JP5857989B2 - 熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

熱延鋼板の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5857989B2
JP5857989B2 JP2013051553A JP2013051553A JP5857989B2 JP 5857989 B2 JP5857989 B2 JP 5857989B2 JP 2013051553 A JP2013051553 A JP 2013051553A JP 2013051553 A JP2013051553 A JP 2013051553A JP 5857989 B2 JP5857989 B2 JP 5857989B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sheet
bar
hot
sheet bar
rolling
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013051553A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014176864A (ja
Inventor
三宅 勝
勝 三宅
日野 善道
善道 日野
森 和哉
和哉 森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2013051553A priority Critical patent/JP5857989B2/ja
Publication of JP2014176864A publication Critical patent/JP2014176864A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5857989B2 publication Critical patent/JP5857989B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Metal Rolling (AREA)

Description

本発明は、シートバー接合部の板幅方向エッジ部周辺の接合性を改善することにより、完全連続熱間圧延での板破断を防止することが可能な熱延鋼板の製造方法に関するものである。
熱延鋼板の製造プロセスでは、仕上板厚が薄いほど仕上圧延中に先端部の突っかけや尾端部の絞りや折れ込みといったトラブルが発生しやすく、それらのトラブルは復旧のためのロール組み替えや板切れした材料の除去に時間を要することから、ラインの能率を大きく低下させる要因となっている。
これは、板圧延では圧延機各部のガタや圧延ロール摩耗などのハード的な非対称性、材料の非対称な温度分布、そしてシートバーの鼻曲がりと呼ばれる局所曲がりやキャンバと呼ばれる全長にわたる大曲り等により、圧延方向に対して圧延機が非対称性に変形することが主な発生原因である。そして、特に張力のかからない先尾端部で不安定な圧延状態となりやすく、かつ仕上板厚が薄くなるほど影響を受けやすくなる。また、仕上板厚が薄くなるほど、仕上圧延後の冷却テーブル上にて先端部のフライング現象(空気抵抗による浮き上がり現象)が発生しやすくて圧延速度を低下させる必要があり、圧延能率低下の要因となっている。
このようなことから、従来の1本のスラブより1つの熱延鋼板コイルを順番に製造するバッチ圧延プロセスでは、製造可能な最小板厚が1.2mm程度に限られていた。
このような状況を打開するための対策として、例えば、図12に示す熱延鋼板圧延設備(加熱炉10、粗圧延機11、コイルボックス12、接合装置13、仕上圧延機14、水冷装置15、コイラー16)を用いて熱間スラブを粗圧延した後、先行シートバーの尾端部と後行シートバーの先端部を接合して仕上圧延することにより、複数本のスラブから連続して複数の熱延鋼板コイルを製造する完全連続熱間圧延方法が実用化されている。
完全連続熱間圧延方法では、最先端のコイルの先端部と連続化最後のコイルの尾端部以外では、仕上圧延中は張力を負荷した状態でほぼ定常的な圧延状態となるため、仕上圧延機内での通板が非常に安定し、絞り等のトラブルもほとんど発生することなく圧延が可能である。そして、走間板厚変更技術や走間コイル切断、巻き取り技術等と組合せ、1.0mm以下の薄物熱延鋼板を含め、異なる仕上板厚の熱延鋼板コイルの連続製造も可能となっている。
実用化されているシートバーの接合方式としては、シートバーの接合面を融点近傍まで加熱し、接合面をアップセットすることにより接合するものである。
この際、接合面近傍の加熱は誘導加熱方式にてシートバーの板厚方向に磁束を貫通させ、誘導電流によるジュール熱により急速に昇温し、わずか数秒の間で加熱、アップセットして接合を終了する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
また、接合部の板幅方向エッジ周辺の温度を上げて接合性を向上させるため、接合部の両エッジの外側にエッジ加熱専用の高周波コイルを設置することが提案されている(例えば、特許文献2)。
また、同じく板幅方向のエッジ部周辺の接合性を向上させる技術として、板厚方向に貫く交番磁界を印加して接合部を板幅方向の全域にわたって加熱・昇温するとともに、温度変動の大きい領域には該交番磁束と逆向きの交番磁束を発生させることにより、板幅方向エッジ部の温度分布を改善する技術が提案されている(例えば、特許文献3)。
そして、接合部の板幅方向エッジ部周辺に磁性体を配置して板厚方向に貫く交番磁界を印加することにより、板幅方向エッジ部の温度分布を改善する技術が提案されている(例えば、特許文献4)。
特開昭62−234679号公報 特開平7−164018号公報 特開平8−1203号公報 特開平8−1202号公報
「板圧延の理論と実際」社団法人日本鉄鋼協会、p.73
しかし、前記した誘導加熱によるシートバー接合加熱方式に関する従来技術(特許文献1〜4)では、各々以下のような問題点を有していた。
まず、特許文献1に開示されている技術では、交番磁界によって発生する周回電流が接合部の板幅方向エッジ部付近を迂回する現象が発生するため、板幅方向エッジ部近傍の温度が上がらないことから、半溶融状態となっている板幅中央部にくらべて、板幅方向エッジ部は低温で硬度が高くなる。このため、接合面を突合せてアップセットする際、この板幅方向エッジ周辺の未溶融部分が抵抗となってアップセット荷重が増大し、アップセット量が不足するなど板幅方向全体の接合状態に悪影響を及ぼすことが不可避であり、仕上圧延の通板中に接合部からの板破断が起こる確率が高くなるという問題点があった。
これに対し、特許文献2〜特許文献4に開示されている技術は、特許文献1にて問題となる板幅方向エッジ部温度の改善方法として考案された技術であるが、以下のような問題点があった。
特許文献2は接合部全域に交番磁束を印加するための誘導加熱コイルとは別の板幅方向エッジ部専用の誘導加熱コイルを配置して板幅方向エッジ部温度の改善を図るものであり、確実に板幅方向エッジ部の温度を改善する効果は認められるものの、設備の大型化と建設コストの増大が不可避であった。
そして、特許文献3では板幅方向エッジ部温度の改善は認められるものの、依然として最エッジ部近傍では迂回電流により温度上昇がほとんど得られないことから、板幅方向エッジ部の接合性に問題を残していた。
また、特許文献4では板幅方向エッジ部周辺に磁性体を配置し、磁束密度を高めることにより板幅方向エッジ部周辺の温度上昇量を改善するものであるが、板幅方向エッジ部の温度を改善する効果は認められるものの、磁性体の配置のために加熱用コイルの上下位置調整等が必要であり、設備の大型化が不可避であった。
本発明は、上述した従来技術の問題点を克服すべく鋭意検討を重ねてなされたものであり、接合装置の大型化を伴うことなく、シートバー接合部の板幅方向エッジ部周辺の接合性を改善することにより、完全連続熱間圧延での板破断を防止することが可能な熱延鋼板の製造方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討を重ね、シートバー接合部の板幅方向エッジ部周辺の接合性を改善することにより、完全連続熱間圧延での板破断を防止することが可能な熱延鋼板の製造方法を想到した。
すなわち、本発明は以下のような特徴を有している。
[1]熱間圧延ラインの仕上圧延の直前にて、先行シートバーの尾端部と後行シートバーの先端部をシャーにて剪断した後に加熱、アップセットして接合し、連続的に仕上圧延することにより、複数本のスラブから連続して複数の熱延鋼板コイルを製造する完全連続熱間圧延方法を用いて熱延鋼板を製造するに際して、
先行シートバーあるいは後行シートバーの少なくとも一方の接合端面の形状を所定の凹形状に成形し、先行シートバーと後行シートバーが接触しない状態にて所定の誘導加熱を加えた後、一旦、誘導加熱電流を切った状態にて先行シートバーと後行シートバーを接する状態とし、その後、再び所定の誘導加熱を加えた後に所定のアップセット量にてアップセット接合を行うことを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
[2]粗圧延工程でのサイジングプレスおよび/またはエッジャーによる幅圧下量を調整して、先行シートバーの尾端部または後行シートバーの先端部のいずれか一方または双方の平面形状をフィッシュテール形状とし、その後、シャーによりフィッシュテール部を切断して、平面形状が板幅中央部の凹み量が10mm以下の凹形状となるようにすることを特徴とする前記[1]に記載の熱延鋼板の製造方法。
[3]先行シートバーの尾端部または後行シートバーの先端部のいずれか一方または双方の平面形状がフィッシュテール形状となるよう、粗圧延工程でのサイジングプレスおよび/またはエッジャーによる幅圧下量を調整し、粗圧延最終パス出側にて先行シートバーの尾端部または後行シートバーの先端部のいずれか一方または双方の平面形状を測定してシャーでの切断位置を決定することを特徴とする前記[1]または[2]に記載の熱延鋼板の製造方法。
[4]先行シートバーと後行シートバー間のアップセット量を、10〜30mmで、かつ先行シートバーの尾端部あるいは後行シートバーの先端部のいずれかに形成した板幅中央部の凹み量の2倍以上とすることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載の熱延鋼板の製造方法。
本発明による熱延鋼板の製造方法によれば、シートバー接合部の板幅方向エッジ部周辺の接合性を改善することが可能であり、完全連続熱間圧延での板破断を防止して安定した圧延が可能となる。
シートバー先端部あるいは尾端部のフィッシュテール形状の一例を示す図である。 本発明によるシートバー先端部あるいは尾端部のシャー切断後の凹形状の一例を示す図である。 本発明によるシートバー先端部あるいは尾端部のシャー切断後の凹形状の他の例を示す図である。 本発明による第1の誘導加熱工程後の温度分布を示す図である。 本発明による第1の誘導加熱工程後に先行シートバーと後行シートバーの接合面を接触させた状態を示す図である。 本発明による第2の誘導加熱工程後の温度分布を示す図である。 本発明による第2の誘導加熱工程における誘導電流の流れを示す図である。 従来のシートバーの接合方法を示す図である。 シートバーの誘導加熱による誘導電流の流れを示す図である。 クロップ切断位置を示す図である。 クロップ形状測定方法を示す図である。 熱延鋼板の製造設備を示す図である。
本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
図8は、従来のシートバー接合方法を上面から見た図であり、先行シートバー1の尾端部と後行シートバー2の先端部を、各々、シャーにて板幅方向に一直線に切断(剪断)し、矩形形状となったシートバーの接合面同士を数mm隔てた状態に保ちながら誘導加熱コイル3にて交番磁束を印加している状態である(トランスバース誘導加熱方式)。
この際、図9に示すように、各々のシートバー先尾端近傍に誘導電流5が発生して接合面近傍の温度が急激に上昇する。通常、シートバーの板厚は25mm〜50mm程度であり、仕上圧延前の温度は1000℃〜1100℃程度である。この温度よりシートバー端を加熱して接合を行うが、鋼の溶融が始まる温度(固相線)は含有する炭素量によって変化するものの、薄板用途として使われる成分の鋼種を半溶融状態として接合するためには、少なくとも1450℃〜1500℃程度まで加熱する必要がある。完全連続熱間圧延では、先行シートバーを仕上圧延しながら後行シートバーとの接合を行う必要があることから、設備スペースや加熱効率の観点から少なくとも200℃/sec程度以上の昇温能力を持つ誘導加熱装置を用い、誘導加熱からアップセットまで数秒の間に接合を完了することが望ましい。
しかしながら、この方式によって発生する誘導電流は、特性上、図9に示すように、矩形シートバーの角部を迂回してしまうため(誘導電流迂回領域8)、板幅中央部を固相線以上の温度まで加熱できたとしても、板幅方向エッジ部周辺の温度を大きく上昇させることは困難である。誘導加熱装置の出力を極端に上げて板幅方向エッジ部周辺温度を固相線以上とした場合、板幅中央部付近の温度はさらに上昇して液相線を超えて溶け落ちてしまうため、通常は板幅中央部の温度が固相線以上、液相線未満の間となるように加熱条件を狭い範囲で設定している。
上述したように、図8は、従来のシートバー接合法にて接合面近傍を加熱し、両シートバーをアップセットして接合する状況を示す図であり、ハッチング領域4は半溶融状態の領域を表している。通常、板幅方向エッジから50mm程度までは迂回電流による昇温不足領域6であり、アップセット時にも完全な固体の状態である。アップセットにより、半溶融部4は板厚方向に押し出されながら変形が進行して接合状態となるが、板幅方向エッジ部は完全な固体状態のまま強接触するため(強接触部7)、板幅方向の外側に向かって両エッジが張り出す方向に塑性変形する。このような状況では、板幅方向エッジ部の強接触部7がアップセット変形に抗する抵抗となっており、必要以上に大きなアップセット力が必要となる。
このため、特に高張力鋼などの硬質材や広幅材ではアップセット荷重が高荷重となって設備能力を超えてしまうことから、仕上圧延を実施するために十分な接合強度を得るためのアップセット変形を加えることが困難となる。
特に、近年、地球環境問題により自動車軽量化のニーズが急拡大し、薄板の高張力化に対する要求が急速に高まっており、強度を上げるためにSi、Cr、Moといった合金成分が多用されている。これら強化合金の酸化物の融点は鋼の融点よりも高いことから、シートバーの接合時には接合界面に固体として残存しやすく、接合強度を低下させる要因となっている。
このことから、アップセット変形による板厚方向の材料流れにより、接合界面付近の酸化物を接合界面より排出することが望ましく、必要十分なアップセット量を実現することが重要である。なお、ここでのアップセット量は、両シートバーの板長手方向での圧縮方向の移動量と定義する。
そこで、本発明者らは、この板幅方向エッジ低温部の未接合状態を解消し、全板幅領域にて接合強度を確保する手段として、先行シートバー尾端部または後行シートバー先端部のいずれかの平面形状を凹形状とし、2段階にて誘導加熱を実施することによりシートバーの板幅方向エッジ部にいたるまでの領域の温度を融点以上まで昇温させることを着想した。
すなわち、図4に示すごとく、第1回目の誘導加熱工程では平面形状が凹形状のシートバー(本例では、後行シートバー2)と矩形のシートバー(本例では、先行シートバー1)を接触しない状態にて誘導加熱コイル3にて交番磁束を印加する。この際、シートバー1、2を貫通する磁束にて発生する誘導電流により、両シートバー1、2の板幅方向エッジ角部を除く外周部では急速に温度が上昇する。この段階では、対峙する両シートバー1、2の接合端面近傍の温度が固相線温度以上、液相線温度以下である所定温度になるように加熱出力と加熱時間を設定する。
そして、所定の加熱が終了した後、次ステップにて、図5に示すごとく、両シートバー1、2の接合端面を接触させる。この際、片方のシートバー2の先端は凹形状に形成されていることから、両シートバー1、2の接触部は凹部の先端の平行部となる。第2回目の誘導加熱工程は、この状態にてコイル3に交番磁束を印加することによって板幅方向エッジ部温度の上昇を図る。
すなわち、図6に示すように、第2の誘導加熱工程では誘導電流が両シートバー1、2の接触界面を貫通して流れ、大きなループを形成し、誘導電流は外周側に集まって流れる性質であることから、図7に示すごとく、板幅方向エッジ部近傍の温度が急激に上昇することとなる。
この際、第1回目の誘導加熱工程にて固液共存状態となっている領域には誘導電流がほとんど流れないが、固液共存状態から凝固する際に、周辺雰囲気に熱が放熱される一方、凝固潜熱が発生するためしばらくの間は半凝固状態が保持されて温度変化が非常に小さい状態となる。このため、第1回目の加熱から第2回目の加熱終了までを数秒以内で実施することにより、板幅方向全域にわたって固相線温度以上の状態を保つことが可能である。
そして、第2回目の誘導加熱工程を実施後、すみやかに両シートバー1、2をアップセットすることにより、板幅方向全域にわたって強固な接合状態を得ることが可能となるわけである。
さて、本発明では、先行シートバー尾端部あるいは後行シートバー先端部のいずれかの平面形状を、粗圧延工程にて積極的にフィッシュテール形状に成形することが好ましい。
図12には示していないが、粗圧延工程ではサイジングプレス、エッジャー(縦型圧延機)によって幅圧下を行っており、図1は粗圧延工程でのサイジングプレス、エッジャー(縦型圧延機)による幅圧下量を調整して成形した平面形状(フィッシュテール)の模式図である。熱間圧延の粗工程では、同一幅のスラブより異なる板幅の製品を作り分ける目的にてスラブの大幅圧下が可能なサイジングプレス装置が設置され、最大300mm程度の幅変更を可能としている。また、粗圧延工程では、水平圧延にて発生する幅広がり量を補償する目的にて、各水平圧延の直前にてエッジャーによって10〜30mm程度の幅圧下が行われている。いずれの幅圧下工程においても、変形は板幅端部に集中しやすいことから板幅端部周辺にドッグボーンと呼ばれる凸型の増肉形状が板厚断面に形成されやすい。そして、このドッグボーンは水平圧延にて板幅方向に変形するとともに圧延方向にも伸びることから、粗圧延後のシートバーの先端部と尾端部には板幅中央部に比べて板幅端部周辺の長さが長いフィッシュテールと呼ばれる平面形状が形成されやすくなる。
通常、このフィッシュテールは、仕上圧延前のシャーにて切断後のシートバーの平面形状が矩形になるように切断されている。これは、板厚が薄くなる仕上圧延では、シートバー先端部および尾端部の平面形状が非対称な形状の場合、圧延によって曲がりや蛇行が発生して通板が不安定となりやすく、シャーにて矩形形状に成形することにより通板の安定化を図っているためである。
しかしながら、本発明ではフィッシュテール部の完全な切断除去は行わず、図2に示すごとく、図1のフィッシュテールの両先端部を切断して凹形状に成形する。
通常、突合せ方式でのシートバーの接合では、接合のためのアップセット量を10〜30mmとしている。これは、安定的な接合を確立するとともに、かつ過度の接合荷重の増大を防いで接合装置を保護するためである。なお、アップセット量とは両シートバーの接近距離である。このため、凹み形状シートバーの凹み深さはその後にアプセットによる接合を考慮し、10mm以下とすることが望ましい。
このため、本発明では、粗圧延工程の最終圧延パス出側にて、クロップ形状測定装置により先行シートバーの尾端部および後行シートバーの先端部の平面形状を正確に測定し、フィッシュテール形状に成形されているクロップ凹部の最谷部を基準として長手方向10mm以下の設定によりシャーでの切断位置を決定することが好ましい(図10)。そして、シートバー先端部の位置をセンサーにより正確にトラッキングし、先に決定した切断位置にて、シャーによる剪断タイミングを精密に設定することにより実現可能である。
なお、上記のように、先行シートバーの尾端部や後行シートバーの先端部の平面形状を測定するには、図11に示すように、粗圧延最終圧延機10の出側にクロップ形状測定装置11を設置して、平面形状を測定すればよい。
図11のクロップ形状測定装置11は、上部投光部からシートバーの上面に対して板幅方向に線状に投光した光がシートバーにより遮られるので、下部受光部にて感知した光の端を長手方向につなげることによってクロップ形状を認識するリニアセンサカメラ方式のものであるが、CCDカメラによって撮影したデジタル画像を電子的に処理する方式のものでもよい。
そして、第2の誘導加熱工程の後のアップセット量は、切断後のシートバー端部の凹み深さの2倍以上とすることが好ましい。これは、凹形状シートバー端部の凹み部を完全に他方のシートバー端部と接着させ、かつ接合界面の酸化物を排出させるためである。
なお、図1、2では、模式的に左右対称な平面形状を示しているが、実際の操業では加熱炉内での偏熱やエッジャーでの非対称圧延等により、フィッシュテールの左右の長さや幅が非対称となることがある。
しかしながら、本発明による方法では多少の非対称性は全く問題とはならず、図3に示すごとく、シャーによる切断後の凹形状の左右の凸の幅が異なる場合においても、第2回目の誘導加熱工程では誘導電流は外周側に集まって流れる性質であることから、板幅方向エッジ部近傍の温度上昇領域はほとんど変わらない。また、この性質により、シートバーに形成する凹形状の凹み幅の影響もほとんど無く、第2の誘導加熱工程では板幅中央部に凹部、すなわち未接触部があることが必要十分条件である。
シャーによる切断後のフィッシュテール部の板幅中央部の凹部の最大凹み量が10mm以下であることが望ましく、アップセット量は板幅中央部の凹部の最大凹み量の2倍以上であることが好ましい。
本発明の効果について実施例に基づいて説明する。
対象とした材料は、常温での引張強さが590MPa級の高張力鋼であり、先行材、後行材ともに260mm厚み、1750mm幅のスラブより粗加工工程を経て厚み28mm、板幅1500mmのシートバーに成形した。この際、サイジングプレスによる幅圧下量は300mmであり、粗圧延工程での各水平圧延前のエッジングによる幅圧下量は、(1)式に示すSiebelの式(例えば、非特許文献1参照)にて算出される水平圧延による幅広がり量ΔWに幅圧下効率を加味して設定した。
ΔW=C・Ld・Δh/H ・・・(1)
(1)式にて、Cは定数(=0.35)、Ldは圧下量と圧延ロール径より決定される圧延中の圧延ロールと材料の接触長、Δhは圧下量、Hは圧延前の板厚である。
全ての条件にて接合加熱前のシートバー温度が1050℃程度となるように加熱炉でのスラブの加熱温度を設定した。シートバー接合部を加熱するための誘導加熱条件は、周波数1kW、投入電力は1060kWである。接合装置前のシャーのせん断刃の形状を変えることにより、先行シートバーの尾端部あるいは後行シートバーの先端部の平面形状を矩形あるいは凹形状に形成した。なお、シャーによる切断後のシートバーの平面形状は、シャー直後にライン上部に設置したCCDカメラにて確認した。
そして、(2)式にて凹形状の左右の先端平行部幅の和Wtとシートバー全幅Wの比を算出し、界面接触幅比Wとして整理した。
=Wt/W×100(%) ・・・(2)
アップセット量は15mmと25mmの2水準とした。そして、シートバーの接合後、仕上圧延前に設置してある別のシャーを用い、長手方向に接合部を跨いで500mm程度の長さのサンプルを切り出し、常温まで冷却後に接合部の状況を観察した。
表1に、各接合条件での接合部の板幅方向片端のエッジ部未接合部長さ(両エッジの平均値)とアップセット荷重の比較を示す。
表1に示すように、図8に示す従来の接合方式である凹み量0mmとなる矩形断面のシートバー同士の接合を行った従来例(No.9、10)では、エッジ部未接合部長さが180mm以上と悪化したのに対し、本発明に基づいてシートバーの接合を行った本発明例(No.1〜8)では、いずれもシートバーの段階ではエッジ部未接合部長さが0mmと良好であった。また、アップセット荷重も、従来例(No.9、10)に比べて、本発明例(No.1〜8)では低減した。
さらに、表1の条件と全く同じ条件にてシートバーの接合を行った後に、仕上圧延を行った。その際に、仕上圧延後の冷却テーブル上に設置したCCD方式のカメラにて仕上圧延後の接合部を観察した。板幅方向エッジからの未接合部長さ、あるいは板幅中央部での未接合部長さの合計が50mm未満であれば◎、50mm以上で100mm未満であれば○、100mm以上で200mm未満あれば△、そして未接合部長さが200mm以上または接合部が破断した場合には×と評価し、その仕上圧延後の評価を表1に示した。
表1に示すように、従来例(No.9、10)はいずれも仕上圧延後の評価が×であった。すなわち、アップセット量15mmの場合(No.9)は、未接合部長さが200mm以上であった。アップセット量25mmの場合(No.10)は、仕上圧延機内にて接合部が破断した。
これに対して、本発明例(No.1〜8)は仕上圧延後の評価が◎か○か△であった。特に、板幅中央部の凹部最大凹み量Δmaxが10mm以下で、アップセット量Aと板幅中央部の凹部最大凹み量Δmaxとの比A/Δmaxが2以上の本発明例(No.1、2、4、5、6)は全て◎または○の評価であり、安定した仕上圧延が可能であることが確認された。また、それ以外の本発明例(No.3、7、8)は△の評価であったが、安定した連続熱間圧延が可能であった。
Figure 0005857989
1 先行シートバー
2 後行シートバー
3 誘導加熱コイル
4 半溶融部
5 誘導電流
6 昇温不足領域
7 固体状態で強接触した領域
8 シートバー角部の誘導電流迂回領域
10 加熱炉
11 粗圧延機
12 コイルボックス
13 接合装置
14 仕上圧延機
15 水冷装置
16 コイラー
17 粗圧延最終圧延機
18 クロップ形状測定装置

Claims (4)

  1. 熱間圧延ラインの仕上圧延の直前にて、先行シートバーの尾端部と後行シートバーの先端部をシャーにて剪断した後に加熱、アップセットして接合し、連続的に仕上圧延することにより、複数本のスラブから連続して複数の熱延鋼板コイルを製造する完全連続熱間圧延方法を用いて熱延鋼板を製造するに際して、
    先行シートバーあるいは後行シートバーの少なくとも一方の接合端面の形状を所定の凹形状に成形し、先行シートバーと後行シートバーが接触しない状態にて所定の誘導加熱を加えた後、一旦、誘導加熱電流を切った状態にて先行シートバーと後行シートバーを接する状態とし、その後、再び所定の誘導加熱を加えた後に所定のアップセット量にてアップセット接合を行うことを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
  2. 粗圧延工程でのサイジングプレスおよび/またはエッジャーによる幅圧下量を調整して、先行シートバーの尾端部または後行シートバーの先端部のいずれか一方または双方の平面形状をフィッシュテール形状とし、その後、シャーによりフィッシュテール部を切断して、平面形状が板幅中央部の凹み量が10mm以下の凹形状となるようにすることを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼板の製造方法。
  3. 先行シートバーの尾端部または後行シートバーの先端部のいずれか一方または双方の平面形状がフィッシュテール形状となるよう、粗圧延工程でのサイジングプレスおよび/またはエッジャーによる幅圧下量を調整し、粗圧延最終パス出側にて先行シートバーの尾端部または後行シートバーの先端部のいずれか一方または双方の平面形状を測定してシャーでの切断位置を決定することを特徴とする請求項1または2に記載の熱延鋼板の製造方法。
  4. 先行シートバーと後行シートバー間のアップセット量を、10〜30mmで、かつ先行シートバーの尾端部あるいは後行シートバーの先端部のいずれかに形成した板幅中央部の凹み量の2倍以上とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱延鋼板の製造方法。
JP2013051553A 2013-03-14 2013-03-14 熱延鋼板の製造方法 Active JP5857989B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013051553A JP5857989B2 (ja) 2013-03-14 2013-03-14 熱延鋼板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013051553A JP5857989B2 (ja) 2013-03-14 2013-03-14 熱延鋼板の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014176864A JP2014176864A (ja) 2014-09-25
JP5857989B2 true JP5857989B2 (ja) 2016-02-10

Family

ID=51697378

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013051553A Active JP5857989B2 (ja) 2013-03-14 2013-03-14 熱延鋼板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5857989B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6562084B2 (ja) * 2015-11-25 2019-08-21 Jfeスチール株式会社 熱延鋼板及びその製造方法
JP6988849B2 (ja) * 2019-03-14 2022-01-05 Jfeスチール株式会社 連続熱間圧延における鋼片の接合装置および接合方法、連続熱間圧延設備および連続熱間圧延方法、熱延鋼板の製造装置および熱延鋼板の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014176864A (ja) 2014-09-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2588756C2 (ru) Способ разрезания непрерывнолитого сляба для последующей горячей прокатки
KR102221665B1 (ko) 냉간 압연기 및 냉간 압연 방법
JP6382325B2 (ja) テーラード鋳造ブランクを形成する方法
CN104625377B (zh) 酸连轧生产线闪光对焊低合金高强钢的焊接工艺
JP5857989B2 (ja) 熱延鋼板の製造方法
KR102192629B1 (ko) 돌출 릿지부를 갖는 금속판의 제조 방법, 돌출 릿지부를 갖는 금속판, 및 구조 부품
JP5884753B2 (ja) 熱延鋼板の製造方法
JP4759499B2 (ja) 組み立てスラブの圧延におけるせん断とクロップロスを減ずる方法
JP6643279B2 (ja) 高級鋼連続熱間圧延方法
JP2014180694A (ja) 熱延鋼板の製造装置及び製造方法
JP5817430B2 (ja) シートバーの接合方法
JP2014184445A (ja) 熱延鋼板の製造方法
JP6421793B2 (ja) 連続熱間圧延における鋼片の接合方法、連続熱間圧延方法、および熱延鋼板の製造方法
JP2007175767A (ja) 低炭素鋼連続熱間圧延材の剪断接合方法及び連続熱間圧延設備
JP6269548B2 (ja) 熱延鋼板の製造方法
JP7229759B2 (ja) アルミニウム合金クラッド金属板の製造方法
KR102103367B1 (ko) 열연 강대의 제조 설비열 및 열연 강대의 제조 방법
JP6852339B2 (ja) 自動車用鋼板およびその製造方法
JP6443411B2 (ja) 連続熱間圧延における鋼片の接合方法
JP6593314B2 (ja) 鋼帯のノッチング方法、冷間圧延方法および冷延鋼帯の製造方法
JP6409848B2 (ja) 連続熱間圧延における鋼片の接合方法、連続熱間圧延方法および熱延鋼板の製造方法
KR101580589B1 (ko) 연속 열간 압연에 있어서의 시트바의 접합 방법
JP6188606B2 (ja) 冷間圧延におけるセットアップ条件の決定方法
JP5861791B2 (ja) 熱延鋼板の製造方法
CN107138528A (zh) 一种铝窄带的生产工艺

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141027

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151005

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20151117

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20151130

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5857989

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250