JP6435139B2 - 染色体キメラの検出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ウシの染色体キメラの検出方法に関する。
ウシの畜産農家は、ウシ個体の遺伝的特徴を一頭ごとに確認する場合がある。これは、ウシ個体の形質、肉質、遺伝子疾患や疾患のキャリア、品種、親子関係等を明確にすることで、そのウシの価値を見定め、価値を高めることを目的としている。また、それによって、経済損失を防ぐことができる。
ウシ個体の遺伝的特徴の確認には、DNA多型を用いた検査が用いられている。DNA多型を用いた検査方法には、マイクロサテライト多型を用いるものと一塩基多型(SNP)を用いるものの2通りがある。マイクロサテライトは、ゲノム上に存在する複数のヌクレオチドを一単位とする繰り返し配列である。この繰り返し配列の繰り返し回数に個体差がある場合、これをマイクロサテライト多型という。マイクロサテライト多型は3万から10万塩基対に1箇所存在している。一塩基多型(SNP)とは、DNAを構成するヌクレオチド配列の1箇所の塩基が異なる塩基に変化(置換)している現象およびその箇所をいう。SNPはゲノム上に最も多く存在しているDNA多型である。
マイクロサテライトは、繰り返し配列とその近傍領域をPCR増幅し、その配列長を確認することで、解析できる。また、一つのマイクロサテライトから得られる情報量が多いため、複数のマイクロサテライトを解析することで詳細な検査を行うことを可能としている。しかしながら、マイクロサテライトは突然変異率が比較的高く、短い世代で新たな変異が発生する頻度が高い。また、マイクロサテライトの解析は熟練度を要するという欠点がある。一方、SNP解析の場合は、一つのSNPから得られる情報量は少ないものの、マルチプレックスPCRを行い、複数のSNPを同時に解析することで、詳細な検査を行うことが可能になる。また、突然変異率が低いためDNAマーカーとして安定している。さらに、対立遺伝子が2個であるので解析も容易であり、SNPに起因する遺伝性疾患等を判定することができ、親子鑑定にも用いることができる。
畜産業において、ウシの疾患の発生は畜産農家の経済的損失につながる重大な問題である。そのような疾患の一つとして、フリーマーチン(freemartin)が挙げられる。フリーマーチンは、ウシの異性多胎において、胎児として発達していく際に、胎盤中で2個の胎子の絨毛膜が融合し、お互いの血管が吻合することで、雄胎子の血液が雌胎子の中に混ざる(すなわち、血液キメラとなる)ことにより、発生する。フリーマーチンの雌胎子では生殖器の分化に異常をきたし、結果、生まれた雌個体は不妊となる。ウシの異性多胎では、雌の90%以上がフリーマーチンとなるとされている。フリーマーチンの個体は、雄と雌の両方のDNAを保持しており、性染色体はXX/XYのキメラ状態となっている。
キメラとは、同一個体内に異なる遺伝情報を有する細胞が混在している状態である。ウシは多胎である場合、親ウシの子宮内で、一方の胎子の血液細胞が他方の胎子の中に混ざり、その血液細胞が骨髄に定着することで、他方の胎子が染色体キメラになるという現象が発生することがある。
通常、ウシの生体の遺伝的特徴の確認において、遺伝子検査のサンプルとしては、毛根が一般的に用いられている。これは、血液サンプルの採取のように、獣医師の立ち会いを必要としないからである。しかし、毛根のサンプルの採取は、例えば数十から数百本の毛を引き抜いて採取するなど、採取箇所を傷つけることとなり、ウシへストレスを与えるとともに、感染症を引き起こす危険性が考えられる。
さらに、染色体キメラの個体であっても、全ての細胞が染色体キメラとなってはおらず、例えば、毛根由来の細胞は染色体キメラとなっていない。このため、様々な染色体キメラの確認を行うためには、別個血液サンプルを採取し、検出を行う必要があった。これは獣医師の立ち会いを必要とし、畜産農家にとって負担の大きい、煩雑なものである。このため、染色体キメラを簡便に検出する方法を確立することが望まれている。
特開平11−243966号公報 国際公開第2009/054367号
Fujishiroら、Theriogenology、43:883ページ−891ページ, 1995年 ENNISら、Research in Veterinary Science、67、111ページ−112ページ、1999年
本発明の解決課題は、従来法に比べより簡便かつ低コストで実施できる、フリーマーチンなどのウシの染色体キメラの検査方法を提供することである。また、かかる検査方法を実施するためのキットを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、鼻腔内から採取した検体を用いて、染色体キメラを簡便に検査できることを見出し、本発明を完成させた。これまで、染色体キメラの確認を行うには血液サンプル由来の核酸の利用が最適であるとされてきたが、今回、鼻腔内細胞由来の核酸の利用でも、同じ精度で染色体キメラの確認が実施できることが確認できた。
すなわち、本発明は、以下を提供するものである:
(1)ウシの染色体キメラを検出する方法であって、
(a)鼻腔内から検体を採取する工程;および
(b)採取した検体中の核酸の塩基配列を解析する工程
を含む、方法;
(2)塩基配列に基づいて遺伝子変異を判定する工程をさらに含む、(1)に記載の方法;
(3)遺伝子変異が遺伝子多型である、(2)に記載の方法;
(4)遺伝子多型が一塩基多型(SNP)である、(3)に記載の方法;
(5)ウシのフリーマーチンを検出する方法であって、
(a)鼻腔内から検体を採取する工程;および
(b)採取した検体中の核酸の塩基配列を解析する工程
を含む、方法;
(6)塩基配列に基づいて性染色体上の遺伝子変異を判定する工程をさらに含む、(5)に記載の方法;
(7)遺伝子変異が遺伝子多型である、(6)に記載の方法;
(8)遺伝子多型が一塩基多型(SNP)である、(7)に記載の方法;および
(9)(1)〜(8)のいずれか一つに記載の方法を実施するためのキットであって、塩基配列を解析するための試薬を含む、キット。
本発明によれば、鼻腔内から採取した検体から得られたDNAを用いることで、ウシのキメラを検出する方法が提供できる。これは、血液サンプルを用いる従来の検査法に比べ、簡便かつ低コストに実施することができる。また、通常の遺伝子検査においても、毛根サンプルを用いないことで、ウシへの負荷や感染症の危険性を減らすことができる。
図1はDigiTag登録商標2法で測定したサンプル1および2のタイピングパターンを示す。サンプル1は、3頭のフリーマーチン個体(FM1、FM2およびFM3)の鼻腔内細胞、血液、毛根のサンプルで実施した。サンプル2は、正常個体の2頭の雌(雌1、雌2)、および正常個体の2頭の雄(雄1、雄2)の鼻腔内細胞のサンプルで実施した。 図2は、サンプル3および4の電気泳動像である。サンプル3は、3頭のフリーマーチン個体(FM1、FM2およびFM3)の鼻腔内細胞、血液、毛根のサンプルで実施した。サンプル4は、正常個体の1頭の雌(雌1)、2頭の雄(雄1、雄2)の鼻腔内細胞のサンプルで実施した。レーン1:FM1:鼻腔内、レーン2:FM1:血液、レーン3:FM1:毛根、レーン4:FM2:鼻腔内、レーン5:FM2:血液、レーン6:FM2:毛根、レーン7:FM3:鼻腔内、レーン8:FM3:血液、レーン9:FM3:毛根、レーン10:雌1、レーン11:雄1、レーン12:雄2 図3はDigiTag登録商標2法で測定したサンプル5およびサンプル6のタイピングパターンを示す。サンプル5は、1頭の染色体キメラの個体(MU1)の鼻腔内細胞、血液、毛根のサンプル(合計3サンプル)を用いて実施した。サンプル6は、14頭の正常個体(正常1、正常2、正常3、正常4、正常5、正常6、正常7、正常8、正常9、正常10、正常11、正常12、正常13、正常14)の鼻腔内細胞のサンプル(合計14サンプル)を用いて実施した。
1つの態様において、本発明は、ウシの染色体キメラを検出する方法であって、(a)鼻腔内から検体を採取する工程;および(b)採取した検体中の核酸の塩基配列を解析する工程を含む、方法に関する。
本明細書において、「染色体キメラ」とは、同一個体内に異なる遺伝情報を有する細胞が混在している状態、およびそのような状態にある個体を指す。ウシの場合、多胎妊娠した母ウシの子宮内で、胎子は互いに血液を共有するため、一方の血液幹細胞が他方へ移動することが可能となる。移動した血液幹細胞が移動先の胎子の骨髄に定着した結果、持続的に血液細胞を供給することにより、胎子が染色体キメラになる。この現象は、同性多胎あるいは異性多胎に関わらず起こり得る。
染色体キメラは様々な疾患の原因となり得る。また、親子鑑定を含む遺伝学的な特徴を検査する際にも妨げとなる。染色体キメラに起因する不良形質には、例えば、ウシの雌個体のキメラが不妊となるフリーマーチンが挙げられる。
本明細書において、「ウシ」とは、Bos属の動物を指す。例えば、Bos taurus種(家畜牛)、Bos javanicus種(バンテン)、Bos indicus種(コブウシ)、Bos frontalis (ガヤールもしくはマイタン)などが含まれる。家畜牛には、乳牛および肉牛が含まれる。乳牛には、ホルスタイン種、ガンジー種、ジャージー種、エアシャー種、ブラウンスイス種、ロングホーン種などが挙げられる。肉牛には、アバディーン・アンガス種、シャロレー種、ショートホーン種、デボン種、ヘレフォード種、シンメンタール種、韓牛、見島牛、見蘭牛、和牛、ならびにそれらの交雑種などが挙げられる。和牛には、黒毛和種、褐色和種、無角和種および日本短角種、ならびにそれらの交雑種が含まれる。
本明細書において、「検体」とは、例えば、鼻腔拭い液などの鼻(例えば鼻粘膜)からの採取物、または口腔拭い液などの口(例えば口腔粘膜)からの採取物である。好ましい実施形態では、本発明において用いられる検体は、鼻腔内(例えば鼻粘膜)から採取される。より好ましい実施形態では、本発明において用いられる検体は、鼻腔拭い液である。さらに好ましい実施形態では、本発明において用いられる検体は、鼻腔内細胞を含む鼻腔拭い液である。
鼻腔または口腔内からの検体の採取は、例えば、当業者に知られている適切な検体採取器具および方法を用いて行うことができる。例えば、綿棒を鼻腔または口腔内に挿入し、鼻粘膜壁または口腔粘膜壁を軽く擦ることにより、検体を採取することができる。採取した検体は、溶解液、バッファーまたは希釈液などを用いて、本発明で用いるために適した状態へと調製されてもよい。
本明細書において、「核酸」とは、DNAまたはRNAを指す。採取した検体中の核酸の塩基配列を解析する場合、採取した検体をそのまま用いて、塩基配列を解析してもよい。あるいは、検体から核酸を抽出し、抽出した核酸を用いて、塩基配列を解析してもよい。あるいは、検体から核酸を抽出し、抽出した核酸をさらに精製し、精製した核酸を用いて、塩基配列を解析してもよい。採取した検体からの核酸の抽出には、フェノール抽出、エタノール沈殿などの当技術分野において周知の方法を用いることができる。あるいは、市販の核酸抽出キットを用いてもよい。抽出した核酸の精製には、当技術分野において周知の方法を用いることができる。あるいは、市販の核酸精製キットを用いてもよい。
本発明では、染色体キメラを検出するために、採取した検体中の核酸の塩基配列を解析する。塩基配列の解析は、当技術分野で一般に用いられるDNAシークエンシング技術を用いて行うことができる。例えば、「サンガー法」(Sanger et al.,1975)または「マクサム・ギルバート法」(Maxam et al.,1977)により行うことができる。この場合、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの配列特異的増幅と組み合わせたシークエンシング技術を用いてもよい(Mullis et al., 1986)。
対象の動物が染色体キメラであるか否かは、例えば、その動物の核酸における遺伝子変異を確認することで判定することができる。したがって、一実施形態では、本発明の方法は、塩基配列に基づいて遺伝子変異を判定する工程をさらに含む。例えば、塩基配列上のある特定のSNPに着目した場合、染色体キメラでない個体であれば、一方のSNP型のみの解析結果が得られる。しかしながら、染色体キメラの個体であれば、一方のSNP型と他方のSNP型が混ざった解析結果が得られる。遺伝子変異は、例えば、塩基の挿入、欠失もしくは置換、マイクロサテライト多型および一塩基多型(SNP)などの遺伝子多型、インデル(微小インデルを含む)、遺伝子変換多型、メチル化差異などを含む。「インデル」とは、Insertion/Deletionの略称であり、数ヌクレオチド長の挿入および欠失の組み合わせである。遺伝子変換とは、ある配列が別の配列に変化した多型をいう。これらの遺伝子変異は、例えば、シークエンサー等を用いて直接塩基配列を決定するダイレクトシークエンス法を用いて確認することができる。あるいは、例えば、遺伝子変異の部位を含む特定の配列を増幅するようにPCRを行い、増幅の有無あるいは増幅断片の大きさを確認することによって、遺伝子変異の有無を確認することもできる(PCRアッセイ)。
本発明の好ましい実施形態では、判定される遺伝子変異は遺伝子多型である。遺伝子多型は、当技術分野において周知の方法によって判定することができる。さらに好ましい実施形態では、かかる遺伝子多型は一塩基多型(SNP)である。SNPは、当技術分野において周知の方法によって判定することができる。例えば、SNPは、DNAチップもしくはDNAマイクロアレイを用いた核酸ハイブリダイゼーション法、DHPLC(Denatured High−Performance Liquid Chromatography)法、ミニシーケンシング法、パイロシーケンシング法登録商標、EMD(Enzyme Mutation Detection)アッセイ、TaqMan登録商標法、シングルヌクレオチドプライマーエクステンション法、インベーダー登録商標法、MALDI−TOF/MS法、RCA(Rolling Circle Amplification)法、シークエンサー等を用いて直接塩基配列を決定するダイレクトシークエンス法、ASP(Allele Specific Primer)−PCR法、PCR−SSO(Sequence Specific Oligonucleotide)法、PCR−SSP(Sequence Specific Primer)法、PCR−SSCP(Single−Strand Conformation Polymorphism)法、RFLP(制限酵素断片長多型性)を利用するPCR−RFLP法、SNaPshot商標法、対立遺伝子特異的PCR(AS−PCR)、モレキュラー・ビーコン法、ICAN法、UCAN法、ARMS法(Amplification Refractory Mutation System)、ASO法、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法(DGGE)、温度勾配ゲル電気泳動法(TGGE)、DigiTag登録商標法(Anal Biochem. 2005 Nov 15;346(2):281−8を参照のこと)およびDigiTag登録商標2法(Anal Biochem. 2007 May 1;364(1):78−85を参照のこと)からなる群から選択される少なくとも1つの方法によって判定される。上記方法には、それらを改変した方法も包含される。本発明の好ましい実施形態では、SNPはDigiTag登録商標法もしくはDigiTag登録商標2法またはそれらの改変方法によって判定される。より好ましい実施形態では、SNPはDigiTag登録商標2法またはその改変方法によって判定される。
DigiTag登録商標2法は、解析対象となるSNPごとにコモンプローブとクエリプローブを用いて、一度に複数箇所のSNPについて遺伝子型を決定することができるマルチプレックスSNPタイピング法である。コモンプローブは、SNP位置と隣接して下流に存在する3’側のプローブである。クエリプローブは、SNPをその3’末端に含む、上流に存在する5’側のプローブである。クエリプローブはアレルに対応した2種類をSNPごとに用意する。クエリプローブの3’末端に対応するSNPの遺伝子型に応じて、それと相補的な塩基を持つクエリプローブだけが、3’側に隣接して存在するコモンプローブと結合することができる。検出のために各クエリプローブの5’末端には、アレルに対応して2種類のクエリタグが連結されている。クエリタグは、検出のための蛍光標識などを結合するために用いられる。またコモンプローブの3’末端にはSNPごとに異なるコモンタグが連結されている。検出は、コモンタグと相補的な塩基配列を有するオリゴDNAを固定したDNAチップを用いて行う。検体の遺伝子型に応じて、クエリプローブとコモンプローブの結合により生成された産物は、DNAチップ上のコモンタグと相補的な塩基配列を有するオリゴDNAにコモンタグを介して結合し、DNAチップ上に捕捉される。アレルごとのクエリタグに対応して、2種類の蛍光標識を導入することで、各SNPの遺伝子型を決定することができる。また、検出は他のSNPと同時にマルチプレックスで行ってもよい。
他の態様において、本発明は、ウシのフリーマーチンを検出する方法であって、(a)鼻腔内から検体を採取する工程;および(b)採取した検体中の核酸の塩基配列を解析する工程を含む、方法に関する。
「フリーマーチン」とは、ウシの異性多胎において雄胎子の血液が雌胎子に混ざることに起因する不良形質であると考えられている。フリーマーチンの雌個体はY染色体を有し、XX/XYのキメラ状態となっている。したがって、雌のウシ個体の性染色体を検査した結果、X染色体およびY染色体の両方が存在する場合には、そのウシ個体はフリーマーチンであると判定できる。
本発明では、フリーマーチンを検出するために、採取した検体中の核酸の塩基配列を解析する。塩基配列の解析は、上述した当技術分野で一般に用いられるDNAシークエンシング技術を用いて行うことができる。
対象の動物がフリーマーチンであるか否かは、例えば、その動物の核酸における性染色体上の遺伝子変異を確認することで判定することができる。したがって、一実施形態では、本発明の方法は、塩基配列に基づいて性染色体上の遺伝子変異を判定する工程をさらに含む。この場合、遺伝子変異は、例えば、塩基の挿入、欠失もしくは置換、マイクロサテライト多型および一塩基多型(SNP)などの遺伝子多型、インデル(微小インデルを含む)、遺伝子変換多型、メチル化差異などを含む。これらの遺伝子変異は、上述したダイレクトシークエンス法やPCRアッセイを用いて確認することができる。
本発明の好ましい実施形態では、判定される遺伝子変異は遺伝子多型である。遺伝子多型は、当技術分野において周知の方法によって判定することができる。さらに好ましい実施形態では、かかる遺伝子多型は一塩基多型(SNP)である。SNPは、上述した当技術分野において周知の方法およびそれらを改変した方法によって判定することができる。好ましい実施形態では、SNPはDigiTag登録商標法もしくはDigiTag登録商標2法またはそれらの改変方法によって判定される。より好ましい実施形態では、SNPはDigiTag登録商標2法またはその改変方法によって判定される。
あるいは、X染色体に特異的な配列および/またはY染色体に特異的な配列をそれぞれ検出することにより、塩基配列を解析してもよい。例えば、Y染色体に特異的な配列を増幅するプライマーセットを用いたPCRアッセイにより、雌ウシ個体におけるY染色体の存在または非存在を検出してもよい。あるいは、X染色体およびY染色体について、それぞれ異なる長さの断片を増幅するプライマーセットを用いて、雌ウシ個体におけるY染色体の存在または非存在を検出してもよい。Y染色体の存在が検出された雌ウシ個体は、XX/XYの染色体キメラ、すなわちフリーマーチンであると判定される。
別の態様において、本発明は、本発明の方法を実施するためのキットに関する。かかるキットは、塩基配列を解析するための試薬を含む。通常は、かかる試薬は適切な容器に入れて提供される。かかるキットは、綿棒などの検体採取器具、本発明の方法の実施を簡便にするための適当な試薬、例えば希釈液、反応希釈液、バッファー、洗浄試薬、検体溶解試薬、核酸抽出試薬、核酸精製試薬、核酸溶解試薬などを含んでもよい。さらに、プライマー、プローブなどの適当な核酸試薬を含んでもよい。またさらに、本発明の方法の実施に必要な説明書などの資材を含んでもよい。
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
染色体キメラの検出1(フリーマーチン)
ウシの性染色体キメラであるフリーマーチンの検出を、鼻腔内から採取した検体から抽出したDNAを用いて実施した。陽性対照として、染色体キメラの検出が可能である血液サンプルを用いた。また、陰性対照として毛根サンプルを用いた。フリーマーチンは、雌ウシ個体中のY染色体の存在/非存在を確認することで判定することができる。Y染色体の存在が確認された雌ウシ個体は、XX/XYのキメラ、すなわちフリーマーチンと判定できる。
1.DNA抽出
1−1.血液サンプル
ウシ個体から採取した全血6mLを15mL容量の遠沈菅に入れ、2000rpmにて10分間遠心した。得られたバフィーコート(白血球層)の内0.2mLを1.5mL容量のマイクロチューブに回収した。マイクロチューブに0.5mLのザルコシル溶液(0.5% N−ラウロイルサルコシンナトリウム塩、10mM トリスHCl(pH8.0)、10mM EDTA(pH8.0)、200μg/mL プロテイナーゼK)を加え、37℃で一晩反応を行った。このマイクロチューブに0.7mLのTE飽和フェノールを加え、5分間反転混合した。その後、4000rpmにて5分間遠心した。上清を新しい1.5mL容量のマイクロチューブに回収した。このマイクロチューブに0.7mLのフェノール・クロロホルム・イソアミルアルコール(25:24:1)を加え、5分間反転混合した。その後、4000rpmにて5分間遠心した。上清を新しい1.5mL容量のマイクロチューブに回収した。このマイクロチューブに0.1mLの3M酢酸ナトリウム(pH 5.2)と1mLの99.5%エタノールを加え、5分間反転混合した。その後、12000rpmにて5分間遠心した。全ての上清を捨て、1mLの70%エタノールを加えた。直ぐに12000rpmにて5分間遠心した。全ての上清を捨て、室温にて5分間乾燥させて、DNAを得た。その後、0.1mLのTE(10mM トリスHCl(pH7.5)、1mM EDTA(pH8.0))バッファーを加えて得られたDNAを溶解した。
1−2.毛根サンプル
QiaAmp DNA Investigator Kit(Qiagen製)を使用した。ウシ個体から毛30本を採取した。毛根部を1cm切り取り、1.5mL容量のマイクロチューブに回収した。このマイクロチューブに300μLのバッファーATL、20μLのプロテイナーゼK、20μLの1M DTTを加え、ボルテックスにて10秒間攪拌した。56℃で1時間反応させた。この間、10分毎にボルテックスにて10秒間攪拌した。このマイクロチューブに300μLのバッファーALを添加後、ボルテックスで10秒間攪拌した。70℃で10分間反応させた。この間、3分毎にボルテックスにて10秒間攪拌した。このマイクロチューブに150μLの99.5%エタノールを添加し、15秒間ボルテックスで静かに攪拌した。スピンダウンにより、1.5mL容量のマイクロチューブの蓋の内側に付着したサンプルを回収し、QIAamp MinElute Column(2mL コレクションチューブ中)に注入した。8000rpmで1分間遠心した。QIAamp MinElute Columnを新しい2mLのコレクションチューブにセットし、ろ液を含むコレクションチューブを破棄した。QIAamp MinElute Columnを開き、500μLのバッファーAW1を添加した。蓋を閉めて8000rpmで1分間遠心した。QIAamp MinElute Columnを新しい2mLのコレクションチューブにセットし、ろ液を含むコレクションチューブを破棄した。QIAamp MinElute Columnを開き、700μlのバッファーAW2を添加した。蓋を閉めて8000rpmで1分間遠心した。QIAamp MinElute Columnを新しい2mLのコレクションチューブにセットし、ろ液を含むコレクションチューブを破棄した。QIAamp MinElute Columnを開き、700μLの99.5%エタノールを添加した。蓋を閉め8000 rpmで1分間遠心した。QIAamp MinElute Columnを新しい2mLのコレクションチューブにセットし、ろ液を含むコレクションチューブを破棄した。12000rpmで3分間遠心してメンブレンを完全に乾燥させた。新しい1.5mL容量のマイクロチューブにQIAamp MinElute Columnをセットし、ろ液を含むコレクションチューブを破棄した。QIAamp MinElute Columnの蓋を開き、室温にて10分間インキュベートした。50μLのバッファーATEをメンブレンの中央にアプライした。蓋を閉めて、室温で1分間インキュベートした。その後、12000rpmにて1分間遠心し、DNA溶液を得た。
1−3.鼻腔内サンプル
ウシ個体の鼻腔内を綿棒で擦った。擦った綿棒を1.0mLのザルコシル溶液(0.5% N−ラウロイルサルコシンナトリウム塩、10mM トリスHCl(pH8.0)、10mM EDTA(pH8.0)、200μg/mL プロテイナーゼK)に加え、50℃で2時間反応を行った。得られた溶液0.5mLを1.5mL容量のマイクロチューブに加えた。このマイクロチューブに0.7mLのTE飽和フェノールを加え、5分間反転混合した。その後、4000rpmにて5分間遠心した。上清を新しい1.5mL容量のマイクロチューブに回収した。このマイクロチューブに0.7mLのフェノール・クロロホルム・イソアミルアルコール(25:24:1)を加え、5分間反転混合した。その後、4000rpmにて5分間遠心した。上清を新しい1.5mL容量のマイクロチューブに回収した。このマイクロチューブに50μLの3M酢酸ナトリウム(pH5.2)と0.5mlの99.5%エタノールを加え、5分間反転混合した。その後、12000rpmにて5分間遠心した。全ての上清を捨て、1mLの70%エタノールを加えた。直ぐに12000rpmにて5分間遠心した。全ての上清を捨て、室温にて5分間乾燥させて、DNAを得た。その後、100μLのTE(10mM トリスHCl(pH7.5)、1mM EDTA(pH8.0))バッファーを加えて得られたDNAを溶解した。
2.X染色体およびY染色体の検出
2−1.DigiTag登録商標2法
DigiTag登録商標2法を用いて性染色体特異的なSNPを検出することにより、X染色体およびY染色体を検出した。
PCR
標的とするSNPの周辺配列を増幅するため、Qiagen Multiplex PCR Kit(Qiagen製)を使用して、PCRを行った。用いたプライマーの配列は以下の表の通りである。
Figure 0006435139
以下の表の通り、反応液を作製した。
Figure 0006435139
14μLの反応液Iに、血液サンプル、毛根サンプルまたは鼻腔内サンプルから抽出したDNAをそれぞれ100ng加えた。全量20μLとなるように超純水を加えた。
熱サイクル反応を以下の条件にて行った。
Figure 0006435139
ライゲーション
上述のPCRで増幅したPCR産物を鋳型として、クエリプローブとコモンプローブを結合させるため、ライゲーションを行った。クエリプローブとコモンプローブの配列は以下の表の通りである。クエリプローブ1はX染色体を検出する。クエリプローブ2はY染色体を検出する。
Figure 0006435139
まず、ライゲーションを行うために、コモンプローブの5’末端のリン酸化を行った。以下の表の通り、反応液を作製した。
Figure 0006435139
反応を以下の条件にて行った。
Figure 0006435139
続いて、クエリプローブとコモンプローブのライゲーションを行った。以下の表の通り、反応液を作製した。
Figure 0006435139
さらに、14.5μLの上記反応液IIIに、PCRの増幅産物0.5μLを加えた。
以下の条件にて熱反応を行った。
Figure 0006435139
ラベリング
上述のライゲーションにより結合した配列を蛍光標識するために、ラベリングを行った。蛍光標識に使用する配列は以下の表の通りである。フォワードプライマー1は5’末端をAlexa Fluor登録商標 647で、フォワードプライマー2は5’末端をAlexa Fluor登録商標 555で標識した。
Figure 0006435139
以下の表の通り、反応液を作製した。
Figure 0006435139
さらに、6μLの上記反応液IVに、ライゲーション産物6μLを加えた。
以下の条件にて熱反応を行った。
Figure 0006435139
検出
コモンタグアレイによる検出を行った。以下の表の通り、反応液を作製した。
Figure 0006435139
さらに、7.5μLの上記反応液Vに、ラベリング産物6.3μLを加えた。その後、90℃で、1分間、熱変性を行った。熱変性した反応液8μLを、37℃に温めておいたコモンタグアレイ(クラボウ製)上のブロックに添加し、37℃で、30分間、ハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーション終了後、アレイをフォルダーにセットした。次いで、洗浄液(1xSSC、0.1%SDS)中で5回上下に振とうした。さらに室温で3分間浸漬した。続いて、純水中でアレイを5回振とうした。さらに室温にて1分間浸漬した。最後に、2000rpm、1分間の遠心により、アレイを乾燥させた。マイクロアレイスキャナ(GenePix4200A)を用いてアレイの蛍光検出を行った。タイピングパターン解析においてX染色体の検出を縦軸にプロットされる様にプローブを設計し、Y染色体の検出を横軸にプロットされる様にプローブを設計した。それゆえ、正常の雌個体はXXであるため縦軸上にプロットされ、雄個体はXYであるため縦軸と横軸の中間にプロットされる。
結果
DigiTag登録商標2法による結果を以下に示す。サンプル1は、3頭のフリーマーチン個体(FM1、FM2およびFM3)の鼻腔内細胞、血液、毛根のサンプル(合計9サンプル)で実施した。サンプル2は、正常個体の2頭の雌(雌1、雌2)、および正常個体の2頭の雄(雄1、雄2)の鼻腔内細胞のサンプル(合計4サンプル)で実施した。DigiTag登録商標2法で測定したサンプル1および2の蛍光値を以下の表および図1に示す。
Figure 0006435139
Figure 0006435139
上述のY染色体の検出および実際のフリーマーチン個体の判定結果との整合性を、以下の表に示す。
Figure 0006435139
上述の通り、鼻腔内サンプルから抽出したDNAを用いてDigiTag登録商標2法により、フリーマーチン個体中のY染色体を検出することができた。これより、血液サンプルと同様に、鼻腔内サンプルを用いて染色体キメラの検出が可能であることが示された。なお、陰性対照として用いた毛根サンプルでは、フリーマーチン個体においてY染色体を検出することができなかった。
2−2.PCRアッセイ
PCRアッセイによって性染色体特異的な配列を増幅することにより、X染色体およびY染色体を検出した。
PCR反応
X染色体およびY染色体由来配列の増幅を確認するため、Qiagen Multiplex PCR Kit(Qiagen製)を使用して、PCR反応を行った。用いたプライマーの配列は以下の表の通りである。
Figure 0006435139
以下の表の通り、反応液を作製した。
Figure 0006435139
さらに、14μLの反応液VIにゲノムDNA100ngを加えた。全量20μLとなるように超純水を加えた。
以下の条件にて熱サイクル反応を行った。
Figure 0006435139
X染色体からは524bp、Y染色体からは461bpのDNAが増幅される。
電気泳動
Agilent Technologies社のAgilent登録商標 DNA 7500キットを用いて電気泳動を行った。操作方法は付属の説明書に従った。電気泳動には上記のPCR産物20μL中の1μLを使用した。
結果
PCRアッセイによる結果を以下に示す。サンプル3は、3頭のフリーマーチン個体(FM1、FM2およびFM3)の鼻腔内細胞、血液、毛根のサンプル(合計9サンプル)で実施した。サンプル4は、正常個体の1頭の雌(雌1)、2頭の雄(雄1、雄2)の鼻腔内細胞のサンプル(合計3サンプル)で実施した。サンプル3および4の電気泳動像を図2に示す。
上述のY染色体の検出および実際のフリーマーチン個体の判定結果との整合性を、以下の表に示す。
Figure 0006435139
上述の通り、鼻腔内サンプルから抽出したDNAを用いてPCRアッセイにより、フリーマーチン個体中のY染色体を検出することができた。これより、血液サンプルと同様に、鼻腔内サンプルを用いて染色体キメラの検出が可能であることが示された。なお、陰性対照として用いた毛根サンプルでは、フリーマーチン個体においてY染色体を検出することができなかった。
染色体キメラの検出2
同一の染色体キメラ個体において、血液サンプル、毛根サンプル、鼻腔内サンプル由来のDNAを用いて比較実験を行った。染色体キメラの検出が可能である血液サンプルを陽性対照、検出ができない毛根サンプルを陰性対照として確認した。染色体キメラは、常染色体上のSNP検出において、他方(双子のもう一方)の対立するSNPが検出される場合に判定できる。さらに、正常個体から鼻腔内サンプル由来のDNAを用いた検出の結果を示した。
1.DNA抽出
DNA抽出は、実施例1と同様の方法で行った。
2.常染色体のSNPの検出
検出は、DigiTag登録商標2法を用いて行った。手順は実施例1の2−1と同様である。但し、PCRプライマー、プローブ、およびラベリング用PCRのプライマーは以下の表の通りである。タイピングパターン解析においてクエリプローブ4の検出を横軸にプロットされる様にプローブを設計し、クエリプローブ3の検出を縦軸にプロットされる様にプローブを設計した。クエリプローブ4のみで検出されるホモ個体は横軸上にプロットされ、クエリプローブ3のみで検出されるホモ個体は縦軸上にプロットされ、クエリプローブ4とクエリプローブ3で検出されるヘテロ個体は横軸と縦軸の中間にプロットされる。また、検出するSNPのrs番号はrs41642283である。変異が無いときの塩基はCであり野生型であり、変異が起こっているときの塩基はTでありrs41642283(C>T)である。配列は以下の表の通りである。野生型をクエリプローブ3で検出し、rs41642283(C>T)をクエリプローブ4で検出する。なお、今回rs41642283のSNPを用いたが、染色体キメラを検出するために用いられるSNPはこれに限定されるものではない。

Figure 0006435139
Figure 0006435139
Figure 0006435139
Figure 0006435139
結果
染色体キメラ個体の鼻腔内細胞、血液、毛根のサンプルのDNAのアッセイ
DigiTag登録商標2法による結果を以下に示す。サンプル5は、1頭の染色体キメラの個体(MU1)の鼻腔内細胞、血液、および毛根のサンプル(合計3サンプル)で実施した。サンプル6は、14頭の正常個体(正常1、正常2、正常3、正常4、正常5、正常6、正常7、正常8、正常9、正常10、正常11、正常12、正常13、正常14)の鼻腔内細胞のサンプル(合計14サンプル)で実施した。DigiTag登録商標2法で測定したサンプル5および6の蛍光値を以下の表および図3に示す。
Figure 0006435139
Figure 0006435139
上述の常染色体上で対立するSNPの検出および染色体キメラ個体の判定結果を、以下の表に示す。「他方の常染色体上で対立するSNP」とは、双子のもう一方が持つ対立SNPである。
Figure 0006435139
上記の表に示されるサンプル5および6の蛍光値ならびに図3より、陰性対照として用いた毛根サンプルと陽性対照として用いた血液サンプルとを比較すると、対立遺伝子の検出に差異を示す結果が得られ、当該個体(MU1)がキメラであることを確認した。鼻腔内サンプルでも、陽性対照の血液サンプルと同様に、陰性対照の毛根サンプルとの差異が確認でき、MU1が染色体キメラであることが確認できた。また、正常個体の結果から、上記のプライマーおよびプローブを用いることで、対象の個体がホモ個体またはヘテロ個体のいずれであるのかを判定できることが確認できた。
結論として、毛根サンプルでは、フリーマーチンや染色体キメラを検出できない。これは、染色体キメラの個体であっても、毛根由来の細胞は、染色体キメラの状態になっていないという事実と一致する。採材が容易な鼻腔内粘膜細胞のキメラ状態についてはこれまで不明であったが、検討の結果、鼻腔内粘膜も血液と同程度にキメラになっていることを明らかにした。
本発明によれば、鼻腔内から採取した検体を用いる、ウシの染色体キメラを検出する方法の提供が可能になる。また、鼻腔内から採取した検体を用いる、ウシのフリーマーチンを検出する方法の提供が可能になる。鼻腔内から採取した検体を用いることで、従来の検査法に比べ、簡便かつ低コストに染色体キメラを検出することができる。また、ウシへの負荷や感染症の危険性を減らすことができる。したがって、本発明は、ウシの畜産業における染色体キメラに起因するウシの不良形質の判定において利用可能である。
配列番号1:フォワードプライマーA
配列番号2:リバースプライマーA
配列番号3:クエリプローブ1
配列番号4:クエリプローブ2
配列番号5:コモンプローブ1
配列番号6:フォワードプライマー1
配列番号7:フォワードプライマー2
配列番号8:リバースプライマー1
配列番号9:フォワードプライマーB
配列番号10:リバースプライマーB
配列番号11:フォワードプライマーC
配列番号12:リバースプライマーC
配列番号13:クエリプローブ3
配列番号14:クエリプローブ4
配列番号15:コモンプローブ2
配列番号16:フォワードプライマー3
配列番号17:フォワードプライマー4
配列番号18:リバースプライマー2
配列番号19:rs41642283 野生型
配列番号20:rs41642283 (C>T)

Claims (7)

  1. 多胎のウシの染色体キメラを検出する方法であって、
    (a)鼻腔内から検体を採取する工程;および
    (b)採取した検体中の塩基配列を解析する工程
    を含む、方法。
  2. 塩基配列に基づいて遺伝子多型を判定する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 遺伝子多型が一塩基多型(SNP)である、請求項に記載の方法。
  4. 多胎のウシのフリーマーチンを検出する方法であって、
    (a)鼻腔内から検体を採取する工程;および
    (b)採取した検体中の核酸の塩基配列を解析する工程
    を含む、方法。
  5. 塩基配列に基づいて性染色体上の遺伝子多型を判定する工程をさらに含む、請求項に記載の方法。
  6. 遺伝子多型が一塩基多型(SNP)である、請求項に記載の方法。
  7. 請求項1〜のいずれか一項に記載の方法を実施するためのキットであって、染色体上の一塩基多型を検出するためのプライマーを含む、キット。
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