JP6433252B2 - シール付転がり軸受 - Google Patents

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この発明は、軌道輪に取り付けられたシールリングを備えるシール付転がり軸受に関する。
転がり軸受では、内外の軌道輪間の空間である軸受内部に、転動体と内外の軌道面の接触箇所が存在する。軸受内部には、潤滑油を継続的に供給することが要求される。その潤滑油が軸受外部へ漏洩する事態を抑制するため、シールリングが軌道輪に取り付けられている。従来、軸受内部に潤滑油を供給する方式として、油浴潤滑が利用されている。油浴潤滑では、金属摩耗粉、剥離片等の異物が、軸受外部に貯留された潤滑油に混じり得る。このような事態が起こり得る軸受使用環境として、例えば、各種建設機械等の油圧ポンプ内の軸受装置が挙げられる。
特許文献1に開示されたシール付転がり軸受は、シールリングに軸方向に通された開口部を形成し、その開口部に濾過用のフィルタ部材を固定することによって、シールリングにフィルタを設けたものである。軸受外部に貯留された潤滑油は、そのフィルタ経由で軸受内に供給される。この際、フィルタが異物を捕捉する。この種のシール付転がり軸受は、軌道面や転動面が異物で損傷する事態を防止することができる。
特開平6−323335号公報
特許文献1のシールリングは、メッシュ状のフィルタ部材を採用しているが、そのメッシュ形状やメッシュサイズについて具体的に開示するものでない。
本願発明者がシールリングに設けるフィルタ形態について実験による検討を行ったところ、単純な平面状のメッシュフィルタでは、潤滑油中の異物によりフィルタの目詰まりが発生し、軸受内への潤滑油の供給が不足し、軸受寿命の低下や温度上昇を招くことになることが分かった。また、その目詰まりを防止するために目のサイズを大きくしてフィルタを粗くしてしまうと、異物の捕捉性能が低下し、軸受内への異物侵入が容易になり、軸受寿命の低下を招くことも分かった。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、シールリングに設けるフィルタを粗くすることなく、目詰まりを防止することにある。
上記の課題を達成する第1の発明は、第1の軌道輪と、第2の軌道輪と、前記第1の軌道輪及び前記第2の軌道輪間に介在する転動体と、前記第1の軌道輪に取り付けられたシールリングと、軸受内部へ供給される潤滑油を濾過するフィルタとを備えており、前記フィルタが、前記シールリングに設けられているシール付転がり軸受において、前記フィルタが、前記シールリングに通された複数の濾過孔によって形成されており、前記シールリングに形成された軸受外部側の表面のうち、前記濾過孔を囲む孔周囲部が、軸受外部の方に向かって突出している構成を採用したものである。
第1の発明のように、シールリングに通された複数の濾過孔によってフィルタを形成すれば、シールリングの軸受外部側の表面により、濾過孔の入口(すなわち、フィルタの目)付近を立体的に形成することが可能である。ここで、濾過孔を囲む孔周囲部が軸受外部の方に向かって突出している立体形状を採用すれば、潤滑油に混ざった異物が濾過孔の入口を通過できない大きさの場合、異物は濾過孔に侵入することなく、孔周囲部に引っ掛かってフィルタに捕捉され、その後、軸受外部側に流される。また、シールリングの孔周囲部以外の表面部分へ向かった異物の中には、当該表面部分に沿って流れる潤滑油によって濾過孔の方へ流されるものもあり得る。この異物は、軸受外部の方へ突出している孔周囲部に邪魔されて濾過孔の入口へ向かうことができない。このように、第1の発明は、フィルタを粗くすることなく、目詰まりを防止することができる。
好ましくは、前記孔周囲部が、軸受外部の方に向かって先細なテーパ状に突出しているとよい。孔周囲部が軸受外部の方に向かって先細なテーパ状に突出していると、引っ掛かった異物は、そのテーパ状によって傾き、濾過孔の入口から脇へより外れ易くなるので、特に異物が濾過孔の入口を塞ぐ状態に滞留し難い。なお、前記テーパ状は、円すい、三角すい、四角すい等、異物が滞留しにくい形状であれば良いが、濾過孔の入口から脇へより外れ易くするため、円すい形状がより好ましい。
また、前記濾過孔の孔内が軸受外部側から内部側に向かって広くなるテーパ状になっていることも好ましい。このような濾過孔にすると、入口を通過できた異物が孔内で詰まり難くなる。
上記の課題を達成する第2の発明は、第1の軌道輪と、前記第1の軌道輪に対して回転する第2の軌道輪と、前記第1の軌道輪及び前記第2の軌道輪間に介在する転動体と、前記第1の軌道輪に取り付けられたシールリングと、軸受内部へ供給される潤滑油を濾過するフィルタとを備えており、前記第2の軌道輪が内輪からなり、前記フィルタが、前記シールリングに設けられているシール付転がり軸受において、前記第2の軌道輪に取り付けられ、前記シールリングとの間にラビリンスシールを形成する環状部材をさらに備えており、前記環状部材が、前記潤滑油の前記フィルタへの接近を邪魔する流れを前記回転に伴って起こすように軸受外部の方へ突き出た外周部を有している構成を採用したものである。
第2の発明によれば、第2の軌道輪(すなわち内輪)に取り付けられた環状部材は、第1の軌道輪に取り付けられたシールリングとの間にラビリンスシールを形成するため、シールリングの近くに配置される。したがって、第2の軌道輪が第1の軌道輪に対して回転することに伴って、第2の軌道輪に取り付けられた環状部材は、シールリングの近くで回転することになる。潤滑油が回転する環状部材に接すると、シールリングの近くで遠心力による送り作用を受ける。環状部材に軸受外部の方へ突き出た外周部があれば、遠心力によって送られた潤滑油をシールリングから離れる方へ向けることが可能である。このような流れで潤滑油のフィルタへの接近を邪魔すれば、潤滑油に混ざった異物がフィルタの目に押し込まれ難くなる。このため、第2の発明は、フィルタを粗くすることなく、目詰まりを防止することができる。
上記の課題を達成する第3の発明は、第1の軌道輪と、前記第1の軌道輪に対して回転する第2の軌道輪と、前記第1の軌道輪及び前記第2の軌道輪間に介在する転動体と、前記第1の軌道輪に取り付けられたシールリングと、軸受内部へ供給される潤滑油を濾過するフィルタとを備えており、前記フィルタが、前記シールリングに設けられているシール付転がり軸受において、前記第2の軌道輪に取り付けられ、前記シールリングとの間にラビリンスシールを形成する環状部材をさらに備えており、前記環状部材が、前記第2の軌道輪の回転に伴って軸受外部側で当該フィルタに接する前記潤滑油の渦を起こす翼部を有している構成を採用したものである。
第3の発明によれば、第2の軌道輪に取り付けられた環状部材は、第1の軌道輪に取り付けられたシールリングとの間にラビリンスシールを形成するため、シールリングの近くに配置される。したがって、第2の軌道輪が第1の軌道輪に対して回転することに伴って、第2の軌道輪に取り付けられた環状部材は、シールリングの近くで回転することになる。環状部材に翼部を作れば、その回転に伴って、軸受外のフィルタの近くで潤滑油を攪拌することができ、これにより、フィルタに接する潤滑油の渦を起こすことが可能である。この渦がフィルタの目から異物を流す作用を奏する。このため、第3の発明は、フィルタを粗くすることなく、目詰まりを防止することができる。
上記の課題を達成する第4の発明は、第1の軌道輪と、第2の軌道輪と、前記第1の軌道輪及び前記第2の軌道輪間に介在する転動体と、前記第1の軌道輪に取り付けられたシールリングと、軸受内部へ供給される潤滑油を濾過するフィルタとを備えており、前記フィルタが、前記シールリングに設けられているシール付転がり軸受において、前記フィルタが、前記シールリングの半周域内に限って形成されている構成を採用したものである。
第4の発明によれば、シール付転がり軸受をオイルバスに没する態様で油浴潤滑するとき、フィルタのないシールリングの半周域を下側として軸受を設置することができる。一般に、外部のオイルバスに潤滑油を貯留する場合、異物はオイルバスの下側に滞留する。したがって、前述のようにフィルタのない半周域を下側とすれば、異物の比較的少ない潤滑油をシールリングの上側に位置したフィルタ経由で軸受内へ供給することができる。このため、第4の発明は、フィルタの目のサイズを大きくせずとも、フィルタの目詰まりを防止することができる。
上述のように、第1の発明〜第4の発明は、それぞれの構成の採用により、シールリングに設けるフィルタを粗くすることなく、目詰まりを防止することができる。
本願に係る発明の第1実施形態の要部を示す断面図 第1実施形態に係るシールリングの軸受外部側表面における濾過孔付近を示す部分側面図 第1実施形態に係る濾過孔付近の拡大断面図 第1実施形態に係るシールリングにおける濾過孔配置を軸受外部側から示す側面図 軸受寿命と圧痕の大きさの関係を示す試験結果のグラフ 圧痕の大きさと濾過孔の大きさの関係を示す試験結果のグラフ 本願に係る発明の第2実施形態の要部を示す断面図 本願に係る発明の第3実施形態の要部を示す断面図 第3実施形態に係る環状部材における翼部配置を軸受外部側から示す側面図 本願に係る発明の第4実施形態の要部を示す断面図
本願に係る発明の第1実施形態を添付図面に基づいて説明する。第1実施形態は、上述の第1の発明及び第4の発明を採用したシール付転がり軸受の一例である。図1に示すように、第1実施形態は、第1の軌道輪1と、第2の軌道輪2と、第1の軌道輪1及び第2の軌道輪2間に介在する転動体3とを備えている。
第1の軌道輪1は、内周に形成された軌道面4を有する外輪になっている。第2の軌道輪2は、外周に形成された軌道面5を有する内輪になっている。図例は、軌道輪1、2及び転動体3として単列の円すいころ軸受を示したが、本願に係る発明は、これに限定されるものでなく、玉軸受、円筒ころ軸受、複列軸受等にも適用可能である。
第1実施形態において、第1の軌道輪1は、ハウジング(図示省略)に支持される静止輪とする。第2の軌道輪2は、回転軸(図示省略)に取り付けられ、第1の軌道輪1に対して回転する回転輪とする。3以上の所定数の転動体3が、軌道面4、5間を公転する。両軌道輪1、2が同心に配置された状態で両軌道輪1、2間に形成された空間のうち、転動体3の通り得る空間が、軸受内部である。軸受内部には、転動体3と軌道輪1、2間の接触面を潤滑するため、潤滑油が供給される。両軌道輪1、2によって径方向に挟まれた空間から外れた空間が、軸受外部である。ここで、軸方向は、同心に配置された両軌道輪1、2の中心軸に沿った方向のことをいい、径方向は、その中心軸に直角な方向のことをいう。
第1実施形態は、第1の軌道輪1に取り付けられたシールリング6をさらに備えている。シールリング6は、軌道輪1、2間に形成された空間である軸受内部を軸受外部に対して区切り、軌道輪1、2の相対回転部において外部からの異物の侵入を抑制する接触シールになっている。第1の軌道輪1は、円筒面状に形成された嵌合面7を有する。シールリング6は、嵌合面7に圧入される外周部8を有する。この圧入により、シールリング6が第1の軌道輪1に取り付けられている。シールリング6は、外周部8を形成した金属環を芯材としている。また、シールリング6は、その芯材の内周部に付着させたエラストマ―製のリップ部9を有している。
第1実施形態は、第2の軌道輪2に取り付けられ、シールリング6との間にラビリンスシールを形成する環状部材10をさらに備えている。環状部材10は、第2の軌道輪2に形成された嵌合面11に対する圧入によって取り付けられている。環状部材10には、シールリング6のリップ部9と滑り接触するシール面が形成されている。リップ部9は、軌道輪2に直接に滑り接触させるようにしてもよい。環状部材10は、シール面から立ち上がった側板部12を有する。側板部12は、リップ部9に対して軸受外部側に位置し、シールリング6との間にラビリンスシールを形成している。ラビリンスシールは、シールリング6と側板部12、および側板部12とリップ部9の側面部19との間からの軸受内部への異物の侵入をラビリンス効果によって減少させる流路になっている。
第1実施形態は、軸受外部から軸受内部へ供給される潤滑油を濾過するフィルタ13をさらに備えている。フィルタ13は、シールリング6に通された複数の濾過孔14によって形成されている。図2、図3に示すように、各濾過孔14は、シールリング6のうち、外周部8及びリップ部9から外れた径方向中間部分を軸方向に貫通している。シールリング6に形成された軸受外部側の表面のうち、濾過孔14を囲む孔周囲部15は、軸受外部の方に向かって先細なテーパ状に突出している。孔周囲部15は、濾過孔14ごとに形成され、当該濾過孔14の入口を規定する先端縁を含む。
フィルタ13は、図4に全ての濾過孔14の配置を示すように、シールリング6の半周域内に限って形成されている。ここで、半周は、軌道輪1、2の軸線C周りでの半周のことをいう。その半周域には、2つ以上の濾過孔14を径方向の一直線上に並べた孔配列部が、軸線C周りの周方向に一定間隔で存在している。濾過孔14は、図のような放射状の網目構造に限定されず、例えば、弦方向に所定数を並べ、弦方向に直角な方向にも所定数を並べたメッシュ状に配置することも可能である。なお、濾過孔14の配置は、シールリング6の半周域内に限る必要はなく、潤滑油中の異物の大きさや量、また、軸受内部への潤滑油の供給量等を勘案して全周域等に配置することもできる。
第1実施形態は、横軸を支持するラジアル軸受であって、軸受外部にオイルバス(図示省略)を配置し、そのオイルバスに貯留された潤滑油にシールリング6の少なくとも下側半周域が没する状態で使用されることを想定している。図中に、貯留された潤滑油の油面OLを描いた。軸線Cを通る図中左右方向の一点鎖線は、シールリング6の下側半周域と上側半周域との境界位置を示している。異物は、油面OLから遠いシールリング6の下側半周域付近に多く滞留し、油面OLに近いシールリング6の上側半周域付近にはあまり滞留しない。第1実施形態は、フィルタ13のないシールリング6の半周域を下側半周域として軸受を設置し、異物の比較的少ない潤滑油をシールリングの上側に位置したフィルタ経由で軸受内へ供給することにより、フィルタ13を粗くすることなく(すなわち、各濾過孔14の入口における最小孔径を大きくすることなく)、フィルタ13の目詰まりを防止することができる。
仮に、油面OL付近の潤滑油に異物が混ざっていたとしても、図1〜図3に示すように孔周囲部15によって規定された濾過孔14の入口を通過できない大きさの異物は、濾過孔14に侵入することなく、軸受外部の方に向かって突出している孔周囲部15の先端縁に引っ掛ってフィルタ13に捕捉され、その後、軸受外部側に流される。また、濾過孔14の入口から脇へ外れた異物が隣の濾過孔14の方へ流された場合や、孔周囲部15以外の表面部分へ向かった異物がいずれかの濾過孔14の方へ流された場合であっても、当該異物は、軸受外部の方へ突出している孔周囲部15に邪魔されて濾過孔14の入口へ向かうことができず、孔周囲部15の脇へ逸れるように流されたり、軸受外部側に流されたりする。したがって、当該異物が濾過孔14の目詰まり原因になることも避けられる。このように、第1実施形態は、孔周囲部15の立体化によって異物が濾過孔14の入口を塞ぐ状態に滞留し難くなるので、フィルタ13を粗くすることなく、目詰まりを防止することができる。
また、孔周囲部15が軸受外部の方に向かって先細なテーパ状の突出面になっているので、孔周囲部15の先端縁に引っ掛った異物は、そのテーパ状によって容易に傾き、孔周囲部15に沿って濾過孔14の入口から脇へ外れ易くなる。このため、第1実施形態は、特に異物が濾過孔の入口を塞ぐ状態に滞留し難くすることができる。
図の孔周囲部15は濾過孔14の入口を先端縁で規定する円錐状のものを示したが、本願に係る発明は、これに限定されるものでなく、三角錐状、四角錐状等、適宜の立体形状にすることが可能である。なお、錐面状の軸線が軸方向に向いている必要性はないが、孔周囲部のどこに異物が引っ掛かっても同じ様な滞留防止性能を得るため、なるべく軸方向に近い向きに設定することが好ましい。
また、濾過孔14の入口における異物の滞留防止を効果的に図る上で、図3に示す開き角度θは、60°〜120°の範囲内に設定することが好ましい。開き角度θは、孔周囲部15におけるテーパ状の開き角度である。より具体的には、軸方向に設定された孔周囲部15の幾何的な中心線を含む切断面において、孔周囲部15の上側母線が当該中心線に対して成す角度と、同下側母線が当該中心線に対して成す角度との合計値が、開き角度θに相当する。開き角度θが60°より小さな角度では、製造が困難であり、また、危険な形状になる。例えば、孔周囲部15を金属板に対するプレス加工で製造する場合、金型製作やプレス加工自体の製造面から60°〜120°が好ましい。また、金属板のプレス品の場合、60°よりも小さな角度では取扱い時に板縁で怪我をする可能性も考えられる。さらに、60°よりも小さな角度では、取扱い時や搬送時に先端縁が変形する可能性も有り得る。逆に、開き角度θが120°よりも大きくなると、異物が容易に孔周囲部15の先端縁から外れ難くなり、フィルタ部分に異物が滞留する可能性が高くなる。
濾過孔14による異物の通過阻止性能そのものは、その最小孔径で決まる。図2、図3に示すように、濾過孔14の孔形状は、概ね丸孔に設定され、濾過孔14の最小孔径d1は、孔周囲部15の先端縁によって規定された入口の孔径として設定されている。濾過孔14の最小孔径d1が大き過ぎると、大きな異物が濾過孔14を通って軸受内部に至るため、軸受の寿命に影響を与える大きな圧痕が軌道面4、5に形成されてしまう。一方、濾過孔14の最小孔径d1が小さ過ぎると、異物で濾過孔14が目詰まりして潤滑油が軸受内部に供給されなくなる恐れがある。
そこで、本願発明者は、次の(1)〜(5)の条件で寿命試験を行い、圧痕の大きさ、濾過孔の最小孔径、軸受寿命の関係性を探った。
(1)試験軸受の形式:円すいころ軸受
(2)軸受主要寸法(軸受内径、軸受外径、軸受幅):φ30mm×φ62mm×17.25mm
(3)ラジアル荷重:17.65kN
(4)アキシャル荷重:1.47kN
(5)軸回転速度:2000min-1
図5は、圧痕の大きさを横軸に取り、圧痕無し時の軸受寿命を1としたときの比率(寿命比)を縦軸に取ったグラフである。図6は、濾過孔の最小孔径を横軸に取り、圧痕の大きさを縦軸に取ったグラフである。図5より、圧痕の大きさが1mmを超えると軸受寿命が急激に低下し、1.2mm〜1.3mm程度で寿命比は1.0を下回ることがわかった。一方、図6より、圧痕の大きさが1.3mmになる濾過孔の最小孔径の大きさは、0.7mm程度であることもわかった。したがって、濾過孔の最小孔径の大きさを0.7mm以下にしておけば、軸受の寿命比は1.0を確保でき、軸受寿命の低下を防ぐことが可能であると考えられる。
なお、実際の製品では、図2、図3に示すような濾過孔14の形成に際し、製造上の寸法誤差を許容しなければならない。この寸法誤差は、±0.2mm見込めば製造上の困難がない。最小孔径d1を0.5mm狙いにすると、フィルタ13の各濾過孔14の最小孔径d1は、製造上の困難なく、0.3mm〜0.7mmの範囲内の値に収められる。これにより、0.7mmを超えた異物が濾過孔14を通過することを阻止しつつ、最小孔径d1をなるべく大きくすることができる。したがって、濾過孔14の最小孔径d1は、0.3〜0.7mmの範囲内の値になっていることが好ましい。
一方、軸受内部へ潤滑油が流出する濾過孔14の出口においては、流路断面積を入口よりも大きい関係とすることが好ましい。この関係であれば、濾過孔14から流出する抵抗が少なくなるので、仮に濾過孔14を通過して軸受内部に異物が侵入しても濾過孔14内で異物が滞留する可能性は低くなる。例えば、濾過孔14は、図3に示すように、出口の孔径d2>入口の孔径(最小孔径d1)にすると共に、出口に近い側の孔径を入口に近い側の孔径よりも大きくした孔形状にすることができる。
特に、濾過孔14の孔内は、軸受外部側から内部側に向かって広くなるテーパ状になっていることが好ましい。すなわち、入口の孔径d1から出口の孔径d2まで徐々に孔径が拡大する濾過孔14を採用すると、入口を通過できた異物が濾過孔14内で詰まり難くなる。
孔周囲部15の軸方向の突出量は、上述のように軸受寿命に悪影響を及ぼす0.7mmの異物を濾過孔14の入口から完全に逸らせるようにするため、0.7mmを超えた値にすることが好ましい。
本願に係る発明の第2実施形態を図7に基づいて説明する。第2実施形態は、第1実施形態において、さらに上述の第2の発明を採用したものである。以下、第1実施形態との相違点を述べるに留め、対応の構成要素に同名称、同符号を用いる。図7は、シール付転がり軸受全体を潤滑油に没する状態の油浴潤滑を例示している。このため、シールリング6の上側半周域に存在する濾過孔14も、軸受外部に貯留された潤滑油に浸かっている。
第2実施形態の環状部材10は、側板部12から軸受外部の方へ突き出た外周部20を有している。外周部20は、濾過孔14と径方向に並ぶ位置で環状部材10の全周に亘っており、濾過孔14の入口を軸方向に延長した仮想領域に向かって突出している。したがって、外周部20の全体的な立体形状は、軸受内部の方へ先細な円錐状になっている。図7中に潤滑油の流れを矢線で概念的に示すように、第2の軌道輪2(内輪)が第1の軌道輪1(外輪)に対して回転することに伴って、潤滑油は、第2の軌道輪2と一体に回転する環状部材10の側板部12や外周部20の軸受外部側の表面に接し、遠心力による送り作用を受ける。その結果、潤滑油は、濾過孔14の方へ勢い付けられ、特に側板部12に接した潤滑油は、軸受外部で外周部20にぶつかって向きを変え、シールリング6から離れて濾過孔14の入口延長上へ向かおうとし、濾過孔14の入口へ直進する潤滑油(図中左右方向の矢線)を邪魔する流れになる。このように、外周部20は、潤滑油の濾過孔14の入口(すなわちフィルタの目)への接近を邪魔する流れを起こすため、潤滑油に混ざった異物が濾過孔14の入口に押し込まれ難くなる。したがって、第2実施形態は、フィルタを粗くすることなく、目詰まりを防止することができる。また、外周部20を併用した第2実施形態は、第1実施形態よりも一層、目詰まりを防止することができる。
本願に係る発明の第3実施形態を図8、図9に基づいて説明する。第3実施形態は、第1実施形態において、さらに上述の第3の発明を採用したものである。以下、第1実施形態との相違点を述べるに留め、対応の構成要素に同名称、同符号を用いる。図8、図9も、シール付転がり軸受全体を潤滑油に没する状態の油浴潤滑を例示している。
第3実施形態の環状部材10は、側板部12から径方向に突き出た翼部30を有している。2つ以上の翼部30が周方向に等間隔で配置されている。第2の軌道輪2の回転に伴って、軌道輪2と一体に回転する環状部材10の多数の翼部30は、軸受外部のフィルタ13の近くで潤滑油を回転方向に攪拌し、フィルタ13に接する潤滑油の渦(図9中に矢線で示す渦の様子を示した。)を起こす。この渦がフィルタ13の目から異物を流す作用を奏する。このため、第3実施形態は、フィルタ13を粗くすることなく、目詰まりを防止することができる。また、翼部30を併用した第3実施形態は、第1実施形態よりも一層、目詰まりを防止することができる。
なお、翼部30は、軸方向に面した両翼面の全体を径方向に沿った形状としている。このような両翼面は、側板部12の両側面と同一面を成すので、円環板状の材料部分を外周側から放射状に切り欠く簡単な加工で形成することができる。潤滑油の渦をより強く発生させたい場合、翼部30の回転方向前側の板縁を軸方向に曲げて攪拌性を高めてもよい。
本願に係る発明の第4実施形態を図10に基づいて説明する。第4実施形態は、第1実施形態において、孔周囲部の形状のみを変更したものである。すなわち、第4実施形態のフィルタ40は、濾過孔41を囲む孔周囲部42を円筒状に突出させたものとなっている。このように非テーパ状に突出している孔周囲部42によっても、濾過孔41の入口を通過できない大きさの異物は、濾過孔41に侵入することなく、孔周囲部42に引っ掛かってフィルタ40に捕捉され、その後、軸受外部側に流される。また、シールリング6の孔周囲部42以外の表面部分へ向かった異物は、当該表面部分に沿って濾過孔41の方へ流されたとしても、軸受外部の方へ突出している孔周囲部42に邪魔されて濾過孔41の入口へ向かうことができない。このように、第4実施形態によっても、フィルタを粗くすることなく、目詰まりを防止することができる。
この発明の技術的範囲は、上述の各実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載に基づく技術的思想の範囲内での全ての変更を含むものである。上述した第1の発明〜第4の発明は、1つだけ採用してもよいし、適宜に2つ以上を組み合わせて採用してもよいし、4つ全てを採用してもよい。
1 第1の軌道輪(外輪)
2 第2の軌道輪(内輪)
3 転動体
6 シールリング
10 環状部材
12 側板部
13、40 フィルタ
14、41 濾過孔
15、42 孔周囲部
19 側面部
20 外周部
30 翼部

Claims (2)

  1. 第1の軌道輪と、前記第1の軌道輪に対して回転する第2の軌道輪と、前記第1の軌道輪及び前記第2の軌道輪間に介在する転動体と、前記第1の軌道輪に取り付けられたシールリングと、軸受内部へ供給される潤滑油を濾過するフィルタとを備えており、前記第2の軌道輪が内輪からなり、前記フィルタが、前記シールリングに設けられているシール付転がり軸受において、
    前記第2の軌道輪に取り付けられ、前記シールリングとの間にラビリンスシールを形成する環状部材をさらに備えており、
    前記環状部材が、前記潤滑油の前記フィルタへの接近を邪魔する流れを前記回転に伴って起こすように軸受外部の方へ突き出た外周部を有していることを特徴とするシール付転がり軸受。
  2. 第1の軌道輪と、前記第1の軌道輪に対して回転する第2の軌道輪と、前記第1の軌道輪及び前記第2の軌道輪間に介在する転動体と、前記第1の軌道輪に取り付けられたシールリングと、軸受内部へ供給される潤滑油を濾過するフィルタとを備えており、前記フィルタが、前記シールリングに設けられているシール付転がり軸受において、
    前記第2の軌道輪に取り付けられ、前記シールリングとの間にラビリンスシールを形成する環状部材をさらに備えており、
    前記環状部材が、前記第2の軌道輪の回転に伴って軸受外部側で当該フィルタに接する前記潤滑油の渦を起こす翼部を有していることを特徴とするシール付転がり軸受。
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