JP6422108B2 - 自動ブレーキ制御方法 - Google Patents

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本発明は、現状の自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)制御方法の問題点を解決するとともに、将来の自動運転車の減速・制動制御にも適用できる自動ブレーキ制御方法に関する。
図1を用いて説明する。
現状の自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)システムにおいては、速度vで走行中の自車(例えば図1地点P2)から前方距離D(v)(但しD(v)>Dw(v))の地点P0に障害物を検知した後、自車−前方障害物間距離D(v)が距離Dw(v)に到達した地点P3において、ドライバーに対して「前方障害物有」の警告を発し、その後ドライバーが何ら衝突回避の対応せずに、自車−前方障害物間距離D(v)が距離Db(v)に到達した場合、自車−前方障害物間距離Db(v)の地点P4で所定の減速度αbの制動(回生制動を含む)走行を開始し、衝突を回避する。
ここで、距離Db(v)間の制動減速度αbは、車両が急制動で安全に停止できる減速度である。
即ち、現状の自動ブレーキシステムは、システムが前方障害物を検知しても、ドライバーが前方障害物を検知しそれへの衝突を回避できる時間・距離がある間はできるだけ動作させずドライバーの衝突回避動作を待ち、ドライバーが危険を検知しても手動では回避できない状態になって初めて自動的な衝突回避動作を行うものである。
従ってこの場合の制動減速度αbはかなり大きな値(0.1g〜0.3g、g:重力加速度)となり、制動時ドライバーの受ける衝撃は大きく、また後続車がある場合は後続車の自車への追突の危険も発生する恐れがある。
国土交通省「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示〔2012.03.12〕別添113衝突被害軽減制動制御装置」
本願発明は上記従来の自動ブレーキシステムの問題点、即ち、自動ブレーキ時ドライバーの受ける衝撃、を低減し、かつ後続車がある場合の自車への追突の危険を回避しようとするものである。
上記従来の自動ブレーキシステムの問題を解決・軽減する方法として惰性走行を応用した本願発明による方法を、図1を用いて説明する。
(ここで、惰性走行とは、車両駆動源と駆動輪間の接続を遮断あるいは疎とした状態での車両の有する運動エネルギーを活用した走行を云う。)
速度vで走行中の自車両において、自車両に搭載するレーダーあるいはカメラ等の前方障害物検知装置が、あらかじめ定められている自車速vに対応した自車前方距離Dd(v)
(但し、Dd(v)< Di(v))の地点に車両等の障害物を検知した場合、ドライバーおよび後続車に対して前方に障害物がある旨の警告を出し、その時点・地点から惰性走行に移行する。
ここでDi(v)(速度vに対応した惰性走行可能距離)とは現速度vから目標速度(本例の場合は速度0)までの間惰性走行を行う場合の走行距離(Di(v)≒{v2/(2・αi(v))})である。
上記においては、vを自車速度としているが、自車速度に代えて、自車−前方車両間相対速度vr(即ちvr=v−vf、vf:前方車両速度)とすることによって、本願発明を走行中の前方車両に対する自動ブレーキ制御方法とすることもできる。
惰性走行移行後も、周期的に前方障物の有無および前方障害物までの距離D(v)を計測し、
D(v)≦ Dd(v)の条件を満足して前方障害物有の場合、惰性走行を継続、距離D(v)がD(v)=Db(v c ’)に達した後制動走行に移行する。
また前方障害物有であってもD(v)> Dd(v)の場合は、加速走行あるいは定速走行に移行
して後再度D(v)≦ Dd(v)の条件を満足した場合は再度惰性走行に移行することの繰り返しにより、前方車両への追従走行を行うことも可能となる。
ここで距離Db(v c ’)は、制動開始速度 から終了速度0までの間の制動走行距離
Db(v c ’)≒{(v c ’) 2 /(2・αb)})である。
上記の如く従来の自動ブレーキシステムに対し、前方車両検知領域を拡大し、かつ惰性走行機能を付加することにより、前方障害物検知から減速・制動開始までの走行距離を拡大することが可能となり、その結果、自車の減速(惰性走行)開始時の速度変化が軽減し、後続車の自車への追突の恐れが低減するとともに、自車の制動開始速度が低下することによって自動ブレーキ時ドライバーの受ける衝撃が低減することが可能となり、従来のシステムでの問題点、即ち、後続車の自車への追突の危険、あるいは自動ブレーキ時ドライバーの受ける衝撃、の問題は軽減あるいは解消することができる。
本方法は、自動ブレーキシステムの制御方法としてだけではなく、前方障害物が走行中の車両である場合の追従走行制御方法としても有効である。
さらに、本願発明は、従来の手動運転の車両に付加する自動ブレーキシステムの制御方法としてばかりでなく、自動運転車の減速・制動制御方法あるいは追従走行制御方法としても有効である。
図1は、従来の自動ブレーキシステムに対比しての本願発明による自動ブレーキシステム制御方法の説明図、 図2は、本願発明による自動ブレーキ制御手順例、である。
図2に、本発明による自動ブレーキシステム制御方法実現のための演算・制御手順例を示す。
201は、自動ブレーキ制御手順開始点、
202は、通常の加速走行あるいは定速走行を行う通常走行処理、
203は、自車前方、走行路内での前方走行車両等の障害物の有無の判定及び有の場合障害物までの距離D(v)の検知を、自車に搭載したレーダーあるいはカメラ等によって行う、前方障害物検知処理、
204は自車−前方障害物間距離D(v)と自車速vに対応してあらかじめ定められている惰性走行移行距離Dd(v)、の比較を行い、自車が前方障害物に対して惰性走行移行距離範囲内にあるか否かを判定する惰性走行移行距離範囲内判定処理、
205は、処理204で自車が前方障害物に対して惰性走行移行距離範囲内にあると判定された場合、ドライバーおよび後続車に対するに惰性走行移行警告と併せて惰性走行移行あるいは継続を行う惰性走行処理、
206は、自車−前方障害物間距離D(v)と、車両現速度vから減速度αbで制動走行を行った場合の停止までの走行距離Db(v)を比較する、制動走行距離比較処理、
207は、処理206でD(v)<Db(v)と判定された場合、制動減速度αbの制動走行に移行する制動走行処理、
208は、車両現速度が0に達したか否かを判定する車両停止判定処理、
209は、処理208の判定の結果v=0と判定された場合、上記一連の自動ブレーキ制御処理を終了する、自動ブレーキ制御手順終了点、
である。
上記の如く本願発明によって、従来の手動運転操作車両における自動ブレーキシステムの問題点を低減・解決してより安全でドライバーに違和感を与えない衝突被害軽減効果を得られることに加えて、前方障害物が走行車両の場合前方車両に対する車間距離Dd(v)を基準とした追従走行も可能とすることができる。
また、前方障害物として交差点を想定し、交差点に対する安全かつ省エネルギーな減速・制動方法とすることも可能である。
さらに、本願発明の思想を自動運転車の制動走行制御、前方車両への追従走行制御、に採用することによって、自動運転車の制動システム・追従走行システムをもより安全・快適・省エネルギー化することも可能となる。
D:自車−前方障害物間距離
D(v):速度vで走行中の自車両の自車−前方障害物間距離
Dd(v):速度vで走行中の車両の自車−前方障害物間惰性走行移行距離
Di(v):速度vから速度0までの間の惰性走行可能距離(≒{v/(2・αi(v))})
Dw(v):速度vで走行中の自車両の警告発生開始距離
Db(vc):速度vから速度0までの間の制動走行距離(≒{v /(2・αb)})
Db(v c ‘):速度v ’から速度0までの間の制動走行距離(≒{(v ’) /(2・αb)})
αi(v):速度vからの惰性走行減速度
αb:制動減速度(基本的に、速度に依らない一定値とする)
vc:定速走行速度
vc’:定速走行速度vcからの惰性走行の結果制動走行に移行する速度
(本願発明による制動開始速度)
v:自車現走行速度
vr:自車−前方車両相対速度
vf:前方車両速度
P0:前方障害物地点
P1:地点P0からの惰性走行可能距離地点
P2:本願発明による自動ブレーキ制御開始地点
P3:前方障害物警告開始地点
P4:従来の自動ブレーキシステムにおける制動開始地点
P5:本願発明による制動開始地点

Claims (1)

  1. 走行中の自車両が、自車両に搭載している前方障害物検知装置によって自車両走行路前方距離D(v)地点に車両・路上落下物等の障害物を検知し、
    自車両−障害物間距離D(v)が、D(v)≦Dd(v)(但しDd(v)<Di(v))の関係を満足した時点・地点から惰性走行を開始し、惰性走行移行後、前方障害物への衝突回避動作が行われなかった場合、自車両−障害物間距離D(v’)が、D(v’)=Db(v’)(但し、v>v’ )に達した時点・地点所定の制動減速度での制動走行に移行することによって、
    自車両の通常走行状態から制動開始速度への急激な速度変化を軽減し、制動の安定性・安全性の確保を可能にすること、を特徴とする自動ブレーキ制御方法。
    ここで、
    D(v):速度vで走行中の自車両の前方障害物までの距離
    D(v’):速度v’で走行中の自車両の前方障害物までの距離
    Dd(v):速度vで走行中の車両のあらかじめ設定された自車両−前方障害物間惰性走行移行距離
    Di(v):速度vから速度0までの間の惰性走行可能距離(≒{v /(2・αi(v))})
    Db(v’):速度v’から速度0までの間の制動走行距離(≒{(v’/(2・αb)})
    αi(v):速度vからの惰性走行減速度
    αb:制動減速度(基本的に、速度に依らない一定値)


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