JP6421793B2 - 連続熱間圧延における鋼片の接合方法、連続熱間圧延方法、および熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

連続熱間圧延における鋼片の接合方法、連続熱間圧延方法、および熱延鋼板の製造方法 Download PDF

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本発明は、連続熱間圧延ラインの仕上圧延機の入側で、先行鋼片と後行鋼片とを接合する方法、連続熱間圧延方法、および熱延鋼板の製造方法に関する。
従来、連続熱間圧延ラインの仕上圧延機の入側で先行鋼片と後行鋼片とを接合する方法としては、例えば連続熱間圧延ラインの仕上圧延機の入側で先行鋼片の尾端と後行鋼片の先端とを互いに非接触で対向配置してこの状態で誘導加熱装置によって先行鋼片の尾端と後行鋼片の先端とを急速加熱し(加熱工程)、次いで、加熱された先行鋼片の尾端と後行鋼片の先端とを近づけ突き合わせて押圧(アップセット)接合する(接合工程)方法が知られている。
しかしながら、大気雰囲気中で上記接合を行う際に、鋼中にCr、Ti、Mn、Al、Si等のように鋼の融点(1400〜1600℃)より高い融点の酸化物(Cr酸化物:融点約2000℃)を生成する成分を含むステンレス鋼や高張力鋼等については、誘導加熱時に接合面に生成されるこれらの酸化物がアップセット後も接合部に固相として残って接合強度を著しく低下させ、後工程の仕上圧延にて接合部が破断する等の問題が生じる。
この問題に対し、特許文献1には、先行鋼片及び後行鋼片の各接合面の温度が鋼片の液相線温度以上になるようにし、さらに液相線温度以上にする領域、および鋼材厚みによって決まるアップセット量を適正化する方法が開示されている。
各接合面の温度が鋼片の液相線温度以上となった状態でのアップセットによる接合では、アップセット時に酸化物を溶鋼と共に接合界面から排出することが、接合強度を得る上で重要である。酸化物が排出されない場合、鉄同士の接合が阻害され接合強度が低下し、仕上圧延中に接合部が破断に至ってしまう。
一方、従来、電縫管の製造方法として、アップセット時に酸化物を溶接部から除くため、板端面(接合面)から積極的に溶鋼を排出する技術が検討されてきた。例えば、特許文献2〜6には、板端面の形状について検討した例が開示されている。すなわち、通常、板端面はスリット加工や端面研削加工によってほぼ平坦面を呈しているが、これを接合の前でテーパ形状に加工して、溶接時の溶鋼排出を良好にすることを目的としている。
特開2000−271605号公報 特開2009−119483号公報 特開2009−119484号公報 特開2011−25311号公報 特開2013−6207号公報 特開2009−119482号公報
しかしながら、特許文献2〜6は電縫管溶接に用いられる技術であり、接合面面積が大きい(およそ、厚さ15〜60mm×幅900〜1800mm)。したがって、シートバー同士の接合に適用するには効果が充分ではない場合があり、さらに詳細な検討が必要である。また、テーパの形状が板厚を基準に規定されているが、シートバーの接合においては接合端面からの溶け落ち量が多いため、テーパ付与箇所が溶融し、排出性向上効果が得られない場合がある。
本発明は上記問題を解決し、アップセット時に酸化物を溶接部から除き、接合部を破断なく通板する上で必要な溶接部強度を達成しうる連続熱間圧延における鋼片の接合方法、連続熱間圧延方法、および熱延鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、接合部の形状を詳細に検討した。その結果、接合する端部の上面側と下面側にテーパ形状を付与し、接合工程で、アップセット量を、上面側における先行鋼片のテーパと後行鋼片のテーパの長手方向の長さの和以上および下面側における先行鋼片のテーパと後行鋼片のテーパの長手方向の長さの和以上とし、好適には先行鋼片の最大溶融深さと後行鋼片の最大溶融深さの和に対して1.1〜7.0倍とすることにより、上記課題が解決されることを見出した。さらに、テーパの長手方向の長さと最大溶融深さの比、およびテーパの板厚方向の長さの上下面合計と板厚との比を最適化することにより、より接合部強度が高くなることを見出した。
本発明は、以上の知見に基づきなされたものであり、その要旨は以下の通りである。
[1]連続熱間圧延ラインの仕上圧延機の入側で先行鋼片の尾端と後行鋼片の先端とを互いに非接触で対向配置してこの状態で先行鋼片の尾端と後行鋼片の先端とを加熱する加熱工程と、加熱された先行鋼片の尾端と後行鋼片の先端とを突き合わせて押圧接合する接合工程とを備え、先行鋼片及び後行鋼片の内の少なくとも一方が鋼より高い融点の酸化物を生成する元素を含む鋼種である場合の連続熱間圧延における鋼片の接合方法であって、接合する端部の上面側と下面側にテーパ形状を付与し、前記接合工程で、アップセット量を、上面側における先行鋼片のテーパと後行鋼片のテーパの長手方向の長さの和以上および下面側における先行鋼片のテーパと後行鋼片のテーパの長手方向の長さの和以上とすることを特徴とする連続熱間圧延における鋼片の接合方法。
[2]前記加熱工程で、先行鋼片の尾端と後行鋼片の先端とを鋼片の液相線温度以上まで加熱し、前記接合工程で、アップセット量を、先行鋼片の最大溶融深さと後行鋼片の最大溶融深さの和に対して1.1〜7.0倍とすることを特徴とする上記[1]に記載の連続熱間圧延における鋼片の接合方法。
[3]前記テーパ形状は、各テーパの長手方向の長さが該テーパを有する鋼片の最大溶融深さに対して1.1〜4.0倍であり、かつ、テーパ形状が付与された先行鋼片とテーパ形状が付与された後行鋼片のそれぞれにおいて、上面側のテーパの板厚方向の長さと下面側のテーパの板厚方向の長さの合計が板厚の10%以上であることを特徴とする上記[1]または[2]に記載の連続熱間圧延における鋼片の接合方法。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかに記載の接合方法を用いることを特徴とする連続熱間圧延方法。
[5]上記[4]に記載の連続熱間圧延方法を用いることを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
本発明により、連続熱間圧延における接合強度が上昇し、後工程の仕上圧延にて接合部が破断する等の問題が顕著に改善される。
図1は、本発明の実施形態の一つであり、先行鋼片と後行鋼片のいずれにも、上面側と下面側にテーパ形状を付与した断面図である。 図2は、本発明の実施形態の一つであり、後行鋼片のみの、上面側と下面側にテーパ形状を付与した断面図である。 図3は、本発明の実施形態の一つであり、先行鋼片のみの、上面側と下面側にテーパ形状を付与した断面図である。 図4は、本発明の実施形態の一つであり、後行鋼片の上面側と先行鋼片の下面側にテーパ形状を付与した断面図である。 図5は、本発明の実施形態の一つであり、後行鋼片の下面側と先行鋼片の上面側にテーパ形状を付与した断面図である。 図6は、本発明の実施形態の一つであり、後行鋼片の上面側と下面側と、先行鋼片の上面側にテーパ形状を付与した断面図である。 図7は、本発明の実施形態の一つであり、後行鋼片の上面側と下面側と、先行鋼片の下面側にテーパ形状を付与した断面図である。 図8は、本発明の実施形態の一つであり、後行鋼片の上面側と、先行鋼片の上面側と下面側にテーパ形状を付与した断面図である。 図9は、本発明の実施形態の一つであり、後行鋼片の下面側と、先行鋼片の上面側と下面側にテーパ形状を付与した断面図である。 図10は、長手方向のテーパ長さを示す断面図である。 図11は、図10に示す先行鋼片の尾端と後行鋼片の先端とを突き合わせてアップセットした状態を示す断面図である。 図12は、最大溶融深さと長手方向のテーパ長さの一例を示す断面図である。 図13は、連続熱間圧延ラインのコイルボックスから仕上圧延機の第1スタンドまでの設備配列を示す概略図である。 図14は、高周波誘導加熱装置の概略図である。 図15は、交番磁界と誘導電流の流れを説明するための説明図である。 図16は、接合装置の概略断面図である。 図17は、テーパ長さの定義を示す断面図である。 図18は、テーパ形状の加工方法の一例を示す模式図である。 図19は、後行鋼片のみにテーパを付与した断面図である。 図20は、先行鋼片の下面側と後行鋼片の上面側にテーパを付与した断面図である。 図21は、後行鋼片のみに上下非対称のテーパを付与した断面図である。 図22は、加熱時の溶融範囲を示すグラフ図である。
本発明の鋼片の接合方法は、連続熱間圧延ラインの仕上圧延機の入側で先行鋼片の尾端と後行鋼片の先端とを互いに非接触で対向配置してこの状態で先行鋼片の尾端と後行鋼片の先端とを加熱する加熱工程と、加熱された先行鋼片の尾端と後行鋼片の先端とを近づけ突き合わせて押圧接合する接合工程とを備えるものである。そして、接合する端部の上面側と下面側にテーパ形状を付与することを特徴とする。また、接合工程で、アップセット量を、上面側における先行鋼片のテーパと後行鋼片のテーパの長手方向の長さの和以上および下面側における先行鋼片のテーパと後行鋼片のテーパの長手方向の長さの和以上とすることを特徴とする。さらに、先行鋼片の最大溶融深さと後行鋼片の最大溶融深さの和に対して1.1〜7.0倍であることが好ましい。さらに、各テーパの長手方向の長さがテーパを有する鋼片の最大溶融深さに対して1.1〜4.0倍であること、テーパ形状が付与された先行鋼片とテーパ形状が付与された後行鋼片のそれぞれにおいて、上面側のテーパの板厚方向の長さと下面側のテーパの板厚方向の長さの合計が板厚の10%以上であることが好ましい。また、加熱工程では、先行鋼片および後行鋼片の各接合面の温度が鋼片の液相線以上になるまで加熱時間を確保することが好ましい。
本発明を実施する連続熱間圧延プロセスの構成を説明する。
図13において符号1は粗圧延機から出た板材を巻き取るコイルボックス、2はコイルボックス1から巻き出された先行鋼片S1 の尾端及び後行鋼片S2 の先端を切断するクロップシャー、3は先行鋼片S1 及び後行鋼片S2 の切断面(接合面)同士を接合する接合装置、4はレベラー、5a〜5cはピンチロール、6は脱スケール装置、7は仕上圧延機の第1スタンドである。
接合装置3は、図16に示すように、クロップシャー2によって後端のクロップが切り落とされた先行鋼片S1 及び先端のクロップが切り落とされた後行鋼片S2 の各切断端を接合面同士が互いに非接触で対向配置されるように把持する左右のクランプ装置8、9と、該クランプ装置8、9によって把持された先行鋼片S1及び後行鋼片S2 の各切断端を加熱する誘導加熱装置10と、クランプ装置8をクランプ装置9側に押圧移動させて誘導加熱装置10によって加熱された先行鋼片S1及び後行鋼片S2 の各切断端の接合面同士を突き合わせて押圧接合(アップセット接合)する押圧シリンダ11と、該アップセット接合時に先行鋼片S1 と後行鋼片S2 とが上下方向にずれることを防止する目違い防止板20とを備える。
なお、接合装置3は、ライン方向に沿って所定長さだけ延在するレール19上を走行可能な台車17上に設置されており、また、該台車17の走行可能範囲の鋼片搬送用テーブルローラ18は昇降式のテーブルローラとなっており、接合装置3の位置に相当する搬送用テーブルローラ18は台車17により押し下げられるようになっている。接合装置3をこのような構成とすることにより、鋼片の搬送を停止させることなく先行鋼片S1 と後行鋼片S2 との接合を行うことができる。
誘導加熱装置10は先行鋼片S1 及び後行鋼片S2 の各切断端の板厚方向に交番磁界を貫通させるためのものであり、図14に示すように、先行鋼片S1 及び後行鋼片S2 の各切断端の上下に配設された一対の磁極芯13と、これらの磁極芯13に上下方向に連続して巻回されたコイル14と、電源15とを備える。かかる構成の誘導加熱装置10を用いて、図15に示すように、先行鋼片S1 及び後行鋼片S2 の各切断端の板厚方向に交番磁界を貫通させることにより、各切断端に渦電流が発生して接合面同士が優先的に加熱されるようになっている。なお、この実施の形態では、加熱・接合処理を鋼片の走行と同期させるいわゆるトランスバース方式の接合装置3を採用したが、接合装置3を停止した状態で加熱・接合処理を行う場合には図13に破線で示すルーパ16を用いることになる。
以上の図13〜図16に示す設備を用いて、本発明では、先行鋼片の尾端と後行鋼片の先端とを互いに非接触で対向配置し、先行鋼片の尾端と後行鋼片の先端とを加熱し、加熱された先行鋼片の尾端と後行鋼片の先端とを近づけ突き合わせて押圧接合する。
加熱するにあたり、先行鋼片および後行鋼片の各接合面の温度が鋼片の液相線以上になるまで加熱時間を確保することが好ましい。液相線以上になるまで加熱することで接合面に生成した酸化物が溶鋼と共に排出され、接合後に接合界面には残存せず、接合強度が飛躍的に向上する。なお、液相線温度以上となる領域は、電磁-熱伝導連成有限要素法解析により計算して求めることができる。
本発明の連続熱間圧延における鋼片の接合方法の対象となる鋼は、先行鋼片S1 及び後行鋼片S2 の内の少なくとも一方が鋼より高い融点の酸化物を生成する元素、例えばCr、Ti、Mn、Al、Si等を単独又は合計で1質量%以上含む鋼種である。これらの元素は、Cr2O3、TiO2、MnO、Al2O3、SiO2等、鋼より高い融点の酸化物を生成する。このように高い融点の酸化物を生成する元素を多量に含む場合は、排出される酸化物と溶鋼の粘度が高いため、排出が促進されづらい。これに対して、本発明では、例えば図1〜図9に示すように、接合する端部の上面側と下面側にテーパ形状を付与する。このようなテーパ形状を付与ことで、排出促進効果が得られる。また、加熱終了からアップセット完了まで時間がかかる場合、接合面の温度低下により粘度が下がるため、接合する端部の上面側と下面側にテーパ形状を付与することで、テーパ形状による排出促進効果が顕著となる。
以上より、本発明では接合する端部の上面側と下面側にテーパ形状を付与することとする。接合する端部の上面側と下面側にテーパ形状を付与するとは、先行鋼片の尾端、後行鋼片の先端のいずれかを問わず、上面側および下面側にテーパ形状が付与されていればよい。例えば、上面側では、先行鋼片の尾端と後行鋼片の先端の各々の端部にテーパ形状が付与されていても良いし、先行鋼片の尾端と後行鋼片の先端のいずれかの端部にテーパ形状が付与されていても良い。下面側も上面側と同様であり、先行鋼片の尾端と後行鋼片の先端の各々の端部にテーパ形状が付与されていても良いし、先行鋼片の尾端と後行鋼片の先端のいずれかの端部にテーパ形状が付与されていても良い。
本発明の実施形態を図1〜図9に示す。
図1は、先行鋼片と後行鋼片のいずれにも、上面側と下面側にテーパ形状を付与した実施形態の一つである。
図2は、後行鋼片のみの、上面側と下面側にテーパ形状を付与した本発明の実施形態の一つである。
図3は、先行鋼片のみの、上面側と下面側にテーパ形状を付与した本発明の実施形態の一つである。
図4は、後行鋼片の上面側と先行鋼片の下面側にテーパ形状を付与した本発明の実施形態の一つである。
図5は、後行鋼片の下面側と先行鋼片の上面側にテーパ形状を付与した本発明の実施形態の一つである。
図6は、後行鋼片の上面側と下面側と、先行鋼片の上面側にテーパ形状を付与した本発明の実施形態の一つである。
図7は、後行鋼片の上面側と下面側と、先行鋼片の下面側にテーパ形状を付与した本発明の実施形態の一つである。
図8は、後行鋼片の上面側と、先行鋼片の上面側と下面側にテーパ形状を付与した本発明の実施形態の一つである。
図9は、後行鋼片の下面側と、先行鋼片の上面側と下面側にテーパ形状を付与した本発明の実施形態の一つである。
本発明では、アップセット量を、上面側における先行鋼片のテーパと後行鋼片のテーパの長手方向の長さの和以上および下面側における先行鋼片のテーパと後行鋼片のテーパの長手方向の長さの和以上とする。
アップセット量が、上面側、下面側それぞれにおいて、先行鋼片のテーパと後行鋼片のテーパの長手方向の長さの和未満であると、溶接後にもテーパ形状が残留し破断の起点となる。そのため、アップセット量は上面側、下面側それぞれにおいて、先行鋼片のテーパと後行鋼片のテーパの長手方向の長さの和以上とする必要がある。なお、テーパがない場合は長手方向の長さは0として和を計算する。例えば、図10において、上面側の後行鋼片の長手方向のテーパ長さをc、下面側の後行鋼片の長手方向のテーパ長さをd、下面側の先行鋼片の長手方向のテーパ長さをeとした場合、アップセット量はd+e以上かつc以上となる。すなわち、テーパの長手方向のテーパ長さc、d、eについて、c>d+eの場合、アップセット量はc以上となる。図11は、先行鋼片の尾端と後行鋼片の先端とを突き合わせてアップセット量cで先行鋼片と後行鋼片をアップセットした状態を示している。
先行鋼片の最大溶融深さと後行鋼片の最大溶融深さの和に対して1.1〜7.0倍(好適条件)最大溶融深さとは図12に示すとおりであり、加熱工程において溶融した先行鋼片の尾端または溶融した後行鋼片の先端の全体(全幅・全厚)における、尾端または先端からの長手方向の長さの最大値である。最大溶融深さは、加熱条件により、板厚中心が最大になる場合もあるし、上面あるいは下面の方が最大になる場合もある。
先行鋼片の最大溶融深さと後行鋼片の最大溶融深さの和に対して1.1倍未満では先行鋼片と後行鋼片の接合面同士が板幅全体に関して十分に接触せず、接合強度が不十分となる場合がある。一方、7.0倍を超えると、誘導加熱により昇温していない部分が大きく変形することになりアップセット荷重が過大となり設備的な負荷が大きくなる。
各テーパの長手方向の長さがテーパを有する鋼片の最大溶融深さに対して1.1〜4.0倍(好適条件)
さらに、本発明者らが、テーパ形状による接合強度への影響を調査した結果、各テーパの長手方向の長さがテーパを有する鋼片の最大溶融深さに対して1.1倍以上とすることにより、酸化物を十分排出することが出来ることが明らかとなった。一方、各テーパの長手方向の長さが大き過ぎる場合はアップセットによりテーパ形状を残留させないことが困難となるので、各テーパの長手方向の長さは最大溶融深さに対して4.0倍以下とすることが好ましい。なお、上記各テーパの長手方向の長さとは、先行鋼片の尾端における上面側および下面側、後行鋼片の先端における上面側および下面側、各々におけるテーパの長手方向の長さである。また、テーパがない場合はテーパの長手方向の長さを最大溶融深さに対して1.1〜4.0倍とすることは適用しない。例えば、図12において、上面側のテーパ長さをf、下面側のテーパ長さをg、最大溶融深さをhとした場合、f、gはそれぞれ最大溶融深さhの1.1倍から4.0倍とするのが好ましい。
先行鋼片と後行鋼片のそれぞれにおいて、上面側のテーパの板厚方向の長さと下面側のテーパの板厚方向の長さの合計が板厚の10%以上(好適条件)
上面側のテーパの板厚方向の長さと下面側のテーパの板厚方向の長さの合計が板厚の10%未満では溶鋼の排出経路が十分に確保されず、酸化物が接合界面に残存する。
次に、接合する端部の上面側と下面側にテーパ形状を付与する方法について、説明する。
図17は、本発明の実施形態の一つであり、テーパが付与された先行鋼片と後行鋼片の断面図である。図17において、S1は先行鋼片、S2は後行鋼片、21はテーパの長手方向の長さa、22はテーパの板厚方向の長さb、23は端面、24は傾斜面である。例えば、図17に示すテーパ形状を付与する方法として、図18に示すように、接合面をシャーによりせん断後、接合装置に搬送されるまでの間に、先行鋼片S1、後行鋼片S2をクランプ装置25によりテーパ形状を有する金型26に押圧移動し、加工する方法が上げられる。他にも端面を研削する方法、せん断時のダレ形状により加工する方法が挙げられる。図19、図20は、本発明による別の実施形態例を示す図であり、図19は先行鋼片の尾端部を一直線にせん断し、後行鋼片の先端部の上下面側をテーパ状に加工した例である。また、図20は、先行鋼片の尾端部の下面側をテーパ状に加工し、後行鋼片の先端部の上面側をテーパ状に加工した例である。
図17、図19、図20では、上面側、下面側のそれぞれについて先行鋼片、後行鋼片どちらかもしくは両方に、接合する端部にテーパ形状が付与されており、いずれの場合も本発明の効果を奏する。加工設備や接合する材料の板幅の範囲などを勘案してテーパ形状や形式を選択すればよい。さらに、テーパ形状付与による効果は上下端面に酸化物の排出経路が確保されることによるものである。そのため先行鋼片の尾端と後行鋼片の先端が上下面側で接合面同士が平行にならないことが必要である。そのためには、上面側、下面側それぞれで、テーパが少なくとも1つあれば良い。
さらに、上面側と下面側のテーパ形状は同一でなくてもよい。図21は、本発明による別の実施形態例を示す図であり、上面側のテーパ形状と下面側のテーパ形状が非対称となっている例である。このテーパ形状による酸化物排出促進効果は、アップセット時に板厚方向に流動が起きづらく酸化物が排出されにくい板厚中央に対し、接合面を傾けることで板厚方向に流動が発生することによるものである。この場合についても、上面側、下面面のそれぞれについて先行鋼片、後行鋼片のどちらかもしくは両方の端部にテーパ形状が付与されていれば、本発明の効果を奏する。加工設備や接合する材料の板幅の範囲などを勘案してその形式を選択すればよい。
また、テーパは、長手鉛直断面でみて直線に限らず、±5mm以内の凹凸があっても良い。長手方向の溶融深さは、板幅中心付近が大きく、一方板幅両エッジ付近は溶融しない場合が多い。ゆえに、加熱工程では、先行鋼片及び後行鋼片の各接合面において、全幅に対して50%〜100%の幅範囲が鋼片の液相線温度以上になっていることが好ましい。
以下、実施例に基づいて説明する。
先行鋼片および後行鋼片としてそれぞれ幅1200mm、厚み30mmになるシートバー(4.0質量%Mn鋼。鋼成分は、質量%で、C:0.10%、Si:1.9%、Mn:4.0%、Cr:1.2%、残部はFeおよび不可避的不純物)を図13に示す連続熱間圧延ラインに供した。なお、先行鋼片および後行鋼片のテーパ形状は表1に示す通りである。また、接合装置3内で先行鋼片と後行鋼片の各接合面を5mmの間隙を隔てて対向配置した後、誘導加熱装置10(幅方向の寸法1300mm、長手方向の寸法240mm)によって各接合面を加熱した。このときの加熱条件は投入電力が1000kW、周波数1000Hzで6.0秒間または3.0秒間加熱した。
接合完了後、仕上圧延機の第1スタンドのミルにより板厚2mmまで圧延する接合・圧延を20回行い、接合から仕上げ圧延完了までの間に接合部が破断した確率を求めた。また、接合部より引張試験片を採取し、接合部熱間引張強度(試験温度1000°C)を実施し、母材に対する接合部強度比を求めた。
以上より得られた結果を、各試験片となるシートバーの各テーパ形状の詳細な条件と併せて表1に示す。
なお、本実施例の鋼の液相線温度以上となる領域を、電磁-熱伝導連成有限要素法解析により計算した結果を図22に示す。図22は、横軸が幅位置で、縦軸が板厚位置で板厚1/2(板厚中心)での液相線温度以上の領域の接合面からの長さである。本実施例では、板厚位置では、板厚1/2(板厚中心)の溶融深さが最大であった。図22から、鋼板の板幅エッジ両側は、溶融部分が少なく、板幅中心側は溶融していることが分かる。この電磁−熱伝導連成有限要素法解析は、汎用計算ソフトJMAGを使用し、対象とするシートバー、コイル、磁極芯をモデル化し、シートバーの寸法及び接合面間隙、鋼の電気抵抗、比熱、熱伝導率、密度及び比透磁率、コイル・磁極芯の寸法及びシートバーとの相対的な位置関係、並びに上記加熱条件(加熱時間、投入電力及び周波数)を設定して行った。
本実施例において物性値は下記を用いた。
電気抵抗 120[μΩ・cm]
比熱 350[J/kg/deg C]
熱伝導率 28[W/m/deg C]
密度 7850[kg/m^3]
比透磁率 8
Figure 0006421793
以上より、テーパ形状を付与しアップセット量を適切に設定することにより破断確率が減少することがわかる。
さらに、鋼の液相線温度以上に加熱し、アップセット量を、先行鋼片の最大溶融深さと後行鋼片の最大溶融深さの和に対して1.1〜7.0倍とすることでより一層破断確率が減少することがわかる。
No20では、テーパ形状をa:13.2mm、bを上面:16.0mm、下面10.0mmとし、アップセット量を15.0mmとした場合である。接合部強度が95%とさらに向上した。
1 粗圧延機から出た板材を巻き取るコイルボックス
2 クロップシャー
3 接合装置
4 レベラー
5a、5b、5c ピンチロール
6 脱スケール装置
7 仕上圧延機の第1スタンド
8 クランプ装置
9 クランプ装置
10 誘導加熱装置
11 押圧シリンダ
13 磁極芯
14 コイル
15 電源
16 ルーパ
17 台車
18 鋼片搬送用テーブルローラ
19 レール
20 目違い防止板
21 テーパの長手方向の長さ
22 テーパの板厚方向の長さ
23 端面
24 傾斜面
25 クランプ装置
26 金型
S1 先行鋼片
S2 後行鋼片

Claims (5)

  1. 連続熱間圧延ラインの仕上圧延機の入側で先行鋼片の尾端と後行鋼片の先端とを互いに非接触で対向配置してこの状態で先行鋼片の尾端と後行鋼片の先端とを加熱する加熱工程と、加熱された先行鋼片の尾端と後行鋼片の先端とを突き合わせて押圧接合する接合工程とを備え、先行鋼片及び後行鋼片の内の少なくとも一方が鋼より高い融点の酸化物を生成する元素を含む鋼種である場合の連続熱間圧延における鋼片の接合方法であって、
    接合する端部の上面側と下面側にテーパ形状を付与し、
    前記接合工程で、アップセット量を、上面側における先行鋼片のテーパと後行鋼片のテーパの長手方向の長さの和以上および下面側における先行鋼片のテーパと後行鋼片のテーパの長手方向の長さの和以上とすることを特徴とする連続熱間圧延における鋼片の接合方法。
  2. 前記加熱工程で、先行鋼片の尾端と後行鋼片の先端とを鋼片の液相線温度以上まで加熱し、
    前記接合工程で、アップセット量を、先行鋼片の最大溶融深さと後行鋼片の最大溶融深さの和に対して1.1〜7.0倍とすることを特徴とする請求項1に記載の連続熱間圧延における鋼片の接合方法。
  3. 前記テーパ形状は、各テーパの長手方向の長さが該テーパを有する鋼片の最大溶融深さに対して1.1〜4.0倍であり、
    かつ、テーパ形状が付与された先行鋼片とテーパ形状が付与された後行鋼片のそれぞれにおいて、上面側のテーパの板厚方向の長さと下面側のテーパの板厚方向の長さの合計が板厚の10%以上である
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の連続熱間圧延における鋼片の接合方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の接合方法を用いることを特徴とする連続熱間圧延方法。
  5. 請求項4に記載の連続熱間圧延方法を用いることを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
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