JP6428426B2 - 樹脂組成物及び複合成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、熱可塑性樹脂とアルコキシシリル基を有する特定の変性ブロック共重合体水素化物とからなり、ガラスや金属との強固な接着性を有する新規な樹脂組成物、及び、該樹脂組成物と金属が接合してなる複合成形体に関する。
芳香族ビニル化合物由来の重合体ブロックと、鎖状共役ジエン化合物由来の重合体ブロックとからなるブロック共重合体の、主鎖及び側鎖の炭素−炭素不飽和結合、及び、芳香環の炭素−炭素不飽和結合を水素化して得られるブロック共重合体水素化物に、アルコキシシリル基が導入された変性ブロック共重合体水素化物(変性ブロック共重合体水素化物[E])は、ガラスや金属との接着性、低吸湿性、透明性、柔軟性等を有し、太陽電池封止材や合わせガラス用接着剤等として有用であることが知られている(特許文献1、2)。
しかし、変性ブロック共重合体水素化物[E]は柔軟であり、電子機器等の構造材料や部品の成形材料等として使用するには剛性が十分とはいえない。
一方、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、スチレン・共役ジエン共重合体及びその部分水素化物、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン共重合体、(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン及びポリオレフィン等の熱可塑性樹脂は、電子機器の構造材料や部品の成形材料として広く利用されている。これらの汎用の熱可塑性樹脂は、ガラスや金属に対する接着性を有さない。従って、ガラスや金属製の部品や構造部材に接着して使用する場合は、接着剤を使用する必要がある。
しかしながら、接着剤は使用する熱可塑性樹脂毎に適正なものが異なり、また、ガラスや金属に対して必ずしも十分な接着力が得られない場合も多い。
国際公開2012/043708号パンフレット 国際公開2013/176258号パンフレット
本発明は、熱可塑性樹脂とアルコキシシリル基を有する特定の変性ブロック共重合体水素化物とからなる樹脂組成物であって、ガラスや金属との強固な接着性を有する新規な樹脂組成物、及び、該樹脂組成物と金属が接合してなる複合成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂に、アルコキシシリル基が導入されてなる特定の変性ブロック共重合体水素化物[E]を配合した樹脂組成物は、ガラスや金属に対する強固な接着性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、下記(1)〜(3)の樹脂組成物、及び(1)〜(3)の樹脂組成物と金属が接合してなる下記(4)の複合成形体が提供される。
(1)熱可塑性樹脂100重量部に対して、変性ブロック共重合体水素化物5〜200重量部を配合してなる樹脂組成物であって、
前記変性ブロック共重合体水素化物が、
芳香族ビニル化合物由来の構造単位を主成分とする、少なくとも2つの重合体ブロック[A]と、鎖状共役ジエン化合物由来の構造単位を主成分とする、少なくとも1つの重合体ブロック[B]とからなり、
全重合体ブロック[A]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwAとし、全重合体ブロック[B]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwBとしたときに、wAとwBとの比(wA:wB)が20:80〜70:30であるブロック共重合体の、主鎖及び側鎖の炭素−炭素不飽和結合及び芳香環の炭素−炭素不飽和結合の90%以上を水素化したブロック共重合体水素化物に、アルコキシシリル基が導入されてなるものである樹脂組成物。
(2)前記熱可塑性樹脂が、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ハロゲン含有ビニル系樹脂、芳香族ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂から群から選ばれる1種又は2種以上である、(1)に記載の樹脂組成物。
(3)前記熱可塑性樹脂が、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ビスフェノールA型ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体及びエチレン・α−オレフィン共重合体からなる群から選ばれる1種又は2種以上である、(1)又は(2)に記載の樹脂組成物。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂組成物と金属が接合してなる複合成形体。
本発明によれば、熱可塑性樹脂に、特定の変性ブロック共重合体水素化物[E]を配合した、ガラスや金属に対する強固な接着性を有する樹脂組成物、及び、該樹脂組成物と金属が接合してなる複合成形体が提供される。
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、変性ブロック共重合体水素化物5〜200重量部を配合してなる樹脂組成物であって、
前記変性ブロック共重合体水素化物(以下、「変性ブロック共重合体水素化物[E]」ということがある。)が、
芳香族ビニル化合物由来の構造単位を主成分とする、少なくとも2つの重合体ブロック(以下、「重合体ブロック[A]」ということがある。)と、鎖状共役ジエン化合物由来の構造単位を主成分とする、少なくとも1つの重合体ブロック(以下、「重合体ブロック[B]」ということがある。)とからなり、
全重合体ブロック[A]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwAとし、全重合体ブロック[B]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwBとしたときに、wAとwBとの比(wA:wB)が20:80〜70:30であるブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体[C]」ということがある。)の、主鎖及び側鎖の炭素−炭素不飽和結合及び芳香環の炭素−炭素不飽和結合の90%以上を水素化したブロック共重合体水素化物(以下、「ブロック共重合体水素化物[D]」ということがある。)に、アルコキシシリル基が導入されてなるものである樹脂組成物である。
1.熱可塑性樹脂
本発明に用いる熱可塑性樹脂は、特に限定はないが、温度150〜270℃で、特定の変性ブロック共重合体水素化物[E]と溶融混練できる熱可塑性樹脂であることが好ましい。溶融混練の温度が270℃を超える熱可塑性樹脂を使用する場合は、得られる熱可塑性樹脂組成物のガラスや金属に対する接着性が低下するおそれがある。
本発明に用いる熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ハロゲン含有ビニル系樹脂、芳香族ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂から群から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
ポリエステル系樹脂は、多価カルボン酸(ジカルボン酸)とポリアルコール(ジオール)との重縮合体である。
多価カルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。
ポリアルコールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のC2−4アルキレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のC2−4アルキレンナフタレート等のポリアルキレンアリレート、又はこれらのコポリエステル[ジオール成分(エチレングリコール、ポリエチレングリコール等の(ポリ)オキシC2−4アルキレングリコール;1,6−ヘキサンジオール等の脂肪族C5−16ジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール等)、ジカルボン酸成分(アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸;イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸等)等を共重合成分とするコポリエステル等]、ポリエステル系エラストマー[ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリC2−4アルキレンアリーレートをハードセグメント、ポリテトラメチレングリコール等のポリオキシC2−4アルキレングリコールをソフトセグメントとして有するポリエステル・ポリエーテル型ポリエステルエラストマー;前記ポリC2−4アルキレンアリーレートをハードセグメント、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリブチレンアジペート等のポリ脂肪族エステルをソフトセグメントとして有するポリエステル・ポリエステル型ポリエステルエラストマー等]等が挙げられる。
ポリアミド系樹脂は、主鎖の繰返し単位中にアミド結合(−CONH−)を有する重合体である。例えば、環員7〜13の環を有するラクタム、ポリカプロラクタム、ポリカプリルラクタム、ポリラウリンラクタムから誘導されるポリアミドや、ジカルボン酸とジアミンとの反応により得られるポリアミドが挙げられる。
ポリアミド系樹脂としては、ポリカプラミド(ナイロン−6)、ポリ−ω−アミノヘプタン酸(ナイロン−7)、ポリ−ω−アミノノナン酸(ナイロン−9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン−11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン−12)、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン−2,6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン−4,6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン−6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン−6,10)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン−6,12)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン−8,6)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン−10,8)、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン−6/12)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸共重合体(ナイロン−6/9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−6/6,6)、ラウリルラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−12/6,6)、エチレンジアミンアジパミド/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−2,6/6,6)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン−6/6,6/6,10)、エチレンアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン−6/6,6/6,10)等の脂肪族ポリアミド;
脂少なくとも脂環族ジアミン及び脂環族ジカルボン酸から選択された少なくとも一種を構成成分とするホモポリアミド又はコポリアミド等が挙げられ、例えば、ポリアミド系樹脂を構成するジアミン成分及びジカルボン酸成分のうち、少なくとも一部の成分として脂環族ジアミン及び/又は脂環族ジカルボン酸を用いることにより得られる脂環族ポリアミド等の脂環族ポリアミド;
メタキシレンジアミン、パラキシレンジアミン等の芳香族ジアミンと、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸又はその誘導体との重縮合反応で得られる結晶性芳香族ポリアミド等の芳香族ポリアミド;等が挙げられる。
ポリカーボネート系樹脂は、下記式(I)で表される繰り返し構造単位を有する重合体である。
Figure 0006428426
式中、Zは、単結合、エーテル(酸素原子)、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、スルホニル基、チオニル基、カルボニル基、又は下記式[II]で示される基である。
、Rは、それぞれ独立して、水素原子、塩素原子、臭素原子又は炭素数1〜8の飽和アルキル基である。また、m、nはそれぞれ0又は1〜4の整数であり、それぞれ同じであっても異なってもよい。
Figure 0006428426
Figure 0006428426
式中、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は炭化水素基である。また、lは1〜5の整数、kは10以上の整数である。
ポリカーボネート系樹脂としては、ジヒドロキシ化合物[脂環式ジオールやビスフェノール化合物(ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビスフェノールA等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル等のビス(ヒドロキシC6−10アリール)エーテル;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン等のビス(ヒドロキシC6−10アリール)スルホン;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド等のビス(ヒドロキシC6−10アリール)スルフィド;4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン等のビス(ヒドロキシC6−10アリール)ケトン等)等]と、ホスゲン又はジフェニルカーボネート等の炭酸エステルとの反応により得られる重合体が挙げられる。
ハロゲン含有ビニル系樹脂は、ハロゲン原子含有ビニル化合物を重合して得られる樹脂である。ハロゲン原子含有ビニル系樹脂としては、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の塩素含有ビニル系樹脂;フッ素含有ビニル系樹脂;ポリ塩化ビニル系エラストマー;フッ素系熱可塑性エラストマー;等が挙げられる。
芳香族ビニル系樹脂は、芳香族ビニル化合物を重合して得られる樹脂である。芳香族ビニル系樹脂としては、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ポリ−p−メチルスチレン等のスチレン系樹脂;スチレン−無水マレイン酸共重合体等のスチレン−酸無水物共重合体;スチレン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン−ニトリル共重合体;スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体;スチレン−ブタジエン共重合体、ABS樹脂等のスチレン−共役ジエン共重合体;等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ここで、「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルの意である(以下にて同じである。)。
(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸誘導体を重合して得られる樹脂である。アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸誘導体の単独重合体であっても、(メタ)アクリル酸誘導体の2種以上から得られる共重合体であってもよい。
(メタ)アクリル酸誘導体としては、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸へキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸アミド;等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、(メタ)アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸誘導体と他の共重合性単量体との共重合体であってもよい。例えば、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体等]等が挙げられる。
ウレタン系樹脂としては、ジイソシアネート類とジオール類と必要により鎖伸長剤との反応により得られるポリウレタン系樹脂が挙げられる。
ジイソシアネート類としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類;1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロアルキルメタン−4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート類;フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、キシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート類;等が挙げられる。また、ジイソシアネート類として、アルキル基(例えば、メチル基)が主鎖又は環に置換した化合物を使用してもよい。
ジオール類としては、脂肪族ジオール成分(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等のC2−12脂肪族ジオール等)、ラクトン成分(ε−カプロラクトン等のC4−12ラクトン等)等から得られるポリエステルジオール(脂肪族ポリエステルジオール)、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)、ポリ(1,6−ヘキサンアジペート)、ポリ−ε−カプロラクトン等の脂肪族ポリエステルジオール;ポリエチレングリコール、ポリ(オキシトリメチレン)グリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリ(オキシC2−4アルキレン)グリコール類等の脂肪族ポリエーテルジオール;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体等のポリ(オキシアルキレン)グリコール類のブロック共重合体;ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加体等の芳香族ジオールのアルキレンオキサイド付加体等の芳香族ポリエーテルジオール;ジオール成分の一部として上記ポリエーテルジオールを用いたポリエステルジオール等のポリエステルエーテルジオール;等が挙げられる。
オレフィン系樹脂としては、C2−10オレフィンの単独又は共重合体(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(1−ブテン)、エチレン−プロピレン共重合体等)、オレフィンと共重合性単量体との共重合体(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等)、変性ポリオレフィン等、ポリオレフィン系エラストマー(ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンで構成されたハードセグメントと、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等のゴム成分で構成されたソフトセグメントとを含むエラストマー等)等が挙げられる。
これらの中でも、本発明においては、前記熱可塑性樹脂が、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂からなる群から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド系樹脂;ビスフェノールA型ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体及びエチレン・α−オレフィン共重合体からなる群から選ばれる1種又は2種以上であることがより好ましい。
2.変性ブロック共重合体水素化物[E]
本発明に係る変性ブロック共重合体水素化物[E]は、芳香族ビニル化合物由来の構造単位[a]を主成分とする、少なくとも2つの重合体ブロック[A]と、鎖状共役ジエン化合物由来の構造単位[b]を主成分とする、少なくとも1つの重合体ブロック[B]とからなり、全重合体ブロック[A]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwAとし、全重合体ブロック[B]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwBとしたときに、wAとwBとの比(wA:wB)が20:80〜70:30であるブロック共重合体[C]の、主鎖及び側鎖の炭素−炭素不飽和結合及び芳香環の炭素−炭素不飽和結合の90%以上を水素化して得られるブロック共重合体水素化物[D]に、アルコキシシリル基が導入されてなる変性ブロック共重合体水素化物である。
(重合体ブロック[A])
重合体ブロック[A]中の、構造単位[a]の含有量は、通常90重量%以上、好ましくは95重量%以上、より好ましくは99重量%以上である。重合体ブロック[A]は、構造単位[a]以外の成分を含有していてもよい。他の成分としては、鎖状共役ジエン由来の構造単位[b]及び/又はその他のビニル化合物由来の構造単位(以下、「構造単位[h]」ということがある。)が挙げられる。その含有量は、重合体ブロック[A]に対し、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。
重合体ブロック[A]中の構造単位[a]の含有量が少な過ぎると、変性ブロック共重合体水素化物「E」の耐熱性が低下することにより、本発明の樹脂組成物の耐熱性が低下するおそれがある。
(重合体ブロック[B])
重合体ブロック[B]中の、構造単位[b]の含有量は、通常70重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。重合体ブロック[B]は、構造単位[b]以外の成分を含有していてもよい。他の成分としては、芳香族ビニル化合物由来の構造単位[a]及び/又はその他のビニル化合物由来の構造単位[h]が挙げられる。その含有量は、重合体ブロック[B]に対して、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。
重合体ブロック[B]中の、構造単位[b]の含有量が上記範囲にあると、変性ブロック共重合体水素化物[E]は柔軟性を有し、ガラスや金属との良好な接着性を示し、本発明の熱可塑性樹脂組成物に良好な接着性を付与することができるため好ましい。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン;α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン等の、置換基として炭素数1〜6のアルキル基を有するスチレン類;4−メトキシスチレン等の、置換基として炭素数1〜6のアルコキシ基を有するスチレン類;4−フェニルスチレン等の、置換基としてアリール基を有するスチレン類;1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン等のビニルナフタレン類;等が挙げられる。これらの中でも、吸湿性の観点から、スチレン、置換基として炭素数1〜6のアルキル基を有するスチレン類等の、極性基を含有しない芳香族ビニル化合物が好ましく、工業的な入手の容易さから、スチレンが特に好ましい。
鎖状共役ジエン系化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等が挙げられ、吸湿性の観点から、極性基を含有しない鎖状共役ジエン系化合物が好ましく、工業的な入手の容易さから、1,3−ブタジエン、イソプレンが特に好ましい。
その他のビニル系化合物としては、鎖状ビニル化合物、環状ビニル化合物、不飽和の環状酸無水物、不飽和イミド化合物等が挙げられる。これらの化合物は、ニトリル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシカルボニル基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。これらの中でも、吸湿性の観点から、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−エイコセン、4−メチル−1−ペンテン、4,6−ジメチル−1−ヘプテン等の炭素数2〜20の鎖状オレフィン;ビニルシクロヘキサン、ノルボルネン等の炭素数5〜20の環状オレフィン;1,3−シクロヘキサジエン、ノルボルナジエン等の環状ジエン化合物;等の極性基を含有しないものが好ましい。
(ブロック共重合体[C])
ブロック共重合体[C]は、少なくとも2つの重合体ブロック[A]と少なくとも1つの重合体ブロック[B]を含有する高分子である。ブロック共重合体[C]中の重合体ブロック[A]の数は、通常4個以下、好ましくは3個以下、より好ましくは2個であり、ブロック共重合体[C]中の重合体ブロック[B]の数は、通常3個以下、好ましくは2個以下、より好ましくは1個である。
ブロック共重合体[C]中の重合体ブロック[A]及び重合体ブロック[B]の数が多くなると、ブロック共重合体[C]を水素化して得られるブロック共重合体水素化物[D]において、重合体ブロック[A]由来の水素化重合体ブロック(以下、「水素化重合体ブロック[A]」ということがある。)と重合体ブロック[B]由来の水素化重合体ブロック(以下、「水素化重合体ブロック[B]」ということがある。)との相分離が不明瞭になり、水素化重合体ブロック[A]に基づく高温側のガラス転位温度(以下、「Tg」ということがある。」が低下して、変性ブロック共重合体水素化物[E]の耐熱性が低下することにより、本発明の樹脂組成物の耐熱性が低下するおそれがある。
ブロック共重合体[C]のブロックの形態は、特に限定されず、鎖状型ブロックでもラジアル型ブロックでもよいが、鎖状型ブロックであるのが、機械的強度に優れ好ましい。ブロック共重合体[C]の最も好ましい形態は、重合体ブロック[B]の両端に重合体ブロック[A]が結合したトリブロック共重合体([A]−[B]−[A])、及び重合体ブロック[A]の両端に重合体ブロック[B]が結合し、更に、該両重合体ブロック[B]の他端にそれぞれ重合体ブロック[A]が結合したペンタブロック共重合体([A]−[B]−[A] −[B]−[A])である。
また、ブロック共重合体[C]中の重合体ブロック[A]の全量がブロック共重合体[C]に占める重量分率をwAとし、重合体ブロック[B]の全量がブロック共重合体[C]に占める重量分率をwBとしたときに、wAとwBとの比(wA:wB)は、通常20:80〜60:40、好ましくは30:70〜55:45、より好ましくは40:60〜50:50である。wAが多過ぎる場合は、変性ブロック共重合体水素化物[E]の耐熱性が高くなるが、柔軟性が低く、ガラスや金属に対する接着性が弱くなり、本発明に係る熱樹脂組成物のガラスや金属に対する接着性が損なわれるおそれがある。
ブロック共重合体[C]の分子量は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、通常40,000〜200,000、好ましくは50,000〜150,000、より好ましくは60,000〜100,000である。また、ブロック共重合体[C]の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、特に好ましくは1.5以下である。Mw及びMw/Mnが上記範囲となるようにすると、変性ブロック共重合体水素化物[E]は、耐熱性や機械的強度が良好となり、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物の耐熱性や機械的強度が低下することがなく好ましい。
ブロック共重合体[C]の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を採用することができる。例えば、リビングアニオン重合等の方法により、芳香族ビニル化合物を主成分として含有するモノマー混合物(a)と、鎖状共役ジエン系化合物を主成分として含有するモノマー混合物(b)を交互に重合させる方法;芳香族ビニル化合物を主成分として含有するモノマー混合物(a)と鎖状共役ジエン系化合物を主成分として含有するモノマー混合物(b)を順に重合させた後、重合体ブロック[B]の末端同士を、カップリング剤によりカップリングさせる方法等により、得ることができる。
モノマー混合物(a)中の芳香族ビニル化合物の含有量は、通常90重量%以上、好ましくは95重量%以上、より好ましくは99重量%以上である。また、モノマー混合物(a)は、芳香族ビニル化合物以外の成分を含有していてもよい。他の成分としては、鎖状共役ジエン化合物、その他のビニル化合物が挙げられる。その含有量は、モノマー混合物(a)に対し、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。
モノマー混合物(b)中の、鎖状共役ジエン化合物の含有量は、通常70重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。また、モノマー混合物(b)は、鎖状共役ジエン化合物以外の成分を含有していてもよい。他の成分としては、芳香族ビニル化合物、その他のビニル化合物が挙げられる。その含有量は、モノマー混合物(b)に対して、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。
(ブロック共重合体水素化物[D])
ブロック共重合体水素化物[D]は、上記のブロック共重合体[C]の主鎖及び側鎖の炭素−炭素不飽和結合及び芳香環の炭素−炭素不飽和結合を水素化したものである。その水素化率は通常90%以上、好ましくは97%以上、より好ましくは99%以上である。水素化率が高いほど、変性ブロック共重合体水素化物[E]の耐熱性及耐久性が良好であり、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物の耐熱性や耐久性が低下することがなく好ましい。
ブロック共重合体水素化物[D]の水素化率は、ブロック共重合体水素化物[D]のH−NMRを測定することにより求めることができる。
不飽和結合の水素化方法や反応形態等は特に限定されず、公知の方法にしたがって行えばよいが、水素化率を高くでき、重合体鎖切断反応の少ない水素化方法が好ましい。このような水素化方法としては、例えば、WO2011/096389号パンフレット、WO2012/043708号パンフレット等に記載された方法を挙げることができる。
水素化反応終了後においては、水素化触媒、又は水素化触媒及び重合触媒を反応溶液から除去した後、得られた溶液からブロック共重合体水素化物[D]を回収することができる。回収されたブロック共重合体水素化物[D]の形態は限定されるものではないが、通常はペレット形状にして、その後のアルコキシシリル基の導入反応に供することができる。
ブロック共重合体水素化物[D]のペレット作製する際には、少量の酸化防止剤を添加してもよい。
用いる酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤、フェノ−ル系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。
酸化防止剤の使用量は、ブロック共重合体水素化物[D]100重量部に対して、通常0.01〜1重量部、好ましくは0.05〜0.5重量部、より好ましくは0.1〜0.3重量部である。
ブロック共重合体水素化物[D]の分子量は、THFを溶媒としたGPCにより測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、通常40,000〜200,000、好ましくは50,000〜150,000、より好ましくは60,000〜100,000である。また、ブロック共重合体水素化物[D]の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、特に好ましくは1.5以下である。Mw及びMw/Mnが上記範囲となるようにすると、変性ブロック共重合体水素化物[E]は、耐熱性や機械的強度が良好となり、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物の耐熱性や機械的強度が低下することがなく好ましい。
(変成ブロック共重合体水素化物[E])
本発明に用いる変成ブロック共重合体水素化物[E]は、上記ブロック共重合体水素化物[D]に、アルコキシシリル基が導入されたものである。
ブロック共重合体水素化物[D]にアルコキシシリル基を導入することにより、ガラスや金属に対する強固な接着性を付与することができる。
アルコキシシリル基としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等の、トリ(炭素数1〜6アルコキシ)シリル基;メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、エチルジメトキシシリル基、エチルジエトキシシリル基、プロピルジメトキシシリル基、プロピルジエトキシシリル基等の、(炭素数1〜20アルキル)ジ(炭素数1〜6アルコキシ)シリル基;フェニルジメトキシシリル基、フェニルジエトキシシリル基等の、(アリール)ジ(炭素数1〜6アルコキシ)シリル基;等が挙げられる。また、アルコキシシリル基は、ブロック共重合体水素化物[D]に、炭素数1〜20のアルキレン基や、炭素数2〜20のアルキレンオキシカルボニルアルキレン基等の2価の有機基を介して結合していてもよい。
ブロック共重合体水素化物[D]へのアルコキシシリル基の導入量は、通常、ブロック共重合体水素化物[D]100重量部に対し、0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部、より好ましくは1〜3重量部である。アルコキシシリル基の導入量が多過ぎると、得られる変性ブロック共重合体水素化物[E]を保存中に微量の水分等で分解されたアルコキシシリル基同士の架橋が進み、ゲル化したり、溶融成形時の流動性が低下して、熱可塑性樹脂と溶融混練する際に分散性が低下するおそれがある。また、アルコキシシリル基の導入量が少な過ぎると、本発明の熱可塑性樹脂組成物にガラスや金属に対する十分な接着力を付与できなくなるおそれがある。
アルコキシシリル基が導入されたことは、IRスペクトルで確認することができる。また、その導入量は、H−NMRスペクトルにて算出することができる。
ブロック共重合体水素化物[D]に、アルコキシシリル基を導入する方法としては、特に限定されないが、有機過酸化物の存在下で、エチレン性不飽和シラン化合物を反応させることにより、アルコキシシリル基を導入する方法が挙げられる。
用いるエチレン性不飽和シラン化合物としては、ブロック共重合体水素化物[D]とグラフト重合し、ブロック共重合体水素化物[D]にアルコキシシリル基を導入することができるものであれば、特に限定されない。
例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルトリアルコキシシラン;アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン等のアリルトリアルコキシシラン;ジメトキシメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン等のジアルコキシアルキルビニルシラン;p−スチリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン等のスチリルトリアルコキシシラン;3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の((メタ)アクリロキシアルキル)トリアルコキシシラン;3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等の((メタ)アクリロキシアルキル)アルキルジアルコキシシラン;等が挙げられる。これらのエチレン性不飽和シラン化合物は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合せて使用してもよい。
エチレン性不飽和シラン化合物の使用量は、ブロック共重合体水素化物[D]100重量部に対して、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部、より好ましくは1〜3重量部である。
過酸化物としては、1分間半減期温度が170〜190℃のものが好ましく使用される。例えば、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシド、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン等が好適に用いられる。これらの過酸化物は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合せて使用してもよい。過酸化物の使用量は、ブロック共重合体水素化物[D]100重量部に対して、通常0.05〜2重量部、好ましくは0.1〜1重量部、より好ましくは0.2〜0.5重量である。
上記のブロック共重合体水素化物[D]とエチレン性不飽和シラン化合物とを、過酸化物の存在下で反応させる方法は、特に限定されない。例えば、二軸混練機にて所望の温度で所望の時間混練することにより、ブロック共重合体水素化物[D]にアルコキシシリル基を導入することができる。
二軸混練機による混練温度は、通常180〜220℃、好ましくは185〜210℃、より好ましくは190〜200℃である。加熱混練時間は、通常0.1〜10分、好ましくは0.2〜5分、より好ましくは0.3〜2分程度である。温度、滞留時間が上記範囲になるようにして、連続的に混練、押出しをすればよい。得られた変性ブロック共重合体水素化物[E]の形態は限定されるものではないが、通常はペレット形状にして、その後の添加剤の配合に供することができる。
変性ブロック共重合体水素化物[E]の分子量は、導入されるアルコキシシリル基の量が少ないため、原料として用いたブロック共重合体水素化物[D]の分子量と実質的には変わらない。一方、過酸化物の存在下で、エチレン性不飽和シラン化合物と反応させるため、重合体の架橋反応、切断反応が併発し、変性ブロック共重合体水素化物[E]の分子量分布の値は大きくなる。
変性ブロック共重合体水素化物[E]の分子量は、THFを溶媒としたGPCにより測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、通常40,000〜200,000、好ましくは50,000〜150,000、より好ましくは60,000〜100,000である。また、分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは3.5以下、より好ましくは2.5以下、特に好ましくは2.0以下である。Mw及びMw/Mnが上記範囲となるようにすると、変性ブロック共重合体水素化物[E]の耐熱性や機械的強度が維持される。
3.樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、変性ブロック共重合体水素化物[E]5〜200重量部、好ましくは7〜150重量部、より好ましくは10〜100重量部を配合してなる樹脂組成物である。変性ブロック共重合体水素化物[E]の配合量を上記範囲にすることにより、熱可塑性樹脂にガラスや金属との接着性を付与することができ、また、電子機器等の構造材料等としての機械的強度を維持できる。
本発明の樹脂組成物は、樹脂組成物の製造方法として一般に用いられる公知の方法により製造することができる。例えば、あらかじめ熱可塑性樹脂のペレットと変性ブロック共重合体水素化物[E]のペレットを所定の割合に混合したものを、二軸押出機等の連続式溶融混練機により溶融混練し、押出してペレット状にすることによって、樹脂組成物を製造することができる。
溶融混練の温度は、通常150〜250℃、好ましくは160〜240℃、より好ましくは170〜230℃である。溶融混練温度が250℃を超える場合は、得られる熱可塑性樹脂組成物のガラスや金属に対する接着性が十分付与できなくなるおそれがある。また、溶融混練温度が150℃を下まわる場合は、熱可塑性樹脂と変性ブロック共重合体水素化物[E]が十分に分散されず、得られる熱可塑性樹脂組成物のガラスや金属に対する接着性が十分付与できなくなるおそれがある。
4.複合成形体
本発明の複合成形体は、上記本発明の樹脂組成物と金属が接合してなる複合成形体である。複合成形体の製造には、シート状や特定の形状に成形した樹脂組成物や、シート状や特定の形状に加工した金属部品を使用することができる。例えば、本発明の樹脂組成物からなるシートと金属箔を積層して、140〜180℃で加熱圧着することにより、樹脂組成物と金属箔が接着固定された複合シートを成形することができる。また例えば、射出成形機を使用して、金属で成形されたフレームをあらかじめ金型内に装着しておき、本発明の樹脂組成物を射出成形することにより、金属フレームに樹脂組成物が接着固定された複合成形体を成形することもできる。
本発明の複合成形体に使用する金属としては、アルミニウム、ステンレス、鉄、銅、チタン、錫、クロム、ニッケル、亜鉛、モリブデン等が挙げられる。これらの中でも、電子機器部品等に好ましく使用されるアルミニウム、ステンレス、銅が好ましい。
本発明の複合成形体が複合多層シートの場合は、多層の構成として、樹脂組成物層/金属層の2層構造、金属層/樹脂組成物層/金属層、樹脂組成物層/金属層/樹脂組成物層の3層構造、金属層と樹脂組成物層をそれぞれ2層以上有する多層構造等にすることができる。
また、本発明の複合成形体の具体例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(i)ポリエチレンテレフタレートと変性ブロック共重合体水素化物[E]からなる樹脂組成物層と銅箔が積層された多層複合シート
(ii)ナイロン66と変性ブロック共重合体水素化物「E」からなる樹脂組成物層とアルミニウム箔が積層された多層複合シート
(iii)ポリカーボネートと変性ブロック共重合体水素化物[E]からなる樹脂組成物の成形体とステンレスフレームが接着固定された複合成形体
(iv)エチレン−プロピレン共重合体と変性ブロック共重合体水素化物[E]からなる樹脂組成物の2枚のシートの間にアルミニウム箔が挟まれて接着固定された多層複合シート
本発明の樹脂組成物と金属部品とからなる複合成形体は、医薬品の包装シート、PTP包装シート、食品や飲料の包装シート、冷凍食品の包装シート、太陽電池モジュール用裏面保護シート、有機EL素子の封止、導電シート、放熱シート、電子部品の包装、塗料・絵の具等の包装、液状接着剤の包装、保冷用容器、保温容器外装、保温シート、遮熱シート、断熱シート、真空断熱材の外装シート、遮光シート、光反射シート、電磁波シールド、ブラインド、屋根用防水シート、安全カバー、ヘルメット、自動車・バイク・自転車部品、バックミラー、フレキシブルプリント配線基板、絶縁被覆電線、カメラの筐体、携帯電話・スマートフォン等の筐体、バンパー、ホイールキャップ、ルーフ材、ラジエータータンク等に有用である。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお部及び%は特に断りのない限り重量基準である。
本実施例における評価は、以下の方法によって行う。
(1)重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)
ブロック共重合体及びブロック共重合体水素化物の分子量は、THFを溶離液とするGPCによる標準ポリスチレン換算値として、38℃において測定した。測定装置としては、東ソー社製、HLC8020GPCを用いた。
(2)水素化率
ブロック共重合体水素化物[D]の主鎖、側鎖及び芳香環の水素化率は、H−NMRスペクトルを測定して算出した。
(3)樹脂の剛性
樹脂組成物、熱可塑性樹脂あるいは変性ブロック共重合体水素化物[E]を射出成形して、長さ80mm、幅10mm、厚さ4mmの試験片を作成し、JIS K 7171に準拠して曲げ試験を行い、曲げ弾性率を測定した。
樹脂の剛性の評価は、曲げ弾性率が1,000MPa以上の場合を「○(良好)」、1,000MPaを下まわる場合を「×(不十分)」と判断した。
(4)金属との接着性
樹脂組成物、あるいは変性ブロック共重合体水素化物[E]からなるシートを、シート端部に非接着部位を設けて金属シートと重ね合わせた後、真空ラミネータを使用して、温度170℃、圧力0.1MPaで20分間加圧接着し、剥離強度測定用の試験片を作成した。
作成した試験片の樹脂組成物シートの層を、幅15mmに切り分け、オートグラフ(製品名「AGS−10KNX」、島津製作所社製)を使用して、シートの非接着部位から、剥離速度100mm/分で、JIS K 6854−2に準じて180°剥離試験を行い、剥離強度を測定した。
剥離強度は、作成した試験片の初期の値と、試験片を温度85℃、湿度85%RHの高温高湿環境に300時間保管した後の値を測定し、評価した。
接着性は、剥離強度が10N/cm以上の場合を「◎(優良)」、5N/cm以上の場合を「○(良好)」、5N/cmを下回る場合を「×(不十分)」と評価した。
[参考例1]変性ブロック共重合体水素化物[E1]
(1)ブロック共重合体[C1]の製造
内部が充分に窒素置換された、攪拌装置を備えた反応器に、脱水シクロヘキサン550部、脱水スチレン25.0部、及びn−ジブチルエーテル0.475部を入れた。全容を60℃で攪拌しながら、n−ブチルリチウムの15%シクロヘキサン溶液0.62部を加えて、重合を開始させ、攪拌しながら60℃で60分反応させた。ガスクロマトグラフィーにより測定した、この時点で重合転化率は99.5%であった。
次に、脱水イソプレン50.0部を加え、60℃で30分攪拌を続けた。この時点で重合転化率は99.5%であった。
その後、更に、脱水スチレンを25.0部加え、60℃で60分攪拌を続けた。この時点での重合転化率はほぼ100%であった。
ここで、反応液にイソプロピルアルコール0.5部を加えて、反応を停止させ、ブロック共重合体[C1]を含む重合体溶液を得た。得られたブロック共重合体[C1]の重量平均分子量(Mw)は66,300、分子量分布(Mw/Mn)は1.03、wA:wB=50:50であった。
(2)ブロック共重合体水素化物[D1]の製造
次に、上記重合体溶液を、攪拌装置を備えた耐圧反応器に移送し、水素化触媒として珪藻土担持型ニッケル触媒(製品名「E22U」、ニッケル担持量60%、日揮触媒化成社製)8.0部、及び脱水シクロヘキサン100部を添加して混合した。反応器内部を水素ガスで置換し、さらに溶液を攪拌しながら水素を供給し、温度190℃、圧力4.5MPaにて6時間水素化反応を行った。水素化反応後のブロック共重合体水素化物[D1]の重量平均分子量(Mw)は70,200、分子量分布(Mw/Mn)は1.05であった。
水素化反応終了後、反応溶液を濾過して水素化触媒を除去した後、フェノール系酸化防止剤であるペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](製品名「Songnox1010」、松原産業社製)0.1部を溶解したキシレン溶液1.0部を添加して溶解させた。
次いで、上記溶液を、金属ファイバー製フィルター(孔径0.4μm、ニチダイ社製)にて濾過して微小な固形分を除去した後、円筒型濃縮乾燥器(製品名「コントロ」、日立製作所社製)を用いて、温度260℃、圧力0.001MPa以下で、溶液から、シクロヘキサン、キシレン及びその他の揮発成分を除去した。連続してダイから溶融ポリマーをストランド状に押出し、冷却後、ペレタイザーによりブロック共重合体水素化物[D1]のペレット96部を作製した。
得られたペレット状のブロック共重合体水素化物[D1]の重量平均分子量(Mw)は69,500、分子量分布(Mw/Mn)は1.05、水素化率はほぼ100%であった。
(3)変性ブロック共重合体水素化物[E1]の製造
得られたブロック共重合体水素化物[D1]のペレット100部に対して、ビニルトリメトキシシラン2.0部、及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(製品名「パーヘキサ(登録商標) 25B」、日油社製)0.2部を添加した。この混合物を、二軸押出機を用いて、樹脂温度200℃、滞留時間60〜70秒で混練し、ストランド状に押出し、空冷した後、ペレタイザーによりカッティングし、アルコキシシリル基を有する変性ブロック共重合体水素化物[E1]のペレット95部を得た。
得られた変性ブロック共重合体水素化物[E1]のペレット10部をシクロヘキサン100部に溶解した後、脱水したメタノール400部中に注いで変性ブロック共重合体水素化物[E1]を凝固させ、濾取した。得られた濾過物を25℃で真空乾燥して変性ブロック共重合体水素化物[E1]のクラム9.0部を得た。
このもののFT−IRスペクトルを測定したところ、1090cm−1にSi−OCH基、825cm−1と739cm−1にSi−CH基に由来する新たな吸収帯が、ビニルトリメトキシシランのそれらの1075cm−1、808cm−1及び766cm−1と異なる位置に観察された。また、H−NMRスペクトル(重クロロホルム中)を測定したところ、3.6ppmにメトキシ基のプロトンに基づく吸収帯が観察された。そのピーク面積比からブロック共重合体水素化物[D1]の100部に対してビニルトリメトキシシラン1.8部が結合したことが確認された。
[実施例1]ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物[F1]
(1)PBT樹脂組成物[F1]のペレットの製造
熱可塑性樹脂として、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT、製品名「ノバデュラン(登録商標)5050」、三菱エンジニアリングプラスチックス社製)のペレット100部、及び参考例1で得た変性ブロック共重合体水素化物[E1]のペレット20部を混合した。この混合物を二軸押出し機(製品名「TEM−37B」、東芝機械製)を用いて、シリンダー温度240℃、スクリュー回転数150rpmの条件で溶融混練し、ストランド状に押出したものを空冷した後、ペレタイザーでカッティングしてPBT樹脂組成物[F1]のペレット113部を得た。
(2)曲げ試験片の作製
得られたPBT樹脂組成物[F1]のペレットを、射出成形機(製品名「ROBOSHOT α−100B」、ファナック社製)を使用して、樹脂温度240℃、金型温度60℃の成形条件で射出成形して、長さ80mm、幅10mm、厚さ4mmの試験片を得た。
(3)シートの成形
得られたPBT樹脂組成物[F1]のペレットを、25mmφのスクリューを備えた押出し機を有するTダイ式フィルム溶融押出し成形機(Tダイ幅300mm、キャストロール及びシート引き取り装置を備えた押出しシート成形機、GSIクレオス社製)を使用して、溶融樹脂温度240℃、Tダイ温度240℃、キャストロール温度80℃の成形条件にて押出し成形し、PBT樹脂組成物[F1]からなるシート(厚さ250μm、幅230mm)を得た。得られたシートはロールに巻き取り回収した。
(4)樹脂の剛性及び金属との接着性の評価
射出成形したPBT樹脂組成物[F1]の試験片の曲げ弾性率は、2,000MPaであり、剛性の評価は「○(良好)」であった。
金属シートとして、SUS304の厚さ0.2mmのシートを使用して作成した試験片の剥離強度は、初期値は5N/cmで、接着性の評価は「○(良好)」であり、試験片を85℃、85%RH、300時間後の値は6N/cmで、接着性の評価は「○(良好)」であった。
結果を表1に記載した。
[実施例2]ナイロン6樹脂組成物[F2]
(1)ナイロン6樹脂組成物[F2]のペレットの製造
熱可塑性樹脂として、ナイロン6(PA6、製品名「ユニチカナイロン6 A1030JR」、ユニチカ社製)のペレット100部、及び参考例1で得られた変性ブロック共重合体水素化物[E1]のペレット20部を混合した。この混合物を、実施例1と同様に、二軸押出し機を用いて混練し、PA6樹脂組成物[F2]のペレット109部を得た。
(2)曲げ試験片の作成
PA6樹脂組成物[F2]のペレットを使用し、実施例1と同様に射出成形して、曲げ試験用の試験片を得た。
(3)シートの成形
PA6樹脂組成物[F2]のペレットを使用し、実施例1と同様に押出し成形して、シート(厚さ250μm、幅230mm)を得た。
(4)樹脂の剛性及び金属との接着性の評価
実施例1と同様にして、PA6樹脂組成物[F2]の剛性と金属との接着性を評価した。結果を表1に記載した。
[実施例3]ポリカーボネート樹脂組成物[F3]
(1)ポリカーボネート樹脂組成物[F3]のペレットの製造
熱可塑性樹脂として、ポリカーボネート(PC、製品名「ユーピロン((登録商標) H3000」、三菱エンジニアリングプラスチック社製)のペレット100部、及び参考例1で得られた変性ブロック共重合体水素化物[E1]のペレット20部を混合した。この混合物を、樹脂温度を265℃とする以外は、実施例1と同様にして二軸押出し機を用いて混練し、PC樹脂組成物[F3]のペレット105部を得た。
(2)曲げ試験片の作成
PC樹脂組成物[F3]のペレットを使用し、樹脂温度を265℃にする以外は、実施例1と同様に射出成形して、曲げ試験用の試験片を成形した。
(3)シートの成形
PC樹脂組成物[F3]のペレットを使用し、溶融樹脂温度265℃、Tダイ温度260℃にする以外は、実施例1と同様に押出し成形して、シート(厚さ250μm、幅230mm)を得た。
(4)樹脂の剛性及び金属との接着性の評価
実施例1と同様にして、PC樹脂組成物[F3]の剛性と金属との接着性を評価した。結果を表1に記載した。
[実施例4]ポリプロピレン樹脂組成物[F4]
(1)ポリプロピレン樹脂組成物[F4]のペレットの製造
熱可塑性樹脂として、ポリプロピレン(PP、製品名「ノバテック((登録商標) MA3H」、日本ポリプロ社製)のペレット100部、及び参考例1で得られた変性ブロック共重合体水素化物[E1]のペレット20部を混合した。この混合物を、樹脂温度を210℃とする以外は、実施例1と同様にして二軸押出し機を用いて混練し、PP樹脂組成物[F4]のペレット114部を得た。
(2)曲げ試験片の作成
PP樹脂組成物[F4]のペレットを使用し、樹脂温度を220℃にする以外は、実施例1と同様に射出成形して、曲げ試験用の試験片を得た。
(3)シートの成形
PP樹脂組成物[F4]のペレットを使用し、溶融樹脂温度210℃、Tダイ温度200℃にする以外は、実施例1と同様に押出し成形して、シート(厚さ250μm、幅230mm)を得た。
(4)樹脂の剛性及び金属との接着性の評価
実施例1と同様にして、PP樹脂組成物[F4]の剛性と金属との接着性を評価した。結果を表1に記載した。
[実施例5]ポリプロピレン樹脂組成物[F5]
(1)ポリプロピレン樹脂組成物[F5]のペレットの製造
PP樹脂組成物[F5]のペレット実施例4と同じPPのペレット100部、及び参考例1で得られた変性ブロック共重合体水素化物[E1]のペレット100部を混合した。この混合物を、実施例4と同様にして二軸押出し機を用いて混練し、PP樹脂組成物[F5]のペレット191部を得た。
(2)曲げ試験片の作成
PP樹脂組成物[F5]のペレットを使用し、実施例4と同様に射出成形して、曲げ試験用の試験片を成形した。
(3)シートの成形
PP樹脂組成物[F5]のペレットを使用し、実施例4と同様に押出し成形して、シート(厚さ250μm、幅230mm)を成形した。
(4)樹脂の剛性及び金属との接着性の評価
実施例1と同様にして、PP樹脂組成物[F5]の剛性と金属との接着性を評価した。結果を表1に記載した。
[比較例1〜4]
(1)実施例1〜4で使用したのと同じ熱可塑性樹脂(PBT、PA6、PC、PP)を使用して、実施例1と同様の試験片及びシートを得た。
(2)樹脂の剛性及び金属との接着性の評価
実施例1と同様にして、PBT、PA6、PC、PPの剛性と金属との接着性を評価した。結果を表1に記載した。
[比較例5]
(1)参考例1で製造した変性ブロック共重合体水素化物[E1]を使用して、実施例4と同様にして、実施例1と同様の試験片及びシートを成形した。
(2)樹脂の剛性及び金属との接着性の評価
実施例1と同様にして、変性ブロック共重合体水素化物[E1]の剛性と金属との接着性を評価した。結果を表1に記載した。
Figure 0006428426
[参考例2]変性ブロック共重合体水素化物[E2]
(1)ブロック共重合体水素化物[D2]の製造
重合段階で、スチレン15.0部、イソプレン70.0部及びスチレン15.0部をこの順に反応系に添加して重合反応を行う以外は、参考例1と同様にして、A−B−A型のトリブロック共重合体水素化物[D2]のペレット95部を得た。
得られたブロック共重合体水素化物[D2]の重量平均分子量(Mw)は67,500、分子量分布(Mw/Mn)は1.05、水素化率はほぼ100%であった。重合段階でのwAとwBの比は、wA:wB=30:70であった。
(2)変性ブロック共重合体水素化物[E2]の製造
得られたブロック共重合体水素化物[D2]のペレット100部、及び、ビニルトリメトキシシラン2.5部を使用する以外は、参考例1と同様にして、アルコキシシリル基を有する変性ブロック共重合体水素化物[E2]のペレット92部を得た。
得られた変性ブロック共重合体水素化物[E2]のペレットを、参考例1と同様に精製及び分析した結果、ブロック共重合体水素化物[D2]の100部に対してビニルトリメトキシシラン2.3部が結合したことが確認された。
[実施例6]ポリプロピレン樹脂組成物[F6]
(1)熱可塑性樹脂として実施例4で使用したのと同じPPのペレット100部及び参考例2で得られた変性ブロック共重合体水素化物[E2]のペレット20部を混合した。この混合物を、実施例4と同様にして二軸押出し機を用いて混練し、PP樹脂組成物[F6]のペレット111部を得た。
(2)曲げ試験片の作成
PP樹脂組成物[F6]のペレットを使用し、実施例4と同様に射出成形して、曲げ試験用の試験片を成形した。
(3)シートの成形
PP樹脂組成物[F6]のペレットを使用し、実施例4と同様に押出し成形して、シート(厚さ250μm、幅230mm)を成形した。
(4)樹脂の剛性及び金属との接着性の評価
(i)実施例1と同様にして、PP樹脂組成物[F4]の剛性と金属との接着性を評価した。
射出成形したPP樹脂組成物[F6]の試験片の曲げ弾性率は、1,600MPaであり、剛性の評価は「○(良好)」であった。
(ii)金属シートとしてSUS304の厚さ0.2mmのシートを使用して作成した試験片の剥離強度は、初期値は11N/cmで、接着性の評価は「◎(優良)」であり、試験片を85℃、85%RH、300時間後の値は16N/cmで、接着性の評価は「◎(優良)」であった。
(iii)金属シートとしてアルミニウム箔(厚さ30μm、材質(JIS H 4160合金番号):1N30、三菱アルミニウム社製)を使用して作成した試験片の剥離強度は、初期値は9N/cmで、接着性の評価は「○(良好)」であり、試験片を85℃、85%RH、300時間後の値は12N/cmで、接着性の評価は「◎(優良)」であった。
(iv)金属シートに代えて厚さ1.2mmのソーダガラス板を使用して作成した試験片の剥離強度は、初期値は10N/cmで、接着性の評価は「◎(優良)」であり、試験片を85℃、85%RH、300時間後の値は16N/cmで、接着性の評価は「◎(優良)」であった。
本実施例及び比較例の結果から以下のことがわかる。
アルコキシシリル基を導入した変性ブロック共重合体水素化物[E]を配合した樹脂組成物は、SUS304に対する接着性が付与されている(実施例1〜5)が、変性ブロック共重合体水素化物[E]を配合しない場合は、接着性を有さない(比較例1〜4)。
熱可塑性樹脂100部に対して変性ブロック共重合体水素化物[E]20〜100部を配合した場合、十分な剛性が維持されている(実施例1〜6)。
鎖状共役ジエン化合物由来の構造単位を主成分とする重合体ブロック[B]の含有量がより多いブロック共重合体水素化物[D]に、アルコキシシリル基を導入した変性ブロック共重合体水素化物[E]を用いた場合、PP(100部)に対して同量(20部)を配合した場合、より高い接着性を付与することができる(実施例4と実施例6を比較)。
変性ブロック共重合体水素化物[E]を配合した樹脂組成物は、SUS304、アルミニウム、ガラスに対して接着性を有している(実施例6)。
本発明の樹脂組成物は、ガラスや金属に対する接着性が付与された新規な樹脂組成物であり、金属シートと樹脂組成物シートが接着固定された多層複合シート、金属部品と熱可塑性樹脂部品とが接着固定されて一体となった電子機器の筐体や自動車部品等に有用である。

Claims (4)

  1. 熱可塑性樹脂100重量部に対して、変性ブロック共重合体水素化物5〜150重量部を配合してなる樹脂組成物であって、
    前記変性ブロック共重合体水素化物が、
    芳香族ビニル化合物由来の構造単位を主成分とする、少なくとも2つの重合体ブロック[A]と、鎖状共役ジエン化合物由来の構造単位を主成分とする、少なくとも1つの重合体ブロック[B]とからなり、
    全重合体ブロック[A]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwAとし、全重合体ブロック[B]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwBとしたときに、wAとwBとの比(wA:wB)が20:80〜70:30であるブロック共重合体の、主鎖及び側鎖の炭素−炭素不飽和結合及び芳香環の炭素−炭素不飽和結合の90%以上を水素化したブロック共重合体水素化物に、アルコキシシリル基が導入されてなるものである
    樹脂組成物。
  2. 前記熱可塑性樹脂が、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ハロゲン含有ビニル系樹脂、芳香族ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂から群から選ばれる1種又は2種以上である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記熱可塑性樹脂が、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ビスフェノールA型ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体及びエチレン・α―オレフィン共重合体からなる群から選ばれる1種又は2種以上である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物と金属が接合してなる複合成形体。
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