JP6434999B2 - 装飾積層フィルム、及びこの装飾積層フィルムを有する袋状容器並びにシール材 - Google Patents
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Description
例えば、下記特許文献1には、エンボス模様に従って形成された凸部を所定温度に加熱して、軟包材の表面に接触させて軟包材を部分的に収縮させて外側に盛り上がらせて成るエンボス模様を有する袋状容器が提案されている。このエンボス模様付袋状容器においては、印刷による模様とは異なる質感のあるエンボス模様が袋状容器に形成されているが、エンボス模様及び印刷の組み合わせによる相乗効果までは得られておらず、意匠性の点で未だ十分満足するものではなかった。
本発明の他の目的は、文字や図柄が立体的に強調され意匠性に優れた装飾を有する袋状容器並びにシール材を提供することである。
1.前記文字及び/又は図柄と、これを除く領域が、明暗差を有し、前記凸部が相対的に明るい部分に形成されていること、
2.前記凸部の形成箇所に一方向から光を照射した場合に影となる部分に、影を強調する印刷が施されていること、
3.前記発泡フィルムが、熱可塑性樹脂フィルムに不活性ガスを含浸させて加熱した後、延伸して成る発泡フィルムであること、
4.前記凸部が、0.1〜0.35mmの範囲の成形高さ、10mm以下の成形幅を有すること、
5.前記凸部が、冷間、温間、或いは熱間で積層フィルムを圧縮成形することにより、外面フィルム側に張出させて形成したものであること、
が好適である。
本発明によれば更にまた上記装飾積層フィルムから成るシール材が提供される。
以下、「文字及び/又は図柄」を総称して「模様」又は「印刷デザイン」ということがある。
また発泡フィルムはそれ自体が半透明であることから、本発明の装飾積層フィルムを用いて包装袋等を形成した場合に内容物を視認することができ、視認性を向上しつつ意匠性も向上させることができる。
また、積層フィルムとして、内面側に伸びの大きいフィルム、外面側に伸びの小さいフィルムから成る積層フィルムを使用することにより、冷間、温間、熱間の何れでも凸部を張出成形することが可能であり、成形性にも優れている。
本発明においては、模様の少なくとも一部が有するパール調光沢は、後述するように用いる積層フィルムが、内面フィルムと外面フィルムの間にパール調光沢を発現可能な発泡フィルムを有することに由来するものである。このパール調光沢を有する模様と、模様以外の部分が色相、明度、彩度、或いは光沢度の少なくとも一つが異なり、この模様の少なくとも一部に沿って凸部が形成されることにより、優れた装飾効果を発現できる。
また本発明の装飾積層フィルムにおいては、模様と、模様が形成されていない部分とが、明度差を有し、模様が相対的に明るい部分に形成されていることにより、模様が形成されていない部分と明確に区別され、模様の輪郭に沿って形成される凸部の存在と相俟って模様の立体感を更に際立たせることができる。
例えば、後述する実施例により作成された装飾積層フィルムを示す図6及び図7から明らかなように、模様(横棒「―」)の部分は、発泡フィルムのパール調光沢を有する一方、模様以外の背景が光沢のないマットな質感の印刷が施されている場合には、パール調光沢による模様の存在感のみならず、色相及び明度も異なり、しかも凸部が形成される模様部分が相対的に明るい色で形成されており、模様がくっきりと目立ち、装飾効果が向上する。
本発明の装飾積層フィルムをパウチ等の袋状容器やシール材などの包装材料として使用する場合には、その機械的強度やバリア性等が要求されることから、主たる凸部の幅は10mm以下、特に1〜3mmの範囲にあり、凸部の高さは0.35mm以下、特に0.1〜0.35mmの範囲あることが好ましい。そのため大きな模様を構成する場合には、模様の外郭等、その一部を凸部で縁取りすることが望ましい。
また、図示していないが、凸部の表面粗度を凸部の周囲の表面粗度よりも高くし、これらの間に光沢度の差を形成することにより、凸部をギラギラと光が散乱した状態とし、文字や図柄の立体感を更に強調して、より一層、意匠性に優れた装飾を付与することができる。
文字輪郭の凸部の成形加工において、金型を、凸部で区画された文字の内側領域を加工する金型の高さを文字の周囲より高く、かつ凸部を加工する金型よりも少し低く調整することにより、凸部及び凸部で区画された文字の内側部分の両方を同時に少量膨出させることができるので、容易に文字全体の立体感を際立たせることができる。
例えば、模様全体がパール調光沢を有するだけでなく、文字の一部分のみが光っているように部分的にパール調光沢を有してもよい。
また、色相、明度、彩度のすべてが異なる色を使用する以外にも、例えば、グラデーションやぼかしのように明度や彩度のみが異なる場合でも、同様の効果が得られる。
更に、模様全体を均一な凸部で加工するのみならず、成形幅や高さが異なる凸部を組み合わせることもできる。
本発明の装飾積層フィルムは、内面フィルム及び外面フィルムの間にパール調光沢を有する発泡フィルムを備えて成る積層フィルムを用い、この積層フィルムに文字及び/又は図柄を除く部分(背景)に印刷した後、凸部を成形加工することによって製造することができる。
本発明の装飾積層フィルムに用いる積層フィルムとしては、後述する凸部の成形加工の観点から、内面フィルムに伸びの大きいフィルムを用い、外面フィルムに伸びの小さいフィルムを用い、内面フィルムと外面フィルムの間にパール調光沢を有する発泡フィルムを用いた積層フィルムを用いることが望ましい。
内面フィルムとして用いる伸びの大きいフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等から成るヒートシール性を有するフィルムを用いることが好ましく、一方外面フィルムとして用いる伸びの小さいフィルムとしては、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」ということがある)等の延伸フィルムを用いることが好ましい。
発泡フィルムとしては、これに限定されないが、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミドナイロン樹脂等の熱可塑性樹脂から成るフィルムに、二酸化炭素ガス等の不活性ガスを含浸させて、加熱することにより発泡させた後、これを延伸することによって得られるパール調光沢を有する発泡フィルム(特開2007−22554号公報参照)や、ポリオレフィン樹脂に、アゾ化合物、有機系化学発泡剤、無機系化学発泡剤等の発泡剤を含有する発泡性混合物から成るフィルムを加熱することにより発泡させて成るパール調光沢を有する発泡フィルム(特開2010−105396号公報参照)等を例示することができる。
更に、内面フィルム又は外面フィルムと発泡フィルムの間や、外面フィルムの外側には、本発明の効果を損なわない範囲でさらに他の層が形成されていてもよく、例えば外面フィルムの外側にトップコート層等を形成することができる。
積層フィルムには、更に他の層を設けることもできる。
尚、本発明の装飾積層フィルムを用いて包装袋等を作成する際に、内容物を外部から視認可能とする場合には、白色下地印刷部6bを形成しなくても勿論よい。また、凸部を形成する模様部分5に表面印刷層6aのみを施すことにより、後述する実施例4(図7)に示すように色相の異なるパール調光沢とすることができる。
印刷方法は、従来公知の印刷方式を採用することができ、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷、スクリーン印刷等を採用することができるが、本発明の装飾フィルムにおいては、特に印刷スピードの速いグラビア印刷やフレキソ印刷で行うことが好ましい。
また印刷インキとして、アルミ粉末やパール顔料などを含有する高輝度インキを使用することもでき、これにより発泡フィルムに由来するパール調光沢と相俟って、より装飾性を向上することができる。
本発明の装飾積層フィルムにおいては、前述した模様を有する積層フィルムに凸部の立体成形を行う。
凸部の成形加工は、外面フィルム側に突出する凸部が形成し得る限り、その成形方法に制限はないが、本発明においては、前述したように、内面フィルムとして伸びの大きいフィルム、外面フィルムとして伸びの小さいフィルムから成る積層フィルムを用い、冷間、温間、或いは熱間で圧縮成形することにより、外面フィルム側に張出させて形成することが好適である。
図3は本発明の装飾積層フィルムの凸部の成形加工の一例を説明するための図であり、この図3に示すように、内面フィルム10a及び外面フィルム10bから成る積層フィルム10(発泡フィルムについては図示していない)を、室温、或いは内面フィルム10aの軟化点温度近傍に加熱し、この加熱された積層フィルムを、加工部13を有する加工ロール11及びアンビルロール12の間で、積層フィルム10の凸部を形成したい部位に加工部13で厚み方向に圧縮成形すると、圧縮した部位が圧力を開放すると外面フィルム10b側に張出し、凸部14が形成される。
前記凸部の成形加工は、加工部を加熱することなく行う冷間であってもよいし、内面フィルムの軟化温度近傍まで加熱して行う熱間、あるいは冷間と熱間の中間の温度域(温間)で行ってもよい。例えば、内面フィルムがポリエチレンの場合には、少なくとも加工部を35〜80℃の温度に加熱する温間、或いは加工部を80〜100℃の温度に加熱する熱間であってもよく、必要により加工後冷却を行う。
尚、凸部の成形高さは、加工部の圧縮加工量によって決定され、例えば、図8に示す一対のロール間で加工を行う場合には、加工部13のアンビルロール12に対するクリアランス量によって決定される。
本発明の装飾積層フィルムの凸部の成形加工は、長尺状の積層フィルムに対して行うこともできるし、枚葉の装飾積層フィルムに対して行うこともできる。
本発明の袋状容器は、本発明の装飾積層フィルムを備えている限り、その製造方法は限定されない。例えば、本発明の装飾積層フィルムの内面フィルム同士を重ね合わせることにより成形してもよいし、本発明の装飾積層フィルムを一方の側面に用い、他方の側面には凸部が形成されていない積層フィルムを用いて袋状容器とすることもできる。
また、少なくとも伸びの大きい内面フィルムと伸びの小さい外面フィルムから成り、模様が印刷された積層フィルムの内面フィルム同士を重ね合わせて袋状容器を成形した後、凸部の成形加工を行うことにより成形することもできる。この場合においても、枚葉で袋状容器に凸部の成形加工を行うこともできるし、長尺状の積層フィルムを重ね合わせた複数枚の袋状容器が長尺状に連なった状態で連続的に凸部の成形加工を行った後、各袋状容器に切り離して製造することもできる。
袋状容器としては、スタンディングパウチ、三方シール袋、四方シール袋等従来公知の袋状容器、更にこれらにスパウトを装着したすべての形状及び形態に採用することができる。
本発明のシール材は、本発明の装飾積層フィルムを、カップ状、或いはトレー状容器等の所望の開口部形状に打ち抜くことにより成形できる。
一対の回転ロール(加工ロール、アンビルロール)の上方の回転ロール(加工ロール)に、積層フィルムを冷間で厚み方向に圧縮加工する凸部加工部を設けた。そして、積層フィルムの外面フィルムを加工ロール側、内面フィルム(シーラントフィルム)をアンビルロール側として両ロール間に供給して冷間で圧縮成形を行い、積層フィルムの外面フィルム側に張り出す凸部の形成を行った。
尚、前記凸部の形成においては、凸部加工部先端部と下方の回転ロール(アンビルロール)の設定クリアランスは60μmとした。
2.凸部加工部の形状
巾(加工ロール幅方向):50mm、長さ(加工ロール回転方向):3mm
3.凸部の最大成形高さh
積層フィルムの外面フィルム側に張り出した凸部の加工ロール回転方向の横断面における最大成形高さhを表面形状測定器で測定した。
積層フィルムの外面フィルム側に張り出した凸部の装飾性について、パール感と視認性(凸部の識別性)の2項目を目視にて評価した。
(1)〔パール感〕
◎:パール感が際立ってある、○:パール感がある、×:パール感が乏しい。
(2)〔視認性〕
◎:視認性が非常によい、 ○:視認性がよい、×:視認性が乏しい。
内面フィルムを直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(30μm)、発泡フィルムを低密度ポリエチレンフィルム(90μm)とし、内面フィルムと発泡フィルムを共押出により積層した2層フィルムとした。
外面フィルムを延伸ナイロンフィルム(15μm)とし、その内面の凸部を形成しない背景部に藍色インキ、白色インキによる印刷を順次行い、背景部の発泡フィルムによるパール調を隠蔽した。
次いで、内面フィルムと発泡フィルムから成る2層フィルムと外面フィルムをドライラミネートし、内面フィルム/発泡フィルム/外面フィルムから成る積層フィルムとした。
この積層フィルムを冷間で圧縮成形し、最大成形高さhが0.2mmの外面フィルム側に張り出す凸部の形成を行い、その凸部のパール感と視認性を目視で確認した(図6参照)。
その結果を表1に示す。
実施例1において、外面フィルムを延伸PETフィルム(12μm)、中間フィルムを延伸ナイロンフィルム(15μm)としてドライラミネートし、内面フィルム/発泡フィルム/中間フィルム/外面フィルムから成る積層フィルムとした。
同様に凸部の形成を行い、その凸部のパール感と視認性を目視で確認した。
その結果を表1に示す。
実施例2において、外面フィルムを延伸ナイロンフィルム(15μm)、中間フィルムを延伸PETフィルム(12μm)としてドライラミネートし、内面フィルム/発泡フィルム/中間フィルム/外面フィルムから成る積層フィルムとした。
同様に凸部の形成を行い、その凸部のパール感と視認性を目視で確認した。
その結果を表1に示す。
実施例2において、外面フィルムの内面の凸部を形成する部分に黄色インキによる印刷を行った積層フィルムとし、同様に凸部の形成を行い、その凸部のパール感と視認性を目視で確認した(図7参照)。
その結果を表1に示す。
実施例1において、発泡フィルムを用いず、内面フィルム/外面フィルムから成る積層フィルムとし、同様に、この積層フィルムを冷間で圧縮成形して外面フィルム側に張り出す凸部の形成を行い、その凸部のパール感と視認性を目視で確認した。
その結果を表1に示す。
実施例1において、外面フィルムの内面に、凸部の形成をしない背景部に印刷を行わなかった以外は、同様に冷間で圧縮成形して外面フィルム側に張り出す凸部の形成を行い、その凸部のパール感と視認性を目視で確認した。
その結果を表1に示す。
実施例2において、発泡フィルムを用いず、内面フィルム/中間フィルム/外面フィルムから成る積層フィルムとし、同様に冷間で圧縮成形して外面側に張り出す凸部の形成を行い、その凸部のパール感と視認性を目視で確認した。
その結果を表1に示す。
実施例2において、外面フィルムの内面に、凸部の形成をしない背景部に印刷を行わなかった以外は、同様に冷間で圧縮成形して外面フィルム側に張り出す凸部の形成を行い、その凸部のパール感と視認性を目視で確認した。
その結果を表1に示す。
Claims (3)
- 少なくとも内面フィルム及び外面フィルムから成る積層フィルムに、文字及び/又は図柄が、印刷及び外面フィルム側に張出した凸部により形成されて成る装飾積層フィルムにおいて、
前記積層フィルムが、内面フィルムがポリエチレン又はポリプロピレンから成り、外面フィルムが延伸ナイロン又は延伸ポリエチレンテレフタレートから成り、
前記内面フィルムと外面フィルムの間に、パール超光沢を有する発泡フィルムを有しており、
前記文字及び/又は図柄の少なくとも一部が、前記発泡フィルムに由来する金属光沢を有し、
前記文字及び/又は図柄とこれを除く領域の少なくとも一部が、色相、明度,彩度,或いは光沢度の少なくとも一つが異なっており、
前記文字及び/又は図柄の少なくとも一部に沿って凸部が形成されていること特徴とする装飾積層フィルム。 - 前記文字及び/又は図柄と、これを除く領域が、明暗差を有し、前記凸部が相対的に明るい部分に形成されている請求項1記載の装飾積層フィルム。
- 前記凸部の形成箇所に一方向から光を照射した場合に影となる部分に、影を強調する印刷が施されている請求項1又は2記載の装飾積層フィルム。
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