JP6420585B2 - シリコンフォトニクス変調器の電極構造 - Google Patents

シリコンフォトニクス変調器の電極構造 Download PDF

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本発明はシリコンフォトニクスにおける電極構造に関し、より詳細には、シリコン基板上に集積するために特定の電極構造を有するように構成する、多チャンネル且つ高密度な小型シリコンフォトニクス変調器の電極構造に関するものである。
図1は、従来型の光変調器の電極構造の概略図である。この例では、LN変調器による外部変調方式を示す。従来技術では、光変調器3と該光変調器を駆動させるドライバ回路1との間に、DCフィード用コイル(L1)およびDCブロック用コンデンサ(C)を備えたバイアスティ回路2を結合させる。そして、バイアスティ回路2からバイアス電圧を印加することで光変調器3を安定動作させるのが一般的である。また、図2は、シリコンフォトニクス技術を用いたシリコン基板上に集積化させる従来技術のシリコンフォトニクス変調器や化合物半導体を用いた変調器の電極構造の概略回路図である。図2では、キャパシタンス(C1)として簡略表記されたシリコンフォトニクス変調器30に対し、バイアス回路20が信号電極(S)側においてドライバIC回路10と結合される。バイアス回路20は、図示のように抵抗線R、DC電源(V1)、およびコンデンサ(C)を備え、ドライバIC回路10からの高周波信号に対してDCレベルを調整可能に可変とすることにより、シリコンフォトニクス変調器を高速動作させる。
しかしながら、図1に示すようなバイアスティを信号電極側に適用する構成の場合、高周波信号の信号特性を維持し、変調器を安定動作させるために、DCブロック用コンデンサ(C)およびDCフィード用コイル(L1)のサイズが大きくなるように設計せざるを得ない。即ち、バイアスティの物理的な大きさを理由として、バイアスティ回路をシリコン基板上にモノリシックに配置することが困難である。一方、図2に示すような構成の場合、信号電極(S)に対してバイアス回路のインピーダンスを十分高くする必要があるために、複数の変調器を高密度に集積する場合や、以下の実施形態で説明するように、変調器として電極分離型(分割型)の変調器を適用した場合には、信号線ごとにキャパシタンスCや抵抗線Rを配置する必要があり、小型且つ高密度化する上で課題であった。
当該課題に対処するために、従来技術では更に、図3の回路図に示すように、(信号電極側ではなく)グランド電極(GND)側においてバイアス電圧を印加できるよう電極を構成することが考えられてきた。即ち、グランド電極側にDC電源(V2)を設け、信号電極側との電位差に応じてバイアス電圧を印加可能とすることにより、グランド電極側をバイアスとして構成することが考えられてきた。このように設計することにより、図2に示したようなバイアス回路を設ける必要がなく、バイアス電圧を印加することが可能になる。そのため、バイアス回路の物理的な大きさに伴う上記小型高密度する上での課題について一応は解消される。
更に、図4(a)および図4(b)は、シリコンフォトニクス変調器の電極構造に関するシリコン基板上の平面図を示し、図3の回路図に対応するものである。図4(a)は単チャンネル型の電極構造であり、図4(b)は、多チャンネル型(ここでは3チャンネル)の電極構造の概要を示している。
図4(a)に示すように、単チャンネル型の電極の基本構造例は、バイアス電圧を印加するための2つの平行なバイアス電気配線Vのパターン、並びに、これら2つの電気配線パターンの間に、電気信号を入力する3セグメントの信号電極部Sのパターンおよび対応するコンプリメンタリの信号電極部S’のパターンをそれぞれ変調器導波路に設けることによって実現される。なお、信号電極部Sに対し、対応するコンプリメンタリの信号電極部S’を設けるのは当業者にとって公知である。
ドライバIC回路(図示せず)が、これらの要素の上に被さるようにして配置される。また、シリコンフォトニクス変調器そのものは、当該3セグメントの信号電極部Sおよびコンプリメンタリの信号電極部S’のパターン下部にそれぞれ配置される(図示せず)。つまり、ここでは、分割型電極によるシリコンフォトニクス変調器(分割型変調器)を想定している。これに対し、進行波型電極による変調器(進行波型変調器)を適用する場合には、信号電極部Sおよび対応するコンプリメンタリの信号電極部S’はそれぞれ1セグメントのみのパターンとなり、それぞれの下に1つの変調器が配列されることが当業者には理解される。
図4(b)のシリコンフォトニクス変調器の電極構造は、図4(a)に示した単チャンネル相当の電極構造を3セット並列に配置することによって、多チャンネル(3チャンネル)化、且つ高密度化して実現される。
図5は、図3に示した電極構造の等価回路の内、上記高密度化によるインダクタンスの増加を想定して、グランド電極側のバイアスに更にインダクタンス(L2)を付加した回路図である。また、図6は、図5に示した回路を用いて、インダクタンスL2の値を変化させて変調器の周波数応答を測定したグラフである。ここでは、横軸を周波数(単位;GHz)とするのに対し、縦軸を周波数応答(単位;dB)とし、図5に示したL2のインダクタンス値を0.2nH,0.1nH,0.05nH,0nHとした場合が、それぞれグラフ中の線〔1〕〜〔4〕に対応する。
図6のグラフからも分かるように、例えば10GHzの周波数では、インダクタンスを(0nHから)大きくすればするほど周波数応答が下がっていること、即ち、電気配線パターンのインピーダンスが増加して周波数応答が劣化することが確認される。
つまり、図4(b)に関し先に述べたように、高密度化によりバイアスの電気配線パターンVの電気配線幅wを狭くすることは、インダクタンスを増加させることを意味し、この結果、変調器の電気特性に悪影響を及ぼすことになる。他方、上記インダクタンスを考慮して、仮にバイアスの電気配線パターンVの電気配線幅wを広げた場合であっても、本発明者の実験によれば、変調器の周波数応答に対する改善がほとんど見られず(後記する図13も参照)、寧ろ、高周波信号においては電気信号波形に劣化が確認された。この点、バイアスの電気配線Vパターンの電気配線幅wは、シリコンフォトニクス変調器の周波数応答の改善に直接的に寄与するものではない。
"10Gb/s Compact InP MZ Modulator, Negative Chirp, with DWDM Laser, LMC10NEG" (http://www.oclaro.com/datasheets/LMC10NEG%20Datasheet%20-%20D00019-PB%20%5B04%5D.pdf)
多チャンネル且つ高密度のシリコンフォトニクス変調器の電極構造においては、如何にしてバイアス電極のインダクタンス成分を0nHに近づくような電極構造を形成し、即ち図6の〔4〕に示すような周波数特性に近づけるよう実現できるかが課題となる。
そこで、本発明は、シリコン基板上に集積するために特定の電極構造を有するように構成する、多チャンネル且つ高密度の小型シリコンフォトニクス変調器の電極構造を提供することにより、当該シリコンフォトニクス変調器を高周波で高速動作可能とすることを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、シリコンフォトニクス変調器の電極構造を提供する。当該電極構造は、シリコン基板平面上に、複数のバイアス電気配線を形成するための第1層と、複数のグランド電極部を、それぞれ第1層の電気配線と位置合わせして形成した第2層とを備える。
また、本発明のシリコンフォトニクス変調器の電極構造は、上記第1層において複数のバイアス電気配線が相互に電気的に接続され、また、上記第2層において複数のグランド電極部が相互に電気的に接続されるように構成したことを特徴とする。
更に、本発明のシリコンフォトニクス変調器の電極構造では、シリコンフォトニクス変調器は複数の分割型変調器によって構成する。そして、当該電極構造は、上記第1層において複数の信号電極部が電気配線と平行に配列され、複数の電気配線が、上記第1層において信号電極部の間隙を通じて電気的に相互に接続されると共に、複数のグランド電極部が、上記第2層において信号電極部の間隙を通じて相互に電気的に接続されるように構成したことを特徴とする。
図1は、従来型の光変調器の電極構造の概略図である。 図2は、従来技術のシリコンフォトニクス変調器の電極構造の回路図の一例である。 図3は、従来技術のシリコンフォトニクス変調器の電極構造の回路図の他の例である。 図4は、従来技術のシリコンフォトニクス変調器の電極構造におけるシリコン基板上の概略平面図である。 図5は、図3の回路図にインダクタンスを付加した回路図の一例である。 図6は、図5の概略回路図を用いて従来技術のシリコンフォトニクス変調器の周波数応答を測定したグラフである。 図7Aは、本発明の一実施形態による、シリコンフォトニクス変調器の電極構造におけるシリコン基板上の一例の概略平面図である。 図7Bは、本発明の一実施形態による、シリコンフォトニクス変調器の電極構造におけるシリコン基板上の他の例の概略平面図である。 図8は、図7Aのシリコンフォトニクス変調器の電極構造の一例の断面図のである。 図9は、図7Aのシリコンフォトニクス変調器の電極構造の他の例の断面図である。 図10Aは、図7Aのシリコンフォトニクス変調器の電極構造に対応する等価回路図である。 図10Bは、図7Bのシリコンフォトニクス変調器の電極構造に対応する等価回路図である。 図11は、本発明の他の実施形態による、シリコンフォトニクス変調器の電極構造におけるシリコン基板上の概略平面図である。 図12は、図11のシリコンフォトニクス変調器の電極構造の一例の断面図である。 図13は、本発明の実施形態による、シリコンフォトニクス変調器の電極構造を用いて、シリコンフォトニクス変調器の周波数応答を測定したグラフである。
本発明の実施形態によるシリコン基板平面上に集積するシリコンフォトニクス変調器の電極構造について、以下に図面を参照しながら詳細に説明する。なお、同様の構成要素には同様の符号を付してある。
図7Aは、本発明の一実施形態による、シリコンフォトニクス変調器の電極構造に関するシリコン基板上の平面図の一例である。また、図8は、図7Aの第1列、第4列、または第7列における断面図の一例を、図9は、図7Aの第2列、第3列、第5列、または第6列における断面図の一例を示す。図7Aでは、第2列、第3列、第5列、および第6列上に、当該平面図の一部の上面を覆うドライバIC回路(図示せず)から電気信号の入力を受けるための電気信号入力部50および光信号を入出力するための光導波路60についても示してある(図4では図示せず)。
図7Aおよび図8を参照する。図7Aの第1列に注目すると、変調器導波路上に設けたバイアス電気配線Vのパターン(色塗部)の上に、略同一幅を有するグランド電極部Gのパターン(破線部)を位置合わせして被せている。つまり、当該電極構造は、シリコン基板平面上に、複数のバイアス電気配線を形成するための層l、および複数のグランド電極部をそれぞれ層lの電気配線と位置合わせして形成した層lを含んで積層する。これにより、当該電極構造において、バイアス電気配線層lのVおよびグランド電極層lのGは、間に前縁物質を有するキャパシタンスとして機能させることが可能となる。
なお、上記の例では、バイアス電気配線Vのパターンとグランド電極部Gのパターンの幅を略同一のものとして説明しているが、これに限定されず、異なる幅であってもよい。また、上記の例では、バイアス電気配線層lの上に、グランド電極層lを積層しているが、この積層順に限定されない。これとは逆に、グランド電極層lの上にバイアス電気配線層lを積層してもよい。
次に、図7Aの第2列に対応する図9についても参照する。図9の一連の矢印で示すように、電気信号は、第2列の端部に設けた信号電極部Sから電気信号入力部51を介してドライバIC回路に供給され、次いで、該ドライバIC回路から電気信号入力部52〜54でそれぞれ電気信号を受けて、信号電極部S〜Sにそれぞれ伝達されるように構成する。信号電極部S〜Sの下部に位置する層lには、光導波路が設けられ、該層lにおいてシリコンフォトニクス変調器が形成される。これにより、電気信号が供給されてシリコンフォトニクス変調器が駆動される。
図10Aは、図7Aに示した本発明の一実施形態により構成されるシリコンフォトニクス変調器の電極構造に対応した等価回路図である。当該電極構造では、先に説明したように、キャパシタンス(C2)が論理的に付加されたのと等価となる。その結果、変調器のインピーダンスを低減可能であることが理解される。
次に、図7Aの電極構造を改良した図7Bを参照する。図7Bに示すように、改良した電極構造例では、バイアス電気配線Vとこれに位置合わせされたグランド電極部Gとの間において、キャパシタンス(コンデンサチップ)(C’)をそれぞれ設ける。そして、図7Bのように構成される改良電極構造に対応した等価回路図は図10Bのようになる。このように、コンデンサチップ(C’)を設けることにより、特に、電極構造と該電極構造から接続される外部素子との間における安定動作が見込まれ更に有利となる。
図11に示すように、本発明の他の実施形態では、第1列、第4列および第7列に示した平行なバイアス電気配線V,V,Vのパターン同士を、同じくバイアス電気配線V’,V’によって直角方向に相互に電気的に接続すると共に、当該バイアス電気配線層上のグランド電極部G,G,G同士についても、グランド電極部G’,G’によって、直角方向に相互に電気的に接続するように構成する。このように直角方向に相互接続することにより、図7Aの例では、第1列、第4列および第7列の列ごとにバイアス電気配線Vの層とグランド電極部Gの層との平行平板で構成されたキャパシタンスは、全チャネルを通じて1つのキャパシタンスとして機能できる。これにより、シリコンフォトニクス変調器の電気特性をより一層安定化させることが可能になる。
更に、図7Bで示したような、バイアス電気配線Vとグランド電極部Gの間にキャパシタンス(C’)を追加する構成を図11の電極構造にも適用する場合には、全チャンネルを通じて、バイアス電気配線V層同士、グランド電極部G層同士が電気的に接続可能であるから、接続に必要とされるキャパシタンス(C’)は全体で1つのみでよく、より一層安定動作が可能となる。
先に述べたように、本発明の実施形態の電極構造を有するシリコンフォトニクス変調器は、一例では分割型変調器として構成される。そして、このようなシリコンフォトニクス変調器の電極構造は、例えば、4つの信号電極部S〜Sを有し、バイアス電気配線Vのパターンと平行となるように第1列と隣り合って配列およびパターン化される。図12は、図11の第2列、第3列、第5列、および第6列における断面図について示しており、図11に示す電極構造についてより一層理解される。
即ち、バイアス電気配線Vのパターン同士を相互に接続するバイアス電気配線V’,V’は、層lにおいて信号電極部の間隙(即ち、SとS、およびSとSの間隙)を通じて接続される。同様に、バイアス電気配線V上のグランド電極部Gのパターン同士を相互に接続するグランド電極部G’,G’についても、層lにおいて信号電極部の間隙(即ち、SとS、およびSとSの間隙)を通じて接続されることが理解される。
他方、シリコンフォトニクス変調器を進行波型変調器とする場合には、上記のようなSとS、およびSとSにおける間隙は存在しないことから、別途新たな層を設けるか、長い変調器の周辺から、バイアス電気配線Vのパターン同士や、バイアス電気配線V上のグランド電極部Gのパターン同士をそれぞれ相互に接続することになる。
最後に、図13を参照して、本発明の実施形態によるシリコンフォトニクス変調器の電極構造の効果について説明する。図13は、図7Aまたは図11に示した電極構造を用いて、シリコンフォトニクス変調器の周波数応答を測定したグラフである。グラフ中、実線〔a〕が本実施形態の電極構造による場合であり、これに対し、点線〔b〕が図6に示したバイアスの電気配線Vのパターン幅wを小さくした場合、そして破線〔c〕がこれとは逆にパターン幅wを大きくした場合に相当する。
図6に関連して先に説明したように、点線〔b〕および破線〔c〕では、バイアスの電気配線Vのパターン幅wに拘わらず、電極構造のインダクタンス(L2)の問題によりシリコンフォトニクス変調器の電気特性に悪影響を及ぼす。他方、実線〔a〕、即ち本実施形態による電極構造を適用した場合には、このような品質劣化は見られず、高周波の場合(例えば25GHz)であっても、図6の〔4〕の場合(具体的には、図5に示したL2のインダクタンスの値を0nHに設定した場合)とほぼ同様の周波数応答を示すことが考察される。この点、図10Aの等価回路図に示したように、グランド電極側に更にキャパシタンスC2が付加される構成とすることにより、シリコンフォトニクス変調器の電気特性が大幅に改善され、当該変調器の周波数応答が改善されたことが十分に理解される。
以上、図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明してきたが、当業者であれば、他の類似する実施形態を使用することができること、また、本発明から逸脱することなく適宜形態の変更又は追加を行うことができることに留意すべきである。なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるべきではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて解釈されるべきである。

Claims (4)

  1. シリコンフォトニクス変調器の電極構造であって、シリコン基板平面上に、
    複数のバイアス電気配線を形成するための第1層と、
    複数のグランド電極部を、それぞれ前記第1層の電気配線と位置合わせして形成した第2層とを備え
    前記第1層において前記複数のバイアス電気配線が相互に電気的に接続され、
    前記第2層において前記複数のグランド電極部が相互に電気的に接続される、
    ように構成したことを特徴とする、電極構造。
  2. 請求項記載の電極構造において、前記シリコンフォトニクス変調器が複数の分割型変調器を用いて構成され、当該電極構造は、
    前記第1層において複数の信号電極部が前記電気配線と平行に配列され、
    前記複数の電気配線が、前記第1層において前記信号電極部の間隙を通じて電気的に相互に接続され、
    前記複数のグランド電極部が、前記第2層において前記信号電極部の間隙を通じて相互に電気的に接続されるように構成したことを特徴とする、電極構造。
  3. 請求項1または2記載の電極構造であって、更に、
    前記第1層における1つの前記電気配線と前記第2層において位置合わせされた1つのグランド電極部との間を接続するためのキャパシタンスをそれぞれ設けたことを特徴とする、電極構造。
  4. 請求項1から3の何れか一項記載の電極構造であって、更に、
    前記第1層において前記相互に接続された電気配線と前記第2層において前記相互に接続されたグランド電極部との間を接続するための1つのキャパシタンスを設けたことを特徴とする、電極構造。
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