以下に、本発明の実施の形態にかかる監視装置および監視システムを図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる監視システムの構成例を示す図である。実施の形態1の監視システムは、自装置の位置を認識し、自装置の位置を示す位置情報を無線にて送信する通信装置1と、画像を撮像する複数の撮像装置2と、通信装置1から送信された位置情報および撮像装置2で撮像された画像に基づいて通信装置1を監視する監視装置4と、を備える。なお、本実施の形態では、説明を簡単化するために通信装置1を1台としているが、複数台としても構わない。通信装置1が複数台の場合、監視装置4は、複数の通信装置1の各々を対象として後述する動作を実施し、各通信装置1を監視する。
通信装置1は、GPS(Global Positioning System)などを利用して自装置の位置情報を取得する位置情報取得部11と、位置情報取得部11が取得した位置情報を通信網3経由で監視装置4へ送信する情報送信部12とを備える。通信装置1は、自装置の位置情報および位置情報を取得した時間を周期的に監視装置4へ送信する。通信装置は、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、本発明にかかる監視システム用に開発された専用端末などである。
撮像装置2は、自装置の周囲を撮像して画像データを生成する撮像部21と、撮像部21が生成した画像データを通信網3経由で監視装置4へ送信するデータ送信部22と、を備える。撮像装置2は、道路の交差点、建物への入り口、その他の監視が必要な場所などに設置されている。そして、撮像装置2は、設置された場所の周囲の状態を撮像するとともに、撮像した画像の画像データを通信網3経由で監視装置4へ送信する。撮像装置2は、画像データを送信する際、画像を撮像した時間の情報(以下、撮像時間情報とする)も併せて送信する。本実施の形態では、撮像部21が生成する画像データが動画像データの場合を想定して説明するが、生成する画像を静止画像データとしてもよい。撮像部21は、静止画像データを生成する場合、短周期で撮像を繰り返し行い、撮像するごとに静止画像データを生成する。データ送信部22は、撮像部21で静止画像データが生成されるごとに、生成された静止画像データおよび撮像時間情報を監視装置4へ送信する。撮像時間情報は撮像部21が生成してもよいしデータ送信部22が生成してもよい。
監視装置4は、通信装置1が送信した位置情報を取得し、位置情報に基づいて通信装置1の所持者の監視が必要か否かを判断するとともに、監視が必要な場合には取得した位置情報を保持しておく、監視必要性判断手段として動作する位置追跡部5と、通信装置1の所持者の監視が必要な場合に通信装置1の近辺に設置されている撮像装置2を検索する、撮像装置検索手段として動作する撮像装置検索部6と、複数の撮像装置2の各々の情報を管理する撮像装置情報管理部7と、画像データ管理手段として動作し、撮像装置2が撮像した画像の画像データおよび撮像時間情報を取得して管理する画像データ管理部8と、通信装置1の所持者の監視が必要な場合に、通信装置1の近辺に存在している移動物を検知して検知した移動物の情報を収集するとともに、検知した移動物の監視が必要か否かを判断する、監視対象管理手段として動作する監視対象管理部9と、通信装置1が送信した位置情報が取得できなくなった場合および位置情報の示す位置が変化しなくなった場合に、監視対象管理部9で検知され、かつ監視が必要と判断された移動物の移動先を推測する経路推測部10と、を備える。なお、撮像装置検索部6、画像データ管理部8、監視対象管理部9および経路推測部10は追跡手段を構成する。
撮像装置情報管理部7は、図2に示した構成の撮像装置情報を予め保持して管理している。図2に示したように、撮像装置情報は、「装置No.」、「設置位置」および「方向」から構成されている。「装置No.」は撮像装置の識別情報である。「設置位置」は、撮像装置が設置されている位置を示す位置情報である。「方向」は、撮像装置の撮像面が向けられている方向、すなわち撮像方向を示す情報(以下、撮像方向情報とする)である。撮像方向情報は、例えば、基準方向に対する撮像面の角度を示す情報とする。基準方向は各撮像装置2で共通であり、例えば、北(北極点に向かう方向)とし、撮像面が北を向いている場合は撮像方向情報を0度、撮像面が西を向いている場合は+45度、撮像面が東を向いている場合は−45度、などとする。複数の撮像装置2の中の一部が全方位を撮像可能な装置である場合、これら一部の装置についての撮像方向情報は不要である。複数の撮像装置2の全てが全方位を撮像可能な装置である場合、撮像装置情報管理部7が撮像方向情報を保持しておく必要はない。撮像方向情報を基準方向に対する角度の情報とするのではなく、単純に、東、西、南、北、北東、南西、東南東、北北西、など、方向そのものの情報としてもよい。監視対象管理部9は、通信装置1の近辺に設置されている撮像装置2から取得された画像データを分析することにより、通信装置1の近辺に存在している移動物を検知する。通信装置1の近辺とは、通信装置1から取得した位置情報が示す位置に基づいて特定される範囲であり、例えば、位置情報が示す位置を中心とした一定範囲内とする。例えば、位置情報が示す位置を中心とした半径50m以内の範囲、位置情報が示す位置を中心とした半径100m以内の範囲、などとする。移動物は、自動車、自転車、人などである。
監視装置4は、通信装置1から位置情報を取得するごとに、通信装置1の所持者の状態に異常がないか否か、すなわち、所持者を監視する必要があるか否かを判断する。監視装置4は、異常ありと判断した場合、所持者の近辺に存在している移動物の情報を収集する。
なお、通信網3は、通信装置1と監視装置4の間の通信、撮像装置2と監視装置4の間の通信を実現できるものであればよく、通信方式、接続形態などは問わない。通信網3を無線通信ネットワークとしてもよいし有線通信ネットワークとしてもよい。また、オープンネットワークでもよいしクローズドネットワークでもよい。複数のネットワークを組み合わせて通信網3が構成されていてもよい。本実施の形態では、通信装置1が監視装置4へ位置情報を送信するための無線通信ネットワークと、撮像装置2が監視装置4へ画像データを送信するための有線通信ネットワークと、により通信網3が構成されているものとする。
通信装置1、撮像装置2および監視装置4を実現するためのハードウェア構成について説明する。図3は、通信装置1を実現するためのハードウェア構成例を示す図である。図4は、撮像装置2を実現するためのハードウェア構成例を示す図である。図5は、監視装置4を実現するためのハードウェア構成例を示す図である。
通信装置1は、図3に示したように、例えば、プロセッサ51と、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などで構成されるメモリ52と、無線通信モジュール53と、GPSレシーバ54とにより実現することが可能である。プロセッサ51、メモリ52、無線通信モジュール53およびGPSレシーバ54はバス50に接続され、バス50を介してデータ、制御情報などの受け渡しを相互に行うことが可能である。
通信装置1の位置情報取得部11は、位置情報取得部11用のプログラムを格納したメモリ52と、メモリ52に格納されているプログラムを実行するプロセッサ51と、GPSレシーバ54とにより実現することができる。すなわち、プロセッサ51が位置情報取得部11用のプログラムを実行し、GPSレシーバ54を利用して位置情報を取得する。情報送信部12は無線通信モジュール53を利用して実現することができる。
撮像装置2は、図4に示したように、例えば、プロセッサ51と、メモリ52と、カメラ55と、入出力インタフェース56とにより実現することが可能である。プロセッサ51、メモリ52、カメラ55および入出力インタフェース56はバス50に接続され、バス50を介してデータ、制御情報などの受け渡しを相互に行うことが可能である。
撮像装置2の撮像部21は、撮像部21用のプログラムを格納したメモリ52と、メモリ52に格納されているプログラムを実行するプロセッサ51と、カメラ55とにより実現することができる。すなわち、プロセッサ51が撮像部21用のプログラムを実行し、カメラ55を利用して自装置の周囲を撮像することにより実現することができる。データ送信部22は入出力インタフェース56を利用して実現することができる。入出力インタフェース56は、監視装置4またはその他の装置から画像データの送信指示などを受け取る際にも利用される。カメラ55は、CCDイメージセンサ又はCMOSイメージセンサといった撮像素子及びレンズを備えている。
監視装置4は、図5に示したように、例えば、プロセッサ51と、メモリ52と、入出力インタフェース56とにより実現することが可能である。プロセッサ51、メモリ52および入出力インタフェース56はバス50に接続され、バス50を介してデータ、制御情報などの受け渡しを相互に行うことが可能である。
監視装置4の位置追跡部5は、位置追跡部5用のプログラムをメモリ52に格納しておき、メモリ52に格納されているプログラムをプロセッサ51が実行することにより実現することができる。また、撮像装置検索部6は、撮像装置検索部6用のプログラムをメモリ52に格納しておき、メモリ52に格納されているプログラムをプロセッサ51が実行することにより実現することができる。また、監視対象管理部9は、監視対象管理部9用のプログラムをメモリ52に格納しておき、メモリ52に格納されているプログラムをプロセッサ51が実行することにより実現することができる。経路推測部10は、経路推測部10用のプログラムをメモリ52に格納しておき、メモリ52に格納されているプログラムをプロセッサ51が実行することにより実現することができる。撮像装置情報管理部7は、撮像装置情報管理部7用のプログラムをメモリ52に格納しておき、メモリ52に格納されているプログラムをプロセッサ51が実行するとともに、メモリ52内の特定の領域に撮像装置情報を記憶させることにより実現することができる。画像データ管理部8は、画像データ管理部8用のプログラムをメモリ52に格納しておき、メモリ52に格納されているプログラムをプロセッサ51が実行するとともに、メモリ52内の特定の領域に画像データを記憶させることにより実現することができる。入出力インタフェース56は、通信装置1から位置情報を取得する際、撮像装置2から画像データを取得する際、などにおいて利用される。
なお、複数のプロセッサおよび複数のメモリが連携して通信装置1の位置情報取得部11、撮像装置2の撮像部21、監視装置4の位置追跡部5、撮像装置検索部6、撮像装置情報管理部7、画像データ管理部8、監視対象管理部9および経路推測部10を実現するようにしてもよい。
以下、本実施の形態の監視システムの動作について、図1、図6〜図11を参照しながら説明する。図6および図7は、実施の形態1の監視システムの動作例を示すフローチャートである。図8は、位置追跡部5で管理されている位置情報の一例を示す図である。図9および図10は、監視対象管理部9により収集された情報の一例を示す図である。図11は、通信装置1およびその近辺の移動物の移動経路を説明するための図である。
本実施の形態では、何らかの異常発生に伴い、監視装置4が通信装置1から正しい位置情報を取得できなくなる場合の動作について説明する。ここでは、一例として、通信装置1の所持者が車両に乗せられて連れ去られ、その後のある時点から通信装置1から位置情報が得られなくなるケースを想定して説明を行う。監視装置4は、例えば、通信装置1から取得した位置情報が示す位置が予め登録されている移動経路から外れている場合、異常発生と判断する。しかし、異常発生の検出方法をこれに限定するものではない。取得した位置情報に基づいて通信装置1の移動速度を求め、移動速度がしきい値以上の場合に異常発生と判断する、取得した位置情報に基づいて通信装置1の移動方向を求め、移動方向が予め登録されている目的地に向かう方向と異なる場合に異常発生と判断する、などとしてもよい。その他の方法で異常発生を検出してもよい。
本実施の形態の監視システムにおいて、通信装置1は自装置の位置情報および位置情報を取得した時間を示す時間情報を周期的に監視装置4へ送信している。また、複数の撮像装置2は、自装置の周囲を撮像して画像データを生成し、画像を撮像した時間を示す撮像時間情報とともに監視装置4へ送信している。監視装置4においては、画像データ管理部8が、各撮像装置2から送信された画像データおよび撮像時間情報を受け取って保持している。
監視装置4は、通信装置1から位置情報を受信すると(ステップS1)、受信した位置情報および位置情報とともに送信されてきた時間情報を位置追跡部5が受け取る。そして、位置追跡部5は、受け取った位置情報に基づき、監視条件を満足しているかどうか、すなわち、位置情報を送信してきた通信装置1の所持者を監視する必要があるかどうか、確認する(ステップS2)。位置追跡部5は、例えば、位置情報が示す位置が正しい経路から外れている場合、具体的には、通信装置1の所持者の移動経路として予め登録されている移動経路から外れている場合、監視条件を満足していると判断する。位置追跡部5は、通信装置1の正しい移動経路の情報を予め保持しているものとする。正しい移動経路の情報は、例えば、自宅と学校の間の通学経路上における一定間隔ごと、例えば100mごとの地点の位置情報、自宅と学校の通学経路上の交差点の位置情報、自宅から塾までの経路上における一定間隔ごとの地点の位置情報、自宅から友達の家までの経路上における一定間隔ごとの地点の位置情報のなどである。また、自宅の位置情報を保持しておき、自宅からの距離が既定値以下、例えば自宅から半径500m以内のエリア内を正しい移動経路としてもよい。位置追跡部5は、正しい移動経路の情報を1つ以上保持しているものとする。位置追跡部5は、例えば、ステップS1で取得した位置情報が示す位置が、正しい移動経路の情報として保持している各位置情報が示す各位置のいずれからも離れている場合、監視条件を満たしていると判断する。一例として、通学経路上における100mごとの地点の位置情報を正しい経路の情報として保持している場合、位置追跡部5は、ステップS1で取得した位置情報が示す位置が、正しい経路の情報として保持している各位置情報が示すいずれの位置からも100m以上離れている場合、監視条件を満たしていると判断する。すなわち、位置追跡部5は、ステップS1で取得した位置情報が示す位置と、正しい経路の情報として保持している各位置情報が示す各位置との距離を順番に算出し、算出した距離のうち、1つでも100m未満であれば、通信装置1の所持者の監視は必要がないと判断し、算出した距離の全てが100m以上の場合、通信装置1の所持者の監視が必要と判断する。また、他の判断方法として、位置追跡部5は、ステップS1で取得した位置情報と過去に取得した位置情報とに基づいて通信装置1の移動方向を推定し、移動方向が本来と逆の方向の場合、例えば、下校時間帯に自宅とは反対の方向へ、すなわち学校に向かって移動している場合、通信装置1の所持者の監視が必要と判断する。通信装置1の正しい移動経路の情報は通信網3を介して取得しておいてもよいしその他の方法で取得しておいてもよい。監視条件を満足していない場合(ステップS2:No)、すなわち、通信装置1の所持者を監視する必要がない場合、位置追跡部5は処理を終了する。この場合、監視装置4は、次の位置情報の受信待ち状態となる。
監視条件を満足している場合(ステップS2:Yes)、位置追跡部5は、受け取った位置情報および時間情報をテーブル化して記録する(ステップS3)。位置情報は、図8に示したように、「時間」、「地点」および「許容誤差範囲」から構成されている。なお、位置情報の構成は図8に示したものに限定されない。「時間」は受信した時間情報が示す時間であり、通信装置1が位置情報を取得した時間に相当する。「地点」は通信装置1から受け取った位置情報が示す位置、すなわち、通信装置1の位置を示す。ただし、「地点」が示す位置と通信装置1の実際の位置に誤差が存在する場合もある。「許容誤差範囲」は位置情報が示す位置と通信装置1の実際の位置との許容誤差を示す。図8の例では、「許容誤差範囲」が±10mであるため、時間T1における通信装置1の実際の位置が地点(x1,y1)から10m離れている可能性がある。なお、図8は、時間T1、時間T2、時間T3の順番で位置情報を取得した場合の例を示している。
位置追跡部5は、位置情報を記録した後、位置情報が示す位置に変動があるかどうかを確認する(ステップS4)。すなわち、前回取得した位置情報と今回取得した位置情報が同じか否かを確認する。ただし、通信装置1による位置の検出誤差を考慮し、前回の位置情報が示す位置と今回の位置情報が示す位置の差が所定値以上の場合に変動ありと判断する。図8に示した「許容誤差範囲」が±10mの場合、例えば前回と今回の位置の差が10m以上であれば変動ありと判断する。ここで、ステップS4を実行する理由について説明する。繰り返し取得している位置情報が一定時間にわたって同じ位置を示す場合、通信装置1が破棄された可能性がある。すなわち、本来の監視対象である通信装置1の所持者から通信装置1が取り上げられてしまい、位置情報を利用しての通信装置1の所有者(監視対象者)の監視ができなくなった可能性がある。この場合には、位置情報を利用した監視を終了して他の監視方法に切り替える必要があるため、位置追跡部5は、ステップS3で位置情報を記録した後、ステップS4を実行する。
位置が変動している場合(ステップS4:No)、位置追跡部5は、繰り返し取得している位置情報が示す位置が一定時間にわたって変動していないか否かを判断するための位置監視タイマをリスタートする(ステップS5)。なお、位置の変動ありと判断した時点で位置監視タイマが動作していない場合には、位置監視タイマを単にスタートさせる。
位置が変動していない場合(ステップS4:Yes)、位置追跡部5は、位置監視タイマがタイムアウトしたか否かを確認する(ステップS14)。タイムアウトした場合(ステップS14:Yes)、監視装置4は、後述する監視対象検索を開始する(ステップS15)。
位置監視タイマがタイムアウトしていない場合(ステップS14:No)、および、上記ステップS5を実行して位置監視タイマをリスタートさせた場合、位置追跡部5は、今回受信した位置情報を撮像装置検索部6および監視対象管理部9に出力する。撮像装置検索部6は、位置追跡部5から入力された位置情報が示す位置の近辺に設置されている撮像装置2を検索する(ステップS6)。このステップS6において、撮像装置検索部6は、撮像装置情報管理部7で管理されている撮像装置2の位置情報を確認し、位置追跡部5から入力された位置情報である今回の位置情報が示す地点および位置情報の許容誤差範囲(図8参照)に基づいて決定される範囲内に設置されている撮像装置2を検索する。撮像装置検索部6は、少なくとも、今回の位置情報が示す地点および位置情報の許容誤差範囲から特定される範囲内に設置されている撮像装置2を検索する。今回の位置情報が示す地点および位置情報の許容誤差範囲から特定される範囲に加えて、この範囲の近辺に設置されている撮像装置2を併せて検索するようにしてもよい。
次に、ステップS6で検索した撮像装置2の画像データを監視対象管理部9が画像データ管理部8から取得する(ステップS7)。このステップS7の動作を詳細に説明すると、まず、撮像装置検索部6が、ステップS6での検索結果を画像データ管理部8へ通知する。このとき、撮像装置検索部6は、今回の位置情報を通信装置1が取得した時間も併せて通知する。次に、画像データ管理部8が、通知された検索結果が示す撮像装置2の画像データのうち、今回の位置情報を通信装置1が取得した時間t0と、この時間から一定時間が経過した時間t1とにより決まる範囲、すなわち、t0〜t1の時間範囲に含まれている画像データを監視対象管理部9へ出力する。監視対象監視部9は、画像データ管理部8から出力された画像データを受け取る。ここで、「撮像装置2の画像データ」とは、撮像装置2が撮像した画像の画像データである。なお、画像データ管理部8は、撮像装置検索部6から検索結果の通知を受けた時点で時間t1の画像データを撮像装置2から受け取っていない場合、時間t1の画像データを受け取るまで待ってから、t0〜t1の時間範囲に含まれている画像データを監視対象管理部9へ出力する。仮に、複数の撮像装置2を撮像装置21〜2mとし、かつステップS6で撮像装置22〜24が検索されたとした場合、画像データ管理部8は、t0〜t1の時間範囲において撮像装置22〜24の各々が撮像した画像の画像データを監視対象管理部9へ出力する。また、撮像装置検索部6は、ステップS6で検索した撮像装置2の撮像方向情報を撮像装置情報管理部7から取得して監視対象管理部9へ通知する。
監視対象管理部9は、画像データ管理部8から画像データを取得すると、取得した画像データに対して画像認識技術を適用して監視対象候補を認識する(ステップS8)。すなわち、監視対象管理部9は、取得した画像データを分析し、画像データに監視対象候補のデータが含まれているか否か確認する。ここで、監視対象候補とは画像に映っている移動物である。監視対象管理部9は、画像データ管理部8から取得した画像データが複数の場合、取得した画像データの各々を分析し、監視対象候補を認識する。移動物が自動車である場合、監視対象管理部9は、例えば、車体の形状の情報、エンブレムの形状の情報、車体に付与されているマークの形状などをデータベース化して保持しておく。監視対象管理部9は、画像データ管理部8から画像データを取得すると、画像データを分析して隣接している画素同士の輝度を比較することによりエッジ検出を行い、撮像されている物体の形状を検知する。検知する物体の数は複数の場合もある。自動車が撮像されている場合、例えば、自動車の車体の形状、エンブレムの形状、マークの形状を検知する。また、車体の色を検知する。監視対象管理部9は、画像データを分析し、まず、検知した物体の形状とデータベースで保持しているデータが示す各種車体の形状とを比較し、検知した物体が自動車か否かを判別する。検知した物体が自動車である場合、監視対象管理部9は、さらに、エンブレムの形状、マークの形状などの、自動車の特徴を示す情報を収集する。
監視対象管理部9は、画像データ管理部8から取得した画像データを分析して監視対象候補を認識すると、監視対象候補の特徴、移動経路および時間を記録する(ステップS9)。監視対象管理部9は、ステップS8で画像データを分析した結果、監視対象候補が含まれていないと判断すると、ステップS9および後述するステップS10,S11を実行しない。ステップS9で記録する時間は、分析した画像データが撮像装置2で生成された時間、すなわち、撮像装置2が画像を撮像した時間である。この時間は上記のt0〜t1の時間範囲に含まれる。監視対象候補の特徴は、監視対象候補である移動物が自動車である場合、車種、メーカー、色などである。ここでいう車種とは、車体の形状に基づく分類とし、例えば、セダン、ワゴン、トラック、などである。メーカーは、車体に付加されているエンブレム、マーク、モデル名などから特定することが可能である。監視対象候補が自動車である場合の監視対象候補の特徴および移動経路は、図9および図10に示したような形式で記録する。図9および図10に示した記録形式は一例であり、図示した形式に限定するものではない。監視対象管理部9は、監視対象候補の特徴として、「車種」、「メーカー」および「色」を含んだ「監視対象候補車両」を記録する。また、移動経路として、「移動元」および「移動先」を記録する。監視対象候補車両の「No.」は監視対象候補の管理番号である。図示した例では、監視対象候補の監視必要性を示す「判定」を併せて記録するようにしている。詳細については後述するが、監視対象候補の移動経路と通信装置1の移動経路が一致している場合、「判定=対象」となる。監視対象候補の移動経路と通信装置1の移動経路が一致していない場合には、「判定=除外」となる。監視対象管理部9は、「判定=除外」となった場合、監視対象候補の特徴および移動経路の情報を破棄する。「移動元」は上記の時間t0における監視対象候補の位置を示す情報である。「移動先」は上記の時間t1における監視対象候補の位置を示す情報である。従って、「移動元」が示す位置から「移動先」が示す位置に向かる経路が監視対象候補車両の移動経路となる。なお、「判定」については、後述するステップS10およびS11を実行することにより記録される。そのため、ステップS9を実行した時点では、監視対象候補車両の特徴である「車種」、「メーカー」および「色」と、監視対象候補車両の移動経路を示す「移動元」および「移動先」とが記録され、「判定」は記録されていない情報テーブルが監視対象管理部9によって生成される。
監視対象管理部9は、ステップS9の処理が終了すると、次に、前回の位置情報および今回の位置情報に基づいて通信装置1の移動経路履歴を確認する(ステップS10)。すなわち、監視対象管理部9は、前回の位置情報が示す地点および今回の位置情報が示す地点を確認することにより、通信装置1の移動経路を特定する。
監視対象管理部9は、次に、通信装置1の移動経路とステップS9で生成した情報テーブルに記録されている監視対象候補車両の移動経路とを比較する。そして、移動経路が通信装置1の移動経路と一致していない監視対象候補車両を除外する(ステップS11)。すなわち、情報テーブルにおいて、移動経路が通信装置1の移動経路と一致していない監視対象候補車両の「判定」を「除外」とする。移動経路が通信装置1の移動経路と一致している監視対象候補車両については「判定」を「対象」とする。監視対象管理部9は、通信装置1および監視対象候補車両が同じ方向に移動している場合に、両者の移動経路が一致しているものと判断する。
監視システムが監視対象としているエリアの構成が図11に示したものであるとしたとき、上記のステップS7で取得した画像データが図11に示した地点Aの破線内を撮像したものであり、かつ、ステップS10で確認した通信装置1の移動経路が地点Aから地点Bに向かう方向である場合、ステップS11が終了した時点で監視対象管理部9が記録している情報テーブルは、例えば、図9に示したものとなる。なお、監視装置4は、図11に示した監視対象エリアの地図情報を保持しており、監視対象管理部9は必要に応じて地図情報を参照可能であるものとする。
図9においては、車種がType−A、メーカーがT社、色がRedであり、A1からA3に向かう移動経路のものがNo.1の監視対象候補車両、車種がType−A、メーカーがT社、色がRedであり、A1からA2に向かう移動経路のものがNo.2の監視対象候補車両、車種がType−B、メーカーがS社、色がOrangeであり、A1からA3に向かう移動経路のものがNo.3の監視対象候補車両、車種がType−C、メーカーがP社、色がGreenであり、A4からA2に向かう移動経路のものがNo.4の監視対象候補車両、となっている。また、通信装置1の移動方向が地点Aから地点Bに向かう方向であり、これはA1からA3に向かう移動経路に相当する。そのため、図9においては、移動経路が通信装置1の移動方向と一致している監視対象候補車両、すなわち、No.1の監視対象候補車両およびNo.3の監視対象候補車両の判定=対象とし、残りの監視対象候補車両の判定=除外としている。判定=除外となった監視対象候補車両の情報はその後に破棄される。なお、監視対象管理部9は、画像を撮像した撮像装置2の位置情報および撮像方向情報と、図11に示した監視対象エリアの地図情報とを参照しながら画像データを分析することにより、監視候補対象車両の移動元および移動先を特定する。
また、上記のステップS7で取得した画像データが図11に示した地点Bの破線内を撮像したものであり、かつ、ステップS10で確認した通信装置1の移動経路が地点Bから地点Cに向かう方向である場合、ステップS11が終了した時点で監視対象管理部9が記録している情報テーブルは、例えば、図10に示したものとなる。
図10においては、車種がType−A、メーカーがT社、色がRedであり、B1からB3に向かう移動経路のものがNo.1の監視対象候補車両、車種がType−B、メーカーがS社、色がOrangeであり、B1からB2に向かう移動経路のものがNo.2の監視対象候補車両、となっている。また、通信装置1の移動方向が地点Bから地点Cに向かう方向であり、これはB1からB3に向かう移動経路に相当する。そのため、図10においては、移動経路が通信装置1の移動方向と一致している監視対象候補車両、すなわち、No.1の監視対象候補車両の判定=対象とし、残りの監視対象候補車両の判定=除外としている。
監視対象管理部9は、画像データ管理部8から撮像装置2の画像データを取得するごとに、上述したステップS8〜S11を実行し、図9および図10に示した形式の情報テーブルを更新する。なお、図10に示した情報テーブルは図9に示した情報テーブルを更新したものである。図10の情報テーブルは図9の情報テーブルに記録されている監視対象候補車両が絞り込まれた内容となっているが、監視対象候補車両が新たに追加される場合もある。上述したステップS8〜S11を繰り返し実行することにより、監視対象候補車両の絞り込みおよび追加が適宜実施され、監視対象候補車両の情報が更新される。以下、図9および図10に示した情報テーブルを監視対象車両テーブルと称する。
ステップS11が終了すると、次に、位置追跡部5が、通信装置1から位置情報を受信したか否かを確認する(ステップS12)。位置情報を受信した場合(ステップS12:Yes)、位置追跡部5は、最後に位置情報を受信してからの経過時間が異常検出用のしきい値に達したか否かを判断するための受信監視タイマをリスタートし(ステップS13)、ステップS2に戻る。なお、位置情報の受信ありと判断した時点で受信監視タイマが動作していない場合には、受信監視タイマを単にスタートさせる。
位置情報を受信していない場合(ステップS12:No)、位置追跡部5は、受信監視タイマがタイムアウトしたか否かを確認する(ステップS16)。タイムアウトした場合(ステップS16:Yes)、監視装置4は、後述する監視対象検索を開始する(ステップS17)。
受信監視タイマがタイムアウトしていない場合(ステップS16:No)、ステップS12に戻る。
つづいて、位置監視タイマがタイムアウトした場合(ステップS14での判定が「Yes」の場合)および受信監視タイマがタイムアウトした場合(ステップS16での判定が「Yes」の場合)に実行する監視対象検索について説明する。図7は監視対象検索の一例を示すフローチャートである。監視対象検索は、通信装置1でトラブル(機能停止、廃棄など)が発生したと推測される場合、具体的には、通信装置1から周期的に通知される位置情報が通知されてこなくなった場合、および、通信装置1が規定時間以上動かなくなった場合、すなわち、通信装置1から周期的に通知される位置情報が継続して同じ位置を示している場合に実行する。
監視対象検索においては、まず、撮像装置検索部6が、通信装置1から最後に取得した位置情報が示す位置の近辺に設置されている撮像装置2を検索する(ステップS21)。このステップS21における検索動作は上述したステップS6と同様である。ただし、撮像装置2の検索範囲をステップS6と同じにする必要はない。ステップS21における検索範囲をステップS6における検索範囲よりも広くしてもよい。
次に、監視対象管理部9は、ステップS21で検索した撮像装置2の画像データを画像データ管理部8から取得する(ステップS22)。このステップS22の動作は上述したステップS7と同様である。すなわち、撮像装置検索部6が検索結果を画像データ管理部8へ通知し、画像データ管理部8は、通知された検索結果に対応する画像データを監視対象管理部9へ出力する。ただし、画像データ管理部8は、現在時刻から指定時間遡った時刻までの範囲で撮像された画像データを出力する。
監視対象管理部9は、画像データ管理部8から画像データを取得すると、取得した画像データを分析し、監視対象の検出を行う(ステップS23)。監視対象は、監視対象検索を開始した時点で監視対象管理部9が保持している監視対象車両テーブルに記録されている監視対象候補車両とする。すなわち、ステップS23において、監視対象管理部9は、取得した画像データを分析し、監視対象車両テーブルに記録されている監視対象候補車両が画像に映っているか否かを確認する。監視対象管理部9は、監視対象を検出しなかった場合(ステップS23:No)、指定時間が経過するのを待った後(ステップS27)、ステップS22に戻って画像データを再度取得する。例えば、前回のステップS22において時間t−n〜tの範囲で撮像された画像データを取得していた場合、時間t〜t+nの範囲で撮像された画像データを取得する。
これに対して、監視対象管理部9は、監視対象を検出した場合(ステップS23:Yes)、検出した監視対象の移動経路および時間を記録する(ステップS24)。このステップS24で記録する時間は、監視対象を検出した時間である。監視対象を検出した時間は、画像データ管理部8で画像データとともに管理されている撮像時間情報に基づいて算出することが可能である。
次に、監視対象管理部9は、監視対象の移動経路を経路推測部10に通知し、経路推測部10が、監視対象の移動経路に基づいて、次の監視地点を決定する(ステップS25)。仮に、監視対象の移動経路が図11に示した地点B1からB3への経路を示している場合、経路推測部10は、次の監視地点を地点Cに決定する。また、経路推測部10は、監視対象が2台存在し、これらの移動経路が地点B1からB3への経路およびB1からB2の経路を示している場合には、次の監視地点を地点Cおよび地点Eに決定する。
ステップS25において、経路推測部10は、まず、監視対象の移動方向、すなわち進行方向を推定する。進行方向の推定は監視対象の移動経路などから推測できる。経路推測部10は、次に、監視対象の現在位置および進行方向から次の監視地点を決定する。経路推測部10は、例えば、監視対象の現在位置から進行方向に向かって既定距離離れた位置、例えば500m離れた位置を次の監視地点に決定する。経路推測部10は、地図情報を保持している場合、または外部で保持されている地図情報を利用可能な場合、観測対象の現在位置から進行方向に向かって、最も近くに存在する交差点を次の監視地点に決定してもよい。
経路推測部10は、次の監視地点を決定すると、次の監視地点を撮像装置検索部6に通知し、撮像装置検索部6は、次の観測地点の近辺に設置されている撮像装置2を検索する(ステップS26)。その後、撮像装置検索部6は、指定時間が経過するのを待った後(ステップS27)、ステップS22に戻る。すなわち、撮像装置検索部6が検索結果を画像データ管理部8へ通知し、画像データ管理部8は、通知された検索結果に対応する画像データを監視対象管理部9へ出力する。以後、同様の手順で監視対象の検出および次の監視地点の決定を繰り返し行い、監視対象の車両を追跡する。上述したステップS24が複数回にわたって実行され、監視対象管理部9が監視対象の移動経路および時間を記録していくことにより、監視対象の移動経路情報が蓄積されていく。監視システムの利用者は、蓄積された移動経路情報を確認することにより、監視対象がどの時点でどこにいたかを知ることができる。なお、図7に示した監視対象検索の開始時点で複数の監視対象候補車両が監視対象車両テーブルに記録されている場合、記録されている複数の監視対象候補車両の各々を監視対象として扱い、撮像装置2で撮像された画像データを用いた監視対象の追跡を行う。
このように、本実施の形態の監視システムにおいて、監視装置4は、複数の撮像装置2の各々から画像データを取得して管理しておく。また、通信装置1の所持者を監視する必要がある場合、通信装置1から位置情報を取得するごとに、通信装置1の近辺に設置されている撮像装置2で撮像された画像の画像データを分析し、監視対象候補車両の情報の収集および更新を行って監視対象候補車両の絞り込みを行う。これにより通信装置1から正しい位置情報が得られない状態となった場合にも、通信装置1の所持者の移動経路の監視を継続して行うことができる。すなわち、通信装置1から位置情報を取得できなくなった場合および取得した位置情報が示す位置が一定時間にわたって同じ位置を示している場合、最後に取得した位置情報が示している位置の近辺の撮像装置で撮像された画像データを分析し、保持している監視対象候補車両の情報により特定される車両である監視対象の移動経路を特定できる。また、特定した移動経路に基づいて次の監視地点を決定することができる。従って、監視地点の近辺の撮像装置で撮像された画像データを分析して監視対象の移動経路を特定するとともに次の監視地点を決定する動作を繰り返し実行することにより、通信装置1の所持者を追跡することができる。
本実施の形態では、監視対象が自動車の場合の例を説明したが、自転車、人などを監視対象とすることが可能である。自転車を監視対象とする場合、図6に示したステップS8において、監視対象管理部9は、監視対象を判別するための情報として、フレームの形状、ハンドルの形状、かごの有無、かごの形状、フレームの色、乗っている人の服装、服の色、などの情報を画像データの分析により収集する。人を監視対象とする場合、図6に示したステップS8において、監視対象管理部9は、監視対象を判別するための情報として、髪の長さ、服装、服の色、帽子の有無、帽子の形状および色、荷物の有無、荷物の形状および色、メガネの有無、メガネの形状および色、などの情報を画像データの分析により収集する。
実施の形態2.
図12は、実施の形態2にかかる監視システムの構成例を示す図である。実施の形態2にかかる監視システムは、実施の形態1にかかる監視システムの監視装置4を監視装置4aに置き換えたものである。図12では、他の監視システムを構成している撮像装置101および画像データ記録装置102を併せて記載している。他の監視システムは、監視装置4aの監視エリア外のエリアを対象に監視を行っている。撮像装置101および画像データ記録装置102は専用通信網100に接続され、本実施の形態にかかる監視システムとは独立した構成となっている。すなわち、本実施の形態にかかる監視システムは、他の監視システムの撮像装置101で撮像された画像データを直接取得することができない構成となっている。本実施の形態にかかる監視装置4aは、実施の形態1の監視装置4に対し、他の監視システムの撮像装置101で撮像された画像のデータを利用するためのデータ補完部104を追加した構成となっている。データ補完部104は外部画像データ取得手段として動作する。なお、図12では、構成の記載を簡単化するために撮像装置2および101を1台ずつとしているが、実際には、実施の形態1と同様に、それぞれ複数台存在する。本実施の形態では、実施の形態1の監視システムと異なる部分について説明する。
他の監視システムの撮像装置101は、撮像装置2と同様の構成であり、画像データ記録装置102は撮像装置101で生成された画像データを専用通信網100経由で取得して記録する。画像データ記録装置102は、撮像装置101の位置情報を保持しており、撮像装置101から画像データを取得すると、画像データの取得元の撮像装置101の位置情報および画像データを取得した時間の情報と関連付けて記録する。また、撮像装置101が特定の方向を撮像するものである場合、撮像方向情報、すなわち、撮像面が向けられている方向の情報も併せて記録する。
また、画像データ記憶装置102は、記録メディアを着脱可能な構成となっている。画像データ記録装置102は、記録メディアが取り付けられている場合、自装置が記録しているデータ、具体的には画像データ、画像データを生成した撮像装置101の位置情報、画像データ記憶装置102が画像データを取得した時間を示す時間情報(以下、これらをまとめて監視利用データと称する)などを記録メディアにコピーする。記録メディアには全ての監視利用データをコピーするようにしてもよいし一部の監視利用データをコピーするようにしてもよい。一部の監視利用データをコピーする場合には、外部から指定された時間範囲に含まれている監視利用データをコピーする。
データ補完部104は、記録メディアを着脱可能な構成となっている。データ補完部104は、記録メディアが取り付けられた場合、記録メディアに監視利用データが記録されているか否かを確認し、監視利用データが記録されていれば読み出す。そして、監視利用データに含まれている画像データおよび時間情報を画像データ管理部8へ出力するとともに、監視利用データに含まれている位置情報を撮像装置情報管理部7へ出力する。監視利用データに撮像方向情報が含まれている場合、撮像方向情報を撮像装置情報管理部7へ出力する。画像データ管理部8は、データ補完部104から画像データおよび時間情報を受け取ると、これらを記録する。撮像装置情報管理部7は、位置情報を受け取ると、これを記録する。
本実施の形態の監視システムが通信装置1の所持者を監視する動作は実施の形態1と同様である。すなわち、図6および図7に示したフローチャートに従い、通信装置1の所持者を監視する。
本実施の形態にかかる監視システムの監視装置4aは、データ補完部104を備えたことにより、実施の形態1で説明した監視対象検索において、自システムの撮像装置2とは異なる地点に設置されている撮像装置101で撮像された画像データを利用することが可能である。例えば、監視対象検索を開始した後、撮像装置2が設置されているエリア外に監視対象が移動し、監視対象の移動先のエリアに撮像装置101が設置されている場合、監視装置4aは、データ補完部104を利用し、画像データ記憶装置102に記録されている監視利用データを取得する。そして、監視利用データに含まれている位置情報を撮像装置情報管理部7が記録し、画像データおよび時間情報を画像データ管理部8が記録する。その後、監視対象検索を最初からやり直すことにより、すなわち、通信装置1から最後に取得した位置情報が示す地点から監視対象の追跡をやり直すことにより、撮像装置2が設置されているエリア外に移動した監視対象を追跡することができる。
なお、監視装置4aは、実施の形態1の監視装置4と同様に、図2に示したプロセッサ51、メモリ52および入出力インタフェース53を備えたハードウェアにより実現することができる。
このように、本実施の形態の監視装置4aは、他の監視システムを構成している撮像装置101で撮像された画像のデータ、撮像装置101が撮像を行った時間の情報、および撮像装置101の位置情報を記録メディア経由で取得するデータ補完部104を備えることとした。これにより、他の監視システムから画像データ、時間情報および位置情報を取得し、取得したデータを利用して監視対象を追跡することができる。例えば、監視対象が自システムの撮像装置2が設置されていないエリアに移動した場合でも追跡を継続することが可能となる。よって、追跡性能を向上させることができる。また、低コストで監視範囲を拡大することができる。
実施の形態3.
図13は、実施の形態3にかかる監視システムの構成例を示す図である。実施の形態3にかかる監視システムは、実施の形態1にかかる監視システムの監視装置4を監視装置4bに置き換えたものである。図13では、他の監視システム200を併せて記載している。本実施の形態にかかる監視装置4bは、実施の形態1の監視装置4に対し、他の監視システム200と連携して動作するための監視システム連携部105を追加した構成となっている。監視システム連携部105は、外部画像データ取得手段として動作する。他の監視システム200は、撮像装置201および監視装置202を備えている。監視装置202は、監視装置4bが備えている監視システム連携部105と同様の処理を行う監視システム連携部203と、撮像装置201で撮像された画像のデータを記録する画像データ記録装置204と、を備える。なお、図13では、構成の記載を簡単化するために撮像装置2および201を1台ずつとしているが、実際には、実施の形態1と同様に、それぞれ複数台存在する。また、他の監視システム200も複数存在する。本実施の形態では、実施の形態1の監視システムと異なる部分について説明する。
他の監視システム200の撮像装置201は、撮像装置2と同様の構成であり、撮像を実施して画像データを生成すると、通信網3経由で監視装置202の画像データ記憶部204へ画像データを送信する。画像データ記録装置204は撮像装置201で生成された画像データを通信網3経由で取得して記録する。画像データ記録装置204は、撮像装置201の位置情報を保持しており、撮像装置201から画像データを取得した場合、画像データの取得元の撮像装置201の位置情報および画像データを取得した時間の情報と関連付けて記録する。また、撮像装置201が特定の方向を撮像するものである場合、撮像方向情報、すなわち、撮像面が向けられている方向の情報も併せて記録する。
次に、本実施の形態の監視システムの動作を説明する。本実施の形態の監視システムが通信装置1の所持者を監視する動作は実施の形態1と同様である。すなわち、図6および図7に示したフローチャートに従い、通信装置1の所持者を監視する。ここで、撮像装置2が設置されているエリアは限定されている。そのため、撮像装置2が設置されているエリア(以下、監視可能エリアと称する)の外に監視対象が移動してしまう場合も考えられる。すなわち、図7に示したステップS25を実行して決定される次の監視地点が監視可能エリア外である場合も考えられる。そこで、本実施の形態の監視装置4bは、監視対象を追跡した結果、監視対象が監視可能エリア外に移動すると推測した場合、移動先のエリアを監視可能な他の監視システム200に対して、監視動作で必要なデータを送信するように要求する。監視データで必要なデータとは、実施の形態2で説明した監視利用データである。本実施の形態の監視利用データは、撮像装置201が生成した画像データと、画像データが生成された時間の情報と、画像データを生成した撮像装置201の位置情報とにより構成される。撮像装置201が特定の方向を撮像するものである場合、監視利用データには、撮像装置201の撮像方向情報、すなわち、撮像面が向けられている方向の情報も含まれる。
監視装置4bにおいては、監視システム連携部105が、監視利用データを送信するよう、監視システム200に対して要求する。図7に示したステップS25において決定した次の監視地点が監視可能エリア内か否かの判断は撮像装置検索部6が行う。例えば、撮像装置検索部6は、監視可能エリアを示す地図情報を予め保持しておき、または外部で保持されている地図情報を読み込み、経路推測部10が次の監視地点を決定すると、地図情報を確認し、次の監視地点が監視可能エリア内か否かを判定する。次の監視地点が監視可能エリア内の場合は監視対象の監視を継続する。監視可能エリア外の場合、撮像装置検索部6は、監視システム連携部105に対して、次の監視地点が監視可能エリアであることを通知するとともに、次の監視地点の位置情報を通知する。監視システム連携部105は、他の監視システム200に対して、監視利用データの送信を要求するとともに、次の監視地点の位置情報を送信する。
他の監視システム200の監視システム連携部203は、監視利用データの送信を要求された場合、この送信要求と一緒に受信した位置情報が自システムの監視可能エリア内を示しているか否かを確認する。そして、位置情報が自システムの監視可能エリア内を示していなければ要求を無視する。一方、位置情報が自システムの監視可能エリア内を示している場合には、位置情報が示す場所、およびこの場所の近辺に設置されている撮像装置201から取得した画像データを画像データ記録装置204から読み出し、監視装置4bの監視システム連携部105へ送信する。このとき、監視システム連携部203は、画像データに加えて、送信する画像データを生成した撮像装置201の位置情報、送信する画像データが生成された時間、すなわち画像が撮像された時間を示す時間情報も併せて送信する。さらに、画像データ記録装置204に撮像方向情報も記録されている場合、撮像方向情報も併せて送信する。これらの情報を受信した監視システム連携部105は、画像データおよび時間情報を画像データ管理部8へ出力するとともに、位置情報を撮像装置情報管理部7へ出力する。撮像方向情報も受信した場合、撮像方向情報を撮像装置情報管理部7へ出力する。画像データ管理部8は、監視システム連携部105から画像データおよび時間情報を受け取ると、これらを記録する。撮像装置情報管理部7は、位置情報を受け取ると、これを記録する。この結果、監視装置4bは、監視対象を監視する際、他の監視システム200から取得した監視利用データ(撮像装置201が生成した画像データ、画像データが生成された時間の情報、画像データを生成した撮像装置201の位置情報)を利用することができる。
なお、監視システム連携部105は、他の監視システム200の監視システム連携部203から監視利用データの送信要求を受ける場合がある。その場合、監視システム連携部105は、要求内容に対応する画像データが存在するか否かを確認する。そして、要求内容に対応する画像データが存在する場合には、画像データ、画像データを生成した撮像装置2の位置情報、画像データが生成された時間の情報、および撮像方向情報を要求元の監視システム連携部203へ送信する。
なお、監視装置4bは、実施の形態1の監視装置4、実施の形態2の監視装置4aと同様に、図2に示したプロセッサ51、メモリ52および入出力インタフェース53を備えたハードウェアにより実現することができる。
このように、本実施の形態の監視装置4bは、監視対象が監視可能エリア外に移動すると推測した場合に、監視対象の移動先を監視している他の監視システムから監視利用データを取得する監視システム連携部105を備えることとした。これにより、他の監視システムから監視利用データを取得し、取得した監視利用データを利用して監視対象を追跡することができる。例えば、監視対象が自システムの撮像装置2が設置されていないエリアに移動した場合でも追跡を継続することが可能となる。よって、追跡性能を向上させることができる。また、低コストで監視範囲を拡大することができる。さらに、実施の形態2の構成を適用した場合と比較して、他の監視システムで管理されている画像データ等を容易に使用することができるようになり監視対象の追跡にかかる所要時間を短縮することができる。
本実施の形態では、実施の形態1で説明した監視装置4に対して監視システム連携部105を追加した場合について説明したが、実施の形態2で説明した監視装置4aに対して監視システム連携部105を追加するようにしてもよい。
なお、実施の形態1〜3では、通信装置1の所持者を監視する必要があると判断した場合、すなわち、図6に示したステップS2で「Yes」と判定した場合に位置情報の記録(図6のステップS3)および監視対象候補車両の情報収集(図6のステップS6〜S11)を行うこととした。しかし、位置情報、監視対象候補車両の情報、などを記録しておくための記憶部であるメモリなどの容量に余裕があり、かつ監視装置4、4aおよび4bの処理負荷が高くならないのであれば、常時、位置情報の記録および監視対象候補車両の情報収集を行うようにしてもよい。すなわち、通信装置1の所持者を監視する必要があるか否かを判断することなく、通信装置1の所持者の監視が不要な状態でも、位置情報の記録および監視対象候補車両の情報収集を行うようにしてもよい。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。