JP7466721B2 - ストレスに起因する皮膚バリア機能改善剤 - Google Patents

ストレスに起因する皮膚バリア機能改善剤 Download PDF

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Description

本発明は、ストレスに起因する肌荒れ改善剤のスクリーニング方法に関する。具体的には、エンケファリンを添加した表皮細胞の細胞分化度を指標とする、及び/またはエンケファリンを添加した皮膚三次元モデルの皮膚バリア機能を指標としたストレスに起因する肌荒れ改善剤のスクリーニング方法とその方法を用いて選択されたストレスに起因する肌荒れ改善剤に関する。
現代社会はストレス社会といわれて久しいが、現代社会を生きる人が受けるストレスには、人間関係、仕事、家庭、学業、金銭、満員電車の過密状況等による精神的、社会的なものが大きな割合を占める。このストレスがある一定を超過すると、生体の恒常性が破綻し、心身または身体機能に障害をきたし、不安障害やうつ病などの精神疾患の他、胃・十二指腸潰瘍、高血圧、生活習慣病など様々な身体疾患の原因となる。また生体と外界を隔てる器官である皮膚においては、皮膚のバリア機能の低下により外界の刺激を受けやすくなり、肌荒れが促進されることが知られている。
皮膚は生体と外界との境界にあり、外部からの物質の進入を防ぐとともに、皮膚内部からの水分の蒸散を防ぐための皮膚バリア機能を有しており、生体の維持に重要な役割を担っている。皮膚は角層、顆粒細胞層、有棘細胞層、基底細胞層からなる厚さ100~200μmの上皮であるが、皮膚バリア機能には特に皮膚の最外層にある角層が最も重要である。角層は、基底細胞層にある表皮細胞が終末分化することで形成された角質細胞と、それをとりまく細胞間脂質で構成されている。角質細胞はSS結合を有するケラチン線維を主成分とし、保湿機能に重要な役割を演じているフィラグリンや天然保湿因子NMFを含み、さらにそれらを包むコーニファイドエンベロープからなる。一方で、細胞間脂質はセラミド、コレステロール、脂肪酸等を成分としたラメラ構造を組織からなる(非特許文献1)。
角質細胞を包むコーニファイドエンベロープは、表皮細胞の分化にしたがい産生される、インボルクリンやロリクリン等の複数のコーニファイドエンベロープ前駆体タンパク質が、酵素トランスグルタミナーゼにより架橋されて不溶化して形成され、成熟する。さらにその一部には、細胞間脂質のセラミドなどが共有結合しており、前述した細胞間脂質のラメラ構造の土台を供給することが示唆されている。また角質細胞どうしは、細胞間接着分子のデスモグレインやデスモコリンからなるコルネオデスモゾームにより結合しており、強靭なシート構造をとる。
皮膚バリア機能は、終末分化に伴い生成するSS結合を有するケラチン線維や、フィラグリン、天然保湿因子のほか、コーニファイドエンベロープ等、角質細胞中の成分が重要な役割を果たしており、さらに角質細胞間接着や、セラミド等の細胞間脂質も大きな役割を担っている。これらが正常に産生・成熟し、角層が正常に形成され、機能することが重要である。
従来、皮膚バリア機能の悪化等、精神的ストレスに起因する皮膚状態の悪化を改善するための素材のスクリーニング方法として、社会心理的ストレスとして認知される過密ストレス等をマウスに負荷して皮膚バリア機能の悪化等の肌荒れを誘発することで、ストレスに起因する皮膚状態の悪化を改善する素材をスクリーニングする方法が実施されている(特許文献1)。しかしながら、この方法では、動物実験を必要とするため、実験操作が煩雑かつ倫理的な面での課題があった。また香り等によりストレス自体を軽減させる方法でのスクリーニングも提案されてきたが(特許文献2)、これらの試みはヒトまたは動物での試験を必要とするため実験操作が煩雑かつ倫理的な面での課題があり、また生体内物質を侵襲的に採取する工程を要するため被験者への負担が大きい。さらにヒトの場合は嗜好性が効果に大きな影響を及ぼし効果の個人差が大きいという課題があった。
一方、ストレス負荷の結果、一部体内で活性酸素が生じることも知られていることから、抗酸素化作用を抗ストレス作用とみなし、抗ストレス素材を選択する方法が実施されている(特許文献3)。しかしながら、この方法は活性酸素が仲介する、ストレスの悪影響の一部を改善するに過ぎない。つまり、ストレスに起因する皮膚バリア機能の悪化を改善する素材のスクリーニングの実施には多くの課題があり、有効かつ簡易的な測定方法がなかった。
生体内では、精神的ストレスにより生理的な変化が生じることが知られており、副腎から副腎皮質ホルモン(コルチゾール)が放出されたり、脳内のアドレナリン放出量が増加することが知られている。また、内因性オピオイドペプチドが中枢神経系や副腎髄質より放出され、増加することも報告されている。オピオイドは、神経系に存在するオピオイド受容体への結合を介し、麻薬性鎮痛薬のモルヒネに類似した作用を有する物質の総称であり、麻薬様作用により鎮痛や多幸感の誘発といった作用を有する。生体内に存在する内因性オピオイドペプチドも同様の作用を示すが、内因性オピオイドペプチドの一種であるエンケファリンおよびその誘導体には、脂肪分解作用のほか、皮膚の水和及び明度の改善、表情シワの減少作用等、皮膚状態に対する有用性が報告されている(特許文献4)。これらはすべて、エンケファリンまたはその誘導体の投与または外用が、生体に有用な作用を有することを示しているが、エンケファリンが生体の不調に関与するとは従来まったく考えられておらず、特に皮膚に対して悪影響を有する可能性についても、想定されていなかった。
イバラノリ科イバラノリ属のカズノイバラ(Hypnea flexicaulisまたはHypnea cervicornis)は、日本各地に生息する海藻である。従来、カズノイバラがストレスに起因する肌荒れを改善する効果や、エンケファリンによる生体への影響に対して何かしらの作用を及ぼす可能性については、全く検討されてこなかった。
特開平10-279505号 特開2008-297554号 特開平8-275752号 特表2008-534658号
Drug Delivery System,22(4),424-432,2007
本発明者らは、上記背景技術に鑑み、ストレスに起因する表皮のバリア機能の低下を改善するための方法について検討した。その結果、精神的ストレス時に増加するエンケファリンは、既知の作用のように悪化した皮膚状態を改善する働きがあるというよりも、むしろストレス時の皮膚バリア機能の悪化に関与することを発見した。具体的には、精神的ストレス時に増加する唾液中エンケファリン量は、皮膚からの水分の蒸散(経皮水分蒸散量)と正の相関があることを突き止めた。さらに、ストレス時に肌の乾燥が悪化すると感じる女性は、そうではない女性よりも唾液中エンケファリン量が多いことが確認され、ストレス時の肌状態の悪化と生体内のエンケファリン量に関連があることが強く示唆された。
さらに研究を進めたところ、エンケファリンは、表皮細胞の分化を抑制し、正常な角層の形成を阻害することで、皮膚バリア機能の悪化をもたらすことを突き止めた。具体的には、培養表皮細胞へのエンケファリンの添加により、ケラチン1、ケラチン10、インボルクリン、プロフィラグリン等の表皮細胞の分化関連遺伝子の遺伝子発現量が低下することが確認された。加えて、エンケファリンを添加した皮膚三次元モデルでは、正常な角層の形成が阻害され、角層厚が厚く、角層成熟の指標となるSS結合量が少ない未熟な角層が形成され、さらに皮膚三次元モデルの経皮水分蒸散量が増加するということを発見した。
以上の新知見から、ストレス時に体内で増加したエンケファリンは、血中によって皮膚の表皮まで運ばれ、皮膚の表皮細胞の分化を抑制し角層の正常な形成を阻害することで皮膚バリア機能へ悪影響を及ぼすことが強く示唆された。したがって、エンケファリンによる皮膚への悪影響を抑制することができれば、ストレス時の皮膚バリア機能の悪化を抑制することができ、ストレスに起因する肌荒れを改善できると期待されるため、本発明を完成するに至った。
本発明は、動物実験や人での試験を行わずとも培養細胞を用いて簡便に、ストレスに起因する肌荒れの改善剤をスクリーニングする方法を提供することを課題とし、加えてより効果の高いストレスに起因する肌荒れ改善剤を提供することを課題とする。
本発明は前述の知見に基づき、培養表皮細胞にエンケファリンを添加した際に、低下した表皮細胞分化関連タンパク質あるいはそれをコードする遺伝子の発現量を指標とすることで、ストレスに起因する肌荒れ改善剤をスクリーニングする方法である。またさらには皮膚三次元モデルにエンケファリンを添加した際に、低下した皮膚バリア機能を指標とすることで、ストレスに起因する肌荒れ改善剤をスクリーニングする方法である。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕
エンケファリン存在下における、表皮細胞の細胞分化度及び/又は皮膚三次元モデルの皮膚バリア機能を指標とするストレスに起因する肌荒れ改善剤のスクリーニング方法。
〔2〕
(1)表皮細胞にエンケファリンおよび被験物質を添加し培養するステップ、
(2)表皮細胞分化度を測定するステップ、
(3)ステップ(2)で得られた表皮細胞分化度を被験物質の無添加群と比較し、表皮細胞分化度を向上させる物質を効果物質と判定するストレスに起因する肌荒れ改善剤のスクリーニング方法。
〔3〕
前記表皮細胞分化度が、表皮細胞の分化に伴い発現量が増加するタンパク質の発現量またはそれをコードする遺伝子の発現量である〔1〕又は〔2〕いずれかに記載の方法。
〔4〕
前記タンパク質が、ケラチン1、ケラチン10、インボルクリン、ロリクリン、フィラグリン、カスパーゼ14及びトランスグルタミナーゼから選択される少なくとも1種以上を含む〔1〕乃至〔3〕いずれかに記載の方法。
〔5〕
前記タンパク質またはその遺伝子の発現量が、被験物質を添加しない場合のこれら発現量と比較して10%以上増加する場合に、前記被験物質はストレスに起因する肌荒れ改善作用を有すると判断する〔1〕乃至〔4〕いずれかに記載の方法。
〔6〕
(1)皮膚三次元モデルにエンケファリンおよび被験物質を添加し培養するステップ、
(2)皮膚三次元モデルの皮膚バリア機能を測定するステップ、
(3)ステップ(2)で得られた皮膚バリア機能を被験物質の無添加群と比較し、皮膚バリア機能を向上させる物質を効果物質と判定するストレスに起因する肌荒れ改善剤のスクリーニング方法。
〔7〕
〔1〕乃至〔5〕のいずれかの方法により選択されるストレスに起因する肌荒れ改善剤。
〔8〕
カズノイバラ抽出物を含有するストレスに起因する肌荒れ改善剤。
〔9〕
カズノイバラ抽出物を含有するストレスに起因する皮膚バリア機能低下の改善剤。
〔10〕
ストレスに起因する肌荒れ改善のためのカズノイバラ抽出物の使用。
本発明により、動物実験や人での試験を行わずとも培養細胞を用いて簡便に、ストレスに起因する皮膚バリア機能の悪化を改善することができる肌荒れ改善剤をスクリーニングする方法が提供される。また、新たな機序に基づく肌荒れ改善剤が提供される。
ストレス負荷前後の唾液中エンケファリン量、唾液中コルチゾール量の変化を示す図。 唾液中エンケファリン量と経皮水分蒸散量(TEWL)の相関を示す図。 ストレス時の乾燥の悪化と唾液中エンケファリン量の関係を示す図。 エンケファリン添加による表皮細胞の細胞分化度の減少を示す図。 エンケファリン添加による皮膚三次元モデルの細胞分化度の減少を示す図。 エンケファリン添加による皮膚三次元モデルの角層形態の変化を示す図。 エンケファリン添加による皮膚三次元モデルの角層成熟度(SS結合増加度)の変化を示す図。 エンケファリン添加による皮膚三次元モデルの経皮水分蒸散量の変化を示す図。 各種植物抽出物添加による、エンケファリン添加表皮細胞の細胞分化抑制の改善を示す図。 各種植物抽出物添加による、エンケファリン未添加表皮細胞の細胞分化度への影響を示す図。 各種植物抽出物添加による、エンケファリン添加皮膚三次元モデルの角層形態の改善を示す図。 カズノイバラ抽出物添加における、エンケファリン添加皮膚三次元モデルの経皮水分蒸散量の改善を示す図。 使用した皮膚外用剤の種類と経皮水分蒸散量の関係を示す図。
ストレスにより、生体内のエンケファリンは増加する。本発明のスクリーニング方法はストレスによる影響を受けた皮膚を模倣したものであり、ストレスに起因する肌荒れを改善する被験物質を選択する方法である。
本発明のスクリーニング方法の一の実施態様は、培養表皮細胞の表皮細胞分化度を指標とすることで、ストレスに起因する肌荒れ改善剤をスクリーニングする方法である。
具体的には、表皮細胞にエンケファリンおよび被験物質を添加し培養するステップ、表皮細胞分化度を得る測定ステップ、表皮細胞分化度を比較しストレスに起因する肌荒れ改善剤を選択するステップ、を含む、スクリーニング方法である。
本発明に用いるエンケファリンは、5つのアミノ酸が連結した構造であるロイシン-エンケファリン(チロシン-グリシン-グリシン-フェニルアラニン-ロイシン)、メチオニン-エンケファリン(チロシン-グリシン-グリシン-フェニルアラニン-メチオニン)のほか、前記エンケファリン配列を内包するペプチドおよびエンケファリン配列から誘導されたペプチドを用いることができる。
本発明のスクリーニングに用いる表皮細胞は、ケラチノサイトであれば特に限定されず、ヒトまたはヒトを除く動物の表皮から単離した正常な(癌化していない)ケラチノサイト、これを不死化したケラチノサイト細胞株等を用いることができ、ヒト表皮から単離した正常ケラチノサイトがより好ましい。表皮細胞の培養形態は、二次元培養(単層培養)のほか、皮膚三次元モデルのような三次元培養(積層培養)などを用いることができ、表皮細胞の生存を阻害しないような条件であれば、特段の際限なく適用することができる。
エンケファリンおよび被験物質を添加した表皮細胞の培養方法としては、通常の培養条件、例えば市販のケラチノサイト専用培地を用いる他、本発明のスクリーニング方法の実行を妨げない培養条件であれば、特段の限定なく適用することができる。エンケファリンまたは被験物質による表皮細胞の細胞分化への影響をより確認しやすくするため、表皮細胞培養中にカルシウムイオンを培地に添加し表皮細胞の分化を誘導する操作を行って構わない。エンケファリンおよび被験物質を表皮細胞に添加し細胞にこれらのシグナルを受容させたのち、カルシウムイオン添加による表皮細胞の分化誘導操作を行うのが好ましい。
表皮細胞分化度は、特に限定されないが、表皮細胞の分化に伴い発現量が増加するタンパク質の発現量またはこれをコードする遺伝子の発現量で把握することができる。具体的には、ケラチン1、ケラチン10、インボルクリン、ロリクリン、フィラグリン、カスパーゼ14及びトランスグルタミナーゼから選択される少なくとも1種以上を含むタンパク質の発現量またはそれをコードする遺伝子の発現量で把握することができる。スクリーニングの精度の観点から、好ましくは2種以上を組み合わせることが好ましく、例えばケラチン1またはケラチン10、およびインボルクリン、フィラグリンの組み合わせが好ましい。
表皮細胞分化度を指標とするには、前記タンパク質の発現量またはそれをコードする遺伝子の発現量を、任意の方法を用いて測定した結果を用いることができる。例えば、当該タンパク質の細胞内存在量を、ウエスタンブロッティング法やELISA法、放射免疫測定(Radioimmunoassy)法、免疫染色法、質量分析法等の常法で定量的に測定した結果を用いてもよい。また、当該タンパク質の代謝産物を測定することで、間接的に当該タンパク質量を測定することもできる。また、当該遺伝子の発現量は、当該遺伝子の配列に特異的に結合する配列を有するDNA断片をプライマーとして用いてPCRを行い、アガロースゲル電気泳動等により定量的な検出を行う。なお、上述した種々の因子をコードする遺伝子配列はそれぞれ公開されており、当業者は適宜プライマーを設計してPCRに供することができる。その他、遺伝子チップ、アレイ等の固相化試料を用いた核酸ハイブリダイゼーション法、RT-PCR法、リアルタイムPCR法、サブトラクション法、ディファレンシャル・ディスプレイ法、ディファレンシャル・ハイブリダイゼーション法、ならびにクロスハイブリダイゼーション法などの公知の方法を用いて測定することができる。
ストレスに起因する肌荒れ改善作用の判定にあたっては、所望する効果の程度に応じて設定できるが、目安としてエンケファリンおよび被験物質を添加し、数日間培養した表皮細胞における前記タンパク質の発現量またはそれをコードする遺伝子の発現量が、被験物質を添加しなかった細胞におけるこれら発現量と比較して増加している場合、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%以上増加している場合、前記被験物質はストレスに起因する肌荒れ改善作用を有すると判断できる。
本発明のスクリーニング方法の他の実施態様は、皮膚三次元モデルの皮膚バリア機能を指標とすることで、ストレスに起因する肌荒れ改善剤をスクリーニングする方法である。
具体的には、皮膚三次元モデルにエンケファリンおよび被験物質を添加し培養するステップ、皮膚三次元モデルの皮膚バリア機能を測定するステップ、皮膚バリア機能を比較しストレスに起因する肌荒れ改善剤を選択するステップ、を含む、スクリーニング方法である。
本発明のスクリーニングに用いる皮膚三次元モデルとしては、ヒト又はヒトを除く動物の皮膚より採取した、正常な(癌化していない)ケラチノサイト、メラノサイト、ファイブロブラストなどの皮膚細胞を数日間三次元培養して三次元(積層)構造を構築し、皮膚の構造に疑似させたものを作製し用いることができる。好ましくは、培養期間を短くし、ケラチノサイトの終末分化が未完了で角質細胞が形成されていない状態のものを作製し用いる。例えば培養細胞用インサート等の三次元培養容器に播種し3日間培養したのち、インサート内部の培養培地を除去して空気暴露しさらに数日培養を続けることで三次元構造を構築する。空気暴露後の培養期間は、ケラチノサイトの終末分化が未完了で角質細胞が形成されない期間であり、1日間~7日間程度であるのが好ましく、更には最も短い1日間であるのがより好ましい。また、培養細胞用インサートではなく、コラーゲンゲルまたはファイブロブラストを含有するコラーゲンゲル、生体より摘出した真皮にガラス製リングを載せ、そのリング中にケラチノサイトまたはメラノサイトと混合したケラチノサイトを播種してもよい。また、この様な形態を構築するための市販品を購入して使用することも出来る。好ましい市販品としては、例えば、皮膚三次元モデル(角層未熟タイプ)MEL-301(クラボウ社)、皮膚三次元モデル(角層未熟タイプ)EPI-201(クラボウ社)、LabCyte EPI-Model 6D(J-TEC社)、LabCyte EPI-KIT(J-TEC社)、3D FT Starter Kit(CELLnTEC社)などを用いることができる。特に三次元構造を自ら構築するできるLabCyte EPI-KIT(J-TEC社)、3D FT Starter Kit(CELLnTEC社)をさらに好適に用いることができる。更にケラチノサイトのみで構成されるLabCyte EPI-KIT(J-TEC社)を最も好適に用いることができる。
エンケファリンおよび被験物質を添加した皮膚三次元モデルの培養方法としては、前記の方法で作製された皮膚三次元モデルの培地中にエンケファリン、培地中または皮膚三次元モデルの角層側に被験物質を添加し、ケラチノサイトの終末分化が完了し角質細胞が形成されるまでの期間、培養することができる。ケラチノサイトは空気暴露により細胞分化が誘導されるため、被験物質を培地中に添加し培養するのが好適である。培養期間としては1日間~18日間が好ましく、更には角質細胞が重層し角層が十分形成する7日間~14日間がより好適である。
本発明のスクリーニング方法において、皮膚バリア機能は皮膚三次元モデルにおいて形成された角層の角層厚、角層成熟度(SS結合増加度)、コーニファイドエンベロープ成熟度、経皮水分蒸散量から選択される少なくとも1種以上の測定値または観察像によって評価できる。
角層は角質細胞が構成する角層を構成する角質細胞は、終末分化に伴い生成するSS結合を有するケラチン線維を主成分とし、保湿機能に重要な役割を演じているフィラグリンや天然保湿因子NMFを含み、さらにそれらを包むコーニファイドエンベロープからなる。また角質細胞どうしは、細胞間接着分子からなるコルネオデスモゾームにより結合しており、強靭なシート構造をとる。角層はこのシート構造が何層も重なることで、10~20μmの厚みを持つ生体内と生体外の境界膜として存在する。このような構成により皮膚内部の水分量が保持され水分の消失(経皮水分蒸散)が抑制されることで、皮膚バリア機能が正常に維持される。つまり、十分な厚さをもった角層が形成されること、これの構成分子が正常に産生・成熟し、角層が正常に形成され、機能することが重要である。
角層の角層厚は、皮膚三次元モデルの切片像を顕微鏡で観察しこれから角層厚を算出または評価することができる。具体的には、切片をヘマトキシリン-エオシン染色やサフラニン染色等、生細胞層と角層を染め分けることができる任意の染色法にて染色し光学顕微鏡にて角層形態を観察するほか、角層に存在する成分を抗原抗体反応を用いて免疫染色し蛍光顕微鏡または光学顕微鏡にて角層形態を観察するまたは、透過型電子顕微鏡にて切片の形態を観察することで、角層の厚さを算出または評価する方法が用いられる。ほか、ラマン分光装置により三次元モデルの角層内水分量分布を得、この変曲点より角層厚を算出する方法を用いることもできるし、超音波断層撮影法、光干渉断層画像法(Optical Coherence Tomogtaphy)、共焦点レーザー顕微鏡により皮膚三次元モデルの断層撮影図を得、これより角層厚を算出する方法等、公知の方法を用いることができる。
角層成熟度(SS結合増加度)は、皮膚三次元モデル内のSS結合をN-(7-ジメチルアミノ-4-メチルクマリニル)マレイミドにより染色する方法等、公知の方法により評価することができる。具体的には、遊離のSH基をN-エチルマレイミドと反応させ保護し、さらにSS基を2-メルカプトエタノール、ジチオスレオール等の還元剤により切断したのち、産生した遊離SH基をN-(7-ジメチルアミノ-4-メチルクマリニル)マレイミドと反応させたとき、得られた蛍光像をSS結合の存在量とすることができる。
コーニファイドエンベロープ成熟度は、公知の方法にて評価することができる。具体的には、皮膚三次元モデルから、テープストリッピングまたはトリプシン処理により角層を採取し、溶出液(ジチオスレイトール、ドデシル硫酸ナトリウムを含むトリス塩酸緩衝液)と混合、遠心し、溶出成分を除去した不溶物をコーニファイドエンベロープとする。これに含まれるインボルクリンを抗原抗体反応にて蛍光免疫染色し、さらにNileRedによる染色を行い、蛍光顕微鏡にて得られるインボルクリンとナイルレッドの蛍光観察像よりコーニファイドエンベロープ全面積(インボルクリン陽性CE面積 +NileRed陽性CE面積)中の未成熟CEの割合を算出することで、コーニファイドエンベロープ成熟度を評価できる。
経皮水分蒸散量は、公知の方法を用いて測定することができ、皮膚三次元モデルに市販の測定機器、例えばTEWA Meter(Courage+Khazaka社)、Tewitro TM24(Courage+Khazaka社)、VAPO SCAN(アサヒテクノ社)を適用し測定することができる。
エンケファリンおよび被験物質を添加し培養した皮膚三次元モデルにおける皮膚バリア機能が、被験物質を添加しなかった皮膚三次元モデルにおける皮膚バリア機能と比較して変化している場合に、前記被験物質はストレスに起因する肌荒れ改善作用を有すると判断される。具体的には、被験物質を添加しない群と比較し被験物質を添加した群において、皮膚バリア機能のうち角層厚、角層成熟度(SS結合増加度)、コーニファイドエンベロープ成熟度は増加し、経皮水分蒸散量は減少する場合、前記被験物質はストレスに起因する肌荒れ改善作用を有すると判断できる。
本発明のストレスに起因する肌荒れ改善剤または皮膚バリア機能低下の改善剤は、前記スクリーニング方法により選択される。
本発明のスクリーニング方法より選別された肌荒れ改善効果が期待できる成分は、カズノイバラ抽出物である。
前記カズノイバラは、イバラノリ科イバラノリ属のカズノイバラ(Hypnea flexicaulisまたはHypnea cervicornis)で、部位は特に限定されないが、例えば、全草が好適に使用できる。
抽出物の調製は特に限定されないが、例えば種々の適当な有機溶媒を用いて、低温下から加温下で抽出される。抽出溶媒としては、例えば、水;メチルアルコール、エチルアルコール等の低級1価アルコール;グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等の液状多価アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;酢酸エチルなどのアルキルエステル;ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素;ジエチルエーテル等のエーテル類;ジクロルメタン、クロロホルム等のハロゲン化アルカン等の1種または2種以上を用いることが出来る。就中、水、エチルアルコール、1,3-ブチレングリコールの1種または2種以上の混合溶媒が特に好適である。更には、水がより好適である。
本発明に用いることのできる抽出物の抽出方法は特に限定されないが、例えば乾燥したものであれば質量比で1~1000倍量、特に10~100倍量の溶媒を用い、常温抽出の場合には、0℃以上、特に20℃~40℃で1時間以上、特に3~7日間行うのが好ましい。また、60~100℃で1時間、加熱抽出しても良い。
以上のような条件で得られる前記各抽出物は、抽出された溶液のまま用いても良いが、さらに必要により、濾過または精製等の処理をして、濃縮、粉末化したものを適宜使い分けて用いることが出来る。
本発明の皮膚外用剤における植物抽出物の配合量は、蒸発乾燥分に換算して0.0000 1~20.0質量%が好ましく、特に0.01~10.0質量%の範囲が最適である。
また、本発明のスクリーニング方法で選別される被験物質は、植物抽出物に限定されない。本発明のスクリーニング方法で選別されたものであればよく、植物抽出物以外に、菌類、動物等の抽出物は勿論、化合物であっても差し支えない。
本発明の肌荒れ改善剤は皮膚に適用される組成物を意味する。例えば、化粧水、乳液、クリーム、オイル、化粧下地、ファンデーション等の化粧品や医薬部外品、分散液、軟膏、クリーム、外用液等の外用医薬品等の皮膚外用剤として適用可能な組成物のことを言う。液体、クリーム状、粉末状、固体状等の形態も問わない。
本発明の肌荒れ改善剤は、有効成分の他、公知の基剤成分が用いられ、常法により製造される。本発明の効果を阻害しない範囲内で、他の成分を配合することができる。例えば、油脂、ロウ類、炭化水素油、エステル油、高級アルコール、シリコーン油、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、保湿剤、界面活性剤、水溶性高分子、増粘剤、粉体、皮膚保護剤、美白剤、シワ改善剤、老化防止剤、植物抽出物、防腐剤、消炎剤、pH調整剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤などが挙げられる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により 限定されるものではない。
<実験1>ストレス負荷と生体内エンケファリン量の関係の検討
以下の手順で、精神的ストレスを負荷したヒトの生体内エンケファリン量の変化を検討した。
試験に同意を得た20~30代男女8名に、クレペリン検査試験を実施してもらい、検査前後の唾液を採取した。クレペリン検査とは、連続した単純計算試験であり、軽微な精神的ストレス負荷試験として広く用いられる。各被験者にはクレペリン検査試験前に口腔内を水でゆすいで洗浄してもらい、5分後にサリベット(ザルスタット社)のスポンジを90秒間口腔内に含ませ、クレペリン検査試験前の唾液を採取した。単純計算クレペリン検査試験を15分間実施後、再度サリベット(ザルスタット社)のスポンジを90秒間口腔内に含ませ、クレペリン検査試験後の唾液を採取した。唾液を採取したスポンジをサリベットチューブに戻し、チューブを4℃、3,000×gで5分間遠心することで唾液を回収した。唾液はリン酸緩衝生理食塩水(PBS(-))にて3倍に希釈し、唾液中エンケファリン量はELISA Kit for Enkephalin(USCNLIFE社)、唾液中コルチゾール量はSalivary Crotisol ELISA Kit(Salimetrics社)を用いて測定した。
図1に示すように、軽微な精神的ストレスの負荷により唾液中エンケファリン量は増加した。このとき、唾液中コルチゾール量についてはほぼ変動がなく、ストレスにより体内で増加することが従来より知られているコルチゾールよりも、エンケファリンははるかに鋭敏にストレスに反応する物質であることが示唆された。なお唾液は非侵襲的かつ簡便に採取でき、かつ唾液中に存在する物質(例えばコルチゾールやエストラジオール)の濃度は、血中濃度と強い相関があることが報告されており、唾液中物質濃度の変化は、生体内での濃度変化とほぼ同義ととらえることが出来る。
<実験2>生体内エンケファリン量と皮膚バリア機能の関係の検討
以下の手順で、ヒトの生体内エンケファリン量と皮膚の経皮水分蒸散量の関係を検討した。
試験に同意を得た20~30代女性9名を対象とし、顔面を洗顔料で洗浄後、22±1℃、湿度50±2%の環境下で20分間順化した後、TEWA meter TM-210(Courage+Khazaka社)にて顔面頬部の経皮水分蒸散量を測定した。また、口腔内を水でゆすいで洗浄してもらい、5分後にサリベット(ザルスタット社)のスポンジを90秒間口腔内に含ませ唾液を採取した。唾液を採取したスポンジをサリベットチューブに戻し、チューブを4℃、3,000×gで5分間遠心することで唾液を回収した。唾液はリン酸緩衝生理食塩水(PBS(-))で3倍に希釈し、ELISA Kit for Enkephalin(USCNLIFE社)にて唾液中エンケファリン量を測定し、経皮水分蒸散量と唾液中エンケファリン量の関係を解析した。
図2に示すように、ヒトの唾液中エンケファリン量と皮膚の経皮水分蒸散量には強い正の相関があり、生体内エンケファリン量が多いヒトほど経皮水分蒸散量が高い傾向にあることが分かる。
<実験3>ストレスに起因する肌状態の悪化と生体内エンケファリン量の関係の検討
以下の手順で、ストレスに起因する乾燥の悪化と生体内エンケファリン量の関係を調査した。
試験に同意を得た20~40代女性27名を対象に、ストレスと肌状態に関するアンケートを実施した。また、<実験2>と同様の方法で唾液の採取、唾液中エンケファリン量の測定を実施し、ストレス時の肌状態と唾液中エンケファリン量の関係について解析した。
図3に示すように、ストレスに起因し乾燥が悪化すると認識しているヒトの群では、乾燥が悪化しないと認識しているヒトの群と比較して唾液中エンケファリン量が多く、ストレスに起因する肌状態の悪化と生体内エンケファリン量に関連があることが示唆される。
<実験4>エンケファリンによる表皮細胞の細胞分化への影響の検討
以下の手順で、エンケファリンによる表皮細胞の細胞分化関連遺伝子の発現量への影響を検討した。
正常ヒト表皮ケラチノサイト(BIOPREDIC社)を専用培地(終濃度0.03mM塩化カルシウムおよびHuman Keratinocyte Growth Supplement(Gibco)、を加えたMedium 154CF(Gibco)培地)に懸濁し、5×10cells /mLになるように細胞懸濁液を調製し、24穴培養プレートに500μLずつ播種した。37℃、 5%CO/95%空気の加湿条件で2日間培養後、メチオニン-エンケファリンを終濃度が10、100nMになるように培地に加えた。37℃、 5%CO/95%空気の加湿条件で24時間培養後、塩化カルシウム水溶液を終濃度が1.2mMになるよう培地に加え37℃、 5%CO/95%空気の加湿条件で培養し、ケラチノサイトの細胞分化を誘導した。24時間培養後、Total RNA Purification Kit(Jena Bioscience)を用いて、Total RNAを抽出した。その後、PrimeScript RT Reagent Kit(TaKaRa)を用いて逆転写を行い、cDNAを合成した。得られたcDNAを鋳型として、ケラチン1(KRT1)、ケラチン10(KRT10)およびGAPDH(グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ;ハウスキーピング遺伝子として使用)の発現量を以下のプライマー及び酵素を用いて、リアルタイムPCR(7500 Real Time PCR System、アプライドバイオシステムズ)にて測定した。プライマーには、KRT1用センスプライマー(5’-CTTCAGGCCAAACTTGACAACTT-3’)、アンチセンスプライマー(5’-TCTGAGACAACTCTGCTTGGTAGAG-3’)、KRT10用センスプライマー(5’- CAACTGGCCTTGAAACAATCC-3’)、アンチセンスプライマー(5’-CTGCACACAGTAGCGACCTTCT-3’)、GAPDH用センスプライマー(5’-CCACATCGC TCAGACACCAT-3’)、アンチセンスプライマー(5’-TGACCAGGC GCCCAATA-3’)を用いた。PCRの反応にはPower SYBR Green Master Mix(アプライドバイオシステムズ)を使用し、遺伝子発現の解析は比較Ct法にて行った。つまり、被験物質添加による遺伝子発現量の変化は、エンケファリン未添加のコントロール群のKRT1、KRT10のCt値をGAPDHのCt値で補正した値を1とし、それに対する相対量として求めた。
図4に示すように、エンケファリンの添加により表皮細胞の分化関連遺伝子KRT1、KRT10の発現量が減少することが示され、エンケファリンは表皮細胞の細胞分化を抑制することが示された。
<実験5>エンケファリンによる皮膚三次元モデル表皮細胞の細胞分化への影響の検討
以下の手順で、エンケファリンによる皮膚三次元モデルの表皮細胞の細胞分化関連遺伝子の発現量への影響を検討した。
1.エンケファリン添加皮膚三次元モデルの培養
皮膚三次元モデル作製キットLabcyte EPI-KIT(J-TEC)に内包の正常ヒト表皮ケラチノサイトを専用アッセイ培地に懸濁し、細胞培養用インサートに細胞懸濁液を500μLずつ播種した。12穴培養プレートにアッセイ培地を1.5mLずつ分注し、12穴培養プレートの各ウェルに細胞培養インサートを浸して37℃、 5%CO/95%空気の加湿条件で1日間培養した。細胞培養用インサート内部の培地を注意深く除去し、細胞を空気暴露することでケラチノサイトの細胞分化を誘導した。12穴培養プレートの培地を交換し、37℃、 5%CO/95%空気の加湿条件で2日間培養した。12穴培養プレートの培地を交換し、各ウェルの培地中にメチオニン-エンケファリンを終濃度が100nMとなるように添加し、2、3日ごとにメチオニン-エンケファリン含有培地を交換しながら、37℃、 5%CO/95%空気の加湿条件で12日間培養した。
2.分化関連遺伝子の発現量の測定
メスを用い、細胞培養用インサートから皮膚三次元モデルおよびその支持基盤を切り離した。Total RNA Purification Kit(Jena Bioscience)を用いて、皮膚三次元モデルよりTotal RNAを抽出した。その後、PrimeScript RT Reagent Kit(TaKaRa)を用いて逆転写を行い、cDNAを合成した。得られたcDNAを鋳型として、ケラチン1(KRT1)、ケラチン10(KRT10)、インボルクリン、プロフィラグリン(フィラグリンタンパク質をコードする遺伝子)およびGAPDH(グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ;ハウスキーピング遺伝子として使用)の発現量を以下のプライマー及び酵素を用いて、リアルタイムPCR(7500 Real Time PCR System、アプライドバイオシステムズ)にて測定した。プライマーには、KRT1用センスプライマー(5’-CTTCAGGCCAAACTTGACAACTT-3’)、アンチセンスプライマー(5’-TCTGAGACAACTCTGCTTGGTAGAG-3’)、KRT10用センスプライマー(5’- CAACTGGCCTTGAAACAATCC-3’)、アンチセンスプライマー(5’-CTGCACACAGTAGCGACCTTCT-3’)、インボルクリン用センスプライマー(5’-GGAGAAGCAGGAGGCACA-3’)、アンチセンスプライマー(5’-TCCAGGTGCTTTGGCTGT-3’)、プロフィラグリン用センスプライマー(5’-GGCACTGAAAGGCAAAAAGG-3’)、アンチセンスプライマー(5’-AAACCCGGATTCACCATAATCA-3’)、GAPDH用センスプライマー(5’-CCACATCGC TCAGACACCAT-3’)、アンチセンスプライマー(5’-TGACCAGGC GCCCAATA-3’)を用いた。PCRの反応にはPower SYBR Green Master Mix(アプライドバイオシステムズ)を使用し、遺伝子発現の解析は比較Ct法にて行った。つまり、被験物質添加による遺伝子発現量の変化は、エンケファリン未添加のコントロール群のKRT1、KRT10、インボルクリン、プロフィラグリンのCt値をGAPDHのCt値で補正した値を1とし、それに対する相対量として求めた。
図5に示すように、エンケファリンの添加により皮膚三次元モデルの表皮細胞の分化関連遺伝子KRT1、KRT10、インボルクリン、プロフィラグリンの発現量が減少することが示され、エンケファリンは表皮細胞の細胞分化を抑制することが再度示された。
<実験6>エンケファリンによる皮膚三次元モデルの角層形態への影響の検討
以下の手順で、エンケファリン添加による皮膚三次元モデルの角層形態への影響を確認した。
1.エンケファリン添加皮膚三次元モデルの培養
<実験5>と同様に培養した。
2.角層形態の観察
メスを用い、細胞培養用インサートから皮膚三次元モデルおよびその支持基盤を切り離した。皮膚三次元モデルをOCTコンパウンド(サクラファインテック社)に包埋し-80℃にて凍結後、クリオスタット(LEICA)にて、凍結皮膚三次元モデル切片を作製した。切片をスライドガラスに貼付、固定後、マイヤーヘマトキシリン染色、エオシン染色にて皮膚三次元モデル切片の形態が観察しやすいよう染色し、光学顕微鏡(KEYENCE)にて皮膚三次元モデル切片の角層形態を観察した。
図6に示すように、エンケファリンの添加により皮膚三次元モデルの角層厚が大幅に減少することが示された。
<実験7>エンケファリンによる皮膚三次元モデルの角層成熟度への影響の検討
以下の手順で、エンケファリン添加による皮膚三次元モデルの角質細胞内ケラチンSS結合への影響を確認した。
1.エンケファリン添加皮膚三次元モデルの培養
<実験5>と同様に培養した。
2.ケラチンSS結合の染色
メスを用い、細胞培養用インサートから皮膚三次元モデルおよびその支持基盤を切り離した。皮膚三次元モデルをOCTコンパウンド(サクラファインテック社)に包埋し-80℃にて凍結後、クリオスタット(LEICA)にて、凍結皮膚三次元モデル切片を作製した。切片をスライドガラスに貼付後、リン酸緩衝生理食塩水(PBS(-))で調製した0.15M N-エチルマレイミド(和光純薬)溶液に切片を浸漬し、37℃環境下で5分間インキュベートした。その後、PBS(-)で調製した0.15mM EDTA、10mM 2-メルカプトエタノール溶液に切片を浸漬し、37℃環境下で3分間インキュベートした。PBS(-)で調製した0.01mM N-(7-ジメチルアミノ-4-メチルクマリニル)マレイミド(和光純薬)溶液に1分間浸漬し、SS結合を染色した。励起波長400nm、蛍光波長460nmのフィルターを用い、蛍光顕微鏡(KEYENCE)にて蛍光像を観察した。
図7に示すように、エンケファリンの添加により皮膚三次元モデルの角質細胞内のケラチンSS結合が大きく減少し、エンケファリンにより角層の成熟が抑制されていることが示された。
<実験8>エンケファリンによる皮膚三次元モデルの経皮水分蒸散量への影響の検討
以下の手順で、エンケファリン添加による皮膚三次元モデルの経皮水分蒸散量への影響を検討した。
1.エンケファリン添加皮膚三次元モデルの培養
<実験5>と同様に培養した。
2.経皮水分蒸散量の測定
細胞培養用インサートが入った12穴培養プレートの蓋を取り外し、室温で30分間静置して空気環境に順化させた。Vapometer(Delfin)を細胞培養用インサートに密着させ、皮膚三次元モデルの経皮水分蒸散量を測定した。
図8に示すように、エンケファリンの添加により皮膚三次元モデルの経皮水分蒸散量が増加することが確認された。
<実施例1>エンケファリン添加表皮細胞の細胞分化度を指標としたスクリーニング
以下の手順で、エンケファリンを添加した表皮細胞の分化関連遺伝子KRT1の発現量の変化を指標とした、ストレスに起因する肌荒れ改善剤のスクリーニングを行った。
1.被験物質の調製
乾燥させた植物原体に40倍の質量の精製水を加えて60℃、4時間加熱抽出した。抽出物の乾燥残分に対して、精製水を質量比で1:100(10,000ppm)となるように加えて希釈したものを被験物質とした。なお用いた植物原体は、カズノイバラ、ネコアシ昆布、日高昆布の全草である。
2.エンケファリン添加表皮細胞の分化関連遺伝子KRT1発現量を指標としたスクリーニング
正常ヒト表皮ケラチノサイト(BIOPREDIC社)を専用培地(終濃度0.03mM塩化カルシウムおよびHuman Keratinocyte Growth Supplement(Gibco)を加えたMedium 154CF(Gibco)培地)に懸濁し、5×10cells /mLになるように細胞懸濁液を調製し、24穴培養プレートに500μLずつ播種した。37℃、 5%CO/95%空気の加湿条件で2日間培養後、メチオニン-エンケファリンおよび被験物質を終濃度がそれぞれ100nM、100ppmになるように培地に加えた。37℃、 5%CO/95%空気の加湿条件で24時間培養後、塩化カルシウム水溶液を終濃度が1.2mMになるよう培地に加え37℃、 5%CO/95%空気の加湿条件で24時間培養し、ケラチノサイトの細胞分化を誘導した。その後、Total RNAを抽出し、<実験4>と同様の方法でケラチン1の遺伝子発現量を測定した。
図9に示すように、エンケファリンの添加により減少した表皮細胞の分化関連遺伝子KRT1の発現量は、ネコアシ昆布抽出物、日高昆布抽出物を添加した群ではほとんど変化が無かった。一方、カズノイバラ抽出物を添加した群ではエンケファリン添加時のKRT1の発現量がエンケファリン未添加のControlと同程度にまで増加しており、カズノイバラ抽出物はエンケファリンによる表皮細胞の細胞分化抑制作用を改善することができることが示された。
<実験例2>エンケファリン未添加表皮細胞の細胞分化度への影響の検討
以下の手順で、各種被験物質の表皮細胞の分化関連遺伝子KRT1の発現量への影響を確認した。
1.被験物質の調製
<実施例1>と同様に調製したものを用いた。
2.被験物質における分化関連遺伝子KRT1発現量への影響の検討
正常ヒト表皮ケラチノサイト(BIOPREDIC社)を専用培地(終濃度0.03mM塩化カルシウムおよびHuman Keratinocyte Growth Supplement(Gibco)を加えたMedium 154CF(Gibco)培地)に懸濁し、5×10cells /mLになるように細胞懸濁液を調製し、24穴培養プレートに500μLずつ播種した。37℃、 5%CO/95%空気の加湿条件で2日間培養後、被験物質を終濃度が100ppmになるように培地に加えた。37℃、 5%CO/95%空気の加湿条件で24時間培養後、塩化カルシウム水溶液を終濃度が1.2mMになるよう培地に加え37℃、 5%CO/95%空気の加湿条件で24時間培養し、ケラチノサイトの細胞分化を誘導した。その後、Total RNAを抽出し、<実験4>と同様の方法でケラチン1の遺伝子発現量を測定した。
図10に示すように、カズノイバラ抽出物はエンケファリン未添加の表皮細胞の細胞分化関連遺伝子KRT1の発現量を減少させることが確認された。つまり、カズノイバラ抽出物そのものは表皮細胞の細胞分化を促進する作用は保持しておらず、図9で確認された効果はエンケファリンによる細胞分化の抑制に特異的な作用であったことが確認された。
<実施例3>エンケファリン添加皮膚三次元モデルの角層形態を指標としたスクリーニング
以下の手順で、エンケファリン添加による皮膚三次元モデルの角層厚を指標とした、ストレスに起因する肌荒れ改善剤のスクリーニングを行った。
1.被験物質の調製
<実施例1>と同様に調製したものを用いた。
2.エンケファリン添加皮膚三次元モデルの培養
皮膚三次元モデル作製キットLabcyte EPI-KIT(J-TEC)に内包の正常ヒト表皮ケラチノサイトを専用アッセイ培地に懸濁し、細胞培養用インサートに細胞懸濁液を500μLずつ播種した。12穴培養プレートにアッセイ培地を1.5mLずつ分注し、12穴培養プレートの各ウェルに細胞培養インサートを浸して37℃、 5%CO/95%空気の加湿条件で1日間培養した。細胞培養用インサート内部の培地を注意深く除去し、細胞を空気暴露することでケラチノサイトの細胞分化を誘導した。12穴培養プレートの培地を交換し、37℃、 5%CO/95%空気の加湿条件で2日間培養した。12穴培養プレートの培地を交換し各ウェルの培地中にメチオニン-エンケファリンを終濃度が100nM、被験物質を終濃度が100ppmとなるように添加し、37℃、 5%CO/95%空気の加湿条件で培養した。メチオニン-エンケファリンおよび被験物質含有培地を2、3日ごとに交換しながら、12日間培養した。
3.角層形態の観察
<実験6>と同様に観察した。
図11に示すように、ネコアシ昆布抽出物、日高昆布抽出物と比較し、カズノイバラ抽出物とエンケファリンを添加した場合、エンケファリンのみを添加した皮膚三次元モデルと比較し、角層厚が大幅に増加することが示された。
<実施例4>エンケファリン添加皮膚三次元モデルの経皮水分蒸散量を指標としたスクリーニング
以下の手順で、エンケファリン添加による皮膚三次元モデルの経皮水分蒸散量を指標とした、ストレスに起因する肌荒れ改善剤のスクリーニングを行った。
1.被験物質の調製
<実施例1>と同様に調製したイバラノリ抽出物を用いた。
2.エンケファリン添加皮膚三次元モデルの培養
<実施例3>と同様に培養した。
3.経皮水分蒸散量の測定
<実験8>と同様に測定した。
図12に示すように、エンケファリンの添加により増加した皮膚三次元モデルの経皮水分蒸散量は、カズノイバラ抽出物の添加によってControl(エンケファリン未添加)と同程度まで減少することが確認された。
<実施例5>実使用試験
カズノイバラ抽出物を用いて「表1」の処方により皮膚外用剤を調製し、試験に同意を得た20~30代女性8名を被験者とし効果試験を実施した。なお、被験者は事前にストレスチェックを実施し、高ストレス群と判断されたヒトの群から選出した。被験者に試験例1と比較例1のテストサンプルを1か月間毎日、朝と夜の2回、洗顔後に半顔に塗布してもらい、使用開始4週間後の顔面頬部の経皮水分蒸散量をTEWA meter TM-210(Courage+Khazaka社)にて測定した。測定は、顔面を洗顔料で洗浄後、22±1℃、湿度50±2%の環境下で20分間順化したのち実施した。
図13に示すように、本発明のスクリーニング法により選択されたストレスによる肌荒れの改善効果を有する成分を配合した試験例1では比較例1に比べ、テストサンプルの連用後に経皮水分蒸散量の低下が認められた。
以下、本発明に係るカズノイバラ抽出物を用いた処方例を示す。なお、含有量は質量%である。尚、製法は常法による。尚、カズノイバラ抽出物は乾燥質量である。
処方例1:クリーム
カズノイバラ抽出物 0.02
ステアリルアルコール 6.00
ステアリン酸 2.00
ワセリン 4.00
スクワラン 9.00
オクチルドデカノール 10.00
1,3-ブチレングリコール 6.00
グリセリン 4.00
POE(20)セチルアルコールエーテル 3.00
モノステアリン酸グリセリン 2.00
酸化防止剤 適量
防腐剤 適量
精製水 残部
合計 100.0
処方例2:ファンデーション
カズノイバラ抽出物 0.01
タルク 5.00
セリサイト 8.00
酸化チタン 5.00
色顔料 適量
モノイソステアリン酸ポリグリセリル 3.00
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.50
イソノナン酸イソトリデシル 10.00
1,3-ブチレングリコール 5.00
酸化防止剤 適量
防腐剤 適量
精製水 残部
合計 100.00
処方例3:サンスクリーン
カズノイバラ抽出物 0.01
酸化チタン 10.00
酸化亜鉛 10.00
PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 1.50
ラウリルPEG9-ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 1.50
シクロペンタシロキサン 20.00
ジメチコン 10.00
(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー 0.50
セチルジメチコン 0.25
グリチルレチン酸エステル 0.05
メチルグルセス-20 1.00
1,3-ブチレングリコール 10.00
塩化ナトリウム 適量
酸化防止剤 適量
防腐剤 適量
精製水 残部
合計 100.00

Claims (3)

  1. カズノイバラ抽出物を含有する精神的ストレスに起因する肌荒れ改善剤。
  2. カズノイバラ抽出物を含有する精神的ストレスに起因する皮膚バリア機能低下の改善剤。
  3. 精神的ストレスに起因する肌荒れ改善のためのカズノイバラ抽出物の使用。
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