JP6434707B2 - 三相交流発電スタータ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用のバッテリを充電するための発電装置とスタータ装置を兼ねた三相交流発電スタータ装置に関する。
車両のエンジンのクランキングを行うスタータモータとしての機能と、車両の走行中に発電し車両のバッテリを充電する機能を備えた三相交流発電スタータモータ(以下、ACGスタータモータ)が知られている(例えば、特許文献1)。
クランキング時、バッテリ電圧によってACGスタータが駆動されるため、ACGスタータモータの三相コイルは、バッテリ電圧によってクランキング可能なトルクを発生可能なインダクタンス値に設定される。しかし、電装品が少なく、バッテリ容量が小さい車両にACGスタータモータを搭載する場合、インダクタンス値が大きく、発電フリクションの増加や、充電過多の可能性があり、改善が望まれる。
特願2010-223135号公報
本発明は、三相コイルのインダクタンス値が小さいACGスタータモータの使用を可能にすることを目的とする。
本発明は、前記の目的を達成する一手段として、以下の構成を備える。
請求項1の発明によれば、三相コイルを有し、エンジン(E)のクランキングと三相交流電力の発電を行う発電スタータモータ(70)と、前記発電スタータモータが発電した電力によって充電されるバッテリ(141)と、前記三相コイルと前記バッテリの正極の間の通電状態を切り替えるための三相分の第一のスイッチング素子(101-103)、および、前記三相コイルと前記バッテリの負極の間の通電状態を切り替えるための三相分の第二のスイッチング素子(104-106)を備えるドライバ(100)と、前記ドライバを制御して、前記発電スタータモータを用いる始動制御および充電制御を行う制御部(30)とを有する三相交流発電スタータ装置において、前記ドライバと前記バッテリの間に蓄電手段(140)を有し、前記制御部は、前記バッテリの電圧が前記三相コイルに直列に印加されるように、前記第一のスイッチング素子の一相分または二相分を通電状態に切り替え、かつ、非通電状態の前記第一のスイッチング素子の相に対応する一相分または二相分の前記第二のスイッチング素子を通電状態に切り替える第一の状態と、前記第一および第二のスイッチング素子を非通電状態に切り替えて、前記第一の状態において前記三相コイルに蓄えられた磁気エネルギを前記第一および第二のスイッチング素子と並列に設けられたダイオードを通して前記蓄電手段に蓄える第二の状態とを前記エンジン(E)が停止している状態で繰り返して、前記蓄電手段に前記バッテリの電圧よりも高い電圧で電荷を蓄え、前記蓄電手段に蓄えた電荷を前記始動制御に利用する。
請求項2の発明によれば、さらに、前記蓄電手段の負側端子とグラウンドの間の通電状態を切り替える第一の充電スイッチ(127)、および、前記蓄電手段の負側端子と前記バッテリの正極の間の通電状態を切り替える放電スイッチ(125)を有し、前記制御部は、前記蓄電手段の蓄電時、前記第一の充電スイッチを通電状態、前記放電スイッチを非通電状態とし、前記始動制御において、前記第一の充電スイッチを非通電状態、前記放電スイッチを通電状態として、前記蓄電手段と前記バッテリを直列接続する。
請求項3の発明によれば、さらに、前記ドライバと前記バッテリの正極の間の通電状態を切り替える第二の充電スイッチ(123)を有し、前記制御部は、前記第一の状態において、前記第一の充電スイッチを非通電状態、前記第二の充電スイッチを通電状態として、前記バッテリから前記ドライバに向う電流の流れを許容し、前記第二の状態において、前記第一の充電スイッチを通電状態、前記第二の充電スイッチを非通電状態として、前記ドライバから前記蓄電手段に向う電流の流れを許容する。
請求項4の発明によれば、前記第一の状態と前記第二の状態の繰り返しは前記エンジンの停止時に行われる。
請求項5の発明によれば、前記蓄電手段は、前記エンジンの回転により前記発電スタータモータが発電した電力を蓄える。
請求項6の発明によれば、さらに、人力によって前記発電スタータモータを回転可能なキックペダル(33)と、前記バッテリの電力による前記制御部の駆動が不可能な場合、前記ドライバと前記蓄電手段の間および前記ドライバと前記バッテリの間を非通電状態とし、前記ドライバと前記制御部の間を通電状態にするバイパススイッチ(108)とを有する。
請求項1の発明によれば、バッテリ電圧よりも高い電圧で発電スタータモータを駆動することができ、三相コイルのインダクタンス値を低めに設定することができる。また、三相コイルを直列に使用することで高いインダクタンス値によって昇圧することができ、第一の状態と第二の状態を切り替えるスピードを比較的低めに設定して、昇圧に伴うスイッチング損失を軽減することができる。
請求項2の発明によれば、バッテリ電圧よりも充分に高い電圧で発電スタータモータを駆動することができる。
請求項3の発明によれば、蓄電手段およびバッテリを効果的に充電することができる。
請求項4の発明によれば、エンジンが停止している時間を有効に利用することができる。
請求項5の発明によれば、蓄電手段を効果的に充電することができる。
請求項6の発明によれば、キックペダルの操作によって発電される電力が、充電が不充分なバッテリや蓄電手段に吸収されることなく、エンジンを効果的に始動することができる。
鞍乗型車両の一種であるスクータ型自動二輪車の側面図。 図1のA-A断面図。 ACGスタータモータの制御回路を示す回路図。 エンジンの始動時および再始動時に制御回路に流れる電流を示す図。 アイドリング中および走行時に制御回路に流れる電流を示す図。 エンジン始動前およびIS中に制御回路に流れる電流を示す図。
以下、本発明にかかる実施例の三相交流発電スタータ装置を図面を参照して詳細に説明する。
[自動二輪車の構成]
図1は鞍乗型車両の一種であるスクータ型自動二輪車(以下、自動二輪車)の側面図である。なお、以下の説明において、自動二輪車の進行方向が前方であり、左右に一つずつ対称的に備わる機構や構成の参照符号には左を示す「L」、右を示す「R」を付す場合がある。
自動二輪車10の車体前部と車体後部は低床フロア部14を介して連結されている。車体フレームは、概ねダウンチューブ16とメインパイプ17から構成され、メインパイプ17の上方にはシート18が配置される。
操舵ハンドル21は、ヘッドパイプ15に軸支されて上方に延伸し、一方の下方側には、前輪WFを回転自在に軸支するフロントフォーク22が取り付けられている。ハンドル21の上部には、計器盤を兼ねたハンドルカバー23が取り付けられている。また、ヘッドパイプ15の前方には、エンジン始動制御機能および充電制御機能を備える電子制御ユニット(ECU)30が配設されている。また、図1には示さないが、操舵ハンドル21には、後述する第一および第二のスイッチ111、113を有するメインスイッチであるシリンダ錠とスタータスイッチ114が取り付けられている。
ダウンチューブ16の後端、かつ、メインパイプ17の立ち上がり部に突設されたブラケット25には、スイングユニット20のハンガーブラケット28がリンク部材26を介して揺動自在に支持されている。
スイングユニット20の前部には、例えば4サイクル単気筒のエンジンEが配設されている。エンジンEの後方には無段変速機31が配設され、減速機構19の出力軸には後輪WRが軸支されている。減速機構19の上端とメインパイプ17の屈曲部の間にはリヤショックユニット13が介装されている。スイングユニット20の上方には、エンジンEから延出した吸気管29に接続される燃料噴射装置のスロットルボディ32およびエアクリーナ24が配設されている。
●スイングユニット
図2は、図1のA-A断面図である。スイングユニット20は、車幅方向右側の右ケース75および車幅方向左側の左ケース76から構成されるクランクケース74を有する。クランク軸51は、クランクケース70に固定された軸受53、54により回転自在に支持されている。クランク軸51には、クランクピン52を介してコンロッド73が連結されている。
左ケース76は変速室ケースを兼ね、クランク軸51の左端部には、可動側プーリ半体60と固定側プーリ半体61とからなるベルト駆動プーリが取り付けられている。固定側プーリ半体61は、クランク軸51の左端部にナット77によって締結されている。また、可動側プーリ半体60は、クランク軸51にスプライン嵌合されて軸方向に摺動可能とされる。両プーリ半体60、61の間には、Vベルト62が巻き掛けられている。
可動側プーリ半体60の右側では、ランププレート57がクランク軸51に固定されている。ランププレート57の外周端部に取り付けられたスライドピース58は、可動側プーリ半体60の外周端で軸方向に形成されたランププレート摺動ボス部59に係合されている。また、ランププレート57の外周部には、径方向外側に向かうにつれて可動側プーリ半体60寄りに傾斜するテーパ面が形成されており、このテーパ面と可動側プーリ半体60との間に複数のウェイトローラ63が収容されている。
クランク軸51の回転速度が増加すると、遠心力によってウェイトローラ63が径方向外側に移動する。これにより、可動側プーリ半体60が図示左方に移動して固定側プーリ半体61に接近し、その結果、両プーリ半体60、61間に挟まれたVベルト62が径方向外側に移動してその巻き掛け径が大きくなる。
スイングユニット20の後方側には、両プーリ半体60、61に対応してVベルト62の巻き掛け径が可変する被動プーリ(不図示)が設けられている。エンジンEの駆動力は、上記ベルト伝達機構によって自動調整され、図示しない遠心クラッチおよび減速機構19(図1参照)を介して後輪WRに伝達される。
右ケース75の内部には、ACGスタータモータ70が配設されている。ACGスタータモータ70は、クランク軸51の先端テーパ部に取付ボルト81によって固定されたアウタロータ(回転子)71と、アウタロータ71の内側に配設されて右ケース75に取付ボルト82によって固定されたステータ(固定子)72から構成される。アウタロータ71に対して取付ボルト67によって固定される送風ファン65の図示右方側には、ラジエータ68および複数のスリットが形成されたカバー部材69が取り付けられている。
クランク軸51には、ACGスタータモータ70と軸受54の間に、図示しないカムシャフトを駆動するカムチェーンが巻き掛けられるスプロケット55が固定されている。また、スプロケット55は、エンジンオイルを循環させるオイルポンプ(不図示)に動力を伝達するギヤ56と一体的に形成されている。
また、ACGスタータモータ70のアウタロータ71は、図1に示すキックペダル33を用いて、人力により回転可能である。
[制御回路]
図3はACGスタータモータ70の制御回路を示す回路図である。
ACGスタータモータ70のステータ72に巻回された各相の巻線は、全波整流器および三相分の半導体スイッチング素子101-106を有するドライバ100のU端子、V端子、W端子に接続される。半導体スイッチング素子101-103のドレイン電極はドライバ100のP端子に接続され、半導体スイッチング素子104-106のソース電極はドライバ100のN端子に接続され、P端子とN端子の間には整流時のリプルを平滑するための電解キャパシタ107が接続される。なお、図3には、半導体スイッチング素子として電界効果型トランジスタ(FET)を使用する例を示し、半導体スイッチング素子(FET)101-106に並列に記載する寄生ダイオードが全波整流器として機能する。
ドライバ101のN端子およびバッテリ141の負極はグラウンドに接続される。
ドライバ100のP端子は、リレー108を介して、FET121のドレイン電極に接続され、FET121のソース電極はダイオード122を介してバッテリ141の正極に接続される。また、P端子は、リレー108を介して、FET123のソース電極に接続され、FET123のドレイン電極はダイオード124を介してバッテリ141の正極に接続される。
FET121のドレイン電極およびFET123のソース電極は、比較的静電容量が大きいキャパシタ(SC)140の一方の端子(正側端子)に接続される。SC140の他方の端子(負側端子)は、FET125のソース電極に接続され、FET125のドレイン電極はダイオード126を介してバッテリ141の正極に接続される。また、SC140の他方の端子は、FET127のドレイン電極に接続され、FET127のソース電極は抵抗128およびダイオード129を介してグラウンドに接続される。
FET121、123、125、127は、許容する充電電流または放電電流の流れに応じて通電状態または非通電状態に切り替えられるスイッチであり、以下では、これらFETを「充電スイッチ」「放電スイッチ」「充放電スイッチ」と呼ぶ場合がある。例えば「充放電スイッチ中のFET121を通電状態にする」という表現は、FET121を通電状態にして、他の充放電スイッチ(この例ではFET123、125、127)を非通電状態にすることである。
リレー108の用途は後述するが、図3に示すリレー108の開閉状態は、ECU(制御部)30によってリレー108がオンされている状態である。リレー108がオフになると開閉状態が切り替わり、ノーマルクローズ(NC)側の電極が閉状態になる。リレー108のNC側の電極の一方の端子はドライバ101のP端子に接続され、他方の端子はダイオード109、ヒューズ110、第一のスイッチ111を介して燃料噴射点火系に接続される。
また、バッテリ141の正極は、ダイオード130、ヒューズ110、第一のスイッチ111を介して燃料噴射点火系に接続されるとともに、ヒューズ112、第二のスイッチ113を介して燃料噴射点火系以外の通常負荷に接続される。なお、制御部30も燃料噴射点火系の一部としてバッテリ141から電力が供給される。
制御部30は、各FETのゲート電極にスイッチング信号を供給し、各FETの導通と非導通を制御する。上記では、SC140としてキャパシタを用いる例を説明したが、キャパシタの代わりに小型のバッテリを用いることもできる。
エンジンEの始動制御の詳細は特許文献1に記載されているので省略するが、制御部30は、スタータスイッチ114がオンされると、FET101-106にスイッチング信号を供給してバッテリ141の直流電力を三相交流電力に変換し、三相交流電力をACGスタータモータ70に供給してACGスタータモータ70を回転させ、エンジンEを始動する。
また、制御部30は、信号待ちなどの停車時に所定条件が満たされるとエンジンEを一旦停止するアイドルストップ制御(以下、IS制御)を行う。IS制御の開始条件は、例えば、図示しないIS制御許可スイッチがオン、図示しないシートスイッチにより乗員の着座が検出され、車速が所定値(例えば5km/h)以下、エンジン回転数が所定値(例えば2000rpm)以下、スロットル開度が所定値(例えば五度)未満の状態が所定時間継続した場合などである。制御部30は、IS制御によってエンジンEを停止した後、スロットル開度が所定値以上になると、エンジンEを再始動する。
以下では、エンジンEの始動時、アイドリング中および走行時、始動前およびアイドルストップ(以下、IS)中それぞれについて、ACGモータスタータ70、ドライバ101、SC140、バッテリ141の間を流れる電流に基づき制御回路の動作を説明する。
図4はエンジンEの始動時および再始動時に制御回路に流れる電流ISを示す図である。エンジンEの始動時、制御部30は、ドライバ101の各FET101-106にスイッチング信号を供給するほか、図4に円で示すように充放電スイッチ中のFET125を通電状態にして、バッテリ141とSC140を直列接続する。その結果、バッテリ141の電圧(以下、バッテリ電圧)VbにSC140に蓄電された電荷に応じた電圧Vcを加えた電圧Vb+Vcがドライバ100のP端子とN端子の間に印加される。
Vb + Vc = Vb + Q/C …(1)
ここで、QはSC140に蓄電された電荷Q、
CはSC140の静電容量。
SC140に電荷Qを蓄電する方法は後述するが、バッテリ電圧Vbよりも電圧Vc分、高い電圧によってACGスタータモータ70を駆動することができる。従って、クランキング可能なトルクを発生させるための、ACGスタータモータ70の三相コイルのインダクタンス値を小さくすることができる。
図5はアイドリング中および走行時に制御回路に流れる電流を示す図である。
アイドリング中および走行時、制御部30は、ドライバ101の各FET101-106にスイッチング信号を供給して公知の充電制御を行うほか、図5に円で示すように充放電スイッチ中のFET121と127を通電状態にする。その結果、ドライバ100からFET121とダイオード122を介してバッテリ141に充電電流IBCが流れ、また、ドライバ100からFET127とダイオード129を介して充電電流ISCがSC140に流れる。なお、充電電流ISCの値は抵抗128によって制限される。勿論、燃料噴射点火系および通常負荷には、ドライバ100からFET121とダイオード122を介して、および/または、バッテリ141から負荷電流ILが流れる。
図6はエンジン始動前およびIS中に制御回路に流れる電流を示す図である。なお、エンジン始動前およびIS中においても負荷電流ILが流れるが、図6には負荷電流ILの記載を省略する。
エンジン始動前およびIS中、制御部30は、図6に実線の円で示すように、充放電スイッチ中のFET123を通電状態、ドライバ100のFET101、102および106を通電状態、ドライバ100のFET103、104および105を非通電状態にする。これにより、図6に太実線で示すように、バッテリ141からP端子を経てACGスタータモータ70のU相およびV相巻線に電流が流れ込み、W相巻線から流れ出した電流がN端子を経てバッテリ141に戻る電流路が形成され、ACGスタータモータ70の三相コイルに磁気エネルギが蓄積される(磁気エネルギ蓄積状態)。
次に、制御部30は、図6に破線の円で示すように、充放電スイッチ中のFET127を通電状態、ドライバ100のFET101-106をすべて非通電状態にする。これにより、ACGスタータモータ70の三相コイルに蓄積された磁気エネルギによって三相コイルに電圧が誘起される。そして、図6に太破線で示すように、W相巻線からFET103の寄生ダイオードとP端子を経てSC140に電流が流れ込み、SC140からFET127、抵抗128およびダイオード129、N端子、FET104と105の寄生ダイオードを経てU相およびV相巻線に戻る電流路が形成され、SC140に電荷Qが蓄電される(電荷蓄電状態)。
なお、磁気エネルギは、三相すべてのコイルに蓄積されるのではなく、何れか二相のコイルに選択的に蓄積されてもよい。例えば、充放電スイッチ中のFET123を通電状態、ドライバ100のFET101、106を通電状態、ドライバ100のFET103、104、105を非通電としてもよい。三相のコイルすべてに通電するよりも、二相のコイルに通電する方が昇圧時のインダクタンス値をより高くすることができる。すなわち、バッテリ141の電圧が三相コイルに直列に印加される状態とは、磁気エネルギが三相のコイルすべてに蓄積される状態ではなく、何れか二相のコイルに蓄積される状態を含む。
制御部30は、第一の状態である磁気エネルギ蓄積状態と第二の状態である電荷蓄電状態を繰り返して、SC140にバッテリ電圧Vbよりも高い電圧Vcで電荷を蓄える。
図6には、磁気エネルギ蓄積状態においてFET101、102および106を通電状態にして三相コイルに磁気エネルギを蓄える例を示したが、通電状態にするFETはこの例に限らない。つまり、バッテリ電圧Vbが三相コイルに直列に印加されるように、第一のスイッチング素子であるFET101-103の一相分または二相分を通電状態とし、かつ、第二のスイッチング素子であるFET104-106のうち、非通電状態の第一のスイッチング素子の相に対応する第二のスイッチング素子を通電状態にすればよい。例えば、磁気エネルギ蓄積状態は、FET103、104および105を通電状態にする、あるいは、FET101、103および105を通電状態にする、でもよい。
また、磁気エネルギ蓄積状態において、FET127のソース電極側に接続されたダイオード129によりSC140とACGスタータモータ70の三相コイルを通る電流路が形成されることはない。従って、磁気エネルギ蓄積状態におけるFET127の非通電状態は必須ではない。しかし、磁気エネルギ蓄積状態においてFET127を通電状態にすると、磁気エネルギ蓄積状態の間、SC140の電圧がほぼバッテリ電圧Vbに固定され、SC140の蓄電による昇圧効率が低下する。そのため、磁気エネルギ蓄積状態においてはFET127を非通電状態にすることが好ましい。
同様に、電荷蓄電状態において、FET123のドレイン電極に接続されたダイオード124によりバッテリ141を通る電流路が形成されることはない。従って、電荷蓄電状態におけるFET123の非通電状態は必須ではない。
また、三相コイルを直列に使用することで高いインダクタンス値によって昇圧することで、磁気エネルギを比較的多く蓄積することができ、磁気エネルギ蓄積状態と電荷蓄電状態を切り替えるスピードを比較的低めに設定して昇圧に伴うスイッチング損失を軽減することができる。
[リレーの用途]
前述したように、図3などに示すリレー108の開閉状態は、制御部30によってリレー108がオンされている場合の開閉状態を示し、リレー108がオフになると開閉状態が切り替わり、ノーマルクローズ(NC)側の電極が閉状態になる。
つまり、バッテリ電圧Vbが制御部30が動作しない電圧以下に低下すると、メインスイッチ113が閉状態になっても、制御部30によってリレー108はオンされない。その結果、ドライバ100のP端子は、リレー108のNC側の電極、ダイオード109、ヒューズ110、メインスイッチ111を介して制御部30を含む燃料噴射点火系に接続された状態になる。
また、前述したように、ACGスタータモータ70のアウタロータ71は、図1に示すキックペダル33を用いて、人力により回転可能である。従って、バッテリ141の電力による制御部30の駆動が不可能な場合、リレー108は、ドライバ100からSC140とバッテリ141の間を非通電状態にし、ドライバ100と制御部30の間を通電状態にするバイパススイッチとして機能する。つまり、スタータスイッチ114をオンにしてもエンジンEが始動されない場合、乗員は、キックペダル33の操作によってACGスタータモータ70を回転させる。この操作によりACGスタータモータ70が交流電力を発電し、その交流電力をドライバ100が整流した直流電力が制御部30を含む燃料噴射点火系に供給されることで、エンジンEの始動が可能になる。
このように、エンジン始動前およびIS中、制御部30は、磁気エネルギ蓄積状態と電荷蓄電状態のスイッチングを繰り返して、SC140にバッテリ電圧Vbよりも高い電圧Vcで電荷Qを蓄電する。そして、エンジン始動時および再始動時、蓄電した電荷を利用するために、各充放電スイッチを図4に示した通電状態または非通電状態にすることで、バッテリ電圧VbよりもSC140に蓄電された電圧Vc分、高い電圧によってACGスタータモータ70を駆動する。従って、駆動電圧が高い分、クランキング可能なトルクを発生させるための、ACGスタータモータ70の三相コイルのインダクタンス値を小さくすることができ、三相コイルのインダクタンス値が小さいACGスタータモータの使用が可能になる。
[変形例]
上記の実施例においては、ACGスタータモータ70のアウタロータ71の位置を検出する検出部を備えれば、前記検出部によって三相コイルのうちアウタロータ71が最も回転し難いコイルを選択することができる。そして、選択したコイルに、磁気エネルギ蓄積状態におけるバッテリ電圧Vbの印加を行う。
あるいは、検出したロータ位置に基づき、三相コイルのうち最も磁束が高くなるコイルを選択して、選択したコイルに、磁気エネルギ蓄積状態におけるバッテリ電圧Vbの印加を行う。
30 … 制御部、70 … ACGスタータモータ、100 … ドライバ、140 … キャパシタ、141 … バッテリ

Claims (6)

  1. 三相コイルを有し、エンジン(E)のクランキングと三相交流電力の発電を行う発電スタータモータ(70)と、
    前記発電スタータモータが発電した電力によって充電されるバッテリ(141)と、
    前記三相コイルと前記バッテリの正極の間の通電状態を切り替えるための三相分の第一のスイッチング素子(101-103)、および、前記三相コイルと前記バッテリの負極の間の通電状態を切り替えるための三相分の第二のスイッチング素子(104-106)を備えるドライバ(100)と、
    前記ドライバを制御して、前記発電スタータモータを用いる始動制御および充電制御を行う制御部(30)とを有する三相交流発電スタータ装置において、
    前記ドライバと前記バッテリの間に蓄電手段(140)を有し、前記制御部は、
    前記バッテリの電圧が前記三相コイルに直列に印加されるように、前記第一のスイッチング素子の一相分または二相分を通電状態に切り替え、かつ、非通電状態の前記第一のスイッチング素子の相に対応する一相分または二相分の前記第二のスイッチング素子を通電状態に切り替える第一の状態と、
    前記第一および第二のスイッチング素子を非通電状態に切り替えて、前記第一の状態において前記三相コイルに蓄えられた磁気エネルギを前記第一および第二のスイッチング素子と並列に設けられたダイオードを通して前記蓄電手段に蓄える第二の状態とを前記エンジン(E)が停止している状態で繰り返して、前記蓄電手段に前記バッテリの電圧よりも高い電圧で電荷を蓄え、
    前記蓄電手段に蓄えた電荷を前記始動制御に利用する三相交流発電スタータ装置。
  2. さらに、前記蓄電手段の負側端子とグラウンドの間の通電状態を切り替える第一の充電スイッチ(127)、および、前記蓄電手段の負側端子と前記バッテリの正極の間の通電状態を切り替える放電スイッチ(125)を有し、前記制御部は、
    前記蓄電手段の蓄電時、前記第一の充電スイッチを通電状態、前記放電スイッチを非通電状態とし、
    前記始動制御において、前記第一の充電スイッチを非通電状態、前記放電スイッチを通電状態として、前記蓄電手段と前記バッテリを直列接続する請求項1に記載された三相交流発電スタータ装置。
  3. さらに、前記ドライバと前記バッテリの正極の間の通電状態を切り替える第二の充電スイッチ(123)を有し、前記制御部は、
    前記第一の状態において、前記第一の充電スイッチを非通電状態、前記第二の充電スイッチを通電状態として、前記バッテリから前記ドライバに向う電流の流れを許容し、
    前記第二の状態において、前記第一の充電スイッチを通電状態、前記第二の充電スイッチを非通電状態として、前記ドライバから前記蓄電手段に向う電流の流れを許容する請求項2に記載された三相交流発電スタータ装置。
  4. 前記第一の状態と前記第二の状態の繰り返しは前記エンジンの停止時に行われる請求項1から請求項3の何れか一項に記載された三相交流発電スタータ装置。
  5. 前記蓄電手段は、前記エンジンの回転により前記発電スタータモータが発電した電力を蓄える請求項1から請求項3の何れか一項に記載された三相交流発電スタータ装置。
  6. さらに、人力によって前記発電スタータモータを回転可能なキックペダル(33)と、
    前記バッテリの電力による前記制御部の駆動が不可能な場合、前記ドライバと前記蓄電手段の間および前記ドライバと前記バッテリの間を非通電状態とし、前記ドライバと前記制御部の間を通電状態にするバイパススイッチ(108)とを有する請求項1から請求項5の何れか一項に記載された三相交流発電スタータ装置。
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