JP7263573B2 - 角栓形成予防・改善剤のスクリーニング方法 - Google Patents
角栓形成予防・改善剤のスクリーニング方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7263573B2 JP7263573B2 JP2022005392A JP2022005392A JP7263573B2 JP 7263573 B2 JP7263573 B2 JP 7263573B2 JP 2022005392 A JP2022005392 A JP 2022005392A JP 2022005392 A JP2022005392 A JP 2022005392A JP 7263573 B2 JP7263573 B2 JP 7263573B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- amount
- keratotic
- protein
- test substance
- plugs
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
Description
これらの結果から、角栓好発部位では、インターフェロンγにより活性窒素種の一種でニトロ化の原因物質の一つである一酸化窒素の産生が促進されるため、これがタンパク質のニトロ化を引き起こしS-S結合や、イオン結合、疎水結合等が生じて複合体を形成、これが角栓形成につながる、という関係を突き止めた。この事実に基づき、一酸化窒素生成量、ニトロ化タンパク質量、タンパク質の複合体量を指標とすることで、角栓予防・改善剤のスクリーニングを行えることを見出し、本発明を完成するに至った。
〔1〕第1発明は、培養ケラチノサイトの一酸化窒素生成量を指標とする角栓予防・改善剤のスクリーニング方法である。
〔2〕第2発明は、ニトロ化タンパク質量を指標とする角栓予防・改善剤のスクリーニング方法である。
〔3〕第3発明は、タンパク質の複合体量を指標とする角栓予防・改善剤のスクリーニング方法である。
〔4〕第4発明は、ニトロ化処理によって生じるタンパク質の複合体量を指標とする角栓予防・改善剤のスクリーニング方法である。
〔5〕第5発明は、タンパク質の複合体が、S-S結合、イオン結合、疎水結合の少なくとも一種類以上を有する第3発明または第4発明に記載のスクリーニング方法である。
〔6〕第6発明は、第3発明または第4発明の方法により選別した碁石茶(登録商標)抽出物を含有することを特徴とする角栓予防・改善剤である。
本発明の角栓予防とは、角栓がない状態から、角栓が形成されるまでの過程を抑制することで角栓の発生を予防することを意味する。また、本発明の角栓予防には、角栓がある状態から、角栓の増加を抑制することも含む。
また、すでに角栓がある状態であっても、角栓の形成を継続的に予防することにより、毛孔からの自然な脱落や洗浄による除去に伴い角栓が漸減するため、角栓が多い肌から、角栓が少ない肌に導く、すなわち、角栓改善にもつながる。さらに、本発明の角栓改善は、すでに形成されていた角栓について、角栓が形成されるに至った要因を取り去ることで、角栓の構成要素を離散させ毛孔からの自然な脱落や洗浄による除去を容易にし、角栓が多い肌から、角栓が少ない肌に導くことも含む。
例えば、角栓がない状態から、角栓が形成されるまでの過程において、ニトロ化タンパク質発生の要因である一酸化窒素を減らすこと、ニトロ化タンパク質の生成を抑制すること、既存のニトロ化タンパク質を減らすこと、タンパク質の複合体形成を抑制することは、角栓の形成を抑制するため、本発明の角栓予防である。また、同角栓予防を継続的に行うことで角栓が多い肌から、角栓が少ない肌に導くため、本発明における角栓改善にもつながる。さらに、角栓が形成された以降において、ニトロ化タンパク質を減らす方法、複合体を減らす方法は、すでに形成されていた角栓を減少させることで、本発明の角栓改善に相当する。
培養ケラチノサイトに被験物質を添加する工程、
一酸化窒素生成量を測定する工程、
一酸化窒素生成量から、被験物質の角栓予防・改善効果を判定する工程を含む。
タンパク質に、被験物質を添加する工程、
ニトロ化タンパク質の量を測定する工程、
ニトロ化タンパク質の量から、被験物質の角栓予防・改善効果を判定する工程を含む。
タンパク質に被験物質を添加する工程、
タンパク質の複合体量を測定する工程、
タンパク質の複合体量から、被験物質の角栓予防・改善防効果を判定する工程を含む。
10名の健常男性から、角栓好発部位である小鼻周辺に、樹脂製の円筒(直径7 mm、筒長10 mm)を押し当て、円筒の内側の皮膚表面を、カルシウム、マグネシウムを含まないリン酸緩衝液(PBS(-))に0.1%ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン(20E.O.)を添加した溶媒0.3mLにてピペッティングしながら洗い、その洗浄液を回収した。この洗浄液中に含まれるインターフェロンγ量を、High Sensitivity ELISA kit(Invitrogen)を用いて測定した。
試験には、ヒト新生児由来表皮ケラチノサイト(クラボウ)を用いた。増殖用培地として、Humedia-KG2(クラボウ)を用い、培養環境は、37℃、5%CO2/95%空気加湿条件で行った。25cm2培養フラスコに増殖用培地を入れ、3~4日間培養してほぼ飽和状態となった継代回数2回の細胞を用いた。48穴培養プレートに1.0×105 Cells/mLとなるように300μL播種し、24時間インキュベート後、1.2mMのカルシウムを含み、フェノールレッドを添加していないHumedia KG2 GC別添(クラボウ)で培地交換した。その後、インターフェロンγを1000U/mLとなるように加えた。コントロールには水を加えた。30時間インキュベート後、培養上清を回収し、NO2/NO3 Assay Kit-FX(Fluorometric)~2,3-diaminophthalene Kit~(DOJINDO)で一酸化窒素量を測定した。
角栓をO.C.Tコンパウンド(サクラファインテックジャパン)に包埋して凍結し、クリオスタットで8 μmの切片を作製し、スライドガラスに付着させ、100%エタノールに浸漬して固定した。その後、0.3%過酸化水素加メタノールに30分処理した。続いて、Vectastain ABC kit(Vector社)を用いて免疫染色を行った。一次抗体は、anti-nitro tyrosine antibody (Stressmarq Bioscience)を用い、3,3‘ -Diaminobenzidine (DAB; VECTOR LABORATORIES)で可視化した。その後、染色した切片を顕微鏡で観察した。
限外濾過フィルターを用いた手法でタンパク質のニトロ化と、複合体形成との関係を検討した。1.5mL容マイクロチューブに10mg/mL牛血清アルブミン水溶液500μL、蒸留水を50μL添加して混合した。続いて、1%テトラニトロメタン加エタノールを50μL添加し、10分間振盪混和した。その後、5M 尿素水溶液を400μL添加して混合した。これを、ニトロ化処理溶液とした。コントロールには、1%テトラニトロメタン加エタノールの代わりに、エタノールを50μL添加し、同様の工程を経た。これらのサンプルを、限外濾過フィルター(Amicon Ultra 100 kDa、メルク) に入れて、14000×gで30分遠心分離した。濃縮液のタンパク質量をBradford法で測定しタンパク質の複合体含量を求めた。また、フロースルー液のタンパク質量をBradford法で測定しタンパク質の非複合体量を求めた。また、フロースルー液のタンパク質量から濃縮液中のタンパク質量を算出し複合体量を求めた。これを用いて処理の有無における複合体量比(%)、非複合体量比(%)を評価した。
市販されているシートパックによる小鼻周辺部の角栓を採取し、ピンセットで注意深く回収してチューブに入れた。続いて、1%Sodium dodecyl sulfate,0.2mol/L Dithiothreitol,8mol/L Ureaを含む0.2mol/L Tris-HCl buffer(pH9.0)を、角栓の重量で20mg/mLとなるように添加した。その後、4日間37℃で振盪し、角栓を溶解させたものを角栓溶解液として得た。角栓溶解液は、タンパク質量が10mg/mLとなるように蒸留水で希釈し、分子量をSDS-PAGEとBlue native-PAGEを用いて評価した。
被験物質は、碁石茶(登録商標)抽出物とアボカードオイル(株式会社シバハシケミファ)を使用した。碁石茶(登録商標)抽出物は、乾燥植物原体に10倍の重量の50V/V%エタノール水溶液を加えて60℃、4時間加熱抽出し、抽出物の乾燥残分に対して、1,3-ブチレングリコール、水を重量比で1:30:69となるように加えて希釈して調製した。
複合体量比(%)は以下の式で求めた。
処方例1と2の比較を目的として、3名の被験者に、市販されているシートタイプのパックによる小鼻周辺部の角栓除去を行い、その後1日2回、洗顔後に左右の小鼻で処方例1もしくは比較例1に示した製剤を塗布してもらった。角栓数の測定は、試験開始時の角栓除去後および、20日間の処方例1(テスト区)、比較例1(プラセボ区)塗布後に行った。
牛血清アルブミン水溶液500μLに、被験物質を50μL添加し、振盪混和した。続いて、1%テトラニトロメタンエタノール溶液50μL添加し、10分間振盪混和した。その後、5M 尿素水溶液を400μL添加して混合した。これを、ニトロ化処理溶液とした。コントロールには、1%テトラニトロメタンエタノール溶液の代わりに、エタノールを50μL添加した。この溶液中の3-ニトロチロシン量をNWLSSTM Nitrotyrosine ELISA(NorthwestLifeScienceSpecialities) を用いて定量した。被験物質を添加しなかったコントロールのニトロチロシン量を100%とし、被験物質を添加した際のニトロチロシン量の割合からニトロ化量を算出した。コントロールと比較してニトロチロシン量が10%以上減少したものを効果有として選択した。
ヒト新生児由来表皮ケラチノサイト(クラボウ)を、1.0×105 Cells/mLとなるように、1.2mMのカルシウムを含み、フェノールレッドを添加していないHumedia KG2 GC別添培地(クラボウ)に懸濁し、48穴培養プレートに300μLを播種した。5%のCO2下、37℃のインキュベーター内で24時間培養した。その後、被験物質を添加した。コントロールには、被験物質の溶媒を添加した。その後、インターフェロンを1000U/mLとなるように加えた。30時間インキュベート後、培養上清を回収し、NO2/NO3 Assay Kit-FX(Fluorometric)~2,3-diaminophthalene Kit~(DOJINDO)で一酸化窒素量を測定した。被験物質を添加していないコントロール区の一酸化窒素量を100%とし、被験物質添加区の一酸化窒素量の割合を算出した。コントロールと比較して、一酸化窒素量が10%以上減少した被験物質を効果有として選択した。
Claims (1)
- タンパク質に、被験物質を添加する工程、
前記タンパク質のニトロ化タンパク質の量を測定する工程、
前記タンパク質のニトロ化タンパク質の量から、被験物質の角栓予防・改善効果を判定する工程を含む、
ニトロ化タンパク質量を指標とする角栓予防・改善剤のスクリーニング方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022005392A JP7263573B2 (ja) | 2020-03-30 | 2022-01-18 | 角栓形成予防・改善剤のスクリーニング方法 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020061444A JP7024004B2 (ja) | 2020-03-30 | 2020-03-30 | 角栓形成予防・改善剤のスクリーニング方法 |
JP2022005392A JP7263573B2 (ja) | 2020-03-30 | 2022-01-18 | 角栓形成予防・改善剤のスクリーニング方法 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020061444A Division JP7024004B2 (ja) | 2020-03-30 | 2020-03-30 | 角栓形成予防・改善剤のスクリーニング方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2022046795A JP2022046795A (ja) | 2022-03-23 |
JP7263573B2 true JP7263573B2 (ja) | 2023-04-24 |
Family
ID=87890681
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022005392A Active JP7263573B2 (ja) | 2020-03-30 | 2022-01-18 | 角栓形成予防・改善剤のスクリーニング方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7263573B2 (ja) |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015168628A (ja) | 2014-03-05 | 2015-09-28 | 日本メナード化粧品株式会社 | 角栓形成抑制剤 |
JP2015197337A (ja) | 2014-03-31 | 2015-11-09 | 株式会社ナリス化粧品 | 角栓形成抑制効果を有する素材のスクリーニング方法 |
JP2017181423A (ja) | 2016-03-31 | 2017-10-05 | 株式会社ナリス化粧品 | 肌の黄ぐすみ改善素材のスクリーニング方法及び評価キット |
-
2022
- 2022-01-18 JP JP2022005392A patent/JP7263573B2/ja active Active
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015168628A (ja) | 2014-03-05 | 2015-09-28 | 日本メナード化粧品株式会社 | 角栓形成抑制剤 |
JP2015197337A (ja) | 2014-03-31 | 2015-11-09 | 株式会社ナリス化粧品 | 角栓形成抑制効果を有する素材のスクリーニング方法 |
JP2017181423A (ja) | 2016-03-31 | 2017-10-05 | 株式会社ナリス化粧品 | 肌の黄ぐすみ改善素材のスクリーニング方法及び評価キット |
Non-Patent Citations (3)
Title |
---|
山口弘毅,毛穴の目立ちに関与する角栓の形成と毛包との関連性,FRAGRANCE JOURNAL,2014年,Vol.42, No.7,pp.85-86 |
栃尾巧,カンラン葉抽出物の角栓形成抑制効果について,FRAGRANCE JOURNAL,2008年08月15日,Vol.36, No.8,pp.28-32 |
飯田年以 ほか,角栓の成長を抑えるケア法の開発,FRAGRANCE JOURNAL,2017年02月,Vol.45, No.2,pp.22-27 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2022046795A (ja) | 2022-03-23 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3819603B2 (ja) | 表皮から単離されたポリペプチドとその用途 | |
US10092495B2 (en) | Use of a composition comprising avocado perseose in the protection of epidermal stem cells | |
EP1519952B1 (fr) | Utilisation de proteases aspartiques dans le domaine cosmetique et therapeutique | |
JP6584494B2 (ja) | メラニン産生細胞のhmgb1活性化を阻害する方法、そのような阻害に好適な薬剤を特定する方法 | |
KR20170031229A (ko) | 서팍틴의 적용 및 화장품에서의 이의 적용 | |
JP5344779B2 (ja) | 毛髪化粧料 | |
KR20210145227A (ko) | 노화 방지 화장품 조성물 | |
JP7024004B2 (ja) | 角栓形成予防・改善剤のスクリーニング方法 | |
EP2561858B1 (en) | A composition for activating hair follicle stem cells to stimulate hair growth | |
JP7263573B2 (ja) | 角栓形成予防・改善剤のスクリーニング方法 | |
JP7263574B2 (ja) | 角栓形成予防・改善剤のスクリーニング方法 | |
KR102035590B1 (ko) | 수경재배한 인삼의 지상부 유래의 진세노사이드 f5와 황금누에고치 유래의 황금세리신을 포함하는 두피보호 및 모발개선용 화장료 조성물 | |
EP1204744B1 (fr) | Polypeptide isole du stratum corneum et son utilisation | |
JP7466721B2 (ja) | ストレスに起因する皮膚バリア機能改善剤 | |
EP3532024B1 (en) | Cosmetic use and method for improving physiological functions of the skin by increasing the expression of ubiad1 | |
CN115227774A (zh) | 大白蝴蝶兰萃取物用于制备抑制糖化终产物生成的组合物的用途 | |
US20230355498A1 (en) | Hair growth agent | |
EP3162357A1 (en) | Cosmetic product with liposomal growth factors | |
CN102498221A (zh) | 基于aff-4表达筛选抗白发剂的方法 | |
Imokawa et al. | Cumulative effect of surfactants on cutaneous horny layers: lysosome labilizing action | |
KR20140033344A (ko) | 블레오마이신 수해 효소 생성 촉진제 | |
TWI634123B (zh) | 刺激黑色素生成的胜肽、方法及組合物 | |
JP2884213B2 (ja) | 細胞膜老化改善剤 | |
EP3922714A1 (en) | Use of 3d skin model for assessing treatment of sars-coronavirus skin infection | |
US20230390356A1 (en) | Hair growth agent |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20220118 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20230131 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230315 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230411 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230412 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7263573 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |