JP6427932B2 - 金属磁性材料及び電子部品 - Google Patents

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本発明は、電子回路に用いられるパワーインダクタ等に用いられる金属磁性材料と、それを用いた電子部品に関するものである。
電源回路で使用されるパワーインダクタは、小型化、低損失化、大電流対応化が要求されており、これらの要求に対応すべく、その磁性材料に飽和磁束密度の高い金属磁性材料を使用することが検討されている。金属磁性材料は、飽和磁束密度が高いという利点があるが、その材料単体の絶縁抵抗は低く、電子部品の磁性体として使用するためには、材料粒子同士の絶縁を確保する必要がある。絶縁が確保できないと、部品本体が導通してしまったり、材料特性が劣化して、製品の損失が増加してしまったりする。
従来は、金属磁性材料を電子部品に用いるときに、樹脂等でボンド化したり、粒子を絶縁膜で被覆したりして、材料粒子同士の絶縁を確保することが行われていた。
例えば、特許文献1には、Fe−Cr−Si合金の表面をZnO系ガラスで被覆した材料を真空、無酸素、低酸素分圧下で焼成する電子部品が記載されている。しかし、真空、無酸素、低酸素分圧下では、焼結を防ぐため、材料粒子の被覆を確実にする必要があり、ガラスの添加量を多くする必要があったり、材料粒子の被覆のためコストが上昇したりするといった問題がある。
この様に、樹脂等でボンド化したり、粒子を絶縁膜で被覆したりする従来の手法では、絶縁性をより確実にするため、磁性材料以外の絶縁材料の量を多くすることが必要であり、磁性材料以外の体積を増加させることは磁気特性の劣化につながるという問題があった。
また、材料粒子に原料組成のみに由来する酸化物の層を形成する技術が開示されている(特許文献2、特許文献3)。この手法では、材料粒子に原料組成のみに由来する酸化物の絶縁膜を利用するので、磁気特性の劣化は小さい。しかし、この手法で用いる原料組成のみに由来する酸化物の絶縁膜では絶縁性が低かったり、十分な強度が得られなかったりする場合があった。
そこで、粒子に原料組成のみに由来する酸化物の層を形成し、これに樹脂含浸する等の手法も開示されている(特許文献4)。しかし、含浸等の手法は、コストが上昇するばかりか、製品の安定性を欠くため、実用性が低かった。
さらに、特許文献5には、鉄系化合物をコアとし、その周りに金属化合物のシェルを形成したコアシェル構造の金属磁性粉末と、ガラスとを含む磁性層材料が開示されている。しかし、この手法では、コアシェル構造を構成するために、コアを構成する材料に対してシェル形成材料を被覆する必要があり、上述した粒子を絶縁膜で被覆する従来の手法と同様に、コストの上昇や、被覆材料(シェル形成材料)の量を多くするために磁気特性の劣化につながるという問題があった。
特開2010−62424号公報 特許第4866971号公報 特許第5082002号公報 特開2012−238841号公報 特開2013−33966号公報
電子部品用の金属磁性材料には、磁性粒子同士を、最小の絶縁層で絶縁して、高い絶縁性を確保する必要がある。また、絶縁膜は電気的、機械的にも強固である必要がある。さらに、材料粒子内の組成を均一に保つ必要がある。しかしながら、前述の様に、いずれの従来技術であっても、何らかの未解決な問題点を有していた。
本発明の課題は、絶縁を確実に行え、かつ、飽和磁束密度の高い金属磁性材料と、この金属磁性材料を用いた低損失、かつ、直流重畳特性の良好な電子部品を提供することである。
本発明の金属磁性材料は、鉄と、ケイ素と、クロムを含有する金属磁性合金粉末に、金属磁性合金粉末に含有している元素よりも酸化還元反応における平衡状態で酸化し易い元素が添加される。
また、本発明の金属磁性材料は、鉄と、ケイ素と、クロムを含有する金属磁性合金粉末に、金属磁性合金粉末に含有している元素よりも酸化還元反応における平衡状態で酸化し易い元素が添加され、熱処理により金属磁性合金粉末に含有している元素よりも酸化還元反応における平衡状態で酸化し易い元素と金属磁性合金粉末の反応物が生成される。
さらに、本発明の金属磁性材料は、鉄と、ケイ素と、クロムを含有する金属磁性合金粉末に、金属磁性合金粉末に含有している元素よりも酸化還元反応における平衡状態で酸化し易い元素が添加され、熱処理により金属磁性合金粉末に含有している元素よりも酸化還元反応における平衡状態で酸化し易い元素と金属磁性合金粉末の反応物が生成され、反応物による金属磁性合金粉末元素との酸化物が存在している。
またさらに、本発明の金属磁性材料は、鉄と、ケイ素と、クロムを含有する金属磁性合金粉末に、金属磁性合金粉末に含有している元素よりも酸化還元反応における平衡状態で酸化し易い元素が添加され、熱処理により金属磁性合金粉末に含有している元素よりも酸化還元反応における平衡状態で酸化し易い元素と金属磁性合金粉末の反応物が生成され、反応物が金属磁性合金粉末の表面近傍に形成される。
本発明の電子部品は、鉄と、ケイ素と、クロムを含有する金属磁性合金粉末に、金属磁性合金粉末に含有している元素よりも酸化還元反応における平衡状態で酸化し易い元素が添加された金属磁性材料を用いて素体が形成され、素体内に金属磁性合金粉末に含有している元素よりも酸化還元反応における平衡状態で酸化し易い元素と金属磁性合金粉末の反応物が生成され、素体の内部あるいは表面にコイルが形成される。
また、本発明の電子部品は、鉄と、ケイ素と、クロムを含有する金属磁性合金粉末に、金属磁性合金粉末に含有している元素よりも酸化還元反応における平衡状態で酸化し易い元素が添加された金属磁性材料を用いて素体が形成され、金属磁性合金粉末の表面近傍に、金属磁性合金粉末に含有している元素よりも酸化還元反応における平衡状態で酸化し易い元素と金属磁性合金粉末の反応物が析出し、素体の内部あるいは表面にコイルが形成される。
さらに、本発明の電子部品は、鉄と、ケイ素と、クロムを含有する金属磁性合金粉末に、金属磁性合金粉末に含有している元素よりも酸化還元反応における平衡状態で酸化し易い元素が添加された金属磁性材料を用いて素体が形成され、素体を熱処理することにより、素体内に金属磁性合金粉末に含有している元素よりも酸化還元反応における平衡状態で酸化し易い元素と金属磁性合金粉末の反応物が生成され、素体の内部あるいは表面にコイルが形成される。
またさらに、本発明の電子部品は、鉄と、ケイ素と、クロムを含有する金属磁性合金粉末に、金属磁性合金粉末に含有している元素よりも酸化還元反応における平衡状態で酸化し易い元素が添加された金属磁性材料を用いて素体が形成され、素体を熱処理することにより、金属磁性合金粉末の表面近傍に、金属磁性合金粉末に含有している元素よりも酸化還元反応における平衡状態で酸化し易い元素と金属磁性合金粉末の反応物が析出して、素体の内部あるいは表面にコイルが形成される。
本発明の金属磁性材料は、鉄と、ケイ素と、クロムを含有する金属磁性合金粉末に、金属磁性合金粉末に含有している元素よりも酸化還元反応における平衡状態で酸化し易い元素が添加されるので、簡便な方法で、絶縁を確実に行え、かつ、飽和磁束密度を高くすることができる。
また、本発明の電子部品は、鉄と、ケイ素と、クロムを含有する金属磁性合金粉末に、金属磁性合金粉末に含有している元素よりも酸化還元反応における平衡状態で酸化し易い元素が添加された金属磁性材料を用いて素体が形成され、素体内に金属磁性合金粉末に含有している元素よりも酸化還元反応における平衡状態で酸化し易い元素と金属磁性合金粉末の反応物が生成され、素体の内部あるいは表面にコイルが形成されるので、低損失、かつ、直流重畳特性の良好なものとすることができる。
本発明による電子部品の実施形態を示す斜視図である。 図1の分解斜視図である。 比較実験を行った実施例と比較例の組成と比較実験結果をまとめて示した表である。 実施例3、比較例1及び、比較例3のX線回折図である。 実施例と比較例1について熱処理温度を変化させて透磁率を測定した結果を示すグラフである。
本発明の金属磁性材料は、鉄と、ケイ素と、クロムを含有する金属磁性合金粉末に、金属磁性合金粉末に含有している元素よりも酸化還元反応における平衡状態で酸化し易い元素が添加される。金属磁性合金粉末に含有している元素よりも酸化還元反応における平衡状態で酸化し易い元素としてはリチウムが用いられる。これを熱処理することにより、金属磁性合金粉末に含有している元素よりも酸化還元反応における平衡状態で酸化し易い元素であるリチウムと、金属磁性合金粉末を構成する元素の反応物が生成される。この反応物は、金属磁性合金粉末元素との酸化物として存在し、金属磁性合金粉末の表面近傍に形成される。
従って、本発明の金属磁性材料は、金属磁性合金粉末に含有している元素よりも酸化還元反応における平衡状態で酸化し易い元素を添加し、元素の種類やその量を調整することにより、材料粒子の原料組成由来以外の物質を生成させることができ、材料粒子に原料組成のみに由来する酸化物で絶縁膜を形成する従来のものよりも効率よく絶縁できる。リチウムは、金属磁性合金粉末を構成する元素である鉄と反応して、金属磁性合金粉末の表面近傍に鉄とリチウムの反応物を形成することができる。
また、本発明の電子部品は、鉄と、ケイ素と、クロムを含有する金属磁性合金粉末に、金属磁性合金粉末に含有している元素よりも酸化還元反応における平衡状態で酸化し易い元素が添加された金属磁性材料を用いて素体が形成される。金属磁性合金粉末に含有している元素よりも酸化還元反応における平衡状態で酸化し易い元素としてはリチウムが用いられる。この素体を熱処理することにより、素体内に金属磁性合金粉末に含有している元素よりも酸化還元反応における平衡状態で酸化し易い元素であるリチウムと、金属磁性合金粉末を構成する元素の反応物が生成される。この反応物は、金属磁性合金粉末元素との酸化物として存在し、金属磁性合金粉末の表面近傍に形成される。素体の内部あるいは表面にはコイルが形成される。
従って、本発明の電子部品は、金属磁性合金粉末に含有している元素よりも酸化還元反応における平衡状態で酸化し易い元素を添加し、元素の種類やその量を調整することにより、材料粒子の原料組成由来以外の物質を生成させることができ、材料粒子に原料組成のみに由来する酸化物で絶縁膜を形成する従来のものよりも効率よく金属磁性粒子同士を絶縁できると共に、金属磁性粒子同士を強固に結合できる。リチウムは、金属磁性合金粉末を構成する元素である鉄と反応して、金属磁性合金粉末の表面近傍に鉄とリチウムの反応物を形成し、この反応物によって金属磁性粒子同士を強固に結合できる。
以下、本発明の金属磁性材料及び電子部品の実施形態を図1乃至図5を参照して説明する。
図1は本発明による電子部品の実施形態を示す斜視図、図2は図1の分解斜視図である。
図1、図2において、10は電子部品、11は素体、13、14は外部端子である。
電子部品10は、素体11と、外部端子13、14とを備えた積層型のインダクタである。
素体11は、金属磁性体層11A、11B、11C、11Dと、コイル用導体パターン12A、12B、12Cとを有している。
金属磁性体層11A、11B、11C、11Dは、金属磁性合金粉末に、金属磁性合金粉末に含有している元素よりも酸化還元反応における平衡状態で酸化し易い元素が添加された金属磁性材料により形成されている。
金属磁性合金粉末は、金属磁性体として、鉄と、ケイ素と、クロムとを含有する金属磁性合金(いわゆる、Fe−Si−Cr系金属磁性合金)の粉末が用いられる。また、金属磁性合金粉末に含有している元素よりも酸化還元反応における平衡状態で酸化し易い元素としてはリチウムが用いられる。素体11(金属磁性体層11A、11B、11C、11D)中では、金属磁性合金粉末を構成している元素である鉄とリチウムの反応物が生成され、この反応物が金属磁性合金粉末元素との酸化物として、金属磁性合金粉末の表面近傍に形成される。そして、素体11中の金属磁性合金粉末同士が、金属磁性合金粉末を構成している鉄とリチウムの反応物を介して結合されている。金属磁性体層11A、11B、11C、11Dを形成する金属磁性材料の詳細については後述する。
コイル用導体パターン12A、12B、12Cは、銀、銀系、金、金系、銅、銅系等の金属材料をペースト状にした導体ペーストを用いて形成される。
金属磁性体層11Aの表面には、コイル用導体パターン12Aが形成されている。このコイル用導体パターン12Aは、1ターン未満分が形成されている。コイル用導体パターン12Aの一端は、金属磁性体層11Aの端面に引き出される。
金属磁性体層11Bの表面には、コイル用導体パターン12Bが形成されている。このコイル用導体パターン12Bは、1ターン未満分が形成されている。コイル用導体パターン12Bの一端は金属磁性体層11Bのスルーホール内の導体を介してコイル用導体パターン12Aの他端に接続されている。
金属磁性体層11Cの表面には、コイル用導体パターン12Cが形成されている。このコイル用導体パターン12Cは、1ターン未満分が形成されている。コイル用導体パターン12Cの一端は、金属磁性体層11Cのスルーホール内の導体を介してコイル用導体パターン12Bの他端に接続される。また、コイル用導体パターン12Cの他端は、金属磁性体層11Cの端面に引き出される。
このコイル用導体パターン12Cが形成された金属磁性体層11Cの上には、コイル用導体パターンを保護するための金属磁性体層11Dが形成されている。
このように、金属磁性体層間のコイル用導体パターン12Aから12Cによって素体11内にコイルパターンが形成される。この素体11の両端面には、図2に示す様に外部端子13、14が形成される。そして、コイル用導体パターン12Aの一端が外部端子13に、コイル用導体パターン12Cの他端が外部端子14にそれぞれ接続されることにより、コイルパターンが外部端子13と外部端子14間に接続される。
この様な構成を有する本発明の電子部品は以下のようにして製造される。
まず、所定組成のFe−Cr−Si合金の粉末に所定量のリチウムを添加した後、混合してPVA(ポリビニルアルコール)等のバインダをさらに添加する。そして、これを混練してペースト状にして金属磁性材料ペーストを得る。また、コイル用導体パターン12A〜12Cを形成する導体ペーストを別途用意する。この金属磁性材料ペーストと導体ペーストとを交互に層状に印刷することにより、素体(成形体)11が得られる。得られた素体11は、大気中において所定温度で脱バインダ処理、及び、熱処理が行われて、電子部品10が得られる。なお、外部端子13、14については、例えば、熱処理後に形成することができる。この場合、例えば、熱処理後の素体11の両端に、外部端子用の導体ペーストを塗布した後、加熱処理を行うことにより、外部端子13、14を設けることができる。また、この外部端子13、14は、熱処理後の素体11の両端に、外部端子用の導体ペーストを塗布した後、焼付け処理を行い、焼付けられた導体にめっきを施すことによっても設けることができる。この場合、素体11に存在する空隙にめっき液が侵入するのを防止するために素体11に存在する空隙に樹脂を含浸してもよい。
本実施形態では、素体11を構成する金属磁性体層11aから11dに用いられる金属磁性材料に、金属磁性合金粉末に対してリチウムを添加したものを用いることにより、磁気特性と絶縁特性との両立を図っている。以下この金属磁性材料について、より具体的な実施例を、比較例を含めた比較実験結果を挙げて説明する。
図3は、比較実験を行った実施例と比較例の組成と比較実験結果とをまとめて示した表である。
この比較実験では、所定組成のFe−Cr−Si合金の粉末に、リチウムをLiCO換算で図3に示す所定量を添加した後、混合して、PVA(ポリビニルアルコール)等のバインダをさらに添加し、これを混練した金属磁性材料ペーストを用いて素体(成形体)を形成し、大気中において400〜600℃で脱バインダ(脱脂)処理を行った後、大気中において800℃で熱処理してインダクタを形成した。なお、Fe−Cr−Si合金の粉末は、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法等のアトマイズ法、還元法、カルボニル法、粉砕法等の各種粉末化法によって製造できるが、その表面に金属酸化物を形成するための処理が行われていないものを用いている。すなわち、粉末表面に特別な処理が行われていない、Fe−Cr−Si合金の粉末そのものを用いている。
本発明の金属磁性材料は、リチウムを金属磁性合金粉末に対して5wt%未満添加することにより、無添加の場合(比較例1)よりも、絶縁抵抗が上昇し、3点曲げ強度も上昇している。
また、複素透磁率μ’等の磁気特性についても、リチウムを金属磁性合金粉末に対して1wt%未満添加することにより、無添加の場合(比較例1)と同等の性能を確保できている。
なお、リチウムを金属磁性合金粉末に対して10wt%添加したものは異相(Fe)等が発生して、抵抗率が低下して、10MHzでの透磁率が大幅に低下している。
図3に示した比較実験において、無添加時に対する10MHzでの複素透磁率μ’の低下が30%以内で、体積抵抗率が10Ω・cm以上、3点曲げ強度が40Mpa以上のものを「可」、それ以外を「不可」として判定した結果を判定欄に示した。この条件は、インダクタとして利用可能な最低限の条件として設定してある。実施例1乃至実施例4の金属磁性材料は、この条件を満たして「可」となっている。この結果からすると、上記条件を満たすためには、リチウムは、0wt%を超え、1wt%未満、好ましくは、0.1wt%以上、0.5wt%以下の添加量が必要との結果が得られている。
リチウムを添加したことにより、Fe−Cr−Si合金粉末の表面に、LiFeが生成したことは、X線回折やSEM−EDXにより確認できる。
図4は、リチウムを添加しない比較例1の金属磁性材料を用いたものと、実施例3の金属磁性材料を用いたものと、比較例3の金属磁性材料を用いたものについてX線回折を行ったX線回折図である。なお、図4では3種類の線図が重ならないように、縦軸(強度)の基準位置をずらして示している。
これによると、実施例3の金属磁性材料を用いたものと、比較例3の金属磁性材料を用いたものについては2θが30から50にLiFeのピークが見られる。リチウムを添加しない比較例1についてはLiFeのピークが見られず、その代わりにFe、すなわち、原材料粒子のみからなる酸化物が確認されている。
また、異相が発生しない範囲ではリチウムの添加量が多いほど、LiFeの回折ピークは大きくなる傾向にあり、実施例3の金属磁性材料を用いたものよりも、比較例3の金属磁性材料を用いたものの方がLiFeの回折ピークが大きくなっている。
また、実施例1乃至実施例4と、リチウムを添加しない比較例1について熱処理温度を変えて透磁率特性を確認した。図5に示す様に、800℃の透磁率を基準として、熱処理温度を上げた場合の透磁率の変化率を見ると、いずれも比較例1と比較して、高温の熱処理温度まで透磁率を維持することができる。850℃以上の熱処理温度でも特性を維持できれば、導体パターンを銀で構成した積層インダクタ等に適用した場合でも、導体パターンの低抵抗化と特性(インダクタンス値等)の確保の両立が可能となる。リチウムを添加しない比較例1においては、熱処理温度が高くなると透磁率が大きく低下してしまうため、熱処理温度を十分に高くすることができず、導体パターンの抵抗を下げることができない。それに対し、実施例1乃至実施例4では銀の融点近くまで熱処理温度を上げても透磁率を維持できるので、低抵抗化と特性(インダクタンス値等)の確保の両立が可能となり、高特性の積層インダクタを得ることができる。
なお、比較例2乃至比較例5のようにリチウムを添加しても良い結果が得られない場合もある。従って、本発明のリチウムを含む金属磁性材料を使用するときには、金属磁性材料の粒子径、熱処理を行う温度によって添加の最適量を設定すれば良い。なお、金属磁性合金粉末の粒子径が大きくなれば必要なリチウムの量は減少する(表面積が減る)。また、熱処理温度を上げる場合にも、添加量を調整すると良い。
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)実施形態において、熱処理を行う温度について、具体例を挙げて説明したが、これに限らず、熱処理を行う温度は、磁性材料の粒子径や所望の磁気特性等に応じて適宜変更しても良い。
(2)実施形態において、金属磁性材料に添加する添加物は、リチウムである例を挙げて説明した。これに限られず、例えば、添加物は、金属磁性合金粉末に含有している元素よりも酸化還元反応における平衡状態で酸化し易い元素を含み、かつ、焼成で金属磁性合金と反応して生成物を形成できるものであれば良く、様々な材質に変えることができる。
(3)実施形態において、金属磁性材料に添加する添加物の量は、金属磁性材料の粒子径や所望の磁気特性等に応じて適宜変更しても良い。
(4)実施形態において、金属磁性材料に含まれている金属磁性合金粉末は、その表面に酸化物が形成されていないものとして説明を行った。これに限らず、例えば、金属磁性合金粉末の表面には、酸化物が形成されていても良い。金属磁性合金粉末は、自然に酸化が進んだり、高温の熱処理において酸化が進んだりして、その表面に、金属磁性合金粉末に由来する金属酸化物が例えば部分的に、又は、全体的に、自然に形成されてしまうこともある。本発明では、この金属磁性合金粉末に由来する金属酸化物による絶縁性について期待するものではないが、この金属酸化物が金属磁性合金粉末の表面に形成されていても、何ら支障は無い。
(5)実施形態において、素体中の隣接する金属磁性合金粉末同士が、金属磁性合金粉末を構成している元素とリチウムの反応物を介して結合されている場合を示したが、素体中の隣接する金属磁性合金粉末同士が、リチウムと金属磁性合金粉末の反応物を介して結合されるだけでなく、リチウムと金属磁性合金粉末の反応物が存在しない部分で金属磁性合金粉末同士が結合されても良い。
(6)素体が棒状、ドラム状、H状等のコアとして形成され、コイルがこのコアの外周に導線を巻回して構成されても良い。
なお、実施形態及び変形実施形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
10 電子部品
11 素体
11A、11B、11C、11D 金属磁性体層
12A、12B、12C コイル用導体パターン
13、14 外部端子

Claims (13)

  1. 鉄と、ケイ素と、クロムを含有する金属磁性合金粉末に、リチウムが添加され、
    熱処理により前記リチウムと該金属磁性合金粉末の反応物が生成され、該反応物が該金属磁性合金粉末の表面近傍に形成され、
    前記反応物は、LiFe を含むことを特徴とする金属磁性材料。
  2. 鉄と、ケイ素と、クロムを含有する金属磁性合金粉末に、リチウムが添加され、
    熱処理により前記リチウムと該金属磁性合金粉末の反応物が生成され、該反応物が該金属磁性合金粉末の表面近傍に形成され、
    前記反応物は、LiFe とFe を含むことを特徴とする金属磁性材料。
  3. 前記反応物がスピネル系フェライトである請求項1または請求項2に記載の金属磁性材料。
  4. 鉄と、ケイ素と、クロムを含有する金属磁性合金粉末に、リチウムが添加された金属磁性材料を用いて素体が形成され、
    該金属磁性合金粉末の表面近傍に、前記リチウムと該金属磁性合金粉末の反応物が析出し、
    該素体の内部あるいは表面にコイルが形成され、
    前記反応物は、LiFe を含むことを特徴とする電子部品。
  5. 鉄と、ケイ素と、クロムを含有する金属磁性合金粉末に、リチウムが添加された金属磁性材料を用いて素体が形成され、
    該金属磁性合金粉末の表面近傍に、前記リチウムと該金属磁性合金粉末の反応物が析出し、
    該素体の内部あるいは表面にコイルが形成され、
    前記反応物は、LiFe とFe を含むことを特徴とする電子部品。
  6. 鉄と、ケイ素と、クロムを含有する金属磁性合金粉末に、リチウムが添加された金属磁性材料を用いて素体が形成され、
    該素体を熱処理することにより、該金属磁性合金粉末の表面近傍に、前記リチウムと該金属磁性合金粉末の反応物が析出され、
    該素体の内部あるいは表面にコイルが形成され、
    前記反応物は、LiFe を含むことを特徴とする電子部品。
  7. 鉄と、ケイ素と、クロムを含有する金属磁性合金粉末に、リチウムが添加された金属磁性材料を用いて素体が形成され、
    該素体を熱処理することにより、該金属磁性合金粉末の表面近傍に、前記リチウムと該金属磁性合金粉末の反応物が析出され、
    該素体の内部あるいは表面にコイルが形成され、
    前記反応物は、LiFe とFe を含むことを特徴とする電子部品。
  8. 前記素体中の金属磁性合金粉末が、前記リチウムと該金属磁性合金粉末の反応物を介して結合された請求項乃至請求項のいずれかに記載の電子部品。
  9. 前記素体中の隣接する金属磁性合金粉末が、前記リチウムと該金属磁性合金粉末の反応物を介して結合された請求項乃至請求項のいずれかに記載の電子部品。
  10. 前記素体中の隣接する金属磁性合金粉末が、前記リチウムと該金属磁性合金粉末の反応物を介して結合される部分と、該リチウムと該金属磁性合金粉末の反応物が存在しない、金属磁性合金粉末同士が結合される部分を備えた請求項乃至請求項のいずれかに記載の電子部品。
  11. 前記反応物がスピネル系フェライトである請求項乃至請求項10のいずれかに記載の電子部品。
  12. 前記素体の体積抵抗率が10Ω・cm以上有する請求項乃至請求項11のいずれかに記載の電子部品。
  13. 前記素体の3点曲げ強度が40MPa以上有する請求項乃至請求項12のいずれかに記載の電子部品。
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