JP6432300B2 - 造水装置および造水方法 - Google Patents

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Description

本発明は、造水装置および造水方法に関する。
従来、海水から飲料用水を生成する造水方法として、海水を多重効用型等の蒸発装置に被処理水として供給して蒸発させることにより飲料用の淡水を生成する方法(蒸発法)が知られている。このような技術は、例えば特許文献1(特開2008−272668号公報)、特許文献2(特開2008−289976号公報)および特許文献3(特表2013−509288号公報)に開示されている。
しかし、上述の蒸発法を用いた造水方法では、蒸発装置によって高濃度に濃縮された濃縮塩水(海水の塩分濃度の2倍〜3倍程度)が海に放流されて廃棄されるため、放流される海域の塩分濃度が高まり、生態系に悪影響を与えるおそれがあった。
そこで、特許文献4(特開2008−307447号公報)では、蒸発装置において生成される高濃度の濃縮塩水を外部に排出することなく飲料用等の淡水を生成する方法として、蒸発装置で生成された濃縮塩水をドロー溶液(高浸透圧溶液)として半透膜透過器(正浸透処理装置)に供給し、フィード溶液(海水)中の水分をドロー溶液中に回収してから、正浸透処理によって希釈されたドロー溶液を蒸発装置に被処理水として還流させることを特徴とする造水装置および造水方法が提案されている。
特開2008−272668号公報 特開2008−289976号公報 特表2013−509288号公報 特開2008−307447号公報
特許文献4に開示される蒸発装置と正浸透処理装置を組み合わせた造水装置においては、ドロー溶液の流路(図3および図4に示す濃縮塩水移送管路26、濃縮塩水供給管路61、濃縮塩水室31および還流管路71)は、直接海水が供給されない閉鎖系の流路である。このため、正浸透処理装置(半透膜透過器)3の濃縮塩水室31内に供給される濃縮塩水(ドロー溶液)中のNaClは、正浸透処理装置における逆拡散によって徐々にフィード溶液側に移動し、長期間の運転により次第にドロー溶液中のNaCl濃度が低下するが、NaClは特に補充されないため、正浸透処理装置における水の回収効率が次第に低下してしまうという問題があった。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、蒸発装置において生成される高濃度の濃縮塩水を外部に排出することなく飲料用等の淡水を生成することができ、正浸透処理装置による水の回収効率が低下することを防止できる、蒸発法と正浸透処理を組み合わせた造水装置および造水方法を提供することを目的とする。
本発明は、塩化ナトリウムを含むドロー溶液を蒸発濃縮させると共に、発生した水蒸気を凝縮させることにより凝縮水を生成する蒸発装置と、
水を透過する半透膜により仕切られた、前記蒸発装置で濃縮された前記ドロー溶液が導かれるドロー溶液室、および、前記ドロー溶液よりも塩化ナトリウム濃度の低いフィード溶液が導かれるフィード溶液室を有する正浸透処理装置と、
前記半透膜を介して前記フィード溶液室から透過した水により希釈された前記ドロー溶液を前記蒸発装置に還流させる還流機構と、
ナノ濾過膜装置と、
前記ナノ濾過膜装置を用いてスケール成分を除去した除スケール海水を前記ドロー溶液の流路に補充するドロー溶液補充機構と、
前記ナノ濾過膜装置より排出されたブラインと、前記正浸透装置より排出された濃縮されたフィード溶液とを混合する機構と
を備える造水装置である。
前記ドロー溶液補充機構は、前記除スケール海水を、前記正浸透処理装置の下流側かつ前記蒸発装置の上流側において、前記ドロー溶液の流路に補充することが好ましい。
また、本発明は、蒸発装置に塩化ナトリウムを含むドロー溶液を供給し蒸発濃縮するドロー溶液濃縮ステップと、
前記蒸発装置で発生した水蒸気を凝縮することにより凝縮水を生成する凝縮水生成ステップと、
水を透過する半透膜により仕切られた、前記蒸発装置で濃縮された前記ドロー溶液が導かれるドロー溶液室、および、前記ドロー溶液よりも塩化ナトリウム濃度の低いフィード溶液が導かれるフィード溶液室を有する正浸透処理装置において、前記半透膜を介して前記フィード溶液室から透過した水により前記ドロー溶液を希釈する希釈ステップと、
希釈された前記ドロー溶液を前記蒸発装置に還流させる還流ステップと、
ナノ濾過膜装置を用いてスケール成分を除去した除スケール海水を前記ドロー溶液の流路に補充するドロー溶液補充ステップと、
前記ナノ濾過膜装置より排出されたブラインと、前記正浸透装置より排出された濃縮されたフィード溶液とを混合することにより塩化ナトリウムを希釈するステップとを備える造水方法にも関する。
本発明によれば、蒸発装置において生成される高濃度の濃縮塩水を外部に排出することなく飲料用等の淡水を生成することができ、正浸透処理装置による水の回収効率が低下することを防止できる、蒸発法と正浸透処理を組み合わせた造水装置および造水方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る造水装置を示す概略構成図である。 図1に示す造水装置の蒸発装置の一部を概略的に示す部分拡大図である。 従来の造水装置を示す概略構成図である。
以下、本発明に係る造水装置について図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る造水装置1の概略構成図である。
図1に示すように、造水装置1は、多重効用型の蒸発装置2と、正浸透処理装置3とを備えている。
蒸発装置2は、複数の蒸発缶2a〜2dと、凝縮部29とを備えている。複数の蒸発缶2a〜2dは直列的に接続されている。各蒸発缶2a〜2dは、図2に示すように、密閉型の蒸発室21、間接式加熱器22および塩化ナトリウムを含むドロー溶液(被処理水)を散布する散布ノズル23を備えている。蒸発室21内の底部は、散布ノズル23から伝熱管221に散布されたドロー溶液の一部が、伝熱管221の熱交換作用により水蒸気となって蒸発した後の濃縮塩水(濃縮されたドロー溶液)が貯留される濃縮塩水貯留部24を構成している。また、蒸発室21の底部には、生成された濃縮塩水を外部に排出するための濃縮塩水排出部26aが設けられている。蒸発室21の上部には、伝熱管221の熱交換作用により伝熱管221の外表面において生成した水蒸気を外部に排出するための蒸気排出部25aが設けられている。
間接式加熱器22は、蒸発室21内に設けられる複数の伝熱管221と、これら複数の伝熱管221の両端にそれぞれ接続されている第1ヘッダ222、第2ヘッダ223とを備えている。第1ヘッダ222は、伝熱管221内に蒸気を導く蒸気導入部25bと、他の蒸発缶の伝熱管221内で生成される凝縮水を導入するための凝縮水導入部27aとを備えている。第2ヘッダ223は、伝熱管221の熱交換作用により伝熱管221内で生成した凝縮水を外部に排出する凝縮水排出部27bを備えている。なお、第1ヘッダ222に貯留される凝縮水は、その水量が所定量を超えた場合、伝熱管221の内部を通過して第2ヘッダ223に導かれる。
散布ノズル23は、間接式加熱器22の上方に配置されており、ドロー溶液を伝熱管221の外表面に向けて散布する散布機構である。
各蒸発缶2a〜2dの相互間は、図1に示すように、前段の蒸発缶で生成された蒸気を一つ後段側の蒸発缶の伝熱管221内部に熱源として導くように、前段の蒸発缶における蒸気排出部25aと、後段の蒸発缶における蒸気導入部25bとが蒸気管路25を介して接続されている。また、前段の蒸発缶で生成され濃縮塩水貯留部24に貯留される濃縮塩水を一つ後段側の蒸発缶における散布ノズル23に導くように、前段の蒸発缶における濃縮塩水排出部26aと、後段の蒸発缶の散布ノズル23とが濃縮塩水移送管路26を介して接続されている。また、前段の蒸発缶における伝熱管221内で生成され第2ヘッダ223内に貯留される凝縮水を一つ後段側の蒸発缶における間接式加熱器22の第1ヘッダ222内に導くように、前段の蒸発缶における凝縮水排出部27bと、後段の蒸発缶における凝縮水導入部27aとが凝縮水管路27を介して接続されている。
また、最初段の蒸発缶2aにおける間接式加熱器22の第1ヘッダ222の蒸気導入部25bには、ボイラー等において生成される駆動蒸気を導く駆動蒸気管路90が接続している。なお、最初段の蒸発缶2aにおいては、凝縮水導入部27aや濃縮塩水移送管路26を設ける必要はない。
最終段の蒸発缶2dにおける凝縮水排出部27bには、凝縮水を外部に排出する凝縮水取出管路91が接続している。また、間接式加熱器22の第2ヘッダ223の蒸気排出部25aには、凝縮部29に蒸気を導く蒸気取出管路92が接続している。凝縮部29は、図示しない冷却水供給管路から導かれた冷却水によって、蒸気取出管路92を介して導かれた水蒸気を間接的に冷却して凝縮水を生成する装置である。冷却水としては、図示しない冷却塔等で冷却された工業用水や冷凍装置で冷却された冷水(チラー水)等を使用できる。
正浸透処理装置3は、図1に示すように、プレート型の半透膜3aにより内部空間が仕切られており、一方の空間がドロー溶液室31を構成し、他方の空間がフィード溶液室32を構成している。ドロー溶液室31は、蒸発装置2において生成される濃縮塩水(ドロー溶液)が後述の濃縮塩水供給機構6を介して供給される空間である。フィード溶液室32は、ドロー溶液室31に導かれる濃縮塩水(ドロー溶液)よりも塩分濃度(塩化ナトリウム濃度)が低い海水や淡水等のフィード溶液が後述のフィード溶液供給機構4を介して供給される空間である。半透膜3aは、水を透過させる性質を有する膜であり、酢酸セルロース膜やポリアミド膜、スルホン化ポリスルホン系膜などの高分子膜を例示することができる。
このような構成により、フィード溶液室32に導かれたフィード溶液中の水分が、ドロー溶液室31内のドロー溶液(濃縮塩水)が有する正浸透圧エネルギーによって吸引されて半透膜3aを透過してドロー溶液室31に流入し、ドロー溶液の水量を増加させてその塩分濃度を低下させることができる。このような正浸透処理を採用することにより、液の加圧が必要な逆浸透処理を用いる場合に比べて、造水に要するエネルギーコストを削減することができる。
また、造水装置1は、フィード溶液供給機構4、フィード溶液排出機構5、濃縮塩水供給機構6、還流機構7、ナノ濾過膜装置80およびドロー溶液補充機構8を備えている。
フィード溶液供給機構4は、正浸透処理装置3のドロー溶液室31に導かれるドロー溶液よりも塩分濃度が低いフィード溶液を、正浸透処理装置3におけるフィード溶液室32に導く機構であり、フィード溶液が通過するフィード溶液供給管路41と、ポンプ42とを備えている。なお、フィード溶液供給管路41の途中には、フィルターや濾過器等が取り付けられ、フィード溶液中に含まれる不純物が除去されるように構成されていてもよい。
フィード溶液排出機構5は、正浸透処理装置3のフィード溶液室32において水の一部が半透膜3aを介してドロー溶液室31側に透過された残りのフィード溶液と、ナノ濾過膜装置80の上流室81において塩化ナトリウム水溶液の一部が半透膜8aを介して下流室82側に透過された残りの海水(ブライン)を混合することにより排水中の塩化ナトリウム濃度を低下させた後、外部に排出する機構であり、フィード溶液室32およびナノ濾過装置の上流室81に一端が接続する移送管路51と、当該移送管路51の他端が接続しフィード溶液およびブラインを貯留する貯留槽52と、貯留槽52に貯留されるフィード溶液およびブラインを外部に排出する排出管路53と、ポンプ54とを備えている。
濃縮塩水供給機構6は、蒸発装置2において生成された濃縮塩水を正浸透処理装置3におけるドロー溶液室31に導く機構であり、最終段の蒸発缶2dにおける濃縮塩水排出部26aおよび正浸透処理装置3におけるドロー溶液室31を接続する濃縮塩水供給管路61と、ポンプ62とを備えている。なお、蒸発装置2において生成された濃縮塩水を正浸透処理装置3に導く場合、濃縮塩水が高温のため膜素材によっては所望の性能を発現できないことがある。したがって、濃縮塩水供給管路61には、濃縮塩水を冷却するための冷却装置を導入してもよい。
還流機構7は、正浸透処理装置3のドロー溶液室31において塩分濃度が薄められた濃縮塩水を蒸発装置2にドロー溶液(被処理水)として還流する機構であり、正浸透処理装置3におけるドロー溶液室31および最前段の蒸発缶2aにおける散布ノズル23を接続する還流管路71と、ポンプ72とを備えている。
ナノ濾過膜装置80は、水および1価イオンを透過する半透膜(ナノ濾過膜)8aにより仕切られた、上流室81と下流室82とを有する膜処理装置である。ナノ濾過膜8aは、2価イオンを透過させないが1価イオンや水を透過させる大きさの微小孔を有しているため、NaイオンおよびClイオンを除去せずに、Mg2+イオン、Ca2+イオンなどのスケール成分を除去することができる。このため、海水をナノ濾過膜装置80の上流室81に供給し、ナノ濾過膜8aを透過して下流室82へ移動させることで、スケール成分が除去された除スケール海水が得られる。
ドロー溶液補充機構8は、ナノ濾過膜装置80を用いてスケール成分を除去した除スケール海水の一部をドロー溶液の流路に補充する機構である。ドロー溶液補充機構8は、ナノ濾過膜装置80の下流室82と、ドロー溶液の流路の1つである還流管路71とを接続するドロー溶液補充管路84、および、ポンプ83を備えている。
ナノ濾過膜装置80およびドロー溶液補充機構8によって、スケール成分を除去した除スケール海水が、ドロー溶液補充管路84を介して、ドロー溶液の流路の1つである還流管路71内に供給される。このように、ナノ濾過膜装置を用いてスケール成分を除去した除スケール海水をドロー溶液の流路に補充することで、別途NaCl水溶液を調製することなく、ドロー溶液中のNaCl濃度の低下を抑制でき、かつドロー溶液の流路内におけるスケール生成を抑制できる。
なお、図1では、ドロー溶液補充機構8によって、除スケール海水を、正浸透処理装置3の下流側かつ蒸発装置2の上流側にある還流管路71に補充する例を示している。ただし、除スケール海水の補充は、これに限定されず、ドロー溶液の流路(図1に示す濃縮塩水移送管路26、濃縮塩水供給管路61、ドロー溶液室31および還流管路71)のどこで行ってもよく、例えば、濃縮塩水供給管路61に除スケール海水を補充してもよい。
濃縮塩水供給管路61に除スケール海水を補充すると、ドロー溶液室31の直前でドロー溶液が希釈されることになるため、正浸透処理装置3の下流側かつ蒸発装置2の上流側(還流管路71)で除スケール海水を補充した方が、ドロー溶液室31に供給されるドロー溶液の浸透圧を高くすることができ、正浸透処理装置3による水の回収効率を高めることができる。
フィード溶液供給機構10は、ナノ濾過膜装置80の上流室81に海水を導く機構であり、海水が通過する海水供給管路11と、ポンプ12とを備えている。なお、海水供給管路11の途中には、フィルターや濾過器等が取り付けられ、海水中に含まれる不純物が除去されるように構成されていてもよい。
なお、ナノ濾過膜装置80の上流室81に残ったブラインは、上流室81の一端から排出され、正浸透処理装置3のフィード溶液室32の一端から排出されるフィード溶液と混合することにより塩化ナトリウム濃度を2〜5%程度に低減された後、フィード溶液排出機構5を経由して、例えば海に放流される。このように、フィード溶液室32の一端から排出されるフィード溶液に塩化ナトリウム濃度が低下された前記ブラインを混合して放流することにより環境負荷を低減することができる。
このように構成された造水装置1により海水から飲料用等の凝縮水(淡水)を製造する方法について以下説明する。まず、還流機構7を駆動し、正浸透処理装置3のドロー溶液室31に予め収容していたドロー溶液を蒸発装置2に供給する。また、正浸透処理装置3のフィード溶液室32には、必要により前処理を行った海水を供給する。そして、駆動蒸気管路90を介してボイラー等により生成された駆動蒸気を蒸発装置2に供給する。ここで、正浸透処理装置3のドロー溶液室31に予め収容するドロー溶液として食塩水(塩化ナトリウム水溶液)を採用する。この食塩水の塩分濃度(塩化ナトリウム濃度)は、正浸透処理装置3のフィード溶液室32に供給される海水の塩分濃度により適宜変更されるが、例えば、蒸発装置2において蒸発濃縮され正浸透処理装置3のドロー溶液室31に導かれる濃縮塩水の塩分濃度が、3〜26%(30g/L〜260g/L)となるように設定する。
蒸発装置2に供給された駆動蒸気は、最前段に配置される蒸発缶2aの伝熱管221の内部に導かれる。還流機構7により導かれたドロー溶液(食塩水)は、蒸発装置2を構成する最前段の蒸発缶2aの散布ノズル23に供給され、伝熱管221の外表面に散布される。
最前段の蒸発缶2aの伝熱管221外表面に散布されたドロー溶液(被処理水)は、伝熱管221の内部を通過する駆動蒸気との間で熱交換を行い、その一部が蒸発して水蒸気となる。発生した水蒸気は、一つ後段側の蒸発缶2bにおける伝熱管221に熱源として導かれる。また、伝熱管221の外表面において蒸発しなかったドロー溶液は、その塩分濃度が高められた濃縮塩水となり、伝熱管221の外表面に沿って流下して蒸発室21の底部に貯留される。底部に貯留された濃縮塩水は、濃縮塩水排出部26aから濃縮塩水移送管路26を介して一つ後段側の蒸発缶2bの散布ノズル23に導かれる。また、伝熱管221の内部を通過する駆動蒸気は、伝熱管221の外表面に散布されたドロー溶液との熱交換により凝縮水(淡水)に変換され、間接式加熱器22の第2ヘッダ223に貯留され、凝縮水管路27を介して、一つ後段側の蒸発缶2bにおける間接式加熱器22の第1ヘッダ222に導かれる。
最前段の蒸発缶2aの一つ後段側に配置される蒸発缶2bにおいては、散布ノズル23から伝熱管221の外表面に散布される濃縮塩水と、一つ前側の蒸発缶2aにおいて生成され伝熱管221内を通過する蒸気との間で熱交換を行い、水蒸気と濃縮塩水とが生成されると共に、伝熱管221内において凝縮水(淡水)が生成される。蒸発装置2を構成する他の蒸発缶2c,2dにおいても同様な処理を順次行うことにより、飲料用等の淡水の生成およびドロー溶液の濃縮が行われる。
蒸発装置2を構成する各蒸発缶2a〜2dの伝熱管221内で生成された凝縮水(淡水)は、順次、凝縮水管路27を介して後段側の蒸発缶に導かれ、最終的に、蒸発装置2の最も後段側に配置される蒸発缶2dの凝縮水排出部27bから凝縮水取出管路91を介して取り出される。また、蒸発装置2の最も後段側に配置される蒸発缶2dの伝熱管221表面において生成された水蒸気は、蒸気取出管路92を介して、凝縮部29に導かれて淡水に変換された後、管路93を介して取り出される。取り出された淡水は、その後、飲料用水や、電子工業等の各種工業における洗浄用水等として利用される。
蒸発装置2の最も後段側に配置される蒸発缶2dに貯留される高濃度の濃縮塩水は、濃縮塩水供給機構6により正浸透処理装置3のドロー溶液室31に導かれる。フィード溶液室32には、フィード溶液供給機構4を介して、ドロー溶液室31に導かれる濃縮塩水よりも塩分濃度が低い海水が供給されているので、濃縮塩水とフィード溶液との浸透圧差により、半透膜3aを介してフィード溶液中(海水中)の水のみがドロー溶液室31側に浸透する。この結果、ドロー溶液室31に供給された濃縮塩水は希釈増量されて、その塩分濃度が低下する。一方、フィード溶液室32に供給された海水は、当該海水中の一部の水が半透膜3aを介してドロー溶液室31側に透過された後、ナノ濾過膜装置80のブラインと混合され、フィード溶液移送管路51を介して貯留槽52に一端貯留され、その後、排出管路53を介して、例えば、海に排出される。
なお、フィード溶液排出機構5を介して排出される海水は、スケール成分濃度が高められた状態になっているので、電解式スケール除去装置等でスケール成分を除去した後に放流するのが好ましい。また、正浸透処理装置3のフィード溶液室32を通過する海水の流量を適宜調整することにより、海水が放流される海域の生態系に悪影響を与えない範囲となるように、放流される海水の塩分濃度を設定する。フィード溶液室32を通過する海水(フィード溶液)の流量は、例えば、海水の10%〜30%の水分が、半透膜3aを介してドロー溶液室31に透過されるように設定することが好ましい。
希釈増量され塩分濃度が低下した濃縮塩水は、還流機構7により最前段の蒸発缶2aにおける散布ノズル23にドロー溶液として還流され、再び蒸発装置2において蒸発濃縮されて飲料用等の淡水が製造される。
上述のように、本実施形態に係る造水装置1によれば、蒸発装置2で濃縮された濃縮塩水を正浸透処理装置3において希釈増量した後、蒸発装置2において濃縮してドロー溶液として繰り返し再利用できるように構成されているので、蒸発装置2において生成された濃縮塩水を外部に排出することなく(例えば、海に放流して廃棄することなく)、飲料用等の淡水を製造することが可能になる。
また、正浸透処理装置3においては、フィード溶液供給機構4により導かれる海水中の水のみを半透膜3aを介して蒸発装置2に還流される濃縮塩水に移動させており、もしフィード溶液中に海水に含まれる硫酸カルシウム等のスケール成分が残っていたとしても、蒸発装置2に還流されるドロー溶液中に移動することがない。つまり、蒸発装置2および正浸透処理装置3を循環する液体が、食塩水であることを維持することができる。
その結果、各蒸発缶2a〜2dの伝熱管221の表面等に硫酸カルシウム等のスケールが析出することを確実に防止できるので、伝熱管221の熱交換効率が低下することがなく、海水から淡水を効率よく製造することが可能になる。また、スケールの析出を防止できるので、蒸発装置2に供給される駆動蒸気の温度をより一層高めて、各蒸発缶2a〜2dを更に高温の作動温度条件下で駆動することが可能になり、効率よく大量の淡水を製造することができる。
また、蒸発缶2a〜2dの伝熱管221の表面等にスケールが析出することを確実に防止できる結果、海水からスケール成分を予め除去するためのナノ濾過膜装置や、スケール析出抑制のための薬品添加装置、脱炭酸塔設備等のスケール析出防止対策装置を設ける必要がなく、造水装置1のコンパクト化・低コスト化を図ることができる。更に、酸添加も不要になるので、蒸発缶における腐食を防止することもできる。
以上、本発明に係る造水装置1の一実施形態について説明したが、本発明の具体的な構成は、上記実施形態に限定されない。
例えば、上記の実施形態では、正浸透処理装置3が、ドロー溶液とフィード溶液を同方向に流すいわゆる並流型の正浸透処理装置である場合について説明したが、変形例として、ドロー溶液室31とフィード溶液室32において、ドロー溶液とフィード溶液を逆方向に流すいわゆる向流型の正浸透処理装置であってもよい。
また、上記実施形態においては、プレート型の半透膜3aにより、内部がドロー溶液室31およびフィード溶液室32に仕切られる正浸透処理装置3を採用しているが、このような構成に特に限定されない。例えば、中空糸型、スパイラル型又は管状型等種々の半透膜により、内部がドロー溶液室31およびフィード溶液室32に仕切られる種々の正浸透処理装置3を採用することができる。
また、本実施形態に係る造水装置1を用いて海水から飲料用等の淡水を製造する方法についての上記説明において、正浸透処理装置3のドロー溶液室31に予め食塩水を収容して造水装置1の駆動を開始する構成について説明したが、食塩水の代わりに所定の加熱運転温度と所定の塩分濃度でスケールが析出しないように予めスケール成分を除去した海水を供給して造水装置1の駆動を開始してもよい。
また、上記実施形態においては、蒸発装置2が複数の蒸発缶2a〜2dを備える多重効用型の蒸発装置である場合について説明したが、これに限定されず、例えば、単一の蒸発缶を備える単缶型の蒸発装置や、多段フラッシュ蒸発型の蒸発装置であってもよい。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 造水装置、2 蒸発装置、2a〜2d 蒸発缶、21 蒸発室、22 間接式加熱器、23 散布ノズル、24 濃縮塩水貯留部、25 蒸気管路、25a 蒸気排出部、25b 蒸気導入部、26 濃縮塩水移送管路、26a 濃縮塩水排出部、27 凝縮水管路、27a 凝縮水導入部、27b 凝縮水排出部、29 凝縮部、3 正浸透処理装置、3a 半透膜、31 ドロー溶液室、32 フィード溶液室、4 フィード溶液供給機構、41 フィード溶液供給管路、12,42,54,62,72,83 ポンプ、5 フィード溶液排出機構、51 フィード溶液移送管路、52 貯留槽、53 排出管路、6 濃縮塩水供給機構、61 濃縮塩水供給管路、7 還流機構、71 還流管路、8 ドロー溶液補充機構、8a ナノ濾過膜、80 ナノ濾過膜装置、81 上流室、82 下流室、84 ドロー溶液補充管路、90 駆動蒸気管路、91 凝縮水取出管路、92 蒸気取出管路、93 管路、10 海水供給機構、11 海水供給管路、221 伝熱管、222 第1ヘッダ、223 第2ヘッダ

Claims (3)

  1. 塩化ナトリウムを含むドロー溶液を蒸発濃縮させると共に、発生した水蒸気を凝縮させることにより凝縮水を生成する蒸発装置と、
    水を透過する半透膜により仕切られた、前記蒸発装置で濃縮された前記ドロー溶液が導かれるドロー溶液室、および、前記ドロー溶液よりも塩化ナトリウム濃度の低いフィード溶液が導かれるフィード溶液室を有する正浸透処理装置と、
    前記半透膜を介して前記フィード溶液室から透過した水により希釈された前記ドロー溶液を前記蒸発装置に還流させる還流機構と、
    ナノ濾過膜装置と、
    前記ナノ濾過膜装置を用いてスケール成分を除去した除スケール海水を前記ドロー溶液の流路に補充するドロー溶液補充機構と、
    前記ナノ濾過膜装置より排出されたブラインと、前記正浸透処理装置より排出された濃縮されたフィード溶液とを混合する機構と、
    前記ブラインおよび前記濃縮されたフィード溶液の混合液よりスケール成分を除去する機構と
    を備える造水装置。
  2. 前記ドロー溶液補充機構は、前記除スケール海水を、前記正浸透処理装置の下流側かつ前記蒸発装置の上流側において、前記ドロー溶液の流路に補充する、請求項1に記載の造水装置。
  3. 蒸発装置に塩化ナトリウムを含むドロー溶液を供給し蒸発濃縮するドロー溶液濃縮ステップと、
    前記蒸発装置で発生した水蒸気を凝縮することにより凝縮水を生成する凝縮水生成ステップと、
    水を透過する半透膜により仕切られた、前記蒸発装置で濃縮された前記ドロー溶液が導かれるドロー溶液室、および、前記ドロー溶液よりも塩化ナトリウム濃度の低いフィード溶液が導かれるフィード溶液室を有する正浸透処理装置において、前記半透膜を介して前記フィード溶液室から透過した水により前記ドロー溶液を希釈する希釈ステップと、
    希釈された前記ドロー溶液を前記蒸発装置に還流させる還流ステップと、
    ナノ濾過膜装置を用いてスケール成分を除去した除スケール海水を前記ドロー溶液の流路に補充するドロー溶液補充ステップと、
    前記ナノ濾過膜装置より排出されたブラインと、前記正浸透処理装置より排出された濃縮されたフィード溶液とを混合することにより塩化ナトリウムを希釈するステップと、
    前記ブラインおよび前記濃縮されたフィード溶液の混合液よりスケール成分を除去するステップと
    を備える造水方法。
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