JP6421268B1 - ロジン変性樹脂とその製造方法、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ用ワニス、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ、及び印刷物 - Google Patents

ロジン変性樹脂とその製造方法、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ用ワニス、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ、及び印刷物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、硬化性、光沢性、密着性といった印刷被膜適性と、ミスチング性といった印刷適性とを両立できる活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ及びその印刷物を提供することである。
【解決手段】ロジン酸類(A)およびα,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物(B)の付加反応物と、1つ以上のシクロヘキサン環を含有する2塩基酸(C)を含む有機酸と、1つのシクロヘキサン環を含有するジオール(D)を含むアルコールとの反応物であるロジン変性樹脂であって、
重量平均分子量が10,000以下であるロジン変性樹脂。
【選択図】なし

Description

本発明は、ロジン変性樹脂とその製造方法、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ用ワニス、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ、及び印刷物に関する。
平版印刷で使用されるインキは、通常、5〜100Pa・sの比較的高い粘度を有する。平版印刷機の機構では、印刷機のインキ壺から複数のローラーを経由して版面の画線部にインキを供給してパターンを形成し、版面のインキを紙などの基材上に転写して画像を形成する。上記パターンを形成するために、湿し水を使用する平版印刷では、非画線部に湿し水が供給され、非画線部がインキを反発するようにする。一方、湿し水を使用しない平版印刷では、非画線部にシリコーン層を形成し、非画線部がインキを反発するようにする。
特に、湿し水を使用する平版印刷では、インキと湿し水との乳化バランスが重要である。そのため、平版印刷で使用されるインキには、適度な乳化特性を有し、かつ高速印刷適性を有することが求められている。インキの乳化量が多すぎると、非画線部にもインキが着肉し易くなり、汚れが発生しやすくなる。一方、インキの乳化量が少ないと、絵柄の少ない印刷を行う場合に、インキ表面に湿し水が吐き出し易くなる。そのため、ロール間のインキ転移性や、基材へのインキ着肉性が悪くなり、安定して印刷することが難しくなる。
さらに、近年では、印刷時の省人、省力化、自動化、及び高速化の要求が高まってきており、特に、印刷スピードは益々高速化してきている。そして、様々な印刷条件下において、トラブルなく長時間にわたって安定して高品位な印刷物が得られるインキが望まれており、これまでに種々なインキの改良が検討されている。
一方、活性エネルギー線硬化型インキは、活性エネルギー線に対して硬化性を有する、アクリル酸エステル化合物のような不飽和化合物を構成成分として含有している。そのため、上記インキは、活性エネルギー線が照射されると、瞬時に硬化し、上記不飽和化合物の3次元架橋による強靭な被膜を形成する。また、上記インキは、瞬時に硬化することから、印刷直後に後加工を行うことができる。このような観点から、生産性向上及び意匠の保護のために強い被膜が要求される包装用パッケージ印刷や商業分野におけるフォーム印刷等において、活性エネルギー線硬化型インキが好適に使用されている。
一般に、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキは、バインダー樹脂と、アクリル酸エステル化合物のような活性エネルギー線硬化型化合物と、顔料と、ラジカル重合開始剤と、各種添加剤とから構成される。
活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ(以下、単に「インキ」ともいう)には、乳化特性、地汚れ耐性、及びミスチング性といった印刷適性が要求される。また、同時に、上記インキには、硬化性、光沢性といった印刷被膜特性が要求される。
さらに、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキが使用される包装用パッケージにおいては、内容物の視認性、デザイン性、価格の点から、ポリエチレンやPETが多用されている。しかしながら、これらプラスチック表面は疎水性が強く、コロナ処理やプライマー処理を施すことにより印刷適性を付与させているものの密着性は十分ではなく、しばしば密着不良の問題を生じている。
上記要求に応えるために、これまで、活性エネルギー線硬化型バインダー樹脂として、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂等が検討されてきた。
例えば、特許文献1は、ロジン類と、α,β−不飽和カルボン酸との付加反応によって得られる、多価カルボン酸を含むポリエステル樹脂を開示している。しかし、開示された樹脂は、流動性や光沢性が不十分である傾向がある。
また、特許文献2は、ロジン類と、α,β−不飽和カルボン酸との付加反応によって得られる、多価カルボン酸と、水素添加ビスフェノールを含むポリエステル樹脂を開示している。しかし、開示された樹脂は柔軟な構造をもつ2官能アルコールのみを、アルコールとして含むため、印刷適性が不十分である傾向がある。
このように、活性エネルギー線硬化型バインダー樹脂について、種々の検討が行われているが、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキに要求される印刷特性及び印刷被膜特性において十分に満足できるものはなく、さらなる改善が望まれている。
特開2010−070742号公報 特開2011−225748号公報
本発明は、上述の状況を鑑みて、硬化性、光沢性、及び、密着性といった印刷被膜適性と、ミスチング性といった印刷適性とを両立できる活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ及びその印刷物を提供することである。
発明者らは、鋭意検討した結果、ロジン酸類と、α,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物とを付加反応させ、次いで1つ以上のシクロヘキサン環を含有する2塩基酸を含む有機酸と、1つのシクロヘキサン環を含有するジオールを含むアルコールとを反応させて得るロジン変性樹脂をバインダー樹脂に使用することにより、優れた印刷適性と印刷被膜適性を両立し得る活性エネルギー線硬化型平版印刷インキが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、ロジン酸類(A)と、α、β−不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物(B)とを反応させ、次いで1つ以上のシクロヘキサン環を含有する2塩基酸(C)を含む有機酸と、1つのシクロヘキサン環を含有するジオール(D)を含むアルコールとの反応物であるロジン変性樹脂であって、
前記1つ以上のシクロヘキサン環を含有する2塩基酸(C)の配合量と、前記1つのシクロヘキサン環を含有するジオール(D)の配合量の合計が、全配合量を基準として、45〜85質量%の範囲であり、
重量平均分子量が3000〜9,900である、ロジン変性樹脂に関する。
また、本発明は、上記ロジン変性樹脂と、活性エネルギー線硬化型化合物とを含む、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ用ワニスに関する。
また、本発明は、上記ロジン変性樹脂と、活性エネルギー線硬化型化合物と、顔料とを含む、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキに関する。
また、本発明は、上記活性エネルギー線硬化型平版印刷インキを基材に印刷してなる印刷物に関する。
また、本発明は、ロジン変性樹脂の製造方法であって、
ロジン酸類(A)に、α,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物(B)を付加させる反応を行う工程1と、
前記工程1で得た反応混合物と、1つ以上のシクロヘキサン環を含有する2塩基酸(C)を含む有機酸と、1つのシクロヘキサン環を含有するジオール(D)を含むアルコールとのエステル化反応を行う工程2と
を含み、
前記1つ以上のシクロヘキサン環を含有する2塩基酸(C)の配合量と、前記1つのシクロヘキサン環を含有するジオール(D)の配合量の合計が、全配合量を基準として、45〜85質量%の範囲であり、
重量平均分子量が3000〜9,900である、ロジン変性樹脂の製造方法に関する。

本明細書で開示するロジン変性樹脂をバインダー樹脂として使用することで、印刷適性と印刷被膜適性とを両立できる活性エネルギー線硬化型平版印刷インキを提供することが可能となった。上記インキを使用することで、従来の平版印刷の条件下で印刷した場合であっても、ミスチング量が少なく、効率良く高品質の印刷物を得ることが可能である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。但し、本発明は、以下に記載の実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
なお、本発明中に記載される「共役二重結合」とは、複数の二重結合が単結合を挟んで交互に連なっている結合を指す。ただし、芳香族化合物に含まれるπ電子共役系は、共役二重結合からは除かれる。
また、本発明中に記載される「シクロヘキサン環」とは、6員環式炭化水素であって、炭素間の結合がすべて単結合である環式構造を指す。
以下、各構造単位を構成する単量体について説明する。
<ロジン酸類(A)>
本発明のロジン変性樹脂を得るために用いるロジン酸類(A)とは、環式ジテルペン骨格を有する一塩基酸を指す。ロジン酸、不均化ロジン酸、水添ロジン酸、または前記化合物のアルカリ金属塩等を表し、具体的には、共役二重結合を有するアビエチン酸、およびその共役化合物である、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、レボピマル酸や、共役二重結合を有さないピマル酸、イソピマル酸、サンダラコピマル酸、及びデヒドロアビエチン酸等が挙げられる。またこれらのロジン酸類(A)を含有する天然樹脂として、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等が挙げられる。
<α,β−不飽和カルボン酸またはその酸無水物(B)>
本発明のロジン変性樹脂を得るために用いるα,β−不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物(B)としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸等およびこれらの酸無水物が例示される。ロジン酸類(A)との反応性を鑑みると、好ましくはマレイン酸またはその酸無水物である。
<1つ以上のシクロヘキサン環を含有する2塩基酸(C)>
本発明のロジン変性樹脂を得るために用いる1つ以上のシクロヘキサン環を含有する2塩基酸(C)としては、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、3−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4'−ビシクロヘキシルジカルボン酸、およびこれらの酸無水物等が挙げられる。
本発明のロジン変性樹脂は、剛直な構造を保有する芳香族系多塩基酸や、1つ以上の二重結合を有する6員環式炭化水素を含有する多塩基酸ではなく、1つ以上のシクロヘキサン環を含有する2塩基酸(C)を含むことで、密着性の発現及び向上が可能となる。
<1つのシクロヘキサン環を含有するジオール(D)>
1つのシクロヘキサン環を含有するジオール(D)は、ロジン酸類(A)、ロジン酸類(A)とα,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物(B)とのディールスアルダー反応によって得られる化合物、及び、1つ以上のシクロヘキサン環を含有する2塩基酸(C)を含む有機酸のそれぞれにおけるカルボン酸との反応によってエステル結合を形成する。
本発明のロジン変性樹脂を得るために用いる1つのシクロヘキサン環を含有するジオール(D)としては、1,2−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
本発明のロジン変性樹脂は、剛直な構造を保有する芳香族系ポリオールや、1つ以上の二重結合を有する6員環式炭化水素を含有するポリオールではなく、1つのシクロヘキサン環を含有するジオール(D)を含むことで、密着性の発現及び向上が可能となる。
本発明のロジン変性樹脂は、重量平均分子量が10,000以下であり、3,000〜8,000であることが好ましい。重量平均分子量が10,000以下であることで、ミスチング性の発現及び向上が可能となる。
本発明における、前記1つ以上のシクロヘキサン環を含有する2塩基酸(C)の配合量と、前記1つのシクロヘキサン環を含有するジオール(D)の配合量の合計は、全配合量を基準として、45〜85質量%の範囲であることが好ましく、50〜80質量%の範囲であることがより好ましい。2塩基酸(C)とジオール(D)の割合が上記範囲内である場合、密着性を発現させ、かつ、印刷被膜適性や印刷適性を向上させることが容易となる。
<ロジン変性樹脂の製造方法>
本発明のロジン変性樹脂は、(1)ロジン酸類(A)と、α,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物(B)との反応、並びに(2)上記(1)の反応で得た反応混合物、1つ以上のシクロヘキサン環を含有する2塩基酸(C)を含む有機酸、及び1つのシクロヘキサン環を含有するジオール(D)を含むアルコールとの反応を経て製造される。
上記(1)の反応は、ロジン酸類(A)中の共役二重結合(ジエン)と、α,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物(B)における二重結合(ジエノフィル)とのディールスアルダー付加反応である。また、上記(2)の反応は、(1)の反応で得た反応混合物、及び、1つ以上のシクロヘキサン環を含有する2塩基酸(C)を含む有機酸におけるカルボキシル基と、1つのシクロヘキサン環を含有するジオール(D)を含むアルコールにおける水酸基との間のエステル化反応である。
ロジン酸類(A)中の共役二重結合と、α,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物(B)とのディールスアルダー付加反応物は、多価カルボン酸化合物となる。そのため、ジオール(D)とのエステル化反応により高分子化が可能となる。また、ディールスアルダー付加反応によって、ロジン酸類(A)中の共役二重結合を消滅させることができるとともに、ロジン酸類(A)由来の多環構造をロジン変性樹脂に導入することができる。通常、ロジン酸類(A)中の共役二重結合は、インキ硬化のための活性エネルギー線照射時に硬化阻害を引き起こす。しかし、本発明では、ディールスアルダー付加反応によってロジン酸類(A)中の共役二重結合を消滅させるため、インキの硬化性を向上することが容易となる。
以上により、本発明のロジン変性樹脂の製造方法によれば、乳化特性、高速印刷適性、硬化性等の印刷適性と被膜強度とを両立することが可能となる。加えて、上記の通り、柔軟性を有するシクロヘキサン環を構造中に組み込むことによって、上記被膜特性に加えて、優れた密着性を発現させることも可能となる。
ディールスアルダー付加反応の条件は、特に限定されず、常法に従って行うことができる。反応温度は、使用する化合物の沸点、及び反応性を考慮して決定することができる。上記反応温度は、80〜200℃の範囲が好ましく、100〜200℃の範囲がより好ましく、100〜180℃の範囲がさらに好ましい。
ディールスアルダー付加反応は、重合禁止剤の存在下で行なっても良い。使用可能な重合禁止剤の具体例として、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、メチルハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、t−ブチルカテコール、4−メトキシ−1−ナフトール、及びフェノチアジン等が挙げられる。
エステル化反応の条件も、特に限定されず、常法に従って行うことができる。反応温度は、使用する化合物の沸点、及び反応性を考慮して決定することができる。上記反応温度は、200〜300℃の範囲が好ましく、200〜280℃の範囲がより好ましく、200〜260℃の範囲がさらに好ましい。
また、必要に応じて、エステル化反応において、触媒を用いることが可能である。使用可能な触媒の一例として、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−ドデシルベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等の有機スルホン酸類、硫酸、塩酸等の鉱酸、トリフルオロメチル硫酸、トリフルオロメチル酢酸等が挙げられる。さらに、使用可能な触媒の他の例として、テトラブチルジルコネート、テトライソブチルチタネート等の金属錯体、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酢酸マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、酸化亜鉛、酢酸亜鉛等の金属塩触媒なども挙げられる。これら触媒は、ロジン変性樹脂の製造時に使用した全成分の総量を基準として、通常、0.01〜5質量%の範囲で使用される。触媒を使用することによる樹脂の着色を抑制するために、樹脂の製造時に、次亜リン酸、トリフェニルホスファイト、トリフェニルホスフェート、及びトリフェニルホスフィン等を併用することもできる。
上記ロジン変性樹脂の製造において、樹脂を構成する上記(A)〜(D)の単量体は、同時に配合することもできるし、段階的に配合することもできる。
例えば、ロジン酸類(A)、α,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物(B)、1つ以上のシクロヘキサン環を含有する2塩基酸(C)を含む有機酸、及び1つのシクロヘキサン環を含有するジオール(D)を含むアルコールの混合物を用いて、2段階で反応を実施することができる。この場合、最初に、共役系ロジン酸(A)と、α,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物(B)とのディールスアルダー付加反応が起こるように反応温度を調整すればよい。より具体的には、最初に、反応温度をディールスアルダー付加反応が進行する温度に制御し、一定時間にわたって維持した後に、エステル化反応が進行する温度まで加熱し反応を実施すればよい。
別法として、ロジン酸類(A)、α,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物(B)を配合し、ディールスアルダー付加反応させた後、1つ以上のシクロヘキサン環を含有する2塩基酸(C)を含む有機酸、及び1つのシクロヘキサン環を含有するジオール(D)を含むアルコールを配合し、エステル化反応を実施してもよい。
本発明における、α,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物(B)の配合量は、ロジン酸類(A)に対して、55〜100モル%の範囲であることが好ましく、60〜100モル%の範囲であることがより好ましい。α,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物(B)の配合量を上記範囲内に調整した場合、硬化性、密着性、及び流動性に優れるロジン変性樹脂を得ることが容易である。
本発明において、ロジン変性樹脂の製造方法は、
ロジン酸類(A)に、α,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物(B)を付加させる反応を行う工程1と、
前記工程1で得た反応混合物、1つ以上のシクロヘキサン環を含有する2塩基酸(C)を含む有機酸、及び1つのシクロヘキサン環を含有するジオール(D)を含むアルコールとのエステル化反応を行う工程2と
を含み、
ロジン変性樹脂の重量平均分子量が10,000以下であることを特徴とする。
上記製造方法において、工程1は、80℃から200℃の範囲の反応温度で実施することが好ましい。また、工程2は、200℃から300℃の範囲の反応温度で実施することが好ましい。
本発明のロジン変性樹脂の酸価は、5〜70mgKOH/gの範囲が好ましく、10〜70mgKOH/gの範囲がより好ましく、15〜70mgKOH/gの範囲がさらに好ましい。酸価が上記範囲内である場合、当該樹脂を使用したインキは、好適な乳化特性や、優れた印刷適性を有する。
本発明のロジン変性樹脂において、水酸基/カルボキシル基の比率は、0.9〜1.3の範囲が好ましく、1.0〜1.2の範囲がより好ましい。
本発明のロジン変性樹脂において、水酸基/カルボキシル基の比率が1.0未満であると重量平均分子量(Mw)が大きくなる傾向にある。
また、本発明のロジン変性樹脂の融点は50℃以上であることが好ましく、60〜100℃の範囲がより好ましく、60〜80℃の範囲がさらに好ましい。なお融点は、BUCHI社製のMeltingPointM−565を用い、昇温速度0.5℃/分の条件下で測定できる。
<活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ用ワニス>
本発明のロジン変性樹脂を使用して、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ用ワニスを構成することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ用ワニスは、少なくとも本発明のロジン変性樹脂と、活性エネルギー線硬化型化合物とを含み、ワニスの全質量を基準として、本発明のロジン変性樹脂を30〜80質量%と、活性エネルギー線硬化型化合物を20〜70質量%とを含有することが好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ用ワニスにおける、本発明のロジン変性樹脂と活性エネルギー線硬化型化合物との配合比は、質量比で30:70〜75:25の範囲がより好ましく、35:65〜70:30の範囲がさらに好ましい。
本明細書において、活性エネルギー線硬化型化合物とは、分子内にアクリロイル基を有する化合物を意味する。
本発明の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ用ワニスを構成するために使用可能な活性エネルギー線硬化型化合物の具体例として、
2−エチルヘキシルアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、アクリロイルモルホリン等の単官能活性エネルギー線硬化型化合物、
エチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート(n=2〜20)、プロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート(n=2〜20)、アルカン(炭素数4〜12)グリコールジアクリレート、アルカン(炭素数4〜12)グリコールエチレンオキサイド付加物(2〜20モル)ジアクリレート、アルカン(炭素数4〜12)グリコールプロピレンオキサイド付加物(2〜20モル)ジアクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(2〜20モル)ジアクリレート、水添ビスフェノールAジアクリレート、水添ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(2〜20モル)ジアクリレート等の2官能活性エネルギー線硬化型化合物、
グリセリントリアクリレート、グリセリンエチレンオキサイド付加物(3〜30モル)トリアクリレート、グリセリンプロピレンオキサイド付加物(3〜30モル)トリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加物(3〜30モル)トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド付加物(3〜30モル)トリアクリレート等の3官能活性エネルギー線硬化型化合物、
ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールエチレンオキサイド付加物(4〜40モル)テトラアクリレート、ペンタエリスリトールプロピレンオキサイド付加物(4〜40モル)テトラアクリレート、ジグリセリンテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加物(4〜40モル)テトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンプロピレンオキサイド付加物(4〜40モル)テトラアクリレート等の4官能活性エネルギー線硬化型化合物、及び
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド付加物(6〜60モル)ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド付加物(6〜60モル)ヘキサアクリレート等の多官能活性エネルギー線硬化型化合物
が挙げられる。活性エネルギー線硬化型化合物として、例示した化合物を単独で使用しても、2種以上を組合せて使用してもよい。
上記に例示した化合物の中でも、本発明のロジン変性樹脂とモノマーとの相溶性向上の観点から、エチレンオキサイド付加物であるエネルギー線硬化型化合物を使用することが好ましい。エチレンオキサイド付加物であるエネルギー線硬化型化合物としては、アルカン(炭素数4〜12)グリコールエチレンオキサイド付加物(2〜20モル)ジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(2〜20モル)ジアクリレート、水添ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(2〜20モル)ジアクリレート、グリセリンエチレンオキサイド付加物(3〜30モル)トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加物(3〜30モル)トリアクリレート、ペンタエリスリトールエチレンオキサイド付加物(4〜40モル)テトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加物(4〜40モル)テトラアクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド付加物(6〜60モル)ヘキサアクリレートからなる群から選択される1種以上を使用することが好ましい。
活性エネルギー線硬化型化合物は、要求される硬化被膜特性に応じて、適宜選択することが可能である。必要に応じて、上記化合物に加えて、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、及びエポキシアクリレート等のオリゴマーを併用することも可能である。
本発明の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ用ワニスは、上記成分に加えて、さらに光重合禁止剤を含んでもよい。このような実施形態では、光重合禁止剤を常法により添加し、使用することができる。上記ワニスに光重合禁止剤を添加する場合、硬化性を阻害しない観点から、その配合量は、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ用ワニスの全質を基準として、3質量%以下にすることが好ましく、0.01〜1質量%の範囲で使用することがさらに好ましい。
使用可能な光重合禁止剤の具体例として、(アルキル)フェノール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、p−メトキシフェノール、t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、ピロガロール、1,1−ピクリルヒドラジル、フェノチアジン、p−ベンゾキノン、ニトロソベンゼン、2,5−ジ−tert−ブチル−p−ベンゾキノン、ジチオベンゾイルジスルフィド、ピクリン酸、クペロン、アルミニウムN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、トリ−p−ニトロフェニルメチル、N−(3−オキシアニリノ−1,3−ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、ジブチルクレゾール、シクロヘキサノンオキシムクレゾール、グアヤコール、o−イソプロピルフェノール、ブチラルドキシム、メチルエチルケトキシム、及びシクロヘキサノンオキシム等が挙げられる。特に限定するものではないが、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、t−ブチルハイドロキノン、p−ベンゾキノン、2,5−ジ−tert−ブチル−p−ベンゾキノンからなる群から選択される1種以上の化合物を使用することが好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ用ワニスは、例えば、常温から160℃の間の温度条件下で、上記成分を混合することで製造することができる。
例えば、ロジン変性樹脂と、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加物(3〜30モル)トリアクリレートと、ハイドロキノンとを、100℃の温度条件下で、加熱溶融して得たワニスを好適に使用することができる。
<活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ>
本発明のロジン変性樹脂を使用して、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキを構成することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキは、少なくとも本発明のロジン変性樹脂と、活性エネルギー線硬化型化合物と、顔料とを含む。活性エネルギー線硬化型化合物としては、先にワニスの構成成分として例示した化合物であってよい。
本発明の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキは、本発明のロジン変性樹脂を5〜40質量%、上記活性エネルギー線硬化型化合物を20〜70質量%、及び顔料を5〜50質量%含有するものであることが好ましい(但し、各成分の含有量の合計が100質量%とする)。ここで、本発明のロジン変性樹脂、及び上記活性エネルギー線硬化型化合物は、予めワニスの形態に調製して使用してもよい。
顔料は、公知公用の各種顔料であってよく、無機顔料及び有機顔料を使用することができる。
無機顔料の具体例として、黄鉛、亜鉛黄、紺青、硫酸バリウム、カドミムレッド、酸化チタン、亜鉛華、弁柄、アルミナホワイト、炭酸カルシウム、群青、カーボンブラック、グラファイト、及びアルミニウム粉等が挙げられる。
有機顔料の具体例として、β−ナフトール系、β−オキシナフトエ酸系、β−オキシナフトエ酸系アリリド系、アセト酢酸アリリド系、及びピラゾロン系等の溶性アゾ顔料、
β−ナフトール系、β−オキシナフトエ酸系アリリド系、アセト酢酸アリリド系モノアゾ、アセト酢酸アリリド系ジスアゾ、及びピラゾロン系等の不溶性アゾ顔料、
銅フタロシアニンブルー、ハロゲン化(塩素又は臭素化)銅フタロシアニンブルー、及びスルホン化銅フタロシアニンブルー、金属フリーフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、
キナクリドン系、ジオキサジン系、スレン系(ピラントロン、アントアントロン、インダントロン、アントラピリミジン、フラバントロン、チオインジゴ系、アントラキノン系、ペリノン系、ペリレン系等)、イソインドリノン系、金属錯体系、キノフタロン系等の多環式顔料及び複素環式顔料等が挙げられる。公知公用の各種顔料が使用可能である。
本発明の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキは、活性エネルギー線の照射によって硬化する。紫外線でインキを硬化させる場合は、インキに光重合開始剤を添加することが好ましい。一般に、光重合開始剤は、光により分子内で結合が開裂して活性種を生成するタイプと、分子間で水素引き抜き反応を起こして活性種を生成するタイプとの2種類に大別できる。
前者として、例えば、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ジエトキシアセトフェノン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパン}、4−(2−アクリロイル−オキシエトキシ)フェニル−2−ヒドロキシ−2−プロピルケトン等のアセトフェノン系、ベンゾイン、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン系、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトンとベンゾフェノンとの混合物、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系、ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル、及び3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等が挙げられる。
後者として、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系、ミヒラーケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、及びカンファーキノン等がある。
光重合開始剤は、1種を単独で使用しても、必要に応じて2種以上を組合せて使用しても良い。
本発明の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキに紫外線を照射して、インキを硬化させる場合、インキに光重合開始剤を添加するだけでよいが、硬化性をより向上させるために、光増感剤を併用することもできる。
光増感剤としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、及び4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル等のアミン類が挙げられる。
活性エネルギー線として紫外線を使用する場合、光重合開始剤の配合量は、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキの全質量を基準として、0.01〜15質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがより好ましい。上記配合量を0.01質量%以上とした場合、硬化反応が十分に進行する。また、上記配合量を15質量%以下とした場合、熱重合反応の発生を抑制し活性エネルギー線硬化型平版印刷インキの安定性を好適な状態にすることが容易である。活性エネルギー線として、紫外線以外の電離放射線を使用する場合には、光重合開始剤を配合しなくてもよい。
活性エネルギー線硬化型平版印刷インキは、光重合禁止剤、耐摩擦剤、ブロッキング防止剤、スベリ剤等の各種添加剤を、目的に応じて、さらに含んでもよい。各種添加剤は、常法によりインキに添加することができる。インキに対して各種添加剤を添加する場合、他のインキ材料の効果を阻害しない範囲で配合量を調整することが好ましい。各種添加剤の配合量は、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ全質量を基準として、15質量%以下であることが好ましい。なお、光重合禁止剤を使用する場合、例えば、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ用ワニスに使用可能な光重合禁止剤として例示した化合物を用いることができる。
活性エネルギー線の照射は、窒素ガス等の不活性ガス置換雰囲気下で実施することが好ましいが、大気中で照射しても差し支えない。活性エネルギー線を照射する前に、赤外線ヒーター等によって活性エネルギー線硬化型平版印刷インキの塗布層を加温するか、又は活性エネルギー線を照射した後に、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキの硬化層を赤外線ヒーター等で加温することは、硬化を速く終了させるために有効である。
本明細書において、活性エネルギー線とは、代表的に、紫外線、電子線、X線、α線、β線、γ線のような電離放射線、マイクロ波、高周波等を意味する。しかし、活性エネルギー線は、上記に限定されるものではなく、ラジカル性活性種を発生させ得るならば、いかなるエネルギー種でもよく、可視光線、赤外線、及びレーザー光線でもよい。
紫外線を発生するものとしては、例えば、LED、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ、ヘリウム・カドミニウムレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、及びアルゴンレーザーなどが挙げられる。
活性エネルギー線硬化型平版印刷インキは、常温から100℃間の温度条件下で、上記の成分を練肉、及び混合することによって製造することができる。インキを製造するために、例えば、ニーダー、三本ロール、アトライター、サンドミル、ゲートミキサー等の各種器材を用いることが好ましい。インキを製造するためにロジン変性樹脂を添加する場合は、ロジン変性樹脂そのものの形態で添加してもよいし、上記ロジン変性樹脂を含む活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ用ワニスの形態で添加してもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキは、通常、湿し水を使用する平版オフセット印刷に好適に使用することができる。しかし、このような実施形態に限らず、上記インキは、湿し水を使用しない水無し平版印刷においても好適に使用することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキは、フォーム用印刷物、各種書籍用印刷物、カルトン紙等の各種包装用印刷物、各種プラスチック印刷物、シール/ラベル用印刷物、美術印刷物、金属印刷物(美術印刷物、飲料缶印刷物、缶詰等の食品印刷物)などの印刷物に適用される。また、他の実施形態として、上記印刷物のオーバーコートワニスとして使用されることもある。
上記インキが適用される基材は、特に限定されない。使用可能な基材の具体例として、上質紙等の非塗工紙、微塗工紙、アート紙、コート紙、軽量コート紙、キャストコート紙等の塗工紙、白板紙、ボールコート等の板紙、合成紙、アルミ蒸着紙、及びポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル等のプラスチックシートが挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、本明細書に記載の「部」は質量部を表し、「%」は質量%を示す。
以下の実施例で実施した各種測定の詳細は以下のとおりである。
(重量平均分子量)
重量平均分子量は、東ソー(株)製のゲルパーミネイションクロマトグラフィ(HLC−8320)で測定した。検量線は標準ポリスチレンサンプルにより作成した。また、溶離液としてテトラヒドロフランを用い、カラムとしてTSKgel SuperHM−M(東ソー(株)製)を3本用いた。測定は、流速0.6mL/分、注入量10μL、及びカラム温度40℃の条件下で行った。
(酸価)
酸価は、中和滴定法によって測定した。具体的には、先ず、ロジン変性樹脂1gをキシレン:エタノール=2:1の質量比で混合した溶媒20mLに溶解させた。次いで、先に調製したロジン変性樹脂の溶液に、指示薬として3質量%のフェノールフタレイン溶液を3mL加えた後に、0.1mol/Lのエタノール性水酸化カリウム溶液で中和滴定を行った。酸価の単位は、mgKOH/gである。
(ロジン酸類の成分分析)
原料として使用するロジン酸類をガスクロマトグラフィー質量分析計で分析し、全ロジン酸ピーク面積100%に対する、各ピーク面積比(%)を求めた。より具体的には、ロジン酸類中に含まれ、α,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物(B)とディールスアルダー付加反応を起こす共役系ロジン酸と、前記共役系ロジン酸以外との含有比を、それぞれ該当するピーク面積の比から求めた。
(ディールスアルダー付加反応の進行の確認と、生成した上記付加反応物の定量)
ディールスアルダー付加反応の反応液をガスクロマトグラフィー質量分析計で分析し、原料として使用した、ロジン酸類(A)、及びα,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物(B)の検出ピークの減少によって反応の進行を確認した。検出ピークの減少に変化が見られない時点で反応を終了した。
1.ロジン変性樹脂、ワニス、及び活性エネルギー線硬化型平版インキ組成物の調製
以下に示す実施例及び比較例の処方に従い、ロジン変性樹脂、ワニス、及び活性エネルギー線硬化型平版インキ組成物をそれぞれ調製した。なお、以下に示す処方で使用したガムロジンは、α,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物(B)とディールスアルダー付加反応を起こす共役系ロジン酸の含有量が80質量%であり、前記共役系ロジン酸以外の含有量が20質量%であった。
(実施例1)
攪拌機、水分離器付き還流冷却器、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、ガムロジン20部と無水マレイン酸5.2部とを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、180℃で1時間にわたって加熱することにより、反応混合物を得た。次いで、先に説明したように、反応混合物のガスクロマトグラフ質量分析によって、ディールスアルダー付加反応が完了したことを確認した。
次に、上記反応混合物に、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸37部と、1,2−シクロヘキサンジオール37.8部と、触媒として、p−トルエンスルホン酸一水和物0.1部とを添加し、230℃で10時間にわたって脱水縮合反応を行い、樹脂(R1)を得た。樹脂(R1)の酸価は23であり、GPC測定ポリスチレン換算での重量平均分子量(Mw)は9,900であった。
次に、上記と同様のフラスコに、上記樹脂(R1)を58部、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加物トリアクリレート41.9部、及びハイドロキノン0.1部を入れて混合し、これらを100℃で加熱溶融することでワニス(V1)を得た。
さらに、ワニス(V1)41部、リオノールブルーFG7330(トーヨーカラー社製の藍顔料)20部、トリメチロールプロパントリアクリレート22部、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート11.9部、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン2.5部、2−メチル−2−モノホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン2.5部、及びハイドロキノン0.1部を、40℃の三本ロールミルにて練肉し混合物を得た。次いで、インキのタックが9〜10になるように、上記混合物トリメチロールプロパントリアクリレートを加えて調整し、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ(C1)を得た。インキのタックは、東洋精機社製のインコメーターにてロール温度30℃、400rpm、1分後の値を測定した。
(実施例2)
実施例1と同様の操作にて、表1に示す配合組成で酸価28、Mw6,800の樹脂(R2)を得た。次いで、表2に示す配合組成でワニス(V2)、表3に示す配合組成で活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ(C2)を得た。
(実施例3)
実施例1と同様の操作にて、表1に示す配合組成で酸価45、Mw3,200の樹脂(R3)を得た。次いで、表2に示す配合組成でワニス(V3)、表3に示す配合組成で活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ(C3)を得た。
(実施例4)
攪拌機、水分離器付き還流冷却器、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、ガムロジン25部、無水マレイン酸6.5部、4,4’−ビシクロヘキシルジカルボン酸35部、1,2−シクロヘキサンジオール33.5部、p−トルエンスルホン酸一水和物0.1部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、180℃で1時間にわたって加熱した。次いで、得られた反応混合物について、230℃で13時間にわたって脱水縮合反応を行い、樹脂(R4)を得た。樹脂(R4)の酸価は31であり、GPC測定ポリスチレン換算での重量平均分子量(Mw)は6,500であった。
次に、上記と同様のフラスコに、樹脂(R4)を60部、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加物トリアクリレート39.9部、及びハイドロキノン0.1部を入れて混合し、これらを100℃で加熱溶融することでワニス(V4)を得た。
さらに、ワニス(V4)41部、リオノールブルーFG7330(トーヨーカラー社製の藍顔料)20部、トリメチロールプロパントリアクリレート22部、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート11.9部、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン2.5部、2−メチル−2−モノホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン2.5部、及びハイドロキノン0.1部を、40℃の三本ロールミルにて練肉し混合物を得た。次いで、インキのタックが9〜10になるように、上記混合物にトリメチロールプロパントリアクリレートを加えて調整し、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ(C4)を得た。インキのタックは、東洋精機社製のインコメーターにてロール温度30℃、400rpm、1分後の値を測定した。
(実施例5)
実施例1と同様の操作にて、表1に示す配合組成で酸価26、Mw7,100の樹脂(R5)を得た。次いで、表2に示す配合組成でワニス(V5)、表3に示す配合組成で活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ(C5)を得た。
(実施例6)
実施例1と同様の操作にて、表1に示す配合組成で酸価35、Mw5,900の樹脂(R6)を得た。次いで、表2に示す配合組成でワニス(V6)、表3に示す配合組成で活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ(C6)を得た。
(実施例7)
実施例1と同様の操作にて、表1に示す配合組成で酸価33、Mw6,900の樹脂(R7)を得た。次いで、表2に示す配合組成でワニス(V7)、表3に示す配合組成で活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ(C7)を得た。
(比較例A)
攪拌機、水分離器付き還流冷却器、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、ガムロジン25部、4,4’−ビシクロヘキシルジカルボン酸43部、1,4−シクロヘキサンジメタノール32部、p−トルエンスルホン酸一水和物0.1部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、230℃で10時間にわたって脱水縮合反応を行い、樹脂(RA)を得た。樹脂(RA)の酸価は39であり、GPC測定ポリスチレン換算での重量平均分子量(Mw)は4,500であった。
次に、上記と同様のフラスコに、樹脂(RA)を62部、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加物トリアクリレート37.9部、及びハイドロキノン0.1部を入れて混合し、これらを100℃で加熱溶融することでワニス(VA)を得た。
さらに、ワニス(VA)42部、リオノールブルーFG7330(トーヨーカラー社製の藍顔料)20部、トリメチロールプロパントリアクリレート21部、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート11.9部、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン2.5部、2−メチル−2−モノホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン2.5部、及びハイドロキノン0.1部を、40℃の三本ロールミルにて練肉し混合物を得た。次いで、インキのタックが9〜10になるように、上記混合物にトリメチロールプロパントリアクリレートを加えて調整し、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ(CA)を得た。インキのタックは、東洋精機社製のインコメーターにてロール温度30℃、400rpm、1分後の値を測定した。
(比較例B)
実施例1と同様の操作にて、表1に示す配合組成で酸価20、Mw13,000の樹脂(RB)を得た。次いで、表2に示す配合組成でワニス(VB)、表3に示す配合組成にて活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ(CB)を得た。
(比較例C)
実施例1と同様の操作にて、表1に示す配合組成で酸価33、Mw5,200の樹脂(RC)を得た。次いで、表2に示す配合組成でワニス(VC)、表3に示す配合組成にて活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ(CC)を得た。
Figure 0006421268
Figure 0006421268
なお、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加物トリアクリレートとしては、東亞合成社製アロニックスM−350を用いた。
Figure 0006421268
2.活性エネルギー線硬化型平版印刷インキの評価
実施例及び比較例で調製した活性エネルギー線硬化型平版印刷インキについて、下記の方法に従い、印刷被膜適性と印刷適性を評価した。
<印刷被膜適性の評価>
実施例1〜7、比較例A〜Cで得られた活性エネルギー線硬化型平版印刷インキを、RIテスター(明製作所製簡易展色装置)を用いて、マリコート紙(北越製紙社製コートボール紙)へ1g/m2の塗布量で印刷し、120W/cmの空冷メタルハライドランプ(東芝社製)1灯を用いて60m/minで紫外線を照射した。
紫外線照射後の印刷物の硬化性、及び光沢値について、以下に従って評価した。各評価の結果を表4に示す。
(硬化性)
硬化性は、印刷物の印刷面を綿布で擦った時の状態を目視にて観察し、以下の基準に従い4段階で評価した。使用可能なレベルは、「3」以上である。
4:印刷面の変化なし。
3:印刷面の一部にキズが見られるが、剥離は見られない。
2:印刷面の一部(50%未満)に剥離が見られる。
1:印刷面の一部(50%以上)、又は全部に剥離が見られる。
(光沢性)
プルーフバウ展色機を用いて、三菱製紙社製のパールコートにインキを同一濃度に展色し、試験サンプルを作製した。次いで、光沢計グロスメーターモデルGM−26((株)村上色彩技術研究所製)を用いて、試験サンプルの60°光沢値を測定した。得られた光沢値から光沢性を以下の基準に従い、4段階で評価した。光沢値の数値が高い程、光沢が良いことを表す。使用可能なレベルは「2」以上であるが、「3」以上がより好ましい。
4:光沢値が60以上である。
3:光沢値が50以上〜60未満である。
2:光沢値が40以上〜50未満である。
1:光沢値が40未満である。
また、実施例1〜7、比較例A〜Cで得られた活性エネルギー線硬化型平版印刷インキを、RIテスター(明製作所製簡易展色装置)を用いて、PETフィルムに対して1g/m2の塗布量で印刷し、120W/cmの空冷メタルハライドランプ(東芝社製)1灯を用いて60m/minで紫外線を照射し、印刷物を得た。またPETフィルムの代わりにPEフィルムを使用し、上記方法と同様にして印刷物を得た。
紫外線照射後の各印刷物の密着性を以下に従って評価した。評価結果を表4に示す。
(密着性)
上記のようにして得たPETフィルム及びPEフィルムへの各印刷物に対し、セロハンテープ剥離試験を行い、密着性を評価した。試験後の印刷物の表面を目視で観察し、密着性を以下の基準に従い、4段階で評価した。使用可能なレベルは「3」以上である。
4:印刷面の変化なし。
3:印刷面の一部(25%未満)に剥離が見られる。
2:印刷面の一部(25%以上、50%未満)に剥離が見られる。
1:印刷面の一部(50%以上)又は全部に剥離が見られる。
(ミスチング性)
<印刷適性の評価>
実施例1〜7、比較例A〜Cで得られた活性エネルギー線硬化型平版印刷インキを用いて、インキごとに2万枚の印刷試験を行った。印刷試験は、リスロン226(コモリコーポレーション社製の枚葉印刷機)を用いて、三菱特両アート紙斤量90Kg/連(三菱製紙社製)に対して、10,000枚/時の速度で印刷する条件下で実施した。
また、印刷試験では、湿し水として、アストロマークIIIクリア(東洋インキ社製)1.5%と、イソプロピルアルコール3%とを含む水道水を使用した。正常に印刷できる条件範囲の境界付近における印刷状態の比較を行うために、水巾の下限値よりも2%高い水ダイヤル値で印刷を行った。なお「水巾の下限」とは、正常な印刷が可能である、湿し水の最低供給量を意味し、「水ダイヤル」とは、上記湿し水の供給量を調整するために、上記印刷機に備えられたダイヤルを意味する。
上記印刷試験で得られた各印刷物について、ベタ着肉状態、及び地汚れを比較したが、実施例1〜7、及び比較例A〜Cのインキを用いた各印刷物の間で顕著な差は見られなかった。
印刷時に印刷機の安全カバーの内側に白紙を張り付け、10000通し後に白紙を取り出し、インキの飛散の程度を、以下の基準に従い、4段階で評価した。使用可能なレベルは「3」以上である。
4:白紙の一部分に微量のインキミストが飛散している。
3:白紙全面に薄くインキミストが飛散している。
2:白紙全面にやや厚くインキミストが飛散している。
1:白紙全面にベッタリとインキミストが飛散している。
Figure 0006421268
表4に示すように、実施例1〜7のインキは、硬化性、光沢性、密着性、及び初期濃度安定性の全ての評価において、使用可能なレベルであり、優れた印刷被膜適性と印刷適性とを両立できることが分かる。一方、比較例A〜Cのインキでは、印刷被膜適性と印刷適性との両立は困難であることが分かる。
より詳細には、実施例1〜7、比較例B〜Cのインキに見られるように、バインダー樹脂として使用されたロジン変性樹脂が、ロジン酸類(A)と、α,β−不飽和カルボン酸無水物(B)とをディールスアルダー付加反応させたものである場合には、硬化性などの印刷被膜の特性において良好な結果が得られた。
一方、比較例Aインキでは、特に硬化性が著しく低下する結果となった。これは、上記比較例Aのインキでは、バインダー樹脂として使用されたロジン変性樹脂は、α,β−不飽和カルボン酸無水物(B)を配合しておらず、ロジン酸中に含まれる共役二重結合が残留することで、硬化阻害が生じると考えられる。
また、比較例Bでは、ミスチング性が低下する結果となった。これは、比較例Bのインキでは、バインダー樹脂として使用されたロジン変性樹脂は、水酸基/カルボキシル基の比率が0.86であり、ロジン変性樹脂の重量平均分子量(Mw)が大きく、印刷機インキロール間で生じたフィラメントが伸張しやすく、ミスト化しやすいことに起因すると考えられる。
さらに、比較例Cでは、PEフィルムへの密着性が低下する結果となった。これは、アルコールとして使用されたネオペンチルグリコールと水素化ビスフェノールAが、1つのシクロヘキサン環を含有するジオール(D)を含むアルコールではなく、ロジン変性樹脂が柔軟性を発現しにくいことに起因すると考えられる。
ここで、実施例5インキでは、2塩基酸(C)の配合量とジオール(D)の配合量の合計が50質量%以下であるために、PEフィルムに対する密着性が他の実施例と比較すると、やや低下する結果であった。また、実施例6インキでは、(C)と(D)の配合量の合計が80質量%を超えており、ロジン酸類(A)の含有量が少なくなるために、ロジン酸類の多環構造に由来する顔料分散性の発現が弱く、その結果、光沢性がやや低下した。
実施例1〜7、比較例A〜Cの中でも、ミスチング性については、特に、ロジン変性樹脂の分子量が小さい実施例2〜7および比較例Cで良好な結果が得られた。これは、バインダーとして使用したロジン変性樹脂の分子量が小さくなることで、印刷機インキロール間で生じたフィラメントが伸張しにくく、ミスト発生が抑制できるためと考えられる。

Claims (5)

  1. ロジン酸類(A)およびα,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物(B)の付加反応物と、1つ以上のシクロヘキサン環を含有する2塩基酸(C)を含む有機酸と、1つのシクロヘキサン環を含有するジオール(D)を含むアルコールとの反応物であるロジン変性樹脂であって、
    前記1つ以上のシクロヘキサン環を含有する2塩基酸(C)の配合量と、前記1つのシクロヘキサン環を含有するジオール(D)の配合量の合計が、全配合量を基準として、45〜85質量%の範囲であり、
    重量平均分子量が3000〜9,900であるロジン変性樹脂。
  2. 請求項に記載のロジン変性樹脂と、活性エネルギー線硬化型化合物とを含む、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ用ワニス。
  3. 請求項に記載のロジン変性樹脂と、活性エネルギー線硬化型化合物と、顔料とを含む、活性エネルギー線硬化型平版印刷インキ。
  4. 請求項に記載の活性エネルギー線硬化型平版印刷インキを基材に印刷してなる印刷物。
  5. ロジン変性樹脂の製造方法であって、
    ロジン酸類(A)に、α,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物(B)を付加させる反応を行う工程1と、
    前記工程1で得た反応混合物と、1つ以上のシクロヘキサン環を含有する2塩基酸(C)を含む有機酸と、1つのシクロヘキサン環を含有するジオール(D)を含むアルコールとのエステル化反応を行う工程2と
    を含み、
    前記1つ以上のシクロヘキサン環を含有する2塩基酸(C)の配合量と、前記1つのシクロヘキサン環を含有するジオール(D)の配合量の合計が、全配合量を基準として、45〜85質量%の範囲であり、
    重量平均分子量が3000〜9,900である、ロジン変性樹脂の製造方法。
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