JP6424011B2 - 角栓形成抑制効果を有する素材のスクリーニング方法 - Google Patents

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Description

本発明は角栓形成抑制効果を有する素材のスクリーニング方法に関する。具体的には、表皮ケラチノサイトのケラチン17遺伝子発現量もしくはタンパク質量を指標とした角栓形成抑制効果を有する素材のスクリーニング方法に関する。
女性の肌悩みの中で、シワ、シミなどの悩みに続き、大きな割合を占めるものとして、外観上の毛穴の目立ちやその部分の感触のザラツキという悩みがある。特に20代から30代の女性では、毛穴に関する悩みがあるという女性が80%以上を占めており、この年代では最も深刻な肌悩みといえる。毛穴の悩みの原因として、毛孔部の炎症、色素沈着など種々の要因が考えられるが、その中でも特に毛孔部に形成される角栓が寄与するところは大きい。角栓は皮膚表面から突出して見えることが多いため、外観上の毛穴の目立ちやその部分の感触のザラツキの原因となり、美容上好ましくない。
角栓とは、主に小鼻の側面部など皮脂の多い毛孔部に形成される、白色ロウ状の塊のことであり、皮脂や脱落した角層、アクネ菌の死骸などから複合的に形成されていると考えられている。この角栓形成メカニズムとしては、落屑物が毛穴を塞ぎ、皮膚表面に分泌できなくなった皮脂が毛孔内に蓄積しているという説や、アクネ菌が産生するリパーゼの作用によって遊離脂肪酸が産生され、この遊離脂肪酸が毛包壁に作用して、刺激性の炎症反応を起こすことにより角栓が形成されるという説(特許文献1)や、毛孔部の脂質の酸化により生じた過酸化脂質が毛包壁に作用して毛孔異常角化が誘発され角栓が形成されるといった諸説(非特許文献1)があり、種々の要因が関与していると思われるが、詳細については良くわかっていない。
角栓の悩みを解決する方法として、粘着性を有するシートに角栓を粘着させ、これを引きはがすことにより角栓を除去する方法(例えば、特許文献2)や、ピロクトンオラミンなどの角質剥離溶解剤を化粧料に含有させて、これで処置し、角栓を溶解させ、除去する方法(例えば、特許文献3)や、非イオン界面活性剤を作用させて、角栓を構成する脂質部分を溶解させ、角栓を除去する方法(例えば、特許文献4)などがこれまでに発明されてきた。
しかしながら、粘着性を有するシートによる角栓除去法では、角栓のみならず、その周囲の角層までも剥離してしまうため、皮膚への負担が大きいという問題があった。また、角質剥離溶解剤や、非イオン界面活性剤を用いて角栓を除去する方法では、十分と言えるまでの効果はなかった。また、これらの方法は共通して、形成された角栓を取り除くという対症手段であり、一時的に角栓を減少させることはできたとしても、角栓の形成そのものを抑制することはできず、根本的な解決にはつながらない。
そのため、最近では角栓を除去するだけではなく、角栓形成(再生)を抑制するという技術が注目されており、これまでにもいくつかの成分が提案されている。過去には、これらの成分のスクリーニング方法として、被験者に効果成分候補を塗って角栓が形成されるかを確認するという方法(特許文献5、6)や、皮脂分泌を抑制することを指標に選択する方法や(特許文献7)、リパーゼ阻害効果を指標に選択するといった技術(特許文献1)が開発されてきた。
しかしながら、被験者に効果成分候補を塗るという方法では、確実に効果のある成分を選択できる反面、多くの成分をスクリーニングできないことや、被験者に負担がかかるといった問題が挙げられる。また、皮脂分泌を抑制することを指標に選択する方法に関しては、後述するが、角栓数と皮脂量に相関がないことが確認されたため、皮脂量を抑制することで形成が抑制されるかは疑問である。リパーゼ阻害効果を指標に選択する方法に関しては、遊離脂肪酸に起因する炎症しか抑制することができず、複数あると思われる角栓形成ルートの一部しか抑制することができない。このように、これまでいくつかの成分は提案されてきたものの、角栓形成抑制効果のある成分を適切に選別するスクリーニング方法はなかった。
一方、ケラチン17は、炎症時に誘導されるタンパク質であることや、ケラチン17自体の働きによってさらに炎症が加速されることが知られている。また、過去の研究ではケラチン17は乾癬病変部における異常発現が認められているが、ケラチン17発現を抑制することによって病変部の炎症も抑制されることが報告されている(非特許文献2)。しかしながら、角栓形成との関わりについては知られていなかった。
特開2008−19180号公報 特開2005−336124号公報 特開2002−338426号公報 特開2001−226226号公報 特開2013−49667号公報 特開平4−360834号公報 特開2008−37764号公報
フレグランスジャーナル 36(8), 28−32, 2008−08 Exp Dermatol. 2011Jul;20(7):555-60.
本発明者らは、上記背景に鑑み、角栓形成に関する研究を進めたところ、皮脂分泌量や、過酸化皮脂量と角栓数は、ほとんど相関していないこと、角栓には皮表落屑物である角層由来のタンパク質であるケラチン10ではなく、ケラチン17というタンパク質が多く存在しているという知見を見出した。このような知見に基づき、本発明ではケラチン17量を指標にした角栓形成抑制剤のスクリーニング方法を提案する。尚、本願では、特段に言及なく単にケラチン17という場合には、ケラチン17遺伝子及びケラチン17タンパク質の双方を指すものとする。
本発明は角栓形成抑制効果を有する素材を見出すスクリーニング方法を提供することを課題とする。
本発明は、ヒトドナーから得られた培養表皮ケラチノサイトを用い、ケラチン17量を指標に角栓形成抑制効果を有する素材をスクリーニングする。
本発明によれば、ケラチン17量を指標にし、その量を低減する効果のある化粧品原料等被験物質を選別することができ、人での試験を行わずとも、簡易的に角栓形成抑制効果を有する素材をスクリーニングすることが可能になる。
皮脂量と単位面積あたりの角栓数との関係 過酸化皮脂量と単位面積あたりの角栓数との関係 角層および角栓から抽出したタンパク質の組成比較(SDS−PAGE) 各試料を添加した表皮ケラチノサイトのケラチン17遺伝子発現量
本願のスクリーニング方法について言及する前に、角栓形成とその他の要因との関係について、新しい知見を得たので説明する。
角栓は、皮脂とタンパク質の混合物であるが、その形成メカニズムの詳細は不明である。そこで、まずは皮脂に着目し、皮脂量と角栓数の関係を調べた。具体的には、18名の男性被験者の小鼻部の皮脂量、角栓数を計測し、相関性の有無を調べた。なお、皮脂量の測定にはセブメーター(Courage+Khazaka)を用いた。また、角栓数の計測に関しては、角栓に含まれる物質が、紫外線に照射によって蛍光を発するという特性を利用した。具体的には、肌測定機器VISIA(登録商標) Evolution(Canfield Scientific)を用いて全顔の紫外線写真を撮影後、小鼻部の一定面積を切り出し、ImageJ(NIH)を用いた2値化を行うことで、単位面積あたりの角栓数を測定した。その結果、皮脂量と角栓数には相関性が見られなかった(図1)。このことから、角栓中には皮脂が含まれているが、皮脂が原因となって、角栓形成が進行することはないことが示唆された。
次に過酸化皮脂量と角栓数の関係について調べた。これは、過去に過酸化皮脂の刺激により、角栓が形成されると報告(非特許文献1)されていたため、過酸化皮脂量の増加に伴い、角栓数が増加しているかどうかを検証したものである。なお過酸化皮脂量の測定では、18名の男性被験者の協力の下、単位皮脂量あたりの過酸化脂質量を測定した。具体的には、洗顔から7時間経過後に小鼻部の皮脂を採取し、皮脂量をそろえた後、チオバルビツール法(TBA法)を用いて過酸化皮脂量を測定した。その結果、過酸化皮脂量と角栓数には相関性が見られなかった(図2)。
次に、タンパク質に着目し、角栓形成メカニズムを明らかにしようと考えた。これまで、角栓に含まれているタンパク質は皮表落屑物すなわち角層由来物であると考えられていたため、角栓より抽出したタンパク質成分と、角層より抽出したタンパク質成分の組成比較をSDS−PAGEを用いて行った。その結果、角栓より抽出したタンパク質成分と角栓より抽出したタンパク質成分は異なっており、角栓のタンパク質は角層由来ではないことが明らかとなった(図3)。また、本実験によって角栓には角層に含まれていないケラチン17というタンパク質が非常に多く含まれていることが確認できた。
本願発明者らは、上述した研究結果および、ケラチン17に関する過去の報告より、角栓形成部では何らかの刺激によって周辺に存在するケラチノサイトのケラチン17量が上昇し、炎症を誘引するとともに、それ自体も毛孔部で蓄積することによって、角栓が形成されるという仮説を立てた。ケラチン17はIL−17、IL−22、インターフェロンγ、アクネ菌などによって誘導されることは知られているが、それらのシグナルが複合的にケラチノサイトに働くことから、それぞれの働きを抑制する方法では不十分である。本仮説より、角栓形成抑制成分のスクリーニング方法として、ケラチン17量を指標することが適切であると考えられた。これまでは、角栓形成抑制成分のスクリーニング方法として、遊離脂肪酸などの皮脂成分に着目したもののみであったため、タンパク質成分に着目した本方法は全く新しい。
本発明のスクリーニング方法では、培養表皮ケラチノサイトのケラチン17量を指標にすれば十分である。抑制率を指標とする場合はその抑制率が高いものを選択すればよく、促進率を指標とする場合は、その促進率が低いものを選択すれば良いだけである。
本発明のスクリーニング方法は、大まかに以下のステップに分かれる。
(A):表皮ケラチノサイトを培養するステップ
(B):(A)で培養した表皮ケラチノサイトに被験物質を添加するステップ
(C):(B)の後、表皮ケラチノサイトのケラチン17遺伝子発現量及び/又は表皮ケラチノサイトのケラチン17タンパク質量を測定するステップ
(D):(C)で測定した表皮ケラチノサイトのケラチン17遺伝子発現量
及び/又は表皮ケラチノサイトのケラチン17タンパク質量を指標に角栓形成抑制効果を有する素材を選別するステップ
以下の説明では、上記ステップの順に現れる内容に関し、説明していく。
(A):表皮ケラチノサイトを培養するステップ
本発明に用いる培養表皮ケラチノサイトは、市販品であるEpidercell Human Epidermal Keratinocyte(クラボウ社)やHEK(東洋紡社)等を使用することができ、培養に用いる好適な培地も各社がそれぞれの細胞種に対して推奨している培地を使用して差し支えない。試験に用いるこれらの細胞は継代数が1〜3までが増殖活性が高いため好ましいが、それ以降のものでも良好な増殖が見られる場合は使用できる。
継代培養後、5×10個/mLになるように専用培地に細胞を懸濁し、24穴プレートに500μLずつ播種した。24時間後に50%コンフルエント程度になることが好ましいが、これ以外でも問題ない。また、被験物質を加える前に、より角栓形成部の皮膚に近い状態に合わせる為、インターフェロンγ、IL−17、IL−22、アクネ菌体などを添加し、表皮ケラチノサイトのケラチン17発現が誘導されている状態にしておくのが好ましいが、これらの物質を加えていなくても差し支えない。
(B):(A)で培養した表皮ケラチノサイトに被験物質を添加するステップ
被験物質は植物乾燥物より抽出したエキスや、市場にある製品化されたエキスを用いた。抽出の方法は、特に限定されない。添加濃度については、エキス添加から24時間後に明らかに細胞が死滅していなければ、どの濃度でも問題ない。細胞播種から48時間経過後に、被験物質を培地に加えた。なお、被験物質には、抽出溶媒として1,3ブチレングリコールやエタノールが含まれている場合があるため、その際は抽出溶媒のみを同濃度になるように細胞に添加したサンプルをコントロールとした。被験物質添加のタイミングは細胞播種から24〜48時間後に行うことが好ましいが、それ以外のタイミングでも細胞の状態が明らかに悪くなっていなければいつでも問題ない。
又、被検物質は植物エキスに限らず、表皮ケラチノサイトに添加出来るものであれば特に限定はなく、動物由来エキス、菌類の培養物、又はこれらの酵素等処理物、化合物又はその誘導体等であっても被検物質として用いることが出来、液状の他、粉末状、ジェル状等であっても差し支えない。また、そのままでは培地に溶解しない場合は、界面活性剤等の可溶化剤を適宜使用することにより溶解させることで被験物質として用いることができる。
(C):(B)の後、表皮ケラチノサイトのケラチン17遺伝子発現量及び/又は表皮ケラチノサイトのケラチン17タンパク質量を測定するステップ
本発明ではケラチン17量を指標にしているが、ケラチン17量を検出する指標としては、ケラチン17遺伝子発現量を測定する方法、およびケラチン17タンパク質量を測定する方法が挙げられる。
ケラチン17遺伝子発現量は、回収した培養表皮ケラチノサイトからまずTotal RNAを抽出し、このTotal RNA中に含まれるケラチン17mRNA量を測定することによって定量する。
Total RNAの抽出方法は特に限定されず、たとえば、チオシアン酸グアニジン・塩化セシウム超遠心法、チオシアン酸グアニジン・ホットフェノール法、グアニジン塩酸法、酸性チオシアン酸グアニジン・フェノール・クロロホルム法(Chomczynski P et al. Anal. Biochem, 162, 156−159,1987.)等を採用することができる。例えば、市販品であるRNeasy MINI Kit(QIAGEN)などが使用でき、抽出された全Total RNAは、必要に応じてさらにmRNAのみに精製して用いてもよい。
遺伝子の発現量は、遺伝子チップ、アレイ等の固相化試料を用いた核酸ハイブリダイゼーション法、RT−PCR法、リアルタイムPCR法、サブトラクション法、ディファレンシャル・ディスプレイ法、ディファレンシャル・ハイブリダイゼーション法、ならびにクロスハイブリダイゼーション法など公知の方法を用いて測定することができる。
ケラチン17タンパク質量は、回収した培養表皮ケラチノサイトの細胞内タンパク質もしくは、細胞培養上清に放出された細胞外タンパク質中に存在するケラチン17タンパク質量を測定することによって定量する。細胞内タンパク質は、市販の細胞抽出液を用いた方法や、物理的に細胞膜を破壊する超音波破砕法などを用いて抽出することができるが、特に限定されない。細胞外タンパク質に関しては、細胞培養上清をそのまま用いても良いが、タンパク質の濃縮、脱塩などの精製を行うことが好ましい。
上述の方法で抽出したタンパク質より、ケラチン17タンパク質量を検出、定量するためには、ウェスタンブロッティングやELISAなどの抗体を用いた方法にて実施することが一般的であるが質量分析計などその他技術を用いても測定することができ、特に限定されない。
(D):(C)で測定した表皮ケラチノサイトのケラチン17遺伝子発現量及び/又は表皮ケラチノサイトのケラチン17タンパク質量を指標に角栓形成抑制効果を有する素材を選別するステップ
(C)のステップで得られた結果から、角栓形成抑制効果を有する素材を選別するには、ケラチン17の発現を抑える素材を選択すれば良く、角栓形成抑制率、角栓再形成率等その計算方法は問わない。目的に応じて効果の程度を見極めて効果素材を選択すれば良い。一例を挙げるならば、被検物質のケラチン17タンパク質量、ケラチン17遺伝子発現量が、それぞれコントロールのケラチン17タンパク質量、ケラチン17遺伝子の発現量と比較して優位な差が出ていれば十分であるが、20%以上の差があれば効果の安定な素材を選択することが出来る。
例えば、以下のような式で表すことが出来る。
式1
以下、本発明を実施例について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。また、特記しない限り配合量は質量%で示す。
1.被験物質の調製
植物原体5gに10倍の重量の蒸留水を50g加えて60℃、4時間加熱抽出した。抽出後、ろ過をし、植物原体を取り除いた後、固形蒸発残分が2%になるように蒸留水で希釈した。最後に、等量の1,3ブチレングリコールにてさらに希釈した。
以上の操作によって、固形蒸発残分が1%になるように調整したエキスを得た。
<ケラチン17生成抑制度評価試験>
試験には、ヒト新生児由来表皮ケラチノサイト(クラボウ)を用いた。増殖用培地として、無血清培地であるHumedia−KG2(クラボウ)を用い、培養環境は、37℃、5%CO/95%空気の加湿条件で行った。
25cm培養フラスコに増殖用培地を入れ、3〜4日間培養してほぼ飽和状態となった継代回数2回の細胞を用いた。表皮ケラチノサイトは、カルシウム、マグネシウムを含まないリン酸緩衝液(PBS−液)で1回洗浄し、次にEDTA(200μg/mL)を含むトリプシン(0.05%;wt/vol)にて処理を行なった後に、ピペッティングにより分散させ、血球計算盤で細胞数を計測した。
24穴培養プレートに1×10個 /mLになるように専用培地に細胞を懸濁し、24プレートに500μLずつ播種した。48時間後にエキスを終濃度0.5%になるように培地に加えた。なお、コントロールとして、それぞれのエキスの溶媒として用いた1,3ブチレングリコールを終濃度0.5%になるように加えた。6時間のインキュベート後、ケラチン17の発現を促進させるインターフェロンγを500U/mLになるように細胞に添加した。そのうち、前述のコントロールにインターフェロンγ処理を行ったものをコントロール(+インターフェロン−γ)とし、インターフェロン-γ処理を行わなかったものをコントロール(無処置)とした。ここから24時間インキュベート後、RNeasy Mini Kit(QIAGEN)を用いて、Total RNAを抽出した。
(TaKaRa) を用いて逆転写を行い、cDNAを合成した。得られたcDNAを鋳型として、ケラチン17、GAPDH(グリセルアルデヒド3−リン酸 デヒドロゲナーゼ;ハウスキーピング遺伝子として使用)の発現量を以下のプライマー及び酵素を用いて、リアルタイムPCR(7500 Real Time PCR System、アプライドバイオシステムズ)にて測定した。
プライマーは、ケラチン17用センスプライマー(5’−GGATGCCGAGGATTGGTTCT−3’)、アンチセンスプライマー(5’−ACTCTGCACCAGCTCACTGTTG−3’)、GAPDH用センスプライマー(5’−CCACATCGCTCAGACACCAT−3’)、アンチセンスプライマー(5’−TGACCAGGCGCCCAATA−3’)を用いた。PCRの反応にはPower SYBR Green Master Mix(アプライドバイオシステムズ)を使用し、遺伝子発現の解析は比較Ct法にて行った。
図4に示すように、各エキスで異なるケラチン17遺伝子発現量が確認できた。
コントロールとの差が20%以上の素材を効果あり、20%未満の素材を効果なしと判断し、ケラチン17遺伝子発現抑制効果が認められたオランダガラシエキス、ダイズエキスとケラチン遺伝子発現抑制効果が認められなかったセイヨウニワトコエキスを用いて角栓形成抑制効果について評価した。
<ケラチン17生成抑制剤による角栓形成抑制度評価試験>
処方例1と4、処方例2と4、処方例3と4の作用の比較を目的として、各比較は4名の被験者に、市販されているシートタイプのパックによる小鼻周辺部の角栓の除去を行い 、その後1日2回、洗顔後に右側小鼻には処方例1〜3に示した製剤、左側小鼻には処方例4に示した製剤をそれぞれ小鼻周辺部に塗布してもらった。角栓数の測定は、試験開始時の角栓除去直前および、2週間の処方例1〜4塗布後に行った。
<角栓数の測定方法>
角栓に含まれる物質が、紫外線に照射によって蛍光を発するという特性を利用し、肌測定機器VISIA(登録商標)Evolution(Canfield Scientific)を用いて全顔の紫外線写真を撮影した。写真の撮影は試験開始時の角栓除去直前と、開始から2週間後に行った。撮影した写真の画像は、被験者毎に同一の領域、面積となるようにトリミングし、その後、ImageJ(NIH)を用いた画像解析により角栓数の計測 を行った。
角栓形成の再形成率は[式2]に示す計算式で算出した。
式2
表2に示したように、本発明のスクリーニング法 により選択された、ケラチン17遺伝子発現抑制効果を持つ、オランダガラシエキス、ダイズエキスを含む化粧水を用いた実施例1および2では角栓形成抑制効果が認められた。一方、本発明のスクリーニング法では選択されなかったエキスのうち、抗炎症効果が知られているセイヨウニワトコエキスを配合した実施例3では角栓形成抑制効果は認められなかった。なお、本試験において、試験前後の皮脂量に変化は認められなかった。
尚、ケラチン17タンパク質を指標とした場合においても同様の結果が得られた。
以上の結果から、ケラチン17量を指標にすることにより、角栓形成効果のある成分のスクリーニングが行うことが出来ることが分かる。
本発明の方法によれば、角栓形成効果のある物質を短期間で簡便にスクリーニングすることができる。従って、角栓の予防及び/又は治療用の医薬や化粧品の開発に有用である。


Claims (2)

  1. 表皮ケラチノサイトのケラチン17遺伝子発現量
    及び/又は
    表皮ケラチノサイトのケラチン17タンパク質量
    を指標とし、
    前記遺伝子発現量及び/又はタンパク質量を低減させる素材を
    角栓形成抑制効果を有すると判定する角栓形成抑制剤のスクリーニング方法。
  2. 次の(A)〜(D)の工程を含む角栓形成抑制効果を有する素材をスクリーニングする方法。
    (A):表皮ケラチノサイトを培養するステップ
    (B):(A)で培養した表皮ケラチノサイトに被験物質を添加するステップ
    (C):(B)の後、表皮ケラチノサイトのケラチン17遺伝子発現量
    及び/又は表皮ケラチノサイトのケラチン17タンパク質量を測定する
    ステップ
    (D):(C)で測定した表皮ケラチノサイトのケラチン17遺伝子発現量
    及び/又は表皮ケラチノサイトのケラチン17タンパク質量を指標に
    前記発現量及び/又はタンパク質量を低減させる素材を
    角栓形成抑制効果を有する素材として選別するステップ
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