JP6432717B1 - Al系めっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

Al系めっき層に含まれるAlの平均組成が質量%で85%以上、Siが質量%で4%以上12%以下であり、めっき付着量が30g/m2以上、めっき表面のSi面積率が12%以下、Al系めっき層の厚さ方向のSi濃度分布における最大値が、質量%で15%以下で、厚Al系めっき層の厚さ方向のSi濃度分布における最大値と、Fe濃度が4質量%以下でのSi濃度の最小値の比が1.0以上、2.0以下であることを特徴とするAl系めっき鋼板。

Description

本発明は、塗装後耐食性を十分に発現することができる、熱間プレス用として好適なAl系めっき鋼板及びその製造方法に関する。
近年、環境保護及び地球温暖化の抑制のために、化石燃料の消費を抑制する要請が高まっており、この要請は、様々な製造業に対して影響を与えている。日々の生活等に欠かせない移動手段を製造する自動車産業についても例外ではなく、車体の軽量化などによって燃料の消費を抑制することが求められている。自動車部品の多くは、鉄、特に鋼板により形成されているため、使用される鋼板の総重量を低減することが、車体の軽量化、ひいては燃料の消費の抑制にとって重要である。
しかしながら、自動車には安全性の確保が必要であるため、単に鋼板の板厚を低減することは許されず、鋼板の機械的強度の維持が求められる。このような鋼板に対する要請は、自動車産業のみならず、様々な製造業でも同様に高まっている。従って、鋼板の機械的強度を高めることにより、従来使用されていた鋼板より薄くしても、機械的強度の維持又は向上が可能な鋼板について、研究開発が行われている。
一般に、優れた機械的強度を有する材料は、曲げ加工等の成形加工において、成形性、形状凍結性が低下する傾向にあり、複雑な形状に加工する場合、加工そのものが困難となる。この成形性についての問題を解決する手段の一つとして、いわゆる「熱間プレス方法(ホットスタンプ法、ホットプレス法、ダイクエンチ法、プレスハードニングとも呼ばれる。)」が挙げられる。この熱間プレス方法では、成形対象である材料を一旦高温(オーステナイト域)に加熱して、加熱により軟化した鋼板に対してプレス加工を行って成形した後に、冷却する。
この熱間プレス方法によれば、材料を一旦高温に加熱して軟化させるので、その材料を容易にプレス加工することができ、さらに、成形後の冷却による焼入れ効果により、材料の機械的強度を高めることができる。従って、この熱間プレスにより、良好な形状凍結性と高い機械的強度とを両立した成形品を得ることができる。
しかしながら、鋼板を熱間プレスする場合、例えば、800℃以上の高温に加熱すると、表面の鉄が酸化してスケール(酸化物)が生成する。このため、熱間プレスの後に、スケールを除去する工程(デスケーリング工程)が必要となり、生産性が低下する。さらに、耐食性が求められる成形品の場合には、熱間プレスの後に成形品表面へ防錆処理を施し、或いは金属皮膜を形成するため、表面清浄化工程や表面処理工程が必要となり、さらに一層生産性が低下する。
このような生産性の低下を抑制する例として、鋼板に皮膜を形成する方法が挙げられる。一般に、鋼板上の皮膜としては、有機系材料や無機系材料など様々な材料が使用される。なかでも鋼板に対して犠牲防食作用のある亜鉛系めっき鋼板が、その防食性能と鋼板生産技術の観点から、自動車用鋼板等に広く使われている。
しかしながら、熱間プレスにおける加熱温度(700℃以上、1000℃以下)は、有機系材料の分解温度やZn(亜鉛)の沸点などよりも高い。このため、熱間プレスのために鋼板を加熱すると、鋼板表面のめっき層が蒸発し、表面性状が著しく劣化するおそれがある。
そのため、熱間プレスに際して高温に加熱する鋼板に対しては、例えば、有機系材料皮膜やZn系の金属皮膜に比べて沸点が高いAl(アルミニウム)系の金属皮膜を形成し、いわゆるAl系めっき鋼板とすることが望ましい。Al系の金属皮膜を形成することにより、鋼板表面へのスケールの付着を防止することができ、デスケーリング工程などの工程が不要となるため生産性が向上する。また、Al系の金属皮膜には防錆効果もあるため、塗装後の耐食性も向上する。
このような、Al系の金属皮膜を所定の鋼成分を有する鋼に形成したAl系めっき鋼板の課題の一つに、熱間プレス時の加工性の改善がある。熱間プレス方法の加工性については、加熱時に生成するFe−Al−Siめっき層が硬質であるために金型に噛みこんだり、摩擦係数が大きいために金型に堆積したりするなどの懸念事項がある。これらの懸念事項により、製品表面に傷が付き、外観品位を低下させるおそれがある。
上記の課題を解決する手段の一つとして、酸化亜鉛(ZnO)を含有する皮膜層をめっき表面に付着させる方法が提案されている(例えば、特許文献1乃至4参照)。
特許文献1乃至4に開示の方法は、具体的には、ZnOの脱落抑制のために樹脂成分やシランカップリング剤等をバインダとして含む皮膜層を鋼板表面に付着させ、熱間プレス時にバインダの有機溶剤成分を揮発させてZnOのみを残存させる方法である。かかる方法により、有機溶剤が燃焼、蒸発して生成した空隙によりZnOと金型金属とが点接触となり、潤滑性が向上するとされている。
国際公開第2013/157522号 国際公開第2014/171417号 国際公開第2009/131233号 国際公開第2015/087921号
ZnOを含有する表面皮膜層をAl系めっき層の上に形成することにより、熱間プレス時の摺動性は向上する。しかしながら、最近ではプレス形状複雑化のために、加工時にAl系めっき層が剥離しやすく、さらに高い加工性や材料寿命延長のためにさらに高い耐食性が求められている。特に、溶融めっきによってAl系めっき層を形成する際には、鋼とAlとの合金層の生成が問題になる場合があり、合金層の成長を抑制するために、めっき浴中にSiが添加される。通常の溶融Al系めっきでは、めっき浴から引き上げられた後、10℃/秒で冷却され、このとき、めっきの表層は非平衡凝固となり、Siが濃化した共晶で覆われる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、塗装後耐食性を十分に発現させることが可能である、熱間プレス用Al系めっき鋼板及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明でのAl系めっき鋼板はAl−Si系めっき鋼板であり、めっき浴中のSi濃度は6%以上、12質量%以下にて製造されたものである。これにより製造されためっき鋼板のAl系めっき層全体中のSi濃度は、基本的にめっき浴組成と同様に6質量%以上、12質量%以下の組成となっている。
一般に、Al系めっき層にSiを含む場合、Al系めっき鋼板製造のめっき工程時にめっきは鋼板側よりAlが初晶として凝固するため、Al系めっき層表面においては、最終凝固の表面側にSiが高濃度に濃化する。図1に、一般的な手法により、鋼板にSiを含むAl系めっきを施した際、Al系めっき層の表面をEPMA(測定機器は日本電子製のJXA8500Fを使用。マッピングモードは、step数は500点×500点、step間隔は1μm、ビーム径は1μm)によって測定したSi面積率を示した。横軸がめっき浴中のSi濃度(Al系めっき層全体のSi濃度)、縦軸がAl系めっき層表面におけるSi表面積率を示している。図1より明らかなように、Al系めっき層全体のSi濃度に比して、表面のSi面積率は約3倍程度濃化することがわかる。
このようなAl系めっき層にSiを含むAl系めっき鋼板を熱間プレスするための加熱条件(炉温900℃以上、950℃以下×炉内滞在時間0.5分以上、6分以下)で加熱すると図2、3のようにAl、Si、Fe濃度の異なる5層が形成される。最表層である第1層はSi濃度が薄いAlFe層であり、その下の第2層目(5層中、表面から数えて第2層目)はSi濃度が高い層となっている。当該高Si層(第2層)は5層の内、最も貴な電位を示すとともに腐食のカソード反応(溶存酸素の還元反応)が促進する。そのため、この第2層目が露出すると腐食が促進する方向となる。
すなわち、熱間プレス加熱前のめっき段階でめっき表面のSi面積率が高くなると熱間プレスの加熱段階ではSi濃度が高い第2層が生成しやすくなり、第2層が生成すると第1層との腐食回路を形成して塗装後耐食性が悪くなることを突き止めた。
さらに、先に述べたように、Al系めっき鋼板製造のめっき工程時にAl系めっきは、鋼板側より凝固し、最終凝固の表面側にSiが高濃度に濃化する。この現象によりめっき表面でのSi面積率を増加させていることが判明した。
また、Siが表面でなく、内部で濃化した場合であっても、熱間プレス時に第2層を形成することも判明した。
このめっき凝固後のSi濃化部を酸洗にて除去することで加工性や熱間プレス時の塗装後耐食性が著しく向上することを本発明者は明らかにした。
以上の知見に基づき、本発明者らは発明を完成した。その要旨は以下のとおりである。
[1].Al系めっき層に含まれるAlの平均組成が質量%で85%以上、Siが質量%で4%以上12%以下であり、めっき付着量が30g/m2以上、めっき表面のSi面積率が12%以下、Al系めっき層の厚さ方向のSi濃度分布における最大値が、質量%で15%以下で、Al系めっき層の厚さ方向のSi濃度分布における最大値と、Fe濃度が4質量%以下でのSi濃度の最小値の比が1.0以上、2.0以下であることを特徴とするAl系めっき鋼板。
[2].前記Al系めっき層の表面粗さが算術平均粗さRaで0.1μm以下であることを特徴とする、[1]に記載のAl系めっき鋼板。
[3].前記Al系めっき層は、厚さ方向のSi濃度分布における最大値と、Fe濃度が4質量%以下でのSi濃度の最小値の比が1.0〜1.5であることを特徴とする、[1]または[2]に記載のAl系めっき鋼板。
[4].前記Al系めっき層の上に設けられ、ZnO粒子と、有機樹脂とを含有し、前記ZnO粒子の付着量が金属Zn換算で0.5g/m2以上、10.0g/m以下である表面皮膜層を備えることを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1項に記載のAl系めっき鋼板。
[5].Siを質量%で6%以上、15%以下含有するAlめっき浴に鋼板を浸漬してめっき層を形成するめっき工程と、
浸漬した前記鋼板を冷却する冷却工程と、
冷却した前記鋼板をpH1以下の酸性溶液中で浸漬して、めっき表面のSi面積率が12%以下、Al系めっき層の厚さ方向のSi濃度分布における最大値が、質量%で15%以下で、Al系めっき層の厚さ方向のSi濃度分布における最大値と、Fe濃度が4質量%以下でのSi濃度の最小値の比が1.0以上、2.0以下となる深さまで表層をエッチングするエッチング工程と、
を実施することを特徴とする、Al系めっき鋼板の製造方法。
本発明によれば、塗装後耐食性を十分に発現させることが可能である、熱間プレス用Al系めっき鋼板及びその製造方法を提供することを目的とする。
Siを含むAl系めっき浴中のSi濃度と、表面Si面積率の関係。 950℃で0.5分加熱後のAl系めっき層断面の顕微鏡写真。 Al、Si、Feについての、図2の深さ方向の濃度プロファイルであって、1から5までの数値は、図2で、同じ番号が付された領域に対応した領域であることを示す。 母材表面にAl系めっき層を設けた本発明のAl系めっき鋼板の断面概念図。 Al系めっき層、表面皮膜層を設けた本発明のAl系めっき鋼板の断面概念図。 めっき層の、厚さ方向のSi濃度分布を示す図。 めっき層の、厚さ方向のSi濃度分布を示す図。 めっき層の、厚さ方向のSi濃度分布を示す図。
以下に、熱間プレス用として好適な、本発明に係るAl系めっき鋼板(以下、単に「鋼板」と称する場合がある)の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を限定するものではない。また、上記実施形態の構成要素には、当業者が置換可能且つ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。さらに、上記実施形態に含まれる各種形態は、当業者が自明の範囲内で任意に組み合わせることができる。
図4に本発明のAl系めっき鋼板100の一例を示した。本発明のAl系めっき鋼板100は、母材101の表面にAl系めっき層103を形成して構成される。あるいは、図5に示したように、さらに、Al系めっき層103の表面に、有機樹脂111により接合したZnO粒子109からなる表面皮膜層107を形成して構成される。各層について、以下に詳細に説明する。なお、図4、5は、Al系めっき層103、表面皮膜層107をAl系めっき鋼板100の片面に形成した例であるが、各々両面に形成してもよい。
<Al系めっき鋼板100>
[母材101]
本実施形態のAl系めっき鋼板100に用いる母材101(Al系めっき層103を形成するための部材)としては、めっき層形成後に熱間プレスを行っても、優れた機械的強度(引張強さ、降伏点、伸び、絞り、硬さ、衝撃値、疲れ強さ、クリープ強さ等の機械的な変形及び破壊に関する諸性質を意味する)を有するような部材を使用する。例えば、C(炭素)や合金元素の添加によって焼入れ性を高めた部材を用いる。これにより、後述するような、Al系めっき層103及び表面皮膜層107を形成して得たAl系めっき鋼板100に対して、熱間プレスを施して得られた自動車部品においては、優れた機械的強度が発現される。
即ち、本実施形態のAl系めっき鋼板100用の母材101は、優れた機械的強度を有するものであれば公知のものを利用することができる。例えば、以下の成分を有するものを母材101として利用することができるが、母材101の成分はこれに限られない。
本実施形態の母材101は、例えば、質量%で、C:0.01%以上、0.5%以下、Si:2.0%以下、Mn:0.01%以上、3.5%以下、P:0.1%以下、S:0.05%以下、Al:0.001%以上、0.1%以下、N:0.01%以下を含有し、Ti:0.005%以上、0.1%以下、B:0.0003%以上、0.01%以下、Cr:0.01%以上、1.0%以下、Ni:0.01%以上、5.0%以下、Mo:0.005%以上、2.0%以下、Cu:0.005%以上、1.0%以下の1種又は2種以上を任意選択的に含有することができ、さらにW、V、Nb、Sb等の元素を含有でき、残部は、Fe及び不可避的不純物からなる。以下、母材101中に添加される各成分について、詳述する。以下の記載において各成分の単位%は全て質量%を意味する。
(C:0.01%以上、0.5%以下)
炭素(C)は、鋼に不可避的に含まれ、また、母材101の目的とする機械的強度を確保するために含有させる。Cの含有量を過剰に低減させることは、製錬コストを増大させるため、0.01%以上含有させることが好ましい。さらに、Cの含有量が0.1%以上であると、機械的強度を向上するために多量に他の合金元素を添加する必要がなくなるため、Cを添加することによる強度向上の効果が大きい。一方、Cの含有量が0.5%超であると、母材101をさらに硬化させることができるものの、溶融割れが生じ易くなる。従って、Cは、0.01%以上、0.5%以下で含有させることが好ましく、強度向上と溶融割れ防止の観点からは、0.1%以上、0.4%以下の含有量で添加することがより好ましい。なお、Cの含有量は0.15%以上、0.35%以下とすることがさらに好ましい。
(Si:2.0%以下)
珪素(Si)は、脱酸剤として添加されるなど、鋼の精錬過程において不可避的に含まれる元素である。しかしながら、Siの過度な添加は鋼板製造時の熱延工程での延性低下やその結果として表面性状などを損ねるため、2.0%以下とすることが好ましい。
また、Siは、母材101の機械的強度を向上させる強化元素の一つであり、Cと同様に、目的とする機械的強度を確保するために添加してもよい。Siの含有量が0.01%未満であると、強度向上効果を発揮しにくく、十分な機械的強度の向上が得られにくい。一方、Siは、易酸化性元素でもあるため、Siの含有量が0.6%超であると、溶融Al系めっきを行う際に、濡れ性が低下し、不めっきが生じる可能性がある。従って、Siは、0.01%以上、0.6%以下の含有量で添加することがより好ましい。なお、Siの含有量は0.05%以上、0.5%以下とすることがさらに好ましい。
(Mn:0.01%以上、3.5%以下)
マンガン(Mn)は、脱酸剤として添加されるなど、鋼の精錬過程において不可避的に含まれる元素である。しかしながら、Mnの過度な添加は、鋳造時のMnの偏析による品質の均一性を損ない、鋼板が過剰に硬化し、熱間、冷間加工時の延性の低下を招くため、3.5%以下とすることが好ましい。一方、Mnの含有量を0.01%未満に低下させると、Mnを除去する工程やコストが増加するため、Mnの含有量は0.01%以上が好ましい。よって、Mnは、0.01%以上、3.5%以下とすることが好ましい。
加えて、Mnは、母材101の強化元素の1つであり、焼入れ性を高める元素の1つでもある。さらに、Mnは、不可避的不純物の1つであるS(硫黄)による熱間脆性を低く抑えるのにも有効である。そのため、Mnの含有量を0.5%以上とすることにより、焼入れ性向上や、熱間脆性抑制の効果を得ることができる。一方、Mnの含有量が3%超であると、残留γ相が多くなり過ぎて強度が低下するおそれがある。従って、Mnは、0.5%以上、3%以下の含有量で添加されることがより好ましい。なお、Mnの含有量は1%以上、2%以下とすることがさらに好ましい。
(P:0.1%以下)
りん(P)は、不可避的に含有される元素である一方で固溶強化元素でもあり、比較的安価に母材101の強度を向上させる元素である。しかしながら、経済的な精錬限界から含有量の下限を0.001%とすることが好ましい。一方、Pの含有量が0.1%超であると、母材101の靭性が低下するおそれがある。従って、Pの含有量は、0.001%以上、0.1%以下であることが好ましい。なお、Pの含有量は0.01%以上、0.08%以下とすることがさらに好ましい。
(S:0.05%以下)
硫黄(S)は、不可避的に含有される元素であり、MnSとして母材101中の介在物となって破壊の起点となり、延性や靭性を阻害して加工性劣化の要因となる。このため、Sの含有量は低いほど好ましく、含有量の上限を0.05%とすることが好ましい。一方、Sの含有量を低下させるためには製造コストの上昇が見込まれるため、含有量の下限は0.001%とすることが好ましい。なお、Sの含有量は0.01%以上、0.02%以下とすることがさらに好ましい。
(Al:0.001%以上、0.1%以下)
アルミニウム(Al)は、脱酸剤として母材101中に含有される成分であるが、めっき性阻害元素でもある。このため、Alの含有量の上限は0.1%とすることが好ましい。一方、Alの含有量の下限は特に規定するものではないが、経済的な精錬限界から、例えば0.001%とすることが好ましい。なお、Alの含有量は0.01%以上、0.08%以下とすることがさらに好ましい。
(N:0.01%以下)
窒素(N)は、不可避的に含有される元素であって、母材101の各種の特性を安定化させる観点からは、その含有量を固定することが好ましく、具体的には、Ti、Al等の元素の含有量に基づいて固定することが可能である。一方、Nの含有量が多過ぎると、Ti、Al等の含有量が多くなり、母材101の製造コストの増加が見込まれるため、Nの含有量の上限は0.01%とすることが好ましい。
(Ti:0.005%以上、0.1%以下、B:0.0003%以上、0.01%以下、Cr:0.01%以上、1.0%以下、Ni:0.01%以上、5.0%以下、Mo:0.005%以上、2.0%以下、Cu:0.005%以上、1.0%以下の1種又は2種以上)
(Ti:0.005%以上、0.1%以下)
チタン(Ti)は、母材101の強化元素の1つであり、母材101表面に形成されるAl系めっき層103の耐熱性を向上させる元素でもある。Tiの含有量が0.005%未満であると、強度向上効果や耐熱性を十分に得ることができない。一方、Tiは、添加し過ぎると、例えば炭化物や窒化物を形成して、母材101を軟質化させるおそれがある。特に、Tiの含有量が0.1%超であると、目的とする機械的強度を得られない可能性が高い。従って、Tiは、0.005%以上、0.1%以下の含有量で添加されることが好ましい。なお、Tiの含有量は0.03%以上、0.08%以下とすることがさらに好ましい。
(B:0.0003%以上、0.01%以下)
ホウ素(B)は、焼入れ時に作用して母材101の強度を向上させる効果を有する元素である。
Bの含有量が0.0003%未満であると、このような強度向上効果が十分に得られない。一方、Bの含有量が0.01%超であると、母材101中に介在物(例えば、BN、炭硼化物、など)が形成されて脆化し、疲労強度を低下させるおそれがある。従って、Bは、0.0003%以上、0.01%以下の含有量で添加されることが好ましい。なお、Bの含有量は0.001%以上、0.008%以下とすることがさらに好ましい。
(Cr:0.01%以上、1.0%以下)
クロム(Cr)は、Al系めっき層103を合金化してAl−Fe合金層を形成する際に、Al系めっき層103を母材101との界面に生成することで、Al系めっき層103が剥離する原因となるAlNの生成を抑制する効果がある。また、Crは、耐摩耗性を向上させる元素の一つであり、焼入れ性を高める元素の一つでもある。Crの含有量が0.01%未満であると、上記の効果を十分に得ることができない。一方、Crの含有量が1.0%超であると、上記の効果が飽和するだけでなく鋼板の製造コストも上昇する。従って、Crは、0.01%以上、1.0%以下の含有量で添加されることが好ましい。なお、Crの含有量は0.5%以上、1.0%以下とすることがさらに好ましい。
(Ni:0.01%以上、5.0%以下)
ニッケル(Ni)は、熱間プレス時の焼き入れ性を向上させる効果がある。また、Niには母材101の耐食性を高める効果もある。ただし、Niの含有量が0.01%未満であると、上記の効果を十分に得ることができない。一方、Niの含有量が5.0%超であると、上記の効果が飽和するだけでなく鋼板の製造コストも上昇する。従って、Niは、0.01%以上、5.0%以下の含有量で添加されることが好ましい。
(Mo:0.005%以上、2.0%以下)
モリブデン(Mo)は、熱間プレス時の焼き入れ性を向上させる効果がある。また、Moには母材101の耐食性を高める効果もある。ただし、Moの含有量が0.005%未満であると、上記の効果を十分に得ることができない。一方、Moの含有量が2.0%超であると、上記の効果が飽和するだけでなく鋼板の製造コストも上昇する。従って、Moは、0.005%以上2.0%以下の含有量で添加されることが好ましい。
(Cu:0.005%以上、1.0%以下)
銅(Cu)は、熱間プレス時の焼き入れ性を向上させる効果がある。また、Cuには母材101の耐食性を高める効果もある。Cuの含有量が0.005%未満であると、上記の効果を十分に得ることができない。一方、Cuの含有量が1.0%超であると、上記の効果が飽和するだけでなく鋼板の製造コストも上昇する。従って、Cuは、0.005%以上、1.0%以下の含有量で添加されることが好ましい。
(W、V、Nb、Sb)
なお、本実施形態の母材101は、上記の複数の元素に加えて、タングステン(W)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、アンチモン(Sb)等の元素を選択的に添加してもよい。これらの元素についての添加量は、公知の範囲であれば、いずれの添加量についても採用することができる。
(残部)
母材101の残部は、鉄(Fe)と不可避的不純物のみである。不可避的不純物とは、原材料に含まれる成分、或いは製造の過程で混入される成分であって、母材101に意図的に含有させた成分ではない成分をいう。
このような成分で形成される母材101は、熱間プレスなどによる加熱により焼入れすることで、約1500MPa以上の機械的強度を有することができる。このように優れた機械的強度を有する鋼板ではあるが、熱間プレスによって加工すれば、加熱により軟化した状態でプレスを行うことができるので、容易に成形することができる。また、プレス後、高温から冷却された母材101は、高い機械的強度を実現でき、ひいては軽量化のために薄くしたとしても機械的強度を維持又は向上させることができる。
[Al系めっき層103]
Al系めっき層103は、母材101の少なくとも片面に形成される。Al系めっき層103には、Siは、溶融めっき時のFe−Al合金層の生成を抑制する元素として添加されている。Al系めっき層103中のSiの含有量が4質量%未満では、溶融めっき時にFe−Al合金層が成長し過ぎるため、プレス加工時にめっき層割れを助長する。一方、当該Siの含有量が12質量%を超えると、表面のSi量を低減させてもAl系めっき層103の加工性や耐食性が低下する。従って、Al系めっき層103中のSiの含有量は、4質量%以上、12質量%以下とする。なお、Al系めっき層103中のSiの含有量は、4質量%以上、10質量%以下であることがさらに好ましい。Al系めっき層103は、Alを85質量%以上含んでいればよい。Al、Si以外の成分は、特に限定しないが、Znは、熱間プレス前の加熱により蒸発するので、10質量%以下、あるいは、不可避的不純物量を超える量は含まれないことが好ましい。また、母材中のFeとの合金化等により、Feも含有する。さらに、Al、Si以外は不可避的不純物である、JIS 4000系アルミニウム合金等のAl−Si系合金(Al及びSiからなるAl合金であって、Al、Si以外は不可避的不純物であるアルミニウム合金)組成が好ましい。
ここでいうSi含有量は平均組成である。
80質量%以上のAlを含むAl系めっき層103は、母材101の腐食を防止する。また、Al系めっき層103は、熱間プレス前の加熱の際に、鋼板表面にスケール(鉄の酸化物)が生成することを防止する。このため、母材101の少なくとも片面にAl系めっき層103が存在することで、スケール除去工程、表面清浄化工程及び表面処理工程などを省略することができ、ひいては自動車部品等の生産性を向上させることができる。さらに、Al系めっき層103は、有機系材料による皮膜や、他の金属系材料(例えば、Zn系材料)による皮膜よりも融点が高いので、熱間プレスの際、高温での加工が可能となる。
さらに、Al系めっき層の表面にはAl酸化物系の不動態皮膜が生成する。この不動態皮膜は熱間プレス時にZnOがAl系めっき層中の成分によって還元されて消失するのを防止する。
なお、Al系めっき層103に含まれるAlの一部は、溶融めっき時や、熱間プレス時に、母材101中のFeと合金化する。よって、Al系めっき層103は、必ずしも成分が一定である単一の層で形成されるとは限らず、部分的に合金化した層(合金層)、あるいは、表面より濃度勾配が変化する鋼−アルミニウム傾斜合金層を含むものとなる場合がある。
(めっき付着量)
Al系めっき層103は、付着量が30g/m2以上である。30g/m2未満の場合、めっき厚が薄くなり過ぎて、熱間プレス時にスケールが生成してしまい、耐食性が悪化する。より好ましくは50g/m2以上である。
(Al系めっき層103表面のSi面積率)
前述のように、非平衡凝固によって形成されたAl系めっき層103の場合、Siは表面に濃化しやすい。熱間プレス加熱前のめっき段階でめっき表面にSiが濃化し、Si面積率が高くなると熱間プレスの加熱段階ではSi濃度が高い第2層が生成しやすくなり、第2層が生成すると第1層との腐食回路を形成して塗装後耐食性が悪くなる。
また、熱間プレス加熱前のめっき段階でめっき表面にSiが濃化し、Si面積率が高くなると、Al酸化物系の不動態皮膜の生成が不十分となり、熱間プレス時にAl系めっき層中の成分によってZnOが還元され、消失する恐れがある。
従って、Al系めっき層103の表面のSi面積率を12%以下にすることが必要である。顕著な効果を得るために、より好ましくはSi面積率を8%以下、さらに好ましくは6%以下とする。Si面積率の下限は、特に限定されるものでなく、Si面積率が0%であることが理想であるが、実用上、1%が実質的な下限である。
Al系めっき層103表面のSi面積率は、めっき後、EPMA(Electron Probe Micro Analyzer)の面分析や、オージェ電子分光法(Auger Electron Spectroscopy、AES)の面分析にて測定することができる。その際、EPMAでは、測定機器は日本電子製のJXA8500Fを使用し、測定点は500点×500点、1μmステップでビーム径は1μmで測定するのが望ましく、オージェ電子分光法では、ビーム径は10μm以下で測定点は500点×500点、10μmステップで5mm×5mm視野にて測定するのが望ましい。なお、Si面積率は表面から深さ方向の非常に薄い領域におけるSi濃度(原子%)から求めることも可能である。後述する表面皮膜層107を形成した場合、その後に、Al系めっき層103表面のSi面積率を測定する場合は、高周波グロー放電分光分析法(高周波GDS)で、表面から深さ方向の定量分析を行って、以下のようにして求めてもよい。
高周波グロー放電分光分析法(高周波GDS)では直径4mmの範囲の測定を行うことが望ましい。高周波GDSにより、めっき成分であるAl、Si以外の成分が5元素%となる部分をめっき表面と規定し、その部位での各構成成分の濃度(原子%)を求め、各構成成分の比重と原子量(分子量)よりSiの体積分率を算出する。定量組織学の観点から、体積分率は面積率と等しいので、前述のようにして求めたSiの体積分率をSi面積率とする。
Al系めっき層103の表面のSi面積率を低下させる方法としては、めっき後に表面をエッチングして、Siが濃化した部分を除去する方法がある。
例えば、凝固温度の近傍の冷却速度を10℃/秒とし、Siを濃化させて、pH1以下の酸性溶液中で表面のSi濃化共晶を溶解すると、表面のSi面積率を10%程度に低下させることができる。さらに、凝固時の冷却速度を20℃/秒にすると、共晶のSi濃度が20%以上になり、その部分を酸性溶液中で溶解させると、Si面積率を8%以下にまで低下させることができる。
めっき後に表面をエッチングして、Siが濃化した部分を除去する方法としては、硫酸等の酸でAlめっき層表面をエッチングする方法が挙げられる。
(厚さ方向のSi濃度分布)
Al系めっき層103は、厚さ方向のSi濃度分布における最大値が、質量%で15%以下(好ましくは12質量%以下)であり、厚さ方向のSi濃度分布における最大値と、Fe濃度が4質量%以下でのSi濃度の最小値の比が1.0以上、2.0以下である理由は以下の通りである。
まず、表面のSi面積率が高いと、図6に示すように、表層にSi濃度が高い部分が生じ、熱間プレスの加熱段階で、Si濃度が高い第2層が生成しやすくなることは既に述べた。
一方で、図7上段に示すように、表層ではなく、内部にSi濃度が高い部分があっても、その部分が、熱間プレスの加熱段階で、図7下段に示すように、Si濃度が高い第2層が生成しやすくなる。
そのため、図8中段に示すように、表面ではなく、内部もSi濃度が高い部分があってはならない。
これが厚さ方向のSi濃度分布を規定する理由である。なお、最小値として、Fe濃度が4質量%以下でのSi濃度を用いる理由は、めっき層と母材の界面が合金化している場合を考慮したためである。
好ましくは、厚さ方向のSi濃度分布における最大値と、Fe濃度が4質量%以下でのSi濃度の最小値の比が、1.0〜1.5である。
厚さ方向のSi濃度分布は、Alめっき鋼板の垂直断面の組成分析を、EPMA等を用いて行えば求められる。
このような濃度分布を得る方法としては、表面をエッチングする方法が挙げられる。例えば、めっき層中のSiが図8上段に示す濃度分布を示すめっき鋼板であれば、表層のSi濃度が15%以下となる位置までエッチングでめっき層を除去すれば、図8中段に示すような濃度分布となる。この濃度分布では、熱間プレス後も、図8下段に示すように、めっき層中にSi濃度が高い第2層が生成しない。
エッチング液としては、鉄系インヒビターを添加したpH1以下の酸性溶液であれば特に限定しないが、鉄系インヒビターを添加した2モル%濃度以上のH2SO4水溶液が挙げられる。pH1超の酸性溶液の場合、エッチングが進まないか、進んでもエッチングレートが遅すぎて生産性が悪化する恐れがある。
他のエッチング液としては2モル%濃度以上の水酸化ナトリウム水溶液のアルカリ溶液に浸漬してめっきの金属Al、Siを溶解し、次に残ったAl−Si−Fe合金層を上記酸性溶液にて溶解する方法が挙げられる。
エッチング時間はSi濃度が高い部分を除去でき、かつ、めっきの付着量が30g/m2以上となる時間である。具体的には、めっき表面のSi面積率が12%以下、Al系めっき層の厚さ方向のSi濃度分布における最大値が、質量%で15%以下で、最大値と最小値の比が1.0以上、2.0以下となる深さまでエッチングを行う。例えば、めっき付着量50g/m2のめっき鋼板を60℃の10%硫酸溶液中に30〜60秒浸漬処理することで本発明のめっき鋼板を得ることができる。浸漬液の温度や硫酸濃度を制御することで浸漬処理時間を短縮することができる。さらには、めっき表面を研削して表面のSi濃化層を除去しても良い。
Al系めっき層103の内部にSi濃度が高い部分を形成しないようにするためには、めっき浴浸漬後の冷却条件を15℃/sec以下にする方法もある。
(表面粗さ)
Al系めっき層103は、表面粗さが算術平均粗さでRaで0.1μm以下であるのが好ましい。0.1μm超の場合、表面の凹凸が大きくなり過ぎて、部分的に薄い領域が生じ、熱間プレス時にスケールが生成する恐れがある。また、表面皮膜層107を設ける場合も、部分的に薄い領域が生じ、表面皮膜層107としての効果が充分に得られなくなる。
より好ましくは、表面粗さが算術平均粗さRaで0.1μm以下である。
[表面皮膜層107]
熱間プレス時の熱間潤滑性をさらに向上させるために、Al系めっき鋼板100のAl系めっき層103表面には、ZnO粒子109を含む表面皮膜層107を形成する。
表面皮膜層107は、たとえば、平均粒径0.10μm以上、5.00μm以下のZnO粒子109と、有機樹脂111を含有するとともに、上記ZnO粒子109の付着量が金属Zn換算で0.5g/m2以上、10.0g/m2以下であることが好ましい。なお、母材101の両面にAl系めっき層103が形成されている場合には、少なくとも片側の当該めっき層上に表面皮膜層107を形成することができる。
表面皮膜層107は、例えば、水や有機溶剤などの各種溶剤中に上記の各成分を混合させた液を用いて形成することができる。
(ZnO粒子109)
熱間プレスで良好な熱間潤滑性を得るためには、Al系めっき層103上に、平均粒径0.10μm以上、5.00μm以下のZnO粒子109が金属Zn換算で0.5g/m2以上、10.0g/m2以下の付着量で形成されていることが好ましい。ZnO粒子109は金型と点接触し、動摩擦係数を低下させて熱間潤滑性を向上させる。しかしながら、ZnO粒子109の平均粒径が0.10μm未満では、プレス加工時にZnO粒子109と金型との接触点が多過ぎるため、熱間潤滑性が十分に向上しない。
一方、ZnO粒子109の平均粒径が5.00μmを超えると、溶接性が悪化する。ZnOは絶縁性であるが、粒径が小さいときには溶接圧加時につぶれることで通電点を十分確保することができる。しかしながら、ZnO粒子109の平均粒径が大きくなり5μmを超えると溶接圧加時にZnO粒子109がつぶれにくくなる。その結果、通電点を十分確保することができず、チリが出やすくなるため溶接性が悪化する。
なお、ZnO粒子109の平均粒径の測定方法は、特に限定されない。例えば、走査型電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)等によって任意の10個以上のZnO粒子109を2000倍で観察して、各粒子の最大粒径を測定し、平均値を算出して求めればよい。或いは、粒度分布測定装置を用いて、ZnO粒子109の平均粒径を求めても良い。
また、表面皮膜層107の全てのZnO粒子109の付着量が金属Zn換算で0.5g/m2未満では、熱間プレス時に十分な潤滑性を得ることができない。
なお、Al系めっき層103上へのZnO粒子109の付着量は、XRF(蛍光X線、X−ray Fluorescence)を用いた検量線法によって測定することができる。
なお、ここでいう付着量とは、熱間プレス時に、コンベアに載せて加熱する前の付着量である。
(有機樹脂111)
表面皮膜層107の構成要素である有機樹脂111は、ZnO粒子109を当該皮膜中に保持するバインダとして機能するものであれば、特に限定されない。有機樹脂111は、熱間プレス前の加熱時に燃焼して消失し、その後の処理であるプレス加工や溶接等に影響しないためである。有機樹脂111を水系の薬剤とする場合には、ZnOと同様に弱アルカリ性で安定なカチオン樹脂を用いることが好ましく、例えば、カチオン系ウレタン樹脂やカチオン系アクリル樹脂を用いることができる。なお、薬剤中の有機樹脂の濃度(g/kg)比率については、特に規定しない。また、有機樹脂111として使用できる樹脂は、カチオン系ウレタン樹脂(第一工業製薬社製、製品名スーパーフレックス650)などである。
有機樹脂111にバインダとしての作用を十分に発現させるためには、表面皮膜層107全体に対する有機樹脂111の含有量を、質量%で、10%以上、60%以下とすることが好ましい。上記含有量が10%未満であると、バインダとしての作用が十分に発現されず、加熱前の塗膜が剥離し易くなる。なお、バインダとしての作用を安定して得るためには、有機樹脂111の上記含有量を、15%以上とすることがより好ましい。一方、有機樹脂111の含有量が60%超であると、加熱時の不快臭の発生が顕著になる。
Al系めっき層103上への表面皮膜層107の形成方法は、特に限定されない。表面皮膜層107は上記の各主成分を溶解させた水溶液や溶剤を、Al系めっき層103上に、ロールコーターやスプレー等の公知の手法で塗布し、乾燥させることによって、形成することができる。また、表面皮膜層107を形成する際には、塗布後の乾燥方法についても特に限定されないが、熱風、IH(誘導加熱)、NIR(近赤外)、通電加熱等の、各方式を用いることができる。さらに、乾燥の際の昇温温度については、バインダである有機樹脂111のガラス転移温度(Tg)を考慮して、適宜設定することが好ましい。
<製造方法>
ここで、本発明のAl系めっき鋼板100の製造方法について、簡単に説明する。
まず、Siを質量%で6%以上、15%以下含有するAlめっき浴に鋼板を浸漬してめっき層を形成する(めっき工程)。
母材の条件は[母材101]で説明した条件と同様である。
次に、浸漬した前記鋼板を冷却する(冷却工程)。冷却は空冷であることが好ましい。気水冷却の場合、表面粗さが大きくなり過ぎ、エッチングの際に除去するめっき量が増えてしまうためである。冷却速度は特に限定しないが、5〜15℃/secが好ましい。
次に、冷却した前記鋼板をpH1以下の酸性溶液中で浸漬して、めっき表面のSi面積率が12%以下、Al系めっき層の厚さ方向のSi濃度分布における最大値が、質量%で15%以下で、Al系めっき層の厚さ方向のSi濃度分布における最大値と、Fe濃度が4質量%以下でのSi濃度の最小値の比が1.0以上、2.0以下となるとなる深さまで表層をエッチングする(エッチング工程)。
エッチングの条件を規定する理由は(厚さ方向のSi濃度分布)で説明した通りである。
以上説明したように、本発明のAl系めっき鋼板100(鋼板)によれば、Al系めっき層103表面のSi面積率を抑制することにより、熱間プレスの加熱段階でのSi濃度が高い第2層の生成を抑制し、熱間加工後塗装後耐食性の悪化を防止できる。また、表面皮膜層107を付加した本実施形態のAl系めっき鋼板100によれば、潤滑性に優れる表面皮膜層107の存在により、金型への凝着を抑制することができる。仮に、Al系めっき層103が加熱によってパウダリングした場合であっても、潤滑性に優れる表面皮膜層107の存在により、後続のプレスに使用される金型にパウダ(Al−Fe粉など)が凝着することが抑制される。従って、本実施形態の鋼板を熱間プレスする場合には、金型に凝着したAl−Fe粉を除去する工程などが不要であり、優れた生産性を実現することができる。
以下、本発明の効果を発明例により具体的に説明する。なお、本発明は、以下の発明例に用いた条件に限定されるものではない。
表1に示す化学成分(残部はFe及び不可避的不純物)の冷延鋼板(板厚1.4mm)を使用し、その両面にゼンジマー法でAl系めっき層103を形成した。Al系めっき層103形成時の焼鈍温度は、約800℃であった。Al系めっき浴には、質量%でSiが0%以上、19%以下で添加されており、他には母材101から溶出したFeが含有されていた。インヒビターを添加した塩酸水溶液でAl系めっき層103を溶解させて、溶液を高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP)によってAl系めっき層103のSi量を測定したところ、それぞれ、表2に記載した量であることが確認された。
母材101に対するAl系めっき層103の付着量を、ガスワイピング法で、片面160g/m2に調整した。めっき凝固温度域(凝固温度±20℃間)での平均冷却速度は、試料番号1乃至18、20乃至22、24、25、28乃至33は10℃/秒、試料番号19、23は22℃/秒にて実施した。試料番号1乃至13は、前記Al系めっき層103を形成後、めっき凝固後の酸洗による溶解処理を行わないものである。一方、試料番号14乃至25については、Al系めっき層103が形成された母材101を冷却後、10%の硫酸溶液中に30秒、試料番号28は300秒、試料番号29は250秒、試料番号30は200秒、試料番号31は150秒、試料番号32は15秒、33は5秒浸漬した。
試料番号26は気水冷却とし、TiO粒子懸濁液を用いて、粒子による凝固核生成と水溶液での急冷により凝固速度を速め、凝固を促進した。
試料番号27も気水冷却とし、VO粒子懸濁液を用いて、粒子による凝固核生成と水溶液での急冷により凝固速度を速め、凝固を促進した。
試料番号34は蒸留水を用いた気水冷却とした。
なお、Al系めっき層103表面のSi面積率はAESの面分析にて測定した。
その後、表面皮膜層107を形成した。表面皮膜層107形成に際しては、ZnO粒子109及び有機樹脂111を溶剤中に混合して調整した溶液を、Al系めっき層103上に塗布し、到達板温度80℃で乾燥させた。このようにして、各試験例のAl系めっき鋼板100を得た。
次に、このようにして製造した各試験例の鋼板の各種特性等を、以下の方法で評価した。
(1)めっき粗度
株式会社東京精密社製三次元粗度計(製品名:サーフコム1900DX-3DF-12)を用いて算術平均粗さRaを測定した。測定距離は30mmとして、3箇所の測定点の平均値をめっき粗度とした。
(2)めっき付着量
JIS H 8672に準じて、めっき前後の各試験例の鋼板の質量を測定し、質量差を試料の面積で除した値をめっき付着量g/m2とした。
(3)Si面積率
Al系めっき層103表面のSi面積率は、めっき後、日本電子製のJXA8500Fを使用し、5mm×5mmの視野で、EPMA(Electron Probe Micro Analyzer)の面分析を行った。その際、測定点は500点×500点、10μmステップでビーム径は10μmで測定した。
(4)Si濃度
幅50mm×長50mm切り出した各試験例の鋼板をインヒビター(ヒビロンスギムラ化学工業製 Y-30)を0.5質量%添加した10%硫酸水溶液に浸漬してめっきを溶解させ、当該溶解液をICPにて定量分析して検量線法によりSi濃度を測定した。
高周波GDSにてSi強度をSi濃度に換算した深さ方向プロファイルを採取し、最大値を、めっき中の厚さ方向のSi濃度分布における最大値とし、Fe濃度が4質量%以下の領域での最小値をめっき中のSi濃度分布における最小値とした。最大値と最小値の比を、最大値/最小値として求めた。
(5)合金層厚み
幅10mm×長30mm切り出した各試験例の鋼板を樹脂埋め込み、断面研磨して長方向の垂直断面を観察した。20mm幅において任意の20点を選び、合金層厚みを測定して20点の平均値を合金層厚みとした。
(6)合金層剥離率
幅30mm×長300mmの各試験例の鋼板を、引張り試験にてL方向伸びが10%になるように加工後、L方向中央部より試料を幅10mm×長30mm切り出して樹脂に埋め込み、断面研磨してL方向の垂直断面を観察した。20mm幅において点在する合金層剥離部位の幅を合計し、以下の式に示す剥離率にて評価した。
合金層剥離率=(100×合金層剥離長さ<mm>合計)/20<mm>
合金剥離率は15%未満を合格とした。
(7)ZnO消失試験
各試験例の鋼板を30mmφに打ち抜き、70mm×70mmのSiC製炉内台座に重ね合わせて、900℃に加熱した50mm×50mm×70mmのSUS304ブロックを載せた状態で、900℃で在炉6分加熱し、取り出した後、直ちにステンレス製金型に挟んで急冷した。加熱前後でのZn付着量をXRFにより測定してZn換算のZn付着量を測定し、Zn換算のZnO残存率を算出した。
表4に示す評価では、Zn残存率で75%以上、Zn残存量で0.40g/m2以上を合格とした。
(8)スポット溶接性
スポット溶接性は、次のように評価した。
作製した各試験例の鋼板を加熱炉内に入れ、900℃で在炉6分加熱し、取り出した後直ちにステンレス製の金型で挟んで急冷した。このときの冷却速度は、約150℃/秒であった。次に、冷却後の各鋼板を30×50mmに剪断し、スポット溶接適正電流範囲(上限電流−下限電流)を測定した。測定条件は、以下に示す通りである。下限電流は、ナゲット径3×(t)0.5となったときの電流値とし、上限電流は、散り発生電流とした。
電流:直流
電極:クロム銅製、DR(先端6mmφが40R)
加圧:400kgf(1kgfは、9.8Nである。)
通電時間:240ミリ秒
上記の値は大きいほどスポット溶接性が優れていることを意味し、表4に示す評価では、1.0kA以上を合格とした。
(9)熱間加工後塗装後耐食性
200mm×200mmの各試験例の鋼板を炉内に挿入して、SiC製の炉内台座上に評価面を接触させない向きで設置し、900℃で在炉6分加熱し、炉から取り出した後、直ちにステンレス製金型(ポンチ径50mm、肩R3mm、押え圧500kg)に挟んで絞り高さ50mmにカップ加工し、急冷した。このときのフランジ部冷却速度は、約150℃/秒であった。次に、冷却後のカップ状の各鋼板を日本パーカライジング(株)社製化成処理液(PB−SX35)で化成処理後、日本ペイント(株)社製電着塗料(パワーニクス110)を膜厚が20μmとなるように塗装し、170℃で焼き付けた。なお、900℃に設定した大気炉内に熱電対を溶接した70mm×150mmの各鋼板を挿入し、900℃になるまでの温度を計測し、平均昇温速度を算出したところ、5℃/秒であった。
塗装後耐食性評価は、自動車技術会制定のJASO M609に規定する方法で行った。即ち、塗膜に予めアクリルカッターでクロスカットを入れ、腐食試験180サイクル(60日)後のクロスカットからの塗膜膨れの幅(片側最大値)を計測した。
熱間加工後塗装後耐食性は7mm未満を合格とした。
以上の結果を表2に示す。
結果について表2に示した。表2から明らかなように、試料番号14乃至25、31では、Al系めっき層103に含まれるSi量の平均値が、6%以上で、合金層の厚みが薄くなり、その結果、合金層剥離率が15%未満と加工性が良好となった。さらに、Al系めっき層103表面のSi面積率が12%以下、めっき付着量が30g/m2以上、、Al系めっき層の厚さ方向のSi濃度分布における最大値が、質量%で15%以下で、めっき中の厚さ方向のSi濃度の最大値と、Fe濃度が4質量%以下の領域での最小値の比が1.0以上、2.0以下であったため、熱間加工後塗装後耐食性が7mm未満となり、良好な結果が得られていることが判る。
また、熱間プレス後にZnOが消失せず、溶接性も優れていた。
これに対し、試料番号1乃至3は、Al系めっき層103に含まれるSi量の平均値が、6%未満で、合金層の厚みが厚くなり、その結果、合金層剥離率が15%を超え、加工性が不良となった。また、試料番号4乃至13は、Al系めっき層103表面のSi面積率が12%を超えているため、熱間加工後塗装後耐食性について、良好な結果が得られていないことが判る。試料番号26、27は気水冷却を行ったために、表面粗さが大きくなり過ぎ、塗装後耐食性が悪化した。
試料番号28、29、30はめっき層が酸洗で除去されたため、加熱時にスケールが生成し、溶接性と塗装後耐食性が悪化した。
試料番号32は厚さ方向のSi濃度分布における最大値が大きすぎて塗装後耐食性が不合格となった。
また、試料番号4乃至13、26、27、33、34は、めっき中の厚さ方向のSi濃度の最大値と、Fe濃度が4質量%以下の領域での最小値の比が2.0超であったため、熱間プレス後に熱間プレス時に第2層を形成してしまい、塗装後耐食性が悪化した。
なお、実施例1乃至3は、めっき中の厚さ方向のSi濃度の最大値と、Fe濃度が4質量%以下の領域での最小値の比が2.0超であったが、めっき中のSi濃度の平均値が低かったため、第2相は形成しなかった。ただし、合金層が剥離してしまった。
本発明によれば、Al系めっき鋼板100について、加工性及び熱間プレス時の耐食性を十分に発現することができる。従って、本発明は、特に、自動車部品の分野において有用である。
100…Al系めっき鋼板
101…母材
103…Al系めっき層
107…表面皮膜層
109…ZnO粒子
111…有機樹脂

Claims (5)

  1. Al系めっき層に含まれるAlの平均組成が質量%で85%以上、Siが質量%で4%以上12%以下であり、めっき付着量が30g/m2以上、めっき表面のSi面積率が12%以下、Al系めっき層の厚さ方向のSi濃度分布における最大値が、質量%で15%以下で、Al系めっき層の厚さ方向のSi濃度分布における最大値と、Fe濃度が4質量%以下でのSi濃度の最小値の比が1.0以上、2.0以下であることを特徴とするAl系めっき鋼板。
  2. 前記Al系めっき層の表面粗さが算術平均粗さRaで0.1μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載のAl系めっき鋼板。
  3. 前記Al系めっき層は、厚さ方向のSi濃度分布における最大値と、Fe濃度が4質量%以下でのSi濃度の最小値の比が1.0〜1.5であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のAl系めっき鋼板。
  4. 前記Al系めっき層の上に設けられ、ZnO粒子と、有機樹脂とを含有し、前記ZnO粒子の付着量が金属Zn換算で0.5g/m2以上、10.0g/m以下である表面皮膜層を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のAl系めっき鋼板。
  5. Siを質量%で6%以上、15%以下含有するAlめっき浴に鋼板を浸漬してめっき層を形成するめっき工程と、
    浸漬した前記鋼板を冷却する冷却工程と、
    冷却した前記鋼板をpH1以下の酸性溶液中で浸漬して、めっき表面のSi面積率が12%以下、Al系めっき層の厚さ方向のSi濃度分布における最大値が、質量%で15%以下で、Al系めっき層の厚さ方向のSi濃度分布における最大値と、Fe濃度が4質量%以下でのSi濃度の最小値の比が1.0以上、2.0以下となる深さまで表層をエッチングするエッチング工程と、
    を実施することを特徴とする、Al系めっき鋼板の製造方法。
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