液体噴射システムを例に、実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図面において、それぞれの構成を認識可能な程度の大きさにするために、構成や部材の縮尺が異なっていることがある。
本実施形態における液体噴射システム1は、図1に示すように、液体噴射装置の一例であるプリンター3と、液体供給装置の一例であるインク供給装置4と、を有している。プリンター3は、搬送装置5と、記録部6と、移動装置7と、中継装置9と、制御部11と、を有している。なお、図1には、相互に直交する座標軸であるXYZ軸が付されている。これ以降に示す図についても必要に応じてXYZ軸が付されている。本実施形態では、X軸とY軸とによって規定される水平な平面(XY平面)に液体噴射システム1を配置した状態が、液体噴射システム1の使用状態である。Z軸は、水平な平面に直交する軸である。液体噴射システム1の使用状態において、Z軸方向が鉛直上方向となる。そして、液体噴射システム1の使用状態では、図1において、−Z軸方向が鉛直下方向である。なお、XYZ軸のそれぞれにおいて、矢印の向きが+(正)の方向を示し、矢印の向きとは反対の向きが−(負)の方向を示している。
搬送装置5は、記録用紙などの記録媒体Pを、Y軸方向に間欠的に搬送する。記録部6は、搬送装置5で搬送される記録媒体Pに、液体の一例であるインクで記録を行う。移動装置7は、記録部6を、X軸に沿って往復移動させる。インク供給装置4は、中継装置9を介して記録部6にインクを供給する。中継装置9は、インク供給装置4と記録部6との間に設けられており、インク供給装置4からのインクを記録部6に中継する。制御部11は、上記の各構成の駆動を制御する。
搬送装置5は、図1に示すように、駆動ローラー12Aと、従動ローラー12Bと、搬送モーター13と、を有している。駆動ローラー12A及び従動ローラー12Bは、互いに外周を接し合って回転可能に構成されている。搬送モーター13は、駆動ローラー12Aを回転駆動するための動力を発生する。搬送モーター13からの動力は、伝動機構を介して駆動ローラー12Aに伝達される。そして、駆動ローラー12Aと従動ローラー12Bとの間に挟持した記録媒体PをY軸方向に間欠的に搬送する。
記録部6は、キャリッジ17と、記録ヘッド19と、を備えている。記録ヘッド19は、液体噴射部の一例であり、インクをインク滴として吐出して、記録媒体Pに記録を行う。キャリッジ17は、記録ヘッド19を搭載している。なお、記録ヘッド19は、フレキシブルケーブル31を介して制御部11に接続されている。記録ヘッド19からのインク滴の吐出は、制御部11によって制御される。
移動装置7は、図1に示すように、タイミングベルト43と、キャリッジモーター45と、ガイド軸47と、を備えている。タイミングベルト43は、一対のプーリー41A及びプーリー41B間に張設されている。一対のプーリー41A及びプーリー41Bは、X軸に沿って並べられている。このため、タイミングベルト43は、X軸に沿って張設されている。キャリッジモーター45は、プーリー41Aを回転駆動するための動力を発生する。ガイド軸47は、X軸に沿って延在している。ガイド軸47は、両端が図示しない筐体に支持されており、キャリッジ17をX軸に沿ってガイドする。
キャリッジ17は、タイミングベルト43の一部に固定されている。キャリッジ17には、キャリッジモーター45からプーリー41A及びタイミングベルト43を介して動力が伝達される。そして、キャリッジ17は、伝達された動力によって、X軸に沿って往復移動可能に構成されている。
インク供給装置4には、図1に示すように、液体供給セットの一例であるインク供給セット50が着脱自在に装着される。また、インク供給装置4は、カバーの一例であるケース53を有している。なお、本実施形態では、インク供給装置4に、複数の(本実施形態では4つの)インク供給セット50を装着することができる。4つのインク供給セット50は、ケース53に収容される。これにより、インク供給セット50をケース53で覆うことができる。このため、インク供給セット50をケース53で保護することができるので、例えば、インク供給セット50にほこりなどが付着することや、インク供給セット50が損傷することを避けやすい。
ケース53内には、インク供給セット50を支持する着脱ユニット(後述する)が設けられている。4つのインク供給セット50は、着脱ユニットに対して着脱可能に支持されている。各インク供給セット50は、液体収容部の一例であるインク収容部を有している。インクは、可撓性を有するシートで構成されたインク収容部に密封されている。液体噴射システム1では、インク収容部内のインクが消費されると、新たなインク供給セット50に交換される。
各インク供給セット50のインク収容部には、着脱ユニット(図示せず)を介してインク供給チューブ57が接続される。流路部材の一例であるインク供給チューブ57は、インク供給装置4から中継装置9に接続されている。中継装置9は、ポンプの一例であるポンプユニット59を有している。ポンプユニット59は、インク供給装置4に装着されたインク供給セット50のインク収容部内のインクを汲み上げる。そして、ポンプユニット59は、インク供給セット50のインク収容部から汲み上げたインクを、インク供給チューブ61を介して記録ヘッド19に送り込む。これにより、インク供給装置4から記録ヘッド19へのインクの供給をポンプユニット59で補助することができる。このように、インク供給セット50のインク収容部内のインクがインク供給装置4から中継装置9を介して記録ヘッド19に供給される。そして、記録ヘッド19に供給されたインクが、記録媒体P側に向けられたノズル(図示せず)からインク滴として吐出される。なお、上記の例では、中継装置9とインク供給装置4とを個別の構成として説明したが、中継装置9をインク供給装置4の構成に含めることもできる。また、中継装置9をプリンター3の構成に含めることもできる。
上記の構成を有する液体噴射システム1では、搬送モーター13の駆動が制御部11によって制御され、搬送装置5が記録媒体Pを記録ヘッド19に対向させながら、Y軸方向に間欠的に搬送する。このとき、制御部11は、キャリッジモーター45の駆動を制御して、キャリッジ17をX軸に沿って往復移動させながら、記録ヘッド19の駆動を制御して、所定の位置でインク滴を吐出させる。このような動作によって、記録媒体Pにドットが形成され、この記録媒体Pに画像データなどの記録情報に基づく記録が行われる。
インク供給セット50の種々の実施例について説明する。なお、以下においては、インク供給セット50を実施例ごとに識別するため、インク供給セット50の符号に、実施例ごとに異なるアルファベット文字を付記する。
(実施例1)
実施例1のインク供給セット50Aは、図2に示すように、液体収容体の一例であるインク収容体63を有している。インク収容体63は、液体収容部の一例であるインク収容部82と、接続ユニット83と、を有している。インク収容部82は、図3に示すように、可撓性を有するフィルム材82Aと、可撓性を有するフィルム材82Bと、可撓性を有するフィルム材82Cと、を有している。フィルム材82Aとフィルム材82Bとは、互いに重ねられた状態で、周縁領域85で互いに溶着されている。フィルム材82Cは、フィルム材82Aとフィルム材82Bとによって挟まれている。フィルム材82Cの周縁は、周縁領域85に重ねられた状態でフィルム材82A及びフィルム材82Bに溶着されている。
これにより、インク収容部82は、フィルム材82Cを底部とする袋状の形態を有している。インク収容部82の内部に、インクが収容される。このため、インク収容部82は、液体の一例であるインクを収容するインク収容部としての機能を有する。そして、インク収容部82は、少なくとも一部が可撓性を有しているので、インク収容部82内のインクが消費されたときのインク収容部82内の圧力の低下を軽減することができる。なお、図3では、構成をわかりやすく示すため、周縁領域85にハッチングが施されている。また、図3では、フィルム材82Cがフィルム材82Aとフィルム材82Bとの間で切断された状態が示されている。
フィルム材82A、フィルム材82B、及びフィルム材82Cの材料としては、それぞれ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ポリエチレンなどが採用され得る。また、これらの材料で構成されたフィルムを積層した積層構造も採用され得る。このような積層構造では、例えば、外層を耐衝撃性に優れたPETやナイロンとし、内層を耐インク性に優れたポリエチレンとすることができる。さらに、アルミニウムなどを蒸着した層を有するフィルムなども採用され得る。これにより、ガスバリア性を高めることができる。
接続ユニット83は、周縁領域85のうちの一部において、フィルム材82Aとフィルム材82Bとによって挟持されている。周縁領域85の一部において、接続ユニット83とフィルム材82Aとは、互いに溶着されている。同様に、周縁領域85の一部において、接続ユニット83とフィルム材82Bとが、互いに溶着されている。このため、接続ユニット83がフィルム材82Aとフィルム材82Bとによって挟持されている周縁領域85の一部は、インク収容部82と接続ユニット83との接合部である。接続ユニット83には、溶着部86が設けられている。溶着部86がフィルム材82Aとフィルム材82Bとによって挟持された状態で、溶着部86にフィルム材82A及びフィルム材82Bのそれぞれが溶着されている。フィルム材82A、フィルム材82B、及び接続ユニット83が相互に接合されることによって、フィルム材82Cを底部とするインク収容部82が構成される。
接続ユニット83は、図4に示すように、接続部材91と、チューブ93と、弁ユニット94と、を有している。弁ユニット94は、バネ95と、栓(弁体)97と、パッキン(弁座)99と、を有している。接続部材91には、液体出口部の一例であるインク導出部101が設けられている。接続部材91は、インク収容部82の端部に位置している。接続部材91は、基部102を有している。インク導出部101は、基部102に設けられている。インク導出部101は、基部102からZ軸とは交差する方向に突出している。インク導出部101を介して、インク収容部82(図3)の内部と外部とが連通する。接続部材91は、インク収容部82より外側に突出している。接続部材91は、液体の一例であるインクをインク収容部82の内部から外部へ導出する液体導出部としての機能を有する。バネ95、栓97、及びパッキン99は、この順にインク導出部101内に収容される。インク収容体63がインク供給装置4に装着される前の状態において、インク導出部101は、フィルム103によって塞がれている。これにより、インク収容部82の内部は、密封状態が保たれる。
また、接続ユニット83には、電気接触部の一例である回路基板105が設けられている。接続部材91には、保持部の一例である基板設置部106が設けられている。基板設置部106は、基部102に設けられている。基板設置部106は、基部102からZ軸とは交差する方向に突出している。基板設置部106は、接続部材91のインク導出部101側に設けられている。つまり、インク導出部101と基板設置部106とは、接続部材91の同じ側に設けられている。回路基板105は、基板設置部106に設けられている。回路基板105には、複数の端子部107が設けられている。複数の端子部107は、回路基板105の接続部材91側とは反対側に向けられている。回路基板105の端子部107側とは反対側には、不揮発性メモリーなどの記憶装置(図示せず)が設けられている。複数の端子部107のうちの少なくとも一部が記憶装置に電気的に接続されている。
接続部材91において、基部102の側面が溶着部86として設定されている。接続部材91には、流路接続部の一例である導入口108が設けられている。導入口108は、基部102に設けられており、Z軸に沿って延在している。導入口108は、基部102から−Z軸方向に突出している。導入口108は、インク収容部82内に連通し、インク収容部82内のインクをインク導出部101に導入する。導入口108は、インク導出部101に連通している。なお、インク導出部101は、導入口108の延在方向とは交差する方向、すなわちZ軸とは交差する方向に延在している。チューブ93は、導入口108に接続される。そして、チューブ93は、図3に示すように、インク収容部82内に収容される。チューブ93により、導入口108への導入路がインク収容部82の奥側に延長される。
インク導出部101は、接続部材91を図4中のA−A線で切断したときの断面図である図5に示すように、接続部材91の内部において、導入口108に連通している。インク導出部101は、底部109と、側壁111と、を有している。側壁111は、底部109を囲んでいる。側壁111によって囲まれた領域は、インク収容部82内のインクを外部に供給する供給口としての機能を有する。インク導出部101の内側には、図6に示すように、バネ95、栓97、及びパッキン99が収容される。バネ95は、インク導出部101の底部109と栓97とによって挟まれている。栓97は、バネ95とパッキン99とによって挟まれている。このため、栓97は、バネ95によってパッキン99側に向かって付勢されている。
パッキン99は、例えば、ゴムやエラストマーなどの弾性体によって構成されている。パッキン99は、インク導出部101内に圧入されている。パッキン99には、開口部113が設けられている。栓97は、パッキン99の開口部113に重なった状態で、パッキン99側に向かって付勢されている。このため、パッキン99の開口部113は、栓97によって塞がれている。栓97とインク導出部101との間には、隙間が保たれている。また、バネ95とインク導出部101との間にも、隙間が保たれている。このため、栓97及びバネ95は、それぞれ、インク導出部101の内部をインク導出部101の延在方向に沿って変位することができる。
ここで、インク導出部101の内側には、溝115が設けられている。溝115は、インク導出部101の終端117側から底部109に向かってインク導出部101の延在方向に沿って延在している。溝115は、底部109からバネ95よりもパッキン99側に至っている。溝115は、インク導出部101の内壁から外壁に向かって凹となる向きに設けられている。このため、インク導出部101内に栓97を収容した状態で、栓97と溝115とによって囲まれる空間をインクの流路として活用することができる。
インク収容体63をインク供給装置4(図1)に装着すると、図7に示すように、供給針121がパッキン99の開口部113に挿入される。このとき、栓97は、供給針121によって押されて、底部109側に向かって変位する。供給針121は、中空に形成されている。また、供給針121は、インク供給チューブ57に連通している。これにより、図中の矢印に示すように、溝115と栓97とによって囲まれた流路123から供給針121を介して、インクがインク供給チューブ57(図1)に供給され得る。なお、供給針121は、インク供給装置4のケース53内に設けられている。
接続部材91は、図8に示すように、ハンドル部131を有している。ハンドル部131は、基部102に設けられている。ハンドル部131は、基部102からZ軸正方向に、すなわち基部102から基部102の導入口108側即ちインク収容部82側とは反対側に向かって突出している。このため、ハンドル部131は、インク収容部82からインク収容部82の外方に向かって突出している。ハンドル部131は、基部102の延在方向に沿って延在している。ハンドル部131は、2つの脚部131Aと、把持部131Bと、を有している。2つの脚部131Aは、それぞれ基部102に設けられており、基部102からZ軸正方向に向かって延びている。2つの脚部131Aは、それぞれ、基部102に接続しているので、接続部位とも呼ばれる。
2つの脚部131Aは、基部102の延在方向において互いに離間している。把持部131Bは、2つの脚部131AよりもZ軸正方向側、すなわち2つの脚部131Aよりも基部102側とは反対側に設けられている。把持部131Bは、基部102の延在方向に沿って延在している。2つの脚部131Aは、それぞれ把持部131Bにつながっている。上記の構成により、作業者は、把持部131Bと基部102との間に手指を挿入し、把持部131Bを把持することができる。そして、作業者は、把持部131Bを把持した状態で、インク収容体63を下げ持つことができる。
また、接続部材91は、図8に示すように、係合部133を有している。係合部133は、板状の外観を有しており、インク導出部101と交差している。係合部133は、インク導出部101の外側に張り出している。このため、係合部133は、インク導出部101の外側に張り出すフランジ状を呈している。係合部133は、インク導出部101からインク導出部101よりも外側に向かって張り出している。つまり、係合部133は、インク導出部101よりも2つの脚部131A側に向かって張り出した部位と、インク導出部101よりも把持部131B側とは反対側すなわちインク導出部101よりも−Z軸方向に向かって張り出した部位とを含む。係合部133は、基部102から離間している。つまり、係合部133と基部102との間には隙間があけられている。
インク供給装置4に設けられる着脱ユニット171について説明する。着脱ユニット171は、インク供給セット50をインク供給装置4に着脱するための機構を含んでいる。実施例1のインク供給セット50Aでは、着脱ユニット171は、インク収容体63を着脱可能に支持する。インク供給装置4に設けられる着脱ユニット171の個数は、インク供給装置4に装着可能なインク供給セット50の組数と同じである。つまり、着脱ユニット171は、インク供給装置4に装着されるインク供給セット50ごとに設けられている。着脱ユニット171は、図9に示すように、ホルダー172と、液体導入部の一例であるインク導入部173と、電気接続部の一例である接点機構175と、可動支持部の一例である可動部材177と、を有している。ホルダー172は、着脱ユニット171を支える部材である。インク導入部173と、接点機構175とが、ホルダー172内に設けられている。ホルダー172の固定態様としては、プリンター3に直接に固定される態様であっても、インク供給装置4のケース53を介してプリンター3に固定される態様であってもよい。
インク導入部173は、前述した供給針121を有している。インク導入部173は、インク収容体63のインク収容部82内からインク導出部101を介して導出されるインクを、中継装置9に導入する液体導入部としての機能を有する。供給針121は、インク供給チューブ57に連通している。ここで、インク供給装置4において、供給針121が延在する方向をK1方向とする。インク供給装置4におけるZ軸方向は、液体噴射システム1におけるZ軸方向と同一である。そして、K1方向及びZ軸方向の双方に直交する方向をK2方向とする。この定義により、インク供給装置4において、インク収容体63の接続部材91では、図8に示すように、インク導出部101がK1方向に沿って延在し、基部102がK2方向に沿って延在している。同様に、把持部131BもK2方向に沿って延在している。
接点機構175(図9)は、インク収容体63の回路基板105に電気的に接続される接続部である。インク収容体63が着脱ユニット171に装着された状態において、回路基板105の複数の端子部107(図4)のうちの少なくとも一部が、接点機構175に接触する。接点機構175は、フレキシブルケーブル31(図1)を介して制御部11に電気的に接続されている。そして、接点機構175とインク収容体63の記憶装置(図示せず)とが、回路基板105を介して電気的につながることによって、制御部11とインク収容体63の記憶装置との間で各種情報の伝達が可能となる。
可動部材177は、ホルダー172に対してK1方向に沿って進退可能に構成されている。可動部材177は、着脱ユニット171をK1方向から見たときに、インク導入部173に重なる位置に設けられており、インク導入部173及び接点機構175をK2方向にまたぐ領域にわたっている。可動部材177には、支持部183が設けられている。支持部183は、着脱ユニット171をK1方向から見たときに、インク導入部173に重なる位置に設けられている。支持部183には、供給針121に重なる部位に切欠き部185が設けられている。このため、可動部材177をK1方向とは反対方向に沿ってインク導入部173に向かって移動させたときに、インク導入部173の供給針121が支持部183の切欠き部185に挿入され得る。
支持部183には、凹部187が設けられている。支持部183において、凹部187は、−Z軸方向に向かって凹となる向きに設けられている。凹部187は、K2方向において、切欠き部185をまたぐ領域にわたって設けられている。このため、図10に示すように、可動部材177をK1方向とは反対方向に沿ってインク導入部173に向かって移動させたときに、供給針121が支持部183の切欠き部185を介して凹部187内に進入し得る。凹部187内には、インク収容体63の接続部材91に設けられた係合部133(図8)を挿入可能である。インク収容体63のインク導出部101を着脱ユニット171のインク導入部173側に向けた状態で、インク収容体63の係合部133を凹部187のZ軸方向側から凹部187内に挿入することができる。なお、係合部133は第1係合部の一例であり、凹部187は第1被係合部の一例である。
また、可動部材177には、支持部191が設けられている。支持部191は、着脱ユニット171をK1方向から見たときに、接点機構175に重なる位置に設けられている。支持部191には、接点機構175に重なる部位に切欠き部192が設けられている。支持部191は、接続ユニット83の基板設置部106を切欠き部192で受容可能に構成されている。基板設置部106は、支持部191の切欠き部192に対して、−Z軸方向に係合可能である。支持部183にインク収容体63の係合部133を挿入すると、支持部191の切欠き部192内に基板設置部106が挿入される。そして、支持部191は、基板設置部106が係合した状態で基板設置部106を支持可能に構成されている。なお、基板設置部106は第2係合部の一例であり、支持部191の切欠き部192は第2被係合部の一例である。
ここで、着脱ユニット171では、図9に示すように、可動部材177がK1方向にホルダー172よりも突出している状態が、非接続状態と呼ばれる。そして、非接続状態における可動部材177の位置は、非接続位置と呼ばれる。なお、非接続状態では、インク導入部173が可動部材177の切欠き部185よりも−K1方向に位置している。このため、非接続状態では、インク導入部173がインク導出部101から離間する。よって、非接続状態は、インク導出部101とインク導入部173とが非接続の状態である。非接続状態では、着脱ユニット171へのインク収容体63の装着が解除される。このため、非接続状態は、解除状態とも呼ばれる。そして、非接続位置は、解除位置とも呼ばれる。解除位置では、インク導出部101とインク導入部173とが互いに離間する。また、解除位置では、接点機構175と回路基板105の端子部107とが互いに離間する。
可動部材177を解除位置から図10に示す接続位置に変位させると、供給針121が可動部材177の切欠き部185内に進入する。供給針121が可動部材177の切欠き部185内に進入している状態において、インク導出部101と供給針121とが互いに接続する。インク導出部101と供給針121とが互いに接続する状態は、接続状態と呼ばれる。そして、接続状態における可動部材177の位置は、接続位置と呼ばれる。接続状態では、インク導出部101と供給針121とが互いに接続する。また、接続位置では、接点機構175と回路基板105の端子部107とが互いに接触する。
着脱ユニット171へのインク収容体63の装着の流れ(装着方法)について説明する。まず、図11に示すように、可動部材177が解除位置にあるときに、インク収容体63のインク導出部101を着脱ユニット171のインク導入部173側に向けた状態で、インク収容体63の係合部133を可動部材177の凹部187のZ軸方向側に位置させる。このとき、接続ユニット83の基板設置部106は、可動部材177の支持部191にZ軸に沿って対面する。このとき、作業者は、インク収容体63の把持部131Bを把持してインク収容体63を支持することによって、容易に係合部133を可動部材177の凹部187のZ軸方向側に位置させることができる。なお、図11では、構成をわかりやすく示すため、着脱ユニット171のホルダー172、インク導入部173、及び接点機構175の図示が省略されている。
ここで、作業者が把持部131Bを把持してインク収容体63を支持したとき、インク導出部101の端面207は、把持部131Bの接続部材91からの突出方向であるZ軸方向と交差する−K1方向に向いている。このため、作業者が把持部131Bを把持してインク収容体63を支持したときに、作業者の視線においてインク導出部101の端面207が把持部131Bに重なりにくいので、インク導出部101を視認しやすく、インク導出部101の端面207に配慮しながら着脱ユニット171への装着を行うことができる。これにより、作業者は、容易に係合部133を可動部材177の凹部187のZ軸方向側に位置させることができる。
次に、図12に示すように、インク収容体63を−Z軸方向に降下させることによって、係合部133を可動部材177の凹部187内に係合させる。これにより、インク収容部82が接続部材91を介して着脱ユニット171に支持される。これにより、インク収容体63は、係合部133が支持部183によって支持されることによって、吊り下げられた状態になる。このように、係合部133を可動部材177の凹部187内に係合させることによって、インク収容体63を着脱ユニット171に着脱しやすい。なお、図12では、構成をわかりやすく示すため、着脱ユニット171のホルダー172、インク導入部173、及び接点機構175の図示が省略されている。
このとき、可動部材177が解除位置にあるので、図13に示すように、インク導出部101とインク導入部173とが互いに離間している。つまり、解除位置において、インク導出部101とインク導入部173との接続が解除されている。なお、図13では、着脱ユニット171及びインク収容体63を図4中のA−A線に相当する位置で切断したときの断面が示されている。
そして、図14に示すように、可動部材177を接続位置に変位させると、インク導出部101を−K1方向に移動させることができる。これにより、インク導出部101とインク導入部173との接続、及び接点機構175と回路基板105の端子部107との接続を行うことができる。なお、図14では、着脱ユニット171及びインク収容体63を図4中のA−A線に相当する位置で切断したときの断面が示されている。なお、インク供給装置4からインク供給セット50Aを取り外すときには、上述した装着方法の逆の手順を実施すればよい。すなわち、インク供給装置4からインク供給セット50Aを取り外すときには、まず、可動部材177を接続位置から解除位置に変位させる。次に、インク収容体63の把持部131Bを把持してインク収容体63を可動部材177からZ軸方向に引き上げることによって、インク供給装置4からインク供給セット50Aを取り外すことができる。
実施例1のインク供給セット50Aによれば、インク収容体63のインクが消費されてインク収容部82内のインクの残量が不足した場合には、インク収容体63を新たなインク収容体63に交換することができる。これにより、プリンター3のインクの供給を速やかに継続することができる。また、インク収容体63を交換するときにインクがこぼれることを避けやすいため、インク供給装置4やプリンター3をインクで汚してしまうことを避けやすい。
(実施例2)
実施例2のインク供給セット50Bは、図15に示すように、インク収容体211と、電気接触ユニット212と、を有している。インク供給セット50Bは、実施例1のインク供給セット50Aにおける接続ユニット83から回路基板105を基板設置部106ごと分離した形態を有している。つまり、インク供給セット50Bでは、インク導出部101と基板設置部106とが互いに独立している。この点を除いて、実施例2のインク供給セット50Bは、実施例1のインク供給セット50Aと同様の構成を有している。このため、以下において、実施例1と同様の構成については、実施例1と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
インク収容体211は、接続ユニット213と、インク収容部82と、を有している。接続ユニット213は、インク導出部101を有している。電気接触ユニット212は、基板設置部106と、回路基板105と、を含む。基板設置部106は、接続ユニット213から分離可能に構成されている。この点を除いて、接続ユニット213は、実施例1の接続ユニット83と同様の構成を有している。
インク供給セット50Bを着脱ユニット171へ装着するときの装着方法の一例について説明する。この装着方法では、まず、可動部材177(図9)が解除位置にあるときに、電気接触ユニット212の基板設置部106を可動部材177の支持部191に係合させる。このとき、基板設置部106を支持部191に係合させる向きは、−Z軸方向が採用され得る。しかしながら、基板設置部106を支持部191に係合させる向きは、−Z軸方向に限定されず、−K1方向や他の方向も採用され得る。
次に、インク収容体211を可動部材177に支持させる。このとき、インク収容体211を可動部材177に支持させる方法は、実施例1と同様であるため、詳細な説明を省略する。次に、可動部材177を−K1方向に変位させることによって、可動部材177を解除位置から接続位置に変位させる。これによって、インク導出部101とインク導入部173との接続、及び接点機構175と回路基板105の端子部107との接続を行うことができる。実施例2のインク供給セット50Bでは、インク収容体211と、電気接触ユニット212とが互いに独立しているので、それぞれを個別に交換することができる。このため、例えば電気接触ユニット212が破損したときなどに、電気接触ユニット212だけを新たな電気接触ユニット212に交換することができる。これにより、インク収容体211が無駄になってしまうことを避けやすい。このように、このインク供給セット50Bによれば、構成部品が無駄になりにくい。
なお、実施例2において、基板設置部106を接続ユニット213に着脱可能に構成することもできる。この構成によれば、例えば、電気接触ユニット212をインク収容体211に装着してから、電気接触ユニット212とインク収容体211とを可動部材177に支持させることができる。これにより、インク供給セット50Bの着脱ユニット171への着脱にかかる手間を軽減しやすい。
(実施例3)
実施例3のインク供給セット50Cは、図16に示すように、インク収容体215と、電気接触ユニット212と、を有している。実施例3において、実施例1や実施例2と同様の構成については、実施例1や実施例2と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。インク収容体215は、インク収容部82と、液体導出ユニットの一例であるインク導出ユニット216と、流路ユニット217と、を有している。インク導出ユニット216は、図17に示すように、接続部材218と、弁ユニット94と、を有している。接続部材218は、インク導出部101と、導入口108と、係合部133と、を有している。弁ユニット94は、実施例1と同様であるので説明を省略する。なお、インク収容体215がインク供給装置4に装着される前の状態において、インク導出部101は、フィルム103によって塞がれている。
流路ユニット217は、図16に示すように、インク収容部82とインク導出ユニット216とをつないでいる。流路ユニット217の一端は、インク収容部82に接続されている。流路ユニット217の他端は、インク導出ユニット216の導入口108(図17)に接続されている。流路ユニット217は、例えば、可撓性を有するチューブなどで構成されており、インク収容部82内のインクをインク導出ユニット216へ導く流路を構成している。インク収容部82から流路ユニット217を介してインク導出ユニット216に導かれたインクは、導入口108からインク導出部101に導かれる。
インク供給セット50Cを着脱ユニット171へ装着するときの装着方法の一例について説明する。インク供給セット50Cでは、電気接触ユニット212をインク収容体215よりも先に可動部材177に係合させる順序や、インク収容体215を電気接触ユニット212よりも先に可動部材177に係合させる順序のいずれも採用され得る。インク収容体215を可動部材177に支持させるとき、インク導出ユニット216の係合部133を可動部材177の凹部187内に係合させる。これにより、インク導出ユニット216が着脱ユニット171に支持される。なお、インク供給装置4にインク収容部82を支持する構成を付加することによって、流路ユニット217とインク収容部82との接続部分にかかる負荷を軽減することができる。
電気接触ユニット212を可動部材177に支持させる方法は、実施例2と同様であるため、詳細な説明を省略する。そして、電気接触ユニット212及びインク収容体215を可動部材177に支持させてから、可動部材177を−K1方向に変位させることによって、可動部材177を解除位置から接続位置に変位させる。これによって、インク導出部101とインク導入部173との接続、及び接点機構175と回路基板105の端子部107との接続を行うことができる。実施例3のインク供給セット50Cでは、インク導出ユニット216と電気接触ユニット212とが互いに独立しているので、それぞれを個別に交換することができる。これにより、例えば、インク導出ユニット216が破損したときなどに、インク導出ユニット216だけを新たなインク導出ユニット216に交換することができる。また、例えば、回路基板105が破損したときなどに、回路基板105だけを新たな回路基板105に電気接触ユニット212ごと交換することができる。このように、このインク供給セット50Cによれば、構成部品が無駄になってしまうことを避けやすい。
(実施例4)
実施例4のインク供給セット50Dは、図18に示すように、インク収容体221を有している。インク供給セット50Dは、実施例3のインク供給セット50Cにおける電気接触ユニット212とインク導出ユニット216とを結合した形態を有している。つまり、インク供給セット50Dでは、インク導出部101と基板設置部106とが一体で構成されている。この点を除いて、実施例4のインク供給セット50Dは、実施例3のインク供給セット50Cと同様の構成を有している。このため、以下において、実施例3と同様の構成については、実施例3と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
インク収容体221は、接続ユニット222と、インク収容部82と、流路ユニット217と、を有している。接続ユニット222は、実施例3のインク供給セット50Cにおける電気接触ユニット212(図16)とインク導出ユニット216とを結合した形態を有している。接続ユニット222は、図19に示すように、接続部材223と、弁ユニット94と、回路基板105と、を有している。接続部材223は、インク導出部101と、導入口108と、係合部133と、基板設置部106と、を有している。弁ユニット94及び基板設置部106は、実施例1と同様であるので説明を省略する。なお、インク収容体221がインク供給装置4に装着される前の状態において、インク導出部101は、フィルム103によって塞がれている。
インク供給セット50Dを着脱ユニット171へ装着するときの装着方法の一例について説明する。インク供給セット50Dでは、実施例1と同様に、まず接続部材223の係合部133を可動部材177の凹部187に係合させる。このとき、接続部材223の基板設置部106が可動部材177の切欠き部192(図9)内に挿入される。次に、可動部材177を解除位置から接続位置に変位させることによって、インク導出部101とインク導入部173との接続、及び接点機構175と回路基板105の端子部107との接続を行うことができる。
なお、実施例4においても、実施例3と同様に、インク供給装置4にインク収容部82を支持する構成を付加することによって、流路ユニット217とインク収容部82との接続部分にかかる負荷を軽減することができる。また、接続ユニット222に、実施例1や実施例2におけるハンドル部131を付加した構成も採用され得る。この構成によれば、作業者が把持部131Bを把持してインク収容体221を下げ持つことができるので、インク収容体221の扱いに便利である。
実施例4のインク供給セット50Dでは、接続ユニット222とインク収容部82とが互いに独立している。そして、このインク供給セット50Dでは、接続ユニット222とインク収容部82とが流路ユニット217を介して連通している。このため、接続ユニット222及びインク収容部82のそれぞれを個別に交換することができる。これにより、例えば、インク導出部101が破損したときなどに、接続ユニット222だけを新たな接続ユニット222に交換することができる。このため、このインク供給セット50Dによれば、インク収容部82内のインクが無駄になってしまうことを避けやすい。また、例えば、インク収容部82が破損したときなどに、インク収容部82だけを新たなインク収容部82に交換することができる。このため、このインク供給セット50Dによれば、インク収容部82の他の構成部品が無駄になってしまうことを避けやすい。
(変形例1)
実施例1から実施例4では、それぞれ、インク導出部101をインク導入部173に接続することによって、インク収容部82とインク導入部173とを連通させる構成が採用されている。しかしながら、インク収容部82とインク導入部173とを連通させる構成は、これに限定されない。インク収容部82とインク導入部173とを連通させる構成としては、例えば、インク収容部82に接続した流路ユニット217の他端を供給針121に直結することによって、インク収容部82とインク導入部173とを連通させる構成も採用され得る。インク収容部82に接続した流路ユニット217の他端を供給針121に直結する構成を変形例1とする。この変形例1においても、インク収容部82内のインクをプリンター3に供給することができる。また、変形例1では、インク導出部101を省略することができるので、部品点数を軽減することができる。
(変形例2)
実施例1から実施例4、変形例1では、それぞれ、可撓性を有するフィルム材82A、フィルム材82B、及びフィルム材82Cを接合することによってインク収容部82を構成する例が示されている。しかしながら、インク収容部82の構成は、これに限定されない。インク収容部82の構成としては、例えば、図20に示すように、ブロー成形で形成された可撓性を有する容器なども採用され得る。なお、図20では、実施例1のインク供給セット50Aにブロー成形で形成された容器を適用した例が図示されている。図20に示す例を変形例2とする。変形例2においても同様の効果が得られる。
(変形例3)
また、インク収容部82は、ブロー成形で形成された可撓性を有する容器に限定されず、樹脂の射出成形などで形成された剛性の高い容器も採用され得る。樹脂の射出成形などで形成された剛性の高い容器でインク収容部82を構成する例を変形例3とする。変形例3においても同様の効果が得られる。
(変形例4)
実施例1から実施例4、変形例1から変形例3のそれぞれにおいて、インク収容部82内に大気を導入可能な大気連通路を設けた構成も採用され得る。インク収容部82内に大気を導入可能な大気連通路を設けた例を変形例4とする。変形例4の構成によれば、大気連通路を介してインク収容部82内に大気を導入可能であるので、インク収容部82内のインクが消費されたときのインク収容部82内の圧力の低下を軽減することができる。なお、変形例4では、例えば、インク収容部82に、インク収容部82の内部から外側に貫通する孔を形成し、この孔を大気連通路とすることができる。また、例えば、インク収容部82内に大気を導入可能な流路が形成された部品を付加することによっても大気連通路を構成することができる。
(変形例5)
実施例1から実施例4、変形例1から変形例4のそれぞれにおいて、インク収容部82内にインクを導入可能なインク導入路を設けた構成も採用され得る。インク収容部82内にインクを導入可能なインク導入路を設けた例を変形例5とする。なお、インク導入路は、液体導入路の一例である。変形例5の構成によれば、インク導入路を介してインク収容部82内にインクを導入可能であるので、インク収容部82内に新たなインクを注入することができる。なお、変形例5では、例えば、インク収容部82に、インク収容部82の内部から外側に貫通する孔を形成し、この孔をインク導入路とすることができる。また、例えば、インク収容部82内にインクを導入可能な流路が形成された部品を付加することによってもインク導入路を構成することができる。
(変形例6)
変形例4において、大気連通路をインク導入路として兼用することができる。大気連通路をインク導入路として兼用する例を変形例6とする。変形例6では、インク収容部82内に大気を導入可能な大気連通路を介してインク収容部82内にインクを導入可能である。また、変形例6によれば、大気連通路を介してインク収容部82内に大気を導入可能であるので、インク収容部82内のインクが消費されたときのインク収容部82内の圧力の低下を軽減することができる。変形例6によれば、簡易な構成でインク収容部82内に大気やインクを導入することができる。