JP6422099B2 - 熱加工装置における熱加工良否判別方法および装置 - Google Patents

熱加工装置における熱加工良否判別方法および装置 Download PDF

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Description

この発明は、電子部品の溶接、機械部品の抵抗溶接、樹脂部品の熱カシメなどに用いる熱加工装置に適用する熱加工良否判別方法と、この方法の実施に用いる熱加工装置とに関するものである。
従来より電子部品の実装などに広く用いられているリフローハンダ付け装置においては、ヒータチップをワーク(ハンダ付けする対象)に対してばねを介して押圧しながら加熱し、ハンダを溶融させるものが知られている(特許文献1)。この方法では、所定の加熱終了時点になると加熱を停止し(あるいは温度を下げ)ハンダの凝固を待ってヒータチップを上昇させるものである。
またヒータチップを昇降ヘッドに昇降可能に保持し、ヒータチップを押下するばねのばね力がワークを押し潰すのを防ぐため、ヒータチップの下降を制限するストッパを昇降ヘッドに設けることが、同一出願人により提案されている(ばね加圧式昇降ヘッド、特許文献2)。
さらに抵抗溶接機の上部電極の位置(高さ)をシリンダで制御する場合に、上部電極を保持するシリンダロッドに腕を固定し、この腕の上下動を前記シリンダとは別に設けた高さ計測部(ロータリーエンコーダ)で測定するものも提案されている(特許文献3)。
特開2011−110574号公報 特開2007−173522号公報 特許第5313621号公報
これらの装置では、ワークは適正厚さのものに対してヒータチップの下面高さが適正となるように予め設定している。しかしモータの回転速度により、昇降ヘッドの下降速度が
変化し、またモータの回転速度の変動により回転慣性力が変動し、昇降ヘッドの停止位置が変動する。この下降速度が大きいとばね設定圧を検出してからの昇降ヘッドの下降量が大きくなり(過剰下降)、ばねの加圧力が大きくなる。このようにモータの回転速度により昇降ヘッドの下降速度が変化すると、加熱加工を開始する際のばねの加圧力が変化し、熱加工にバラツキが発生し、加工不良が発生する恐れが有る。
この発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、ロータリーエンコーダなどの高価で複雑な高さ計測部を用いること無く、主として昇降ヘッドの下降速度の変動により加熱開始時におけるヒータチップのワークに対する加圧力の変動が発生しても、加熱加工の不良発生を容易に検出することができるようにした、熱加工装置における熱加工の良否判別方法を提供することを第1の目的とする。またこの方法の実施に用いる熱加工装置を提供することを第2の目的とする。
この発明によれば第1の目的は、基台に対して昇降可能かつ位置固定可能な昇降ヘッドに、下向きにばね付勢されたヒータチップを上下動可能に保持し、前記昇降ヘッドを基準位置から下降させて前記ヒータチップをワークに押圧しかつ発熱させて前記ワークを加熱加工する熱加工方法に適用され、前記昇降ヘッドはモータにより昇降制御され、前記昇降ヘッドの下降速度変動から前記ばねが前記ワークに対する押圧力の設定値を超過する過剰下降量を予測し、この過剰下降量に基づいて前記熱加工に伴う前記ヒータチップの下降量が適正になるように前記モータを追加駆動して前記熱加工開始時の前記昇降ヘッドの高さを調整した後、前記ヒータチップを発熱させ、前記ワークの熱加工に伴うヒータチップの下降量により熱加工の良否を判定することを特徴とする熱加工の良否判別方法、により達成される。
また第2の目的は、基台に対して昇降可能かつ位置固定可能な昇降ヘッドに、下向きにばね付勢されたヒータチップを上下動可能に保持し、前記昇降ヘッドを基準位置から下降させて前記ヒータチップをワークに押圧しかつ発熱させて前記ワークを加熱加工する熱加工装置に適用され、
前記ヒータチップを前記ワークに対してばねを介して押圧するばね加圧式昇降ヘッドと、
前記ヒータチップの前記ワークに対するばね加圧力を検出するばね力検出部と、
前記昇降ヘッドを昇降駆動するモータと、
このモータを制御するモータ駆動制御部と、
前記ヒータチップの加熱温度を検出する温度センサーと、
前記ヒータチップに供給する加熱電流を制御する温度制御手段と、
前記昇降ヘッドの下降速度変動から前記ばねが前記ワークに対する押圧力の設定値を超過する過剰下降量を予測し、この過剰下降量に基づいて前記熱加工に伴う前記ヒータチップの下降量が適正になるように前記モータを追加駆動して前記熱加工開始時の前記昇降ヘッドの高さを調整し、前記昇降ヘッドの下降に伴って前記ばね力検出部で検出したばね加圧力が加圧設定値に到達した後、前記熱加工により前記ばね力が終了設定値以下になるのを検出して熱加工が良と判定し前記終了設定値以下にならない時は熱加工が不良と判定する主制御手段と、
を備えることを特徴とする熱加工装置、により達成される。
第1の目的を達成する前記発明(第1の発明)によれば、昇降ヘッドはモータにより昇降制御されかつ、ばねのワークに対する押圧力が加圧設定圧になると前記モータの駆動を停止して前記ヒータチップを発熱させ、前記ワークの熱加工に伴うヒータチップの下降量が所定の設定値より大きければ熱加工は良と判定し、またこの下降量が設定値より小さければ熱加工不良と判定して熱加工の良否を判定する。この場合に、前記昇降ヘッドはモータにより昇降制御され、前記昇降ヘッドの下降速度変動から前記ばねが前記ワークに対する押圧力の設定値を超過する過剰下降量を予測し、この過剰下降量に基づいて前記熱加工に伴う前記ヒータチップの下降量が適正になるように前記モータを追加駆動して前記熱加工開始時の前記昇降ヘッドの高さを調整した後、前記ヒータチップを発熱させ、前記ワークの熱加工に伴うヒータチップの下降量により熱加工の良否を判定するものであるから、ロータリーエンコーダなどの高価で複雑な高さ計測部を用いること無く、熱加工に伴うヒータチップの下降量から熱加工の良否を高精度に検出することができる。
第2の目的を達成する前記発明(第2の発明)によれば、この方法の実施に用いる熱加工装置が得られる。
この発明の一実施例である抵抗溶接機の斜視図 この装置の加圧式昇降ヘッドを示す一部断面側面図 同じくこの装置の機能ブロック図 同じくこの装置の動作の流れ図 この装置の昇降ヘッドの基準位置(A)と下降位置(B)を示す図 この装置により抵抗溶接(プロジェクション溶接)をする熱加工例を示す図
この実施例では抵抗溶接機を示しているが、この発明は樹脂部品の熱カシメなどの熱加工装置にも適用することができる。昇降ヘッドを昇降させるモータは、サーボモータが適するが、ステッピングモータであってもよい。ヒータチップはその下面が発熱するものに限定されず、ワークを下電極と上電極とで挟むプロジェクション溶接の場合には、上電極がヒータチップに相当するものであり、本発明はこのようなものを包含する。
前記設定押圧力は、昇降ヘッドに対するヒータチップの相対変位から検出することができる。この場合相対変位をフォトセンサにより検出することができる。例えば前記ヒータチップの相対変位が加圧設定値に対応する変位になることから前記設定押圧力を検出して加熱開始し、前記相対変位が所定量減少して押圧力が所定の設定値以下に復帰したことから熱加工は良と判定し、所定値以下に復帰しないことから熱加工は不良と判定するように構成することができる(請求項2)。
この場合、前記フォトセンサは、昇降ヘッドに対するヒータチップの相対変位が所定の加圧設定値になるとオン(またはオフ)し、前記加圧設定値以下になるとオフ(またはオン)するようにすることができる(請求項3)。例えば、熱加工に伴うヒータチップの下降によりフォトセンサがオフ(またはオフ)すれば熱加工は良と判定し、オン(またはオフ)を維持することにより熱加工は不良と判別する(請求項4)。
この発明によれば、前記モータの回転速度や昇降ヘッドの下降速度変動から前記ばねが前記設定押圧力を超過する過剰下降量を予測し、この過剰下降量に基づいて前記熱加工に伴う前記ヒータチップの下降量が適正になるように熱加工開始(発熱開始)時の前記昇降ヘッドの高さを調整するから、昇降ヘッドをこの過剰下降量を適正下降量にするようにモータを追加駆動して適切な高さに修正することになり、熱加工の不良発生率を下げることができる。
本発明の熱加工装置は、前記主制御手段が、前記昇降ヘッドが基準位置(HP)から下降し前記ヒータチップが前記ワークに接触してばねのばね力が予め設定した所定圧縮量になるのを検出するばね力検出部と、前記ばね力検出部で前記ばね圧縮量が前記設定値になったことを検出してから前記ヒータチップの下降量を検出するヒータチップ下降量検出部と、前記下降量が所定量に到達しないことから加工不良と判定し所定量に到達したことから加工良と判定する熱加工良否判定部と、を備えるように構成することができる(請求項6)。
図1,3において符号10は主制御手段(主コントローラ)、12は電源部、14は溶接機である。16は主制御手段10に設けた電源スイッチである(図1)。主コントローラ10は、図3に示す制御部10A、モータドライバー10B、ばね力検出部10C、ヒータチップ下降量検出部10D、熱加工良否判定部10Eなどを有する。この主コントローラ10の前面には、表示パネル20が取り付けられている。
制御部10AはCPUで構成され、ばね力検出部10C、ヒータチップ下降量検出部10D、熱加工良否判定部10Eはこの制御部10Aの制御プログラムに組み込まれたソフトウェアにより構成される。表示パネル20は、メニュー画面や、熱加工に伴う種々のデータや設定値(設定値の許容範囲を含む。)などを表示する表示部20Aとしての機能と、その表面に設けた透明なタッチセンサ(図示せず)からなる入力手段である設定部20Bの機能とを持つ(図3)。この設定部20Bから後記する種々の設定値が設定される。
溶接機14は図2に詳細に示すように、基台22と、この基台22から垂直に起立する支柱24と、この支柱24に昇降可能に保持された昇降ヘッド28と、この昇降ヘッド28を昇降ヘッド駆動するステッピングモータ26と、この昇降ヘッド28に上下動可能に保持されて下方へ突出するロッド30と、このロッド30の下端に固定されたヒータチップ32とを持つ。このロッド30は、昇降ヘッド28に固定された筒34内に装填されたコイルばね36によって、下向きに付勢されている。
モータ26はステッピングモータが望ましいが、回転角度センサを内蔵するサーボモータであってもよく、その回転量によって昇降ヘッド28の位置を制御できるものであればよい。支柱24にはラック26Aが固定され、このラック26Aに噛合するウォームギヤ26Bがこのモータ26によって回転駆動される(図2)。ウォームギヤ26Bの正逆転によって、ラック26Aおよびこれと一体の支柱24に対して昇降ヘッド28が上下動する。モータ26の回転量(回転角度)と昇降ヘッド28の昇降量とは正比例している。
コイルばね36の上端は、筒34の上端に螺合されたばね力調節手段となるキャップ38に支持されている。コイルばね36の下端は、ロッド30の上端に取り付けられたばね力検出センサーである圧力センサー40に支持されている。この圧力センサー40は、例えば歪みゲージ(ロードセル)、圧電素子、感圧ダイオードなど種々の検出原理のものから適切なものを選んで用いることができる。この圧力センサー40に代えて、前記キャップ38の回転量を示す目盛りを用いてコイルばね36のばね力を設定しても良い。
ロッド30には下限位置設定部材となるストッパとしての板42が固定され、この板42はロッド30の下降時に昇降ヘッド28の内底壁に当接して位置決めされる(図2の位置)。ヒータチップ32をワークに接触させた位置から昇降ヘッド28をさらに所定量下降させることにより、ヒータチップ32のワークに対する押圧力を所定圧力に設定することができる。すなわち熱溶着の前にコイルばね36の圧縮量を一定に設定する。この場合、一方(例えば昇降ヘッド28)の側に発光体(発光ダイオード)と受光体(フォトセンサ)40A(図2では重なっている。)を対向させて固定し、これらの間に進入/退出する遮光板40Bを他方(例えばロッド30)に固定しておき、昇降ヘッド28に対するロッド30の相対移動量が予め設定した所定量になったことを受光体40Aで検出するようにすれば良い。
ヒータチップ32は上方に開くスリットを形成して略U字状とした電気抵抗材料で作られ、両端間に電流を流すことによって瞬時に発熱するものである。このヒータチップ32はウェルドケーブル44(図1)によって、電源部12に収容された溶接トランス12A(図3)の二次側に接続されている。
電源部12は、溶接トランス12Aと、ヒータチップ32の温度制御手段となる電流制御部12Bを備える。電流制御部12Bは主コントローラ10の制御部10Aが出力する温度指令P1に基づいてヒータチップ32の温度を制御する。すなわちこの電流制御部12Bにはヒータチップ32の先端付近に固定した熱電対46(図3)が検出するヒータチップ温度θがフィードバックされ、このヒータチップ温度θを温度指令P1に一致させるようにパルス幅制御したパルス電流P2を溶接トランス12Aに送る。溶接トランス12Aはこのパルス電流P2を昇圧してヒータチップ32に送り発熱させる。
モータドライバー10Bは制御部10Aが出力する回転指令Q1に基づいてモータ26を制御する。すなわちモータドライバー10Bは、この回転指令Q1によって正逆いずれかの回転方向に所定回転量だけモータ26を回転させる。ここにモータ26はステッピングモータあるいはサーボモータでありその回転量によって昇降ヘッド28の高さが正確に制御される。
48は被熱加工対象となるワークである。このワーク48は、例えば基板50の表面にクシ刃状に形成したプリント回路の接続端子に、フレキシブルプリント配線板(FPC)52の電極を重ねて熱溶着するものとする。この場合には、熱溶着部のいずれかには予めはんだメッキをしたり、クリームはんだを供給しておくものとする。ヒータチップ32は、この熱溶着部に上方から押圧され、この状態で発熱されてはんだを溶融しハンダ付けする。
主コントローラ10の制御部10Aには、前記設定部20Bの設定に基づいて前記モータドライバー10Bの回転方向、回転量、ヒータチップ32の温度などが入力され、これらに基づいて制御部10Aは、モータドライバー10Bに回転指令Q1を、電流制御部12Bに温度指令P1を出力する。
ばね力検出部10Cは、ばね36がヒータチップ32を下方に押下するばね力を検出するものであり、この実施例では昇降ヘッド28とヒータチップ32の相対移動量からこのばね力、すなわちヒータチップ32のワーク48に対する押圧力を検出するものである。
このばね力検出部10Cは、例えば昇降ヘッド28の内壁面に固定した前記発光体/受光体40Aと、ロッド30に固定されこれら発光体/受光体40Aの間隙に侵入/退出する遮光板40Bとで構成される。受光体(フォトセンサ)40Aは遮光板40Bの侵入により昇降ヘッド28に対するヒータチップ32の相対移動量(ストッパの板42が昇降ヘッド28の内底壁に当接した位置からの移動量)が所定量h(図4、図5の(B)参照)になるとオン(またはオフ)し、このオン(オフ)に基づいて制御部10Aはモータ26、昇降ヘッド28を停止させる。
この時の停止位置は、モータ26の回転モーメント、慣性や、昇降ヘッド28の慣性などにより、所定量hの位置で正確に停止することができない。従ってこの所定量hをわずかに過ぎてから停止する。この所定量hは、例えば0.5mmに設定するが、通常昇降ヘッド28は電気系の制御遅れや慣性などによりこの所定量hを超えて停止する。停止するとヒータチップ32の加熱を開始させ、この加熱によりヒータチップ32はワーク48を熱加工しながら前記ばね36のばね力によって下降する。この加工良の所定値は、前記所定量hであっても良いが、両者は別々に設定しても良い。
ヒータチップ下降量検出部10Dは、受光部40Aからの遮光板40Bの退出を検出してヒータチップ32の下降量を検出する。すなわち、発光体の光が受光体40Aに入射することからヒータチップ32の下降量を検出する。この下降量が所定値になると(フォトセンサがオンからオフに変化する時)熱加工良否判定部10Eは熱加工が良好であると判定し、この下降量が所定値にならなければ(すなわちフォトセンサがオンのまま変化しない時)、熱加工は不良であると判定する。
次に図4を用いて動作を説明する。主コントローラ10の電源スイッチ16をオンにすると、主コントローラ10のCPUが起動し表示パネル20にメニュー画面が表示される。オペレータはメニュー画面で「データ設定」を選択し、種々のデータ(設定値)を設定する。ここで設定するデータは、主としてワーク48の熱加工の押圧力、加熱温度、熱加工の終了条件などに対応するデータと、昇降ヘッド28の基準位置HP(図5)からワーク載置台表面までの高さH、ばね36の設定圧縮量(前記所定量)h、熱加工の良否を判定するための下降量の所定値、ワークの厚さTなどに関するデータを含んでいる。
熱加工の開始前でヒータチップ32がワーク48から離れている時には、ヒータチップ32のロッド30は常にばね36により下方に押圧され、ストッパとなる板42が昇降ヘッド28の内底壁に当接することにより下限位置に保持されている。ここにばね36のばね力(押圧力、圧縮圧力)は、ばね力調節手段となるキャップ38によって初期設定される。すなわちこのキャップ38を回転することによりばね36のばね力を調節し、必要に応じてこのばね力を検出する圧力センサ40の検出値が所定値になるように初期設定する。このばね力の初期設定は、キャップ38の回転位置によって予め設定しておいても良いのは前記したとおりである。
データの設定と、ばね36のばね力設定が終わると、主コントローラ10のCPUからなる制御部10Aはモータ26により昇降ヘッド28を基準位置(ホームポジションHP、図5、6)に上昇させる(図4のステップS100)。この状態でワーク48を所定位置(ワーク設置台)にセットする(ステップS102)。制御部10Aは昇降ヘッド32をこの位置から下降させ、従ってヒータチップ32を下降させるが、この時の下降量はモータ26を回転させるモータ駆動パルスのパルス数をカウンタ(図示せず)で積算することにより求めることができる。制御部10Aはまた、この時の下降速度を求める(ステップS104)。この下降速度は後記ステップS110でモータが停止する位置を予測するために用いられる。
ヒータチップ32がワーク48に当接すると、ロッド30のストッパである板42は昇降ヘッド28の内底壁から離れ、ワーク48およびロッド30の位置を固定したまま、昇降ヘッド28が下降を続ける。この昇降ヘッド28の下降により、この昇降ヘッド28と一体の筒34と、この筒34の上端に螺合したキャップ38も下降するから、ばね36は圧縮される。この時のばね力がばね力検出部10Cで検出される。ばね36の圧縮量が所定量hになると、前記フォトセンサ40Bがオンとなる(ステップS106)。このためモータ26は停止される(ステップS108)。この時前記モータの慣性力などによりばね36の圧縮量は所定量hより大きくなり、昇降ヘッド32は過剰に下降する(過剰下降量となる。)。従って前記したようにモータ26の回転速度、昇降ヘッド32の下降速度から下降量が予測される(ステップS110)。
ばね力検出部10Cが、ばね力が所定値(ばねが所定圧縮量h)になるのを検出すると(ステップS106)、制御部10Aはモータ26、昇降ヘッド28を停止させ(ステップS108)、温度指令を電流制御部12Bに送り、ヒータチップ32を発熱させる(ステップS112)。ヒータチップ32の発熱によりワーク48のはんだなどが溶融して熱加工が行われ、これに伴ってヒータチップ32は下降する。この時の下降量がヒータチップ下降量検出部10Dで検出され、この下降量が適正か否かが熱加工良否判定部10Eで判定される(ステップS114)。
図6はワーク48Aが2枚の金属板50A、50Bをプロジェクション溶接する加工例を示す。22Aは下電極、32Aは上電極であり、ワーク48Aはこれらの間に挟まれている。この図6の(A)は熱加工の前を、(B)は適切な熱加工時を、(C)は熱加工の不良時をそれぞれ示している。
ヒータチップ32の発熱前には、図6(A)に示すように、ヒータチップ32は下降しない(ワーク48Aの厚さはt0)。この時は前記受光体(フォトセンサ)40Aがオンである。この状態からヒータチップ32が発熱するとはんだの溶融によりヒータチップ32がばね力により下降し、この下降量がヒータチップ下降量検出部10Dで監視される。下降量が大きく(ワーク48Aの厚さt1が十分小さい。)フォトセンサ40Aがオンからオフに変化したことがヒータチップ下降量検出部10Dで検出されると、熱加工は正常であると判定される。すなわちワーク48は適切に潰されているので溶接が正常であると判定できる(図6の(B))。
この時には熱加工良否判定部10Eの判定結果に基づき制御部10Aは、熱加工後に冷却する(ステップS116)。そして昇降ヘッド28を基準位置HPに復帰させて(ステップS118)、処理したワークを排出し(ステップS120)、続けて処理するワークがあれば(ステップS122)ステップS102に戻って次のワークに交換する。
またステップS114において、ヒータチップ下降量が過小であると判定された時(厚さt2がt1<t2<t0)は、ワークの熱加工が不十分で十分に潰されていない図6の(C)の状態であると判定される。この時には警告を出して(ステップS124)、熱加工処理を中止する(ステップS126)。
10 主制御手段(主コントローラ)
10A 制御部
10B モータドライバー(モータ駆動制御部)
10C ばね力検出部
10D ヒータチップ下降量検出部
10E 熱加工良否判定部
12 電源部
12B 電流制御部(温度制御手段)
14 溶接機
22 基台
24 支柱
26 モータ(ステッピングモータ)
28 昇降ヘッド
30 ロッド
32 ヒータチップ
32A 上電極(ヒータチップ)
36 ばね
40A フォトセンサ
46 熱電対(温度センサー)
48、48A ワーク

Claims (6)

  1. 基台に対して昇降可能かつ位置固定可能な昇降ヘッドに、下向きにばね付勢されたヒータチップを上下動可能に保持し、前記昇降ヘッドを基準位置から下降させて前記ヒータチップをワークに押圧しかつ発熱させて前記ワークを加熱加工する熱加工方法に適用され、
    前記昇降ヘッドはモータにより昇降制御され、前記昇降ヘッドの下降速度変動から前記ばねが前記ワークに対する押圧力の設定値を超過する過剰下降量を予測し、この過剰下降量に基づいて前記熱加工に伴う前記ヒータチップの下降量が適正になるように前記モータを追加駆動して前記熱加工開始時の前記昇降ヘッドの高さを調整した後、前記ヒータチップを発熱させ、前記ワークの熱加工に伴うヒータチップの下降量により熱加工の良否を判定することを特徴とする熱加工の良否判別方法。
  2. 前記昇降ヘッドに対するヒータチップの相対変位をフォトセンサにより検出し、前記フォトセンサは前記ヒータチップがワークを加圧して前記相対変位が増大し前記設定圧を検出すると前記ヒータチップを発熱させ、前記相対変位が所定量復帰したことから熱加工が良と判定し、前記所定量に復帰しないことから熱加工が不良と判定する請求項1の熱加工の良否判別方法。
  3. 前記フォトセンサは、昇降ヘッドに対するヒータチップの相対変位が所定の加圧設定値になるとオン(またはオフ)し、前記加圧設定値以下になるとオフ(またはオン)する請求項2の熱加工の良否判別方法。
  4. 熱加工に伴うヒータチップの下降によりフォトセンサがオフ(またはオン)すれば熱加工は良と判定し、オン(またはオフ)を維持することにより熱加工は不良と判別する請求項3の熱加工の良否判別方法。
  5. 基台に対して昇降可能かつ位置固定可能な昇降ヘッドに、下向きにばね付勢されたヒータチップを上下動可能に保持し、前記昇降ヘッドを基準位置から下降させて前記ヒータチップをワークに押圧しかつ発熱させて前記ワークを加熱加工する熱加工装置に適用され、
    前記ヒータチップを前記ワークに対してばねを介して押圧するばね加圧式昇降ヘッドと、
    前記ヒータチップの前記ワークに対するばね加圧力を検出するばね力検出部と、
    前記昇降ヘッドを昇降駆動するモータと、
    このモータを制御するモータ駆動制御部と、
    前記ヒータチップの加熱温度を検出する温度センサーと、
    前記ヒータチップに供給する加熱電流を制御する温度制御手段と、
    前記昇降ヘッドの下降速度変動から前記ばねが前記ワークに対する押圧力の設定値を超過する過剰下降量を予測し、この過剰下降量に基づいて前記熱加工に伴う前記ヒータチップの下降量が適正になるように前記モータを追加駆動して前記熱加工開始時の前記昇降ヘッドの高さを調整し、前記昇降ヘッドの下降に伴って前記ばね力検出部で検出したばね加圧力が加圧設定値に到達した後、前記熱加工により前記ばね力が終了設定値以下になるのを検出して熱加工が良と判定し前記終了設定値以下にならない時は熱加工が不良と判定する主制御手段と、
    を備えることを特徴とする熱加工装置。
  6. 前記主制御手段は、
    前記昇降ヘッドが基準位置から下降し前記ヒータチップが前記ワークに接触してばねのばね力が予め設定した所定圧縮量になるのを検出するばね力検出部と、
    前記ばね力検出部で前記ばね圧縮量が前記設定値になったことを検出してから前記ヒータチップの下降量を検出するヒータチップ下降量検出部と、
    前記下降量が所定量に到達しないことから加工不良と判定し所定量に到達したことから加工良と判定する熱加工良否判定部と、を備える請求項5の熱加工装置。
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