図1〜図3は、本発明に係る被処理板材の多段搬送装置及び多段プレス装置を適用した横型多段プレス装置1の要部を示す。横型多段プレス装置1は、被処理板材としての矩形板状のベニヤ単板W1(図7A及び図7C参照。以下、単板W1という)を加圧・乾燥処理する機能を有する。なお、被処理板材は単板に限らず、例えば積層材、合板、化粧板等を用いることができる。
横型多段プレス装置1は、乾燥用の複数の単板W1を積み込むローダ装置10と、熱板24(第一の接触板)で単板W1毎に両側から挟んで加圧加熱するホットプレス装置20と、各単板W1の表面から水蒸気を放散させる開放蒸散装置40と、調温板54(第二の接触板)で単板W1毎に両側から挟んで加圧調温して所望の仕上がり温度に維持する調温プレス装置50と、調温済みの複数の単板W1を積み降ろすアンローダ装置60とを搬送方向上流側からこの順番に備える。
ローダ装置10は、搬入部として機能し、単板W1を略水平状態(水平面を基準として±45°程度の傾斜範囲を含む)から起立させ、起立状態に保持してホットプレス装置20へ搬入する。ホットプレス装置20は、加圧加熱部として機能し、起立状態にある単板W1を1枚ずつ熱板24に挟み込んだ状態で所定時間加圧加熱し(例えば熱板温度が180℃の状態で5分〜10分間保持)、加熱乾燥済みの単板W1を開放蒸散装置40へ搬入する。
開放蒸散装置40は、開放セクション部(大気開放部)として機能し、各単板W1を起立状態に保持したまま、単板W1の内部に残留する余剰水分の大気への放散を促進させ(例えば単板温度が90℃の状態で数分間保持)、放散済みの単板W1を調温プレス装置50へ搬入する。調温プレス装置50は、加圧調温部として機能し、起立状態にある単板W1を1枚ずつ調温板54に挟み込んだ状態で所定時間加圧調温し(例えば調温板温度が25℃〜35℃の状態で数分間保持)、調温済みの単板W1をアンローダ装置60へ搬入する。
アンローダ装置60は、搬出部として機能し、乾燥処理後の単板W1を略水平状態に戻して装置60外へ搬出する。以下、各装置についてより具体的に説明する。なお、以下の説明では、図2中の図示左右方向を横型多段プレス装置1における左右方向、図2中の図示上下方向を横型多段プレス装置1における上下方向、図2中の図示表裏方向を横型多段プレス装置1における前後方向とする。
まず、ローダ装置10について説明する。ローダ装置10は、図4A〜図6、図23等に示されるように、ベースとなる下フレーム11と、下フレーム11に立設された門形状の上フレーム12とを備える。下フレーム11は、前後に延設される一対の梁11aと、左右に延設される一対の梁11bとを備える。これらの梁11a,11bは平面視にて直角に交差する形態で接続されている。なお、図23等では、ローダ装置10を構成する一部の部材が省略されている。
梁11aの上部には、チェンコンベヤ13が設置されている。チェンコンベヤ13には、所定のピッチ毎に連結部材13aを介してローダ棚14が連結されている。ローダ棚14は、略U字形の板状をなし、後述するチェンコンベヤモータ203(図14参照)の正転駆動によるチェンコンベヤ13の回転に伴い、ローダ装置10の前方側の略水平位置D1(図6参照)で図示を省略する送り機構から単板W1を受け取り、チェンコンベヤ13の更なる正転駆動に伴い単板W1を支えつつ徐々に起こしながら、起立位置D2で単板W1を完全に起立させる。起立位置D2に達した各単板W1は、前後のローダ棚14との接触により起立状態に保持される。ローダ棚14による起立位置D2での単板W1の収容枚数は、例えば10〜200枚程度に設定することが可能である。
梁11bには、ローダ部コンベヤ15がコンベヤ昇降シリンダ16によりガイド17に沿って昇降可能に支持されている。コンベヤ昇降シリンダ16は、梁11bと平行に架設された梁11cに設けられている(図4A参照)。ローダ部コンベヤ15が複数のローラ15aによって構成される場合、ローダ棚14のU字の底辺に相当する基端部には、複数の切欠き14aが形成されている。各切欠き14aは、ローダ部コンベヤ15のローラ15aに対応して設けられている。
ローダ部コンベヤ15は、チェンコンベヤ13の正転駆動時には下降位置(原位置、図4A参照)にあり、チェンコンベヤ13の駆動停止時かつローダ部コンベヤ15の正転駆動時には、上昇位置(作動位置、図5参照)にある。ローダ部コンベヤ15が上昇位置(作動位置)にあるとき、ローダ部コンベヤ15のローラ15aは対応する切欠き14a内にあり、また後述するホットプレス部ローラコンベヤ31の搬送面F2に対して水平状に連続する搬送面F1(図28参照)が形成されるように設定されている。
この状態では、ローダ部コンベヤ15のローラ15aが、後述するホットプレス装置20のホットプレス部ローラコンベヤ31のローラ31a〜31c(図11参照)と同じ高さ位置にあって、起立位置D2にある各単板W1(図4及び図5の二点鎖線で示される)がチェンコンベヤ13により干渉されることなく、後述するローダ部コンベヤモータ204(図14参照)の正転駆動によるローラ15aの回転に伴い、ホットプレス装置20内へ搬入されるようになっている。
なお、図4Bに示されるように、ローダ棚14の切欠き14aの形状を長方形状の切欠き14bに変更して、ローダ部コンベヤ15を高摩擦係数のベルト素材を用いたベルトコンベヤ150とすれば、単板W1の下端をより確実にコンベヤに載せることができる。すなわち、例えば図7Aに示される単板W2のように、その繊維方向が単板W2の長手方向と直交する向き(幅方向)となるように繋ぎ合わせたものであれば、単板W2をその幅方向が上下となるように起立させたとき、単板W2自体の強度により単板W2がローラ15aと接触しても、その下端が丸まってしまうことを回避することが可能である(図7B参照)。その結果、単板W2の下端をローラ15aに確実に載せた状態とすることができる。
ところが、例えば図7Cに示される単板W3のように、その繊維方向が単板W3の長手方向と平行なものであると、単板W3がローラ15aからローラ15aへ送られるときの振動等により、単板W3がローラ15aと接触したとき、その下端が丸まりやすい(図7D参照)。この丸まりやすい傾向は、繊維方向が単板W3の長手方向と平行であったり、湿潤状態である乾燥前の単板において特に顕著に発生し、その結果、単板W3がローラ15aの間で詰まってしまうおそれが高い。このようにローラコンベヤをベルトコンベヤ150(図7E参照)に変更することで、単板W3がローラ15aの間で詰まってしまう単板の種類、性状に関わらず単板をより確実に搬送できるようになる。したがって、ローダ装置10においては単板W1の下端を支持搬送するコンベヤをローラ15aからベルトコンベヤ150に代えて採用する場合がある。この場合、ローダ棚14のU字の底辺に相当する基端部には、複数の切欠き14aに代えてベルトコンベヤ150が介入できる長方形状の切欠き14bが形成されることになる(図4B参照)。
下フレーム11にはローダ部コンベヤ15が設けられる一方で、上フレーム12にはローダ部把持体70Aが設けられている。ローダ部把持体70Aは、上フレーム12の構成部材をなす左右に延設される3つの梁12aに支持されつつそれら梁12aに沿って移動可能な走行体71と、走行体71を駆動する減速機付きの走行体モータ72と、単板W1を把持可能な把持部材73と、把持部材73を走行体71に対して上下に移動可能に支持・連結する一対の把持部材昇降シリンダ74とを備える。
各梁12aは、互いに平行かつ等間隔で並設されている。両側の梁12aの上面にはガイドレール70aが敷設され、真ん中の梁12aの上面にはラックギヤ70bが敷設されている。走行体71はスライドガイド71aを介してガイドレール70aに載置され、走行体モータ72は中間駆動軸72a、ピニオンギヤ72bを介してラックギヤ70bにギヤ結合されている。これにより、走行体71が走行体モータ72の正逆駆動に伴いガイドレール70aに沿って左右を移動するようになっている。
なお、走行体71の駆動手段としては走行体モータ72を採用したものに限らず、これに加えて又は代えて、例えば流体シリンダ(油圧又は空圧)を主とした駆動系を採用してもよい。また、走行体71の駆動伝達手段としてはギヤ結合を採用したものに限らず、これに加えて又は代えて、例えばプーリ及びタイミングベルトを主とした駆動伝達系を採用してもよい。
把持部材73は、図4A、図5、図26等に示されるように、梁12aの下側にて前後に延び出すように配置される矩形枠状の本体73aを備えている。本体73aの前後方向の各端部の上面には、上向きに突出する突出部73a1が形成され、各突出部73a1には対応する把持部材昇降シリンダ74のピストンロッド74aの先端が接続されている。本体73aの下面には、図8〜図10A、図10Bに示されるように、3つのガイドレール73b,73c,73bが互いに平行かつ等間隔で並設されている。
両側のガイドレール73bには、それぞれスライドガイド73dを介して外側把持片用ブロック75が懸架され、真ん中のガイドレール73cには、スライドガイド73eを介して内側把持片用ブロック76が懸架されている。外側把持片用ブロック75同士は、一端側が連結されて略U字状をなし、内側把持片用ブロック76が外側把持片用ブロック75におけるU字の内側に配置されている。外側把持片用ブロック75のU字の底辺に相当する一端部には把持片シリンダ77のピストンロッド77aの先端が接続され、外側把持片用ブロック75のU字の先端側に相当する内側把持片用ブロック76の端部には把持片シリンダ78のピストンロッド78aの先端が接続されている。
外側把持片用ブロック75及び内側把持片用ブロック76の下面には、それぞれ各把持片用ブロックの長手方向に所定間隔(例えばローダ棚14の厚み程度の長さ)を置いて複数の把持片81,82が下向に突設されている。把持片81,82は、単板W1毎に対応付けて設けられる(図10Aでは把持片81が全部で10(片側5つずつ)、把持片82が5つ設けられている場合が例示)。把持片81は、例えば撓み変形可能な樹脂で形成され、把持片82は、例えば鋼製の板ばねで形成されている。把持片81,82の先端部には、それぞれ例えばゴムの接着によって滑り止め部81a,82aが形成されている。
把持片シリンダ77,78の駆動に伴い外側把持片用ブロック75と内側把持片用ブロック76とは相互に接近・離間とされている。そして、把持部材73がローダ棚14により起立状態に保持された単板W1に接近したとき、図10Aに示されるように外側把持片用ブロック75と内側把持片用ブロック76とが離間した状態では、把持片81,82による各単板W1の間への進入・退出が自由に許容される。
把持片81,82が各単板W1の間へ進入した状態で、把持片シリンダ77,78が駆動されると、図10Bに示されるように、外側把持片用ブロック75と内側把持片用ブロック76とが相互に接近し、左右にほぼ横並びとなる一対の把持片81と真ん中の把持片82との挟み込み動作により単板W1毎に上部位置で把持されるようになる。なお、把持片シリンダ77,78の両者を駆動する態様に限らず、いずれか一方のみを可動する構成としても、上記と同様にして単板W1の把持又は把持解除を行うことが可能である。
そして、ローダ部把持体70Aの把持部材73及びローダ部コンベヤ15は、単板W1の上部を把持部材73により把持し、かつ単板W1の下部をベルトコンベヤ150(ローラ15a)により支持した状態で上下に同期して移動するように構成されている。
本実施例1では、ローダ装置10が第一処理装置、ローダ部把持体70Aが上部把持体、ローダ部コンベヤ15が第一搬送体に相当する。また、ローダ部把持体70A及びローダ部コンベヤ15が上流側搬送体に相当する。
次に、ホットプレス装置20について説明する。ホットプレス装置20は、図11、図12、図28等に示されるように、前後一対として立設されたベースフレーム21F,21Bと、ベースフレーム21F,21Bの上端にて架設された左右一対の梁22L,22Rとを備える。ベースフレーム21F,21Bは、それぞれ矩形状の本体壁部21aと一対の脚部21bとを備える。本体壁部21a間には、前後一対の押圧盤23F,23Bと、それら押圧盤23F,23Bの間にて多数段の熱板24が配設されている。なお、図11、図28等では、ベースフレーム21F、押圧盤23F等、ホットプレス装置20を構成する一部の部材が省略されている。
各梁22L,22Rの下端には、左右に水平に張り出すようにフランジ部22aが形成され、そのフランジ部22aの外側及び内側上面にそれぞれ軌条22b,22cが敷設されている。押圧盤23F,23Bは支持ローラ25aを含むブラケット25を介して外側の軌条22bに吊り下げ・支持され、各熱板24は支持ローラ26aを含むブラケット26を介して内側の軌条22cに吊り下げ・支持されている。
ベースフレーム21Fの本体壁部21aの中央部には、左右に所定の間隔を置いて複数のプレスシリンダ27(例えば油圧シリンダ。図11では3つの場合を例示)が挿通され、そのラム27aの先端が押圧盤23Fに取り付けられている。なお、本実施例1では、後側の押圧盤23Bはベースフレーム21Bの本体壁部21aに固定され、前側の押圧盤23Fのみがプレスシリンダ27の伸縮動作に伴って可動するように構成されている。
各熱板24相互間、及び前後両端の熱板24と押圧盤23F,23B間には、プレス開放時に所定間隔以上の拡がりを阻止するための間隔規制具28が介装されている(図12参照。具体的には、特許第4781168号公報、特開昭60−259402号公報等参照)。また、図13A及び図13Bに示されるように、各熱板24相互間には、押圧盤23F,23Bによるプレス閉鎖時に各熱板24がほぼ同じ距離ずつ接近し、各熱板24間の距離が変わりつつもほぼ同じ間隔に保たれるようにするためのばね部材29が介装されている。
各熱板24間に介装されたばね部材29により、各単板W1に対する同時圧締(押圧盤23F,23Bの押圧により各単板W1を同時に閉鎖すること)が可能となり、特定の単板W1に対する圧力集中に起因する破損を防止し、各単板W1の厚みを良好に均一化することができる。
また、このコイル状のばね部材29に代えて、例えば図13C〜13Eに示されるようなチェーンCHを用いた構成とすることも可能である。この構成において、熱板24の上部両側には、所定間隔を置いて一対の軸受24aが上方に突出して取り付けられ、この軸受24a間には一対のリンク124の一端部が介在し、軸受24a間に挿通された固定ピン125によって枢着されている。リンク124の他端部は、隣接する熱板24に一端部を枢着されたリンクの他端部と中間ピン126によって連結され、一対のリンク124を単位体としたチェーンCHによって各熱板24が繋がれることになる。
このチェーンCHの始端から終端にかけて、単位体である各リンク124の固定ピン125による枢着部分、中間ピン126による連結部分に線状のスプリング127が巻き掛けられ、前後の熱板24が縮閉するときに中間ピン126による各リンク124の連結部分が外方(上方)へ向けてほぼ同量だけ突出するように構成されている(図13E参照)。この状態から、前後の熱板24が拡開すると、中間ピン126による各リンク124の連結部分が内方(下方)へ向けてほぼ同量だけ下降し、中間ピン126と各リンク124の一端部とで構成される三角形における中間ピン126を頂点とする角度は鋭角から鈍角へと推移し、間隔規制具28の自由端がブラケットに係止されてプレス開放に至るときに各リンク124がほぼ直線状となるように構成されている(図13C参照)。このようなチェーンCHを用いた場合でも、各単板W1に対する同時圧締が可能となり、特定の単板W1に対する圧力集中に起因する破損を防止し、各単板W1の厚みを良好に均一化することができる。
熱板24の下方には、起立状態の単板W1を下側から支持して、ローダ装置10からホットプレス装置20へ、更にはホットプレス装置20から開放蒸散装置40へ向けて搬入可能なホットプレス部ローラコンベヤ31が配置されている。ホットプレス部ローラコンベヤ31は、単板W1を搬入するために、熱板24間の全ての単板W1に亘るローラ長を有する複数のローラ31a〜31cを備えている(図11では全部で5本の場合を例示)。
なお、単板W1がホットプレス部ローラコンベヤ31のローラ31a〜31cにより支持された状態では、単板W1の下部が、吊り下げ状態にある熱板24の下端からはみ出すようになっている(図28、図30参照)。このはみ出した単板W1の部位は、後述するホットプレス部把持体70Bの把持部材73の把持片81,82により把持される部位となる。そして、このはみ出した単板W1の部位は、熱板24により加圧加熱することができないため、最終的には切除されることとなる。
ローラ31a〜31cは水平状の搬送面F1を形成するように同じ高さ位置に配設され、左から右に向かってローラ31b,31a,31c,31a,31bの順に並んでいる。ローラ31a〜31cのうち、ローラ31a,31bが固定式とされる一方、ローラ31cが左右に隣り合うローラ31a間を搬送方向に沿って往復動可能な構成とされている。
具体的に、ローラ31aは、枠状のブラケット21cの上面に固定された軸受けによりベースフレーム21F,21Bの両本体壁部21aに支持されている。また、ベースフレーム21F,21Bの対向する左側の脚部21b同士、右側の脚部21b同士には、それぞれ梁21dが架設され、各梁21dの上面に長板状のブラケット21eが立設されている。ローラ31bは、ブラケット21eの上端に固定された軸受けにより支持されている。ローラ31cについては後述する。
ホットプレス部ローラコンベヤ31の下方には、ホットプレス部把持体70Bが設けられている。上記左右に配設された梁21dの上面には3つの梁21fが左右に延設されている。ホットプレス部把持体70Bは、ローダ部把持体70Aと同様に構成されている。したがって、以下の説明では、図11、図12、図20等に示したホットプレス部把持体70Bにおいて、ローダ部把持体70Aを構成する部材と同様な機能を果たす部材には同じ符号を付して説明を省略し、ローダ部把持体70Aと異なる点を主に説明する。
ローダ部把持体70Aが単板W1の上部を把持可能な構成であるのに対し、ホットプレス部把持体70Bが単板W1の下部を把持可能な構成であるという基本構造の相違に起因して、ローダ部把持体70Aでは把持部材73のスライドガイド73dがガイドレール73bに懸架されるのに対し、ホットプレス部把持体70Bでは把持部材73のスライドガイド73dがガイドレール73bに載置されること、ローダ部把持体70Aは単板W1の搬送に寄与するローラを含まない構成とされているのに対し、ホットプレス部把持体70Bは単板W1の搬送に寄与するローラ31cを有する構成とされていることで両者は相違する。
ローラ31cは、長板状の連係ブラケット71bを介して走行体71に一体的に取り付けられている。すなわち、走行体71がガイドレール70aに沿って左右を移動するのに伴い、走行体71及びローラ31cは、把持部材73により把持された単板W1を所定間隔で一体的に保持しつつ搬送方向(左方向)に同期して移動する。このように、ローラ31cは、ローラ31a,31bとは異なり固定式ではないが、単板W1の下端面を下側から支持する点においてローラ31a,31bと同様に機能し、単板W1を安定して搬入する上で大きく貢献する。
なお、本実施例1では、ローラ31cを駆動する駆動手段は設けられていないが、ローラ31c用の駆動手段を設け、ローラ31cを駆動可能な構成としてもよい。また、ローラ31c及び連係ブラケット71bを含む機構を把持部材73の左側(往動側)に設けることに加えて又は代えて、例えば同様な構成の機構を搬送部材73の右側(復動側)に設けてもよい。
本実施例1では、ホットプレス装置20が第二処理装置、ホットプレス部把持体70Bが下部把持体、ホットプレス部ローラコンベヤ31が第二搬送体に相当する。また、ホットプレス部把持体70B及びホットプレス部ローラコンベヤ31が下流側搬送体に相当する。さらに、ホットプレス部把持体70Bの走行体71、連係ブラケット71bなどが連係機構に相当し、ホットプレス部ローラコンベヤ31のローラ31cが補助搬送体に相当する。
次に、開放蒸散装置40について説明する。開放蒸散装置40は、図2、図3、図36、図39等に示されるように、フレーム41を備える。なお、図36、図39等では、開放蒸散装置40の一部の部材が省略されている。フレーム41は、前後に延設される一対の梁41aと、左右に延設される一対の梁41bとを備える。梁41aの上部には、ホットプレス装置20における開放時の熱板24間と同じ間隔を置いて複数の開放棚42が起立状態で立設されている。複数の単板W1は、1枚ずつ開放棚42間に収容され、起立状態にある両表面から水蒸気を放散可能とされている。
梁41bの上部には、起立状態の単板W1を下側から支持して、ホットプレス装置20から開放蒸散装置40へ、更には開放蒸散装置40から調温プレス装置50へ向けて搬入可能な開放蒸散部ローラコンベヤ43が配置されている。開放蒸散部ローラコンベヤ43は、開放棚42間の全ての単板W1に亘るローラ長を有する複数のローラ43aを備えている。開放蒸散部ローラコンベヤ43は、ホットプレス部ローラコンベヤ31と同一高さの搬送面F2を有している。
各単板W1は、それぞれに対応する開放棚42との接触により倒れ込みを防止され、かつ各下端がローラ43aにより搬送可能に支持され、開放棚42内で起立状態に保持される。なお、開放蒸散装置40では、各単板W1を一定時間だけ保持できればよいため、ローダ部コンベヤ15とは異なり、開放蒸散部ローラコンベヤ43は昇降可能な構成とはされていない。
開放棚42の上方には、開放蒸散部把持体70Cが設けられている。開放蒸散部把持体70Cは、ホットプレス装置20の梁22Lと調温プレス装置50の梁22Rとに跨って左右に延設される3つの梁41cに支持されつつそれら梁41cに沿って移動可能とされている。開放蒸散部把持体70Cは、ローダ部把持体70Aと同様に構成されている。
ただし、上記したように、開放蒸散部ローラコンベヤ43は昇降可能な構成とはされていないため、開放蒸散部把持体70Cの把持部材昇降シリンダ74が駆動されることはなく、開放蒸散部把持体70Cの走行体モータ72のみが駆動される。つまり、開放蒸散部把持体70Cは梁41cに沿って左右方向のみを移動することとなる。その他の構成はローダ部把持体70Aと同じであるため、図2、図36、図39等に示した開放蒸散部把持体70Cにおいて、ローダ部把持体70Aを構成する部材と同様な機能を果たす部材には同じ符号を付して説明を省略する。
本実施例1では、開放蒸散装置40が第一処理装置、開放蒸散部把持体70Cが上部把持体、開放蒸散部ローラコンベヤ43が第一搬送体に相当する。また、開放蒸散部把持体70C及び開放蒸散部ローラコンベヤ43が上流側搬送体に相当する。
調温プレス装置50は、ホットプレス装置20と同様に構成されている。したがって、図2、図3、図42等に示した調温プレス装置50において、ホットプレス装置20と同じ機能を果たす部材には同じ符号を付して説明を省略し、ホットプレス装置20と異なる点について説明する。なお、図42等では、調温プレス装置50を構成する一部の部材が省略されている。
ホットプレス装置20が単板W1を加圧加熱する構成であるのに対し、調温プレス装置50が単板W1を加圧調温する構成であるという基本構造の相違に起因して、ホットプレス装置20の熱板24(第一の接触板)内には、単板W1を接触加熱乾燥させるために高温の蒸気、熱油などの加熱媒体が給排され、その加熱媒体の温度を単板W1の種類に応じて維持するように構成されている。これに対し、調温プレス装置50の調温板54(第二の接触板)内には、水、温水、熱油などの調温媒体の給排、或いは通電等により乾燥済の単板W1を所望の仕上がり温度(例えば単板温度が25℃〜35℃)に調整するように構成されている点で両者は相違する。
調温プレス装置50は、開放蒸散部ローラコンベヤ43と同一高さの搬送面F2を有する調温プレス部ローラコンベヤ31を備えている。調温プレス部ローラコンベヤ31の下方には、調温プレス部把持体70Dが設けられている。調温プレス部把持体70Dは、ホットプレス部把持体70Bと同様に構成されている。したがって、図2、図3、図42等に示した調温プレス部把持体70Dにおいて、ホットプレス部把持体70Bを構成する部材と同様な機能を果たす部材には同じ符号を付して説明を省略する。
本実施例1では、調温プレス装置50が第二処理装置、調温プレス部把持体70Dが下部把持体、調温プレス部ローラコンベヤ31が第二搬送体に相当する。また、調温プレス部把持体70D及び調温プレス部ローラコンベヤ31が下流側搬送体に相当する。さらに、調温プレス部把持体70Dの走行体71、連係ブラケット71bなどが連係機構に相当し、調温プレス部ローラコンベヤ31のローラ31cが補助搬送体に相当する。
また、本実施例1では、ローダ部把持体70A、ローダ部コンベヤ15、ホットプレス部把持体70B及びホットプレス部ローラコンベヤ31が先行搬送装置に相当し、開放蒸散部把持体70C、開放蒸散部ローラコンベヤ43、調温プレス部把持体70D及び調温プレス部ローラコンベヤ31が後続搬送装置に相当する。
また、アンローダ装置60は、ローダ棚14の代わりにアンローダ棚64を有する点を除き、ローダ装置10と同様に構成されている。したがって、図2、図3、図48等に示したアンローダ装置60において、ローダ装置10を構成する部材と同様な機能を果たす部材には同じ符号を付して説明を省略する。なお、図48等では、アンローダ装置60を構成する一部の部材が省略されている。アンローダ装置60が第三処理装置に相当する。
次に、本実施例1の搬送経路R1〜R4について説明する。図2及び図3に示されるように、搬送経路R1〜R4は、平面視で一直線状に配置されている。搬送経路R1は、ローダ装置10とホットプレス装置20とに跨って位置し、ローダ装置10で起立状態とされた複数の単板W1を搬送方向に沿って平行に保持しつつ搬出し、ホットプレス装置20のプレス位置(熱板24間の予め定められた位置)に起立状態のまま搬入する経路である。搬送経路R1での単板W1の搬送工程は、ローダ部把持体70A、ローダ部コンベヤ15、ホットプレス部把持体70B及びホットプレス部ローラコンベヤ31の駆動制御によって実施される。搬送経路R1が第一の搬送経路に相当する。
搬送経路R2は、ホットプレス装置20と開放蒸散装置40とに跨って位置し、熱板24による押圧を解かれた複数の単板W1をホットプレス装置20のプレス位置から起立状態で搬出し、搬送方向に沿って平行に保持しつつ開放蒸散装置40の開放蒸散位置(開放棚42間の予め定められた位置)に起立状態のまま搬入する経路である。搬送経路R2での単板W1の搬送工程は、ホットプレス部把持体70B、ホットプレス部ローラコンベヤ31、開放蒸散部把持体70C及び開放蒸散部ローラコンベヤ43の駆動制御によって実施される。搬送経路R2が第二の搬送経路に相当する。
搬送経路R3は、開放蒸散装置40と調温プレス装置50とに跨って位置し、水蒸気が放散した複数の単板W1を開放蒸散装置40の開放蒸散位置から起立状態で搬出し、搬送方向に沿って平行に保持しつつ調温プレス装置50のプレス位置(調温板54間の予め定められた位置)に起立状態のまま搬入する経路である。搬送経路R3での単板W1の搬送工程は、開放蒸散部把持体70C、開放蒸散部ローラコンベヤ43、調温プレス部把持体70D及び調温プレス部ローラコンベヤ31の駆動制御によって実施される。搬送経路R3が第三の搬送経路に相当する。
搬送経路R4は、調温プレス装置50とアンローダ装置60とに跨って位置し、調温板54による押圧を解かれた複数の単板W1を調温プレス装置50のプレス位置から起立状態で搬出し、搬送方向に沿って平行に保持しつつアンローダ装置60のアンローダ位置(アンローダ棚64間の予め定められた位置)に起立状態のまま搬入する経路である。搬送経路R4での単板W1の搬送工程は、調温プレス部把持体70D、調温プレス部ローラコンベヤ31、アンローダ部把持体70E及びアンローダ部ローラコンベヤ15の駆動制御によって実施される。搬送経路R4が第四の搬送経路に相当する。
次に、図14を参照して、本実施例の搬送制御の電気的構成について説明する。横型多段プレス装置1の制御部として機能する制御基板100は、演算装置であるCPU101と、読み取り専用記憶装置であるROM102と、読み書き可能な主記憶装置でありワークエリアとして使用されるRAM103と、入出力インターフェイス(I/O)104とを中心に構成されている。これらの装置は、バス105で相互に送受信可能に接続されている。ROM102には、搬送処理を実行するための制御プログラム102aや単板W1の被加圧面の大きさを初期設定するための設定テーブル102b等が予め格納・記憶されている。
入出力インターフェイス104には、設定スイッチ201、複数の光電センサ202a〜202hが入力手段として機能するように接続されている。また、入出力インターフェイス104には、装置10,20,40,50,60毎に電磁切換弁211A〜211Eを介して把持片シリンダ77,78、電磁切換弁212A〜212Eを介して把持部材昇降シリンダ74、駆動回路215A〜215Eを介して走行体モータ72、駆動回路216A〜216Eを介してコンベヤモータ204が出力手段として機能するように接続されている。
また、入出力インターフェイス104には、装置10,60毎に電磁切換弁213A,213Eを介してコンベヤ昇降シリンダ16、駆動回路217A,217Eを介してチェンコンベヤモータ203が出力手段として機能するように接続されている。さらに、入出力インターフェイス104には、装置20,50毎に電磁切換弁214B,214Dを介してプレスシリンダ27が出力手段として機能するように接続されている。
なお、電磁切換弁211A〜211Eは、通常は把持解除位置に切り換えられている。このため、各把持片シリンダ77,78は、通常は収縮状態にあって、把持部材73の把持片81,82は拡開状態(把持解除状態)となっている。電磁切換弁211A〜211Eがそれぞれ把持位置に切り換えられることで、対応する把持片シリンダ77,78が伸長状態となり、把持部材73の把持片81,82が縮閉状態(把持状態)となる。
設定スイッチ201は、例えば押しボタンやタッチパネルに表示される静電式のタッチスイッチであり、単板W1の処理枚数や被加圧面の大きさなどの単板W1に関する情報、調温板54の温度の設定等を制御基板100に入力するときに用いられる。調温板54の温度の設定に際して、調温板54内に、水、温水、熱油などの調温媒体を給排する方式においては、調温時の外気温に応じて、夏季であれば水、冬季であれば温水、熱油等が採択され、通電型の調温板54であれば所望温度が入力されることになる。すなわち、単板W1が開放棚42間に起立状態に収容されてその両表面から水蒸気を放散しているとき、冬季においては所望の仕上がり温度(例えば単板温度が25℃〜35℃)より低下する場合があり(例えば単板温度が0℃〜10℃)、この場合には逆に単板W1温度を上昇させるために調温媒体を給排する方式においては、温水、熱油等が採択されることになる。
光電センサ202aは、ローダ装置10においてローダ部把持体70Aが作動位置(把持解除位置)に達したこと(単板W1の一部が熱板24間へ搬入されたこと)を検出する。光電センサ202bは、開放蒸散装置40において開放蒸散部把持体70Cが作動位置(把持解除位置)に達したこと(単板W1の一部が調温板54間へ搬入されたこと)を検出する。光電センサ202cは、アンローダ装置60においてアンローダ部把持体70Eが作動位置(把持解除位置)に達したこと(単板W1がアンローダ棚64内に搬入されたこと)を検出する。
光電センサ202dは、ローダ棚14内に単板W1が保持されていることを検出する。光電センサ202eは、ホットプレス装置20内に単板W1が保持されていることを検出する。光電センサ202fは、開放棚42内に単板W1が保持されていることを検出する。光電センサ202gは、調温プレス装置50内に単板W1が保持されていることを検出する。光電センサ202hは、アンローダ棚64内に単板W1が保持されていることを検出する。光電センサ202a〜202hは、各センサが設けられた位置毎に複数用意され、単板W1の大きさに応じて最適なものが選択されるようになっている。なお、光電センサのような透過型の非接触式の検出器に限らず、例えば接触式又は反射型の非接触式の検出器を用いてもよい。
次に、上記のように構成された横型多段プレス装置1を用いて単板W1を乾燥させる手順について、図23〜図54に示されるような横型多段プレス装置1の要部を模型的に表した3D画像説明図を参照しつつ説明する。この場合、制御基板100は、図15のフローチャートで示されるメインルーチンとしての単板乾燥処理を示すプログラムを実行する。なお、図15のフローチャートは、制御基板100のROM102に格納された各制御プログラム102aの一つに対応する。
図15の単板乾燥処理プログラムにおいて、S2のローダ工程、S4のホットプレス工程、S6の開放蒸散工程、S8の調温プレス工程及びS10のアンローダ工程は、それぞれローダ装置10、ホットプレス装置20、開放蒸散装置40、調温プレス装置50及びアンローダ装置60での処理の流れに対応する。他方、S3の第一の搬送工程、S5の第二の搬送工程、S7の第三の搬送工程及びS9の第四の搬送工程は、それぞれ搬送経路R1〜R4での処理の流れに対応する。
そして、S1の初期設定、S2のローダ工程及びS10のアンローダ工程では、それぞれサブルーチンとしての図16の初期設定プログラム、図17のローダ処理プログラム及び図22のアンローダ処理プログラムが実行される。また、S3の第一の搬送工程、S5の第二の搬送工程、S7の第三の搬送工程及びS9の第四の搬送工程では、それぞれサブルーチンとしての図18の第一の搬送処理プログラム、図19の第二の搬送処理プログラム、図20の第三の搬送処理プログラム、図21の第四の搬送処理プログラムが実行される。この場合、各サブルーチンは、それぞれ独立して実行されるようになっている。
制御基板100は、図15におけるS1の初期設定では図16のフローチャートで示される初期設定処理プログラムを実行する。具体的に、制御基板100は、設定スイッチ201からの単板W1の処理枚数や被加圧面の大きさに関する単板情報を入力する。その入力内容に基づき、ROM102の設定テーブル102bを参照し、単板W1の大きさに応じて最適位置の光電センサ202a〜202hを選択する。また、ローダ部把持体70A、ホットプレス部把持体70B、開放蒸散部把持体70C、調温プレス部把持体70D及びアンローダ部把持体70Eにおける各走行体71の原位置と作動位置間の移動を、例えば走行体モータ72の正逆駆動量として設定する(S11)。
制御基板100は、図15におけるS2のローダ工程では図17のフローチャートで示されるローダ処理プログラムを実行する。S21では、ローダ棚14内に予め定められた枚数の単板W1(被処理板材)が保持されたか否かを判定する。S21を最初に実行するときは、ローダ棚14内に単板W1が1枚も保持されていないため(図23参照)、S21にて「NO」と判定し、S22にてローダ部把持体70A及びローダ部コンベヤ15が原位置にあるか否かを判定する。これは、ローダ部把持体70A及びローダ部コンベヤ15が作動位置(上昇位置)にある状態でチェンコンベヤ13が駆動されると、単板W1がローダ部コンベヤ15と干渉してしまうからである。
ローダ部把持体70A及びローダ部コンベヤ15が作動位置にある場合には(S21:「NO」)、ローダ部把持体70A及びローダ部コンベヤ15を原位置へ復動させた後(S24)、チェンコンベヤ13を所定の回転量だけ駆動し(S23)、単板W1を1枚ずつローダ棚14へ送り込む。以降は、S21,S22(「YES」と判定)及びS23の処理がこの順に繰り返し実行され、ローダ棚14内に予め定められた枚数の単板W1が保持されることを条件として(S21:「YES」)、ローダ処理を終了する。S2のローダ工程が第一処理工程に相当する。
制御基板100は、図15におけるS3の第一の搬送工程では図18のフローチャートで示される第一の搬送処理プログラムを実行する。制御基板100は、ローダ棚14内に予め定められた枚数の単板W1(被処理板材)が保持され(S31:「YES」)、光電センサ202eによりホットプレス装置20内にて単板W1が検出されず(S32:「NO」)、ローダ部把持体70Aが原位置(把持位置)にある場合(図24参照、S33:「YES」)には、電磁切換弁212Aを下降位置に切り換え、把持部材昇降シリンダ74の伸長動作に伴い、把持部材73を下降させる。
これにより、図25に示されるように、把持部材73の把持片81,82は、ローダ棚14内で起立状態に保持されている複数の単板W1間の隙間内に進入する(把持位置)。把持部材73の下降後、電磁切換弁211Aを把持位置に切り換え、把持片シリンダ77,78の伸長動作に伴い、把持片81,82により複数の単板W1の各上部両側面を把持させる(S35、図26参照)。なお、ローダ部把持体70Aが原位置にない場合(S33:「NO」)には、走行体モータ72を逆転駆動してローダ部把持体70Aを原位置へ復動させる(S34)。
次に、図27に示されるように、電磁切換弁213Aを上昇位置に切り換え、コンベヤ昇降シリンダ16の伸長動作に伴い、ローダ部コンベヤ15を作動位置まで上昇させる。このとき、コンベヤ昇降シリンダ16の駆動に把持部材昇降シリンダ74の駆動を同期させ、ローダ部コンベヤ15の上昇と同時に把持部材73を上昇させる(S36)。この状態では、複数の単板W1が各上部両側面を把持片81,82により吊り下げられつつ、各下端をローダ部コンベヤ15のベルトコンベヤ150(ローラ15a)により持ち上げられる。
このように、本実施例1では、コンベヤ昇降シリンダ16と把持部材昇降シリンダ74との同期駆動という簡易な制御方法を用いて、ローダ部コンベヤ15の搬送面F1をホットプレス部ローラコンベヤ31の搬送面F2に一致させるようにしている。これにより、単板W1を起立させるためのチェンコンベヤ13と、単板W1をローダ装置10からホットプレス装置20へ搬入するためのローダ部コンベヤ15との両立が図られている。
次に、図28に示されるように、ローダ部把持体70Aの走行体モータ72を正転駆動し、走行体71を作動位置(把持解除位置)まで往動させる。このとき、走行体モータ72の駆動にローダ部コンベヤモータ204の駆動を同期させ、走行体71の移動速度に合わせてベルトコンベヤ150(ローラ15a)を所定時間だけ回転させる(S37)。これにより、複数の単板W1は、各々の進入経路に沿ってホットプレス装置20の熱板24間に進入する。
このとき、ホットプレス部把持体70Bは、例えば図29に示されるように把持部材73の上端が単板W1の左端部(始端部)の下端と対向する位置を原位置として待機状態にある。ローラ31cは、ローラ31a,31bと共に熱板24間に進入してきた単板W1の下端を支持・誘導する。
S37の処理の実行後、光電センサ202aにより、作動位置(把持解除位置)に達したローダ部把持体70Aが検出されることを条件として、電磁切換弁212Bを上昇位置に切り換え、ホットプレス部把持体70Bの把持部材昇降シリンダ74の伸長動作に伴い、把持部材73を上昇させる。拡開状態にある把持部材73の把持片81,82は、熱板24間で起立状態に保持されている複数の単板W1間の隙間内に進入する。把持部材73の上昇後、電磁切換弁211Bを把持位置に切り換え、把持片シリンダ77,78の伸長動作に伴い、把持片81,82により複数の単板W1の各下部両側面を把持させる(S38、図30参照)。
次いで、電磁切換弁211Aを把持解除位置に切り換え、ローダ部把持体70Aの把持片81,82を把持解除状態とする。つまり、電磁切換弁211Bを把持位置へ切り換え、電磁切換弁211Aを把持解除位置に切り換えることで、単板W1の把持位置を上部から下部へ持ち換えて単板W1を支持することとなる。その後、図31に示されるように、ホットプレス部把持体70Bの走行体モータ72を正転駆動し、走行体71を作動位置まで往動させる(S39)。この作動位置は、ローラ31cがローラ31aと接触する位置、あるいはローラ31aの近傍位置に設定されている。
なお、制御基板100は、光電センサ202dによりローダ棚14内に単板W1が残っていないことが検出された場合には、例えばローダ装置10が新たな単板W1を送り機構から受け取ったタイミングで、ローダ部把持体70Aの走行体モータ72を逆転駆動し、ローダ部把持体70Aを原位置へ復動させる。このとき、電磁切換弁213Aを下降位置に切り換え、コンベヤ昇降シリンダ16の収縮動作に伴い、ローダ部コンベヤ15を下降させる。以降は、上記と同様にしてローダ装置10において図17のローダ処理を実行することとなる。
走行体71が作動位置へ一度到着したときに、単板W1がホットプレス装置20のプレス位置(所定の加圧位置)に達成していれば、S40の「YES」の判断によりS41に進み、走行体71が作動位置へ一度到着しただけでは、単板W1がホットプレス装置20のプレス位置(所定の加圧位置)に達していなければ(S40:「NO」)、単板W1をそのプレス位置へと送り込むべく、単板W1の長さに応じて走行体71による送り調整が行われる。例えば、電磁切換弁211Bを把持解除位置に切り換え、ホットプレス部把持体70Bの把持片81,82を把持解除状態とし、走行体71を単板W1の長さに応じて必要量だけ復動させた後、図32に示されるように、電磁切換弁211Bを把持位置に切り換え、ホットプレス部把持体70Bの把持片81,82により単板W1の下部を再度把持させる。この状態で、図33に示されるように、走行体モータ72を正転駆動し、走行体71を再度作動位置まで往動させる(S39)。これにより、単板W1がホットプレス装置20のプレス位置へ送り込まれる。
単板W1がホットプレス装置20のプレス位置へ送り込まれた場合は(S40:「YES」)、電磁切換弁211Bを把持解除位置に切り換え、ホットプレス部把持体70Bの把持片81,82を把持解除状態とした後、電磁切換弁212Bを下降位置に切り換え、把持部材昇降シリンダ74の収縮動作に伴い、把持部材73を下降させる。この状態で、ホットプレス部把持体70Bの走行体モータ72を逆転駆動し、走行体71を原位置まで復動させる(S41、図35,図36参照)。S41の処理の実行後、第一の搬送処理を終了する。本実施例1では、図18のS35〜S37の処理が上流側搬出工程に相当し、S38,S39の処理が下流側搬入工程に相当する。
図15に戻って、制御基板100は、S4のホットプレス工程では、電磁切換弁214Bを閉鎖位置に切り換え、ホットプレス装置20のプレスシリンダ27の伸長動作に伴い、複数の熱板24を同時に閉鎖する。単板W1の種類に応じて予め定められた時間だけ加圧加熱した後、電磁切換弁214Bを開放位置に切り換え、ホットプレス装置20のプレスシリンダ27の収縮動作に伴い、複数の熱板24を同時に開放する。S4のホットプレス工程が第二処理工程に相当する。
制御基板100は、図10におけるS5の第二の搬送工程では図19のフローチャートで示される第二の搬送処理プログラムを実行する。S51では、光電センサ202fにより開放棚42内に単板W1(被処理板材)が保持されているか否かを判定する。S51を最初に実行するときは、開放棚42内に単板W1が保持されていないため(図36参照)、S51にて「NO」と判定し、ホットプレス工程が終了していることを条件として(S52:「YES」)、電磁切換弁212Bを上昇位置に切り換え、把持部材昇降シリンダ74の伸長動作に伴い、原位置にあるホットプレス部把持体70Bの把持部材73を上昇させる。これにより、図37に示されるように、把持部材73の把持片81,82が、熱板24間で起立状態に保持されている複数の単板W1間の隙間内に進入する。把持部材73の上昇後、電磁切換弁211Bを把持位置に切り換え、ホットプレス部把持体70Bの把持片81,82により単板W1の下部を把持させる(S53)。
この状態で、図38に示されるように、ホットプレス部把持体70Bの走行体モータ72を正転駆動し、走行体71を作動位置まで往動させる(S54)。このとき、走行体モータ72の駆動にホットプレス部コンベヤモータ204の駆動を同期させ、走行体71の移動速度に合わせてローラ31a,31bを所定時間だけ回転させる(S54)。開放蒸散部把持体70Cは、通常は原位置に待機しており、しかもその把持部材73の把持片81,82は拡開状態にあるため、複数の単板W1は、それらの上部が把持片81,82の間を通り抜けつつ、各々の進入経路に沿って開放蒸散装置40の開放棚42間に進入する。
光電センサ202eによりホットプレス部把持体70Bが作動位置に達したことが検出されると、電磁切換弁211Cを把持位置に切り換え、開放蒸散部把持体70Cの把持片シリンダ77,78の伸長動作に伴い、把持片81,82により複数の単板W1の各上部両側面を把持させる。これと同時に、電磁切換弁211Bを把持解除位置に切り換え、ホットプレス部把持体70Bの把持片81,82を把持解除状態とする(S55)。つまり、電磁切換弁211Cを把持位置へ切り換え、電磁切換弁211Bを把持解除位置に切り換えることで、単板W1の把持位置を下部から上部へ持ち換えて単板W1を支持することとなる。
その後、図39に示されるように、開放蒸散部把持体70Cの走行体モータ72を正転駆動し、走行体71を作動位置まで往動させる(S56)。このとき、走行体モータ72の駆動に開放蒸散部コンベヤモータ204の駆動を同期させ、走行体71の移動速度に合わせてローラ43aを所定時間だけ回転させる。これにより、複数の単板W1は、それぞれ開放棚42内において所定間隔を置いた開放蒸散位置(大気開放位置)に保持され、起立状態にある両表面から水蒸気を大気に放散することが可能となる。
光電センサ202bにより開放蒸散部把持体70Cが作動位置に達したことが検出されると、電磁切換弁211Cを把持解除位置に切り換え、把持片シリンダ77,78の収縮動作に伴い、把持片81,82を把持解除状態とした後、開放蒸散部把持体70Cの走行体モータ72を逆転駆動し、走行体71を原位置へ復動させる(S57、図40参照)。S57の処理の実行後、第二の搬送処理を終了する。
図15に戻って、制御基板100は、S6の開放蒸散工程では、所定時間、例えば次の単板W1のホットプレス装置20での加圧加熱時間が経過するまで、開放棚42内にて各単板W1を起立状態に保持する。各単板W1が含有する水分は、各単板W1の両表面から蒸気化しながら大気へ放散される。S6の開放蒸散工程が第一処理工程に相当する。
制御基板100は、図15におけるS7の第三の搬送工程では図20のフローチャートで示される第三の搬送処理プログラムを実行する。S61では、光電センサ202gにより調温プレス装置50内に単板W1(被処理板材)が保持されているか否かを判定する。S61を最初に実行するときは、調温プレス装置50内に単板W1が保持されていないため(図40参照)、S61にて「NO」と判定し、S62にて開放蒸散工程が終了していることを条件として(S62:「YES」)、S63の処理を実行する。
S63では、電磁切換弁211Cを把持位置に切り換え、把持片シリンダ77,78の伸長動作に伴い、原位置にある開放蒸散部把持体70Cの把持片81,82により複数の単板W1の各上部両側面を把持させる。この状態で、図41に示されるように、開放蒸散部把持体70Cの走行体モータ72を正転駆動し、走行体71を作動位置まで往動させる。このとき、走行体モータ72の駆動に開放蒸散部コンベヤモータ204の駆動を同期させ、走行体71の移動速度に合わせてローラ43aを所定時間だけ回転させる(S63)。これにより、複数の単板W1は、各々の進入経路に沿って調温プレス装置50の調温板54間に進入する。
このとき、調温プレス部把持体70Dは、例えば図42に示されるように把持部材73の上端が単板W1の左端部(始端部)の下端と対向する位置を原位置として待機状態にある。調温プレス部ローラコンベヤ31のローラ31cは、ローラ31a,31bと共に調温板54間に進入してきた単板W1の下端を支持・誘導する。
S63の処理の実行後、光電センサ202bにより、作動位置(把持解除位置)に達した開放蒸散部把持体70Cが検出されることを条件として、電磁切換弁212Dを上昇位置に切り換え、調温プレス部把持体70Dの把持部材昇降シリンダ74の伸長動作に伴い、把持部材73を上昇させる。拡開状態にある把持部材73の把持片81,82は、調温板54間で起立状態に保持されている複数の単板W1間の隙間内に進入する。把持部材73の上昇後、電磁切換弁211Dを把持位置に切り換え、把持片シリンダ77,78の伸長動作に伴い、把持片81,82により複数の単板W1の各下部両側面を把持させる(S64、図43参照)。
次いで、電磁切換弁211Cを把持解除位置に切り換え、開放蒸散部把持体70Cの把持片81,82を把持解除状態とする。つまり、電磁切換弁211Dを把持位置へ切り換え、電磁切換弁211Cを把持解除位置に切り換えることで、単板W1の把持位置を上部から下部へ持ち換えて単板W1を支持することとなる。その後、図44に示されるように、調温プレス部把持体70Dの走行体モータ72を正転駆動し、走行体71を作動位置まで往動させる(S65)。
この作動位置は、ローラ31cがローラ31aと接触する位置、あるいはローラ31aの近傍位置に設定されている。なお、制御基板100は、光電センサ202fにより開放棚42内に単板W1が残っていないことが検出された場合には、上記と同様にして開放蒸散装置40において図19の第二の搬送処理を実行することとなる。
走行体71が作動位置へ一度到着したときに、単板W1が調温プレス装置50のプレス位置(所定の加圧位置)に達成していれば、S66の「YES」の判断によりS67に進み、走行体71が作動位置へ一度到着しただけでは、単板W1が調温プレス装置50のプレス位置(所定の加圧位置)に達していなければ(S66:「NO」)、単板W1をそのプレス位置へと送り込むべく、単板W1の長さに応じて走行体71による送り調整が行われる。例えば、電磁切換弁211Dを把持解除位置に切り換え、調温プレス部把持体70Dの把持片81,82を把持解除状態とし、走行体71を単板W1の長さに応じて必要量だけ復動させた後、図45に示されるように、電磁切換弁211Dを切り換え、調温プレス部把持体70Dの把持片81,82により単板W1の下部を再度把持させる。この状態で、図46に示されるように、走行体モータ72を正転駆動し、走行体71を再度作動位置まで往動させる(S65)。これにより、単板W1が調温プレス装置50のプレス位置へ送り込まれる。
単板W1が調温プレス装置50のプレス位置へ送り込まれた場合は(S66:「YES」)、電磁切換弁211Dを把持解除位置に切り換え、調温プレス部把持体70Dの把持片81,82を把持解除状態とした後、電磁切換弁212Dを下降位置に切り換え、調温プレス部把持体70Dの把持部材昇降シリンダ74の収縮動作に伴い、把持部材73を下降させる。この状態で、調温プレス部把持体70Dの走行体モータ72を逆転駆動し、走行体71を原位置まで復動させる(S67、図47参照)。S67の処理の実行後、第三の搬送処理を終了する。本実施例1では、図20のS63の処理が上流側搬出工程に相当し、S64,S65の処理が下流側搬入工程に相当する。
図15に戻って、制御基板100は、S8の調温プレス工程では、電磁切換弁214Dを閉鎖位置に切り換え、調温プレス装置50のプレスシリンダ27の伸長動作に伴い、複数の調温板54を同時に閉鎖する。調温板54は、水、温水、熱油などの調温媒体の給排、或いは通電等により、外気温等に応じた温度に設定されており、単板W1の種類に応じて予め定められた時間だけ加圧調温した後、電磁切換弁214Dを開放位置に切り換え、調温プレス装置50のプレスシリンダ27の収縮動作に伴い、複数の調温板54を同時に開放する。S8の調温プレス工程が第二処理工程に相当する。
制御基板100は、図15におけるS9の第四の搬送工程では図21のフローチャートで示される第四の搬送処理プログラムを実行する。制御基板100は、光電センサ202hによりアンローダ棚64内にて単板W1(被処理板材)が検出されない場合(S71:「NO」)には、調温プレス工程が終了し(S72:「YES」)、アンローダ部ローラコンベヤ15が作動位置にあることで、調温プレス部ローラコンベヤ31の搬送面F2に対して水平状に連続する搬送面F3が形成され(図48参照)、かつアンローダ部把持体70Eが原位置(把持位置)に復帰していることを条件として(S74:「YES」)、電磁切換弁212Eを下降位置に切り換え、把持部材昇降シリンダ74の伸長動作に伴い、把持部材73を下降させる(S76、図49参照)。
その後、アンローダ部把持体70Eによる一回の往動動作で単板W1がアンローダ棚64内に搬入されるよう、単板W1の長さに応じて調温プレス部把持体70Dの走行体71による送り調整が行われる。例えば、図50に示される状態から、電磁切換弁211Dを把持解除位置に切り換え、調温プレス部把持体70Dの把持片81,82を把持解除状態とし、走行体71を単板W1の長さに応じて必要量だけ復動させた後、図51に示されるように、電磁切換弁211Dを切り換え、調温プレス部把持体70Dの把持片81,82により単板W1の下部を再度把持させる。これにより、単板W1が所定量だけアンローダ棚64側へ送り込まれ、単板W1の左端部(始端部)の上部は拡開している把持片81,82間に誘導され、単板W1の左端部(始端部)の下端はアンローダ部ローラコンベヤ15上に支持・誘導される(S76、図52参照)。S76の処理が後側搬出工程に相当する。
S76の処理後、電磁切換弁211Eを把持位置に切り換え、把持片シリンダ77,78の伸長動作に伴い、把持片81,82により複数の単板W1の各上部両側面を把持させる。これと同時に、電磁切換弁211Dを把持解除位置に切り換え、調温プレス部把持体70Dの把持片81,82を把持解除状態とする(S77)。つまり、電磁切換弁211Eを把持位置へ切り換え、電磁切換弁211Dを把持解除位置に切り換えることで、単板W1の把持位置を下部から上部へ持ち換えて単板W1を支持することとなる。
次に、アンローダ部把持体70Eの走行体モータ72を正転駆動し、走行体71を作動位置(把持解除位置)まで往動させる。このとき、走行体モータ72の駆動にアンローダ部コンベヤモータ204の駆動を同期させ、走行体71の移動速度に合わせてローラ15aを所定時間だけ回転させる(S78)。これにより、複数の単板W1は、各々の進入経路に沿ってアンローダ棚64内の起立位置に進入する。S77,S78の処理が後側搬入工程に相当する。
S78の処理の実行後、光電センサ202cにより、作動位置(把持解除位置)に達したアンローダ部把持体70Eが検出されることを条件として、電磁切換弁211Eを把持解除位置に切り換え、アンローダ部把持体70Eの把持片81,82を把持解除状態とする。次いで、電磁切換弁212Eを上昇位置に切り換え、アンローダ部把持体70Eの把持部材73を上昇させた後、原位置(把持位置)へ復動させる。その後、電磁切換弁213Eを下降位置に切り換え、コンベヤ昇降シリンダ16の収縮動作に伴い、アンローダ部ローラコンベヤ15を原位置まで下降させる(S79)。これにより、アンローダ部ローラコンベヤ15の下降に伴い、複数の単板W1は、各下端をアンローダ部ローラコンベヤ15のローラ15aにより支持されつつ、下降することとなる(図7B参照)。開放蒸散工程及び調温プレス工程を経た単板W1は、水分が抜けて硬くなっているため、図7Bに示したようにローラ15aに支持されたときに下端が丸まることはない。S79の処理の実行後、第四の搬送処理を終了する。
制御基板100は、図15におけるS10のアンローダ工程では図22のフローチャートで示されるアンローダ処理プログラムを実行する。S81ではアンローダ部ローラコンベヤ15が原位置にあるか否かを判定する。アンローダ部ローラコンベヤ15が原位置にあり(S81:「YES」)、アンローダ部把持体70Eの把持部材73が上昇している場合には(S82:「YES」)、チェンコンベヤ13を所定の回転量だけ駆動し(S84)、単板W1を1枚ずつアンローダ棚64から引き出す(図54参照)。アンローダ部把持体70Eの把持部材73が上昇していない場合には(S82:「NO」)、電磁切換弁212Eを上昇位置に切り換え、アンローダ部把持体70Eの把持部材73を上昇させた後(S83)、チェンコンベヤ13を所定の回転量だけ駆動する。引き出された単板W1は、図示を省略する搬出機構によりアンローダ装置60の外部へ出される。S84、S85(「YES」と判定)の処理がこの順に繰り返し実行され、アンローダ棚64内に単板W1が無くなった場合には(S85:「NO」)、電磁切換弁213Eを上昇位置に切り換え、コンベヤ昇降シリンダ16の伸長動作に伴い、アンローダ部ローラコンベヤ15を作動位置まで上昇させる(S86)。その後、アンローダ処理を終了する。アンローダ工程が第三処理工程に相当する。
以上の説明から明らかなように、上記実施例1における横型多段プレス装置1及びそれを用いた多段搬送方法では、起立状態の単板W1(被処理板材)の上部を把持して途中(前半)まで搬送、すなわちローダ部把持体70A又は開放蒸散部把持体70Cの各々の作動位置まで搬送した後、把持位置を下部に持ち換えて後半の搬送、すなわちホットプレス部把持体70B又は調温プレス部把持体70Dの各々の作動位置までの搬送を行うように構成されている。これにより、単板W1の搬送のために熱板24や調温板54の上方に広いスペースや大がかりな持ち上げ機構が不要となり、単板W1を搬入するための駆動力を小さくすることができる。
また、上記実施例1において、搬送経路R1では、単板W1の上部を把持して搬送するローダ部把持体70Aから単板W1の下部を把持して搬送するホットプレス部把持体70Bへ持ち換えられ、搬送経路R3では、単板W1の上部を把持して搬送する開放蒸散部把持体70Cから単板W1の下部を把持して搬送する調温プレス部把持体70Dへ持ち換えられるように構成されている。
他方、搬送経路R2では、単板W1の下部を把持して搬送するホットプレス部把持体70Bから単板W1の上部を把持して搬送する開放蒸散部把持体70Cへ持ち換えられ、搬送経路R4では、単板W1の下部を把持して搬送する調温プレス部把持体70Dから単板W1の上部を把持して搬送するアンローダ部把持体70Eへ持ち換えられるように構成されている。
このように、ホットプレス装置20及び調温プレス装置50では、いずれも装置内部の下方の空間を効果的に利用して、それぞれホットプレス部把持体70B及び調温プレス部把持体70Dを設けているため、上方空間に設けられた加熱あるいは調温用の流体配管等の既存設備との干渉を良好に回避することができる。
ここで、横型多段プレス装置1を各種サイズの単板W1に適用可能な仕様とする場合、ホットプレス装置20及び調温プレス装置50では、単板W1の下部を把持して搬送する方式の方が、単板W1の上部を把持して搬送する方式のものに比して、熱板24や調温板54による加圧が不能な非加圧部位の領域を小さく設定し得るものと考えられる。
すなわち、単板W1が小さくても、その上部が把持片81,82により把持されるようにするためには、上部に設けられる把持体の原位置をある程度低めに設定する必要がある。これは、単板W1の上部において熱板24や調温板54からはみ出す非加圧部位の領域が大きくなることを意味する。この非加圧部位は、含水率が高い領域であり、最終的には切除される部位となる。また、特にホットプレス装置20では、ホットプレス工程終了後の熱板24の開放時に蒸散されるヤニ等の粘着物質が装置に付着しやすいため、単板W1の上部に把持体を設けると、走行体71の作動不良を招来するおそれがある。
これに対し、上記実施例1では、搬送経路R1及びR2においてホットプレス装置20に対応するホットプレス部把持体70B、搬送経路R3及びR4において調温プレス装置50に対応する調温プレス部把持体70Dは、いずれも単板W1の下部を把持して搬送するように構成されている。これにより、非加圧部位の領域を小さく設定することができ、ひいては単板W1の切除部位を小さくすることができる。また、走行体71の作動不良を良好に防止することもできる。
なお、上記実施例1では、本発明を、ローダ装置10、ホットプレス装置20、開放蒸散装置40、調温プレス装置50及びアンローダ装置60が搬送方向上流側からこの順番に配置されるタイプの横型多段プレス装置1に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば調温プレス工程を省略することも可能である。すなわち、単板W1の材質・厚み、乾燥時の気象条件、単板W1の用途等、さらには恒常的に外気温がほぼ一定の環境下、或いは工場内の温度がほぼ一定に管理されている環境下においては、開放蒸散工程を実行するだけで、単板W1に調温プレス工程を実施したときと同様の効果が得られる場合である。或いは例えば図55に示されるように、開放蒸散装置40と調温プレス装置50が省略され、ローダ装置10、ホットプレス装置20及びアンローダ装置60が搬送方向上流側からこの順番に配置されるタイプの横型多段プレス装置1Bに適用することもできる。すなわち、本発明は、被処理板材の上部を把持して吊り下げた状態で第一の装置から搬出する上流側搬出工程と、被処理板材の把持位置を上部から下部へ持ち換えて支持した状態で第二の装置に搬入する下流側搬入工程とで構成される少なくとも一組の搬出・搬入工程を含むものであればよく、上記実施例1のように二組の搬出・搬入工程を有する態様に限定されるものではない。横型多段プレス装置1,1Bのいずれにおいても、各装置10,20等の構造上の特性に適合するように上部把持体を使用するか下部把持体を使用するかが決定されており、起立状態にある単板W1のスムーズな搬送が確保されている。
また、ローダ部コンベヤ15、ホットプレス部ローラコンベヤ31、調温プレス部ローラコンベヤ31及びアンローダ部ローラコンベヤ15においては、一部又は全部の駆動ローラに代えて、非駆動の遊転ローラを採用してもよい。これによれば、単板W1の搬送時の駆動力をより小さくすることができる。
その他、本発明は上記実施例及びその変形例に限らず、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えた態様で実施することが可能である。