JP6429957B1 - オーステナイト系ステンレス鋼およびその製造方法、ならびに燃料改質器および燃焼器の部材 - Google Patents

オーステナイト系ステンレス鋼およびその製造方法、ならびに燃料改質器および燃焼器の部材 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、DMEを原燃料とした改質ガス環境下の耐酸化性と、耐クリープ特性とを有するオーステナイト系ステンレス鋼およびその製造方法、ならびに燃料改質器および燃焼器の部材を提供する。
【解決手段】母材の化学組成が、質量%で、C:0.130%以下、Si:5.00%以下、Mn:3.00%以下、P:0.050%以下、S:0.0100%以下、Cr:15.0〜25.0%、Ni:8.0〜19.5%、Cu:3.0%以下、Mo:3.0%以下、N:0.300%以下、B:0〜0.010%、Ga:0〜0.020%、Ca:0〜0.020%、Co:0〜0.50%、Sn:0〜0.50%、Al:0〜0.50%、Nb:0〜0.50%、Ti:0〜0.50%、V:0〜0.50%、Sb:0〜0.50%、W:0〜0.50%、Mg:0〜0.005%、Zr:0〜0.5%、Ta:0〜0.1%、Y:0〜0.1%、Hf:0〜0.1%、REM:0〜0.1%、残部:Feおよび不可避的不純物であり、かつ
[10([B]+[Ga]+[Ca])+[Co]+[Sn]>0.2]を満たすオーステナイト系ステンレス鋼。
【選択図】なし

Description

本発明は、オーステナイト系ステンレス鋼およびその製造方法、ならびにそれを用いた燃料改質器および燃焼器の部材に関するものであり、特に、ジメチルエーテルを原燃料とした場合に好適である。
近年、石油を代表とする化石燃料の枯渇化、CO2排出による地球温暖化現象等の問題から、水素をエネルギー媒体として活用するための水素製造技術の開発が進められている。中でも、分散電源として実用的価値が高い家庭用燃料電池(以下「エネファーム」と記載する。)に用いられる水素は、主として、都市ガス(LNG)、メタン、天然ガス、プロパン、灯油、ガソリン等の炭化水素系燃料を原燃料として水蒸気改質反応によって製造されている。
ところで、最近、環境にやさしい新たな燃料候補としてジメチルエーテル(以下「DME」と記載する。)が注目されている(非特許文献1)。非特許文献1で示されているように、DMEは、無色・無臭で毒性が極めて低い気体であり、かつ加圧すると容易に液化することが知られている。このように、DMEは、上述の炭化水素系燃料と比較して毒性が低く、かつ取り扱いが容易であり、液化して貯蔵しやすい利点もあるため、これを新燃料とした水素製造技術が検討されている。
非特許文献2には、DMEを燃料としてメタノールへの加水分解を経由して水素を改質する水蒸気改質反応が開示されている。その際、改質ガスは、例えば、36.6%水素、50.7%水蒸気からなる多量の水素−水蒸気を含むことを特徴としている。非特許文献2で開示された技術は、クリーンで高効率な大規模発電システムを想定した水素の製造を意図としている。
また、特許文献1には、DME、酸素、および不活性ガスからなる酸化剤を混合した燃料ガスを使用して、一酸化炭素を経由した二段階の気相反応を経て水素を得る技術が開示されている。本製造法では、水素の改質温度を低温化することができる一方で、改質ガスは、多量の一酸化炭素を含むことが特徴である。なお、特許文献1で開示された技術は、既存のインフラにおいて、エネファーム、または燃料電池自動車の燃料となる水素の製造を意図としている。
従来、炭化水素系燃料を原燃料とし、水素ガスを抽出するための燃料改質器、または、燃焼器用途のステンレス鋼としては、SUS310S(25Cr−20Ni)に代表される耐熱オーステナイト系ステンレス鋼が例示される。
特許文献2には、Cr:15〜25%、Ni:7〜15%、C:0.02〜0.1%、Si:1〜4%、Mn:2%以下、S:0.008%以下を含み、さらにN:0.05〜0.20%、Mo:1.0〜3.0%、Nb:0.05〜0.50%の1種または2種以上を含む石油系燃料改質器用オーステナイト系ステンレス鋼が開示されている。これらステンレス鋼は、多量の水蒸気および二酸化炭素からなる雰囲気中、900℃で100時間加熱した後の酸化皮膜にCr23が30質量%以上含まれていることを特徴としている。
特許文献3には、Cr:15〜25%、C:0.1%以下、Si:5%以下、Mn:3%以下、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Ni:8〜18%、Cu:3%以下、Mo:3%以下、N:0.3%以下を含み、さらにNb:0.01〜0.5%、Ti:0.01〜0.5%、V:0.01〜0.5%、Al:0.01〜0.5%、B:0.005%以下、Mg:0.005%以下の1種または2種以上を含む酸化皮膜の密着性に優れた燃料改質器用オーステナイト系ステンレス鋼が開示されている。
これらのステンレス鋼は、水蒸気と多量の水素からなる雰囲気中、850℃で1000時間加熱した後の酸化皮膜について、表面にSiおよび/またはMnを含むCr系酸化物層を形成し、Cr系酸化物層と母材との間に、Si酸化物、Mn酸化物、Nb酸化物、Ti酸化物、Al酸化物の2種以上が混在していることを特徴としている。
特開2010−18477号公報 特開2003−160841号公報 特開2015−1008号公報
高圧ガス保安協会,"DME(ジメチルエーテル)について",[online],[平成29年6月10日検索],インターネット<URL: https://www.khk.or.jp/activities/research_development/lpg_lab/faq_dme.html> 東芝レビュー:vol.59,No.11(2004)
上述したとおり、最近、DMEは水素を製造する新たな燃料として提案されており、改質ガスは、多量の水蒸気、水素に加え、さらに一酸化炭素を含むという特徴を持つ。そして、一酸化炭素は、鋼の酸化を加速させる。そして、DMEを燃料とした水素製造に関する技術について記載されている非特許文献2および特許文献1では、その改質ガス環境に好適な鋼材について一切言及されていない。
また、炭化水素系燃料改質器用途として検討された特許文献1および2で開示された技術では、DMEを燃料とした改質ガス環境下の酸化特性、特に一酸化炭素の影響についての言及はない。このように、燃料改質器および燃焼器を構成する部材において、DMEを原燃料として使用した場合、その改質ガス環境下において、適応しうる耐酸化性が新たな課題である。
さらに、主として戸建での利用を想定したエネファームと比較して、業務用から大規模な発電システムを想定した水素製造を行う場合、燃料改質器および燃焼器に関わる設備の大型化に伴う高温運転中のクリープ変形、特に構造体としての耐久性向上の視点から僅かな変形を抑止することも新たな課題として浮上した。
以上に述べたとおり、DMEを原燃料とした改質ガス環境下の耐酸化性を有し、設備の大型化に対応し得る耐クリープ特性および経済性を兼備したオーステナイト系ステンレス鋼については未だ得られていないのが現状である。
本発明の目的は、上述した課題を解消し、DMEを原燃料とした改質ガス環境下に適応した耐酸化性を有し、設備の大型化に対応し得る耐クリープ特性および経済性を兼備したオーステナイト系ステンレス鋼およびその製造方法、ならびに燃料改質器および燃焼器の部材を提供することにある。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、その要旨は、下記のオーステナイト系ステンレス鋼およびその製造方法、ならびに燃料改質器および燃焼器の部材にある。
(1)母材の化学組成が、質量%で、
C:0.130%以下、
Si:5.00%以下、
Mn:3.00%以下、
P:0.050%以下、
S:0.0100%以下、
Cr:15.0〜25.0%、
Ni:8.0〜19.5%、
Cu:3.0%以下、
Mo:3.0%以下、
N:0.300%以下、
B:0〜0.010%、
Ga:0〜0.020%、
Ca:0〜0.020%、
Co:0〜0.50%、
Sn:0〜0.50%、
Al:0〜0.50%、
Nb:0〜0.50%、
Ti:0〜0.50%、
V:0〜0.50%、
Sb:0〜0.50%、
W:0〜0.50%、
Mg:0〜0.005%、
Zr:0〜0.5%、
Ta:0〜0.1%、
Y:0〜0.1%、
Hf:0〜0.1%、
REM:0〜0.1%、
残部:Feおよび不可避的不純物
であり、かつ(i)式を満たすオーステナイト系ステンレス鋼。
10([B]+[Ga]+[Ca])+[Co]+[Sn]>0.2・・・(i)
但し、上記式中の元素記号は、各元素の含有量(質量%)を示す。
(2)前記化学組成が、質量%で、
Al:0.01〜0.50%、
Nb:0.01〜0.50%、
Ti:0.01〜0.50%、
V:0.01〜0.50%、
Sb:0.01〜0.50%、
W:0.01〜0.50%、
Mg:0.0001〜0.005%、
Zr:0.001〜0.5%、
Ta:0.001〜0.1%、
Y:0.001〜0.1%、
Hf:0.001〜0.1%、
REM:0.001〜0.1%、
から選択される1種以上を含有する、(1)に記載のオーステナイト系ステンレス鋼。
(3)前記母材の表面にCr系酸化皮膜を備え、該Cr系酸化皮膜と前記母材との間に、Si酸化物および/またはMn酸化物を有する、(1)または(2)に記載のオーステナイト系ステンレス鋼。
(4)ジメチルエーテルを燃料とする改質ガス環境下で用いられる、
(1)〜(3)のいずれかに記載のオーステナイト系ステンレス鋼。
(5)水蒸気、水素および一酸化炭素を含む雰囲気下で用いられる、
(1)〜(4)のいずれかに記載のオーステナイト系ステンレス鋼。
(6)燃料改質器または燃焼器用である、(1)〜(5)のいずれかに記載のオーステナイトステンレス鋼。
(7)(3)に記載のオーステナイト系ステンレス鋼を製造する方法であって、
(1)または(2)に記載の化学組成を有する鋼に対して、水蒸気、水素および一酸化炭素を含む雰囲気中において、200〜1050℃の温度範囲で熱処理を施す、オーステナイト系ステンレス鋼の製造方法。
(8)(1)〜(6)のいずれかに記載のオーステナイト系ステンレス鋼を用いた、ジメチルエーテルを燃料とする燃料改質器または燃焼器の部材。
本発明によれば、DMEを原燃料とした改質ガス環境下の耐酸化性を有し、設備の大型化に対応し得る耐クリープ特性および経済性を兼備したオーステナイト系ステンレス鋼およびその製造方法、ならびに燃料改質器および燃焼器の部材を提供することができる。
図1は、クリープ試験片の形状を示す図である。
本発明者らは、前述した課題を解決するために、DMEを原燃料とした改質ガス環境下において求められる耐酸化性と、設備の大型化で生じる僅かな変形を抑止する耐クリープ特性を兼備するオーステナイト系ステンレス鋼について鋭意実験と検討を重ね、本発明を完成させた。以下に本発明で得られた知見について説明する。
(a)一酸化炭素が多量に存在する改質ガス環境下では、従来の改質ガス環境と比べて、酸化が加速される。このような加速酸化のメカニズムは未だ不明な点も多いが、Cr系酸化皮膜と鋼表層において、一酸化炭素に起因する侵炭によりCr系炭化物を生成して、酸化に加えてCrの消費が重畳したことによると推察される。
(b)上述した改質ガス環境下において、SiおよびMnは、Cr系酸化皮膜と鋼表層に濃化し、侵炭に伴うCrの消費を抑制して、Cr系酸化皮膜の保護性を高める作用を持つ。これらの元素は、Cr系酸化皮膜と母材との界面にSi酸化物、および/またはMn酸化物(SiとMnとの複合酸化物を含む。)を形成して、鋼表層での侵炭のバリヤーとして作用する。特に、SiはCr系酸化皮膜の外層において、FeとFeSiOに代表される酸化物(以下、「Fe−Si系酸化物」ともいう。)を形成して侵炭のバリヤーとして有効に作用する。
(c)上記の侵炭に伴う表面のバリヤー効果を高めるには、予めCr系酸化皮膜と母材との界面にSi酸化物および/またはMn酸化物(SiとMnとの複合酸化物を含む。)を形成しておくことが有効である。そのため、鋼を水蒸気、水素、および一酸化炭素を含む雰囲気中で予め200〜1050℃の熱処理を行うことも有効であることも知見した。
(d)加えて、前記した侵炭に伴うCr消費を抑制するには、B、Ga、Ca、CoおよびSnの微量添加が有効に作用することも知見した。B、GaおよびCaは、C、N、SおよびOと結合して化合物を形成し、鋼の清浄度を向上させてCr系酸化皮膜の保護性を高める。CoおよびSnは鋼表層への侵炭のバリヤー効果を重畳する。CuおよびMoの添加も同様な作用を持つ。
(e)また、設備の大型化に伴い、高温運転中の構造体で課題となる僅かな変形を抑止するには、材料の高温強度およびクリープ破断寿命そのものを上昇させるよりも、800℃付近の定荷重下で生じる1%までのクリープ歪に到達する時間を遅延させることが極めて効果的である。
(f)前記したクリープ強さは、上述した微量元素の添加により著しく向上することを見出した。特に、B、Ga、Snは、1%までの初期のクリープ歪に至る時間を大幅に遅延させる作用を持つ。これら微量元素は、偏析により結晶粒界のすべりを遅延させ、更に、結晶粒内において転位密度の上昇に伴う内部応力を高める作用がある。
上述したように、一酸化炭素が多量に存在する改質ガス環境下において、Si、Mnの添加による酸化皮膜の制御と、B、Ga、Ca、Co、Snの微量添加により、高合金化または製造コストの増加する特殊な製造法に頼ることなく、耐酸化性とクリープ特性を付与できる全く新規な知見が得られた。このように、本発明は、上述した検討結果に基づいて完成されたものである。
1.化学組成
以下、本発明の限定理由は以下のとおりである。なお、各元素の含有量の「%」表示は「質量%」を意味する。
C:0.130%以下
Cは、Cr系炭化物の生成を促進して、本発明の目標とする耐酸化性に有効なCrを消費する。そして、Cr系炭化物の析出は、高温強度およびγ相の安定性も低下させる。したがって、C含有量は、0.130%以下とする。しかし、過度なC含有量の低減は、γ相の組織安定性と本発明の目標とするクリープ特性の低下を招くため、0.010%以上であるのが好ましく、0.020%以上であるのがより好ましい。
Si:5.00%以下
Siは、耐酸化性を向上させる作用を有する元素である。一酸化炭素が多量に存在する改質ガス環境下では、Cr系酸化皮膜と鋼表層に濃化し、前述したとおり侵炭に伴う加速酸化を抑制する。これら効果は、0.10%付近から発現し、1.00%以上で顕著になる。Siは、Cr系酸化皮膜の外層にも濃化することでFeSiOを形成し、侵炭のバリヤー効果を持つ。一方、過剰な添加は鋼の加工性および溶接性の低下と、高温で脆化相であるσ相の生成を助長するため、Si含有量は、5.00%以下とする。耐酸化性の観点から、Si含有量は2.00%以上であるのが好ましく、2.50%以上であるのがより好ましい。一方、基本特性の点から、Si含有量は4.00%以下であるのが好ましく、3.50%以下であるのがより好ましい。
Mn:3.00%以下
Mnは、γ相の安定性を高め、Niの代替成分として有効であることに加え、本発明の耐酸化性を確保する上でも効果のある元素である。改質ガス環境下でSiと同様に、Cr系酸化皮膜と鋼表層へ濃化し、前述したとおり侵炭に伴う加速酸化を抑制する。これら効果は、0.10%付近から発現し、0.50%以上で顕著になる。
一方、過度な含有は、鋼の耐食性および耐酸化性の低下にも繋がるため、Mn含有量は、3.00%以下とする。耐酸化性の点から、Mn含有量は、0.50%以上であるのが好ましく、0.80%以上であるのがより好ましい。一方、基本特性の点から、Mn含有量は、2.50%以下であるのが好ましく、1.50%以下であるのがより好ましい。なお、上述した加速酸化の抑制に寄与するためには、鋼中のSiおよびMnの一方または両方の含有量が、上記した好ましい下限値以上であることが好ましい。
P:0.050%以下
Pは、鋼中に含まれる不可避的不純物元素であり、本発明の目標とする耐酸化性の低下を招く。したがって、P含有量は、0.050%以下とする。しかし、過度の低減は精錬コストの上昇を招く。したがって、P含有量は、0.005%以上であるのが好ましく、0.010%以上であるのがより好ましい。また耐酸化性および製造性の点から、P含有量は、0.020%以上であるのが好ましく、0.030%以下であるのが好ましい。
S:0.0100%以下
Sは、鋼中に含まれる不可避的不純物元素であり、本発明の目標とする耐酸化性を低下させる。特に、Mn系介在物、または母相に固溶したSの存在は、高温・長時間使用におけるCr系酸化皮膜を破壊する起点としても作用する。したがって、S含有量は、低いほど好ましいが、過度の低減は原料コストおよび精錬コストの上昇を招く。したがって、S含有量は、0.0100%以下とする。また、耐酸化性および製造性の点から、S含有量は、0.0002%以上であるのが好ましい。
Cr:15.0〜25.0%
Crは、耐食性に加えて、耐酸化性およびクリープ特性を向上させる作用を有する元素である。Cr含有量が15.0%未満では、目標とする基本特性が十分に確保されない。したがって、Cr含有量は、15.0%以上とする。しかし、Crの過度な含有は、高温雰囲気に曝された際、脆化相であるσ相の生成を助長することに加え、γ相の安定性も確保し難くなる。さらに、合金コストの削減の点から、Cr含有量は25.0%以下とする。また、基本特性および耐酸化性とコストの点から、Cr含有量は、17.0%以上であるのが好ましく、22.0%以下であるのが好ましい。
Ni:8.0〜19.5%
Niは、γ相を維持するために必要不可欠な元素である。γ相の組織安定性およびクリープ特性を維持するために、Ni含有量は、8.0%以上とする。しかし、19.5%を超える過剰の含有は、合金コストの上昇に加え、γ凝固による製造性および溶接性の低下を招く。このため、Ni含有量は、19.5%以下とする。基本特性の点から、Ni含有量は、9.0%以上であるのが好ましく、11.0%以上であるのがより好ましい。一方、製造性およびコストの点から、Ni含有量は、15.0%以下であるのが好ましく、14.0%以下であるのがより好ましい。
Cu:3.0%以下
Cuは、γ相の安定性を高め、Niの代替成分として有効であることに加え、耐食性、耐酸化性およびクリープ特性の改善に効果のある元素である。しかし、過度な含有は、熱間加工性および溶接性の低下にも繋がる。このため、Cu含有量は、3.0%以下とする。基本特性の点から、Cu含有量は、0.1%以上であるのが好ましく、0.5%以上であるのがより好ましい。一方、製造性の点から、Cu含有量は、2.5%以下であるのが好ましく、2.0%以下であるのがより好ましい。
Mo:3.0%以下
Moは、耐食性を著しく高め、Cuと同様に耐酸化性およびクリープ特性の向上に効果のある元素である。しかし、過度な含有は、合金コストの上昇、および製造性の低下にも繋がる。このため、Mo含有量は、3.0%以下とする。基本特性の点から、Mo含有量は、0.1%以上であるのが好ましく、0.5%以上であるのがより好ましい。一方、製造性およびコストの点から、Mo含有量は、2.5%以下であるのが好ましく、1.0%以下であるのがより好ましい。
N:0.300%以下
Nは、Ni、Cu、Mnと同様に、γ相の組織安定性およびクリープ特性を維持するために効果のある元素である。しかし、過度な含有は、Cr系窒化物の析出を誘発し、耐酸化性に有効なCr量を消費する。したがって、N含有量は、0.300%以下とする。N含有量は、0.250%以下であるのが好ましい。一方、N含有量の過度な低減は、製造性およびγ相の組織安定性を阻害する。したがって、N含有量は、0.010%以上であるのが好ましい。
また、耐酸化性の点から、N含有量は、0.010%以上であるのが好ましく、0.050%未満であるのが好ましい。そして、Cr含有量が、20.0%を超える場合、Nの含有は、過度なNi添加に頼ることなくγ相の組織安定性を確保するため、有効である。このため、Cr含有量との兼ね合いから、Nを積極的に含有させる場合は、N含有量は、0.180%以上であるのが好ましく、0.200%超であるのがより好ましい。
本発明においては、以下の、B、Ga、Ca、Co、Snの元素の中から1種以上を含有させる。それぞれの元素について以下に詳しく説明する。
B:0〜0.010%
Ga:0〜0.020%
Ca:0〜0.020%
B、Ga、Caは、耐酸化性およびクリープ特性を高める上で有効な微量元素である。そして、B、Ga、Caは、上述したとおり、Cr系酸化皮膜の保護性を高めて、耐酸化性を向上させる。しかしながら、これらの元素を過度に含有させると、Crと化合物を形成して、耐酸化性およびクリープ特性に有効なCrを消費する。したがって、それぞれの元素の含有量は、B:0.010%以下、Ga:0.020%以下およびCa:0.020%以下とする。
B含有量は、0.005%以下であるのが好ましい。また、Ga含有量は、0.015%以下であるのが好ましい。さらに、Ca含有量は、0.005%以下であるのが好ましい。
一方、上記効果を得るためには、B:0.0002%以上、Ga:0.0005%以上、Ca:0.0005%以上から選択される1種以上を含有するのが好ましい。さらに、BおよびGaは前記したとおり、クリープ特性の向上にも有効であるため、B含有量は0.0005%以上であるのがより好ましく、Ga含有量は、0.001%以上であるのがより好ましい。
Co:0〜0.50%
Sn:0〜0.50%
CoおよびSnは、B、GaおよびCaと同様に耐酸化性およびクリープ特性を高める上で有効な微量元素である。CoおよびSnは、上述したとおり、鋼表層への侵炭のバリヤー効果により耐酸化性を向上させる。しかしながら、過度な含有は、製造性の低下とコストの上昇を招くため、それぞれの元素の含有量は、Co:0.50%以下、Sn:0.50%以下とする。
Co含有量は、0.40%以下であるのが好ましく、Sn含有量は、0.30%以下であるのが好ましい。
一方で、上記効果を得るために、それぞれの元素の含有量は、Co:0.01%以上、Sn:0.01%以上であるのが好ましい。さらに、CoおよびSnは、前述したとおり、クリープ特性の向上にも効果的であり、その観点から、それぞれの元素の含有量は、Co:0.10%以上、Sn:0.02%以上であるのがより好ましい。
B、Ga、Ca、CoおよびSnの含有量は、それぞれ上記した範囲内であるとともに、それぞれの含有量の関係において、以下の式(i)を満たすものとする。
10([B]+[Ga]+[Ca])+[Co]+[Sn]>0.2・・・(i)
但し、上記式中の元素記号は、各元素の含有量(質量%)を示す。
本発明の目標とする耐酸化性およびクリープ特性を得るために、式(i)の左辺値は0.2超とする。式(i)の左辺値は、0.3以上であるのが好ましい。一方、式(i)の左辺値は、1.0未満であることが好ましく、0.7以下であるのがより好ましく、0.5以下であるのがさらに好ましい。
さらに必要に応じて、以下の元素を含有させても良い。
Al:0〜0.50%
Nb:0〜0.50%
Ti:0〜0.50%
V:0〜0.50%
Sb:0〜0.50%
W:0〜0.50%
Al、Nb、Ti、V、Sb、Wは、耐酸化性および高温強度の向上に有効な元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、過度な含有は、析出または偏析により本発明の目標とする耐酸化性および製造性を阻害する作用を持つ。このため、これら元素の含有量は、Al:0.50%以下、Nb:0.50%以下、Ti:0.50%以下、V:0.50%以下、Sb:0.50%以下、W:0.50%以下とする。一方で、上記効果を得るためには、Al:0.01%以上、Nb:0.01%以上、Ti:0.01%以上、V:0.01%以上、Sb:0.01%以上、W:0.01%以上から選択される1種以上を含有するのが好ましい。
Mg:0〜0.005%
Mgは、熱間加工性を改善する作用を持つため、必要に応じて含有させる。しかしながら、過度の含有は、本発明の目標とする耐酸化性を阻害するため、Mg含有量は0.005%以下とする。一方で、上記効果を得るためには、Mg含有量は、0.0001%以上であるのが好ましい。
Zr:0〜0.5%
Ta:0〜0.1%
Y:0〜0.1%
Hf:0〜0.1%
REM:0〜0.1%
Zr、Ta、Y、Hf、REMは、従来からCr系酸化皮膜の耐酸化性を著しく高める作用を持つため、必要に応じて含有させる。しかしながら、過度の含有は、製造コストを増加させ、また、歩留まりといった製造性を低下させる。このため、それぞれの含有量は、Zr:0.5%以下、Ta:0.1%以下、Y:0.1%以下、Hf:0.1%以下、REM:0.1%以下とする。
一方で、上記効果を得るためには、Zr:0.001%以上、Ta:0.001%以上、Y:0.001%以上、Hf:0.001%以上、REM:0.001%以上であるのが好ましい。
ここで、本発明において、REMは、Scおよびランタノイドの合計16元素を指すものとし、REMの含有量は、これらの元素の合計含有量を指す。これら元素は極めて高価であるため、コスト対効果の点から、添加する場合の範囲は、総量で0.01〜0.05%とすることが好ましい。
本発明の鋼板において残部はFeおよび不可避的不純物である。ここで「不可避的不純物」とは、鋼を工業的に製造する際に、鉱石、スクラップ等の原料、製造工程の種々の要因によって混入する成分であって、本発明に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
2.酸化皮膜の形成
本発明のオーステナイト系ステンレス鋼には、上記成分を含有することにより、母材の表面にCr系酸化皮膜が形成される。また、Cr系酸化皮膜と母材との間に、Si酸化物および/またはMn酸化物(SiおよびMnの複合酸化物を含む。)を有していることが好ましい。これにより、一酸化炭素が多量に存在する改質ガス環境下において、耐酸化性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼とすることができる。
なお、Cr系酸化皮膜の化学組成については特に限定されないが、上述のように、Cr系酸化皮膜の外層において、SiおよびFeが、Fe−Si系酸化物として含まれることが好ましい。
本発明では、グロー放電質量分析(GDS分析)において、表面から、OおよびCrが5%(質量%)以上検出される深さ位置までの領域を、Cr系酸化皮膜が形成している領域とする。なお、本発明におけるCr系酸化皮膜の一例として、例えば、表面から深さ方向に1μm以内の位置までの領域である場合があるが、表面から深さ方向に1μm以上の位置までの領域であってもよい。
なお、GDS分析法により、Cr系酸化皮膜中に、FeおよびSiがそれぞれピーク値で、5%(質量%)以上検出される場合を、Cr系酸化皮膜中(外層)にFe−Si系酸化物が存在すると判断することとする。測定においては、表面から母材に十分到達する深さである0.1mm深さまで測定を行なうことが好ましい。
また、Cr系酸化皮膜と母材との間のSi酸化物および/またはMn酸化物の有無の判定については、酸化皮膜の断面をFE−SEM観察およびEDS元素分析することにより行うこととする。本発明では、Cr系酸化皮膜直下にSi、MnがOとともに検出されるか否かによって、上記酸化物の有無を判定する。具体的には、EDS分析においては、SiがOとともに検出され、かつ、分析を行なっている鋼成分より、高い含有量が検出された場合に、Si酸化物が形成していると判定する。また、Mn酸化物についても、Si酸化物と同様に判定する。さらに、SiおよびMnの両者が検出され、かつ、分析を行っている鋼成分より、それぞれ高い含有量が検出された場合に、複合酸化物が形成していると判定する。
3.製造方法
本発明のオーステナイト系ステンレス鋼は、主として、熱間圧延鋼帯を焼鈍あるいは焼鈍を省略してデスケーリングの後冷間圧延し、続いて仕上げ焼鈍とデスケーリングした冷延焼鈍板を対象としている。場合によっては、冷間圧延を施さない熱延焼鈍板でも構わない。
さらに、燃料改質器または燃焼器の部材の一つとして、例えば、ガス配管が例示されるが、ガス配管には、鋼板から製造した溶接管も含まれる。また前述した配管は、溶接管に限定されるものではなく、熱間加工により製造した継目無管でもよい。上述した鋼の仕上げ焼鈍は、900〜1150℃の温度域で行なうのが好ましい。900℃未満の仕上げ焼鈍では、鋼の軟質化および再結晶が不十分となり、所定の材料特性が得られないこともある。他方、仕上げ焼鈍の温度が、1150℃超では粗大粒となり、鋼の靭性・延性を阻害することがある。
そして、長期使用を想定した耐久性は、上記オーステナイト系ステンレス鋼を燃料改質器または燃焼器用として使用する前に、予備酸化を行い、システムの運転初期において、表面にCr系酸化皮膜を形成し、Cr系酸化皮膜と母材との間にSi酸化物および/またはMn酸化物を形成させておくことが有効である。
燃料改質器または燃焼器の運転前に、予め上述の酸化皮膜および酸化物を表面に形成しておくことで、金属表面の状態と比較して、初期に形成される酸化皮膜の均一性・バリヤー性を高め、長期使用の耐酸化性を一層向上させることができる。予備酸化条件は、200〜1050℃で24h以下とすることが好ましい。予備酸化は、水蒸気、水素および一酸化炭素を含む雰囲気中で行うことができ、好ましい予備酸化雰囲気は、例えば、10〜30%HO−5〜10%CO−Bal.Hという条件である。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に成分を示す各種オーステナイト系ステンレス鋼を溶製し、熱間圧延し、その後、酸洗、冷間圧延をし、仕上げ焼鈍を行い、板厚0.8mmの冷延焼鈍材を製造した。
Figure 0006429957
各冷延焼鈍材から試験片を切り出し、各試験片を、酸化試験に供した。酸化試験は、30体積%H2O+10%体積%CO−5体積%CO2−Bal.H2の雰囲気とし、650℃に加熱し、1000h継続した後で室温まで冷却した。酸化試験後のオーステナイト系ステンレス鋼板の表面酸化皮膜は、グロー放電質量分析法(GDS分析法)により、厚さおよび酸化物濃度を測定した。なお、測定に用いたGDS分析機器は、リガク社製(機種:750)である。
また、クロスセクションポリシャーにより試料調整した酸化皮膜の断面に対して、FE−SEM観察およびEDS元素分析を行い、Cr系酸化皮膜直下にSi、MnがOとともに検出された場合を、Cr系酸化皮膜と母材との間に酸化物が存在すると判定し、表2の「母材との間」の「Si酸化物」、「Mn酸化物」欄に「○」を記入した。
EDS分析においては、SiがOとともに検出され、かつ、分析を行なっている鋼成分より、高い含有量が検出された場合に、Si酸化物が存在していると判定した。また、MnがOとともに検出され、かつ、分析を行なっている鋼成分より、高い含有量が検出された場合にMn酸化物が存在していると判定した。
さらに、Cr系酸化皮膜中のFeおよびSiの含有量についても測定を行なった。前述したように、Cr系酸化皮膜中にFeおよびSiがそれぞれピーク値で5%(質量%)以上検出された場合、Fe−Si系酸化物が存在すると判断し、表2中の「Fe−Si系酸化物」の欄に「○」を、存在しない場合には、「−」を記載した。なお、本実施例においては、全ての試験片において、5%以上のFeが検出された。すなわち、5%以上のSiが検出されたか否かにより、Fe−Si系酸化物の有無を判定した。
本発明は、酸化皮膜の剥離を生じず、SUS310S(25Cr−20Ni)を基準として、酸化増量が大きい場合を「×」、同程度の場合を「○」、小さい場合を「◎」とした。また、測定に用いたGDS分析機器は、リガク社製(機種:750)であり、EDS分析機器は、日本電子製(機種:JSM6400型)で、加速電圧は15kV測定を行なった。
クリープ試験は、JIS Z 2271準拠する定荷重試験とし、図1に示すように、平行部10mm幅で35mm長さの板状試験片を用いた。試験条件は、800℃、初期応力35MPaとし、僅かな高温変形に関わる耐クリープ強さを評価するために、1%までのクリープ歪に到達に至る時間を測定した。ここで、1%のクリープ歪に到達する時間は、SUS310S(25Cr−20Ni)と同程度の100h未満のものを「×」、100h以上のものを「○」、500hを超えるものを「◎」として耐クリープ強さを評価した。なお、本発明の目標とする耐クリープ強さは「○」または「◎」とする。
得られた結果を表2に示す。
Figure 0006429957
No.14は特性上、基準となるSUS310S(25Cr−20Ni)である。No.1〜9は、本発明で規定する成分を有し、DMEを原燃料とした改質ガス環境を想定した酸化試験により健全なCr系酸化皮膜を生成し、本発明の目標とする耐酸化性とクリープ特性を満たしたものである。
さらに、No.3、8は、より好ましいSiおよびMn量に対して、より好ましい範囲で微量元素を含有させた場合であり、本発明の目標とする耐酸化性とクリープ特性の両者が「◎」であった。また、No.9は、REMを含有させた場合であり、上記のより好ましい成分範囲から外れるものの良好な耐酸化性を有した。No.10は、No.1と同鋼を25%H2O−5%CO2−5%CO−bal.H2中、650℃で24h予備酸化して、Cr系酸化皮膜の健全性を改善したものであり、耐酸化性の評価「◎」となった。
No.11〜13は、本発明で規定する鋼成分から外れるものであり、本発明の特徴である微量元素の含有量の範囲を満たさないものである。これら鋼は、耐酸化性およびクリープ特性の少なくともいずれか一方において評価「×」となった。
本発明によれば、Si、Mnと微量元素のB、Ga、Ca、Co、Snにより、DMEを原燃料とした改質ガス環境下において求められる耐酸化性と設備の大型化で生じる僅かな変形を抑止する耐クリープ特性を兼備したオーステナイト系ステンレス鋼を提供することができる。
本発明のオーステナイト系ステンレス鋼は、特殊な製造方法によらず、工業的に生産することが可能である。したがって、燃料電池、ガスタービン、発電システムなどに用いられる高温部材、エキゾーストマニホールド、コンバータ、マフラー、ターボチャージャー、EGRクーラー、フロントパイプ、センターパイプ等の自動車部材、ストーブ・ファンヒータ等の燃焼機器、圧力鍋等の圧力容器など、高温環境下で使用される部材全般に好適な材料を提供することができる。

Claims (8)

  1. 母材の化学組成が、質量%で、
    C:0.130%以下、
    Si:5.00%以下、
    Mn:3.00%以下、
    P:0.050%以下、
    S:0.0100%以下、
    Cr:15.0〜25.0%、
    Ni:8.0〜19.5%、
    Cu:3.0%以下、
    Mo:3.0%以下、
    N:0.300%以下、
    B:0〜0.010%、
    Ga:0〜0.020%、
    Ca:0〜0.020%、
    Co:0〜0.50%、
    Sn:0〜0.50%、
    Al:0〜0.50%、
    Nb:0〜0.50%、
    Ti:0〜0.50%、
    V:0〜0.50%、
    Sb:0〜0.50%、
    W:0〜0.50%、
    Mg:0〜0.005%、
    Zr:0〜0.5%、
    Ta:0〜0.1%、
    Y:0〜0.1%、
    Hf:0〜0.1%、
    REM:0〜0.1%、
    残部:Feおよび不可避的不純物
    であり、かつ(i)式を満たし、ジメチルエーテルを燃料とする改質ガス環境下で用いられる、オーステナイト系ステンレス鋼。
    10([B]+[Ga]+[Ca])+[Co]+[Sn]>0.2・・・(i)
    但し、上記式中の元素記号は、各元素の含有量(質量%)を示す。
  2. 母材の化学組成が、質量%で、
    C:0.130%以下、
    Si:5.00%以下、
    Mn:3.00%以下、
    P:0.050%以下、
    S:0.0100%以下、
    Cr:15.0〜25.0%、
    Ni:8.0〜19.5%、
    Cu:3.0%以下、
    Mo:3.0%以下、
    N:0.300%以下、
    B:0〜0.010%、
    Ga:0.0005〜0.020%、
    Ca:0〜0.020%、
    Co:0〜0.50%、
    Sn:0〜0.50%、
    Al:0〜0.50%、
    Nb:0〜0.50%、
    Ti:0〜0.50%、
    V:0〜0.50%、
    Sb:0〜0.50%、
    W:0〜0.50%、
    Mg:0〜0.005%、
    Zr:0〜0.5%、
    Ta:0〜0.1%、
    Y:0〜0.1%、
    Hf:0〜0.1%、
    REM:0〜0.1%、
    残部:Feおよび不可避的不純物
    であり、かつ(i)式を満たすオーステナイト系ステンレス鋼。
    10([B]+[Ga]+[Ca])+[Co]+[Sn]>0.2・・・(i)
    但し、上記式中の元素記号は、各元素の含有量(質量%)を示す。
  3. 前記化学組成が、質量%で、
    Al:0.01〜0.50%、
    Nb:0.01〜0.50%、
    Ti:0.01〜0.50%、
    V:0.01〜0.50%、
    Sb:0.01〜0.50%、
    W:0.01〜0.50%、
    Mg:0.0001〜0.005%、
    Zr:0.001〜0.5%、
    Ta:0.001〜0.1%、
    Y:0.001〜0.1%、
    Hf:0.001〜0.1%、
    REM:0.001〜0.1%、
    から選択される1種以上を含有する、請求項1または2に記載のオーステナイト系ステンレス鋼。
  4. 前記母材の表面にCr系酸化皮膜を備え、該Cr系酸化皮膜と前記母材との間に、Si酸化物および/またはMn酸化物を有する、請求項1〜3のいずれかに記載のオーステナイト系ステンレス鋼。
  5. 水蒸気、水素および一酸化炭素を含む雰囲気下で用いられる、
    請求項1〜4のいずれかに記載のオーステナイト系ステンレス鋼。
  6. 燃料改質器または燃焼器用である、請求項1〜5のいずれかに記載のオーステナイトステンレス鋼。
  7. 請求項に記載のオーステナイト系ステンレス鋼を製造する方法であって、
    請求項1〜3のいずれかに記載の化学組成を有する鋼に対して、水蒸気、水素および一酸化炭素を含む雰囲気中において、200〜1050℃の温度範囲で熱処理を施す、オーステナイト系ステンレス鋼の製造方法。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載のオーステナイト系ステンレス鋼を用いた、ジメチルエーテルを燃料とする燃料改質器または燃焼器の部材。
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