備しており、これら羽根の回転による吸引力により外気を取り込むことが可能とされている。
このような構成のもとロータシャフトが回転すると、それに伴ってファンが回転するので、該ファンに形成された羽根による吸引力を利用して入気口からケーシングの内部に外気を取り込むことができる。この取り込まれた外気は、冷却風となって、例えば固定子を構成するステータ鉄心と回転鉄心との間に形成された微小隙間(エアギャップ)を通過した後、ファンによって流れの向きを変えて排気口からケーシングの外部に排出される。そして、この過程において、固定子及び回転子をそれぞれ冷却するので、固定子及び回転子が過度に発熱することを抑制でき、安定した出力性能を長時間に亘って発揮させることができる。
また、一般的には回転子の冷却効率を高めるために、回転鉄心には該回転鉄心をロータシャフトの軸方向に貫通する通風孔が周方向に間隔をあけて複数形成されている。これにより、冷却風は上記エアギャップだけでなく複数の通風孔内を流れるので、回転子を積極的に冷却することが可能とされている。
特開平5−227702号公報
しかしながら、ケーシングの内部に外気を取り込んで冷却を行う場合、外気と共に各種の塵埃(鉄粉や砂塵等の微粒子状の塵や埃等を含む)も同時に取り込まれてしまう。そこで、従来では、入気口に例えばフィルターを設置し、このフィルターで外気を濾過することで塵埃を除去する対策を取ることが知られている。
ところが、微小な塵埃については、フィルターをすり抜けてしまい、ケーシングの内部に入り込んでしまう。フィルターの網目(メッシュ)を細かくすることで、微小な塵埃を捕捉することが可能となるが、その分、フィルターの清掃回数が多くなってしまい、保守点検に多大な労力がかかってしまう。よって、実際には網目を細かくすることには限度がある。仮に網目を微細にしたとしても、塵埃を完全に捕捉できるものではなく、ケーシング内部への進入を完全に防止することは難しい。このようなことから、ケーシングの内部には外気と共に塵埃が取り込まれてしまう。
この取り込まれた塵埃は、そのほとんどがエアギャップや通風孔内を流れて排気口からケーシングの外部に排出されるが、その一部については通風孔内に付着して、徐々に堆積していくことが知られている。上記通風孔は通風量が多いうえ、回転子と共に回転するので、該通風孔内を流れる塵埃に遠心力が作用する。そのため、通風孔の内周面に塵埃が押し付けられてしまい、付着し易い状況にあるものと考えられる。
特に、回転鉄心は、過電流によるエネルギー損失を低減するための対策として、一般的にロータシャフトの軸方向に薄い鋼板(例えばケイ素鋼板)を複数枚積層することで形成されている場合が多い。このとき、各鋼板に予めプレス等により貫通孔を形成しておき、積層時にこれら各貫通孔を軸方向に繋げることで上記通風孔としている。そのため、通風孔の内周面には、積層時における鋼板同士の多少のずれ等に起因する微小な凹凸が軸方向に連続して生じてしまう。
従って、遠心力により通風孔の内周面に押し付けられた塵埃は、上記凹凸に引っ掛かることで余計に付着し易い。しかも、この凹凸を起点として塵埃が次々に付着して堆積し易いうえ、その堆積量は加速度的に増加してしまう。加えて、遠心力が作用しながら塵埃が堆積するので、堆積物は強く押し固められて硬い塊となり易い。このような塊が生じてしまうと、この塊が堰となって塵埃のさらなる堆積を引き起こすという悪循環を招いてしまう。このようなことから、通風孔内には塵埃の堆積物が溜まり易く、外気の通風量を低下させたり、回転子の回転バランスに影響を与えたりする可能性があるので、対策が望まれている。
上記を鑑みて各実施形態が解決する課題は、塵埃が堆積することを抑制しながら、外部から取り込んだ冷却風(外気)を利用して冷却を行うことができる鉄道車両を提供することである。
実施形態における鉄道車両は、車体と、車体に取り付けられた車両用電動機と、を備える。車両用電動機は、ステータ鉄心と、貫通孔を有する複数の鋼板を積層し、外気を取り込んで冷却風を送風するファンが固定された軸線回りに回転するロータシャフトに固定されると共に、前記ステータ鉄心の径方向内側に配置されたロータ鉄心と、前記ロータシャフトに固定されると共に、前記ロータ鉄心を前記軸線方向両側から挟んで前記ロータシャフトに前記ロータ鉄心を固定するロータ鉄心押さえと、複数の前記貫通孔により形成され、外部からの前記冷却風を軸方向の一方側から軸方向の他方側に向けて流動させる通風ダクトと、前記ロータ鉄心押さえを貫通すると共に、前記通風ダクトに連通する連通孔と、を備え、前記通風ダクト、及び前記連通孔内には、前記複数の鋼板の積層によって前記貫通孔が軸方向に繋がった通風孔よりも、前記流動時における流体抵抗を低下させる、抵抗低減手段が設けられており、前記抵抗低減手段は、前記通風ダクト、及び前記連通孔内に挿入され内周面が凹凸の少ない滑らかな滑面とされた中空管を備え、前記中空管の外周面と前記通風ダクトの内周面との間にのみ、エポキシ・コンパウンド及びシリコンゴム・コンパウンドのうちのいずれか一方が充填されている。
実施形態における鉄道車両は、前記車両用電動機と、前記車両用電動機が取り付けられた車体と、を備える。
第1の実施形態における鉄道車両を示す図である。 図1に示す電動機の縦断面図である。 図2に示す電動機の上半分を拡大した縦断面図であって、通風ダクト周辺を拡大した図である。 図2に示すB−B線に沿ったロータ鉄心の断面図である。 比較例として示した従来の電動機の上半分を拡大した縦断面図であって、通風孔周辺を拡大した図である。 図5に示すC−C線に沿ったロータ鉄心の断面図である。 第1の実施形態の変形例を示す図であって、通風ダクト周辺を拡大した図である。 第2の実施形態における電動機の上半分を拡大した縦断面図であって、通風ダクト周辺を拡大した図である。 第2の実施形態の変形例を示す図であって、通風ダクト周辺を拡大した図である。 第2の実施形態の別の変形例を示す図であって、通風ダクト周辺を拡大した図である。 第2の実施形態のさらに別の変形例を示す図であって、通風ダクト周辺を拡大した図である。 第3の実施形態における電動機の上半分を拡大した縦断面図であって、通風ダクト周辺を拡大した図である。 第3の実施形態の変形例を示す図であって、中空管の入気側周辺を拡大した図である。 第3の実施形態の別の変形例を示す図であって、中空管の入気側周辺を拡大した図である。 第3の実施形態のさらに別の変形例を示す図であって、中空管の入気側周辺を拡大した図である。 第4の実施形態における電動機の縦断面図である。 図16に示す通風ダクトの一部を拡大した図である。 図17に示す被覆膜の形成方法の一例を示す図であって、通風ダクトの内周面に充填ペーストを塗布した状態を示す図である。 図18に示す状態から、通風ダクト内に治具ロッドを挿入した状態を示す図である。 図19に示す状態から、充填ペーストを硬化させた後、治具ロッドを引き抜いた状態を示す図である。 第5の実施形態における電動機の縦断面図である。 図21に示す通風ダクトの一部を拡大した図である。 第5の実施形態における変形例を示す図であって、通風ダクト周辺を拡大した縦断面図である。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。
<第1の実施形態>
〔鉄道車両の構成〕
図1に示すように、本実施形態の鉄道車両1は、車体2と、この車体2の床下に台車3を介して設置された電動機(車両用電動機)4と、を備えている。
上記車体2には、図示しない車両用電力変換装置が例えば車体2の床下に取り付けられている。そして、この車両用電力変換装置が、架線5からパンタグラフ6を介して供給された直流電力又は図示しない電力供給源から供給された直流電力を、交流電力に変換し、電動機4や車体2における図示しない各電気装備品(空調機等)に交流電力を供給している。
なお、本実施形態では、車体2の前方及び後方を結ぶ方向を「前後方向L1」、車体2の車幅方向を「左右方向L2」、車体2の高さ方向を「上下方向L3」という。
上記台車3は、例えば空気ばね等の緩衝装置7を介して車体2の床下に取り付けられている。そして、この台車3に左右の車輪8が軸支されると共に、車輪8の近傍に上記電動機4が位置するように取り付けられている。
具体的には、電動機4は、左右の車輪8を連結すると共に台車3の軸箱3aを介して軸支された車軸9に対して、後述するロータシャフト31が平行になるように(左右方向L2に沿って配置されるように)台車3に固定されている。この電動機4のロータシャフト31は、図2に示すカップリング(継手)10を介して図示しないギアボックスから突出した駆動軸に連結されている。このギアボックス内には、車軸9に機械的に連結された図示しないギア、及び該ギアに噛合すると共に上記駆動軸に機械的に連結された図示しないピニオンが少なくとも配置されている。
これにより、電動機4は、供給された交流電力により回転駆動し、ギアボックスを介して回転力を車軸9及び車輪8に伝達することで鉄道車両1の走行を可能とさせている。
〔電動機の構成〕
上記電動機4について、詳細に説明する。
図2に示すように、電動機4は、固定子20と、軸線O回りに回転するロータシャフト31と接続される回転子30と、これら固定子20及び回転子30の周囲を覆うケーシング40と、を備えた車両駆動用主電動機である。
なお、本実施形態では、単に径方向という場合は軸線Oに直交する方向をさし、周方向という場合には軸線O回りに周回する方向をさす。また、ロータシャフト31は車軸9に対して平行に配置されているので、該ロータシャフト31の軸方向は左右方向L2に一致する。なお、軸方向のうちロータシャフト31がカップリング10と連結する側を駆動側といい、その反対側を反駆動側という。
(固定子)
上記固定子20は、ステータ鉄心21及びステータコイル22を備えている。
ステータ鉄心21は、鉄心(鋼板)を複数枚積層することでリング状に形成されており、回転子30を構成するロータ鉄心32の径方向の外側に配置されている。この際、ステータ鉄心21は、環状に形成された一対の鉄心押さえ23によって、左右方向L2の両側から挟まれるように固定されている。そして、ステータ鉄心21及び一対の鉄心押さえ23は、後述する外枠ケース42における外筒部42aの内周面側に固定されることで、ケーシング40に支持されている。
ステータ鉄心21の内周側には、左右方向L2に延びた図示しない溝部が周方向に沿って間隔をあけて複数形成されており、これら複数の溝部のそれぞれに上記ステータコイル22が埋め込まれている。この際、ステータコイル22のコイルエンド22aは、ステータ鉄心21よりも左右方向L2の外側に張り出すように突出している。
(回転子)
上記回転子30は、固定子20よりも径方向の内側に配設されて軸線O回りに回転するインナーロータとされ、左右方向L2に延びる上記ロータシャフト31に固定されたロータ鉄心32を備えている。
ロータシャフト31は、ケーシング40の内部に挿入されており、反駆動側に位置する端部が軸受33Aによって軸支され、駆動側に位置する端部が軸受33Bによって軸支されている。そして、このロータシャフト31は、ケーシング40の外部において、先に説明したようにカップリング10を介してギアボックスの駆動軸に連結されている。
なお、図示の例では、ロータシャフト31は軸方向に径が適宜変化する多段軸とされている場合を例に挙げているが、この場合に限定されるものではない。
ロータ鉄心32は、図2及び図3に示すように、複数枚の鋼板(電磁鋼板)34を左右方向L2に積層することで形成されたリング状の積層構造体とされ、ステータ鉄心21に対して径方向の内側に位置するようにロータシャフト31に固定されている。この際、ロータ鉄心32の外周面とステータ鉄心21の内周面との間には、所定のエアギャップ(微小隙間)Gが全周に亘って環状に確保されている。また、ロータ鉄心32は、環状に形成された一対のロータ鉄心押さえ35によって、左右方向L2の両側から挟まれるようにロータシャフト31に固定されている。
ロータ鉄心32の外周側には、左右方向L2に延びた図示しない溝部が周方向に沿って間隔をあけて複数形成されており、これら複数の溝部のそれぞれにロータバー36が埋め込まれている。この際、ロータバー36のバーエンド36aは、ロータ鉄心32よりも左右方向L2の外側に張り出すように突出している。そして、各ロータバー36のバーエンド36aは、環状の短絡環37によって一体的に連結されている。これにより、回転子30は誘導電動機としてのかご型回転子として機能する。
(ケーシング)
図2に示すように、ケーシング40は、一対の軸受33A、33Bの径方向の外側にそれぞれ配置された環状の一対の軸受ブラケット41A、41Bと、ロータシャフト31を径方向の外側から囲みながら一対の軸受ブラケット41A、41Bにそれぞれ接続された外枠ケース42と、を備え、これら外枠ケース42及び一対の軸受ブラケット41A、41Bによって左右両端が閉塞された概略円筒状に形成されている。
そして、このケーシング40は、固定子20及び回転子30を内部に収容しながら、一対の軸受33A、33Bを介してロータシャフト31を回転自在に支持している。
外枠ケース42は、ロータシャフト31を径方向の外側から囲むように円筒状に形成された外筒部42aと、この外筒部42aのうち反駆動側に位置する開口端から径方向の内側に向けて延びた環状の側壁部42bと、を有している。
駆動側に位置する軸受ブラケット41Bは、その外周縁部が上記外筒部42aと同径となる程度、径方向の外側に延びており、駆動側に開口している外筒部42aの開口端を左右方向L2の外側から塞ぐように該外筒部42aに接続されている。
なお、反駆動側に位置する軸受ブラケット41Aとロータシャフト31との間、及び駆動側に位置する軸受ブラケット41Bとロータシャフト31との間は、それぞれラビリンスシール構造によりシール性が確保されている。
一対の軸受ブラケット41A、41Bには、軸受33A、33Bよりも左右方向L2の外側に位置する部分にそれぞれ蓋体43A、43Bが取り付けられている。
反駆動側に位置する蓋体43Aは、円板状に形成され、軸受33Aを左右方向L2の外側から塞ぐように軸受ブラケット41Aにボルト等の締結手段により固定されている。これにより、ロータシャフト31の端部をケーシング40の内部に閉じ込めている。一方、駆動側に位置する蓋体43Bは、環状に形成され、ロータシャフト31を径方向の外側から囲むように、軸受ブラケット41Bにボルト等の締結手段により固定されている。
なお、蓋体43A、43Bの固定方法は、上記の場合に限定されるものではない。また、図示の例では、一対の軸受33A、33Bを、内輪側がロータシャフト31に固定されると共に外輪側が軸受ブラケット41A、41Bに固定されて、両輪の間にボール等の転動体が配設された転がり軸受としている。
但し、転がり軸受に限定されるものではなく、ロータシャフト31を軸支できればどのようなタイプの軸受でも構わない。また、負荷する荷重の方向に応じて、ラジアル軸受やスラスト軸受等、適宜選択して構わない。
(ケーシングの入気口及び排気口)
ところで、ケーシング40には、外部から該ケーシング40の内部に冷却風(外気)Aを入気させる入気口50と、この冷却風Aを該ケーシング40の外部に排出させる排気口51とが、それぞれ形成されている。
これら入気口50及び排気口51は、ケーシング40における外枠ケース42の外筒部42aにそれぞれ形成されている。このうち入気口50は、外筒部42aの上部側(車体2側)であって、ロータ鉄心32よりも反駆動側に形成されている。一方、排気口51は、外筒部42aのうちロータ鉄心32よりも駆動側に位置する部分に形成されている。なお、排気口51は、周方向に間隔をあけて複数形成されており、周方向に沿って間欠的に並ぶように配置されている。
但し、入気口50及び排気口51は上記の場合に限定されるものではない。例えば、入気口50が駆動側に形成され、排気口51が反駆動側に形成されていても構わない。また、入気口50が外枠ケース42における外筒部42aに形成されているのではなく、側壁部42bに形成されていても構わない。更に、排気口51は周方向に沿って間欠的に並ぶように形成されているのではなく、例えば上部側(車体2側)や下部側(線路側)に1か所形成されていても構わない。
このように、これら入気口50及び排気口51の位置や個数、形状等は、例えば台車3との関係や、鉄道車両1の種類等に応じて適宜変更して構わない。
(ファン)
上述のように構成されたケーシング40の内部には、駆動側に位置するロータ鉄心32と軸受33Bとの間においてロータシャフト31と共に回転し、上記入気口50を通じて冷却風Aをケーシング40の内部に取り込むファン55が設けられている。
このファン55は、内周縁部から外周縁部に向かうにつれて左右方向L2の外側に湾曲しながら延びた円筒状の主板55aと、この主板55aの内面(固定子20及び回転子30に対向する面)側に形成された羽根55bと、を備え、その全体の外形形状が概略円錐台状とされている。ファン55の羽根55bは、例えばステータコイル22のコイルエンド22aよりも径方向の外側に位置しており、軸線Oを中心に放射状に形成されている。
このファン55は、例えば主板55aの内周縁部がロータ鉄心押さえ35の一部に当接(密着)した状態で、ロータシャフト31に対して嵌着されている。但し、この場合に限定されるものではなく、例えば内周縁部がロータ鉄心押さえ35に当接しながら該ロータ鉄心押さえ35に対して嵌着されていても構わない。いずれにしても、ロータシャフト31と共に回転可能であれば、ファン55はどのように固定されても構わない。
ファン55の主板55aの外周縁部は、外筒部42aに形成された排気口51の近傍まで延びており、ケーシング40の内部に取り込まれた冷却風Aを排気口51に向けてスムーズに誘導することが可能とされている。
このように構成されたファン55がロータシャフト31と共に回転することで吸引力が発生し、この吸引力を利用して入気口50を通じて外部からケーシング40の内部に冷却風Aを取り込むことが可能となる。そして、取り込んだ冷却風Aを、ケーシング40の内部で上下方向L3に沿って流動させながら、反駆動側から駆動側に向けて流動させた後、排気口51を通じてケーシング40の外部に排出させることが可能となり、その過程において冷却を行うことができる。この点は、後に詳細に説明する。
(通風ダクト)
ところで、図2〜図4に示すように、ロータ鉄心32の内周側には、該ロータ鉄心32を左右方向L2に貫通するように形成され、上記冷却風Aを反駆動側(軸方向の一方側)から駆動側(軸方向の他方側)に向けて流動させる通風ダクト60が形成されている。
図示の例では、通風ダクト60は、周方向に間隔をあけて複数形成されており、周方向に沿って間欠的に並ぶように配置されている。また、一対のロータ鉄心押さえ35には、該ロータ鉄心押さえ35を貫通すると共に通風ダクト60に連通する連通孔35aがそれぞれ形成されている。
そして、この通風ダクト60内には、複数の鋼板34の積層によって、各鋼板34の貫通孔34aが軸方向に繋がった通風孔(図5参照)Rよりも、冷却風Aの流動時における流体抵抗を低下させる抵抗低減手段61が設けられている。
具体的には、抵抗低減手段61は通風ダクト60内に圧入された中空管62を備えている。この中空管62は、所定の厚みを有する円筒状の管であり、通風ダクト60と略同じ長さとされ、通風ダクト60の全長に亘って圧入されている。中空管62の外周面は、圧入によって通風ダクト60の内周面に対して接しており、中空管62の内周面は凹凸の少ない滑らかな滑面とされている。
〔作用効果〕
次に、上述したように構成された電動機4の作用について説明する。
鉄道車両1を走行させる場合、図2に示すように、車両用電力変換装置から供給される交流電力をステータコイル22に通電する。これにより、回転磁界を作ることができ、この回転磁界の中に配置されている回転子30のロータバー36に電流が誘起され、その電流と回転磁界との相互作用によってトルクが発生して回転子30が軸線O回りに回転する。特に、ロータ鉄心32は複数枚の鋼板34が積層されることで形成され、ステータ鉄心21も同様に複数枚の鋼板が積層されることで形成されているので、ロータ鉄心32及びステータ鉄心21は共に過電流によるエネルギー損失が抑制されている。これらのことにより、ロータ鉄心32は非常に効率の良い回転を行う。
そして、上記回転力はカップリング10を介してギアボックスに伝わり、該ギアボックスから車軸9及び車輪8に伝達される。その結果、車輪8を駆動でき、鉄道車両1を走行させることができる。
また、回転子30のロータシャフト31が回転すると、その回転に伴ってファン55が回転して吸引力が発生するので、その吸引力により入気口50を通じて外部から冷却風Aをケーシング40の内部に取り込むことができる。そのため、ケーシング40の内部において、冷却風Aと、固定子20及び回転子30とを熱交換させて、これら固定子20及び回転子30を適切に冷却することができる。そして、熱交換により温度が上昇した冷却風Aは、排気口51を通じてケーシング40の外部に排出される。
このように、本実施形態の電動機4では、外部からの冷却風Aを利用して、固定子20及び回転子30を冷却し続けて温度上昇を防止できるので、安定した出力性能を発揮することができると共に、さらなる高出力化を図ることも可能である。
ここで、上記冷却風Aの流れについてより詳細に説明する。
ファン55の吸引力により入気口50からケーシング40の内部に取り込まれた冷却風Aは、反駆動側から、ステータ鉄心21とロータ鉄心32との間のエアギャップG、及び中空管62の内部を通って駆動側に流れる。そして、駆動側に達した冷却風Aは、ファン55の羽根55bの回転力により径方向の外側に向けて流れの向きを変えた後、排気口51を通じてケーシング40の外部に排出される。
そして、冷却風Aを取り込んでから排出されるまでの過程において、固定子20及び回転子30を冷却することができる。特に、通風ダクト60内に設けられた中空管62の内部を冷却風Aが流れるので、該中空管62を経由してロータ鉄心32及びロータバー36で発生する熱を冷却風Aに放熱でき、回転子30を効率良く冷却することができる。
ところで、各通風ダクト60内に中空管62が配設されているので、各鋼板34の貫通孔34aが単に軸方向に繋がった図5及び図6に示す従来の通風孔Rよりも、流体抵抗を低下させることができる。
なお、図5及び図6では、上記通風孔Rを具備する従来の電動機R1の一例を示している。これら図5及び図6では、本実施形態における構成品と同等の構成品については、同じ符号を付している。
図5に示す従来の通風孔Rでは、積層時における鋼板34同士の僅かな位置ずれによって、その内周面には隣り合う貫通孔34aの段差によって作り出される微小な凹凸が軸方向に連続して生じている。そのため、外部からの冷却風Aに塵埃Mが含まれていると、これら塵埃Mが凹凸部分に付着すると共に、次第に堆積して通風孔Rの内周面を覆う堆積物M1となってしまう。
特に、塵埃Mにはロータ鉄心32の回転による遠心力が作用するので、図5及び図6に示すように、通風孔Rの内周面のうち径方向の内側部分よりも径方向の外側部分により多くの堆積物M1が形成される。しかも、付着する塵埃Mの遠心力が加わるので、堆積物M1は固く押し固められてしまう。
このように、従来では、複数の通風孔Rの内周面に塵埃Mが固まった堆積物M1が形成される不都合が生じる。
これに対して、本実施形態の電動機4によれば、上述したように従来よりも流体抵抗を低下させることができるので、図3に示すように、冷却風Aに塵埃Mが含まれていたとしても、従来に比べて塵埃Mを通風ダクト60内から排出させ易くすることができる。
詳細には、流動時、塵埃Mはロータ鉄心32の回転による遠心力によって中空管62の内周面に押し付けられた状態となるが、この中空管62の内周面は滑らかな滑面となっており、摩擦抵抗が小さい。そのため、塵埃Mが引っ掛かって堆積しはじめる起点をなくすことができ、塵埃Mを堆積させることなく中空管62から速やかに排出させることができる。
以上説明したように本実施形態の電動機4によれば、塵埃Mが堆積することを抑制した状態で外部から取り込んだ冷却風Aを通風ダクト60内に流すことができ、冷却性能を十分に維持しながら、確実且つ効率の良い冷却を行うことができる。従って、従来に比べて、電動機4の保守回帰のサイクルを効果的に延ばすことができると共に、保守項目の大幅な低減を期待できるので、理想的な鉄道車両用電動機とすることができる。
また、塵埃Mの堆積を抑制できるので、良好な回転バランスで回転子30を回転させることができ、安定した出力性能を発揮させることができる。これらのことから、鉄道車両1の走行性能の向上化に繋げることができる。
〔第1の実施形態の変形例〕
上述した第1の実施形態では、通風ダクト60内に中空管62を圧入させたが、圧入に限定されるものではなく、通風ダクト60内に中空管62を挿入した後、何らかの手段で固定しても構わない。また、通風ダクト60の全長に亘って略同じ長さの中空管62を圧入したが、例えば通風ダクト60よりも長さの短い複数の中空管62を連続して圧入しても構わない。
また、通風ダクト60の全長に亘って中空管62を配置することが好ましいが、必ずしもこの場合に限定されるものではなく、例えば通風ダクト60のうち反駆動側の一部や、中央部分や、駆動側の一部等に中空管62を配置しても良い。
また、中空管62の材質としては、特に限定されるものではなく、例えば金属製でも構わないし、樹脂製(フッ素樹脂や強化プラスチック等)でも構わない。金属製とする場合には、例えばロータ鉄心32を構成する鋼板34と略同等の熱膨張係数を有する金属材料を用いることが好ましい。この場合には、ロータ鉄心32の熱膨張による変形に中空管62を追従させることができるので、通風ダクト60と中空管62との間に隙間を生じ難くさせることができる。
このように、中空管62の材質としては特に限定されるものではないが、より好ましくは表面粗さができるだけ小さく、熱伝導率ができるだけ優れているものが良い。
中空管62の表面粗さをできるだけ小さくすることで、摩擦抵抗をより小さくでき、結果的に流体抵抗をさらに小さくして塵埃Mを付着させ難くすることができる。また、中空管62の熱伝導率を高めることで、回転子30から発生する熱をより効率良く冷却風Aに放熱できるので、冷却効率をさらに高めることができる。
このような観点から、図7に示すように、中空管62の内周面に、例えばフッ素樹脂からなるコーティング膜(膜体)65を形成することが好ましい。特に、フッ素樹脂は、一般的な回転子30の設計最高温度以上の耐熱性を十分に有すると共に、表面粗さを非常に小さくできるので、上述した作用効果を発揮することができ、好ましい。加えて、滑り性、離型性、撥水性や撥油性等のいずれかについても向上させることが期待できるので、塵埃Mを付着させ難くすることができ、好ましい。
なお、フッ素樹脂からなるコーティング膜65に限定されるものではなく、その他の膜体であっても構わない。また、これら膜体の形成方法としては、塗布や、蒸着、スパッタリングや表面改質等、種々の方法を選択して良く、中空管62の材質等に応じて適宜選択すれば良い。
<第2の実施形態>
次に、本発明に係る第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態との異なる点は、中空管62が通風ダクト60内に圧入されているだけでなく、通風ダクト60に係止されている点である。
なお、この第2の実施形態においては、第1の実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
〔電動機の構成〕
図8に示すように、本実施形態の電動機(車両用電動機)70では、中空管62のうち、冷却風Aが入気してくる反駆動側に開口する入気側開口端から、該中空管62の径方向の外側に向かって環状のフランジ部(係止部)71が設けられている。そして、このフランジ部71がロータ鉄心32の側面に左右方向L2の外側から接触することで、通風ダクト60の開口縁に係止している。
なお、図示の例では、環状のフランジ部71としたが、環状でなくても良く、例えば中空管62の外側に向かって延びた爪状の突起であっても良い。この場合、突起は1つでも構わないし、入気側開口端に沿って間隔をあけて複数形成されていても構わない。
〔作用効果〕
本実施形態の電動機70によれば、第1の実施形態と同様の作用効果を奏功することができることに加え、フランジ部71が通風ダクト60の入気側開口縁に係止しているので、中空管62がそれ以上駆動側に移動することを規制することができる。
従って、冷却風Aの圧力が大きくても、中空管62が通風ダクト60内で駆動側に移動することを防止でき、通風ダクト60内での位置ずれや、通風ダクト60内からの抜けを防止することができる。
〔第2の実施形態の変形例〕
上述した第2の実施形態では、中空管62の内周面が軸線Oに対して平行とされていたが、この場合に限定されるものではなく、内周面の少なくとも一部が中空管62の軸方向に延在し且つ軸線Oに対して傾斜する傾斜面とされていても構わない。
例えば、図9に示すように、中空管62の内周面のうち径方向の外側に位置する部分が、反駆動側から駆動側に向かうにしたがって軸線Oから漸次離間するように傾斜した傾斜面72を有する中空管62であっても良い。この場合には、ロータ鉄心32の回転によって遠心力が作用すると、冷却風A及び塵埃Mが傾斜面72を下降するため、塵埃Mの抜けを良くすることができ、通風量を向上させて冷却効率を向上させることができる。
また、図10に示すように、内周面の全体が反駆動側から駆動側に向かうにしたがって拡径するように断面テーパ状に傾斜した傾斜面73を有する中空管62であっても良い。この場合であっても、同様に冷却風A及び塵埃Mの抜けを良くすることができるので、通風量を向上させて冷却効率を向上させることができる。
さらに、図11に示すように、中空管62の内周面のうち径方向の外側に位置する部分と、径方向の内側に位置する部分とが、共に反駆動側から駆動側に向かうにしたがって軸線Oから漸次離間するように傾斜した傾斜面74を有する中空管62であっても良い。この場合には、内径を変化させることなく、中空管62の内部を斜めに傾斜させることができるので、冷却風A及び塵埃Mの通過速度を保ちながら中空管62を通過させることが可能である。そのため、冷却風A及び塵埃Mの抜けをさらに良くして通風量を向上できるので、冷却効率をさらに向上させることができる。
<第3の実施形態>
次に、本発明に係る第3の実施形態について説明する。
第2の実施形態との異なる点は、フランジ部71を通風ダクト60の入気側開口縁に係止させるのではなく、ロータ鉄心押さえ35に係止する点である。
なお、この第3の実施形態においては、第2の実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
〔電動機の構成〕
図12に示すように、本実施形態の電動機(車両用電動機)80では、中空管62が反駆動側に位置するロータ鉄心押さえ35に形成された連通孔35a内にも挿入される長さとされており、フランジ部71がロータ鉄心押さえ35の側面に左右方向L2の外側から接触することで、連通孔35aの入気側開口縁に係止している。
〔作用効果〕
本実施形態の電動機80によれば、第2の実施形態と同様の作用効果を奏功することができることに加え、冷却風Aを直ちに中空管62の内部に入れることができるので、さらに抗少なく冷却風Aを流すことができ、通風量を向上させて冷却効率を高めることができる。
〔第3の実施形態の変形例〕
上述した第3の実施形態において、図13に示すように、中空管62の外周面と、通風ダクト60の内周面との間に充填材81を充填しても構わない。このようにすることで、ロータ鉄心32を構成する各鋼板34における貫通孔34aと中空管62との間の隙間を充填材81で埋めることができるので、中空管62をがたつかせることなくより安定させることができる。
特に、充填材81として熱伝導性に優れたものを採用することで、回転子30が発生する熱を中空管62に速やかに伝えることができるので、効果的な放熱を期待でき、冷却効率を高めることができる。また、充填材81として接着性に優れたものを採用することで、中空管62をさらに安定させることができるので、この場合であっても安定した冷却効果を期待することができる。
なお、具体的な充填材81の一例としては、例えばエポキシ・コンパウンドや、シリコンゴム・コンパウンド等が挙げられる。いずれのコンパウンドであっても、高い熱伝導性及び接着性を有しているので、上述した作用効果を同時に奏功することができる。加えて、エポキシ・コンパウンドを利用した場合には、硬く固化する特性を有しているので、中空管62をより安定させ易い。一方、シリコンゴム・コンパウンドを利用した場合には、弾性を有したまま(自由度を有したまま)固化する特性を有しているので、例えば振動等を吸収しながら中空管62を安定にすることが可能となる。
また、上述した第3の実施形態において、図14に示すように、フランジ部71の一部をボルト82によりロータ鉄心押さえ35に固定しても良い。このようにすることで、通風ダクト60内における中空管62の回り止めを行うことができると共に、中空管62の抜け止めを行うことができるので、より好ましい。
なお、図示したように、ボルト82で固定するためにフランジ部71の一部の長さを他の部分よりも長くしているが、これによっても回り止めの効果を期待することができる。また、フランジ部71の固定方法は、ボルトに限定されるものではなく、例えばビスやリベット等の他の締結手段を利用して固定しても構わない。
さらには、フランジ部71の一部を、例えばロータ鉄心押さえ35側に爪状に折り曲げて、この折り曲げた部分をロータ鉄心押さえ35に食いこませるように係止させることで、固定を行っても構わない。
さらに、上記第3の実施形態では、フランジ部71をロータ鉄心押さえ35に係止させたが、フランジ部71に限定されるものではない。例えば、図15に示すように、中空管62の外周面から、中空管62の外方に向けて係止突起(係止部)83を突設し、ロータ鉄心押さえ35に形成された連通孔35aの内面に上記係止突起83が嵌合する係止孔84を形成しても良い。なお、係止突起83は、中空管62の周方向に間隔をあけて複数形成すれば良い。
この場合であっても、通風ダクト60内への中空管62の挿入時に係止突起83を係止孔84に嵌め入れて係止させることで、中空管62の回り止めと、反駆動側及び駆動側への中空管62の抜け止めとを同時に行うことができる。
なお、係止突起83を環状に形成しても構わないが、回り止めを行うことができる点において、周方向に間隔をあけて複数形成することが好ましい。また、係止突起83を採用した場合には、反駆動側及び駆動側への中空管62の抜け止めを同時に行えるので、好ましい。
また、係止突起83の位置は、上記のように中空管62の外筒部42aのうち反駆動側ではなく、駆動側寄りに形成しても良く、この場合には、駆動側に位置するロータ鉄心押さえ35側に係止孔84を形成すれば良い。この場合であっても同様の作用効果を奏功することができる。
<第4の実施形態>
次に、本発明に係る第4の実施形態について説明する。
第1の実施形態との異なる点は、第1の実施形態では中空管62を利用して通風ダクト60内の流体抵抗を低下させたが、第4の実施形態では、中空管62を利用せずに流体抵抗を低下させる点である。
なお、この第4の実施形態においては、第1の実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
〔電動機の構成〕
図16及び図17に示すように、本実施形態の電動機(車両用電動機)90では、抵抗低減手段61が、通風ダクト60の内周面に形成された被覆膜91を備えている。この被覆膜91は、通風ダクト60の内周面全体を覆うように形成されている。具体的に、この被覆膜91は、ロータ鉄心32を構成する各鋼板34同士の多少のずれによって生じる凹凸を埋めるように塗布された充填ペースト92(図18参照)が、その後に硬化することで形成された硬化膜である。
この被覆膜91の内周面は、凹凸の少ない滑らかな滑面とされている。これにより、複数の鋼板34の積層によって、各鋼板34の貫通孔34aが軸方向に繋がった通風孔R(図5参照)よりも、冷却風Aの流動時における流体抵抗を低下させることが可能とされている。
〔作用効果〕
本実施形態の電動機90であっても、第1の実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。つまり、通風ダクト60の内周面が被覆膜91で覆われているので、従来よりも流体抵抗を低下させることができ、冷却風Aを抵抗少なくスムーズに流動させることができる。従って、冷却風Aに塵埃Mが含まれていたとしても、従来に比べて塵埃Mを通風ダクト60内から排出させ易くすることができる。
特に、被覆膜91の内周面は滑らかな滑面となっており、摩擦抵抗が小さい。そのため、塵埃Mが引っ掛かって堆積しはじめる起点をなくすことができ、塵埃Mを堆積させることなく中空管62から速やかに排出させることができる。
なお、本実施形態における被覆膜91の形成方法の一例を簡単に述べる。
はじめに、図18に示すように、通風ダクト60の内周面の全体に充填ペースト92を塗布する。この塗布方法としては、特に限定されるものではなく、十分な厚みを持ってムラなく塗布すれば良い。次いで、外周面が凹凸のない滑らかな滑面とされた円柱状の治具ロッド93を、充填ペースト92が塗布された通風ダクト60内に挿入する。
なお、治具ロッド93としては、例えば耐熱性及び離型性に優れたフッ素樹脂等からなる樹脂製であることが好ましい。
これにより、図19に示すように、余計な充填ペースト92を押出しながら治具ロッド93を通風ダクト60内に配置することができる。次いで、例えば図示しない炉内において、所定時間、所定温度で充填ペースト92を焼成して硬化させる。硬化後、十分な冷却を行った後、図20に示すように、通風ダクト60内から治具ロッド93を引き抜く。この際、治具ロッド93がフッ素樹脂製であれば離型性に優れているので、抵抗少なくスムーズに引き抜くことができる。そして、治具ロッド93を引き抜くことで、治具ロッド93の外周面に倣って内周面が凹凸の少ない滑らかな滑面とされた被覆膜91を形成することができる。
なお、上記した被覆膜91の形成方法は一例であり、この場合に限定されるものではない。
〔第4の実施形態の変形例〕
上述した第4の実施形態では、通風ダクト60の内周面の全体に被覆膜91を形成したが、この場合に限定されるものではなく、内周面の一部に被覆膜91を形成しても構わない。
例えば、通風ダクト60の内周面のうち、径方向の外側部分にだけ該通風ダクト60の長手方向に沿って被覆膜91を形成しても構わない。この場合であっても、ロータ鉄心32の回転による遠心力によって塵埃Mが押し付けられる側に、被覆膜91を配置できるので、塵埃Mを堆積させることなく中空管62から速やかに排出させることができる。
<第5の実施形態>
次に、本発明に係る第5の実施形態について説明する。
第1の実施形態との異なる点は、第1の実施形態では中空管62を利用して通風ダクト60内の流体抵抗を低下させたが、第5の実施形態では、中空管62を利用せずに流体抵抗を低下させる点である。
なお、この第5の実施形態においては、第1の実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
〔電動機の構成〕
図21及び図22に示すように、本実施形態の電動機(車両用電動機)100では、抵抗低減手段61が、通風ダクト60の内周面を切削加工することで形成された加工面101を備えている。この加工面101は、例えばフライスやリーマ等の図示しない各種の加工工具で切削加工が施された面であり、各鋼板34の隣り合う貫通孔34aの段差によって生み出される凹凸が削られ、滑らかな滑面とされている。
図示の例では、通風ダクト60の内周面の全体が切削加工により加工面101とされている場合を例にしている。これにより、複数の鋼板34の積層によって、各鋼板34の貫通孔34aが軸方向に繋がった通風孔R(図5参照)よりも、冷却風Aの流動時における流体抵抗を低下させることが可能とされている。
なお、通風ダクト60の内周面の全体が切削加工されているので、通風ダクト60の内径は上記通風孔Rの内径よりも切削加工の分だけ僅かに大きい。
〔作用効果〕
本実施形態の電動機100であっても、第1の実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。つまり、通風ダクト60の内周面が加工面101とされているので、従来よりも流体抵抗を低下させることができ、冷却風Aを抵抗少なくスムーズに流動させることができる。従って、冷却風Aに塵埃Mが含まれていたとしても、従来に比べて塵埃Mを通風ダクト60内から排出させ易くすることができる。
特に、加工面101は滑らかな滑面であるので、摩擦抵抗が小さい。そのため、塵埃Mが引っ掛かって堆積しはじめる起点をなくすことができ、塵埃Mを堆積させることなく中空管62から速やかに排出させることができる。
〔第5の実施形態の変形例〕
上述した第5の実施形態では、通風ダクト60の内周面の全体を切削加工によって加工面101としたが、この場合に限定されるものではなく、内周面の一部を切削加工することで加工面101としても構わない。
例えば、図23に示すように、通風ダクト60の内周面のうち、径方向の外側部分にだけ該通風ダクト60の長手方向に沿って加工面101を形成しても構わない。
この場合であっても、ロータ鉄心32の回転による遠心力によって塵埃Mが押し付けられる側に、加工面101を配置できるので、塵埃Mを堆積させることなく中空管62から速やかに排出させることができる。
しかも、図示の例では、加工面101が反駆動側から駆動側に向かうにしたがって漸次軸線Oから離間するように傾斜している。このようにすることで、塵埃Mをより排出させ易いうえ、冷却風Aの抜けを良くすることができるので、冷却効率を高めることができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、上記各実施形態では、ファン55を具備し、ファン55の回転による吸引力を利用して冷却風Aを自ら取り込みながら冷却を行う自己通風形タイプの電動機を例に挙げて説明したが、ファン55は必須な構成ではない。例えば、ファン55を具備せず、外部に設置された送風機等によって供給された冷却風Aを利用して冷却を行う他力通風形タイプの電動機であって構わない。
また、フレーム付きの電動機で説明したが、フレームレス構造の電動機であっても良い。さらには、誘導電動機を例に挙げて説明したが、電動機の種類としては、誘導電動機に限定されるものではなく、永久磁石式等、各種形式の電動機に適用することが可能である。
また、上記各実施形態において、入気口50にフィルター等の各種の濾過器をさらに設置し、ファン55の吸引力によってケーシング40の内部に取り込まれる冷却風Aを、入気口50で最初に濾過する構成としても構わない。
さらに、ファン55の回転による吸引力により冷却風Aを入気口50からケーシング40の内部に取り込むが、この冷却風Aとしては、例えば走行に伴って生じる走行風を利用しても構わないし、或いはブロア等を車体2に設置し、このブロアによって強制的に冷却風Aを発生させ、その冷却風Aを入気口50まで導いても構わない。
A…冷却風(外気)
G…エアギャップ(微小隙間)
M…塵埃
O…軸線
R…通風孔
L1…前後方向
L2…左右方向
L3…上下方向
M1…堆積物
R1…従来の電動機
1…鉄道車両
2…車体
3…台車
3a…軸箱
4、70、80、90、100…電動機(車両用電動機)
5…架線
6…パンタグラフ
7…緩衝装置
8…車輪
9…車軸
10…カップリング(継手)
20…固定子
21…ステータ鉄心
22…ステータコイル
22a…コイルエンド
23…鉄心押さえ
30…回転子
31…ロータシャフト
32…ロータ鉄心
33A、33B…軸受
34…鋼板(電磁鋼板)
34a…貫通孔
35…ロータ鉄心押さえ
35a…連通孔
36…ロータバー
36a…バーエンド
37…短絡環
40…ケーシング
41A、41B…軸受ブラケット
42…外枠ケース
42a…外筒部
42b…側壁部
43A、43B…蓋体
50…入気口
51…排気口
55…ファン
55a…主板
55b…羽根
60…通風ダクト
61…抵抗低減手段
62…中空管
65…コーティング膜(膜体)
70…電動機(車両用電動機)
71…フランジ部(係止部)
72、73、74…傾斜面
81…充填材
82…ボルト
83…係止突起(係止部)
84…係止孔
91…被覆膜
92…充填ペースト
93…治具ロッド
101…加工面

Claims (4)

  1. 車体と、
    前記車体に取り付けられた車両用電動機と、を備え、
    前記車両用電動機は、
    ステータ鉄心と、
    貫通孔を有する複数の鋼板を積層し、外気を取り込んで冷却風を送風するファンが固定された軸線回りに回転するロータシャフトに固定されると共に、前記ステータ鉄心の径方向内側に配置されたロータ鉄心と、
    前記ロータシャフトに固定されると共に、前記ロータ鉄心を前記軸線方向両側から挟んで前記ロータシャフトに前記ロータ鉄心を固定するロータ鉄心押さえと、
    複数の前記貫通孔により形成され、外部からの前記冷却風を軸方向の一方側から軸方向の他方側に向けて流動させる通風ダクトと、
    前記ロータ鉄心押さえを貫通すると共に、前記通風ダクトに連通する連通孔と、
    を備え、
    前記通風ダクト、及び前記連通孔内には、前記複数の鋼板の積層によって前記貫通孔が軸方向に繋がった通風孔よりも、前記流動時における流体抵抗を低下させる、抵抗低減手段が設けられており、
    前記抵抗低減手段は、
    前記通風ダクト、及び前記連通孔内に挿入され内周面が凹凸の少ない滑らかな滑面とされた中空管を備え、
    前記中空管の外周面と前記通風ダクトの内周面との間にのみ、エポキシ・コンパウンド及びシリコンゴム・コンパウンドのうちのいずれか一方が充填されている鉄道車両
  2. 請求項1に記載の鉄道車両において、
    前記中空管には、前記通風ダクトの開口縁又は前記ロータ鉄心押さえに係止される係止部が設けられている鉄道車両
  3. 請求項1又は2に記載の鉄道車両において、
    前記中空管の内周面には、前記軸方向に延在し且つ前記軸線に対して傾斜する傾斜面が形成されている鉄道車両
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の鉄道車両において、
    前記中空管の内周面には、膜体が形成されている鉄道車両
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