つぎに、本発明の一実施の形態について説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限られるものではない。
図1(a)は、本発明の一実施の形態である化粧料容器の、蓋体11が閉じた状態を示す斜視図であり、図1(b)は、蓋体11が途中まで開いた状態を示す斜視図である。この化粧料容器は、化粧料20(この例ではフェイスカラー)を収容する略板状の容器本体10に対し、略板状の蓋体11がスライド自在に取り付けられた構成になっており、それぞれの左右両側の側壁部に設けられたレール状の係合部(図示せず)によって、矢印Pで示すように蓋体11がスライドにより開閉して、容器本体10の上面を露出させることができるようになっている。
上記容器本体10は、透明樹脂成形体からなり、その上面の手前側に、化粧チップ等の化粧用具を収容するための用具用凹部12が設けられ、同じくその奥側に、化粧料20を収容するための化粧料用凹部13が設けられている。
上記化粧料用凹部13内の化粧料20は、容器本体10を上から見た図2(a)に示すように、三色(オレンジ、ピンク、クリームイエロー)の化粧料片14〜16からなり、これらが、互いに同じ幅で規則正しく並んだ状態で金皿17内に収容され、その金皿17が化粧料用凹部13内に収容されている。その結果、化粧料20の表面は、上から見ると、三色のきれいな縞模様になっている。
なお、上記三色の化粧料片14〜16は、図1(a)のA−A′断面を部分的に示す図3に示すように、これらを収容する金皿17の底面17aに対し垂直な境界面を介して互いに隣り合う形で収容されている。したがって、上記化粧料用凹部13内の化粧料20の表面に形成された縞模様は、化粧料20が使用されてすり減っても、上から見ればその縞模様がずっと維持されるようになっている。
上記のように、金皿17内に、三色の、色の異なる化粧料片14〜16を、垂直な境界面を介して互いに隣り合う形で収容する方法は、どのような方法であってもよく、例えば、(1)予め三色の、色の異なる化粧料片14〜16を、小さな板状に賦形しておき、これを並べて金皿17内に収容した後、上からプレスして固定する方法や、(2)金皿17内を塞ぐ大きさの異なる複数の雄型を用意し、この雄型を、大きい方から順次金皿17内に配置して、一層ずつ化粧料片材料の充填・固化を行う方法等があげられる。また、(3)流動性のある状態で各色の化粧料材料を、上記所定の色模様が形成されるよう仕切られた空間内にそれぞれ充填した後、仕切りを除去して固化する方法を用いることもできる。なかでも、上記(1)の方法が、互いの境界面において形が崩れにくいことから好適である。
一方、上記容器本体10の上面を蓋する蓋体11も、透明樹脂成形体からなり、これを上から見た図2(b)に示すように、その上面の略全面に、白色インクを用いたスクリーン印刷によって、白色の着色層18が形成されている。ただし、この着色層18は、蓋体11を閉じた状態で、容器本体10側に収容された化粧料片14〜16のうち、オレンジ色の化粧料片14と対峙する四つの帯状部分には形成されておらず、その四つの未着色部分が、図示のように、それぞれ左右方向に帯状に延びる透明領域21になっている。そして、蓋体11を閉じた状態で、これを上から見ると、各透明領域21から、容器内側の、オレンジ色の化粧料片14による縞だけが見えるため、一見、この蓋体11には、白地にオレンジのストライプが4本入ったデザインが付与されているかのように見える。
そして、上記蓋体11を、図1(b)に示すように、後方にスライド移動させていくと、上記透明領域21の下に位置決めされる化粧料片20の色が、オレンジ(化粧料片14の色)→クリームイエロー(化粧料片16の色)→ピンク(化粧料片15の色)と順次変化していくため、上記「白地にオレンジのストライプ」というデザインにおいて、ストライプの色がつぎつぎと変化する印象となり、興趣に富むものとなる。しかも、手前で引き出された化粧料20は、その表面が、オレンジ、ピンク、クリームイエローの三色の縞模様になっており、そのときの服装や他のメイクアップ化粧料とのバランス等に合わせて、三色のなかから好ましい色の化粧料20を選択して使用することができる。
さらに、上記三色の縞模様を構成する三つの化粧料片14〜16は、これらを収容する金皿17の底面17aに対し、互いに垂直面を介して隣り合っており、金太郎飴のように、厚み方向に同じ縞模様が連続的に形成されているため、使用により化粧料20の表面がすり減っても、上記縞模様が崩れることがなく、蓋体1開閉時の色の変化を、その開閉の都度、長く楽しむことができる。
なお、上記化粧料容器は、蓋体11を閉じた状態のままであっても、その蓋体11に対する目線を前後に動かすか、化粧料容器を手にとって前後に角度を付けるように動かすと、蓋体11をスライドさせたときと同じように、蓋体11の透明領域21から見える化粧料20の色が変わり、あたかもストライプ模様のデザインが変化したかのように見えて、興味深いものとなっている。したがって、店頭において、顧客が手にとって見る際に、その色模様の変化を楽しむことができ、アイキャッチ効果が高い。また、人が容器を直接手にとらなくても、人が化粧料容器のそばを移動するだけで、蓋体11の透明領域21を通して見える容器内の色模様が変化するため、例えば、この化粧料容器を複数個、店頭において、蓋体11に対する目線が変化する方向と、化粧料容器の並ぶ方向とが一致するような配置で通路沿いに並べて陳列しておけば、そばを通る顧客が、化粧料容器に対する目線の角度をつぎつぎと変えながら化粧料容器を見ることになるため、陳列された化粧料容器の模様がつぎつぎと変化して見え、高いアイキャッチ効果を奏する。
このように、蓋体11の開閉動作や目線の角度の変化によって、上記のような視覚的な効果を得るには、化粧料20の表面における縞模様の各縞の幅〔図2(a)においてWで示す〕と、蓋体11の透明領域21の幅〔図2(b)においてYで示す〕および配置を互いに関連付けて設定することが必要であり、上記の例では、三色の化粧料片14〜16による各縞の幅と、透明領域21の幅を、ともに4mmに設定している。また、透明領域21の互いのピッチ〔図2(b)においてZで示す〕は、12mmに設定している。このピッチZは、幅4mmの、3種類の色の異なる縞を、蓋体11開閉時のスライド幅に応じて順次位置決めできるよう考慮したものである。
そして、上記化粧料20の各縞の幅W(透明領域21の幅Yと等しく設定される)は、上記の例に限らず、1〜10mm、なかでも2〜6mmに設定することが好ましい。そして、縞模様として見せる色数、すなわち組み合わせる化粧料片(この例では、化粧料片14〜16の三色)は、化粧料容器の大きさ等にもよるが、通常、2〜8種類、なかでも3〜5種類程度に設定することが好適である。また、上記透明領域21のピッチZは、W(=Y)×色数、として求められる。
また、上記縞模様の変化を効果的に見せるには、蓋体11側に設けられた透明領域21と、化粧料20の表面との垂直距離(図3においてHで示す)も重要である。すなわち、上記垂直距離Hが短すぎると、変化に乏しいものとなるおそれがあり、逆に、上記垂直距離Hが長すぎると、模様の見え方に奥行きがありすぎて模様の変化を捉えにくくなるおそれがあるからである。そして、垂直距離Hが長すぎると、化粧料容器が上下方向に嵩張りすぎることになり、その点においても好ましくない。したがって、上記垂直距離Hは、通常、0.1〜20.0mmに設定することが好適であり、なかでも、目線の角度を変えて模様を変化させる効果をもたせるには、2.0〜7.0mmに設定することがとりわけ好適である。
さらに、蓋体11の透明領域21は、上記の例のように、不透明な着色層18に囲われた帯状領域として形成されるだけでなく、透明な部分と不透明な部分とが交互に並ぶ縞模様において、その不透明な縞と縞の間に挟まれた透明な部分を、透明領域21として用いてもよい。そして、このような透明領域21を得るには、透明な蓋体11の上面の、透明領域21とする以外の部分に不透明な着色層18を、印刷や塗装や転写、金属蒸着等によって着色層を形成することができる。また、透明な縞と不透明な縞とが交互に並ぶ縞模様が形成された着色シートを用意し、これを蓋体11の上面全面に転写もしくは貼付するようにしてもよい。あるいは、蓋体11の上面全体に不透明な着色層18を形成しておき、透明領域21となる部分をレーザ照射等によって除去するようにしてもよい。
そして、上記の例では、容器本体10に対し蓋体11を平行にスライド移動させて開閉するタイプの化粧料容器において、その蓋体がスライドする方向と同じ方向に透明領域21と化粧料20の縞模様が並ぶように設定したが、蓋体11がスライドする方向に対し、透明領域21と化粧料20の縞模様を、斜めに傾斜させると、一層興趣に富むものとなる。
例えば、基本的な構成は上記の例と同様の化粧料容器において、図4(a)に示すように、化粧料20を構成する三種類の、色の異なる化粧料片31〜33(オレンジ、ピンク、クリームイエロー)が、左下から右上に向かって斜め方向に延びた縞模様になっているものを準備する。そして、蓋体11には、図4(b)に示すように、化粧料20の斜めの縞模様に合わせて斜めに延びる四つの透明領域21を形成する。18は、化粧料片31と同じオレンジ色の着色層である。
この化粧料容器は、蓋体11を閉じた状態では、図4(c)に示すように、蓋体11の透明領域21に、化粧料20のうちオレンジ色の化粧料片31が位置決めされ、着色層18のオレンジ色と重なって、蓋体11全体がオレンジ色に見えるようになっている。そして、蓋体11をスライドさせて開くにしたがって、まず、透明領域21にオレンジ色の化粧料片31とピンク色の化粧料片32とが半分ずつ位置決めされると、図4(d)に示すように、細いピンク色のストライプ模様が現れたかのように見える。つぎに、透明領域21にピンク色の化粧料片32が完全に位置決めされると、図5(a)に示すように、ピンク色のストライプの幅が太くなったように見える。
そして、透明領域21に、今度はピンク色の化粧料片32とクリームイエロー色の化粧料片33とが半分ずつ位置決めされると、図5(b)に示すように、ストライプの色が黄色味を帯びて変化し、さらに、図5(c)に示すように、完全にクリームイエロー色のストライプとなる。
これらの変化が規則的に繰り返し、しかも縞模様が左右に延びる場合に比べてゆっくりと変化するため、微妙な変化を視認することができ、より印象深い見え方となる。そして、これらの変化は、前記の例と同様、化粧料容器を閉じた状態においても、蓋体11表面への目線を動かしたり容器自体を動かしたりすることによって、ある程度視認することができ、単なる化粧料容器とは異なる、目新しい印象を与えることができる。
また、上記の例では、色数が三色であるが、デザインによっては、二色であっても大きく変化したかのように見せることができる。例えば、基本的な構成は図4に示す例と同様の化粧料容器において、図6(a)に示すように、化粧料20が、ピンクとオレンジの二色の化粧料片40、41によって構成された斜めの縞模様になったものを準備する。そして、蓋体11には、図6(b)に示すように、化粧料20の斜めの縞模様に合わせて斜めに延びる四つの透明領域からなり、その全体の輪郭が円形に見える第1の透明領域21aと、同じく斜めに延びる四つの透明領域からなり、その全体の輪郭が円形に見える第2の透明領域21bとを形成する。ただし、上記第1の透明領域21aと第2の透明領域21bとは、一部重なっており、その下に位置決めされる化粧料20の縞模様の色が、互いに反対の色になるよう設定されている。18は、白色の着色層である。
この化粧料容器は、蓋体11を閉じると、図6(c)に示すように、蓋体11の第1の透明領域21aに、化粧料20のうちオレンジ色の化粧料片41が位置決めされ、第2の透明領域21bに、ピンク色の化粧料片40が位置決めされるようになっている。したがって、この蓋体11には、白地に、オレンジの円とピンクの円とが一部重なったようなデザインが付与されているように見える。そして、蓋体11を後方にスライド移動させて少し開くと、まず、図6(d)に示すように、第1の透明領域21aと第2の透明領域21bのどちらにも、オレンジ色の化粧料片31とピンク色の化粧料片32とが半分ずつ位置決めされて、どちらも同じ色彩の円に見える。ただし、正確には、第1の透明領域21aにおける二色の配置と、第2の透明領域21bにおける二色の配置とが、互いに左右反対になっている。
つぎに、蓋体11をより後方にスライド移動させると、図7(a)に示すように、第1の透明領域21aにピンク色の化粧料片40が位置決めされ、第2の透明領域21bにオレンジ色の化粧料片41が位置決めされる。したがって、当初見えていた二つの円の配色が、全く反対になり、その印象が大きく変化する。そして、さらに蓋体11を後方にスライド移動させると、図7(b)に示すように、再び、第1の透明領域21aと第2の透明領域21bのどちらにも、オレンジ色の化粧料片31とピンク色の化粧料片32とが半分ずつ位置決めされて、どちらも同じ色彩の円に見える。ただし、図6(d)の場合と色の配置が逆になっている。そして、図7(c)に示すように、第1の透明領域21aにオレンジ色の化粧料片41が位置決めされ、第2の透明領域21bにピンク色の化粧料片40が位置決めされて、図7(a)において見えていた二つの円の配色が、再び反対になり、その印象が大きく変化する。
このように、上記の例では、化粧料20が二色だけで構成されているにもかかわらず、蓋体11に設けられた二つの透明領域21a、21bを通して見える2つの円の色が、蓋体11の開度、目線の角度、あるいは化粧料容器を手に持った角度等によって様々な色合いに見えるため、アイキャッチ効果が高いものとなる。そして、このものも、化粧料20の縞模様が、厚み方向に連続的に形成されているため、使用により化粧料20の表面がすり減っても、上記縞模様が崩れることがなく、その視覚的な効果を、長く楽しむことができる。
また、上記一連の例は、本発明を、容器本体10に対し蓋体11を平行にスライド移動させて開閉するタイプの化粧料容器に適用したものであるが、例えば図8(a)に示すように、容器本体10に対して蓋体11を1点Oで回動自在に取り付け、図8(b)に示すように、その1点Oを回転軸として矢印Qで示すように周方向に回動させて開閉するタイプの化粧料容器に適用することもできる。なお、図において、13は化粧料用凹部であり、直接化粧料20を収容するものであっても、化粧料20を、金皿17を介して収容するもの(図3参照)であってもよい。そして、蓋体11の表面に形成する透明領域21も、帯状等の細長い切欠きとなるものである必要はなく、例えば、その透明部分が、小さい透明窓の集まりであるような、断続的な透明領域21からなるものであってもよい。
例えば、そのような化粧料容器の一例として、図9(a)に示す容器本体10と、図9(b)に示す蓋体11とを備えたものをあげることができる。図において、蓋体11が回動する際の回転軸の中心Oを「+」で示す。
上記容器本体10は、全体が白色樹脂成形体からなり、その上面に設けられた化粧料用凹部13内には、図9(a)に示すように、回転軸の中心Oから放射状に延びる筋状の、オレンジ色の化粧料片50と、ピンク色の化粧料片51とが、交互に並んだ状態で収容されている。また、その上面を蓋する蓋体11の上面には、図9(b)に示すように、その略全面に白色の着色層18が形成されているとともに、回転軸の中心Oから放射状に延びる、不揃いの小さな円形が筋状に集合したデザインの、五つの透明領域21が形成されている。
そして、上記蓋体11が容器本体10の上面を完全に閉じた状態では、図9(c)に示すように、五つの透明領域21のうち、内側の三つの透明領域21に、ピンク色の化粧料片50が位置決めされて、ピンク色の筋模様となり、他の透明領域21には、容器本体10の上面(白色)が重なって、この部分には模様がないように見える。したがって、この蓋体11には、ピンク色の水玉模様が筋状に延びるデザインが付与されているように見える。
つぎに、蓋体11をわずかに回動させると、図9(d)に示すように、主として内側の二つの透明領域21に、ピンク色の化粧料片50とオレンジ色の化粧料片51とが半分ずつ位置決めされて、二色が混じり合った筋模様となる。そして、さらに、蓋体11を回動させると、図9(e)に示すように、内側の二つの透明領域21と、向かって右端の透明領域21の一部に、オレンジ色の化粧料片51が位置決めされ、他の透明領域21には、主として容器本体11の上面(白色)が重なるため、ピンク色の水玉模様が、あたかもオレンジ色の水玉模様に変化したかのように見えるようになっている。
つぎに、蓋体をさらに回動させると、図9(f)に示すように、下側の三つの透明領域21に、ピンク色の化粧料片50とオレンジ色の化粧料片51とが半分ずつ位置決めされて、二色が混じり合った筋模様となる。そして、さらに蓋体11を回動させると、図10(a)に示すように、上記三つの透明領域21に、ピンク色の化粧料片50が位置決めされ、他の透明領域21には、主として容器本体11の上面(白色)が重なるため、オレンジ色の水玉模様が、あたかもピンク色の水玉模様に変化したかのように見えるようになっている。
そして、さらに蓋体11を回動させると、図10(b)、(c)に示すように、下側の二つの透明領域21に、ピンク色の化粧料片50とオレンジ色の化粧料片51とが半分ずつ位置決めされた状態を経由して、その透明領域21に、オレンジ色の化粧料51が位置決めされた状態となるため、再び、ピンク色の水玉模様が、あたかもオレンジ色の水玉模様に変化したかのように見えるようになっている。
これらの変化によって、化粧料20がピンク色とオレンジ色の二色だけで構成されているにもかかわらず、蓋体11上のデザイン模様として見える筋状の水玉模様が、つぎつぎと色が変わるように見えるため、アイキャッチ効果が高いものとなる。そして、この変化は、化粧料20を繰り返し使用して化粧料20がすり減っても、蓋体11を回動すれば、いつでも見ることができるため、長期間、この変化を楽しむことができる。
また、化粧料20の色模様のデザインと、これを断続的に見せる蓋体11側の透明領域21の形状および配置を工夫することにより、色が、上記のように段階的に変化するのではなく、一気に変化するかのように見せることもできる。そのような例として、例えば、上記の例と同様、全体が白色樹脂成形体からなる容器本体10において、その化粧料用凹部13内に収容された化粧料20の色模様が、図11(a)に示すように構成され、蓋体11側の透明領域21が、図11(b)に示すように構成されたものをあげることができる。
すなわち、この例では、化粧料20の色模様が、図11(a)に示すように、回転軸の中心Oから放射状に延びる複数の直線と、同じく上記Oを中心として同心円状に延びる複数の円弧とで区切られた、湾曲して見える格子状の各区画内に、オレンジ色の化粧料片55と、クリームイエロー色の化粧料片56と、ピンク色の化粧料片57とが、互いの色が重ならないよう交互に並んだ状態で収容されている。したがって、この三色の化粧料片55〜57からなる化粧料20は、略四角形状の色のブロックが交互に並んだような、カラフルな色模様になっている。また、これを蓋する蓋体11の上面には、図11(b)に示すように、その略全面に白色の着色層18が形成されているとともに、大小様々な大きさの円形がランダムに並んだデザインの透明領域21が形成されている。
そして、上記蓋体11が容器本体10の上面を完全に閉じた状態では、図11(c)に示すように、透明領域21のうち、比較的大きな円形の透明領域21の大半に、オレンジ色の化粧料片55が位置決めされて、オレンジ色の水玉模様となり、他の透明領域21には、容器本体10の上面(白色)が重なって、この部分には模様がないように見える。
つぎに、蓋体11をわずかに回動させると、図12(a)に示すように、透明領域21のうち、先程とやや異なる配置で、比較的大きな円形の透明領域21の大半に、クリームイエロー色の化粧料片56が位置決めされて、クリームイエロー色の水玉模様となり、他の透明領域21には、容器本体10の上面(白色)から重なって、この部分には模様がないように見える。したがって、蓋体11の上面のデザインが、白地にオレンジ色の水玉模様から、突然、白地にクリームイエロー色の水玉模様に変化したように見えて、強いインパクトを与える。
そして、さらに、蓋体11を回動させていくと、図12(b)〜(d)に示すように、比較的大きな円形の透明領域21の大半の部分から見える色が、ピンク(化粧料片57の色)→オレンジ(化粧料片55の色)→クリームイエロー(化粧料片56の色)、とつぎつぎと変化していく。また、色が表れる部分の位置も少しずつ変化するため、全体として、蓋体11のデザインが大きく変化するような印象を与えることができる。
このように、上記化粧料容器は、蓋体11の回動に伴い、蓋体11上のデザイン模様として見える水玉模様の色が、つぎつぎと異なる色に変化するとともに、その配置が移動してみえるため、水玉が動きながら色を変えていくように見えて、非常にアイキャッチ効果が高いものとなる。そして、上記化粧料20の色模様は、金太郎飴のように、厚み方向に連続的に形成されているため、化粧料20を繰り返し使用して化粧料20がすり減っても、蓋体11を回動すれば、いつでも上記の色模様の変化を見ることができるため、長期間、この視覚的な効果を楽しむことができる。
なお、上記一連の例において、化粧料20によって与えられる色模様は、縞模様や、湾曲した格子状、といった幾何学的な模様であったが、これを構成する複数の化粧料片が、化粧料用凹部13もしくは金皿17内に、互いに垂直な境界面を介して隣り合うように収容されており、その表面に表れる色模様が、蓋体11側の透明領域21との関連において、複数の模様パターンに変化するものであれば、幾何学的な模様に限らず、自由にデザインすることができる。
例えば、上記一連の例と同様、1点Oを回転軸として蓋体11が周方向に回動自在に取り付けられたタイプの化粧料容器において、図13(a)に示すような化粧料20が収容された容器本体10と、図13(b)に示すような上面構成の蓋体11とを組み合わせたものを用いることができる。
上記容器本体10は、全体が白色樹脂成形体からなり、図13(a)に示すように、その化粧料用凹部13内に、白色の化粧料片58と赤色の化粧料片59とを組み合わせた化粧料20が、白地に赤いハートがたくさん散ったようなデザインで収容されている。また、蓋体11は、透明樹脂成形体からなり、図13(b)に示すように、その上面に白色の着色層18が形成され、その着色層18の領域内に、ランダムにアルファベットの文字が散らばったように見えるたくさんの透明領域21が設けられている。そして、透明領域21からなるアルファベットの文字とは別に、着色層18と重なるランダムな配置で、黄色や青、黄緑、緑といった寒色系の色に着色されたアルファベットの文字70が印刷されている。
そして、上記蓋体11が容器本体10の上面を完全に閉じた状態では、図14(a)に示すように、蓋体11側の透明領域21を通して、内側の化粧料20の白い部分(白色の化粧料片58)や赤い部分(赤色の化粧料片59)が見えるものの、その見え方は、混沌として意味をなさないものになっている。
つぎに、蓋体11を回動させていくと、赤い部分が見える透明領域21の位置が少しずつ移っていくものの、混沌とした見え方が続く。そして、上記蓋体11の右下の角11aが、容器本体10の輪郭の一辺に重なる位置まで回動した時点で、図14(b)に示すように、透明領域21のうち、「I LOVE YOU」の8文字(図において丸囲いで示す)だけが完全に赤色になり、周囲の寒色系の文字70から目立って見えるようになる。そして、この位置からさらに蓋体11を回動させると、再び、赤い部分が見える透明領域21の位置が少しずつ移動し、混沌とした見え方になる。上記化粧料20の赤色と白色からなる色模様は、金太郎飴のように厚み方向に連続して形成されているため、使用により化粧料20がすり減っても、色模様が崩れることがなく、上記の視覚的な効果を長く楽しむことができる。
したがって、化粧料20が幾何学的な模様でなくても、上記の例のように、蓋体11を所定の位置に配置させるだけで、他の位置にあるときと全く異なる印象の模様(上記の例では特定の文字群)に変化したように見せることができ、興趣に富むものとなる。このような変化も、本発明の「色模様の規則的な変化」の一つである。
上記一連の例は、化粧料20が平面視正方形の金皿17もしくは化粧料用凹部13に収容されているが、化粧料20を収容する凹部の平面視形状は、どのような形状であってもよい。例えば、図15(a)、(b)に示すように、容器本体10に対して蓋体11を1点Oで回動自在に取り付けた、平面視しずく状の化粧料容器において、化粧料20が、平面視円形の凹部内に収容されたものであってもよい。なお、図において、13は化粧料用凹部であり、直接化粧料20を収容するものであっても、化粧料20を、金皿17を介して収容するもの(図3参照)であってもよい。
例えば、そのような化粧料容器の一例として、図16(a)に示す容器本体10と、図16(b)に示す蓋体11とを備えたものをあげることができる。図において、蓋体11が回動する際の回転軸の中心Oを「+」で示す。
上記容器本体10は、全体が白色樹脂成形体からなり、その上面に設けられた化粧料用凹部13内には、図16(a)に示すように、回転軸の中心Oから放射状に延びる複数の直線と、同じく上記Oを中心として同心円状に延びる複数の円弧とで区切られた、湾曲して見える格子状の各区画内に、オレンジ色の化粧料片60と、ピンク色の化粧料片61と、クリームイエロー色の化粧料片62とが、互いの色が重ならないよう交互に並んだ状態で収容されている。したがって、この三色の化粧料片60〜62からなる化粧料20の表面は、略四角形状の色のブロックが交互に並んだような、カラフルな色模様になっている。また、これを蓋する蓋体11の上面には、図16(b)に示すように、白色の着色層18と、回転軸の中心Oから放射状に延びる、四本の透明領域21とが形成されている。
そして、上記蓋体11が容器本体10の上面を完全に閉じた状態では、図16(c)に示すように、四つの透明領域21に、内側の色模様のうち、オレンジ色の化粧料片60とクリームイエロー色の化粧料片62のみが位置決めされて見え、ピンク色の化粧料片61は見えないため、蓋体11には、オレンジの円弧状の縞とクリームイエローの円弧状の縞とが交互に並ぶ縞模様のデザインが付与されているように見える。
つぎに、蓋体11をわずかに回動させると、図16(d)に示すように、上記透明領域21に、オレンジ、ピンク、クリームイエローの三色の化粧料片60〜62が交互に並んだ部分が位置決めされるため、全体がモザイク模様のように見えて、その印象ががらりと変わる。そして、さらに、蓋体11を回動させると、図16(e)に示すように、上記透明領域21に、ピンク色の化粧料片61とクリームイエロー色の化粧料片62のみが位置決めされて見え、オレンジ色の化粧料片60は見えないため、蓋体11には、ピンクの円弧状の縞とクリームイエロー色の円弧状の縞とが交互に並ぶ縞模様のデザインが付与されているように見える。
つぎに、蓋体11をさらに回動させると、図17(a)に示すように、上記透明領域21に、オレンジ色、ピンク色、クリームイエロー色の三色の化粧料片60〜62が交互に並んだ部分が位置決めされるため、色模様が縞模様からモザイク模様に変化して、その印象ががらりと変化する。そして、さらに蓋体11を回動させると、図17(b)に示すように、上記透明領域21に、再びオレンジ色の化粧料片60とクリームイエロー色の化粧料片62とのみが位置決めされて見え、ピンク色の化粧料片61は見えないため、蓋体11には、オレンジの円弧状の縞とクリームイエローの円弧状の縞とが交互に並ぶ縞模様のデザインが付与されているように見える。
そして、さらに蓋体11を回動させると、図17(c)〜(e)に示すように、上記透明領域21に、オレンジ、ピンク、クリームイエローの三色の化粧料片60〜62が交互に並んだ部分が位置決めされた状態を経由して、その透明領域21に、再びピンク色の化粧料片61とクリームイエロー色の化粧料片62とが位置決めされて見え、オレンジ色の化粧料片60は見えない状態となるため、再び、ピンクとクリームイエローの縞模様が現出したかのように見える。そして、さらに蓋体11を回動させると、前記図16(d)に示す場合と同様、透明領域21に、上記三色の化粧料片60〜62が交互に並んだ部分が位置決めされた状態となる。
したがって、上記化粧料容器によれば、蓋体11の透明領域21から見える化粧料20表面の色模様が、オレンジとクリームイエローの縞模様→三色のモザイク模様→ピンクとクリームイエローの縞模様→三色のモザイク模様、と順次変化していくように見えるため、アイキャッチ効果が高いものとなる。そして、化粧料20を繰り返し使用して化粧料20がすり減っても、上記化粧料20の表面における色模様は、そのまま維持されるため、長期にわたって、この変化を楽しむことができる。
また、他の例として、例えば、図18(a)に示すような化粧料20の色模様に対し、図18(b)に示すような、茶色の着色層18が格子状に形成され、その格子の間に正方形の透明領域21が縦横に並んだ構成の蓋体11を組み合わせたものをあげることができる。なお、上記化粧料20の色模様は、平面視正方形状の、互いに色の異なる四色の化粧料片80〜83を交互に並べたモザイク模様であり、各化粧料片80等の正方形が、上記蓋体11の透明領域21の正方形と一致する大きさに設定されている。
この構成によれば、蓋体11側の透明領域21と、化粧料20の色模様との相対的な配置によって、見える色が大きく変化するようになっている。すなわち、上記蓋体11の正面からこの色模様を透かしてみると、それぞれの透明領域21から、四つの色が1/4ずつ見えて、複雑な色模様に見え、蓋体11を左上から見ると、第1の化粧料片80の色(例えば黄色)のみが見える。また、蓋体11を左下から見ると、第2の化粧料片81の色(例えば赤色)のみが見え、同じく右上から見ると、第3の化粧料片82の色(例えば緑色)のみが見える。そして、蓋体11を右下から見ると、第4の化粧料片83の色(例えば青色)のみが見える。したがって、このような化粧料容器も、非常に興趣に富むものとなる。そして、上記化粧料20の色模様も、厚み方向に連続して形成されているため、化粧料20がすり減っても、上記色模様はそのまま維持されるのであり、長期にわたって、上記色の変化を楽しむことができる。
このように、本発明において、化粧料容器の形状や、化粧料20を収容する金皿17や容器本体10の化粧料用凹部13の平面視形状は、自由に設定することができる。そして、これらの凹部内に収容する化粧料20の色数や各化粧料片14〜16等による色模様のデザインは、蓋体11側の透明領域21との関連において、透明領域21への目線の変化、あるいは蓋体11の移動による透明領域21のスライド幅(軸回転によってスライドするものにあっては、そのスライドによる回転角度)に応じて、その変化に段階的に対応する模様パターンが見えるように、その各模様パターンを、同一表面に、重ねて配置したデザインにすることが必要である。また、図1等に示す化粧料容器のように、蓋体11を平行にスライドさせて視覚的な効果を得る場合、化粧小物の収容部を容器手前側に設ける等の構成により、容器がスライド方向に長くなっていると、蓋体11のスライド距離が長くなって、その視覚的な効果を長く見せることができ、好適である。
なお、上記一連の例では、透明領域21を、透明な樹脂成形体からなる蓋体11の上面に設けられた不透明な着色層18に囲われた部分(もしくは挟まれた部分)として形成したが、上記着色層18は、必ずしも蓋体11の上面に設ける必要はなく、場合によっては蓋体11の下面、すなわち容器本体10の上面と対峙する側の面に設けてもよい。ただし、その場合も、上記着色層18の形成面(すなわち透明領域21の形成面)と、化粧料20の上面との垂直距離H(図3を参照)は、前述のとおり、0.1〜20.0mmに設定することが好適であり、なかでも、2.0〜7.0mmに設定することが最適である。
さらに、これらの例は、蓋体11を前後にスライドさせたり1点を中心として周方向に回動させたりする化粧料容器に適用したものであるが、例えば蓋体11を前後にスライドさせて、蓋体11の透明領域21から見える化粧料20の色模様の変化を楽しむことができるものは、すでに述べたように、化粧料容器が閉じた状態で、この容器の蓋体11に対する目線の角度を変えるだけで、蓋体11をスライドさせた場合と同様の、色の変化を認識することができる。したがって、本発明は、必ずしもスライドタイプの化粧料容器に限定する必要はなく、後端部に設けられたヒンジ連結によって蓋体が前後に開くコンパクトタイプの化粧料容器や、広口容器等において、ねじ係合によって蓋体を開閉するものに適用しても差し支えない。
また、本発明において、蓋体11の透明領域21となる部分の表面や裏面に凹凸を形成するようにしてもよい。凹凸の形成によって、その部分を透かして見える模様が、より複雑な見え方をして、より興趣に富む視覚的な効果が得られるからである。
さらに、本発明において、容器本体10の色と、蓋体11に設けられる不透明部分の色とを、同じ色に揃えると、透明領域21を透かし模様を通して見える模様部分が、周囲から視覚的に限定され、際立った形で見えるため、印象が強いものとなって好適である。
そして、本発明において、色模様を形成するための化粧料20としては、ファンデーションやフェイスカラー等、粉末タイプであるか、容器への充填温度で溶融して流動性を有し冷却によって固化する油性化粧料であることが好適である。