JP6421333B2 - 電磁引き外し装置および回路遮断器 - Google Patents

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Description

本発明は、電磁引き外し装置および回路遮断器に関する。
従来より、時延引外し要素としてオイルダッシュポット付き電磁石を用いた回路遮断器が知られている。(例えば、特許文献1を参照)。
すなわち、特許文献1に示された電磁引き外し装置では、電磁コイルに過電流が流れると磁性体であるプランジャが制動ばね(特許文献1の「ばね53」に相当)のばね力に打ち勝ってポールヘッド側に動く。そして、ポールヘッドに接近するとプランジャの磁束量が大きくなり、磁性体であるアマチュア(特許文献1の「操作棒62a」に相当)はポールヘッド側により強く吸引される。そして、アマチュアは回転運動し、配線用遮断器のラッチを外す。ラッチが外れることで、回路遮断器はトリップする。
オイルダッシュポット付き電磁石では、シリンダ内の制動油の粘性抵抗によるプランジャの制動を利用して反限時特性が得られる。一方、非常に大きな電流が流れると磁束が増大するため、プランジャがほとんど動かない状態でもアマチュアは瞬時に吸引され、回路遮断器はトリップする。
特開2013−145643号公報
ところで、従来のモータに比べ、近年のトップランナーモータは、始動電流が大きい。したがって、上記従来の回路遮断器では始動時に誤動作する可能性がある。そのため、モータ始動電流領域での動作時間のみを遅延させることができれば良い。即ち、始動電流領域(定格電流に対し、6〜8倍程度)での動作時間を従来に比べて遅くし、低過電流領域(定格電流に対し、1.25〜2倍程度)及び短絡電流領域(定格電流の約15倍以上)での動作時間を従来と同等にできれば良い。
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであって、始動電流領域での動作時間が従来に比べて遅く、低過電流領域及び短絡電流領域での動作時間を従来と同等とすることで、モータ始動電流が大きい場合の誤動作を防止することができる、引き外し装置および回路遮断器を提供することを目的とする。
本発明の電磁引き外し装置は、有底円筒状の非磁性材からなるシリンダと、磁性体からなり、前記シリンダ内部に設けられたプランジャと、前記プランジャを前記シリンダの底部となる後端側に向けて押す制動ばねと、磁性体からなり前記シリンダの前端側の開口を密閉するポールヘッドと、前記シリンダを巻くように設けられた電磁コイルと磁性体からなり、前記電磁コイルの外側に設けられ、前記シリンダの軸方向と平行に配置された平行片と、前記シリンダに向かって延びる直角片とを有するヨークと、磁性体からなり、前記ポールヘッド側へ回転運動できるような形で、前記ヨークに接続されているアマチュアと、を備え、前記アマチュアは、前記ポールヘッドの前端側の面に対向する第1片と、該第一片の前記ヨーク側の端部から後端側に折れ曲がって延びた第2片とを備え、前記アマチュアの第2片は、前記ポールヘッドと前記ヨークの間に設けられ、前記第2片の先端側の一部が、前記ポールヘッドの後端側の面より後端側に位置することを特徴とする。


本発明の回路遮断器は、上記電磁引き外しを備えたことを特徴とする。
本発明では、モータ始動電流が大きい場合の誤動作を防止することができる、引き外し装置および回路遮断器を提供することができる。
本実施形態に係る電磁引き外し装置100の基本構成図である。 本実施形態に係る電磁引き外し装置100の断面図である。 低過電流領域の場合の本実施形態に係る電磁引き外し装置100の動作を説明するための断面図である。 低過電流領域の場合の本実施形態に係る電磁引き外し装置100の動作を説明するための断面図である。 始動電流領域の場合の本実施形態に係る電磁引き外し装置100の動作を説明するための断面図である。 短絡電流領域の場合の本実施形態に係る電磁引き外し装置100の動作を説明するための断面図である。 本実施形態に係る電磁引き外し装置100のアマチュア7を示した斜視図である。 アマチュア7の変形例を示した斜視図である。 アマチュア7の変形例を示した断面図である。 アマチュア7の第2片7bの作用を説明するための断面図である。 本実施形態に係る電磁引き外し装置を回路遮断器に搭載したときの構成図である。
以下、本実施形態に係る電磁引き外し装置100について、図1、図2、図7、図8を用いて説明する。
<構成>
図1は、本実施形態に係る電磁引き外し装置100の基本構成図である。図1に示すように、電磁引き外し装置100は、有底円筒状の非磁性材からなるシリンダ1と、シリンダ1の内部に設けられたプランジャ2と、プランジャ2をシリンダ1の底部となる後端側に向けて押す制動ばね3と、シリンダ1を密閉するポールヘッド4と、シリンダ1を巻くように設けられた電磁コイル5と、略L字型の磁性体からなるヨーク6と、磁性体からなりポールヘッド4側へ回転運動可能なアマチュア7とからなる。
プランジャ2は断面が略円形である略軸対称形状であり、制動ばね3の一端が接触する径が太い部分(太径部2a)と、制動ばね3の内径より径が細い突出部2bとからなる。突出部2bは、制動ばね3の内側に入り込む構成になっている。
シリンダ1の底部と反対側には、ポールヘッド4が設けられ、プランジャ2と制動ばね3は、シリンダ1とポールヘッド4が囲む空間に収納される。通常、シリンダ1とポールヘッド4が囲む空間は、密閉状態であり、オイルなどの液体が充填されているが、本発明は、液体が充填されていない構成も含むものである。
ヨーク6は、略L字型の磁性体からなり、シリンダ1の軸に対して平行に配置された平行片6aとシリンダ1の軸に対して直角方向に延びる直角片6bを有する。また、直角片6bはプランジャ2側に延びており、シリンダ1に接続されている。なお、本発明では、
ヨーク6は後述するようにプランジャ2と磁路を形成するように配置されていればよく、シリンダ1に必ずしも固定されていなくてもよい。
電磁コイル5は、プランジャ2とヨーク6に挟まれる形で、シリンダ1を巻くように設けられている。また、電磁コイル5は、主電路11に接続されている。本実施形態では、電磁コイル5と主電路11は同一部材で一体構成されている。なお、本発明では、電磁コイル5と主電路11が別部材であり、電気的に接続された構成であってもよい。
アマチュア7は、通常、磁性体からなる。アマチュア7は、ポールヘッド4側へ回転運動できるような形で、ヨーク6の平行片6aに接続されている。
本実施形態に係る電磁引き外し装置100のアマチュア7の形態を図2、図7、図8に基づいて説明する。図2は、電磁引き外し装置100の断面を示したものである。また、図2では構成を理解し易くするため、制動ばね3の図示は省略した。
図2に示すように、アマチュア7は、ポールヘッド4の前端側の面に対向する第1片7aと、第1片7aのヨーク6側の端部から後端側に折れ曲がって延びた第2片7bとを備えている。アマチュア7の回転中心は、第1片7aと第2片7bとの間にあり、第2片7bは、ヨーク6とポールヘッド4との間に設けられている。図7に示すように、本実施形態では、アマチュア7は、一対の第2片7bを備えている。また、第2片7bは第1片7aと同一部材であり、一体で形成されている。図7では、アマチュア7の第1片7aの第2片7b側の端部には、アマチュア7を位置決めするための穴が設けられている。また、アマチュア7の第1片7aの第2片7b側と反対側の端部には、アマチュア7をヨーク6側に引き寄せるためのばねを設置するための片が設けられている。
本実施形態に係る電磁引き外し装置100が回路遮断器に取り付けられた状態では、第2片7bの先端側の一部は、ポールヘッド4より後端側に位置する。即ち、第2片7bの先端側の一部は、図2に示した点線より後端側に位置する構成になっている。
図7では、第2片7bは、二つ設けられているが、本発明では、第2片7bは、一又は三以上設けられていてもよく、図8に示すように、二つの第2片7bの先端部がつながっているように形成されていてもよい。また、図7では、第2片7bは、第1片7aの両サイドから折れ曲がるように形成されているが、第1片7aの両サイド以外の部分、例えば、中央部から折れ曲がるように形成されていてもよい。
また、本実施形態の第2片7bは、第1片7aと同一部材であり、一体で形成されているが、本発明では、第2片7bは、第1片7aと別部材であって、第1片7aに溶接、ロー付け、かしめ、接着などで接続されているものであってもよい。また、本実施形態の第2片7bの先端側の一部が、ポールヘッド4より後端側に位置するように構成されているが、本発明では、第2片7bの先端側の一部が、ポールヘッド4より後端側に位置しない構成、即ち、第2片7bの全部が図2に示した点線より前端側に位置する構成であってもよい。
<動作>
以下、電磁コイル5に流れる電流が低過電流領域の場合における本実施形態に係る電磁引き外し装置100の動作を図2乃至図4に基づいて説明する。なお、図2乃至図4では構成を理解し易くするため、制動ばね3の図示は省略した。
電磁コイル5に電流が流れると、磁束が形成される。磁束は、ポールヘッド4とアマチュア7の第1片7aとヨーク6とプランジャ2とによって形成される磁路を通過する。図2に示すように、ポールヘッド4とプランジャ2の突出部2bとの間にはギャップが形成
されているので、ポールヘッド4とプランジャ2との間には磁気吸引力が働く。即ち、プランジャ2には、ポールヘッド4側に移動する方向の力が働く。
プランジャ2に働く磁気吸引力が、制動ばね3がプランジャ2を押す力より大きくなると、プランジャ2はポールヘッド4側に移動し始める。プランジャ2の移動に伴い、ポールヘッド4とプランジャ2(突出部2b)の間のギャップは小さくなる。ギャップが小さくなれば、ポールヘッド4とアマチュア7の第1片7aとヨーク6、プランジャ2とによって形成される磁気回路の抵抗は小さくなるので、磁束は大きくなる。
磁束が大きくなることで、更にプランジャ2に働く磁気吸引力が大きくなり、ポールヘッド4とプランジャ2の間のギャップが更に小さくなる。以上の繰り返しによりギャップは徐々に小さくなっていくとともに、磁束は大きくなっていく。低過電流領域の場合は、図3に示すように、プランジャ2の突出部2bがポールヘッド4と接触又は近接する位置にまで達すると、アマチュア7の第1片7aにもポールヘッド4側に向かう大きな吸引力が働き、アマチュア7は回転運動する。そして、図4に示すように、アマチュア7はポールヘッド4側に吸着される。回路遮断器の機構部のラッチ50(図11参照)がアマチュア7によって押されると、回路遮断器は動作する。
以下、電磁コイル5に流れる電流が始動電流領域の場合における本実施形態に係る電磁引き外し装置100の動作を図5に基づいて説明する。なお、図5では構成を理解し易くするため、制動ばね3の図示は省略した。
電磁コイル5に電流が流れると、磁束が形成される。磁束は、ポールヘッド4とアマチュア7の第1片7aとヨーク6とプランジャ2とによって形成される磁路を通過する。ポールヘッド4とプランジャ2との間、及びアマチュア7の第1片7aとポールヘッド4との間には、それぞれギャップが形成されている。従って、電磁コイル5に電流が流れると、磁気吸引力により、プランジャ2及びアマチュア7の第1片7aには、ポールヘッド4側に移動する方向の力が働く。
低過電流領域の場合に比べ、始動電流領域の場合は、電磁コイル5に流れる電流が大きいので、より大きな磁束が得られる。即ち、ポールヘッド4とプランジャ2との間のギャップがある程度小さくなれば、アマチュア7の第1片7aはポールヘッド4側に移動し始める。始動電流領域の場合、ポールヘッド4とプランジャ2との間のギャップが、無通電の場合のギャップの約70%になった場合(図5参照)、アマチュア7の第1片7aは、回転運動する。そして、アマチュア7の第1片7aは、回路遮断器の機構部のラッチ50を押し、回路遮断器は動作する。
以下、電磁コイル5に流れる電流が短絡電流領域の場合における本実施形態に係る電磁引き外し装置100の動作を図6に基づいて説明する。なお、図6では構成を理解し易くするため、制動ばね3の図示は省略した。
電磁コイル5に流れる電流が短絡電流領域の場合は、ポールヘッド4とプランジャ2との間のギャップが小さくならなくとも大きな磁束が得られ、通電開始から比較的短い時間で、アマチュア7は回転運動し、ポールヘッド4側に吸着される。一方、プランジャ2は、シリンダ1内部に存在する流体の粘性の影響で、アマチュア7ほど短い時間では動作することはできない。従って、アマチュア7が回転運動し、ポールヘッド4側に吸着されたときには、プランジャ2は、図6に示すように、まだシリンダ1の底側に停留している状態になっている。
<作用>
以下、本実施形態のアマチュア7の第2片7bの作用を図10に基づいて説明する。な
お、図10では構成を理解し易くするため、制動ばね3の図示は省略した。
電磁コイル5に電流が流れると、磁束が形成される。磁束は、ポールヘッド4とアマチュア7の第1片7aとヨーク6とプランジャ2とによって形成される主磁路L1(図10で実線で図示)と、ポールヘッド4とアマチュア7の第2片7bとヨーク6とプランジャ2とによって形成される副磁路L2(図10で破線で図示)を通過する。
上述したように、通電により、アマチュア7の第1片7aには、主磁路L1を通過する磁束の影響で、ポールヘッド4側に回転運動するような吸引力が働く。一方、通電により、アマチュア7の第2片7bには、副磁路L2を通過する磁束の影響で、ポールヘッド4へ向かう吸引力が働く。即ち、アマチュア7には、副磁路L2を通過する磁束の影響で、ポールヘッド4側への回転が妨げられる力が働く。
アマチュア7の第2片7bは、第1片7aのヨーク6側の端部から後端側に、第1片7aに対して略直角に折れ曲がって延びている。従って、アマチュア7の第2片7bの先端部とポールヘッド4とは、近接することなく、隔離している。また、アマチュア7の第1片7aとポールヘッド4の前端側の面とは対向しているので、アマチュア7の第1片7aとポールヘッド4の対向面積に比べると、アマチュア7の第2片7bとポールヘッド4の対向面積は小さい。従って、主磁路L1を通過する磁束に比べると、副磁路L2を通過する磁束は小さい。そのため、主磁路L1によるアマチュア7をポールヘッド4側に回転運動させる力に比べると、副磁路L2によるアマチュア7のポールヘッド4側への回転運動を妨げる力は小さい。
従って、電磁コイル5に過電流が流れた場合、アマチュア7の第2片7bを設けた場合であっても、主磁路L1の影響でアマチュア7はポールヘッド4側に回転運動する。また、アマチュア7の第2片7bを設けることで、アマチュア7にポールヘッド4側への回転運動を妨げる力を働かせることができ、回路遮断器の動作時間を遅延させることができる。
<効果>
以下、本実施形態の電磁引き外し装置の効果について述べる。比較例となる電磁引き外し装置は、アマチュア7の第2片7bを有しないものである。
低過電流領域では、比較例となる電磁引き外し装置に比べ、本実施形態の電磁引き外し装置の場合、副磁路L2を通過する磁束の影響で、通電開始からアマチュア7のポールヘッド4側への回転運動開始までの時間が、10秒程度遅延する。
アマチュア7がポールヘッド4側へ回転運動すると、第1片7aとポールヘッド4との間のギャップが小さくなるとともに、第2片7bとポールヘッド4のギャップが大きくなる。従って、アマチュア7のポールヘッド4側への回転に伴い、主磁路L1を通過する磁束は益々大きくなり、副磁路L2を通過する磁束は益々小さくなる。即ち、アマチュア7のポールヘッド4側への回転に伴い、主磁路L1によるアマチュア7をポールヘッド4側に回転運動させる力は益々大きくなり、副磁路L2によるアマチュア7のポールヘッド4側への回転運動を妨げる力は益々小さくなる。
従って、アマチュア7がポールヘッド4側へ回転運動し始めると、副磁路L2を通過する磁束が小さくなり、アマチュア7の第2片7bを設けたことによる動作時間遅延の効果が得られ難くなる。従って、アマチュア7の第2片7bが有る場合と無い場合を比較すると、アマチュア7がポールヘッド4側へ回転運動し始めた後から回路遮断器がトリップするまでの時間は、ほぼ同じになる。
一方、比較例の電磁引き外し装置を搭載したブレーカは、通電開始から1分程度(定格電流に対し、2倍程度の通電の場合)〜6分程度(定格電流に対し、1.25倍程度の通電の場合)でトリップ動作する。
従って、本実施形態の電磁引き外し装置を搭載したブレーカの場合は、アマチュア7がポールヘッド4側へ回転運動し始めるまでの時間を考慮すると、通電開始から1分10秒程度(定格電流に対し、2倍程度の通電の場合)〜6分10秒程度(定格電流に対し、1.25倍程度の通電の場合)でトリップ動作することになる。
すなわち、本実施形態の電磁引き外し装置を搭載したブレーカの場合は、比較例の電磁引き外し装置の場合に比べ、低過電流領域での動作時間は10%程度遅くなるものの、ほぼ同等の動作時間が得られる。
始動電流領域では、比較例となる電磁引き外し装置に比べ、本実施形態の電磁引き外し装置の場合、副磁路L2を通過する磁束の影響で、通電開始からアマチュア7のポールヘッド4側への回転運動開始までの時間が3秒程度遅延する。
一方、比較例の電磁引き外し装置を搭載したブレーカは、通電開始から3秒程度(定格電流に対し、8倍程度の通電の場合)〜7秒程度(定格電流に対し、6倍程度の通電の場合)でトリップ動作する。
よって、本実施形態の電磁引き外し装置を搭載したブレーカは、通電開始から6秒程度(定格電流に対し、8倍程度の通電の場合)〜10秒程度(定格電流に対し、6倍程度の通電の場合)でトリップ動作する。
従って、比較例の電磁引き外し装置の場合に比べ、本実施形態の電磁引き外し装置を搭載したブレーカの場合は、始動電流領域での動作時間は200%程度となり遅くなる。
短絡電流領域では、電流が非常に大きいので、電磁コイル5によって発生する磁束は非常に大きい。よって、アマチュア7の第1片7aに作用する磁気吸引力は、非常に大きく、通電開始からアマチュア7のポールヘッド4側への回転運動開始までの時間は、第2片7bの有無には依存しない。従って、本実施形態の電磁引き外し装置を回路遮断器に搭載した場合、短絡電流領域では、回路遮断器の動作時間は、比較例と同等になる。
ここで、回路遮断器に、近年のトップランナーモータが接続された場合のモータの始動時について述べる。近年のトップランナーモータの始動電流は、定格電流の6倍〜8倍で、通電継続時間は通常3秒以上6秒以下である。したがって、トップランナーモータ始動時には、比較例の電磁引き外し装置を搭載したブレーカでは、誤動作する可能性がある。一方、本実施形態の電磁引き外し装置を搭載したブレーカでは、上述したとおりの動作時間であるから、誤動作は生じない。
したがって、本実施形態の電磁引き外し装置を搭載することで、モータ始動電流が大きい場合の誤動作を防止することができる。
また、第2片7bの先端側の一部が、ポールヘッド4より後端側に位置しない構成、即ち、第2片7bの全部が図2に示した点線より前端側に位置する構成に比べ、本実施形態の第2片7bの先端側の一部が、ポールヘッド4より後端側に位置する構成である方が、副磁路L2を通過する磁束の量が多くなるので、電磁引き外し装置の動作時間の遅延効果をより高めることができる。
更に、第1片7aと第2片7bとを異なる部材とし、第2片7bの透磁率が、第1片7aの透磁率よりも高いものとしたり、第2片7bを第1片7aより厚くすることで、副磁路L2を通過する磁束を増やすことができ、電磁引き外し装置の動作時間の遅延効果をより高めることができる。
加えて、図9に示すように第2片7bのシリンダ1側の先端部を、前端側に向かって折り返すことで、副磁路L2を通過する磁束を増やすことができ、電磁引き外し装置の動作時間の遅延効果をより高めることができる。
図11に本実施形態に係る電磁引き外し装置100を搭載した回路遮断器の構成図を示す。ハンドル52を操作することで、接点53は閉じ、閉路状態になる。過電流が流れると、アマチュア7がプランジャ2側に移動し、アマチュア7はラッチ50を押す。ラッチ50が押されることで、メカ51は動作し、接点53が開極する。
(結び)
以上のように、本発明における技術の例示として、実施形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。
したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
また、上述の実施形態は、本発明における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
1 シリンダ
2 プランジャ
2a 太径部
2b 突出部
3 制動ばね
4 ポールヘッド
5 電磁コイル
6 ヨーク
6a 平行片
6b 直角片
7 アマチュア
7a 第1片
7b 第2片
11 主電路
50 ラッチ
51 メカ
52 ハンドル
53 接点
L1 主磁路
L2 副磁路
100 電磁引き外し装置

Claims (6)

  1. 有底円筒状の非磁性材からなるシリンダと、
    磁性体からなり、前記シリンダ内部に設けられたプランジャと、
    前記プランジャを前記シリンダの底部となる後端側に向けて押す制動ばねと、
    磁性体からなり前記シリンダの前端側の開口を密閉するポールヘッドと、
    前記シリンダを巻くように設けられた電磁コイルと
    磁性体からなり、前記電磁コイルの外側に設けられ、前記シリンダの軸方向と平行に配置された平行片と、前記シリンダに向かって延びる直角片とを有するヨークと、
    磁性体からなり、前記ポールヘッド側へ回転運動できるような形で、前記ヨークに接続されているアマチュアと、を備え、
    前記アマチュアは、前記ポールヘッドの前端側の面に対向する第1片と、該第1片の前記ヨーク側の端部から後端側に折れ曲がって延びた第2片とを備え、
    前記アマチュアの第2片は、前記ポールヘッドと前記ヨークの間に設けられ、
    前記第2片の先端側の一部が、前記ポールヘッドの後端側の面より後端側に位置することを特徴とする電磁引き外し装置。
  2. 前記第1片と前記第2片とが同一部材であり、一体で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁引き外し装置。
  3. 前記第1片と前記第2片とが異なる部材であり、前記第2片の透磁率が、前記第1片の透磁率よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の電磁引き外し装置。
  4. 前記第2片が、前記第1片より厚いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電磁引き外し装置。
  5. 前記第2片の前記シリンダ側の先端部が、前端側に向かって折り返されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電磁引き外し装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の電磁引き外し装置を備えた回路遮断器。
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