JP6426385B2 - 軌道輪の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、軌道輪の製造方法および軌道輪に関するものである。本発明は、特に、製造工程がより短縮された軌道輪の製造方法および当該軌道輪の製造方法により製造される軌道輪に関するものである。
従来、スラストニードル軸受の軌道輪は、以下の工程により製造されている。まず、圧延された薄板状の鋼材がコイル状に巻き取られたコイル材が準備される。次に、このコイル材に対して打抜き加工および成形加工が順に施される。これにより、軌道輪の概略形状を有するリング状の成形体が得られる。次に、熱処理前の段取り工程が実施される。そして、リング状の成形体に対して浸炭処理などの熱処理が施される。その後、衝風を当てて成形体を冷却することにより、当該成形体に焼入処理が施される。最後に、焼入後の成形体にプレステンパー(焼戻処理)を施すことにより、当該成形体の形状が整えられる。上記のような工程により、スラストニードル軸受の軌道輪が製造されている。
また鋼材の成形加工技術として、ダイクエンチ工法が知られている。このダイクエンチ工法は、加熱された鋼材をプレス成形すると同時にダイにより急冷して焼入処理を行う技術である(たとえば特許文献1)。
特開2008−296262号公報
上記のように、従来のスラストニードル軸受の軌道輪の製造工程は、打抜き加工、成形加工、熱処理、焼入処理および焼戻処理などの多くの工程からなっている。また、スラストニードル軸受の軌道輪は肉厚が薄いため、熱処理前の段取り工程において手間が掛かる。このように、従来では、製造工程の多工程化などによって軌道輪の製造コストが高くなるという問題がある。よって、軌道輪の製造工程をより短縮することにより製造コストを低減し、より安価な軌道輪を提供可能にすることが求められる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造工程がより短縮された軌道輪の製造方法を提供することである。また本発明の他の目的は、製造コストが低減されたより安価な軌道輪を提供することである。
本発明に従った軌道輪の製造方法は、鋼材および鋼材から軌道輪を得るための成形台を準備する工程と、鋼材を成形台に設置する工程と、成形台において鋼材をA1変態点以上の温度に加熱した後に鋼材の一部をリング状に打ち抜き、その後、成形台においてリング状の鋼材を焼入処理することにより軌道輪を得る工程とを備えている。
本発明に従った軌道輪の製造方法では、鋼材の加熱、打抜および焼入処理のそれぞれの工程が、全て成形台において一つの工程として実施される。そのため、従来の軌道輪の製造方法のように、上記工程が別々に実施される場合に比べて、製造工程をより短縮することができる。その結果、軌道輪の製造コストをより低減することが可能になり、より安価な軌道輪の提供が可能になる。このように、本発明に従った軌道輪の製造方法によれば、軌道輪の製造工程をより短縮することができる。
上記軌道輪の製造方法において、焼入処理は、リング状の鋼材を成形台と接触させることにより実施されてもよい。これにより、鋼材の焼入処理をより容易に実施することができる。
上記軌道輪の製造方法において、焼入処理の前に、成形台においてリング状の鋼材に成形加工が施されてもよい。これにより、鋼材の加熱、打抜、成形加工および焼入処理のそれぞれの工程を、全て成形台において一つの工程として実施することができる。その結果、軌道輪の製造工程をさらに短縮することができる。
上記軌道輪の製造方法においては、成形加工では、リング状の鋼材の内周部または外周部が、リング状の鋼材の厚み方向に向くように折り曲げられてもよい。これにより、リング形状の内周部または外周部が厚み方向に折り曲げられたスラスト軸受用軌道輪を製造することができる。
上記軌道輪の製造方法において、鋼材は、通電加熱、誘導加熱、接触伝熱および遠赤外線加熱からなる群より選択される少なくともいずれかの方法により加熱されてもよい。このように、上記軌道輪の製造方法においては、鋼材の加熱方法として任意の加熱方法を採用することができる。
上記軌道輪の製造方法において、通電加熱では、鋼材に直流電流または交流電流が供給されることにより生じた発熱により鋼材が加熱されてもよい。このように、通電加熱においては、直流電流および交流電流のいずれも採用することができる。
上記軌道輪の製造方法において、鋼材は、0.4質量%以上の炭素を含んでいてもよい。これにより、焼入処理後において高い硬度を有する軌道輪を製造することができる。
上記軌道輪の製造方法において、鋼材は、2mm以下の厚みを有していてもよい。また鋼材は、厚み方向においてリング状に打ち抜かれてもよい。このように比較的薄い鋼材を用いることにより、当該鋼材の打抜きが容易になり、かつ当該鋼材に対して十分な焼入処理を実施することができる。
上記軌道輪の製造方法においては、700HV以上の硬度を有する軌道輪が得られてもよい。このように、上記軌道輪の製造方法においては、製造工程を短縮するとともに、鋼材に対して十分な焼入処理を実施することにより、当該焼入処理後において高い硬度を有する軌道輪を製造することができる。
本発明に従った軌道輪は、上記本発明に従った軌道輪の製造方法により製造される。上記軌道輪の製造方法においては、上記のように製造工程の短縮によって製造コストをより低減することができる。したがって、本発明に従った軌道輪によれば、製造コストが低減されたより安価な軌道輪を提供することができる。
上記軌道輪は、スラスト軸受に使用される軌道輪であってもよい。これにより、上記軌道輪を有する安価なスラスト軸受を提供することができる。
以上の説明から明らかなように、本発明に従った軌道輪の製造方法によれば、軌道輪の製造工程をより短縮することができる。また本発明に従った軌道輪によれば、製造コストが低減されたより安価な軌道輪を提供することができる。
本発明の実施の形態1に係るスラストニードルころ軸受の構成を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態1に係る軌道輪の製造方法を概略的に示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1に係る軌道輪の製造方法における、(A)鋼材に供給される電流の経時変化、(B)鋼材の温度の経時変化、(C)プレス機のストローク、(D),(E)油圧式チャックの動作を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る軌道輪の製造方法に使用されるコイル材を示す概略斜視図である。 本発明の実施の形態1に係る軌道輪の製造方法において、鋼材がプレス機に設置された状態を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態1に係る軌道輪の製造方法において、通電端子から鋼材に電流が供給される状態を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態1に係る軌道輪の製造方法において、鋼材がプレス機により打ち抜かれる状態を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態1に係る軌道輪の製造方法において、リング状に打ち抜かれた鋼材が成形加工される状態を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態1に係る軌道輪の製造方法において、リング状に打ち抜かれた鋼材が焼入処理される状態を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態1に係る軌道輪の製造方法に使用されるプレス機に設けられた水冷回路を示す概略平面図である。 通電加熱を用いた加熱方法を説明するための概略図である。 誘導加熱を用いた加熱方法を説明するための概略図である。 接触伝熱を用いた加熱方法を説明するための概略図である。 本発明の実施の形態1に係る軌道輪の製造方法により製造される軌道輪の写真である。 本発明の実施の形態1に係る軌道輪の製造方法により製造される軌道輪における鋼組織の写真である。 実施の形態2に係る軌道輪の製造方法を説明するための概略断面図である。 比較例における軌道輪の製造方法を説明するための概略図である。 比較例における軌道輪の製造方法を説明するための概略図である。 比較例における軌道輪の製造方法を説明するための概略図である。 比較例における軌道輪の製造方法を説明するための概略図である。 比較例における軌道輪の製造方法を説明するための概略図である。 比較例における軌道輪の製造方法を説明するための概略図である。 比較例における軌道輪の製造方法を説明するための概略図である。 比較例における軌道輪の製造方法を説明するための概略図である。 比較例における軌道輪の製造方法を説明するための概略図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
まず、本発明の一実施の形態に係るスラストニードルころ軸受1の構成について説明する。図1は、スラストニードルころ軸受1の軸方向に沿った断面構造を示している。図1を参照して、スラストニードルころ軸受1は、一対の軌道輪11と、複数のニードルころ12と、保持器13とを主に有している。
軌道輪11は、たとえば炭素濃度が0.4質量%以上である鋼からなり、円盤形状を有している。軌道輪11は、一方の主面においてニードルころ12が接触する軌道輪転走面11Aを有している。一対の軌道輪11は、軌道輪転走面11Aが互いに対向するように配置されている。
ニードルころ12は鋼からなり、外周面においてころ転動面12Aを有している。ニードルころ12は、図1に示すように、ころ転動面12Aが軌道輪転走面11Aに接触するように、一対の軌道輪11の間に配置されている。
保持器13はたとえば樹脂からなり、複数のニードルころ12を軌道輪11の周方向において所定のピッチで保持する。より具体的には、保持器13は、円環形状を有するとともに、周方向において等間隔に形成された複数のポケット(図示しない)を有している。そして、保持器13は、当該ポケットにおいてニードルころ13を収容する。
複数のニードルころ12は、保持器13によって軌道輪11の周方向に沿った円環状の軌道上において転動自在に保持されている。以上の構成により、スラストニードルころ軸受1は、一対の軌道輪11が互いに相対的に回転可能に構成されている。また軌道輪11は、以下に説明する本実施の形態に係る軌道輪の製造方法により製造される。
次に、本実施の形態に係る軌道輪の製造方法について説明する。図2は、本実施の形態に係る軌道輪の製造方法を概略的に示すフローチャートである。図3は、本実施の形態に係る軌道輪の製造方法における、(A)鋼材に供給される電流の経時変化、(B)鋼材の温度の経時変化、(C)プレス機のストローク、(D),(E)油圧式チャックの動作、をそれぞれ示している。以下、図2のフローチャートおよび図3のタイムチャートを主に参照しながら、図2および図3に付された「S0〜S13」の順に本実施の形態に係る軌道輪の製造方法を説明する。
まず、軌道輪11を得るための材料である鋼材が準備される(S0)。具体的には、図4を参照して、鋼材としてのコイル材2が準備される。コイル材2は、図4に示すように、圧延された薄板状の鋼材がコイル状に巻き取られたものである。
コイル材2は、たとえば0.4質量%以上の炭素を含む鋼からなる。より具体的には、コイル材2は、たとえばSAE規格のSAE1070、機械構造用炭素鋼鋼材であるJIS規格のS40CおよびS45C、高炭素クロム軸受鋼であるJIS規格のSUJ2、炭素工具鋼鋼材であるJIS規格のSK95、機械構造用合金鋼鋼材であるJIS規格のSCM440、合金工具鋼鋼材であるJIS規格のSKS11、ばね鋼鋼材であるJIS規格のSUP13、またはステンレス鋼材であるJIS規格のSUS440などの鋼からなる。またコイル材2は、2mm以下の厚みを有する薄板状の鋼材である。
次に、コイル材2から軌道輪11を得るための成形台としてのプレス機3が準備される(S0)。まず、プレス機3の構成について、図5を参照しながら説明する。図5は、プレス機3の上下方向(図中両矢印に示す方向)に沿った断面を示している。プレス機3は、プレス用ダイ30と、成形用ダイ31,32と、支持台33と、通電端子34とを主に有している。
プレス用ダイ30は、円筒状のプレス部35を有している。プレス部35は、コイル材2に接触させて、当該コイル材2の打抜き加工を行うための部分である。またプレス部35には、先端部を切り欠いた凹部35Aが形成されている。プレス用ダイ30は、上下方向において成形用ダイ31,32と対向するように配置されている。またプレス用ダイ30は、図示しない駆動機構によって、成形用ダイ31,32に接近するように、または成形用ダイ31,32から離れるようにストロークさせることが可能となっている。
図10は、プレス部35を平面視した状態を示している。図10中破線で示すように、プレス部35の内部には、冷却水の通路となる水冷回路35Bが周方向に沿って設けられている。図10では、冷却水の流れを示す矢印が付されている。このように冷却水を循環させてプレス部35を冷却することにより、当該プレス部35をコイル材2に接触させた際に、当該コイル材2の急速冷却(ダイクエンチ)を行うことができる。
図5を参照して、成形用ダイ31,32は、上下方向においてプレス用ダイ30と対向するように配置されている。成形用ダイ31は、図5に示すように円柱形状を有しており、その外周部において径方向外側に突出する凸部31Aが形成されている。成形用ダイ32は、成形用ダイ31の直径よりも大きい直径を有するリング形状からなる。成形用ダイ32は、径方向において成形用ダイ31との間に隙間を有するように、成形用ダイ31の外側に配置されている。図7に示すように、プレス用ダイ30が成形用ダイ31,32側へストロークされた場合、プレス部35が成形用ダイ31,32の隙間に位置する。
図5を参照して、支持台33は、コイル材2を設置するためのものである。通電端子34は、コイル材2に電流を供給するためのものである。より具体的には、通電端子34は、図示しない直流電源または交流電源に接続されており、コイル材2に直流電流または交流電流を供給する。そして、この電流の供給によって生じた発熱によりコイル材2を加熱することができる。上記のような構成を有するプレス機3が準備される。
次に、コイル材2がプレス機3に設置される(S1)。具体的には、図5を参照して、コイル材2がプレス機3の支持台33上に設置される。そして、コイル材2が、図示しない油圧式チャックによりクランプされる(S2,圧力1クランプ)。
次に、通電加熱が開始される(S3)。具体的には、図6を参照して、まず通電端子34がコイル材2に接触させられる。そして、通電端子34を介してコイル材2に電流が供給される。これにより、コイル材2が電流の供給により生じた発熱(ジュール熱)によって加熱される(通電加熱)。そして、コイル材2の温度が目標温度に到達した後(S4)、コイル材2が当該目標温度において一定時間保持される(S5)。このようにして、プレス機3におけるコイル材2の通電加熱が完了する(S6)。
コイル材2の加熱温度(目標温度)は、当該コイル材2を構成する鋼のA1変態点以上の温度であって、たとえば1000℃である。「A1変態点」とは、鋼を加熱した場合に、当該鋼の組織がフェライトからオーステナイトへ変態を開始する温度に相当する点をいう。そのため、上記通電加熱によって、コイル材2を構成する鋼の組織がオーステナイトに変態する。
コイル材2の加熱方法としては、通電加熱、誘導加熱、接触伝熱および遠赤外線加熱からなる群より選択される少なくともいずれかの方法を採用することができる。以下、各加熱方法についてより詳細に説明する。
図11を参照して、通電加熱においては、抵抗Rを有する被加熱物100に対して電源101から電流Iが供給される。これにより、被加熱物100において電流Iの供給による発熱(P=RI2)が生じて、当該被加熱物100が加熱される。本実施の形態においては、コイル材2に対して通電端子34から直流電流が供給されることにより生じた発熱により、コイル材2が加熱されてもよい。また、コイル材2に対して通電端子34から交流電流が供給されることにより生じた発熱により、コイル材2が加熱されてもよい。
図12を参照して、誘導加熱においては、コイル102に対して交流電源103から交流電流が供給されることにより、被加熱物100において交番磁束Bが発生する。また被加熱物100において、交番磁束Bを打ち消す方向に渦電流Iが発生する。そして、渦電流Iと被加熱物100の抵抗Rとにより生じた発熱によって、被加熱物100が加熱される。
図13を参照して、接触伝熱においては、内部加熱ロール104と外部加熱ロール105からの伝熱によって、被加熱物100が加熱される。また遠赤外線加熱においては、被加熱物に遠赤外線を照射することにより、遠赤外エネルギーが当該被加熱物に与えられる。これにより、被加熱物を構成する原子間の振動が活性化することで発熱が生じ、被加熱物が加熱される。
次に、コイル材2のプレス成形が開始される(S7)。具体的には、図7を参照して、プレス用ダイ30が成形用ダイ31,32側へストロークする。これにより、図7に示すように、プレス部35がコイル材2に接触し、コイル材2の一部が当該コイル材2の厚み方向においてリング状に打ち抜かれる(S8)。これにより、リング状の成形体2Aが得られる。そして、上記打抜き加工が完了した後、圧力1がアンクランプされる(S9)。
次に、図8を参照して、プレス用ダイ30がさらに成形用ダイ31,32側へストロークされることにより、成形体2Aの内周部が成形用ダイ31の凸部31Aと接触する。そして、プレス用ダイ30がそのままストロークされることにより、下死点に到達する(S10)。これにより、図9を参照して、成形体2Aの内周部が、当該成形体2Aの厚み方向に向くように折り曲げられる。このようにして、プレス機3において成形体2Aに成形加工が施される。
次に、図9を参照して、成形加工された成形体2Aが、図示しない油圧式チャックによりクランプされる(S11,圧力2クランプ)。そして、図9に示すように、成形体2Aがプレス機3(プレス用ダイ30、成形用ダイ31およびベース部36)と接触した状態において一定時間保持される。このとき、上記のようにプレス用ダイ30内の水冷回路35Bに冷却水が供給される(図10)。これにより、成形体2AがMs点以下の温度にまで急冷されることにより、焼入処理が行われる。ここで、「Ms点(マルテンサイト変態点)」とは、オーステナイト化した鋼が冷却される際に、マルテンサイト化を開始する温度に相当する点をいう。その結果、成形体2Aを構成する鋼の組織がマルテンサイトに変態する。このようにして、成形体2Aの焼入処理(ダイクエンチ)が完了する(S12)。最後に、圧力2がアンクランプされ(S13)、焼入処理が完了した成形体2Aがプレス機3から取り出される。上記のような工程により、図14の写真に示すような軌道輪11が製造され、本実施の形態に係る軌道輪の製造方法が完了する。
次に、本実施の形態に係る軌道輪の製造方法による作用効果について、比較例を参照しながら説明する。まず、比較例における軌道輪の製造方法について、図17〜図25を参照して説明する。図17を参照して、まず、圧延された薄板状の鋼材がコイル状に巻き取られたコイル材200が準備される。次に、図18および図19を参照して、コイル材200がダイ310上に設置され、ダイ300をダイ310側へストロークすることにより、コイル材200に打抜き加工が施される。これにより、リング状の成形体200Aが得られる。次に、図20および図21を参照して、成形体200Aがダイ330上に設置され、ダイ320をダイ330側へストロークすることにより、成形体200Aの内周部に成形加工が施される。
次に、図22を参照して、熱処理前の段取り工程において、複数の成形体200Aがバー410に掛けられた状態で並べられる。その後、図22および図23を参照して、これらの成形体200Aが浸炭炉400の中に入れられ、当該成形体200Aに対して浸炭処理が実施される。次に、図24を参照して、浸炭処理後の成形体200Aに衝風420を当てて冷却することにより、当該成形体200Aに焼入処理が施される。最後に、図25を参照して、焼戻炉430において焼入処理後の成形体200Aに対してプレステンパーが施される。以上のように、比較例の軌道輪の製造方法は多くの工程からなるため、軌道輪の製造コストが高くなる。
これに対して、本実施の形態に係る軌道輪の製造方法では、コイル材2の加熱、打抜、成形加工および焼入処理のそれぞれの工程が、全てプレス機3において一つの工程として実施される。そのため、上記比較例における軌道輪の製造方法のように、上記工程が別々に実施される場合に比べて、製造工程をより短縮することができる。その結果、軌道輪の製造コストをより低減することが可能になり、より安価な軌道輪の提供が可能になる。
また、本実施の形態に係る軌道輪の製造方法により製造された軌道輪11(鋼材:SAE1070)についてビッカース硬さ測定を実施すると、700HV以上の硬度が得られる。より具体的には、複数の軌道輪11についてビッカース硬さ測定を実施したときに、平均の硬度が約790HVになる。また、この軌道輪11の一部を切断し、その断面をナイタル腐食し、当該断面を光学顕微鏡によりミクロ組織観察した場合、図15の写真のようなマルテンサイト組織が確認される。このように、本実施の形態に係る軌道輪の製造方法においては、製造工程の短縮を図るとともに、十分な焼入処理を施すことにより高い硬度を有する軌道輪11を製造することができる。
(実施の形態2)
次に、本発明の他の実施の形態である実施の形態2について説明する。実施の形態2に係る軌道輪の製造方法は、基本的には上記実施の形態1に係る軌道輪の製造方法と同様に実施され、かつ同様の効果を奏する。しかし、実施の形態2では、リング状の成形体2Aの外周部(内周部ではなく)に成形加工が施される点において、上記実施の形態1とは異なっている。
図16を参照して、実施の形態2では、成形用ダイ32の内周面において径方向内側に突出する凸部32Aが形成されている。このため、上記実施の形態1の場合と同様にプレス用ダイ30のストロークを行った場合、リング状の成形体2Aの外周部が当該凸部32Aに接触する。そして、上記実施の形態1の場合と同様に、プレス用ダイ30が下死点に到達するまでストロークされる。これにより、図16に示すように、成形体2Aの外周部が、当該成形体2Aの厚み方向に向くように折り曲げられる。このようにして、上記実施の形態1の場合と同様に、焼入処理の前にプレス機3において成形体2Aに成形加工が施される。
なお、上記実施の形態においては、スラストニードルころ軸受1の軌道輪の製造プロセスを一例として本発明の軌道輪の製造方法を説明したが、これに限定されるものではない。本発明の軌道輪の製造方法は、他種の軸受用軌道輪の製造においても同様に適用可能である。なお、上記実施の形態のように、薄板状の鋼材からスラストニードル軸受用の軌道輪を製造する場合には、打抜き加工が容易になるとともに、十分な焼入処理が施された軌道輪を製造することが可能になる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の軌道輪の製造方法は、製造工程をより短縮することが要求される軌道輪の製造方法において、特に有利に適用され得る。また本発明の軌道輪は、製造コストの低減が要求される軌道輪において、特に有利に適用され得る。
1 スラストニードルころ軸受、2 コイル材、3 プレス機、11 軌道輪、軌道輪転走面11A、12 ニードルころ、12A 転動面、13 保持器、30 プレス用ダイ、31,32 成形用ダイ、31A,32A 凸部、33 支持台、34 通電端子、35 プレス部、35A 凹部、35B 水冷回路、36 ベース部、100 被加熱物、101 電源、102 コイル、103 交流電源、104 内部加熱ロール、105 外部加熱ロール、B 交番磁束、I 電流(渦電流)。

Claims (9)

  1. 軌道輪の製造方法であって、
    鋼材および前記鋼材から前記軌道輪を得るための成形台を準備する工程と、
    前記鋼材を前記成形台に設置する工程と、
    前記成形台において前記鋼材をA1変態点以上の温度に加熱した後に前記鋼材の一部をリング状に打ち抜き、その後、前記成形台においてリング状の前記鋼材を焼入処理することにより前記軌道輪を得る工程とを備える、軌道輪の製造方法。
  2. 前記焼入処理は、リング状の前記鋼材を前記成形台と接触させることにより実施される、請求項1に記載の軌道輪の製造方法。
  3. 前記焼入処理の前に、前記成形台においてリング状の前記鋼材に成形加工が施される、請求項1または2に記載の軌道輪の製造方法。
  4. 前記成形加工では、リング状の前記鋼材の内周部または外周部が、リング状の前記鋼材の厚み方向に向くように折り曲げられる、請求項3に記載の軌道輪の製造方法。
  5. 前記鋼材は、通電加熱、誘導加熱、接触伝熱および遠赤外線加熱からなる群より選択される少なくともいずれかの方法により加熱される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の軌道輪の製造方法。
  6. 前記通電加熱では、前記鋼材に直流電流または交流電流が供給されることにより生じた発熱により前記鋼材が加熱される、請求項5に記載の軌道輪の製造方法。
  7. 前記鋼材は、0.4質量%以上の炭素を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の軌道輪の製造方法。
  8. 前記鋼材は、2mm以下の厚みを有し、かつ前記厚み方向においてリング状に打ち抜かれる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の軌道輪の製造方法。
  9. 700HV以上の硬度を有する前記軌道輪が得られる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の軌道輪の製造方法。
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