JP2011254573A - 回転電機のロータ - Google Patents

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哲夫 脇田
Kuniaki Kuwabara
邦昭 桑原
Yasunobu Toyoda
泰延 豊田
Atsutoshi Ikegawa
敦俊 池川
Naoto Yumisashi
直人 弓指
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Abstract

【課題】モータの冷却機能を高めながら、極力構成の簡素化を図ることができる回転電機のロータを提供する。
【解決手段】回転軸40によってケース30に軸支されるロータ本体12と、ロータ本体12に配置される磁性部材11と、ロータ本体12に対して一部が埋設され、少なくともいずれか一方の端部がロータ本体12から回転軸40の長手方向に沿ってケース30の内部空間19に突出する熱伝達部材15と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、回転軸によってケースに軸支されるロータ本体と、ロータ本体に配置される磁性部材とを備えた回転電機のロータに関する。
ロータ本体(ロータコア)に磁性部材を配置したロータと、ステータ本体(ステータコア)にコイルを配置したステータとからなるモータは、小型で高効率なモータとして広く使用されている。
モータの運転に際して、コイルに流れる電流によって生じる磁束がロータコアや磁性部材を貫通すると、ロータコアや磁性部材に大きな渦電流が発生してこれらが発熱する。このため、磁性部材の温度が上昇し、磁性部材に不可逆減磁を生じてモータの性能の劣化を招くことがある。
上記不都合を解消すべく、モータのさまざまな冷却技術が提案されている。例えば、特許文献1,2には、ロータコアに液媒が流通する流路を形成してロータコアや磁性部材を冷却する構成が開示されている。
特開2009−171785号公報 特開2009−195089号公報
従来のモータでは、液媒を流通させるための配管や、液媒を流路に供給するポンプが必要となる等、冷却系の構成が複雑になるという問題点があった。
本発明の目的は、モータの冷却機能を高めながら、極力構成の簡素化を図ることができる回転電機のロータを提供する点にある。
本発明の回転電機のロータの第1特徴構成は、回転軸によってケースに軸支されるロータ本体と、前記ロータ本体に配置される磁性部材と、前記ロータ本体に対して一部が埋設され、少なくともいずれか一方の端部が前記ロータ本体から前記回転軸の長手方向に沿って前記前記ケースの内部空間に突出する熱伝達部材と、を備える点にある。
ロータ本体や磁性部材から発生する熱は、熱伝達部材のうちロータ本体から突出した部分に伝達される。ロータ本体の回転に伴い、この部分を介してロータ本体の熱がケースの内部空間の空気に放熱される。このように、端部がケースの内部空間に突出する熱伝達部材をロータ本体に取り付けるだけの簡単な構成で、ロータ本体や磁性部材を十分に冷却することができる。
本発明の第2特徴構成は、前記熱伝達部材が、前記ロータ本体を貫通し、両側に開口部が形成されたパイプ部材で構成してある点にある。
本構成であれば、ロータ本体の全体に亘って冷却することができる。しかも、一方又は他方の開口部から流入した空気は、パイプ部材の内部を通って反対側の開口部から流出する。このとき、パイプ部材の内部を通る空気によってロータ本体の内部から強制冷却することができる。
本発明の第3特徴構成は、前記開口部のうちの一方が、前記ロータ本体の回転方向に向かって開口している点にある。
本構成であれば、ロータ本体の回転に伴って一方の開口部から空気を強制的に流入させることができる。よって、ロータ本体の回転数の低い状態から回転数が高く発熱し易い運転状態まで十分な冷却効果を発揮させることができる。
本発明の第4特徴構成は、前記パイプ部材の一端に凸状面を形成し、当該凸状面の先端に前記開口部のうちの一方を設けてある点にある。
ロータ本体の回転に伴ってパイプ部材の凸状面を流れる空気の流速は、パイプ部材の他の平坦な端面を流れる空気の流速よりも速くなる。ベルヌーイの定理によれば、流速の速いところは遅いところよりも空気の圧力が低くなる。このため、凸状面と他端面との間の圧力差により、一方の開口部からパイプ部材の内部の空気が吸引され、他方の開口部から空気がパイプ部材の内部に流入する。これにより、ロータ本体の冷却効果を更に向上させることができる。
回転電機を示す断面図である。 ロータを示す側面図である。 ロータを示す斜視図である。 図2のIV−IV矢視断面図である。 (a)は、ロータコアを貫通するパイプ部材を示す断面図である。(b)は、パイプ部材を示す斜視図である。 ロータコアを貫通するパイプ部材を示す断面図である。 (a)は、ロータコアを貫通するパイプ部材を示す断面図である。(b)は、パイプ部材を示す斜視図である。 ロータコアを貫通するヒートパイプを示す断面図である。 ロータを示す要部断面図である。 ロータを示す要部側面図である。 ロータを示す要部側面図である。
〔第1実施形態〕
本発明に係る回転電機のロータは、例えば埋込磁石同期モータ(IPMSM)等の電動モータ1として使用するものであり、ハイブリッド車や電気自動車等の駆動源として利用可能である。図1に示すように、電動モータ1は、回転軸40によってケース30に軸支されるロータ10と、そのロータ10の径方向外側に配置されかつケース30に固定されるステータ20とを備えて構成してある。ケース30は、一方側部分(図1の左側部分)を構成するケース部材30aと、他方側部分(図1の右側部分)を構成するケース部材30bとを接合して構成してある。
図1〜図4に示すように、前記ロータ10は、複数の電磁鋼板を積層して構成されたロータコア12(ロータ本体の一例)を備えている。ロータコア12にはパイプ挿入用孔部としての貫通孔が周方向に複数形成されている。この貫通孔は、例えば丸穴13としてある。丸穴13におけるロータコア12の径方向外側には、外側の永久磁石11(磁性部材の一例)が配置されている。尚、永久磁石11としては、ネオジウム、サマリウムコバルト等の希土類磁石や、フェライト磁石等が使用可能である。
前記丸穴13には、回転軸40の長手方向に沿う金属製の円筒状のパイプ部材15(熱伝達部材の一例)がロータコア12を貫通する状態で固定されている。丸穴13にパイプ部材15を固定する方法としては、パイプ部材15に接着剤を塗布した後に、丸穴13にパイプ部材15を差し込んだり、丸穴13とパイプ部材15との間に接着剤を注入したり、丸穴13にパイプ部材15を圧入したり、丸穴13にパイプ部材15を焼き嵌めや冷やし嵌めする方法などが挙げられる。尚、パイプ部材15の材質としては、真鍮、アルミニウム、ステンレス等が使用可能である。
前記パイプ部材15の一端(図1の右端)には、半球状の凸状面16が形成されている。凸状面16におけるロータコア12の回転方向側には、ロータコア12の径方向視でL字状の切欠17(一方の開口部の一例)が形成されている。切欠17は、ロータコア12の回転方向に向かって開口してある。パイプ部材15の他端(図1の左端)には、回転軸40の長手方向に直交する他端面9が形成されている。他端面9には他方の開口部18が形成されている。パイプ部材15の切欠17がケース30の内部空間19に突出し、パイプ部材15の他方の開口部18がケース30の内部空間19に突出してある。尚、凸状面16の形状は、半球状に限られるものではなく、円錐状や先細り状であってもよく、特に限定されない。
前記ステータ20は、複数の電磁鋼板を積層して構成されたステータコア22を備えている。ステータコア22にはコイル21が配置されている。コイル21に通電を行うことにより、ステータ20に磁界が発生し、永久磁石11を備えたロータ10が回転する。
前記回転軸40は、ケース30に設けられた一対のベアリング31を介してケース30に軸支されている。回転軸40は、内部空間40aを有する円筒状に構成されている。回転軸40の一端には、回転軸40と同心軸を有する出力軸41が接続され、回転軸40と一体に回転する。回転軸40と同様に、出力軸41は内部空間41aを有する円筒状に構成されている。
以下、ロータ10の回動に伴ってロータコア12の内部や永久磁石11が冷却される作用について説明する。
ロータコア12の内部や永久磁石11から発生する熱は、パイプ部材15におけるロータコア12に埋設された部分からロータコア12から突出した部分に伝達される。ロータコア12の回転に伴ってロータコア12から突出した部分がケース30の内部空間19の空気に当たる。これにより、ロータコア12から突出した部分に伝達された熱は、ケース30の内部空間19の空気に放熱される。
また、ロータ10の回動に伴って切欠17から空気が流入する。切欠17から流入した空気は、凸状面16の内方面に沿って流れ、パイプ部材15の内部を通って他方の開口部18から流出する。このとき、パイプ部材15の内部を通る空気によってロータコア12の内部から強制冷却することができる。よって、モータ(永久磁石11)の性能の劣化を招くことを防止できる。
〔第2実施形態〕
この実施形態では、図6に示すように、パイプ部材15の凸状面16の先端に円状の穴70(一方の開口部の一例)を形成している。尚、穴70の形状は、円状に限られるものではなく、楕円状や矩形状でもよく、特に限定されない。
ロータ10の回動に伴ってパイプ部材15の凸状面16を流れる空気の流速は、パイプ部材15の他端面9を流れる空気の流速よりも速くなる。ベルヌーイの定理によれば、流速の速いところは遅いところよりも空気の圧力が低くなる。このため、凸状面16と他端面9との間の圧力差により、凸状面16の穴70からパイプ部材15の内部の空気が吸引される。他方の開口部18から空気がパイプ部材15の内部に流入する。このとき、パイプ部材15の内部を通る空気によってロータコア12の内部から強制冷却することができる。よって、モータ(永久磁石11)の性能の劣化を招くことを防止できる。
〔第3実施形態〕
この実施形態では、図9に示すように、回転軸40の一端部に連通孔40bを周方向に沿って複数形成し、ロータコア12の両端面の一方側(図9の右側)の面に皿状のプレート部材60を取り付けてある。
ロータコア12とプレート部材60との間には、連通孔40bに連通する連通空間60aが形成されている。プレート部材60には、パイプ部材15を貫通する穴が周方向に沿って複数形成されている。パイプ部材15の切欠17は、プレート部材60の穴を通ってケース30の内部空間19に突出してある。
図示しないポンプより送られる油は、回転軸40の内部空間40aを経由し、連通孔40bを通って連通空間60aに貯留される。貯留された油は、丸穴13とパイプ部材15との間に入り込み、ロータコア12の両端面の他方側(図9の右側)から滲出する。
丸穴13とパイプ部材15との間に隙間が存在すると、その隙間の断熱によってロータコア12や永久磁石11から発生する熱がパイプ部材15に伝達されることを妨げてしまう。そこで、中央の穴78aとパイプ部材15との間に油を入り込ませることにより、ロータコア12や永久磁石11から発生する熱がパイプ部材15に十分に伝達される。
ロータコア12や永久磁石11から発生する熱が多い場合には、パイプ部材15の内部を通る空気だけでは、ロータコア12の内部や永久磁石11を十分に強制冷却できないことがある。このとき、ポンプより送られる油をロータコア12の両端面の他方側から積極的に放出させるようにすれば、パイプ部材15の内部を通る空気に加えて丸穴13とパイプ部材15との間を通る油によって、ロータコア12の内部から強制冷却することができる。この場合において、丸穴13とパイプ部材15との間を通る油による冷却は、あくまで補助的なものであり、油を供給するポンプや、油を流通させるための配管等は簡易なものでよい。よって、冷却系の構成が簡素なものとなる。
プレート部材60は、ロータコア12の一端面に接着や溶接等の適当な手段で取り付けることができるが、プレート部材60とロータコア12との間に油漏れを防止する弾性部材等を設けると好適である。さらに、プレート部材60の穴とパイプ部材15との間にも、同様に弾性部材等を設けると好適である。
〔第4実施形態〕
この実施形態では、図10に示すように、ロータコア12にはパイプ挿入用孔部としての複数の貫通孔が周方向に複数形成されている。これら貫通孔は、例えば断面形状が矩形状の中央の穴78aと、その中央の穴78aの両横側に近接配置された断面形状が三角状の右および左の穴78bとしてある。
右および左の穴78bの周方向両横側には、右および左の永久磁石14(磁性部材の一例)が配置されている。前記中央の穴78aには、金属製の円筒状のパイプ部材15がロータコア12を貫通する状態で固定されている。このとき、中央の穴78aとパイプ部材15との間には、断面形状が略三角形状の隙間が形成される。
〔第5実施形態〕
この実施形態では、図7,図11に示すように、矩形状の中央の穴78aに角筒状のパイプ部材75を固定してある。これにより、パイプ部材75が中央の穴78aに密接する。
前記パイプ部材75の一端には、湾曲状の第1案内面72およびその第1案内面72の両側部に接続する一対の平板状の第2案内面73が形成されるとともに、ロータコア12の回転方向に向かって開口する一方の開口部74が形成されている。
〔その他の実施形態〕
(1)図5に示すように、パイプ部材15の一端に半球状の凸状面16を形成し、その凸状面16の回転方向側に円状の穴71を形成してもよい。これにより、ロータ10の回動に伴ってパイプ部材15の一端の凸状面に形成された穴71から空気が流入する。よって、ロータコア12の内部から強制冷却することができる。尚、穴70の形状は、円状に限られるものではなく、楕円状や矩形状でもよく、特に限定されない。
(2)図8に示すように、両端が閉塞され、内部空間に冷媒が封入されるとともに、内方面にウィック76が設けられたヒートパイプ77(熱伝達部材の一例)を、ロータコア12を貫通する状態で固定してもよい。このとき、ヒートパイプにおけるロータコア12に埋設された部分が蒸発部を構成し、ヒートパイプにおけるロータコア12から突出した部分が凝縮部を構成する。
ロータコア12の内部や永久磁石11から熱が発生すると、冷媒がヒートパイプの蒸発部で蒸発する。蒸発した冷媒は、ヒートパイプの凝縮部に移動して凝縮する。凝縮した冷媒は、ウィック76によってヒートパイプの蒸発部に移動する。このような冷媒の蒸発・凝縮による熱輸送を利用して、ロータコア12の内部や永久磁石11から発生する熱がヒートパイプの蒸発部からヒートパイプの凝縮部に伝達される。
(3)パイプ部材15の両端に凸状面を形成し、パイプ部材15の一端の凸状面にL字状の切欠を形成し、パイプ部材15の他端の凸状面に丸穴を形成してもよい。
これにより、ロータ10の回動に伴ってパイプ部材15の一端の凸状面に形成された切欠から空気が流入するとともに、パイプ部材15の他端の凸状面に形成された丸穴からパイプ部材の内部の空気が吸引されることになる。よって、ロータコア12の内部から強制冷却することができる。
(4)ロータコア12に対して一部が埋設され、一方の端部がロータコア12から回転軸40の長手方向に沿ってケース30の内部空間19に突出する中実状の棒状部材(熱伝達部材の一例)を設け、その端部に放熱用フィンを形成してもよい。
(5)回転軸40の中間部に連通孔を周方向に沿って複数形成してもよい。
ポンプより送られる油は、回転軸40の内部空間40aを経由し、上記連通孔およびロータコア12における複数の電磁鋼板の間を通って、丸穴13とパイプ部材15との間に入り込む。これによって、ロータコア12や永久磁石11から発生する熱がパイプ部材15に十分に伝達される。
(6)図10において、ロータコア12の両端面のうち他方側の面に平板状の押さえ部材を取り付けてもよい。
図示しないポンプより送られる油は、回転軸40の内部空間40aを経由し、連通孔40bを通って連通空間60aに貯留される。貯留された油は、右および左の穴78b、並びに、中央の穴78aとパイプ部材15との間に形成された隙間を流動する。押さえ部材における右および左の穴78b、並びに、中央の穴78aとパイプ部材15との間に形成された隙間に対応する箇所の夫々には、孔が形成されており、油はそれら孔を通ってケース30の内部空間19に排出される。このとき、ロータコア12や永久磁石11,14から発生する熱が油に伝達される。尚、中央の穴78aとパイプ部材15との間に形成された隙間を接着剤等で完全に充填してもよい。このとき、貯留された油は、右および左の穴78を流動することになる。
これにより、パイプ部材15の内部を通る空気によってロータコア12の内部から強制冷却することに加えて、右および左の穴78b、並びに、中央の穴78aとパイプ部材15との間に形成された隙間の内部を通る油によってロータコア12の内部から強制冷却することができる。
回転軸40を駆動するように構成すれば、本回転電機を発電機として機能させることも可能である。
本発明は、埋込磁石同期モータ(IPMSM)だけでなく、表面磁石同期モータ(SPMSM)や、磁石補助型同期リラクタンスモータ等にも適用可能である。
11,14 磁性部材
12 ロータ本体
15,75,77 熱伝達部材
16 凸状面
17,70,71,74 一方の開口部
19 内部空間
30 ケース
40 回転軸

Claims (4)

  1. 回転軸によってケースに軸支されるロータ本体と、
    前記ロータ本体に配置される磁性部材と、
    前記ロータ本体に対して一部が埋設され、少なくともいずれか一方の端部が前記ロータ本体から前記回転軸の長手方向に沿って前記前記ケースの内部空間に突出する熱伝達部材と、
    を備える回転電機のロータ。
  2. 前記熱伝達部材が、前記ロータ本体を貫通し、両側に開口部が形成されたパイプ部材で構成してある請求項1に記載のロータ。
  3. 前記開口部のうちの一方が、前記ロータ本体の回転方向に向かって開口している請求項2に記載のロータ。
  4. 前記パイプ部材の一端に凸状面を形成し、当該凸状面の先端に前記開口部のうちの一方を設けてある請求項2に記載のロータ。
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