(第1実施形態の構成)
本発明のロボット制御システムの第1実施形態を説明する。先ず、ロボット制御システムの概要について説明する。
図1に示すように、ロボット制御システムのロボット制御装置Cは、コンピュータや各種のモジュール等が内蔵された制御装置本体CMを有する。制御装置本体CMの筐体の外面には、無線通信部としての無線アクセスポイントAPが固定されている。無線アクセスポイントAPは、制御装置本体CMに対して有線で接続され、制御装置本体CMとの間で有線通信により信号を送受信する。制御装置本体CMには、操作部としての操作ボックスOPが有線接続されている。これら制御装置本体CM、無線アクセスポイントAP及び操作ボックスOPで、ロボット制御装置Cが構成されている。
図1に示すように、ロボット制御装置Cの制御装置本体CMには、有線でロボットRが接続されている。ロボットRは、例えば、サーボモータによって駆動される複数のアームを有し、その先端のアームに溶接トーチが搭載された多関節型の溶接ロボットである。そして、ロボットRは、制御装置本体CMからの信号によってアーム等の動作が制御される。ロボット制御装置Cの制御装置本体CMには、ロボットRを操作するのに必要な情報を入力するための有線ティーチペンダントTP1が有線で接続されている。また、ロボット制御システムは、ロボットRを操作するのに必要な情報を入力するための無線ティーチペンダントTP2を有する。無線ティーチペンダントTP2は、ロボット制御装置Cの無線アクセスポイントAPに対して無線通信で信号を送受信する。これら有線ティーチペンダントTP1及び無線ティーチペンダントTP2は、いずれも可搬式操作装置に該当する。
次に、ロボット制御システムを構成する各装置の電気的構成について説明する。
図2に示すように、ロボット制御装置Cの制御装置本体CMには、電源のオン/オフを切り替えるための電源スイッチ11が設けられている。電源スイッチ11が操作されることにより、制御装置本体CM、操作ボックスOP及び無線アクセスポイントAPを含めたロボット制御装置C全体の電源のオン/オフが切り替えられる。制御装置本体CMには、ロボットRの制御処理や通信処理等を担うロボット制御部12が設けられている。ロボット制御部12は、各種のプログラムを実行する中央演算装置12a(CPU)、各プログラムの実行に際してデータが一時的に格納される揮発性のRAM12b、処理に必要なプログラムや各種のデータ等が格納される不揮発性の記憶部12cなどを有するコンピュータとして構成されている。
図2に示すように、制御装置本体CMには、時間を計測するためのタイマ13が設けられている。タイマ13は、ロボット制御部12からの指令に基づいて、カウント値をカウントアップする。また、タイマ13は、ロボット制御部12からの指令に基づいて、カウントアップしたカウント値をクリアして初期値に戻す。
図2に示すように、制御装置本体CMには、ロボットRのサーボモータに電力を供給するためのサーボアンプ14が設けられている。サーボアンプ14は、ロボット制御部12によって指示されるロボットRのアームの姿勢等に応じた電力をロボットRのサーボモータに供給する。つまり、ロボット制御部12は、サーボアンプ14を制御することにより、ロボットRの動作を制御する。
図2に示すように、制御装置本体CMの通信制御部15は、ロボット制御部12に接続されている。通信制御部15は、ロボット制御部12からの接続許可信号に基づいて、有線ティーチペンダントTP1及び無線ティーチペンダントTP2のいずれかに対して、通信の接続を確立する。通信制御部15は、通信の接続を確立した有線ティーチペンダントTP1又は無線ティーチペンダントTP2からの制御信号をロボット制御部12に出力して、当該ティーチペンダントの操作に基づくロボットRの制御を可能とする。通信制御部15には、無線アクセスポイントAPが有線で接続されている。
無線アクセスポイントAPには、電波を送受信するためのアンテナ、そのアンテナによる電波の送受信を制御する通信モジュール等が内蔵され、例えばIEEE802.11規格による無線通信を行う。無線アクセスポイントAPによる無線通信の通信範囲は、例えば、数十メートルから百数十メートルである。無線アクセスポイントAPは、ロボット制御装置Cの通信制御部15から出力される制御信号を無線通信で無線ティーチペンダントTP2に送信する。また、無線アクセスポイントAPは、無線ティーチペンダントTP2から無線通信で受信した制御信号を通信制御部15に出力し、通信制御部15はその制御信号をロボット制御部12に出力する。また、無線アクセスポイントAPは、無線ティーチペンダントTP2に対する無線通信の接続が確立されているか否かに関わらず、自身のネットワーク情報(例えばSSID(Service Set Identifier))を所定時間毎に送信する。なお、このネットワーク情報は、特定の無線ティーチペンダントTP2宛に送信されるのではなく、宛先を特定せずに送信される。
図2に示すように、制御装置本体CMに有線で接続された操作ボックスOPには、ロボット制御装置Cを運転準備待ち状態から運転準備状態へと遷移させるための運転準備スイッチ21が設けられている。ロボット制御装置Cのロボット制御部12といずれかのティーチペンダントとの間で通信の接続が確立している状態では、操作ボックスOPの運転準備スイッチ21が操作されると、操作ボックスOPは、ロボット制御部12に対して運転準備信号を出力する。また、ロボット制御装置Cのロボット制御部12に対し、いずれのティーチペンダントも通信の接続が確立されていない状態では、操作ボックスOPの運転準備スイッチ21が操作されると、操作ボックスOPは、ロボット制御部12に対して第2接続要求信号として接続確認信号を出力する。操作ボックスOPには、ロボットRを非常停止させるための非常停止スイッチ22が設けられている。操作ボックスOPの非常停止スイッチ22が操作されると、操作ボックスOPは、制御装置本体CMのロボット制御部12に対して非常停止信号を出力する。
図3に示すように、有線ティーチペンダントTP1には、入力処理や通信処理等を担うティーチペンダント制御部31が設けられている。ティーチペンダント制御部31は、各種のプログラムを実行する中央演算装置31a(CPU)、プログラムの実行等に際してデータが一時的に格納される揮発性のRAM31b、処理に必要なプログラム等が格納される不揮発性の記憶部31cを有するコンピュータとして構成されている。
図3に示すように、有線ティーチペンダントTP1には、各種の情報を表示するためのディスプレイ32が設けられている。ディスプレイ32は、ティーチペンダント制御部31からの画像信号に基づいて、例えばロボットRの現在状況やロボットRに対する教示内容等を表示する。有線ティーチペンダントTP1には、情報を入力するためのキーボード33が設けられている。キーボード33は、例えば、ディスプレイ32上で表示されている選択位置(カーソル位置)を移動させるための矢印キーや文字情報を入力するための文字キーである。有線ティーチペンダントTP1には、ロボットRへの電力供給を許可するためのイネーブルスイッチ34が設けられている。有線ティーチペンダントTP1のイネーブルスイッチ34が操作されると、有線ティーチペンダントTP1は、ロボット制御装置Cに対してイネーブル信号を出力する。また、有線ティーチペンダントTP1には、ロボットRを非常停止させるための非常停止スイッチ35が設けられている。有線ティーチペンダントTP1の非常停止スイッチ35が操作されると、有線ティーチペンダントTP1は、ロボット制御装置Cに対して非常停止信号を出力する。
図3に示すように、有線ティーチペンダントTP1には、ロボット制御装置Cの通信制御部とLANケーブルで接続される有線LANインターフェース36が設けられている。有線LANインターフェース36には、LANケーブル等のケーブルを取り付けるためのコネクタやケーブルを介した有線通信を制御するための通信モジュールが内蔵されている。
図4に示すように、無線ティーチペンダントTP2には、入力処理や通信処理等を担うティーチペンダント制御部41が設けられている。ティーチペンダント制御部41は、各種のプログラムを実行する中央演算装置41a(CPU)、プログラムの実行等に際してデータが一時的に格納される揮発性のRAM41b、処理に必要なプログラム等が格納される不揮発性の記憶部41cを有するコンピュータとして構成されている。
図4に示すように、無線ティーチペンダントTP2には、各種の情報を表示するためのディスプレイ42が設けられている。ディスプレイ42は、ティーチペンダント制御部41からの画像信号に基づいて、例えばロボットRの現在状況やロボットRに対する教示内容等を表示する。無線ティーチペンダントTP2には、情報を入力するためのキーボード43が設けられている。キーボード43は、例えば、ディスプレイ42上で表示されている選択位置(カーソル位置)を移動させるための矢印キーや文字情報を入力するための文字キーである。無線ティーチペンダントTP2には、ロボットRへの電力供給を許可するためのイネーブルスイッチ44が設けられている。無線ティーチペンダントTP2のイネーブルスイッチ44が操作されると、無線ティーチペンダントTP2は、ロボット制御装置Cに対してイネーブル信号を送信する。また、無線ティーチペンダントTP2には、ロボットRを非常停止させるための非常停止スイッチ45が設けられている。無線ティーチペンダントTP2の非常停止スイッチ45が操作されると、無線ティーチペンダントTP2は、ロボット制御装置Cに対して非常停止信号を送信する。
図4に示すように、無線ティーチペンダントTP2には、ロボット制御装置Cの無線アクセスポイントAPと無線通信するための無線LANインターフェース46が設けられている。無線LANインターフェース46には、電波を送受信するためのアンテナ及びそのアンテナによる無線通信を制御するための通信モジュール等が内蔵され、例えばIEEE802.11規格による無線通信を行う。
(第1実施形態におけるロボット制御装置の状態遷移処理)
次に、ロボット制御装置Cの状態遷移処理について、図5に従って説明する。
操作者がロボット制御装置Cの電源スイッチ11を操作して、ロボット制御装置Cの電源がオフからオンにされると、ロボット制御装置Cの処理は、ステップST1に移行する。
ステップST1では、ロボット制御装置Cのロボット制御部12は、制御装置本体CM、操作ボックスOP及び無線アクセスポイントAPに対して所定の電圧が供給されているか等を判断することにより初期診断を行う。この初期診断において異常があると判断された場合(ステップST1においてNO)、一連の処理を終了する。初期診断において正常であると判断された場合(ステップST1においてYES)、ロボット制御装置Cの処理は、ステップST2に移行する。
ステップST2では、ロボット制御装置Cのロボット制御部12は、通信の接続の確立を許可する旨の許可通知であって有線ティーチペンダントTP1を宛先とする通知を通信制御部15に出力する。通信制御部15は、入力された許可通知を有線ティーチペンダントTP1に出力する。また、ロボット制御装置C内において、ロボット制御部12は、有線ティーチペンダントTP1を通信の接続の確立対象とした接続許可信号を通信制御部15に出力する。その後、ロボット制御装置Cのロボット制御部12と有線ティーチペンダントTP1との間で必要な情報が送受信され、ロボット制御装置Cのロボット制御部12及び有線ティーチペンダントTP1間の通信の接続が確立される。通信の接続が確立されると、ロボット制御装置Cの処理は、ステップST3に移行する。
ステップST3では、ロボット制御装置Cのロボット制御部12は、制御装置本体CMの状態を「運転準備待ち状態」に遷移させる。「運転準備待ち状態」は、制御装置本体CMのサーボアンプ14からロボットRへの電力の供給が禁止された状態である。したがって、この「運転準備待ち状態」においては、有線ティーチペンダントTP1からのイネーブル信号がロボット制御装置Cのロボット制御部12に入力されても、そのイネーブル信号は無効化される。制御装置本体CMの状態が「運転準備待ち状態」に遷移すると、ロボット制御装置Cの処理はステップST4に移行する。
ステップST4では、ロボット制御装置Cのロボット制御部12は、操作ボックスOPからの運転準備信号の入力があるか否かを判断する。運転準備信号の入力がない場合には(ステップST4においてNO)、ロボット制御部12は、引き続き運転準備信号の入力を待機する。操作者が操作ボックスOPの運転準備スイッチ21を操作すると、操作ボックスOPから制御装置本体CMのロボット制御部12に対して運転準備信号が出力される。この運転準備信号がロボット制御部12に入力されると(ステップST4においてYES)、ロボット制御装置Cの処理は、ステップST5に移行する。
ステップST5では、ロボット制御装置Cのロボット制御部12は、制御装置本体CMの状態を「運転準備状態」へ遷移させる。「運転準備状態」は、制御装置本体CMのサーボアンプ14からロボットRへの電力の供給が許容された状態である。制御装置本体CMの状態が「運転準備状態」に遷移すると、ロボット制御装置Cの処理はステップST6に移行する。
ステップST6では、ロボット制御装置Cのロボット制御部12は、ステップST2において通信の接続を確立した有線ティーチペンダントTP1からのイネーブル信号の入力があるか否かを判断する。イネーブル信号の入力がない場合には(ステップST6においてNO)、ロボット制御部12は、引き続きイネーブル信号の入力を待機する。操作者が有線ティーチペンダントTP1のイネーブルスイッチ34を操作すると、有線ティーチペンダントTP1からロボット制御装置Cにイネーブル信号が出力される。このイネーブル信号がロボット制御装置Cのロボット制御部12に入力されると(ステップST6においてYES)、ロボット制御装置Cの処理はステップST7に移行する。
ステップST7では、ロボット制御装置Cのロボット制御部12は、制御装置本体CMの状態を「サーボアンプON状態」に遷移させる。「サーボアンプON状態」は、制御装置本体CMのサーボアンプ14がオンされ、ロボット制御部12によって指示されるロボットRのアームの姿勢等に応じた電力をロボットRのサーボモータに供給する状態である。例えば、ロボットRに動作を教示している状態、教示させた動作をロボットRに再生動作させている状態などは「サーボアンプON状態」に該当する。制御装置本体CMの状態が「サーボアンプON状態」に遷移すると、ロボット制御装置Cの処理はステップST8に移行する。
ステップST8では、ロボット制御装置Cのロボット制御部12は、ステップST2において通信の接続を確立した有線ティーチペンダントTP1からの非常停止信号の入力、又は、操作ボックスOPからの非常停止信号の入力があるか否かを判断する。いずれの非常停止信号の入力もない場合には(ステップST8においてNO)、制御装置本体CMは「サーボアンプON状態」が維持される。操作者が有線ティーチペンダントTP1の非常停止スイッチ45を操作すると、有線ティーチペンダントTP1からロボット制御装置Cに非常停止信号が出力される。また、操作者が操作ボックスOPの非常停止スイッチ22を操作すると、制御装置本体CMのロボット制御部12に対して非常停止信号が出力される。これらのいずれかの非常停止信号がロボット制御部12に入力されると(ステップST6においてYES)、ロボット制御装置Cの処理はステップST9に移行する。
ステップST9では、ロボット制御装置Cのロボット制御部12は、サーボアンプ14をオフにすることにより、サーボアンプ14からロボットRへの電力供給を停止する。その結果、ロボットRは非常停止する。その後、ロボット制御装置Cの処理は、ステップST3に戻り、制御装置本体CMは「運転準備待ち状態」に遷移する。その後のステップST4〜ステップST9の処理は、上で説明したのと同様である。
(第1実施形態における無線通信の接続の確立処理)
次に、無線ティーチペンダントTP2とロボット制御装置Cとの無線通信の接続の確立処理について、図6及び図7に従って説明する。なお、以下の説明では、ロボット制御装置Cは、上述した一連の状態遷移処理のうちのステップST1〜ステップST7の処理が終了しているものとする。すなわち、有線ティーチペンダントTP1とロボット制御装置Cとの間で通信の接続が確立されていて、且つ、ロボット制御装置Cの制御装置本体CMは「サーボアンプON状態」にあるものとする。
図6に示すように、ロボット制御装置Cは、電源がオンにされている状態においてはステップST21の処理を行う。ステップST21では、ロボット制御装置Cは、所定時間毎に無線アクセスポイントAPのネットワーク情報を送信する。その後、ロボット制御装置Cの処理は、ステップST22に移行する。
一方、無線ティーチペンダントTP2の電源がオンにされると、無線ティーチペンダントTP2は、ステップST11の処理を行う。ステップST11では、ティーチペンダント制御部41は、ロボット制御装置Cの無線アクセスポイントAPのネットワーク情報が受信されたかに基づいて、通信可能なロボット制御装置Cの無線アクセスポイントAPを検索する。通信可能なロボット制御装置Cの無線アクセスポイントAPが検索された場合には、無線ティーチペンダントTP2の処理はステップST12に移行する。
ステップST12では、ティーチペンダント制御部41は、検索された通信可能な無線アクセスポイントAPを特定できる情報として、受信した無線アクセスポイントAPのネットワーク情報をディスプレイ42に選択可能に表示させる。その後、無線ティーチペンダントTP2の処理は、ステップST13に移行する。
ステップST13では、ティーチペンダント制御部41は、検索された通信可能な無線アクセスポイントAPのうち、いずれかの無線アクセスポイントAPが選択されたかを判断する。無線アクセスポイントAPが選択されていない場合(ステップST13においてNO)、ティーチペンダント制御部41の処理はステップST11に戻り、再び、通信可能な無線アクセスポイントAPを検索する。操作者が無線ティーチペンダントTP2のキーボード43を操作することにより、ディスプレイ42上の無線アクセスポイントAPが選択された場合(ステップST13においてYES)、無線ティーチペンダントTP2の処理は、ステップST14に移行する。
ステップST14では、無線ティーチペンダントTP2は、選択された無線アクセスポイントAPが設けられているロボット制御装置C宛に接続要求信号(第1接続要求信号)を送信する。その後、無線ティーチペンダントTP2の処理は、ステップST15に移行する。
ステップST15では、無線ティーチペンダントTP2のティーチペンダント制御部41は、操作者に操作ボックスOPの運転準備スイッチ21の操作を促す表示をディスプレイ42に表示させる。その後、無線ティーチペンダントTP2の処理は、ロボット制御装置Cからの応答があるまで待機する。
一方、ロボット制御装置Cの処理は、ネットワーク情報を送信した(ステップST21)後、ステップST22に移行している。ステップST22では、ロボット制御装置Cのロボット制御部12は、無線ティーチペンダントTP2が送信した接続要求信号が無線アクセスポイントAPで受信され、その受信された接続要求信号がロボット制御部12に入力されたか否かを判断する。仮に、無線ティーチペンダントTP2においてステップST11〜ステップST14の処理が完了しておらず、接続要求信号の入力がない場合には、ロボット制御装置Cの処理は、ステップST21に戻る。無線ティーチペンダントTP2からの接続要求信号の入力があった場合には(ステップST22においてYES)、ロボット制御装置Cの処理は、ステップST23〜ST25に移行する。
ステップST23では、ロボット制御装置Cのロボット制御部12は、サーボアンプ14をオフにする。これにより、ロボットRへの電力供給は遮断され、ロボットRの動作が停止する。また、ステップST24では、ロボット制御部12は、通信の接続の確立を解除するための接続解除信号を通信制御部15に出力する。通信制御部15は、接続解除信号を受けて、有線ティーチペンダントTP1に対する通信の接続の確立を解除する。通信の接続の確立が解除された以後は、有線ティーチペンダントTP1からの制御信号は無効化されてロボット制御装置Cのロボット制御部12には入力されない。ステップST25では、ロボット制御部12は、タイマ13にカウント値のクリアを指示する。その上で、ロボット制御部12は、タイマ13にカウント値のカウントアップを指示する。なお、ステップST23〜ST25は、それぞれ並行して処理される。ステップST23〜ST25が終了すると、ロボット制御装置Cの処理は、ステップST26に移行する。
ステップST26では、ロボット制御部12は、タイマ13のカウント値を参照して、所定時間内に操作ボックスOPからの接続確認信号(第2接続要求信号)の入力があったか否かを判断する。具体的には、ロボット制御部12は、接続確認信号が入力されないままタイマ13のカウント値が所定値以上になった場合に所定時間内に接続確認信号が入力されなかったと判断する(ステップST26においてNO)。この場合、ロボット制御部12は、ステップST22で入力された接続要求信号を無効化する。そして、その後、ロボット制御装置Cの処理は、ステップST27に移行する。
図7に示すように、ステップST27では、ロボット制御装置Cは、接続要求信号の送信元の無線ティーチペンダントTP2に対して、無線通信の接続の確立を拒否する旨を示す拒否通知を送信する。そして、ロボット制御装置Cのロボット制御部12は、状態遷移処理におけるステップST2(図5参照)に移行する。その後のステップST3〜ST9の処理については、上で説明したのと同様である。
一方、ステップST16では、無線ティーチペンダントTP2は、ロボット制御装置Cが送信した拒否通知を受信する。拒否通知が受信された場合には、無線ティーチペンダントTP2の処理は、ステップST17に移行する。ステップST17では、無線ティーチペンダントTP2のティーチペンダント制御部41は、無線通信の接続の確立ができなかった旨の警告をディスプレイ42に表示させる。所定の時間、警告をディスプレイ42に表示させた後、無線ティーチペンダントTP2の処理はステップST11に戻る。ステップST11以後の処理については、上で説明したのと同様である。
図6に示すように、ロボット制御装置CのステップST26の処理の際、既にステップST24において有線ティーチペンダントTP1に対する通信の接続の確立が解除されている。そのため、ロボット制御部12に対してはいずれのティーチペンダントも通信の接続が確立されていない。このとき、操作者が操作ボックスOPの運転準備スイッチ21を操作すると、操作ボックスOPは、ロボット制御部12に対して接続確認信号を出力する。ロボット制御部12は、タイマ13のカウント値が所定値未満のときに接続確認信号が入力されると、所定時間内に接続確認信号の入力があったと判断する(ステップST26においてYES)。その後、ロボット制御装置Cの処理は、ステップST28に移行する。
図7に示すように、ステップST28では、ロボット制御装置Cのロボット制御部12は、無線通信の確立を許可する旨の許可通知であって接続要求信号の送信元の無線ティーチペンダントTP2宛の通知を、通信制御部15に出力する。通信制御部15は、入力された許可通知を無線アクセスポイントAPに出力し、無線アクセスポイントAPはその許可通知を、接続要求信号の送信元の無線ティーチペンダントTP2に送信する。その後、ロボット制御装置Cの処理は、ステップST29に移行する。
ステップST29では、ロボット制御装置Cのロボット制御部12は、接続要求信号の送信元の無線ティーチペンダントTP2を通信の接続の確立対象とした接続許可信号を通信制御部15に出力する。通信制御部15は、接続許可信号に基づいて、無線ティーチペンダントTP2とロボット制御装置Cのロボット制御部12との無線通信の接続の確立を行う。
一方、ステップST18では、無線ティーチペンダントTP2は、ロボット制御装置Cが送信した許可通知を受信する。許可通知を受信した無線ティーチペンダントTP2は、ロボット制御装置Cのロボット制御部12との間で必要な情報を送受信し、その後、無線ティーチペンダントTP2及びロボット制御装置Cのロボット制御部12との間で無線通信の接続が確立される。
ロボット制御装置Cのロボット制御部12と無線ティーチペンダントTP2との間で無線通信の接続が確立された後、無線ティーチペンダントTP2の処理は、ステップST19に移行する。ステップST19では、無線ティーチペンダントTP2のティーチペンダント制御部41は、無線通信の接続の確立に成功した旨の表示をディスプレイ42に表示させる。その後、無線ティーチペンダントTP2は、キーボード43、イネーブルスイッチ44、非常停止スイッチ45等の操作に基づいて、ロボットRを操作可能な状態となる。
ロボット制御装置Cのロボット制御部12と無線ティーチペンダントTP2との間で無線通信の接続が確立された後、ロボット制御装置Cの処理は、状態遷移処理におけるステップST3(図5参照)に移行する。ただし、有線ティーチペンダントTP1に対する通信の接続の確立は解除されていて、無線ティーチペンダントTP2に対する無線通信の接続が確立している。そのため、無線ティーチペンダントTP2からのイネーブル信号や非常停止信号等の制御信号が有効になっている。また、ロボット制御部12と無線ティーチペンダントTP2との間で無線通信の接続が確立されている状態で、操作ボックスOPの運転準備スイッチ21が操作された場合には、操作ボックスOPは、運転準備信号を出力する。
なお、無線ティーチペンダントTP2に対する無線通信の接続が確立された場合には、図5で示したフローチャートにおいて、「有線TP」と記載されている部分は「無線TP」と読み替えるものとする。その他の処理内容等については上で説明したのと同様である。
ところで、ロボット制御装置Cのロボット制御部12に無線ティーチペンダントTP2からの接続要求信号が入力された(図6におけるステップST22)後、一連の無線通信の接続の確立処理が終了するまでは、新たな接続要求信号の割り込み禁止処理を行う。具体的には、ロボット制御部12に無線ティーチペンダントTP2からの接続要求信号が入力された後、一連の無線通信の接続の確立処理が終了するまでの間に新たな接続要求信号が入力されても、ロボット制御部12は、その新たな接続要求信号は処理せずに破棄する。そして、ロボット制御装置Cは、新たな接続要求信号の送信元の無線ティーチペンダントTP2に、図7に示すステップST27の処理と同様に拒否通知を送信する。拒否通知を受信した無線ティーチペンダントTP2においては、ステップST16及びステップST17の処理が行われて、無線通信の接続の確立ができなかった旨の警告がディスプレイ42に表示される。
また、ステップST23においてサーボアンプ14がオフされた後、ロボット制御装置Cのロボット制御部12と無線ティーチペンダントTP2との間で無線通信の接続が確立されてステップST3に移行するまで、サーボアンプ14はオフされたままであり、ロボットRに対する電力供給が禁止されている。また、この実施形態では、無線通信の接続が確立されても、ステップST3〜ST5を経てロボット制御装置Cの制御装置本体CMが「運転準備状態」に遷移するまでは、ロボットRに対する電力供給が禁止されたままである。
(第1実施形態の作用)
上記のように構成されたロボット制御システムの作用を図8及び図9に従って説明する。
図8に示すように、ロボット制御装置Ca及びロボットRaの組と、ロボット制御装置Cb及びロボットRbの組とが存在していたとする。そして、操作者Hが所持する無線ティーチペンダントTP2が、ロボット制御装置Caの無線通信範囲内であり、且つ、ロボット制御装置Cbの無線通信範囲内でもあるとする。この場合、無線ティーチペンダントTP2のディスプレイ42には接続可能なロボット制御装置としてロボット制御装置Ca及びロボット制御装置Cbの両方が表示される。
ここで、図8に示すように、操作者Hがロボット制御装置Cbに対する無線通信の接続の確立を意図しているにも拘らず、無線ティーチペンダントTP2のキーボード43の誤操作によってロボット制御装置Caが選択される可能性がある。この場合、無線ティーチペンダントTP2からロボット制御装置Caのロボット制御部12に接続要求信号が送信される。その一方で、操作者Hが無線接続の確立を意図しているロボット制御装置Cbには接続要求信号が送信されない。
図9に示すように、操作者Hは、無線ティーチペンダントTP2上で意図しないロボット制御装置Caを選択した後、無線ティーチペンダントTP2のディスプレイ42の表示内容に促されて、元々意図していたロボット制御装置Cbの操作ボックスOPを操作する。したがって、ロボット制御装置Cbにおいては、操作ボックスOPから制御装置本体CMのロボット制御部12に対して接続確認信号が入力される。しかし、ロボット制御装置Cbは、接続要求信号が入力されていない状態である。したがって、ロボット制御装置Cbにおいては、ロボット制御部12から通信制御部15に対して接続許可信号が出力されず、無線ティーチペンダントTP2とロボット制御装置Cbとの間では、無線通信の接続は確立されない。一方、ロボット制御装置Caは、無線ティーチペンダントTP2からの接続要求信号が入力された状態にある。しかし、ロボット制御装置Caは、操作者Hが無線通信の接続を意図していたものではないので、操作ボックスOPが操作されない。そして、ロボット制御装置Caは、無線ティーチペンダントTP2からの接続要求信号が入力された後、所定時間が経過すると当該接続要求信号が無効化される。したがって、無線ティーチペンダントTP2とロボット制御装置Caとの間では、無線通信の接続は確立されない。このように、操作者Hが意図しないロボット制御装置Caを無線通信の接続対象として選択した場合には、いずれのロボット制御装置に対しても、無線通信の接続が確立されない。
操作者Hが無線ティーチペンダントTP2上で意図しないロボット制御装置Caを選択した後、所定時間が経過すると、無線ティーチペンダントTP2のディスプレイ42には、無線通信の接続の確立が許可されなかった旨の警告が表示される。この表示により、操作者Hは、意図していなかったロボット制御装置Caを選択していたことに気付き、一連の無線通信の接続の確立処理をやり直す。
(第1実施形態の特徴)
上記の第1実施形態のロボット制御システムによれば、以下の特徴がある。
(1)上記第1実施形態では、ロボット制御装置Cのロボット制御部12に、無線ティーチペンダントTP2からの接続要求信号及び操作ボックスOPからの接続確認信号の両方が入力されないと、無線ティーチペンダントTP2とロボット制御装置Cのロボット制御部12との間の無線通信の接続が確立されない。したがって、意図しないロボット制御装置Cに対して無線通信の接続が確立される可能性が低くなる。その結果として、意図したロボット制御装置Cのロボット制御部12に対してより確実に無線通信の接続を確立することができる。
(2)上記第1実施形態では、操作ボックスOPの運転準備スイッチ21が操作されることにより、操作ボックスOPから接続確認信号を出力するようにした。操作ボックスOPは制御装置本体CMに対して有線で接続されているため、操作者は、両者の対応関係を明確に把握できる。また、操作者は、操作ボックスOPを操作する際、無線通信の接続の確立を意図したロボット制御装置CやロボットRに相応に近づく必要がある。したがって、操作者が無線通信の接続の確立を意図していないロボット制御装置Cの操作ボックスOPが誤って操作される可能性は低い。すなわち、操作ボックスOPの運転準備スイッチ21を操作者に操作させることにより、無線通信の接続の確立について操作者の意図をより確実に反映できる。
(3)上記第1実施形態では、ロボット制御装置Cに無線ティーチペンダントTP2からの接続要求信号の入力があった後、無線通信の接続が確立されてロボット制御装置Cの制御装置本体CMが「運転準備状態」に遷移するまでは、サーボアンプ14からロボットRへの電力供給が禁止される。したがって、無線ティーチペンダントTP2とロボット制御装置Cとの無線通信の接続の確立処理中に、他のティーチペンダントの操作に基づいてロボットRが動作することがない。
(4)上記第1実施形態では、ロボット制御装置Cに無線ティーチペンダントTP2からの接続要求信号の入力があった後、所定時間内に操作ボックスOPからの接続確認信号が入力されない場合には、入力された接続要求信号が無効化される。このように、接続要求信号の有効時間を限ることで、接続要求信号を送信した無線ティーチペンダントTP2を所持する操作者以外の者が操作ボックスOPを操作して接続確認信号が入力されてしまうことを抑制できる。
(5)上記第1実施形態では、ロボット制御装置Cにおける操作ボックスOPの運転準備スイッチ21が接続確認信号を出力させるためのスイッチとしても機能する。したがって、第1実施形態の無線通信の接続の確立処理を適用するにあたって、ロボット制御装置等に新たにスイッチ等を追加する必要がなく、より低コストで当該確立処理を適用することができる。
(第2実施形態の構成及び無線通信の接続の確立処理)
本発明のロボット制御システムの第2実施形態を説明する。なお、第2実施形態のロボット制御システムにおける各装置の電気的構成や、ロボット制御装置Cの状態遷移処理については第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。また、以下の第2実施形態における無線通信の接続の確立処理に関し、第1実施形態の処理(ステップ)と同じ処理には同一の符号を付し、説明を簡略化する。
先ず、図2に示すように、ロボット制御装置Cにおける操作ボックスOPは、運転準備スイッチ21が操作された場合に、運転準備信号又は第2接続要求信号としての接続待機信号をロボット制御部12に出力する。具体的には、第2実施形態においては、操作ボックスOPの運転準備スイッチ21は、押しボタンスイッチである。そして、運転準備スイッチ21が所定時間(例えば数秒)未満の短押し操作された場合には、操作ボックスOPは、ロボット制御部12に対して運転準備信号を出力する。また、運転準備スイッチ21が所定時間(例えば数秒)以上の長押し操作された場合には、操作ボックスOPは、ロボット制御部12に対して第2接続要求信号としての接続待機信号を出力する。
図10に示すように、ロボット制御装置Cは、電源がオンにされている状態においてはステップST21の処理を行う。ステップST21では、ロボット制御装置Cは、所定時間毎に無線アクセスポイントAPのネットワーク情報を送信する。その後、ロボット制御装置Cの処理は、ステップST31に移行する。
一方、無線ティーチペンダントTP2の電源がオンにされると、無線ティーチペンダントTP2は、ステップST10の処理を行う。ステップST10では、無線ティーチペンダントTP2のティーチペンダント制御部41は、無線通信の接続の確立を要求するロボット制御装置Cにおける操作ボックスOPの運転準備スイッチ21を長押し操作するよう操作者に促す表示をディスプレイ42に表示させる。その後、無線ティーチペンダントTP2の処理は、ステップST11に移行する。
ステップST11では、ティーチペンダント制御部41は、通信可能なロボット制御装置Cの無線アクセスポイントAPを検索する。その後のステップST12では、ティーチペンダント制御部41は、検索された通信可能な無線アクセスポイントAPのネットワーク情報をディスプレイ42に選択可能に表示させる。その後、無線ティーチペンダントTP2の処理は、ステップST13に移行する。
一方、ロボット制御装置Cの処理は、ネットワーク情報を送信した(ステップST21)後、ステップST31に移行している。ステップST31では、ロボット制御装置Cのロボット制御部12は、操作ボックスOPからの接続待機信号(第2接続要求信号)の入力があったか否かを判断する。操作ボックスOPの運転準備スイッチ21が操作されておらず、接続待機信号の入力がない場合には(ステップST31においてNO)、ロボット制御装置Cの処理は、ステップST21に戻る。操作者により操作ボックスOPの運転準備スイッチ21が長押し操作され、操作ボックスOPからの接続待機信号の入力があった場合には(ステップST31においてYES)、ロボット制御部12の処理は、ステップST23〜ST25に移行する。
ステップST23では、ロボット制御装置Cのロボット制御部12はサーボアンプ14をオフにする。ステップST24では、ロボット制御部12は、有線ティーチペンダントTP1に対する通信の接続の確立を解除するための接続解除信号を通信制御部15に出力する。通信制御部15は、接続解除信号を受けて、有線ティーチペンダントTP1に対する通信の接続の確立を解除する。ステップST25では、ロボット制御部12は、タイマ13にカウント値のクリアを指示した上で、タイマ13にカウント値のカウントアップを指示する。その後、ロボット制御装置Cの処理は、ステップST32に移行する。
無線ティーチペンダントTP2の処理は、無線ティーチペンダントTP2のディスプレイ42に通信可能な無線アクセスポイントAPのネットワーク情報が表示された(ステップST12)後、ステップST13に移行している。ステップST13では、ティーチペンダント制御部41は、検索された通信可能な無線アクセスポイントAPのうち、いずれかの無線アクセスポイントAPが選択されたかを判断する。無線アクセスポイントAPが選択されていない場合(ステップST13においてNO)、ティーチペンダント制御部41の処理はステップST10に戻る。操作者が無線ティーチペンダントTP2のキーボード43を操作することにより、ディスプレイ42上の無線アクセスポイントAPが選択された場合(ステップST13においてYES)、無線ティーチペンダントTP2の処理は、ステップST14に移行する。
ステップST14では、無線ティーチペンダントTP2は、選択された無線アクセスポイントAPが設けられているロボット制御装置C宛に接続要求信号(第1接続要求信号)を送信する。その後、無線ティーチペンダントTP2の処理は、ロボット制御装置Cからの応答があるまで待機する。
ロボット制御装置Cの処理は、タイマ13のカウント値のカウントアップが開始された(ステップST25)後、ステップST32に移行している。ステップST32では、ロボット制御装置Cのロボット制御部12は、タイマ13のカウント値を参照して、所定時間内に無線ティーチペンダントTP2からの接続要求信号が入力されたか否かを判断する。具体的には、ロボット制御部12は、接続要求信号が入力されないままタイマ13のカウント値が所定値以上になった場合に、所定時間内に接続要求信号が入力されなかったと判断する(ステップST32においてNO)。この場合、ロボット制御装置Cのロボット制御部12は、ステップST31で入力が確認された接続待機信号を無効化する。その後、状態遷移処理におけるステップST2(図5参照)に移行する。その後のステップST3〜ST9の処理については、上で説明したのと同様である。
ロボット制御装置CのステップST32の処理の際、上述した無線ティーチペンダントTP2におけるステップST14の処理が行われると、無線ティーチペンダントTP2からロボット制御装置Cに接続要求信号が送信され、ロボット制御装置Cに受信される。そして、ロボット制御装置Cが受信した接続要求信号がロボット制御部12に入力される。タイマ13のカウント値が所定値未満のときに接続要求信号がロボット制御部12に入力されると、ロボット制御部12は、所定時間内に接続要求信号の入力があったと判断する(ステップST32においてYES)。その後、ロボット制御装置Cの処理は、図7に示すステップST28に移行する。その後、ロボット制御装置CのステップST28、ステップST29、無線ティーチペンダントTP2におけるステップST18、ステップST19の処理が第1実施形態と同様に行われ、ロボット制御装置Cのロボット制御部12と無線ティーチペンダントTP2との間の無線通信の接続が確立される。
ロボット制御装置Cのロボット制御部12に接続待機信号が入力された(図10におけるステップST31)後、一連の無線通信の接続の確立処理が終了するまでは、新たな接続待機信号の割り込み禁止処理を行う。具体的には、ロボット制御部12に接続待機信号が入力された後、一連の無線通信の接続の確立処理が終了するまでの間に新たな接続待機信号が入力されても、ロボット制御部12は、その新たな接続待機信号は処理せずに破棄する。
ところで、ロボット制御装置Cのロボット制御部12に接続待機信号が入力されてからタイマ13のカウント値が所定値以上になるまでの期間においては接続待機信号が有効であるが、それ以外の期間においては接続待機信号が有効ではない(無効である)。このように接続待機信号が有効でない状態で、無線ティーチペンダントTP2からロボット制御装置Cに接続要求信号が出力されることもあり得る。この場合、ロボット制御装置Cのロボット制御部12の処理は、図7に示すステップST27に移行する。その後、ロボット制御装置CにおけるステップST27、無線ティーチペンダントTP2におけるステップST16、ステップST17の処理が第1実施形態と同様に行われ、無線ティーチペンダントTP2のディスプレイ42には、無線通信の接続の確立ができなかった旨の警告が表示される。
(第2実施形態の特徴)
上記の第2実施形態のロボット制御システムによれば、以下の特徴がある。
(6)上記第2実施形態では、ロボット制御装置Cのロボット制御部12に、操作ボックスOPからの接続待機信号及び無線ティーチペンダントTP2からの接続要求信号の両方が入力されないと、無線ティーチペンダントTP2とロボット制御装置Cのロボット制御部12との間の無線通信の接続が確立されない。したがって、意図しないロボット制御装置Cに対して無線通信の接続が確立される可能性が低くなる。その結果として、意図したロボット制御装置Cのロボット制御部12に対してより確実に無線通信の接続を確立することができる。
(第3実施形態の構成)
本発明のロボット制御システムの第3実施形態の構成を図11及び図12に従って説明する。なお、第3実施形態のロボット制御システムにおける各装置の構成について、第1実施形態と同じ構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図11に示すように、ロボット制御装置Cの制御装置本体CMには、赤外線(例えば波長940〜950nm)を受光することにより信号を無線で受信することが可能な赤外線受光部18が内蔵されている。赤外線受光部18は、制御装置本体CMの筐体の一側面に形成された図示しない赤外線透過窓を介して赤外線を受光する。したがって、赤外線受光部18は、制御装置本体CMの筐体において赤外線透過窓が形成されていない側からの赤外線は受光できない。また、赤外線受光部18は、ロボット制御部12に対して有線で接続され、赤外線通信で受信した信号をロボット制御部12に出力する。
図12に示すように、無線ティーチペンダントTP2のティーチペンダント制御部41の記憶部41cには、その無線ティーチペンダントTP2を特定することができる認証情報が記憶されている。認証情報としては、例えば無線ティーチペンダントTP2に割り振られている固有のMACアドレスや、所定のアルゴリズムによって生成したパスワード等である。
図12に示すように、無線ティーチペンダントTP2には、赤外線を発光することにより信号を無線で送信することが可能な赤外線発光部48が内蔵されている。この赤外線発光部48は、ティーチペンダント制御部41と有線で接続されている。無線ティーチペンダントTP2には、キーボ−ド43の一部として赤外線送信キーが設けられている。この赤外線送信キーが操作されることにより、赤外線発光部48は、記憶部41cに記憶されている無線ティーチペンダントTP2の認証情報を含む赤外線信号を送信する。
無線ティーチペンダントTP2の赤外線発光部48が送信した赤外線信号が、ロボット制御装置Cの赤外線受光部18に受信された場合、赤外線受光部18は、赤外線信号に含まれる無線ティーチペンダントTP2の認証情報を抽出する。そして、赤外線受光部18は、無線通信の接続を確認した旨の信号と認証情報とを含む信号を、接続確認信号(第2接続要求信号)としてロボット制御部12に出力する。
無線ティーチペンダントTP2の赤外線発光部48が発する赤外線の到達距離は、例えば、数メートルから十数メートルである。したがって、無線ティーチペンダントTP2の赤外線発光部48とロボット制御装置Cの赤外線受光部18との間の赤外線通信の通信範囲は、同様に数メートルから十数メートルである。この赤外線による通信範囲は、ロボット制御装置Cの無線アクセスポイントAPの通信範囲である数十メートルから百数十メートルよりも狭い。
(第3実施形態における無線通信の接続の確立処理)
次に、第3実施形態における無線ティーチペンダントTP2とロボット制御装置Cとの無線通信の接続の確立処理について、図13に従って説明する。なお、以下の第3実施形態における無線通信の接続の確立処理に関し、第1実施形態の処理(ステップ)と同じ処理には同一の符号を付し、説明を簡略化又は省略する。
図13に示すように、ロボット制御装置Cは、電源がオンにされている状態では、ステップST21において所定時間毎に無線アクセスポイントAPのネットワーク情報を送信する。その後、ロボット制御装置Cの処理は、ステップST22に移行する。
一方、無線ティーチペンダントTP2の電源がオンにされると、無線ティーチペンダントTP2は、ステップST11〜ST13の処理を行う。これらの処理については第1実施形態と同様である。その後、無線ティーチペンダントTP2の処理はステップST14に移行する。
ステップST14では、無線ティーチペンダントTP2は、選択された無線アクセスポイントAPが設けられているロボット制御装置C宛に、無線通信の接続の確立を要求する旨の信号とティーチペンダント制御部41の記憶部41cに記憶されている認証情報とを含む接続要求信号(第1接続要求信号)を送信する。なお、接続要求信号に含まれる認証情報は、第3実施形態では照合情報として処理される。その後、無線ティーチペンダントTP2の処理は、ステップST41に移行する。
ステップST41では、無線ティーチペンダントTP2のティーチペンダント制御部41は、無線ティーチペンダントTP2のキーボード43の操作により赤外線信号を送信することを要求する旨の表示をディスプレイ42に表示させる。その後、無線ティーチペンダントTP2の処理は、ステップST42に移行する。
ステップST42では、ティーチペンダント制御部41は、キーボード43において赤外線信号を送信するための操作がされたか否かを判断する。当該操作がされていないと判断した場合には(ステップST42においてNO)、ティーチペンダント制御部41の処理はステップST41に戻る。キーボード43において赤外線信号を送信するための操作がされたと判断した場合には(ステップST42においてYES)、ティーチペンダント制御部41の処理は、ステップST43に移行する。
ステップST43では、ティーチペンダント制御部41は、赤外線発光部48に赤外線信号を送信させる。なお、赤外線信号には、ティーチペンダント制御部41の記憶部41cに記憶されている認証情報が含まれている。その後、ティーチペンダント制御部41の処理は、ロボット制御装置Cからの応答があるまで待機する。
一方、ロボット制御装置Cの処理は、ネットワーク情報を送信した(ステップST21)後、ステップST22に移行している。ステップST22では、ロボット制御装置Cのロボット制御部12は、無線ティーチペンダントTP2が送信した接続要求信号が無線アクセスポイントAPで受信され、その受信された接続要求信号がロボット制御部12に入力されたか否かを判断する。接続要求信号の入力がない場合には、ロボット制御装置Cの処理は、ステップST21に戻る。無線ティーチペンダントTP2からの接続要求信号の入力があった場合には(ステップST22においてYES)、ロボット制御装置Cは、ステップST23〜ST25の処理を行う。これらの処理については第1実施形態と同様である。その後、ロボット制御装置Cの処理はステップST26に移行する。
ステップST26では、ロボット制御部12は、タイマ13のカウント値を参照して、所定時間内に赤外線受光部18からの接続確認信号(第2接続要求信号)の入力があったか否かを判断する。具体的には、ステップST43において無線ティーチペンダントTP2が送信した赤外線信号がロボット制御装置Cの赤外線受光部18で受信されると、赤外線受光部18は、無線通信の接続の確立を確認する旨を示す信号と赤外線信号内の認証情報とを含む接続確認信号を出力し、その接続確認信号がロボット制御部12に入力される。
ロボット制御部12は、上記の接続確認信号が入力されないままタイマ13のカウント値が所定値以上になった場合に、所定時間内に接続確認信号が入力されなかったと判断する(ステップST26においてNO)。この場合、ロボット制御部12は、ステップST22で入力された接続要求信号を無効化する。そして、その後、ロボット制御装置Cの処理は、ステップST27の処理を経て状態遷移処理におけるステップST2に移行する。また、無線ティーチペンダントTP2の処理は、ステップST16、ST17の処理を経てステップST11に移行する。これらステップST27、ST16、ST17の処理は、第1実施形態と同様(図7参照)である。
ロボット制御部12は、タイマ13のカウント値が所定値未満のときに上記の接続確認信号が入力されると、所定時間内に接続確認信号の入力があったと判断する(ステップST26においてYES)。その後、ロボット制御装置Cの処理は、ステップST35に移行する。
ステップST35では、ロボット制御部12は、ステップST22で入力された接続要求信号に含まれる認証情報(照合情報)と、ステップST26で入力された接続確認信号に含まれる認証情報とを照合し、これらの認証情報が一致(適合)するか否かを判断する。一致しない場合には(ステップST35においてNO)、ロボット制御装置Cの処理は、ステップST27の処理を経て状態遷移処理におけるステップST2に移行する(図7参照)。また、一致しない場合には、無線ティーチペンダントTP2の処理は、ステップST16、ST17の処理を経てステップST11に移行する(図7参照)。これらステップST27、ST16、ST17の処理は、第1実施形態と同様である。
ステップST35において認証情報が一致すると判断した場合には(ステップST35においてYES)、ロボット制御装置Cの処理は、図7に示すステップST28に移行する。その後、ロボット制御装置CのステップST28、ステップST29、無線ティーチペンダントTP2におけるステップST18、ステップST19の処理が第1実施形態と同様に行われ、ロボット制御装置Cのロボット制御部12と無線ティーチペンダントTP2との間の無線通信の接続が確立される。
なお、ロボット制御装置Cのロボット制御部12に無線ティーチペンダントTP2からの接続要求信号が入力された(図13におけるステップST22)後、一連の無線通信の接続の確立処理が終了するまでは、新たな接続要求信号の割り込み禁止処理を行う。この割り込み禁止処理については、第1実施形態と同様である。
(第3実施形態の特徴)
上記の第3実施形態のロボット制御システムによれば、以下の特徴がある。
(7)上記第3実施形態では、ロボット制御装置Cのロボット制御部12に、無線ティーチペンダントTP2からの接続要求信号、及び赤外線信号の受信に基づく赤外線受光部18からの接続確認信号の両方が入力されないと、無線ティーチペンダントTP2とロボット制御装置Cのロボット制御部12との間の無線通信の接続が確立されない。したがって、意図しないロボット制御装置Cに対して無線通信の接続が確立される可能性が低くなる。その結果として、意図したロボット制御装置Cのロボット制御部12に対してより確実に無線通信の接続を確立することができる。
(8)上記第3実施形態では、赤外線通信の通信範囲内であれば、無線ティーチペンダントTP2の位置がロボット制御装置Cから離れていても無線通信の接続を確立でき、利便性が高い。その一方で、赤外線通信の通信範囲(赤外線の到達距離)は比較的に狭い上、赤外線は障害物等の存在によって容易に遮られてしまう。したがって、無線ティーチペンダントTP2を所持する操作者は、ロボット制御装置Cから過度に離れてはおらず、また、ロボット制御装置Cを見通せる位置にいるはずである。その結果、操作者が無線通信の接続の確立を意図していないロボット制御装置Cの赤外線受光部18に対して赤外線信号を送信しようとする可能性は低い。すなわち、無線ティーチペンダントTP2の赤外線発光部から赤外線信号を送信させる操作を操作者に行わせることにより、無線通信の接続の確立について操作者の意図をより確実に反映できる。
(9)上記第3実施形態では、無線ティーチペンダントTP2からの無線通信による接続要求信号に含まれる認証情報(照合情報)と無線ティーチペンダントTP2からの赤外線通信による接続確認信号に含まれる認証情報とを照合し、両者が一致しない場合には無線通信の接続が確立されない。すなわち、接続要求信号を送信した無線ティーチペンダントTP2と接続確認信号を送信した無線ティーチペンダントTP2とが同一の無線ティーチペンダントTP2である場合に無線通信の接続が確立される。したがって、他の無線ティーチペンダントTP2が送信した赤外線信号を受信することにより、意図せずに他の無線ティーチペンダントTP2と無線通信の接続が確立してしまうことがない。
(第4実施形態の構成)
本発明のロボット制御システムの第4実施形態の構成を図14及び図15に従って説明する。なお、第4実施形態のロボット制御システムにおける各装置の構成について、第1実施形態と同じ構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図14に示すように、ロボット制御装置Cにおいて制御装置本体CMには、近距離での無線通信を行う近距離無線通信部19が搭載されている。近距離無線通信部19は、一部分が制御装置本体CMの外部に露出していて、この外部に露出している部分において無線通信を行う。近距離無線通信部19は、例えばNFC(Near Field Communication)と呼ばれる規格で無線通信を行い、その通信範囲は数センチメートルから十数センチメートルである。近距離無線通信部19は、ロボット制御部12に有線で接続されていて、受信した信号をロボット制御部12に出力し、また、ロボット制御部12から入力された信号を送信する。
図15に示すように、無線ティーチペンダントTP2には、近距離での無線通信を行う近距離無線通信部49が搭載されている。近距離無線通信部49は、一部分が無線ティーチペンダントTP2の外部に露出していて、この外部に露出している部分において無線通信を行う。無線ティーチペンダントTP2の近距離無線通信部49は、ロボット制御装置Cの近距離無線通信部19と同様の規格、例えばNFC規格による無線通信を行う。近距離無線通信部49は、ティーチペンダント制御部41に有線で接続されていて、受信した信号をティーチペンダント制御部41に出力し、また、ティーチペンダント制御部41から入力された信号を送信する。
図15に示すように、第4実施形態のロボット制御システムは、例えば、社員証や入構証などとしても用いられるIDカード50を含んで構築されている。IDカード50には、認証デバイスとして近距離での無線通信を行うNFCチップ51が内蔵されている。NFCチップ51は、信号の送受信を担うアンテナ及び情報を記憶するメモリを有する。NFCチップ51のメモリには、当該NFCチップ51を特定するための認証情報が記憶されている。この認証情報は、例えば、NFCチップ51に割り振られているMACアドレスや固有の記号番号などである。
ロボット制御装置Cの近距離無線通信部19にIDカード50をかざすなどの提示行為により近距離無線通信部19の通信範囲内にNFCチップ51が位置すると、NFCチップ51は近距離無線通信部19に認証情報を送信する。近距離無線通信部19は、送信された認証情報を受信することにより、NFCチップ51の認証情報を読み取る。同様に、無線ティーチペンダントTP2の近距離無線通信部49は、NFCチップ51から送信された認証情報を受信することにより、NFCチップ51の認証情報を読み取る。
(第4実施形態における無線通信の接続の確立処理)
次に、第4実施形態における無線ティーチペンダントTP2とロボット制御装置Cとの無線通信の接続の確立処理について、図16に従って説明する。なお、以下の第4実施形態における無線通信の接続の確立処理に関し、第1〜第3実施形態の処理(ステップ)と同じ処理には同一の符号を付し、説明を簡略化する。
図16に示すように、ロボット制御装置Cは、電源がオンにされている状態では、ステップST21において所定時間毎に無線アクセスポイントAPのネットワーク情報を送信する。その後、ロボット制御装置Cの処理は、ステップST22に移行する。
一方、無線ティーチペンダントTP2の電源がオンにされると、無線ティーチペンダントTP2は、ステップST11〜ST13の処理を行う。これらの処理については第1実施形態と同様である。その後、無線ティーチペンダントTP2の処理はステップST45に移行する。
ステップST45では、無線ティーチペンダントTP2のティーチペンダント制御部41は、無線ティーチペンダントTP2の近距離無線通信部49に対するIDカード50の提示を要求する旨の表示を、ディスプレイ42に表示させる。その後、無線ティーチペンダントTP2の処理は、ステップST46に移行する。
ステップST46では、ティーチペンダント制御部41は、認証情報を読み取ったか否かを判断する。具体的には、ティーチペンダント制御部41は、IDカード50のNFCチップ51が送信した認証情報が近距離無線通信部49に受信され、その受信した認証情報がティーチペンダント制御部41に入力されたか否かを判断する。認証情報を読み取っていないと判断した場合には(ステップST46においてNO)、無線ティーチペンダントTP2の処理はステップST45に戻る。認証情報を読み取ったと判断した場合には(ステップST46においてYES)、無線ティーチペンダントTP2の処理はステップST14に移行する。
ステップST14では、ティーチペンダント制御部41は、ステップST13において選択された無線アクセスポイントAPが設けられているロボット制御装置C宛に、無線通信の接続の確立を要求する旨の信号とステップST46において読み取った認証情報とを含む接続要求信号(第1接続要求信号)を送信する。なお、接続要求信号に含まれる認証情報は、第4実施形態では照合情報として処理される。その後、無線ティーチペンダントTP2の処理は、ステップST47に移行する。
ステップST47では、無線ティーチペンダントTP2のティーチペンダント制御部41は、ロボット制御装置Cの近距離無線通信部19に対するIDカード50の提示を要求する旨の表示を、ディスプレイ42に表示させる。その後、ティーチペンダント制御部41の処理は、ロボット制御装置Cからの応答があるまで待機する。
一方、ロボット制御装置Cの処理は、ネットワーク情報を送信した(ステップST21)後、ステップST22に移行している。ステップST22では、ロボット制御装置Cのロボット制御部12は、無線ティーチペンダントTP2が送信した接続要求信号が無線アクセスポイントAPで受信され、その受信された接続要求信号がロボット制御部12に入力されたか否かを判断する。接続要求信号の入力がない場合には(ステップST22においてNO)、ロボット制御装置Cの処理は、ステップST21に戻る。無線ティーチペンダントTP2からの接続要求信号の入力があった場合には(ステップST22においてYES)、ロボット制御装置Cは、ステップST23〜ST25の処理を行う。これらの処理については第1実施形態と同様である。その後、ロボット制御装置Cの処理はステップST26に移行する。
ステップST26では、ロボット制御部12は、タイマ13のカウント値を参照して、所定時間内に近距離無線通信部19からの接続確認信号(第2接続要求信号)の入力があったか否かを判断する。具体的には、無線ティーチペンダントTP2のステップST47におけるディスプレイ42の表示に応じて、ロボット制御装置Cにおける近距離無線通信部19の通信範囲内にIDカード50のNFCチップ51が位置すると、NFCチップ51は近距離無線通信部19に認証情報を送信する。そして、近距離無線通信部19は、認証情報を受信すると、その認証情報と無線通信の接続の確立を確認する旨を示す信号とを含む接続確認信号を出力する。出力された接続確認信号は、ロボット制御部12に入力される。
ロボット制御部12は、上記の接続確認信号が入力されないままタイマ13のカウント値が所定値以上になった場合に所定時間内に接続確認信号が入力されなかったと判断する(ステップST26においてNO)。この場合、ロボット制御部12は、ステップST22で入力された接続要求信号を無効化する。そして、その後、ロボット制御装置Cの処理は、ステップST27の処理を経て状態遷移処理におけるステップST2に移行する(図7参照)。また、無線ティーチペンダントTP2の処理は、ステップST16、ST17の処理を経てステップST11に移行する(図7参照)。これらステップST27、ST16、ST17の処理は、第1実施形態と同様である。
ロボット制御部12は、タイマ13のカウント値が所定値未満のときにロボット制御部12に上記の接続確認信号が入力されると、所定時間内に接続確認信号の入力があったと判断する(ステップST26においてYES)。その後、ロボット制御装置Cの処理は、ステップST35に移行する。
ステップST35では、ロボット制御部12は、ステップST22で入力された接続要求信号に含まれる認証情報(照合情報)とステップST26で入力された接続確認信号に含まれる認証情報とを照合して、これら認証情報が一致(適合)するか否かを判断する。一致しない場合には(ステップST35においてNO)、ロボット制御装置Cの処理は、ステップST27の処理を経て状態遷移処理におけるステップST2に移行する(図7参照)。また、無線ティーチペンダントTP2の処理は、ステップST16、ST17の処理を経てステップST11に移行する(図7参照)。これらステップST27、ST16、ST17の処理は、第1実施形態と同様である。
ステップST35において認証情報が一致すると判断した場合には(ステップST35においてYES)、ロボット制御装置Cの処理は、図7に示すステップST28に移行する。その後、ロボット制御装置CのステップST28、ステップST29、無線ティーチペンダントTP2におけるステップST18、ステップST19の処理が第1実施形態と同様に行われ、ロボット制御装置Cのロボット制御部12と無線ティーチペンダントTP2との間の無線通信の接続が確立される。
なお、ロボット制御装置Cのロボット制御部12に無線ティーチペンダントTP2からの接続要求信号が入力された(図16におけるステップST22)後、一連の無線通信の接続の確立処理が終了するまでは、新たな接続要求信号の割り込み禁止処理を行う。この割り込み禁止処理については、第1実施形態と同様である。
(第4実施形態の特徴)
上記の第4実施形態のロボット制御システムによれば、以下の特徴がある。
(10)上記第4実施形態では、ロボット制御装置Cのロボット制御部12に、無線ティーチペンダントTP2からの接続要求信号、及び近距離無線通信部19からの接続確認信号の両方が入力されないと、無線ティーチペンダントTP2とロボット制御装置Cのロボット制御部12との間の無線通信の接続が確立されない。したがって、意図しないロボット制御装置Cに対して無線通信の接続が確立される可能性が低くなる。その結果として、意図したロボット制御装置Cのロボット制御部12に対してより確実に無線通信の接続を確立することができる。
(11)上記第4実施形態では、無線ティーチペンダントTP2からの無線通信による接続要求信号に含まれる認証情報(照合情報)と、ロボット制御装置Cの近距離無線通信部19からの接続確認信号に含まれる認証情報とを照合し、両者が一致(適合)しない場合には無線通信の接続が確立されない。すなわち、無線ティーチペンダントTP2の近距離無線通信部49及びロボット制御装置Cの近距離無線通信部19が、同一のIDカード50のNFCチップ51から認証情報を読み取ったことを一条件として、無線通信の接続が確立される。したがって、無線ティーチペンダントTP2にIDカード50のNFCチップ51の認証情報を読み込ませた後、異なるIDカード50を持つ他人の操作によって意図せずに無線通信の接続が確立してしまうことがない。
(第5実施形態の構成及び無線通信の接続の確立処理)
本発明のロボット制御システムの第5実施形態を説明する。なお、第5実施形態のロボット制御システムにおける各装置の電気的構成は第4実施形態と同様であるため、説明を省略する。また、以下の第5実施形態における無線通信の接続の確立処理に関し、第1〜第4実施形態の処理(ステップ)と同じ処理には同一の符号を付し、説明を簡略化する。
図17に示すように、ロボット制御装置Cは、電源がオンにされている状態においてはステップST21の処理を行う。ステップST21では、ロボット制御装置Cは、所定時間毎に無線アクセスポイントAPのネットワーク情報を送信する。その後、ロボット制御装置Cの処理は、ステップST31に移行する。
一方、無線ティーチペンダントTP2の電源がオンにされると、無線ティーチペンダントTP2は、ステップST47の処理を行う。ステップST47では、無線ティーチペンダントTP2のティーチペンダント制御部41は、ロボット制御装置Cの近距離無線通信部19に対するIDカード50の提示を要求する旨の表示を、ディスプレイ42に表示させる。その後、無線ティーチペンダントTP2は、ステップST11及びステップST12の処理を行う。これらの処理については、第1実施形態と同様である。
ロボット制御装置Cの処理は、ネットワーク情報を送信した(ステップST21)後、ステップST31に移行している。ステップST31では、ロボット制御装置Cのロボット制御部12は、接続待機信号(第2接続要求信号)の入力があったか否かを判断する。具体的には、ロボット制御装置Cの近距離無線通信部19の通信範囲内にIDカード50のNFCチップ51が位置すると、近距離無線通信部19はNFCチップ51の認証情報を受信する。近距離無線通信部19は、認証情報を受信した場合に、その認証情報と無線通信の接続の確立を待機する旨を示す信号とを含む接続待機信号をロボット制御部12に出力する。接続待機信号の入力がない場合には(ステップST31においてNO)、ロボット制御装置Cの処理は、ステップST21に戻る。接続待機信号の入力があった場合には(ステップST31においてYES)、ロボット制御部12は、ステップST23〜ST25の処理を行う。これらの処理については第1実施形態と同様である。
一方、無線ティーチペンダントTP2の処理は、無線ティーチペンダントTP2のディスプレイ42に通信可能な無線アクセスポイントAPのネットワーク情報が表示された(ステップST12)後、ステップST13に移行している。ステップST13では、ティーチペンダント制御部41は、検索された通信可能な無線アクセスポイントAPのうち、いずれかの無線アクセスポイントAPが選択されたかを判断する。無線アクセスポイントAPが選択されていない場合(ステップST13においてNO)、ティーチペンダント制御部41の処理はステップST47に戻る。操作者が無線ティーチペンダントTP2のキーボード43を操作することにより、ディスプレイ42上の無線アクセスポイントAPが選択された場合(ステップST13においてYES)、無線ティーチペンダントTP2の処理は、ステップST45に移行する。
ステップST45では、無線ティーチペンダントTP2のティーチペンダント制御部41は、無線ティーチペンダントTP2の近距離無線通信部49に対するIDカード50の提示を要求する旨の表示を、ディスプレイ42に表示させる。その後、無線ティーチペンダントTP2の処理は、ステップST46に移行する。
ステップST46では、ティーチペンダント制御部41は、認証情報を読み取ったか否かを判断する。具体的には、ティーチペンダント制御部41は、IDカード50のNFCチップ51が送信した認証情報が近距離無線通信部49に受信され、その受信した認証情報がティーチペンダント制御部41に入力されたか否かを判断する。認証情報を読み取っていないと判断した場合には(ステップST46においてNO)、無線ティーチペンダントTP2の処理はステップST45に戻る。認証情報を読み取ったと判断した場合には(ステップST46においてYES)、無線ティーチペンダントTP2の処理はステップST14に移行する。
ステップST14では、ティーチペンダント制御部41は、ステップST13において選択された無線アクセスポイントAPが設けられているロボット制御装置C宛に、無線通信の接続の確立を要求する旨の信号とステップST46で読み取った認証情報とを含む接続要求信号(第1接続要求信号)を送信する。なお、接続要求信号に含まれる認証情報は、第5実施形態では照合情報として処理される。その後、ティーチペンダント制御部41の処理は、ロボット制御装置Cからの応答があるまで待機する。
ロボット制御装置Cの処理は、タイマ13のカウント値のカウントアップが開始された(ステップST25)後、ステップST32に移行している。ステップST32では、ロボット制御装置Cのロボット制御部12は、タイマ13のカウント値を参照して、所定時間内に無線ティーチペンダントTP2からの接続要求信号が入力されたか否かを判断する。具体的には、無線ティーチペンダントTP2におけるステップST14の処理が行われると、無線ティーチペンダントTP2からロボット制御装置Cに接続要求信号が送信され、ロボット制御装置Cに受信される。ロボット制御装置Cが受信した接続要求信号はロボット制御部12に入力される。
ロボット制御部12は、上記の接続要求信号が入力されないままタイマ13のカウント値が所定値以上になった場合に所定時間内に接続要求信号が入力されなかったと判断する(ステップST32においてNO)。この場合、ロボット制御装置Cのロボット制御部12は、ステップST31で入力が確認された接続待機信号を無効化する。そして、その後、状態遷移処理におけるステップST2(図5参照)に移行する。その後のステップST3〜ST9の処理については、第1実施形態と同様である。
ロボット制御部12は、タイマ13のカウント値が所定値未満のときに、ロボット制御部12に上記の接続要求信号が入力されると、所定時間内に接続要求信号の入力があったと判断する(ステップST32においてYES)。その後、ロボット制御部12の処理は、ステップST35に移行する。
ステップST35では、ロボット制御部12は、ステップST32で入力された接続要求信号に含まれる認証情報(照合情報)とステップST31で入力された接続待機信号に含まれる認証情報とを照合して、認証情報が一致(適合)するか否かを判断する。一致しない場合には(ステップST35においてNO)、ロボット制御装置Cの処理は、ステップST27の処理を経て状態遷移処理におけるステップST2に移行する(図7参照)。また、無線ティーチペンダントTP2の処理は、ステップST16、ST17の処理を経てステップST11に移行する(図7参照)。これらステップST27、ST16、ST17の処理は、第1実施形態と同様である。
ステップST35において認証情報が一致すると判断した場合には(ステップST35においてYES)、ロボット制御装置Cの処理は、図7に示すステップST28に移行する。その後、ロボット制御装置CのステップST28、ステップST29、無線ティーチペンダントTP2におけるステップST18、ステップST19の処理が第1実施形態と同様に行われ、ロボット制御装置Cのロボット制御部12と無線ティーチペンダントTP2との間の無線通信の接続が確立される。
なお、ロボット制御装置Cのロボット制御部12に接続待機信号が入力された(図17におけるステップST31)後、一連の無線通信の接続の確立処理が終了するまでは、新たな接続待機信号の割り込み禁止処理を行う。この割り込み禁止処理については第2実施形態と同様である。
また、ステップST32においてタイマ13のカウント値が所定値以上になって以後は、接続待機信号が無効化されている。このようなときに、無線ティーチペンダントTP2からロボット制御装置Cに接続要求信号が出力されると、ロボット制御装置Cのロボット制御部12の処理は、図7に示すステップST27に移行する。その後、ロボット制御装置CにおけるステップST27、無線ティーチペンダントTP2におけるステップST16、ステップST17の処理が第1実施形態と同様に行われ、無線ティーチペンダントTP2のディスプレイ42には、無線通信の接続の確立ができなかった旨の警告が表示される。
(第5実施形態の特徴)
上記の第5実施形態のロボット制御システムによれば、以下の特徴がある。
(12)上記第5実施形態では、ロボット制御装置Cのロボット制御部12に、近距離無線通信部19からの接続待機信号、無線ティーチペンダントTP2からの接続要求信号及びの両方が入力されないと、無線ティーチペンダントTP2とロボット制御装置Cのロボット制御部12との間の無線通信の接続が確立されない。したがって、意図しないロボット制御装置Cに対して無線通信の接続が確立される可能性が低くなる。その結果として、意図したロボット制御装置Cのロボット制御部12に対してより確実に無線通信の接続を確立することができる。
(13)上記第5実施形態では、無線ティーチペンダントTP2からの無線通信による接続要求信号に含まれる認証情報(照合情報)とロボット制御装置Cの近距離無線通信部19からの接続待機信号に含まれる認証情報とを照合し、両者が一致(適合)しない場合には無線通信の接続が確立されない。すなわち、無線ティーチペンダントTP2の近距離無線通信部49及びロボット制御装置Cの近距離無線通信部19が、同一のIDカード50のNFCチップ51から認証情報を読み取ったことを一条件として、無線通信の接続が確立される。したがって、ロボット制御装置CにIDカード50のNFCチップの認証情報を読み込ませた後、異なるIDカード50を持つ他人の操作によって意図せずに無線通信の接続が確立してしまうことがない。
(第6実施形態の構成)
本発明のロボット制御システムの第6実施形態の構成を図18及び図19に従って説明する。なお、第6実施形態のロボット制御システムにおける各装置の構成について、第1実施形態と同じ構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図18に示すように、ロボット制御装置Cは、無線ティーチペンダントTP2を載置することができる載置台60を有する。載置台60は、制御装置本体CMの筐体とは別体で形成されている。載置台60には、例えば、無線ティーチペンダントTP2の外形に合わせた窪みが形成されており、この窪みに無線ティーチペンダントTP2がはめ込まれることにより無線ティーチペンダントTP2が載置できるようになっている。
図18に示すように、載置台60の内部には、近距離での無線通信を行う近距離無線通信部61が搭載されている。近距離無線通信部61は、例えばNFC規格による無線通信を行う。近距離無線通信部61は、制御装置本体CMのロボット制御部12と有線で接続されていて、受信した信号をロボット制御部12に出力し、また、ロボット制御部12から入力された信号を送信する。近距離無線通信部61は、載置台60に載置された無線ティーチペンダントTP2に対して無線通信ができるように、その搭載位置が設定されている。
図18に示すように、ロボット制御装置Cにおいてロボット制御部12の記憶部12cには、当該ロボット制御装置Cに対して無線通信の接続確立が許可されている無線ティーチペンダントTP2の認証情報が記憶されている。ロボット制御部12の記憶部12cに記憶されている認証情報は、第6実施形態では照合情報として処理される。
図19に示すように、無線ティーチペンダントTP2には、近距離での無線通信を行うNFCチップ71が内蔵されている。NFCチップ71は、信号の送受信を担うアンテナ及び情報を記憶するメモリを有する。NFCチップ71のメモリには、当該NFCチップ71が搭載されている無線ティーチペンダントTP2を特定するための認証情報が記憶されている。この認証情報は、例えば、無線ティーチペンダントTP2に割り振られているMACアドレスや固有の記号番号などである。
(第6実施形態における無線通信の接続の確立処理)
次に、第6実施形態における無線ティーチペンダントTP2とロボット制御装置Cとの無線通信の接続の確立処理について、図20に従って説明する。なお、以下の第6実施形態における無線通信の接続の確立処理に関し、第1〜第5実施形態の処理(ステップ)と同じ処理には同一の符号を付し、説明を簡略化又は省略する。
図20に示すように、ロボット制御装置Cは、電源がオンにされている状態では、ステップST21において所定時間毎に無線アクセスポイントAPのネットワーク情報を送信する。その後、ロボット制御装置Cの処理は、ステップST22に移行する。
一方、無線ティーチペンダントTP2の電源がオンにされると、無線ティーチペンダントTP2は、ステップST11〜ST13の処理を行う。これらの処理については第1実施形態と同様である。その後、無線ティーチペンダントTP2の処理はステップST14に移行する。
ステップST14では、無線ティーチペンダントTP2は、選択された無線アクセスポイントAPが設けられているロボット制御装置C宛に接続要求信号(第1接続要求信号)を送信する。その後、無線ティーチペンダントTP2の処理は、ステップST51に移行する。
ステップST51では、無線ティーチペンダントTP2のティーチペンダント制御部41は、無線ティーチペンダントTP2を、ロボット制御装置Cの載置台60に載置することを要求する旨の表示をディスプレイ42に表示させる。その後、ティーチペンダント制御部41の処理は、ロボット制御装置Cからの応答があるまで待機する。
一方、ロボット制御装置Cの処理は、ネットワーク情報を送信した(ステップST21)後、ステップST22に移行している。ステップST22では、ロボット制御装置Cのロボット制御部12は、無線ティーチペンダントTP2が送信した接続要求信号が無線アクセスポイントAPで受信され、その受信された接続要求信号がロボット制御部12に入力されたか否かを判断する。接続要求信号の入力がない場合には、ロボット制御装置Cの処理は、ステップST21に戻る。無線ティーチペンダントTP2からの接続要求信号の入力があった場合には(ステップST22においてYES)、ロボット制御装置Cは、ステップST23〜ST25の処理を行う。これらの処理については第1実施形態と同様である。その後、ロボット制御装置Cの処理はステップST26に移行する。
ステップST26では、ロボット制御部12は、タイマ13のカウント値を参照して、所定時間内に載置台60の近距離無線通信部61からの接続確認信号(第2接続要求信号)の入力があったか否かを判断する。具体的には、無線ティーチペンダントTPのステップST51におけるディスプレイ42の表示に応じて、ロボット制御装置Cにおける載置台60に無線ティーチペンダントTP2が載置されると、近距離無線通信部61の通信範囲内に無線ティーチペンダントTP2のNFCチップ71が位置することになる。このとき、無線ティーチペンダントTP2のNFCチップ71は、載置台60の近距離無線通信部61に認証情報を送信する。そして、近距離無線通信部61は、認証情報を受信すると、その認証情報と無線通信の接続の確立を確認する旨を示す信号とを含む接続確認信号を出力する。出力された接続確認信号は、ロボット制御部12に入力される。
ロボット制御部12は、上記の接続確認信号が入力されないままタイマ13のカウント値が所定値以上になった場合に所定時間内に接続確認信号が入力されなかったと判断する(ステップST26においてNO)。この場合、ロボット制御部12は、ステップST22で入力された接続要求信号を無効化する。そして、その後、ロボット制御装置Cの処理は、ステップST27の処理を経て状態遷移処理におけるステップST2に移行する(図7参照)。また、無線ティーチペンダントTP2の処理は、ステップST16、ST17の処理を経てステップST11に移行する(図7参照)。これらステップST27、ST16、ST17の処理は、第1実施形態と同様である。
ロボット制御部12は、タイマ13のカウント値が所定値未満のときにロボット制御部12に接続確認信号が入力されると、所定時間内に接続確認信号の入力があったと判断する(ステップST26においてYES)。その後、ロボット制御装置Cの処理は、ステップST35に移行する。
ステップST35では、ロボット制御部12は、ロボット制御部12の記憶部12cに記憶されている認証情報(照合情報)とステップST26で入力された接続確認信号に含まれる認証情報とを照合して、これら認証情報が一致(適合)するか否かを判断する。一致しない場合には(ステップST35においてNO)、ロボット制御装置Cの処理は、ステップST27の処理を経て状態遷移処理におけるステップST2に移行する(図7参照)。また、無線ティーチペンダントTP2の処理は、ステップST16、ST17の処理を経てステップST11に移行する(図7参照)。これらステップST27、ST16、ST17の処理は、第1実施形態と同様である。
ステップST35において認証情報が一致すると判断した場合には(ステップST35においてYES)、ロボット制御装置Cの処理は、図7に示すステップST28に移行する。その後、ロボット制御装置CのステップST28、ステップST29、無線ティーチペンダントTP2におけるステップST18、ステップST19の処理が第1実施形態と同様に行われ、ロボット制御装置Cのロボット制御部12と無線ティーチペンダントTP2との間の無線通信の接続が確立される。
なお、ロボット制御装置Cのロボット制御部12に無線ティーチペンダントTP2からの接続要求信号が入力された(図20におけるステップST22)後、一連の無線通信の接続の確立処理が終了するまでは、新たな接続要求信号の割り込み禁止処理を行う。この割り込み禁止処理については、第1実施形態と同様である。
(第6実施形態の特徴)
上記の第6実施形態のロボット制御システムによれば、以下の特徴がある。
(14)上記第6実施形態では、ロボット制御装置Cのロボット制御部12に、無線ティーチペンダントTP2からの接続要求信号、及び載置台60の近距離無線通信部61からの接続確認信号の両方が入力されないと、無線ティーチペンダントTP2とロボット制御装置Cのロボット制御部12との間の無線通信の接続が確立されない。したがって、意図しないロボット制御装置Cに対して無線通信の接続が確立される可能性が低くなる。その結果として、意図したロボット制御装置Cのロボット制御部12に対してより確実に無線通信の接続を確立することができる。
(15)上記第6実施形態では、無線ティーチペンダントTP2からの接続要求信号に含まれる認証情報とロボット制御部12の記憶部12cに記憶されている認証情報(照合情報)とを照合し、両者が一致(適合)しない場合には無線通信の接続が確立されない。すなわち、予めロボット制御装置Cに記憶(登録)されている無線ティーチペンダントTP2のみがロボット制御装置Cに対して無線通信の接続の確立が可能である。したがって、意図しないロボット制御装置Cに対して無線通信の接続が確立されてしまうことを、より抑制できる。
(変更例)
上記各実施形態は、以下のように変更してもよい。また、各変更例を適宜組み合わせて適用してもよい。
・ ロボット制御装置Cの状態遷移処理は、例えばロボットRの構成や作業内容などに応じて、適宜変更できる。例えば、初期診断が正常であると判断された場合に、運転準備待ち状態を経ることなく運転準備状態へ遷移するようにしてもよい。すなわち、図5のフローチャートにおいてステップST3を省略してもよい。また、運転準備待ち状態、運転準備状態、サーボアンプON状態だけでなく、他の状態があってもよい。
・ 各実施形態において、操作ボックスOPに代えて、又は操作ボックスOPに加えて、他の箇所に運転準備スイッチ21や非常停止スイッチ22を設けてもよい。例えば、ロボット制御装置Cに運転準備スイッチ21や非常停止スイッチ22を設けてもよい。また、例えば、ロボット制御装置Cの近傍の床面に、操作者が乗ったことを感知するマットスイッチやフットスイッチを設け、これらに運転準備スイッチや非常停止スイッチの機能を担わせてもよい。なお、これらマットスイッチやフットスイッチは、ロボット制御装置Cのロボット制御部12に対して有線で接続されていることが好ましい。
・ 第1実施形態では、操作ボックスOPの運転準備スイッチ21が操作されることにより操作ボックスOPが接続確認信号(第2接続要求信号)を出力するようにしたが、これを変更してもよい。例えば、操作ボックスOPの非常停止スイッチ22が操作されることにより、操作ボックスOPが接続確認信号を出力するようにしてもよい。また、操作ボックスOPにおいて運転準備スイッチ21及び非常停止スイッチ22とは別にスイッチを設け、このスイッチが操作されることにより、操作ボックスOPが接続確認信号を出力するようにしてもよい。これらの変更例は、第2実施形態における接続待機信号(第2接続要求信号)を出力するための構成についても同様である。
・ 第1実施形態において、操作ボックスOPの運転準備スイッチ21の操作態様の違いによって、運転準備信号が出力されるか接続確認信号が出力されるかを切り換えてもよい。例えば、第2実施形態と同様に、運転準備スイッチ21が所定時間(例えば数秒)以上の長押し操作された場合に、操作ボックスOPが接続確認信号を出力するようにしてもよい。
・ 第2実施形態において、接続待機信号の入力があった場合にロボット制御装置Cがネットワーク情報を送信するようにしてもよい。この場合、接続待機信号の入力があったロボット制御装置Cの無線アクセスポイントAPのみが通信可能な無線アクセスポイントAPとして、無線ティーチペンダントTP2のディスプレイ42に表示されることになる。
・ 第3実施形態において、無線ティーチペンダントTP2に、赤外線発光部48を覆う開閉可能な蓋を設けてもよい。この構成によれば、無線ティーチペンダントTP2のキーボード43の誤操作があったとしても、蓋が開けられていなければ、無線ティーチペンダントTP2の赤外線発光部48が発した赤外線は、ロボット制御装置Cの赤外線受光部18には到達しない。
・ 第3実施形態において、無線ティーチペンダントTP2の赤外線発光部48において、赤外線の発光素子を、赤外線透過窓が形成された遮蔽板で覆ってもよい。この場合、赤外線の発光素子から発せられる赤外線は、赤外線透過窓を介してのみ外部に出射するため、赤外線発光部48が発する赤外線に指向性を持たせることができる。
・ 第3実施形態において、赤外線通信に代えて他の無線通信規格を採用してもよい。他の無線通信規格としては、例えば、IEEE802.15.1規格などが挙げられる。これら赤外線通信に代わる無線通信の通信範囲は問わないが、ロボット制御装置Cの無線アクセスポイントAPの通信範囲よりも狭いことが好ましい。
・ 第3実施形態に関して、複数のロボット制御装置Cが存在する場合に、制御装置本体CMの配置や向きを調整して、ロボット制御装置Cの赤外線受光部18の通信領域が重複しないようにすることが好ましい。この場合、あるロボット制御装置Cの赤外線受光部18に向けて送信した赤外線信号が、他のロボット制御装置Cの赤外線受光部18にも送信されてしまうおそれが低減できる。
・ 第1実施形態の無線通信の接続の確立処理において、サーボアンプ14をオフにする処理を省略してもよい。具体的には、例えば、図6のフローチャートにおいてステップST23を省略してもよい。この場合、無線ティーチペンダントTP2に対する無線通信の接続が確立された後(図7のフローチャートにおいてステップST29の後)、ロボット制御装置Cの処理が図5におけるステップST5に移行するようにしてもよい。このようにすれば、ロボット制御装置Cのロボット制御部12に接続要求信号が入力された後、無線ティーチペンダントTP2に対する無線通信の接続が確立されるまでの間も、ロボットRに対する電力の供給が許容される。この点、他の実施形態においても同様である。
・ 第1実施形態において、ロボット制御装置Cのロボット制御部12に接続要求信号が入力された後、接続確認信号が入力されないままタイマ13のカウント値が所定値以上になった場合に、その接続要求信号を無効化するようにしたが、この処理を省略してもよい。この場合、例えば、制御装置本体CMに設けられたスイッチ等によって、ロボット制御部12に入力された接続要求信号を手動で無効化できるようにしてもよい。また、新たな接続要求信号がロボット制御部12に入力された場合に、古い接続要求信号を無効化するようにしてもよい。この点、第3、第4、第6実施形態の接続要求信号の無効化についても同様である。また、第2、第5実施形態の接続待機信号の無効化についても同様である。
・ 各実施形態において、無線ティーチペンダントTP2のディスプレイ42に、操作者に次の操作を示すための表示をさせなくてもよい。具体的には、例えば第1実施形態において図6のフローチャートにおけるステップST15を省略してもよい。
・ 第4〜第6実施形態において、各近距離無線通信部の通信規格はNFC規格に限らない。通信用のチップに情報を送受信できる規格であって、通信範囲が数センチメートル〜数十センチメートルの規格であれば、他の規格に代えることができる。
・ 第3実施形態において、制御装置本体CMに赤外線受光部18を搭載するのではなく、制御装置本体CMとは別体で赤外線受光部18を設けてもよい。同様に、第4及び第5において、制御装置本体CMに近距離無線通信部19を搭載するのではなく、制御装置本体CMとは別体で近距離無線通信部19を設けてもよい。
・ 認証情報の内容は上記実施形態で例示したものに限らず、無線ティーチペンダントTP2を特定できる情報であればどのようなものでも採用できる。例えば、パスワードを所定の乱数表や数式で生成する場合、その乱数表や数式を認証情報として採用することもできる。
・ 第4実施形態では、無線アクセスポイントAPが選択された後に、IDカード50のNFCチップ51の情報を読み取るようにしたが、これらの順序を逆にしてもよい。具体的には、図16におけるステップST11〜ST13と、ステップST45及びST46との順序を入れ替えてもよい。
・ 第6実施形態においては、接続要求信号に認証情報が含まれていなかったが、接続要求信号に認証情報を含ませて、ロボット制御部12の記憶部12cに記憶されている認証情報と照合するようにしてもよい。
・ 第1及び第2実施形態における操作ボックスOPや、第6実施形態における載置台60は、どのような場所に設置されていても構わないが、操作者にとって手の届きやすい場所に設置されていることが好ましい。例えば、ロボット制御システムにおいては、ロボットRの動作領域を囲むように防護柵が設置されていることが一般的である。この防護柵の外側に上記操作ボックスOPや載置台60を設置すれば、ロボットRの動作領域内に入ることなく、操作ボックスOPを操作したり載置台60に無線ティーチペンダントTP2を載置したりすることができる。同様に、制御装置本体CMとは別体で赤外線受光部18や近距離無線通信部19を設ける場合、これらを防護柵の外側に設置することができる。
以下の技術的思想は、上記実施形態及び変更例から導き出すことができる。
ロボットと、前記ロボットの動作を制御するロボット制御装置と、前記ロボットを操作するための信号を無線通信でロボット制御装置に入力するための可搬式操作装置とを備えたロボット制御システムにおいて、
前記ロボット制御装置は、
前記ロボットの動作及び前記ロボットへの電力供給を制御するロボット制御部と、
前記可搬式操作装置と無線通信を行う無線通信部と、
前記ロボット制御部及び前記可搬式操作装置間の無線通信の接続を確立して、前記可搬式操作装置の操作に基づくロボットの制御を可能とする通信制御部と、
前記無線通信部とは別に設けられ、前記ロボット制御部に信号を出力する信号出力部とを備え、
前記ロボット制御部は、前記無線通信部を介した前記可搬式操作装置から入力された第1接続要求信号及び前記信号出力部から入力された第2接続要求信号に基づいて、前記通信制御部に接続許可信号を出力し、
前記通信制御部は、前記接続許可信号に基づいて、前記ロボット制御部及び前記第1接続要求信号の送信元の可搬式操作装置間の無線通信の接続を確立する
ことを特徴とするロボット制御システム。