図1は、本発明に係る被処理板材の多段搬送装置を適用した横型多段プレス装置1の要部を示す。横型多段プレス装置1は、被処理板材としての矩形板状のベニヤ単板W1(図4A及び図4C参照。以下、単板W1という)を加圧・乾燥処理する機能を有する。なお、被処理板材は単板に限らず、例えば積層材、合板、化粧板等を用いることができる。
横型多段プレス装置1は、乾燥用の複数の単板W1を積み込むローダ装置10と、熱板24(第一の接触板)で単板W1毎に両側から挟んで加圧加熱するホットプレス装置20と、各単板W1の表面から水蒸気を放散させる開放蒸散装置40と、調温板54(第二の接触板)で単板W1毎に両側から挟んで加圧調温して所望の仕上がり温度に維持する調温プレス装置50と、調温済みの複数の単板W1を積み降ろすアンローダ装置60とを搬送方向上流側からこの順番に備える。
ローダ装置10は、搬入部として機能し、単板W1を略水平状態(水平面を基準として±45°程度の傾斜範囲を含む)から起立させ、起立状態に保持してホットプレス装置20へ搬入する。ホットプレス装置20は、加圧加熱部として機能し、起立状態にある単板W1を1枚ずつ熱板24に挟み込んだ状態で所定時間加圧加熱し(例えば熱板温度が180℃の状態で5分〜10分間保持)、加熱乾燥済みの単板W1を開放蒸散装置40へ搬入する。
開放蒸散装置40は、開放セクション部(大気開放部)として機能し、各単板W1を起立状態に保持したまま、単板W1の内部に残留する余剰水分の大気への放散を促進させ(例えば単板温度が90℃の状態で数分間保持)、放散済みの単板W1を調温プレス装置50へ搬入する。調温プレス装置50は、加圧調温部として機能し、起立状態にある単板W1を1枚ずつ調温板54に挟み込んだ状態で所定時間加圧調温し(例えば調温板温度が25℃〜35℃の状態で数分間保持)、調温済みの単板W1をアンローダ装置60へ搬入する。
アンローダ装置60は、搬出部として機能し、乾燥処理後の単板W1を略水平状態に戻して装置60外へ搬出する。以下、各装置について具体的に説明する。なお、以下の説明では、図1中の図示左右方向を横型多段プレス装置1における左右方向、図1中の図示上下方向を横型多段プレス装置1における上下方向、図1中の図示表裏方向を横型多段プレス装置1における前後方向とする。
まず、ローダ装置10について説明する。ローダ装置10は、後述するチェンコンベヤ13及びローダ部コンベヤ15を支持するベースフレーム11と、ローダ部把持体70Aを支持する把持体用フレーム12とを備える。
チェンコンベヤ13には、所定のピッチ毎にローダ棚14が連結されている。ローダ棚14は、後述するチェンコンベヤモータ203(図16参照)の正転駆動によるチェンコンベヤ13の回転に伴い、ローダ装置10の前方側の略水平位置で図示を省略する送り機構から単板W1を受け取り、チェンコンベヤ13の更なる正転駆動に伴い単板W1を支えつつ徐々に起こしながら、起立位置で単板W1を完全に起立させる。起立位置に達した各単板W1は、前後のローダ棚14との接触により起立状態に保持される。ローダ棚14による起立位置での単板W1の収容枚数は、例えば10〜200枚程度に設定することが可能である。
ベースフレーム11には、ローダ部コンベヤ15がコンベヤ昇降シリンダ16により昇降可能に支持されている。ローダ部コンベヤ15(第一搬送体)には、複数のローラ15a(図1では3本の場合が例示)がそれぞれ前後方向に延びる軸線周りに回転駆動可能に設けられている。
ローダ部コンベヤ15は、チェンコンベヤ13の正転駆動時には下降位置(原位置)にあり、チェンコンベヤ13の駆動停止時かつローダ部コンベヤ15の正転駆動時には、上昇位置(作動位置:図1に示す状態)にある。ローダ部コンベヤ15が上昇位置(作動位置)にあるとき、後述するホットプレス部ローラコンベヤ31の搬送面に対して水平状に連続する搬送面が形成されるように設定されている。
この状態では、ローダ部コンベヤ15のローラ15aが、後述するホットプレス装置20のホットプレス部ローラコンベヤ31のローラ32,33(図6参照)と同じ高さ位置にあって、起立位置にある各単板W1がチェンコンベヤ13により干渉されることなく、後述するローダ部コンベヤモータ204(図16参照)の正転駆動によるローラ15aの回転に伴い、ホットプレス装置20内へ搬入されるようになっている。
なお、図4Eに示されるように、ローダ部コンベヤ15を高摩擦係数のベルト素材を用いたベルトコンベヤ150とすれば、単板W1の下端をより確実にコンベヤに載せることができる。すなわち、例えば図4Aに示される単板W2のように、その繊維方向が単板W2の長手方向と直交する向き(幅方向)となるように繋ぎ合わせたものであれば、単板W2をその幅方向が上下となるように起立させたとき、単板W2自体の強度により単板W2がローラ15aと接触しても、その下端が丸まってしまうことを回避することが可能である(図4B参照)。その結果、単板W2の下端をローラ15aに確実に載せた状態とすることができる。
ところが、例えば図4Cに示される単板W3のように、その繊維方向が単板W3の長手方向と平行なものであると、単板W3がローラ15aからローラ15aへ送られるときの振動等により、単板W3がローラ15aと接触したとき、その下端が丸まりやすい(図4D参照)。この丸まりやすい傾向は、繊維方向が単板W3の長手方向と平行であったり、湿潤状態である乾燥前の単板において特に顕著に発生し、その結果、単板W3がローラ15aの間で詰まってしまうおそれが高い。このようにローラコンベヤをベルトコンベヤ150(図4E参照)に変更することで、単板W3がローラ15aの間で詰まってしまう単板の種類、性状に関わらず単板をより確実に搬送できるようになる。したがって、ローダ装置10においては単板W1の下端を支持搬送するコンベヤをローラ15aからベルトコンベヤ150に代えて採用する場合がある。
図1に戻って、ベースフレーム11にはローダ部コンベヤ15が設けられる一方で、把持体用フレーム12にはローダ部把持体70Aが設けられている。ローダ部把持体70A(上部把持体)は、図2A及び図2Bに示されるように、一対の走行体71と、両走行体71に架け渡される把持部材73とを備えている。把持体用フレーム12には、前後に配置されて左右に延び出す一対の軌条梁12a,12bが構成部材として設けられ、各走行体71は対応する軌条梁12a,12bに沿って移動可能とされている。
具体的に、軌条梁12a,12bの各内側面には、ガイドレール70a及びラックギヤ70bが敷設されている。各走行体71はスライドガイド71aを介してガイドレール70aに取り付けられ、走行体モータ72が駆動軸72a、ピニオンギヤ72bを介してラックギヤ70bにギヤ結合されている。これにより、両走行体71が走行体モータ72の正逆駆動に伴い、同期してガイドレール70aに沿って左右方向に移動するようになっている。
なお、走行体71の駆動手段としては走行体モータ72を採用したものに限らず、これに加えて又は代えて、例えば流体シリンダ(油圧又は空圧)を主とした駆動系を採用してもよい。また、走行体71の駆動伝達手段としてはギヤ結合を採用したものに限らず、これに加えて又は代えて、例えばプーリ及びタイミングベルトを主とした駆動伝達系を採用してもよい。
把持部材73は、複数の単板W1を同時に把持可能なものであり、一対の把持部材昇降シリンダ74F,74Bを介して両走行体71に上下に移動可能に支持されている。具体的に、把持部材73は、断面L字状をなし、左右に平行に配設された一対の可動枠73a,73bと、帯板状をなし、前後に平行に配設されて両可動枠73a,73bに架け渡される二対のブロック75,76とを備えている。ブロック75,76は、交互に配置され、ブロック75の前端部(図2A中の左端部)が可動枠73aに固定され、ブロック75の後端部(図2A中の右端部)が可動枠73b上を自身の長手方向にスライド移動可能に支持される一方、ブロック76の後端部(図2A中の右端部)が可動枠73bに固定され、ブロック76の前端部(図2A中の左端部)が可動枠73a上を自身の長手方向にスライド移動可能に支持されている。
ブロック75,76には、それぞれ複数の短冊形状の把持片81,82が下向きに突設されている。把持片81,82は、単板W1毎に対応付けて設けられる(図2Aでは把持片81が全部で40(片側20ずつ)、把持片82が全部で40(片側20ずつ)設けられている場合が例示)。把持片81,82は、例えば撓み変形可能な樹脂や鋼製の板ばねで形成されている。把持片81,82の先端部には、例えばゴムの接着によって滑り止め部が形成されている。
可動枠73aには把持片シリンダ77Fのピストンロッド77aの先端が接続される一方、可動枠73bには把持片シリンダ77Bのピストンロッド77bの先端が接続されている。これにより、把持片シリンダ77F,77Bの駆動に伴い、ブロック75,76は互いの側面同士が摺接する態様で相対移動可能とされている。なお、把持片シリンダ77Fには把持部材昇降シリンダ74Fのピストンロッド74aの先端が接続される一方、把持片シリンダ77Bには把持部材昇降シリンダ74Bのピストンロッド74bの先端が接続されている。
そして、把持部材73がローダ棚14により起立状態に保持された単板W1に接近し、把持片81,82が各単板W1の間へ進入した状態で、把持片シリンダ77F,77Bが駆動されると、図3に示されるように、ブロック75,76が相対移動し、左右にほぼ横並びとなる一対の把持片81と一対の把持片82との挟み込み動作により単板W1毎に上部位置で把持されるようになる。なお、把持片シリンダ77F,77Bの両者を駆動する態様に限らず、いずれか一方のみを可動する構成としても、上記と同様にして単板W1の把持又は把持解除を行うことが可能である。
そして、ローダ部把持体70Aの把持部材73及びローダ部コンベヤ15は、単板W1の上部を把持部材73により把持し、かつ単板W1の下部をローラ15a(ベルトコンベヤ150)により支持した状態で上下に同期して移動するように構成されている。
次に、ホットプレス装置20について説明する。ホットプレス装置20は、図1、図5〜図8に示されるように、前後左右に一対の下側柱21F,21Bと、前後の下側柱21F,21Bの上端にて架設された左右一対の下側梁21L,21Rと、下側梁21L,21Rの各端部上面に立設された前後に一対の矩形状の壁部22F,22Bと、壁部22F,22Bの上端にて架設された左右一対の上側梁22L,22Rとを備える。壁部22F,22B間には、前後一対の押圧盤23F,23Bと、それら押圧盤23F,23Bの間にて多数段の熱板24が配設されている。なお、図1、図5等では、ホットプレス装置20を構成する一部の部材が省略されている。
上側梁22L,22Rの各下端には、左右に水平に張り出すようにフランジ部22aが形成され、そのフランジ部22aの外側及び内側上面にそれぞれ軌条22b,22cが敷設されている。押圧盤23Fはガイドローラ25aを含むブラケット25を介して外側の軌条22bに吊り下げ・支持され、各熱板24はガイドローラ26aを含むブラケット26を介して外側の軌条22bと内側の軌条22cとに交互に吊り下げ・支持されている。
壁部23Fには、左右に所定の間隔を置いて複数のプレスシリンダ27(例えば油圧シリンダ)が挿通され、そのラム27aの先端が押圧盤23Fに取り付けられている。なお、本実施例1では、後側の押圧盤23Bは壁部22Bに固定され、前側の押圧盤23Fのみがプレスシリンダ27の伸縮動作に伴って可動するように構成されている。
各熱板24相互間、及び前後両端の熱板24と押圧盤23F,23B間には、プレス開放時に所定間隔以上の拡がりを阻止するための間隔規制具28が介装されている(図8参照。具体的には、特許第4781168号公報、特開昭60−259402号公報等参照)。起立状態の単板W1は、熱板24の開きが間隔規制具28によって最大間隔となったとき、その隙間内を進入経路として下流側へ搬送されることとなる。また、各熱板24相互間には、押圧盤23F,23Bによるプレス閉鎖時に各熱板24がほぼ同じ距離ずつ接近し、各熱板24間の距離が変わりつつもほぼ同じ間隔に保たれるようにするためのばね部材(図示省略)が介装されている。
熱板24の下方には、図5〜図7に示されるように、起立状態の単板W1を下側から支持して、ローダ装置10からホットプレス装置20へ、更にはホットプレス装置20から開放蒸散装置40へ向けて搬入可能なホットプレス部ローラコンベヤ31が配置されている。ホットプレス部ローラコンベヤ31(第二搬送体)は、単板W1を搬入するために、熱板24間の全ての単板W1に亘るローラ長を有する複数のローラ32を備えている(図6、図7ではローラ32が全部で4本の場合を例示)。
各ローラ32は、水平状の搬送面を形成するように軸部32aを軸線周りに回転可能に支持する軸受32bを介して前後に並設された一対のローラ昇降フレーム34に取り付けられている。各ローラ昇降フレーム34は、その下方にて一対の鉛直部35aと、各鉛直部35aの下端同士を連結する水平部35bとを含むU字形状の下部フレーム35により支持されている(図5参照)。上述した下側梁21L,21Rの各右側面には、上下方向にガイドレール36aが取り付けられ、下部フレーム35の水平部35bは、スライドガイド36bを介してガイドレール36aに取り付けられている(図6参照)。
また、上述した下側梁21L,21Rの各右側面には、上下方向にローラ昇降シリンダ37が取り付けられ、下部フレーム35の水平部35bは、ブラケット35cを介してローラ昇降シリンダ37のピストンロッド37aに取り付けられている。これにより、各ローラ32は、ローラ昇降シリンダ37同士の同期した伸縮動作に伴い、各ローラ昇降フレーム34及び下部フレーム35と共に水平状態を維持したまま、搬送面を下限位置とし、後述する熱板24の下端に設けられたホットプレス部誘導部材170Bの近傍位置を上限位置として、これら位置間を昇降可能とされている。
ホットプレス部ローラコンベヤ31の下方には、ホットプレス部把持体70Bが設けられている。ホットプレス部把持体70B(下部把持体)は、ローダ部把持体70Aと同様に構成されている。したがって、以下の説明では、図5、図6等に示したホットプレス部把持体70Bにおいて、ローダ部把持体70Aを構成する部材と同様な機能を果たす部材には同じ符号を付して適宜説明を省略し、ローダ部把持体70Aと異なる点を主に説明する。
ローダ部把持体70Aが単板W1の上部を把持可能な構成であるのに対し、ホットプレス部把持体70Bが熱板24の下端からはみ出た単板W1の下部を把持可能な構成であるという基本構造の相違に起因して、ローダ部把持体70Aでは把持部材73の把持片81,82が下向きに突設されるのに対し、ホットプレス部把持体70Bでは把持部材73の把持片81,82が上向きに突設されること、ローダ部把持体70Aでは可動枠73a,73bの外側に把持片シリンダ77F,77Bが設けられ、把持片シリンダ77F,77Bの伸長動作に伴い単板W1が把持されるのに対し、ホットプレス部把持体70Bでは可動枠73a,73bの内側に把持片シリンダ77F,77Bが設けられ、把持片シリンダ77F,77Bの収縮動作に伴い単板W1が把持されること、ローダ部把持体70Aは単板W1の搬送に寄与するローラを含まない構成とされているのに対し、ホットプレス部把持体70Bは単板W1の搬送に寄与するローラ33を有する構成とされていることで両者は相違する。
具体的に、ホットプレス部把持体70Bは、走行体71、把持部材73及びローラ33を備えている。下側梁21L,21Rの上端には、一対のローラ昇降フレーム34の内側に前後に配置されて左右に延び出す一対の軌条梁21a,21bが架設されている。軌条梁21a,21bの各上面にはガイドレール70aが敷設され、各内側面にはラックギヤ70bが取り付けられている。各走行体71(移動体)はスライドガイド71aを介してガイドレール70aに取り付けられ、走行体モータ72が駆動軸72a、ピニオンギヤ72bを介してラックギヤ70bにギヤ結合されている。これにより、両走行体71が走行体モータ72の正逆駆動に伴い、同期してガイドレール70aに沿って左右方向に移動するようになっている。
ローラ33(支持ローラ)は、軸受33bにより両軸部33aが軸線周りに回転可能に支持されている。各軸受33bは、軸受支持台71bを介して走行体71に対して上下にスライド移動可能に取り付けられている。すなわち、ローラ33は走行体71に一体的に連結されている。各ローラ昇降フレーム34の上面には、ローラ33の軸部33aを持ち上げ可能な軸部支持ブラケット34aが取り付けられている。具体的に、軸部支持ブラケット34aは、図6に示されるように、ホットプレス部把持体70Bが原位置にあるとき、ローラ33の軸部33aを持ち上げることができるよう、軸部33aの直下であって軸部33aから極く僅かだけ離れた位置に設けられている。
ローラ33は、軸部支持ブラケット34aにより持ち上げられていない状態では、各ローラ32と共に水平状の搬送面を形成し、ローダ装置10から搬入された単板W1の下端面を支持する。走行体71がガイドレール70aに沿って左方へ移動するのに伴い、ローラ33は、把持部材73との距離を一定に保ちつつ把持部材73と一体となって移動する。このように、ローラ33は、単板W1の下端面を下側から支持する点においてローラ32と同様に機能し、走行体71と共に左右に隣り合うローラ32間を単板W1の搬送方向に沿って往復動可能とされることで、単板W1を安定して搬入する上で大きく貢献する。
一方、ローラ昇降フレーム34が上方へ移動するのに伴い、ローラ33は軸部支持ブラケット34aにより軸部33aが持ち上げられ、各ローラ32との水平状の搬送面を維持しつつ、走行体71に対して上方へ移動する。すなわち、ローラ33は搬送面を下限位置とし、後述する熱板24の下端に設けられたホットプレス部誘導部材170Bの近傍位置を上限位置として、これら位置間を昇降可能とされ、各ローラ32と協働して単板W1を押し上げるようになっている。
本実施例1では、ローラ32,33、ローラ昇降フレーム34、下部フレーム35、ローラ昇降シリンダ37等が、全ての単板W1を搬送面からホットプレス部誘導部材170Bの近傍位置まで押し上げるホットプレス部押し上げ機構270B(押し上げ機構)として機能する。このように、ホットプレス部ローラコンベヤ31のローラ32(コンベヤローラ)に加え、単板W1の安定した搬送に寄与するローラ33(支持ローラ)を有効に利用して押し上げ機構を構成することで、その構成を簡易化することができる。
なお、本実施例1では、各ローラ32は、例えばチェーンとスプロケットとの伝達機構により同期して一斉に回転駆動される。ローラ33を駆動する駆動手段は設けられていないが、ローラ33用の駆動手段を設け、ローラ33を駆動可能な構成としてもよい。また、ローラ33を含む機構を把持部材73の左側(往動側)に設けることに加えて又は代えて、例えば同様な構成の機構を搬送部材73の右側(復動側)に設けてもよい。
各熱板24の下端には、図8〜図10に示されるように、ローラ32,33によって搬入される起立状態の単板W1を下流側へ誘導する複数のホットプレス部誘導部材170Bが、間隔規制具28と干渉しないよう、熱板24の下端に沿って任意の間隔で(図8では一枚の熱板24に5個のホットプレス部誘導部材170Bが設けられている場合を例示)、また熱板24間に形成される単板W1の進入経路を間にして隣り合うように配設されている。
ホットプレス部誘導部材170B(誘導体)は、図9A、図10等に示されるように、熱板24とほぼ同じ厚みを有するブロック状の補助部材171に加え、単板W1の搬送方向における補助部材171の上流側端部及び下流側端部(図8中の図示右端部及び左端部)にそれぞれ誘導片172,173を備えたもの、あるいは補助部材171の下流側端部(図8中の図示左端部)のみに誘導片173を備えたものとして構成されている(図8、図9Aでは、一枚の熱板24に誘導片172,173が全部で8組設けられている場合を例示)。
各補助部材171は、例えば熱伝導性に優れた鋼材等の金属材料で形成され、熱板24からの熱伝導により熱板24と同じ温度まで加熱される。このため、熱板24の部位に加えて、補助部材171の部位においても単板W1を加圧加熱することが可能である。各補助部材171は、熱板24間に形成される単板W1の進入経路P1を間にして隣り合うように配置され、例えばねじや接着材、両面テープ等により熱板24の下端に取り付けられている。具体的に、各補助部材171は、図10に示されるように、両端部にて段部171a1,171a2を有する段付き形状の本体171aと、段部171a1,171a2とそれぞれ組み合わされ、誘導片172,173を挟み込んだ状態でねじ等により結合される挟持部材171b,171cとを備えている。
誘導片172,173(弾性部材)は、例えば一対の鋼製の帯状の板ばねで形成されている。誘導片172は、間に形成される角度が鋭角(例えば30〜45°程度)となるように2枚の板ばねを曲げ、各板ばねの基端部同士を重ね合わせて挟持部材171bにより挟持させることで、下流側を上として見た場合に先端部(自由端部)同士が「Vの字」を形成する。これに対し、誘導片173は、間に形成される角度が鈍角(例えば135〜150°程度)となるように2枚の板ばねを曲げ、各板ばねの基端部同士を重ね合わせて挟持部材171cにより挟持させることで、下流側を上として見た場合に先端部(自由端部)同士が「Vの字」を形成する。
図9Aに示されるように、プレス開放時において、熱板24間の進入経路P1内で対向配置された誘導片172,173の各先端部は、単板W1の搬送方向の下流に向かうに従って互いに接近するように搬送方向に対して斜めに延び出し、かつ先端同士が接触することで、下流側を上として見た場合に「Vの字」を逆さまにした誘導面172a,173aを形成する。なお、図14に示されるように、対向配置された誘導片172,173としての板ばねの先端同士が接触せず、多少の隙間が形成されるようにして、下流側を上として見た場合に「ハの字」状の誘導面172b(173b)が形成されるようにしてもよい。
一方、図8、図9Bに示されるように、熱板24間に単板W1が送り込まれた後のプレス閉鎖時において、対向配置された誘導片172,173としての板ばね同士の各先端部は、互いの接触により基端部を曲げ支点として弾性的に折り畳まれ、前後左右に位置する補助部材171間に形成された凹部24a内に収容されるようになっている。
以上のように構成されたホットプレス部誘導部材170Bでは、例えば図11A〜11Dに示されるように、搬送方向から逸れて進行する単板W1の下端部と接触したとき(図11A参照)、誘導片172(173)は押されて弾性変形し(図11B参照)、その弾性変形により生じた弾性力を反力として単板W1の下端部に力を作用させ(図11C参照)、単板W1を誘導片172(173)の誘導面172a(173a)に沿って進入経路P1の中央側へ誘導する(図11D参照)。
また、例えば図12A〜図12Bに示されるように、自重により下端部が撓んだ(座屈した)状態の単板W1(図12A参照)と接触したとき、誘導片172(173)の誘導面172a(173a)が押されて弾性変形し、その弾性変形により生じた弾性力を反力として単板W1の下端部に力を作用させ、単板W1の姿勢を鉛直平面状に矯正する(図12B参照)。
そして、上記のいずれの場合においても、図13A〜図13Bに示されるように、単板W1は「V字」の中心線近傍を通過するようになり、誘導片172,173の先端部を押し開きながら、下流側へ搬送されることになる。
なお、熱板24の水平状下端面にホットプレス部誘導部材170Bを設ける態様に限らず、例えば図15に示されるように、熱板240の下端部に一つ以上の切り欠き240aを形成し、切り欠き240a内にホットプレス部誘導部材170Bを収容するようにしてもよい。この場合も、上記実施例1と同様、ホットプレス部誘導部材170Bの補助部材171は熱板240からの熱伝導により加熱されるため、熱板240の部位に加えて、補助部材171の部位においても単板W1を加圧加熱することができる。
次に、開放蒸散装置40について説明する。開放蒸散装置40は、図1に示されるように、フレーム41を備える。なお、図1では、開放蒸散装置40の一部の部材が省略されている。フレーム41は、前後に延設される一対の梁41aと、左右に延設される一対の梁41bとを備える。梁41aの上部には、ホットプレス装置20における開放時の熱板24間と同じ間隔を置いて複数の開放棚42が起立状態で立設されている。複数の単板W1は、1枚ずつ開放棚42間に収容され、起立状態にある両表面から水蒸気を放散可能とされている。
梁41aの上部には、起立状態の単板W1を下側から支持して、ホットプレス装置20から開放蒸散装置40へ、更には開放蒸散装置40から調温プレス装置50へ向けて搬入可能な開放蒸散部ローラコンベヤ43が配置されている。開放蒸散部ローラコンベヤ43(第一搬送体)は、開放棚42間の全ての単板W1に亘るローラ長を有する複数のローラ43aを備えている。開放蒸散部ローラコンベヤ43は、ホットプレス部ローラコンベヤ31と同一高さの搬送面を有している。
各単板W1は、それぞれに対応する開放棚42との接触により倒れ込みを防止され、かつ各下端がローラ43aにより搬送可能に支持され、開放棚42内で起立状態に保持される。なお、開放蒸散装置40では、各単板W1を一定時間だけ保持できればよいため、ローダ部コンベヤ15とは異なり、開放蒸散部ローラコンベヤ43は昇降可能な構成とはされていない。
開放棚42の上方には、開放蒸散部把持体70Cが設けられている。開放蒸散部把持体70C(上部把持体)は、ホットプレス装置20の梁22Lと調温プレス装置50の梁22Rとに跨って左右に延設される梁41cに支持されつつそれら梁41cに沿って移動可能とされている。開放蒸散部把持体70Cは、ローダ部把持体70Aと同様に構成されている。
ただし、上記したように、開放蒸散部ローラコンベヤ43は昇降可能な構成とはされていないため、開放蒸散部把持体70Cの把持部材昇降シリンダ74が駆動されることはなく、開放蒸散部把持体70Cの走行体モータ72のみが駆動される。つまり、開放蒸散部把持体70Cは梁41cに沿って左右方向のみを移動することとなる。その他の構成はローダ部把持体70Aと同じであるため、図1に示した開放蒸散部把持体70Cにおいて、ローダ部把持体70Aを構成する部材と同様な機能を果たす部材には同じ符号を付して説明を省略する。
調温プレス装置50は、ホットプレス装置20と同様に構成されている。したがって、図1に示した調温プレス装置50において、ホットプレス装置20と同じ機能を果たす部材には同じ符号を付して説明を省略し、ホットプレス装置20と異なる点について説明する。なお、図1では、調温プレス装置50を構成する一部の部材が省略されている。
ホットプレス装置20が単板W1を加圧加熱する構成であるのに対し、調温プレス装置50が単板W1を加圧調温する構成であるという基本構造の相違に起因して、ホットプレス装置20の熱板24(第一の接触板)内には、単板W1を接触加熱乾燥させるために高温の蒸気、熱油などの加熱媒体が給排され、その加熱媒体の温度を単板W1の種類に応じて維持するように構成されている。これに対し、調温プレス装置50の調温板54(第二の接触板)内には、水、温水、熱油などの調温媒体の給排、或いは通電等により乾燥済の単板W1を所望の仕上がり温度(例えば単板温度が25℃〜35℃)に調整するように構成されている点で両者は相違する。
なお、調温板54間に単板W1が送り込まれた後のプレス閉鎖時では、対向配置された誘導片172,173としての板ばね同士の各先端部は、互いの接触により基端部を曲げ支点として弾性的に折り畳まれ、図8に示した熱板24の凹部24aと同様の、前後左右に位置する補助部材171間に形成された凹部54a内に収容されるようになっている。また、調温板54においても、図15に示した変形例に係る熱板24の切り欠き240aと同様の切り欠き540aを設けるようにしてもよい。
調温プレス装置50は、開放蒸散部ローラコンベヤ43と同一高さの搬送面を有する調温プレス部ローラコンベヤ31、起立状態の単板W1を搬送方向へ誘導する調温プレス部誘導部材170D、及び全ての単板W1を搬送面から調温プレス部誘導部材170Dの近傍位置まで押し上げる調温プレス部押し上げ機構270Dを備えている。調温プレス部誘導部材170Dは、ホットプレス部誘導部材170Bと同様に構成され、調温プレス部押し上げ機構270Dは、ホットプレス部押し上げ機構270Bと同様に構成されているため、調温プレス部誘導部材170D及び調温プレス部押し上げ機構270Dについては、説明を省略する。
調温プレス部ローラコンベヤ31(第二搬送体)の下方には、調温プレス部把持体70Dが設けられている。調温プレス部把持体70D(下部把持体)は、ホットプレス部把持体70Bと同様に構成されているため、調温プレス部把持体70Dについては、説明を省略する。
また、アンローダ装置60は、ローダ棚14の代わりにアンローダ棚64を有する点を除き、ローダ装置10と同様に構成されている。したがって、図1に示したアンローダ装置60において、ローダ装置10を構成する部材と同様な機能を果たす部材には同じ符号を付して説明を省略する。なお、図1では、アンローダ装置60を構成する一部の部材が省略されている。
次に、本実施例1の搬送経路R1〜R4について説明する。搬送経路R1〜R4は、平面視で一直線状に配置されている。搬送経路R1(第一の搬送経路)は、ローダ装置10とホットプレス装置20とに跨って位置し、ローダ装置10で起立状態とされた複数の単板W1を搬送方向に沿って平行に保持しつつ搬出し、ホットプレス装置20の搬送方向所定位置(熱板24間の搬送方向における予め定められた位置)に起立状態のまま搬入する経路である。搬送経路R1での単板W1の搬送工程は、ローダ部把持体70A、ローダ部コンベヤ15、ホットプレス部把持体70B及びホットプレス部ローラコンベヤ31の駆動制御によって実施される。
搬送経路R2(第二の搬送経路)は、ホットプレス装置20と開放蒸散装置40とに跨って位置し、熱板24による押圧を解かれた複数の単板W1をホットプレス装置20の搬送方向所定位置から起立状態で搬出し、搬送方向に沿って平行に保持しつつ開放蒸散装置40の開放蒸散位置(開放棚42間の予め定められた位置)に起立状態のまま搬入する経路である。搬送経路R2での単板W1の搬送工程は、ホットプレス部把持体70B、ホットプレス部ローラコンベヤ31、開放蒸散部把持体70C及び開放蒸散部ローラコンベヤ43の駆動制御によって実施される。
搬送経路R3(第三の搬送経路)は、開放蒸散装置40と調温プレス装置50とに跨って位置し、水蒸気が放散した複数の単板W1を開放蒸散装置40の開放蒸散位置から起立状態で搬出し、搬送方向に沿って平行に保持しつつ調温プレス装置50の搬送方向所定位置(調温板54間の搬送方向における予め定められた位置)に起立状態のまま搬入する経路である。搬送経路R3での単板W1の搬送工程は、開放蒸散部把持体70C、開放蒸散部ローラコンベヤ43、調温プレス部把持体70D及び調温プレス部ローラコンベヤ31の駆動制御によって実施される。搬送経路R3が第三の搬送経路に相当する。
搬送経路R4(第四の搬送経路)は、調温プレス装置50とアンローダ装置60とに跨って位置し、調温板54による押圧を解かれた複数の単板W1を調温プレス装置50のプレス位置から起立状態で搬出し、搬送方向に沿って平行に保持しつつアンローダ装置60のアンローダ位置(アンローダ棚64間の搬送方向における予め定められた位置)に起立状態のまま搬入する経路である。搬送経路R4での単板W1の搬送工程は、調温プレス部把持体70D、調温プレス部ローラコンベヤ31、アンローダ部把持体70E及びアンローダ部ローラコンベヤ15の駆動制御によって実施される。
次に、図16を参照して、本実施例の搬送制御の電気的構成について説明する。横型多段プレス装置1の制御部として機能する制御基板100は、演算装置であるCPU101と、読み取り専用記憶装置であるROM102と、読み書き可能な主記憶装置でありワークエリアとして使用されるRAM103と、入出力インターフェイス(I/O)104とを中心に構成されている。これらの装置は、バス105で相互に送受信可能に接続されている。ROM102には、搬送処理を実行するための制御プログラム102aや単板W1の被加圧面の大きさを初期設定するための設定テーブル102b等が予め格納・記憶されている。
入出力インターフェイス104には、設定スイッチ201、複数の光電センサ202a〜202hが入力手段として機能するように接続されている。また、入出力インターフェイス104には、装置10,20,40,50,60毎に電磁切換弁211A〜211Eを介して把持片シリンダ77F,77B、電磁切換弁212A〜212Eを介して把持部材昇降シリンダ74、駆動回路215A〜215Eを介して走行体モータ72、駆動回路216A〜216Eを介してコンベヤモータ204が出力手段として機能するように接続されている。
また、入出力インターフェイス104には、装置10,60毎に電磁切換弁213A,213Eを介してコンベヤ昇降シリンダ16、駆動回路217A,217Eを介してチェンコンベヤモータ203が出力手段として機能するように接続されている。さらに、入出力インターフェイス104には、装置20,50毎に電磁切換弁214B,214Dを介してプレスシリンダ27、電磁切換弁218B,218Dを介してローラ昇降シリンダ37が出力手段として機能するように接続されている。
なお、電磁切換弁211A〜211Eは、通常は把持解除位置に切り換えられている。このため、各把持片シリンダ77F,77Bは、通常は収縮状態にあって、把持部材73の把持片81,82は拡開状態(把持解除状態)となっている。電磁切換弁211A〜211Eがそれぞれ把持位置に切り換えられることで、対応する把持片シリンダ77F,77Bが伸長状態となり、把持部材73の把持片81,82が縮閉状態(把持状態)となる。
設定スイッチ201は、例えば押しボタンやタッチパネルに表示される静電式のタッチスイッチであり、単板W1の処理枚数や被加圧面の大きさなどの単板W1に関する情報、調温板54の温度の設定等を制御基板100に入力するときに用いられる。調温板54の温度の設定に際して、調温板54内に、水、温水、熱油などの調温媒体を給排する方式においては、調温時の外気温に応じて、夏季であれば水、冬季であれば温水、熱油等が採択され、通電型の調温板54であれば所望温度が入力されることになる。すなわち、単板W1が開放棚42間に起立状態に収容されてその両表面から水蒸気を放散しているとき、冬季においては所望の仕上がり温度(例えば単板温度が25℃〜35℃)より低下する場合があり(例えば単板温度が0℃〜10℃)、この場合には逆に単板W1温度を上昇させるために調温媒体を給排する方式においては、温水、熱油等が採択されることになる。
光電センサ202aは、ローダ装置10においてローダ部把持体70Aが作動位置(把持解除位置)に達したこと(単板W1の一部が熱板24間へ搬入されたこと)を検出する。光電センサ202bは、開放蒸散装置40において開放蒸散部把持体70Cが作動位置(把持解除位置)に達したこと(単板W1の一部が調温板54間へ搬入されたこと)を検出する。光電センサ202cは、アンローダ装置60においてアンローダ部把持体70Eが作動位置(把持解除位置)に達したこと(単板W1がアンローダ棚64内に搬入されたこと)を検出する。
光電センサ202dは、ローダ棚14内に単板W1が保持されていることを検出する。光電センサ202eは、ホットプレス装置20内に単板W1が保持されていることを検出する。光電センサ202fは、開放棚42内に単板W1が保持されていることを検出する。光電センサ202gは、調温プレス装置50内に単板W1が保持されていることを検出する。光電センサ202hは、アンローダ棚64内に単板W1が保持されていることを検出する。光電センサ202a〜202hは、各センサが設けられた位置毎に複数用意され、単板W1の大きさに応じて最適なものが選択されるようになっている。
なお、光電センサのような透過型の非接触式の検出器に限らず、例えば接触式又は反射型の非接触式の検出器を用いてもよい。
次に、上記のように構成された横型多段プレス装置1を用いて単板W1を乾燥させる手順について説明する。制御基板100は、図17のフローチャートで示されるメインルーチンとしての単板乾燥処理を示すプログラムを実行する。なお、図17のフローチャートは、制御基板100のROM102に格納された各制御プログラム102aの一つに対応する。
図17の単板乾燥処理プログラムにおいて、S2のローダ工程、S4のホットプレス工程、S6の開放蒸散工程、S8の調温プレス工程及びS10のアンローダ工程は、それぞれローダ装置10、ホットプレス装置20、開放蒸散装置40、調温プレス装置50及びアンローダ装置60での処理の流れに対応する。他方、S3の第一の搬送工程、S5の第二の搬送工程、S7の第三の搬送工程及びS9の第四の搬送工程は、それぞれ搬送経路R1〜R4での処理の流れに対応する。
そして、S1の初期設定、S2のローダ工程及びS10のアンローダ工程では、それぞれサブルーチンとしての図18の初期設定プログラム、図19のローダ処理プログラム及び図24のアンローダ処理プログラムが実行される。また、S3の第一の搬送工程、S5の第二の搬送工程、S7の第三の搬送工程及びS9の第四の搬送工程では、それぞれサブルーチンとしての図20の第一の搬送処理プログラム、図21の第二の搬送処理プログラム、図22の第三の搬送処理プログラム、図23の第四の搬送処理プログラムが実行される。この場合、各サブルーチンは、それぞれ独立して実行されるようになっている。
制御基板100は、図17におけるS1の初期設定では図18のフローチャートで示される初期設定処理プログラムを実行する。具体的に、制御基板100は、設定スイッチ201からの単板W1の処理枚数や被加圧面の大きさに関する単板情報を入力する。その入力内容に基づき、ROM102の設定テーブル102bを参照し、単板W1の大きさに応じて最適位置の光電センサ202a〜202hを選択する。また、ローダ部把持体70A、ホットプレス部把持体70B、開放蒸散部把持体70C、調温プレス部把持体70D及びアンローダ部把持体70Eにおける各走行体71の原位置と作動位置間の移動を、例えば走行体モータ72の正逆駆動量として設定する(S11)。
制御基板100は、図17におけるS2のローダ工程では図18のフローチャートで示されるローダ処理プログラムを実行する。S21では、ローダ棚14内に予め定められた枚数の単板W1(被処理板材)が保持されたか否かを判定する。S21を最初に実行するときは、ローダ棚14内に単板W1が1枚も保持されていないため、S21にて「NO」と判定し、S22にてローダ部把持体70A及びローダ部コンベヤ15が原位置にあるか否かを判定する。これは、ローダ部把持体70A及びローダ部コンベヤ15が作動位置(上昇位置)にある状態でチェンコンベヤ13が駆動されると、単板W1がローダ部コンベヤ15と干渉してしまうからである。
ローダ部把持体70A及びローダ部コンベヤ15が作動位置にある場合には(S21:「NO」)、ローダ部把持体70A及びローダ部コンベヤ15を原位置へ復動させた後(S24)、チェンコンベヤ13を所定の回転量だけ駆動し(S23)、単板W1を1枚ずつローダ棚14へ送り込む。以降は、S21,S22(「YES」と判定)及びS23の処理がこの順に繰り返し実行され、ローダ棚14内に予め定められた枚数の単板W1が保持されることを条件として(S21:「YES」)、ローダ処理を終了する。
制御基板100は、図17におけるS3の第一の搬送工程では図20のフローチャートで示される第一の搬送処理プログラムを実行する。制御基板100は、ローダ棚14内に予め定められた枚数の単板W1(被処理板材)が保持され(S31:「YES」)、光電センサ202eによりホットプレス装置20内にて単板W1が検出されず(S32:「NO」)、ローダ部把持体70Aが原位置(把持位置)にある場合(図25A参照、S33:「YES」)には、電磁切換弁212Aを下降位置に切り換え、把持部材昇降シリンダ74の伸長動作に伴い、把持部材73を下降させる。
これにより、図25Bに示されるように、把持部材73の把持片81,82は、ローダ棚14内で起立状態に保持されている複数の単板W1間の隙間内に進入する(把持位置)。把持部材73の下降後、電磁切換弁211Aを把持位置に切り換え、把持片シリンダ77F,77Bの伸長動作に伴い、把持片81,82により複数の単板W1の各上部両側面を把持させる(S35)。なお、ローダ部把持体70Aが原位置にない場合(S33:「NO」)には、走行体モータ72を逆転駆動してローダ部把持体70Aを原位置へ復動させる(S34)。
次に、図25Cに示されるように、電磁切換弁213Aを上昇位置に切り換え、コンベヤ昇降シリンダ16の伸長動作に伴い、ローダ部コンベヤ15を作動位置まで上昇させる。このとき、コンベヤ昇降シリンダ16の駆動に把持部材昇降シリンダ74F,74Bの駆動を同期させ、ローダ部コンベヤ15の上昇と同時に把持部材73を上昇させる(S36)。この状態では、複数の単板W1が各上部両側面を把持片81,82により吊り下げられつつ、各下端をローダ部コンベヤ15のローラ15aにより持ち上げられる。
このように、本実施例1では、コンベヤ昇降シリンダ16と把持部材昇降シリンダ74F,74Bとの同期駆動という簡易な制御方法を用いて、ローダ部コンベヤ15の搬送面をホットプレス部ローラコンベヤ31の搬送面に一致させるようにしている。これにより、単板W1を起立させるためのチェンコンベヤ13と、単板W1をローダ装置10からホットプレス装置20へ搬入するためのローダ部コンベヤ15との両立が図られている。
次に、図25Dに示されるように、ローダ部把持体70Aの走行体モータ72を正転駆動し、走行体71を作動位置(把持解除位置)まで往動させる。このとき、走行体モータ72の駆動にローダ部コンベヤモータ204の駆動を同期させ、走行体71の移動速度に合わせてローラ15aを所定時間だけ回転させる(S37)。これにより、各単板W1は、先端部がホットプレス部誘導部材170Bにおける誘導片172,173によって誘導されながら、熱板24間に形成される進入経路P1に沿ってホットプレス装置20内へ進入する。
プレス開放時において、熱板24間に形成される進入経路P1には、上述したとおり、熱板24の下端から突出する、進入経路P1を間にして隣り合う誘導片172,173の先端部(自由端部)同士が、搬送方向の下流に向かうに従って互いに接近するように搬送方向に対して斜めに延び出すように構成されている。このため、単板W1が搬送方向から逸れて進行した場合であっても、誘導片172,173との接触に伴い、誘導片172,173が押されたときの弾性変形により生じた弾性力を反力として単板W1の下端部に力を受ける結果、単板W1は誘導面172a,173aに沿って進入経路P1の中央側へと誘導されることになる(図11C、図11D参照)。
このとき、ホットプレス部把持体70Bは、例えば図26Aに示されるように把持部材73の上端が単板W1の左端部(始端部)の下端と対向する位置を原位置として待機状態にある。ローラ33は、ローラ32と共に熱板24間に進入してきた単板W1の下端を支持・誘導する。
S37の処理の実行後、光電センサ202aにより、作動位置(把持解除位置)に達したローダ部把持体70Aが検出されることを条件として、電磁切換弁212Bを上昇位置に切り換え、ホットプレス部把持体70Bの把持部材昇降シリンダ74F,74Bの伸長動作に伴い、把持部材73を上昇させる(図26B参照、S38)。拡開状態にある把持部材73の把持片81,82は、熱板24間で起立状態に保持されている複数の単板W1間の隙間内に進入する。把持部材73の上昇後、電磁切換弁211Bを把持位置に切り換え、把持片シリンダ77F,77Bの伸長動作に伴い、把持片81,82により複数の単板W1の各下部両側面を把持させる。
次いで、電磁切換弁211Aを把持解除位置に切り換え、ローダ部把持体70Aの把持片81,82を把持解除状態とする。つまり、電磁切換弁211Bを把持位置へ切り換え、電磁切換弁211Aを把持解除位置に切り換えることで、単板W1の把持位置を上部から下部へ持ち換えて単板W1を支持することとなる。その後、図26Cに示されるように、ホットプレス部把持体70Bの走行体モータ72を正転駆動し、走行体71を作動位置まで往動させる(S39)。この作動位置は、ローラ33がローラ32と接触する位置、あるいはローラ32の近傍位置に設定されている。この作動位置へ至る途上、単板W1は、上述したように、熱板24の下端に沿って配置されている複数のホットプレス部誘導部材170Bによって安定した搬送状態で誘導されることになる。
なお、制御基板100は、光電センサ202dによりローダ棚14内に単板W1が残っていないことが検出された場合には、例えばローダ装置10が新たな単板W1を送り機構から受け取ったタイミングで、ローダ部把持体70Aの走行体モータ72を逆転駆動し、ローダ部把持体70Aを原位置へ復動させる。このとき、電磁切換弁213Aを下降位置に切り換え、コンベヤ昇降シリンダ16の収縮動作に伴い、ローダ部コンベヤ15を下降させる。以降は、上記と同様にしてローダ装置10において図19のローダ処理を実行することとなる。
走行体71が作動位置へ一度到着したときに、単板W1がホットプレス装置20の搬送方向所定位置(プレス位置の下方位置であって、熱板24間の搬送方向における予め定められた位置)に達していれば、S40の「YES」の判断によりS41に進み、走行体71が作動位置へ一度到着しただけでは、単板W1がホットプレス装置20の搬送方向所定位置に達していなければ(S40:「NO」)、単板W1をその搬送方向所定位置へと送り込むべく、単板W1の長さに応じて走行体71による送り調整が行われる。例えば、電磁切換弁211Bを把持解除位置に切り換え、ホットプレス部把持体70Bの把持片81,82を把持解除状態とし、図26Dに示されるように、走行体71を単板W1の長さに応じて必要量だけ復動させた後、電磁切換弁211Bを把持位置に切り換え、ホットプレス部把持体70Bの把持片81,82により単板W1の下部を再度把持させる。この状態で、図26Eに示されるように、走行体モータ72を正転駆動し、走行体71を再度作動位置まで往動させる(S39)。これにより、単板W1がホットプレス装置20の搬送方向所定位置へ送り込まれる。
図27Aに示されるように、単板W1がホットプレス装置20の搬送方向所定位置へ送り込まれた場合は(S40:「YES」)、電磁切換弁211Bを把持解除位置に切り換え、ホットプレス部把持体70Bの把持片81,82を把持解除状態とした後、電磁切換弁212Bを下降位置に切り換え、把持部材昇降シリンダ74F,74Bの収縮動作に伴い、把持部材73を下降させる(図27B参照)。この状態で、ホットプレス部把持体70Bの走行体モータ72を逆転駆動し、走行体71を原位置まで復動させる(図27C参照、S41)。
次いで、電磁切換弁218Bを上昇位置に切り換え、ローラ昇降シリンダ37の伸長動作に伴い、ローラ昇降フレーム34を上昇させる。この上昇に伴い、ローラ33はその両軸部33aを軸部支持ブラケット34aによって持ち上げられ、ローラ32と共に全ての単板W1の下端を支持しながら、ホットプレス部誘導部材170Bの下面と接触、あるいはホットプレス部誘導部材170Bの近傍位置に至る(図27D参照、S42)。これにより、全ての単板W1は、搬送方向所定位置から各熱板24間内に押し上げられた、プレス位置(所定の加圧位置)へ移送されたことになる。S42の処理が本発明の押し上げ工程に相当する。S42の処理の実行後、第一の搬送処理を終了する。
なお、このホットプレス装置20では、走行体71を原位置まで復動させた状態で、ローラ昇降フレーム34を上昇させるように構成したが、これに代えて、例えばローラ33が先後に位置するローラ32からほぼ等距離の中間位置に位置するよう、走行体71を復動させるようにしてもよい。これによれば、より安定した状態で単板W1の押し上げ動作を行うことができる。
図17に戻って、制御基板100は、S4のホットプレス工程では、電磁切換弁214Bを閉鎖位置に切り換え、ホットプレス装置20のプレスシリンダ27の伸長動作に伴い、複数の熱板24を同時に閉鎖する。単板W1の種類に応じて予め定められた時間だけ加圧加熱した後、電磁切換弁214Bを開放位置に切り換え、ホットプレス装置20のプレスシリンダ27の収縮動作に伴い、複数の熱板24を同時に開放する。このプレス開放により、全ての単板W1は熱板24による加圧・挟持状態から解放され、再びホットプレス部誘導部材170Bの近傍位置等にて待機するローラ32,33上に載置されることになる。
制御基板100は、図17におけるS5の第二の搬送工程では図21のフローチャートで示される第二の搬送処理プログラムを実行する。S51では、光電センサ202fにより開放棚42内に単板W1が保持されているか否かを判定する。S51を最初に実行するときは、開放棚42内に単板W1が保持されていないため、S51にて「NO」と判定し、ホットプレス工程が終了していることを条件として(S52:「YES」)、電磁切換弁218Bを下降位置に切り換え、ローラ昇降シリンダ37の収縮動作に伴い、ローラ昇降フレーム34を下降させる。この下降に伴い、ローラ33はその両軸部33aを軸部支持ブラケット34aにより支持されつつ、軸受33bを介した軸受支持台71bによる支持へと移し替えられ、ローラ32と共に全ての単板W1の下端を支持しながら、単板W1の搬送面を形成する下限位置に至る(S53)。
その後、電磁切換弁212Bを上昇位置に切り換え、把持部材昇降シリンダ74F,74Bの伸長動作に伴い、原位置にあるホットプレス部把持体70Bの把持部材73を上昇させる。これにより、把持部材73の把持片81,82が、熱板24間で起立状態に保持されている複数の単板W1間の隙間内に進入する。把持部材73の上昇後、電磁切換弁211Bを把持位置に切り換え、ホットプレス部把持体70Bの把持片81,82により単板W1の下部を把持させる(S54)。
この状態で、ホットプレス部把持体70Bの走行体モータ72を正転駆動し、走行体71を作動位置まで往動させる(S55)。このとき、走行体モータ72の駆動にホットプレス部コンベヤモータ204の駆動を同期させ、走行体71の移動速度に合わせてローラ32を所定時間だけ回転させる(S55)。開放蒸散部把持体70Cは、通常は原位置に待機しており、しかもその把持部材73の把持片81,82は拡開状態にあるため、複数の単板W1は、それらの上部が把持片81,82の間を通り抜けつつ、各々の進入経路に沿って開放蒸散装置40の開放棚42間に進入する。
光電センサ202eによりホットプレス部把持体70Bが作動位置(図1中、二点鎖線で示すホットプレス部把持体70Bの位置)に達したことが検出されると、電磁切換弁211Cを把持位置に切り換え、開放蒸散部把持体70Cの把持片シリンダ77F,77Bの伸長動作に伴い、把持片81,82により複数の単板W1の各上部両側面を把持させる。これと同時に、電磁切換弁211Bを把持解除位置に切り換え、ホットプレス部把持体70Bの把持片81,82を把持解除状態とする(S56)。つまり、電磁切換弁211Cを把持位置へ切り換え、電磁切換弁211Bを把持解除位置に切り換えることで、単板W1の把持位置を下部から上部へ持ち換えて単板W1を支持することとなる。
その後、開放蒸散部把持体70Cの走行体モータ72を正転駆動し、走行体71を作動位置(図1中、二点鎖線で示す開放蒸散部把持体70Cの位置)まで往動させる(S57)。このとき、走行体モータ72の駆動に開放蒸散部コンベヤモータ204の駆動を同期させ、走行体71の移動速度に合わせてローラ43aを所定時間だけ回転させる。これにより、複数の単板W1は、それぞれ開放棚42内において所定間隔を置いた開放蒸散位置(大気開放位置)に保持され、起立状態にある両表面から水蒸気を大気に放散することが可能となる。
光電センサ202bにより開放蒸散部把持体70Cが作動位置に達したことが検出されると、電磁切換弁211Cを把持解除位置に切り換え、把持片シリンダ77F,77Bの収縮動作に伴い、把持片81,82を把持解除状態とした後、開放蒸散部把持体70Cの走行体モータ72を逆転駆動し、走行体71を原位置へ復動させる(S58)。S58の処理の実行後、第二の搬送処理を終了する。
図17に戻って、制御基板100は、S6の開放蒸散工程では、所定時間、例えば次の単板W1のホットプレス装置20での加圧加熱時間が経過するまで、開放棚42内にて各単板W1を起立状態に保持する。各単板W1が含有する水分は、各単板W1の両表面から蒸気化しながら大気へ放散される。
制御基板100は、図17におけるS7の第三の搬送工程では図22のフローチャートで示される第三の搬送処理プログラムを実行する。S61では、光電センサ202gにより調温プレス装置50内に単板W1が保持されているか否かを判定する。S61を最初に実行するときは、調温プレス装置50内に単板W1が保持されていないため、S61にて「NO」と判定し、S62にて開放蒸散工程が終了していることを条件として(S62:「YES」)、S63の処理を実行する。
S63では、電磁切換弁211Cを把持位置に切り換え、把持片シリンダ77F,77Bの伸長動作に伴い、原位置にある開放蒸散部把持体70Cの把持片81,82により複数の単板W1の各上部両側面を把持させる。この状態で、開放蒸散部把持体70Cの走行体モータ72を正転駆動し、走行体71を作動位置まで往動させる。このとき、走行体モータ72の駆動に開放蒸散部コンベヤモータ204の駆動を同期させ、走行体71の移動速度に合わせてローラ43aを所定時間だけ回転させる(S63)。これにより、複数の単板W1は、各々の進入経路に沿って調温プレス装置50の調温板54間に進入する。このとき、各単板W1は、上述したホットプレス部誘導部材170Bと同様、先端部が調温プレス部誘導部材170Dにおける誘導片172,173の誘導面172a,173aに沿って調温板54間に形成される進入経路P1の中央側へと誘導される。
このとき、調温プレス部把持体70Dは、把持部材73の上端が単板W1の左端部(始端部)の下端と対向する位置を原位置(図1中、実線で示す調温プレス部把持体70Dの位置)として待機状態にある。調温プレス部ローラコンベヤ31のローラ33は、ローラ32と共に調温板54間に進入してきた単板W1の下端を支持・誘導する。
S63の処理の実行後、光電センサ202bにより、作動位置(把持解除位置)に達した開放蒸散部把持体70Cが検出されることを条件として、電磁切換弁212Dを上昇位置に切り換え、調温プレス部把持体70Dの把持部材昇降シリンダ74F,74Bの伸長動作に伴い、把持部材73を上昇させる。拡開状態にある把持部材73の把持片81,82は、調温板54間で起立状態に保持されている複数の単板W1間の隙間内に進入する。把持部材73の上昇後、電磁切換弁211Dを把持位置に切り換え、把持片シリンダ77F,77Bの伸長動作に伴い、把持片81,82により複数の単板W1の各下部両側面を把持させる(S64)。
次いで、電磁切換弁211Cを把持解除位置に切り換え、開放蒸散部把持体70Cの把持片81,82を把持解除状態とする。つまり、電磁切換弁211Dを把持位置へ切り換え、電磁切換弁211Cを把持解除位置に切り換えることで、単板W1の把持位置を上部から下部へ持ち換えて単板W1を支持することとなる。その後、調温プレス部把持体70Dの走行体モータ72を正転駆動し、走行体71を作動位置(図1中、二点鎖線で示す調温プレス部把持体70Dの位置)まで往動させる(S65)。
この作動位置は、ホットプレス装置20の場合と同様、ローラ32がローラ33と接触する位置、あるいはローラ33の近傍位置に設定されている。この作動位置へ至る途上、単板W1は、上述したように、調温板54の下端に沿って配置されている複数の調温プレス部誘導部材170Dによって安定した搬送状態で誘導されることになる。なお、制御基板100は、光電センサ202fにより開放棚42内に単板W1が残っていないことが検出された場合には、上記と同様にして開放蒸散装置40において図21の第二の搬送処理を実行することとなる。
走行体71が作動位置へ一度到着したときに、単板W1が調温プレス装置50の搬送方向所定位置(プレス位置の下方位置であって、調温板54間の搬送方向における予め定められた位置)に達していれば、S66の「YES」の判断によりS67に進み、走行体71が作動位置へ一度到着しただけでは、単板W1が調温プレス装置50の搬送方向所定位置に達していなければ(S66:「NO」)、単板W1をその搬送方向所定位置へと送り込むべく、単板W1の長さに応じて走行体71による送り調整が行われる。例えば、電磁切換弁211Dを把持解除位置に切り換え、調温プレス部把持体70Dの把持片81,82を把持解除状態とし、走行体71を単板W1の長さに応じて必要量だけ復動させた後(図26D参照)、電磁切換弁211Dを切り換え、調温プレス部把持体70Dの把持片81,82により単板W1の下部を再度把持させる。この状態で、走行体モータ72を正転駆動し、走行体71を再度作動位置まで往動させる(図26E参照、S65)。これにより、単板W1が調温プレス装置50の搬送方向所定位置へ送り込まれる。
単板W1が調温プレス装置50の搬送方向所定位置へ送り込まれた場合は(S66:「YES」、図27A参照)、電磁切換弁211Dを把持解除位置に切り換え、調温プレス部把持体70Dの把持片81,82を把持解除状態とした後、電磁切換弁212Dを下降位置に切り換え、調温プレス部把持体70Dの把持部材昇降シリンダ74の収縮動作に伴い、把持部材73を下降させる(図27B参照)。この状態で、調温プレス部把持体70Dの走行体モータ72を逆転駆動し、走行体71を原位置まで復動させる(図27C参照、S67)。
次いで、電磁切換弁218Dを上昇位置に切り換え、ローラ昇降シリンダ37の伸長動作に伴い、ローラ昇降フレーム34を上昇させる。この上昇に伴い、ローラ33はその両軸部33aを軸部支持ブラケット34aによって持ち上げられ、ローラ32と共に全ての単板W1の下端を支持しながら、調温プレス部誘導部材170Dの下面と接触、あるいは調温プレス部誘導部材170Dの近傍位置に至る(図27D参照、S68)。これにより、全ての単板W1は、搬送方向所定位置から各調温板54間内に押し上げられた、プレス位置(所定の加圧位置)へ移送されたことになる。S68の処理の実行後、第三の搬送処理を終了する。
なお、この調温プレス装置50では、走行体71を原位置まで復動させた状態で、ローラ昇降フレーム34を上昇させるように構成したが、これに代えて、例えばローラ33が先後に位置するローラ32からほぼ等距離の中間位置に位置するよう、走行体71を復動させるようにしてもよい。これによれば、より安定した状態で単板W1の押し上げ動作を行うことができる。
図17に戻って、制御基板100は、S8の調温プレス工程では、電磁切換弁214Dを閉鎖位置に切り換え、調温プレス装置50のプレスシリンダ27の伸長動作に伴い、複数の調温板54を同時に閉鎖する。調温板54は、水、温水、熱油などの調温媒体の給排、或いは通電等により、外気温等に応じた温度に設定されており、単板W1の種類に応じて予め定められた時間だけ加圧調温した後、電磁切換弁214Dを開放位置に切り換え、調温プレス装置50のプレスシリンダ27の収縮動作に伴い、複数の調温板54を同時に開放する。
制御基板100は、図17におけるS9の第四の搬送工程では図23のフローチャートで示される第四の搬送処理プログラムを実行する。制御基板100は、光電センサ202hによりアンローダ棚64内にて単板W1が検出されない場合(S71:「NO」)には、調温プレス工程が終了し(S72:「YES」)、アンローダ部ローラコンベヤ15が作動位置にあることで、調温プレス部ローラコンベヤ31の搬送面に対して水平状に連続する搬送面が形成され、かつアンローダ部把持体70Eが原位置(把持位置)に復帰していることを条件として(S74:「YES」)、電磁切換弁212Eを下降位置に切り換え、把持部材昇降シリンダ74F,74Bの伸長動作に伴い、把持部材73を下降させる。また、電磁切換弁218Dを下降位置に切り換え、ローラ昇降シリンダ37の収縮動作に伴い、ローラ昇降フレーム34を下降させる。この下降に伴い、ローラ33はその両軸部33aを軸部支持ブラケット34aにより支持されつつ、軸受33bを介した軸受支持台71bによる支持へと移し替えられ、ローラ32と共に全ての単板W1の下端を支持しながら、単板W1の搬送面を形成する下限位置に至る(S76)。
その後、アンローダ部把持体70Eによる一回の往動動作で単板W1がアンローダ棚64内に搬入されるよう、単板W1の長さに応じて調温プレス部把持体70Dの走行体71による送り調整が行われる(図26D参照)。例えば、電磁切換弁211Dを把持解除位置に切り換え、調温プレス部把持体70Dの把持片81,82を把持解除状態とし、走行体71を単板W1の長さに応じて必要量だけ復動させた後、電磁切換弁211Dを切り換え、調温プレス部把持体70Dの把持片81,82により単板W1の下部を再度把持させる。これにより、単板W1が所定量だけアンローダ棚64側へ送り込まれ、単板W1の左端部(始端部)の上部は拡開している把持片81,82間に誘導され、単板W1の左端部(始端部)の下端はアンローダ部ローラコンベヤ15上に支持・誘導される(S76)。
S76の処理後、電磁切換弁211Eを把持位置に切り換え、把持片シリンダ77F,77Bの伸長動作に伴い、把持片81,82により複数の単板W1の各上部両側面を把持させる。これと同時に、電磁切換弁211Dを把持解除位置に切り換え、調温プレス部把持体70Dの把持片81,82を把持解除状態とする(S77)。つまり、電磁切換弁211Eを把持位置へ切り換え、電磁切換弁211Dを把持解除位置に切り換えることで、単板W1の把持位置を下部から上部へ持ち換えて単板W1を支持することとなる。
次に、アンローダ部把持体70Eの走行体モータ72を正転駆動し、走行体71を作動位置(把持解除位置)まで往動させる。このとき、走行体モータ72の駆動にアンローダ部コンベヤモータ204の駆動を同期させ、走行体71の移動速度に合わせてローラ15aを所定時間だけ回転させる(S78)。これにより、複数の単板W1は、各々の進入経路に沿ってアンローダ棚64内の起立位置に進入する。
S78の処理の実行後、光電センサ202cにより、作動位置(把持解除位置)に達したアンローダ部把持体70Eが検出されることを条件として、電磁切換弁211Eを把持解除位置に切り換え、アンローダ部把持体70Eの把持片81,82を把持解除状態とする。次いで、電磁切換弁212Eを上昇位置に切り換え、アンローダ部把持体70Eの把持部材73を上昇させた後、原位置(把持位置)へ復動させる。その後、電磁切換弁213Eを下降位置に切り換え、コンベヤ昇降シリンダ16の収縮動作に伴い、アンローダ部ローラコンベヤ15を原位置まで下降させる(S79)。これにより、アンローダ部ローラコンベヤ15の下降に伴い、複数の単板W1は、各下端をアンローダ部ローラコンベヤ15のローラ15aにより支持されつつ、下降することとなる。開放蒸散工程及び調温プレス工程を経た単板W1は、水分が抜けて硬くなっているため、図4Bに示したようにローラ15aに支持されたときに下端が丸まることはない。S79の処理の実行後、第四の搬送処理を終了する。
制御基板100は、図17におけるS10のアンローダ工程では図24のフローチャートで示されるアンローダ処理プログラムを実行する。S81ではアンローダ部ローラコンベヤ15が原位置にあるか否かを判定する。アンローダ部ローラコンベヤ15が原位置にあり(S81:「YES」)、アンローダ部把持体70Eの把持部材73が上昇している場合には(S82:「YES」)、チェンコンベヤ13を所定の回転量だけ駆動し(S84)、単板W1を1枚ずつアンローダ棚64から引き出す。アンローダ部把持体70Eの把持部材73が上昇していない場合には(S82:「NO」)、電磁切換弁212Eを上昇位置に切り換え、アンローダ部把持体70Eの把持部材73を上昇させた後(S83)、チェンコンベヤ13を所定の回転量だけ駆動する。引き出された単板W1は、図示を省略する搬出機構によりアンローダ装置60の外部へ出される。S84、S85(「YES」と判定)の処理がこの順に繰り返し実行され、アンローダ棚64内に単板W1が無くなった場合には(S85:「NO」)、電磁切換弁213Eを上昇位置に切り換え、コンベヤ昇降シリンダ16の伸長動作に伴い、アンローダ部ローラコンベヤ15を作動位置まで上昇させる(S86)。その後、アンローダ処理を終了する。
以上の説明から明らかなように、上記実施例1における横型多段プレス装置1では、把持体が、熱板24(調温板54)(接触板)からはみ出た単板W1(被処理板材)の下部を把持して搬送方向所定位置まで搬入する。その結果、熱板24(調温板54)からはみ出た単板W1の下部を搬送のために有効に利用して搬送方向所定位置へ搬入することが可能となる。その上で、ホットプレス部誘導部材170B(調温プレス部誘導部材270B)(誘導体)が、搬送方向から逸れて進行する、又は自重で撓んだ状態の単板W1(被処理板材)の下端部と接触したときに弾性変形し、その際に生ずる弾性力を反力として被処理板材の下端部に力を作用させる。その結果、本実施例1によれば、単板W1の姿勢を鉛直平面形状に矯正した上で、その単板W1を進入経路P1の中央側へ誘導することが可能となり、ひいては単板W1を熱板24(調温板54)間に円滑に搬入することが可能となる。
なお、上記実施例1では、ホットプレス部誘導部材170B(調温プレス部誘導部材270B)が、熱板24(調温板54)の下端面に沿って複数設けられている場合について説明したが、少なくとも熱板24(調温板54)の搬送方向上流側端部に設けるようにすれば、単板W1を対応する進入経路P1へ良好に誘導することが可能である。
また、上記実施例1では、本発明を、ローダ装置10、ホットプレス装置20、開放蒸散装置40、調温プレス装置50及びアンローダ装置60が搬送方向上流側からこの順番に配置されるタイプの横型多段プレス装置1に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば調温プレス工程を省略することも可能である。すなわち、単板W1の材質・厚み、乾燥時の気象条件、単板W1の用途等、さらには恒常的に外気温がほぼ一定の環境下、或いは工場内の温度がほぼ一定に管理されている環境下においては、開放蒸散工程を実行するだけで、単板W1に調温プレス工程を実施したときと同様の効果が得られる場合である。或いは開放蒸散装置40と調温プレス装置50が省略され、ローダ装置10、ホットプレス装置20及びアンローダ装置60が搬送方向上流側からこの順番に配置されるタイプの横型多段プレス装置に適用することもできる。
その他、本発明は上記実施例及びその変形例に限らず、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えた態様で実施することが可能である。