JP6420040B2 - 地下変電所の緊急時変圧器冷却システムおよび緊急時変圧器冷却方法 - Google Patents

地下変電所の緊急時変圧器冷却システムおよび緊急時変圧器冷却方法 Download PDF

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Description

本発明は、変電設備の冷却設備に係り、特に、地下変電所が被災した際に必要最低限度の変圧器の運用を可能にする地下変電所の緊急時変圧器冷却システムを用いてより長く地下変電所の変圧器の運用を継続する地下変電所の緊急時変圧器冷却システムおよび緊急時変圧器冷却方法に関する。
都市部の市街地に設置される変電所は、一般に、建物の地下部分に設置されることが多く、地下変電所と呼ばれている。この地下変電所は、都市部の送配電において重要な設備であって、最大のものでは500kV級の設備もある。このような地下変電所は、都市部の主要機関に電力を供給している関係から、設備停止は都市部の混乱を招く等の社会問題としてクローズアップされる傾向がある。従って、地下変電所の信頼性向上は大きな命題である。
上述した事情から、地下変電所を構成する機器(例えば、変圧器)について、高い信頼性が求められるのはもちろんのこと、その補機(例えば、変圧器の冷却システム)についても同様に高い信頼性が求められる。例えば、地下変電所を構成する変圧器の冷却システムは、冷却システムの停止が、変圧器の停止(熱による自損)に直結するため、やはり、高い信頼性が求められる。
また、地下変電所は、電力需要の大きな都市部に設置されるのに加えて、建物の地下階に設置されていることから、変圧器等で大量に発生した熱が放散しにくく、発生した熱を地下階から屋外(地上)へ強制的に放出することが必要であり、地下変電所の冷却設備は屋外に設置される変電所に比べて、大型化・複雑化する傾向がある。
一般的な地下変電所の冷却設備システムは、変圧器で発生した熱を、変圧器に設置される一次冷却器において冷水が温水となる過程で熱交換し、一次冷却器からの温水(一次冷却器で熱交換された後の冷却水)をポンプによって二次冷却器へ送り、二次冷却器で温水が冷水となる過程で熱交換することによって放熱する仕組である。
この様な冷却設備を有する変電設備では、例えば、想定規模以上の地震や火事等に地下変電所が被災した場合、一次冷却器から二次冷却器(冷却塔又は乾式冷却器)への水路が破断する等によって、二次冷却器が機能しない停止状態となってしまう事態も起こり得る。特に、地震によって建物が倒壊してしまった場合には二次冷却器への水路が破断する可能性が高く、この場合の二次冷却器の機能停止が危惧されている。この様な場合であっても、変電所の切り替えや供給側で生じる問題を解決できるだけの対策時間を確保する時間(最低限半日程度、好ましくはそれ以上)は、応急処置的な運用状態となったとしても運用を停止させないようにすることは必要不可欠である。
上述した事情を考慮して、例えば、特許第5320147号公報に記載されるように、二次冷却器が停止してしまった場合に、応急処置的な運用状態であっても、なんとか変圧器本体が損傷に至る温度上昇の時定数分の時間(通常、1,2時間程度)以上の運用時間を確保する地下変電所の緊急時変圧器冷却システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第5320147号公報
上述した引用文献1に記載される地下変電所の緊急時変圧器冷却システムでは、運用条件によっても異なるが、変圧器本体が損傷に至る温度上昇を回避できる応急処置的な必要最低限度の変圧器の運用を最大で数日程度は継続することができる。
しかしながら、数日程度という期間は、実際に大地震に被災した場合に地下変電所を停止させない対策を講じるまでの期間としては、決して十分とはいえない。2011年3月に発生した東日本大震災の状況に鑑みると、最低限のインフラが復旧するまでに数日程度を要しており、同程度の規模の大地震が発生した場合、最低限のインフラが復旧するまでに数日以上かかることも想定しておく必要がある。従って、地下変電所の停止を確実に回避する観点からすれば、応急処置的な必要最低限度の変圧器の運用が可能な期間をさらに延ばしておいた方がより確実である。
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、地震や火事等の災害に見舞われて二次冷却器が停止してしまった場合に応急処置的に必要最低限度の変圧器の運用を継続的に可能にする地下変電所の緊急時変圧器冷却システムおよびその冷却方法を提供することを目的とする。
本発明の実施形態に係る地下変電所の緊急時変圧器冷却システムは、上述した課題を解決するため、地下変電所に設置される変圧器の冷却システムにおいて、前記変圧器の発生熱を冷却水で冷却する一次冷却器と、前記一次冷却器とは離れた位置に設置され、前記一次冷却器を通過した後の冷却水である温水を冷却する二次冷却器とを備え、前記一次冷却器と前記二次冷却器とを冷却する、又蒸発などで一部失われる前記冷却水を補給する冷却用補給水を貯水し、前記冷却用補給水を補給する補給水槽と、前記補給水槽に補給する前記冷却用補給水を貯水するとともに補給水ポンプを備える貯水槽とを接続し、前記貯水槽から前記補給水槽に前記冷却用補給水を送る流路を有する補給水系統と、通常運用時に前記一次冷却器および前記二次冷却器に冷却水を供給する流路として、前記一次冷却器の入力端と前記一次冷却器の入力端へ冷却水を供給する冷却水ポンプの出力端とが接続され、前記一次冷却器の出力端と前記二次冷却器の入力端とが接続され、前記二次冷却器の出力端と前記冷却水ポンプの入力端とが接続されることによって、前記冷却水が循環可能に形成される流路を有する冷却水供給系統とを接続し、前記貯水槽の水を前記補給水系統および冷却水供給系統の流路を介して前記一次冷却器側に供給する流路を有する緊急冷却水供給系統と、前記貯水槽と接続される1個の入力端と、前記補給水槽と接続される開閉自在な第1の出力端と、前記一次冷却器の入力端と接続される開閉自在な第2の出力端とを含む複数個の出力端とを備え、前記貯水槽から導入される前記冷却用補給水の供給先を選択的に切り替える第1の流路切替手段と、前記一次冷却器の出力端と接続される1個の入力端と、前記二次冷却器の入力端と接続される開閉自在な第3の出力端と、前記第3の出力端とは異なる開閉自在な第4の出力端とを含む複数個の出力端とを備え、前記一次冷却器から導入される前記温水の供給先を選択的に切り替える第2の流路切替手段と、前記冷却水供給系統の外部に設置される冷却設備であって前記二次冷却器の冷却機能が停止した状態となった場合に前記緊急冷却水供給系統に組み込まれて用いられ、前記二次冷却器に代わって前記一次冷却器を通過した後の冷却水である温水を冷却する非常用冷却設備と、をさらに設け、前記二次冷却器の冷却機能が停止した状態となった場合に、少なくとも第1の水循環流路および第2の水循環流路を含む複数の水循環流路から一つの水循環流路を形成可能に構成されており、前記第1の水循環流路は、前記冷却水ポンプと前記補給水ポンプを停止させた状態で、前記第1の出力端と前記第3の出力端とを閉じ、一端から放出される流体が前記貯水槽へ流入するように配設される第1の仮設管の他端を前記第4の出力端に取り付け、前記第2の出力端と前記第4の出力端とを開いて、前記補給水ポンプを起動させることによって、前記貯水槽に貯水される前記冷却用補給水を、前記第2の出力端、前記一次冷却器、前記第4の出力端、および前記第1の仮設管を経由させて前記貯水槽へ戻して循環させながら前記冷却水として前記一次冷却器へ供給可能な流路であり、前記第2の水循環流路は、前記第1の冷却流路における前記補給水ポンプを停止させた状態で、前記第2の流路切替手段により前記一次冷却器から導入される前記温水の供給先を、前記非常用冷却設備に切り替え、一端から放出される流体が前記貯水槽へ流入するように配設される第2の仮設管の他端を前記非常用冷却設備の出力端に取り付け、前記補給水ポンプを起動させることによって、前記貯水槽に貯水される前記冷却用補給水を、前記第2の出力端、前記一次冷却器、前記第2の流路切替手段、前記非常用冷却設備および前記第2の仮設管を経由させて前記貯水槽へ戻して循環させながら前記冷却水として前記一次冷却器へ供給可能な流路であることを特徴とする。
本発明の実施形態に係る地下変電所の緊急時変圧器冷却方法は、上述した課題を解決するため、地下変電所に設置される変圧器の発生熱を冷却水で冷却する一次冷却器と、前記一次冷却器とは離れた位置に設置され、前記一次冷却器を通過した後の冷却水である温水を冷却する二次冷却器とを備え、前記一次冷却器と前記二次冷却器とを冷却する、又蒸発などで一部失われる前記冷却水を補給する冷却用補給水を貯水する前記冷却用補給水を補給する補給水槽と、前記補給水槽に補給する前記冷却用補給水を貯水するとともに補給水ポンプを備える貯水槽とを接続し、前記貯水槽から前記補給水槽に前記冷却用補給水を送る流路を有する補給水系統と、通常運用時に前記一次冷却器および前記二次冷却器に冷却水を供給する流路として、前記一次冷却器の入力端と前記一次冷却器の入力端へ冷却水を供給する冷却水ポンプの出力端とが接続され、前記一次冷却器の出力端と前記二次冷却器の入力端とが接続され、前記二次冷却器の出力端と前記冷却水ポンプの入力端とが接続されることによって、前記冷却水が循環可能に形成される流路を有する冷却水供給系統とを接続し、前記貯水槽の水を前記補給水系統および冷却水供給系統の流路を介して前記一次冷却器側に供給する流路を有する緊急冷却水供給系統と、前記貯水槽と接続される1個の入力端と、前記補給水槽と接続される開閉自在な第1の出力端と、前記一次冷却器の入力端と接続される開閉自在な第2の出力端とを含む複数個の出力端とを備え、前記貯水槽から導入される前記冷却用補給水の供給先を選択的に切り替える第1の流路切替手段と、前記一次冷却器の出力端と接続される1個の入力端と、前記二次冷却器の入力端と接続される開閉自在な第3の出力端と、前記第3の出力端とは異なる開閉自在な第4の出力端とを含む複数個の出力端とを備え、前記一次冷却器から導入される前記温水の供給先を選択的に切り替える第2の流路切替手段と、前記二次冷却器の出力端と開閉自在に接続される第1の入力端と、前記第1の入力端とは異なる開閉自在な第2の入力端と、前記冷却水ポンプの入力端と開閉自在に接続される出力端とを備え、前記第1の入力端、および前記第2の入力端の何れか一方から導入される流体を前記冷却水ポンプの入力端と開閉自在に接続される前記出力端へ案内する第3の流路切替手段と、をさらに設けて構成される冷却システムを用いた地下変電所の緊急時変圧器冷却方法であり、前記二次冷却器の冷却機能が停止した状態となった場合に、前記冷却水ポンプと前記補給水ポンプとを停止させ、前記冷却水ポンプと前記補給水ポンプとが停止した状態で、前記第1の出力端と前記第3の出力端とを閉じ、一端から放出される流体が前記貯水槽へ流入するように配設される仮設管の他端を前記第4の出力端に取り付けてから前記第2の出力端と前記第4の出力端とを開いて、前記補給水ポンプを起動させることによって、前記貯水槽に貯水される前記冷却用補給水を、前記第2の出力端、前記一次冷却器、前記第4の出力端、および前記仮設管を経由させて前記貯水槽へ戻し、前記一次冷却器と前記貯水槽とを循環させながら前記冷却水として前記一次冷却器へ供給し、前記冷却用補給水を消費しながら前記一次冷却器を冷却する第1次段階のステップと、前記冷却システムに対して、前記一次冷却器からの温水を熱交換した後に前記貯水槽へ戻す非常用冷却設備がさらに設けられた後に、前記第2の流路切替手段が前記貯水槽と前記一次冷却器と前記非常用冷却設備との間で前記冷却用補給水が循環する循環流路に切り替えることによって、前記非常用冷却設備が前記貯水槽と前記一次冷却器と前記非常用冷却設備との間で循環する前記冷却用補給水を冷却する第2次段階のステップと、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、地震や火事等の災害に見舞われて二次冷却器が停止してしまった場合に必要最低限度の運用を継続的に行うことができる。
本発明の第1の実施形態に係る地下変電所の緊急時変圧器冷却システムおよびその冷却系統を概略的に示したシステム概略図(通常運用時)。 本発明の第1の実施形態に係る地下変電所の緊急時変圧器冷却システムおよびその冷却系統を概略的に示したシステム概略図(緊急運用時の第1次段階)。 本発明の第1の実施形態に係る地下変電所の緊急時変圧器冷却システムおよびその冷却系統を概略的に示したシステム概略図(緊急運用時の第2次段階)。 本発明の第1の実施形態に係る地下変電所の緊急時変圧器冷却システムおよびその冷却系統を概略的に示したシステム概略図(緊急運用時の第3次段階)。 本発明の第1の実施形態に係る地下変電所の緊急時変圧器冷却システムおよびその冷却系統の第1の流路切替手段の変形例を示す概略図であり、(A)は2個の三方弁を直列に接続して第1の流路切替手段を構成した例を示す図、(B)は3個のポートを備える1個のヘッダーと1個の三方弁とを直列に接続して第1の流路切替手段を構成した例を示す図。 本発明の実施形態に係る地下変電所の緊急時変圧器冷却システムの貯水槽を二系統化して構成した構成例を示した概略図。 地下変電所の変圧器冷却システムの基本構成の一例であり、二次冷却器が屋外に設置される構成例を示した説明図。 地下変電所の変圧器冷却システムの基本構成の一例であり、二次冷却器が屋内に設置される構成例を示した説明図。 第2次段階に移行している本発明の第1の実施形態に係る地下変電所の緊急時変圧器冷却システムおよびその冷却系統の第1変形例を概略的に示したシステム概略図。 第2次段階に移行している本発明の第1の実施形態に係る地下変電所の緊急時変圧器冷却システムおよびその冷却系統の第2変形例を概略的に示したシステム概略図。 第3次段階に移行している本発明の第1の実施形態に係る地下変電所の緊急時変圧器冷却システムおよびその冷却系統の変形例を概略的に示したシステム概略図。 本発明の第2の実施形態に係る地下変電所の緊急時変圧器冷却システムおよびその冷却系統を概略的に示したシステム概略図(通常運用時)。 本発明の第2の実施形態に係る地下変電所の緊急時変圧器冷却システムおよびその冷却系統を概略的に示したシステム概略図(緊急運用時の第1次段階)。 本発明の第2の実施形態に係る地下変電所の緊急時変圧器冷却システムおよびその冷却系統を概略的に示したシステム概略図(緊急運用時の第2次段階)。 本発明の第2の実施形態に係る地下変電所の緊急時変圧器冷却システムおよびその冷却系統を概略的に示したシステム概略図(緊急運用時の第3次段階)。
以下、本発明の実施形態に係る地下変電所の緊急時変圧器冷却システム(以下、「地下変電所緊急時変圧器冷却システム」と称する)および緊急時変圧器冷却方法について、図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1〜4は、本発明の第1の実施形態に係る地下変電所緊急時変圧器冷却システムの一実施例である地下変電所緊急時変圧器冷却システム(以下、「第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム」と称する)10Aおよびその冷却系統を運用状態毎に概略的に示したシステム概略図である。
より具体的には、図1が通常運用時(緊急運用時以外)、図2が緊急運用時の第1次段階(以下、単に「第1次段階」と称する)、図3が緊急運用時の第2次段階(以下、単に「第2次段階」と称する)、図4が緊急運用時の第3次段階(以下、単に「第3次段階」と称する)における第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aおよびその冷却系統を示している。
通常運用時の第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10A(図1)は、大別すると、地下変電所の変圧器11を冷却する役割を担う冷却水供給系統12と、冷却水が減少した場合に冷却水を適宜補給する役割を担う補給水系統13と、冷却水供給系統12と補給水系統13とを接続し、補給水系統13側から冷却水供給系統12側への冷却水の供給を可能とする緊急冷却水供給系統14と、三つの系統を備えて構成される。
第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aの各系統12,13,14について説明する。冷却水供給系統12では、冷却水ポンプ21によって冷却水が一次冷却器22に運ばれ、変圧器11を熱交換によって冷却する。続いて、一次冷却器22で変圧器11の発生熱を吸収した冷却水(以下、「温水」と称する)はさらに二次冷却器23に運ばれ、二次冷却器23で温水を熱交換して冷却する。すなわち、二次冷却器23は、温水を熱交換する過程で温水に吸収された変圧器11の熱を外部へ放熱し、温水を冷水とする。続いて、二次冷却器23で冷水となった冷却水は冷却水ポンプ21に戻される。
補給水系統13は、冷却水が冷却水供給系統12を循環する過程で蒸発等により減少するため、適宜、補給水槽31に貯えた冷却用補給水を補給水槽31と冷却水供給系統12とを連結した膨張配管32を介して冷却水供給系統12へ供給する。補給水槽31の冷却用補給水は、予め水道等の水源から水を引いて貯水しておいた貯水槽33の水を補給水ポンプ34によって適宜送出することによって補充される。補給水槽31の冷却用補給水がオーバーフローした時は、オーバーフロー管35から排水される。
貯水槽33は、例えば、四つの水槽33−1〜33−4等の複数の水槽を連通管37で連結して構成される。尚、貯水槽33は、必ずしも、複数の水槽を連通管37で連結した構成である必要はなく、1個の水槽であっても良いが、複数の水槽で構成されることが好ましい。1個の水槽の場合、実施する形態によっては、緊急時において仕切(パーテション)を追設する等の必要が生じる場合もあるためである。
緊急冷却水供給系統14は、通常運用時に使用されない冷水の供給系統であり、被災したことによって二次冷却器23の機能が停止してしまった等の緊急時に使用される。緊急冷却水供給系統14は、冷却水供給系統12と補給水系統13とを連結する流路を有し、緊急時に貯水槽33に貯水してある補給水を補給水系統13から冷却水供給系統12へ導く役割を担う。
また、第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aでは、通常運用時、および緊急時の運用段階に応じて、流路を自在に切り替えることが必要となる。そこで、流路を切り替えるための構成要素として、例えば、第1,2,3の流路切替手段41A,42,43が設けられている。
第1の流路切替手段41Aは、例えば、4個のポート(入力端と出力端)を備える流路切替手段である。第1の流路切替手段41Aの4個のポートのうち3個は、それぞれ、補給水槽31、冷却水ポンプ21の出力端、および貯水槽33と接続される。また、残りの1個のポートは、後述する第3次段階で非常用冷却設備47(図4)へ冷却用補給水を供給するための仮設管45(図4)が接続される。第1の流路切替手段41Aのポートのうち、少なくとも、出力端となるポート、すなわち、補給水槽31と接続されるポート、冷却水ポンプ21の出力端と接続されるポート、および後述する第3次段階で仮設管45が接続されるポートは、何れも開閉可能に構成される。
第1の流路切替手段41Aは、例えば、少なくとも3個のポートが開閉自在に構成された4個のポートを備えるヘッダー411であり、弁412,413,414を開閉することによって、貯水槽33の補給水の供給先を、補給水槽31(通常運用時)、一次冷却器22(第1,2次段階)、および非常用冷却設備47(第3次段階)の何れかに切り替える。
第2の流路切替手段42は、例えば、3個のポート(入力端と出力端)を備える流路切替手段である。第2の流路切替手段42の3個のポートのうち2個は、それぞれ、一次冷却器22の出力端、および二次冷却器23の入力端に接続される。残る1個のポートは、通常運用時には予備として閉止されており、緊急運用時に仮設管45(図2〜4)を取り付けて使用される。第2の流路切替手段42のポートのうち、少なくとも、出力端となるポート、すなわち、二次冷却器23の入力端と接続されるポート、および通常運用時には予備として閉止されるポートは、何れも開閉可能に構成される。
第2の流路切替手段42は、例えば、少なくとも2個のポートが開閉自在に構成された3個のポートを備えるヘッダー421であり、弁422,423を開閉することによって、一次冷却器22からの温水の供給先を二次冷却器23(通常運用時)と弁423(緊急運用時)とに切り替える。なお、第2次段階への移行をより速く行えるようにするため、図1〜4に示される第2の流路切替手段42では、通常運用時には予備として閉止される弁423が設置される流路を、弁423とヘッダー421との間で分岐させ、分岐させた流路にさらに弁424を設けている。
第3の流路切替手段43は、例えば、3個のポート(入力端と出力端)を備える流路切替手段である。第3の流路切替手段43の3個のポートのうち2個は、それぞれ、二次冷却器23の出力端、および冷却水ポンプ21の入力端に接続される。残る1個のポートは、第3次段階以外の状況下では予備として閉止されており、第3次段階に仮設管45(図4)を取り付けて使用される。第3の流路切替手段43のポートのうち、少なくとも、入力端となるポート、すなわち、二次冷却器23の出力端と接続されるポート、および通常運用時等では予備として閉止されるポートは、何れも開閉可能に構成される。
第3の流路切替手段43は、例えば、少なくとも2個のポートが開閉自在に構成された3個のポートを備えるヘッダー431であり、弁432,433を開閉することによって、冷却水ポンプ21へ戻す冷却水の供給元を二次冷却器23(通常運用時)と弁433(第3次段階)とに切り替える。
仮設管45(図2,3,4)は、緊急運用時に取り付けられる着脱自在な可撓性の管であり、例えば、樹脂繊維を筒状に製織して構成される円筒織物の両面に熱可塑性樹脂等の被覆材によって被覆したホース等である。このホースとしては、例えば、芦森工業株式会社のパルジェット(登録商標)、またはこれと同様の製品を採用することができる。このような円筒織物によって構成されるホースは、通常運用時にはコンパクトに収納でき、保管中の劣化が少ない等の利点がある。
非常用冷却設備47は、第1次段階から第2次段階への移行時において追設される仮設の冷却設備であり、二次冷却器23と同等の役割を果たす。非常用冷却設備47は、いわば、仮設の二次冷却器23であり、例えば、乾式冷却塔や開放型冷却塔471等の仮設冷却塔を備える。仮設冷却塔としての開放型冷却塔471は、例えば、地上面等の安定した場所に設置される。
乾式冷却塔や開放型冷却塔471は、密閉型冷却塔473(図11)等の他の冷却塔を採用する場合と比較して、コスト、搬入および組立の作業、保管、並びに汎用性の面で他の冷却塔よりも優位である。具体的には、比較的安価である点、比較的軽量で搬入、搬出、および組立が容易である点、重量および大きさの観点からトレーラーやヘリコプター等の輸送機器による搬入が可能である点、部品単位で保管可能である点、並びに他の設備等で使用している冷却塔の流用が可能である点が利点となる。
尚、図1〜4に示される第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aは一実施例であって、図示される構成に限定されない。例えば、図1に示される一次冷却器22の台数が異なる場合、図1では多重化されていない流路が多重化されている場合、または、弁412〜414,422〜424,432,433以外の弁が適宜追加されている場合等であっても良い。また、弁412〜414,422〜424,432,433は手動弁であるか電動弁であるかを問わず任意に選択できる。
続いて、第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10A(通常運用時:図1)の幾つかの変形例について説明する。
図5(図5(A)および図5(B))は第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aに設けられる第1の流路切替手段41Aの変形例を示す概略図であり、図6は本発明の実施形態に係る地下変電所の緊急時変圧器冷却システムの貯水槽を二系統化して構成した構成例である貯水槽33x,33yの構成を示した概略図である。なお、図5に示される第1の流路切替手段41Aの各ポートの開閉状態は、通常運用時の状態である。
第1の流路切替手段41Aは、図1〜4に例示される構成の他、例えば、2個の三方弁415,416を直列に接続して構成したり(図5(A))、弁412と、1個のポートが弁412と接続されるT字継手418と、T字継手418の弁412によって開閉されない2個のポートうち、何れか一方のポートと三方弁416の1個のポートとを直列にして構成したりすることができる(図5(B))。
尚、図5は第1の流路切替手段41Aの変形例を示したものであるが、他の流路切替手段である第2,3の流路切替手段42,43についても、第1の流路切替手段41Aと同様にして図1〜4に例示される構成の以外の構成(例えば、1個の三方弁や1個のT字継手と2個の弁(二方弁)とを接続した構成等)を採用することができる。
一方、貯水槽33の構成についても、図1〜4に示される例に限定されない。すなわち、図1〜4に示される第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aにおける貯水槽33は、1系統であるが、図6に例示されるように、2系統等の複数系統化(多重化)された貯水槽33x,33yであっても良い。
複数系統化(多重化)された貯水槽33x,33yが設置されている第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aでは、補給水ポンプ34の一方を第1系統側の貯水槽33xへ配置しつつ、補給水ポンプ34の他方を第2系統側の貯水槽の33yへ配置することによって、貯水槽33xの水の温度が上昇して冷却水として使用できない状況となっても、貯水槽33xとは異なる系統である貯水槽33yの水を使って変圧器11の冷却をすることができ、その間に貯水槽33xの水を自然冷却することができる。
続いて、本発明の第1の実施形態に係る地下変電所の緊急時変圧器冷却方法として、第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aを用いた地下変電所の変圧器11の冷却方法(以下、単に「第1の変圧器冷却方法」と称する)について説明する。
第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aは、通常運用時(緊急運用時以外)の場合(図1)、緊急冷却水供給系統14の流路は閉じており、補給水槽31に補給水を供給する補給水系統13の流路が開いている。すなわち、第1の流路切替手段41Aの弁412は開いており、弁413は閉じている。なお、通常運用時には弁414も閉じている。
また、冷却水供給系統12では、冷却水ポンプ21、一次冷却器22、第2の流路切替手段42、二次冷却器23、第3の流路切替手段43、および冷却水ポンプ21がループ状に接続され、冷却水が通水する流路が形成される。通常運用時の場合、第2の流路切替手段42では、弁422が開いており、弁423および弁424が閉じている。また、第3の流路切替手段43では、弁432が開いており、弁433が閉じている。
この状況下において、冷却水供給系統12では、冷却水ポンプ21が動作し、変圧器11を冷却する冷却水が冷却水ポンプ21から供給される。冷却水ポンプ21から供給された冷却水は、冷却水ポンプ21から一次冷却器22、第2の流路切替手段42(ヘッダー421および弁422)、二次冷却器23、および第3の流路切替手段43(弁432およびヘッダー431)を経由して冷却水ポンプ21へ戻る流路を循環する。
また、冷却水の循環過程で、冷却水が不足してきた場合には補給水槽31から膨張配管32を経由して適宜冷却水を冷却水供給系統12へ補給する。補給水槽31の補給水が不足してきた場合には、間欠的に補給水ポンプ34を稼動させて、貯水槽33の水を補給水系統13の流路を経由して補給水槽31へ適宜送り出すことによって補充する。
一方、地震や火事等の災害に見舞われる等の事態が発生して二次冷却器23の機能が停止(喪失)してしまった場合(緊急運用時の場合:図2,3,4)、第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aでは、まず、初期対応として緊急運用時の第1次段階へ移行して変圧器11を冷却する。その後、順次、変圧器11をより安定的(長期間に亘って)冷却可能な第2次段階、および第3次段階へと移行して変圧器11を冷却する。
通常運用時から第1次段階への移行は、第1のステップとして、冷却水ポンプ21と補給水ポンプ34を停止させる。続く第2のステップとして、貯水槽33に貯水される補給水の供給先が一次冷却器22となるように流路の切り替えを行うべく、通常運用時には開いている弁412と弁422を閉じる。さらに、続く第3のステップとして、仮設管45(図2)の一端を弁423に取り付け、仮設管45の他端を弁423を通水する水が貯水槽33へ流入するように配設する。
仮設管45の他端が配設される位置は、温度上昇を少しでも遅らせる観点から、補給水ポンプ34が設置される水槽33−1と異なる水槽(図2に示される第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aでは、水槽33−2,33−3,33−4)であることが好ましい。仮設管45の他端が配設されるより好ましい位置は、水槽33−1から離れている水槽(図2に示される第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aでは、水槽33−3,33−4)であり、最も好ましい位置は、第1の水槽33−1から最も遠くに位置する水槽(図2に示される第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aでは、水槽33−4)である。
続く第4のステップとして、閉じている第1の流路切替手段41Aの弁413と第2の流路切替手段42の弁423とを開く。すなわち、補給水系統13の流路のうち弁412から補給水槽31側の流路と冷却水供給系統12の流路のうち弁422から二次冷却器23側の流路とを閉じ、緊急冷却水供給系統14の流路と弁423を開くことで、貯水槽33の水を一次冷却器22に通水させて貯水槽33へ戻す循環流路に切り替える。
続く第5のステップとして、補給水ポンプ34を起動する。これによって、貯水槽33の水は、第1の流路切替手段41A(ヘッダー411および弁413)を経由して緊急冷却水供給系統14の流路へ流入し、緊急冷却水供給系統14の流路から一次冷却器22に流入し、一次冷却器22から第2の流路切替手段42(ヘッダー421および弁423)を経由して貯水槽33へ流入する循環流路を循環する。第1〜5のステップが完了すると、第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aは第1次段階(図2)への移行する工程を完了する。
第1次段階へ移行している第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10A(図2)では、二次冷却器23の機能が喪失してしまった場合にも、貯水槽33の水を一次冷却器22に供給することができるので、変圧器11の熱を貯水槽33から供給される水に吸収させて放熱することができる。また、変圧器11の熱を回収した後の温水は、貯水槽33へ戻されるため、変圧器11の冷却に要する水を循環させて再利用することができ、半日から数日程度は変圧器11を冷却することができる。
ここで、第1次段階へ移行可能な第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aの作用について補足する。
第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aでは、通常運用時には変圧器11の一次冷却器22の入口側(冷却前)の水温は約50℃であり、出口側(冷却後)の水温は約60℃となるのに対し、第1,2次段階において一次冷却器22へ供給される貯水槽33の水は地下に貯水している関係から約20℃と水温が低く通常運用時よりも大きな冷却効果が得られるため、一次冷却器22へ供給する冷却水の水量を通常運用時よりも少なく済ませることができる。
例えば、通常運用時と同じ負荷で運転をする場合であっても、温度差が約10℃から約40℃に拡大するので、通常運用時と同等の冷却効果を得るためには約1/4の水量で済ませることができる。このことは、通常運用時に使用される冷却水供給系統12の流路の断面積に対して、第1,2次段階において使用される緊急冷却水供給系統14の流路の断面積を約1/4とすることができることを意味する。
仮に補給水ポンプ34の送水能力が冷却水ポンプ21の送水能力に対して1/4未満の場合であっても、補給水ポンプ34は通常、冗長化(多重化)されており、図1等に示されるように最低二台設置されているはずなので、二台を稼動させることで冷却水ポンプ21の送水能力に対する1/4の送水能力を確保することが可能となる。
尚、緊急時における負荷は通常運用時の負荷に対して100%となることは稀であり、例えば、80%である場合には発生する熱量は64%の負荷損(理論値)と僅かの無負荷損になるから冷却水の水量はさらに少なくて済み、大抵の場合、補給水ポンプ34を二台稼動させるまでもなく、通常のプラント設計仕様であれば、この要件を十分に満足することができる。
しかしながら、上述する第1次段階の状態では、変圧器11の熱を回収するにつれて、貯水槽33内の水の温度が上昇するため、数日程度で変圧器11を冷却することができなくなってしまう。従って、第1次段階よりも長い期間に亘って継続的に冷却可能な段階(以下に説明する第2,3次段階)へ移行する方が好ましい。
このような事情を考慮して、第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aおよびその冷却方法では、準備が整い次第、既存配管の切断、新規の配管や弁の追設等のプラントの大幅な改修を行うことなく、仮設管45の取り付けおよび取り外し(繋ぎ変え)や弁412,413,422〜424等の開閉程度の簡単な操作によって、より長い期間に亘って継続的に冷却可能な第2,3次段階へ移行することができる。
第1次段階から第2次段階への移行は、少なくとも非常用冷却設備47を調達して設置する準備作業が必要となる。また、非常用冷却設備47を設置する際には、第1次段階から第2次段階へ移行する作業時間、すなわち、補給水ポンプ34を停止させる時間をより短くする観点から、予め保管される仮設管45(45−1,45−2)を用意し、非常用冷却設備47としての仮設冷却塔(図3,4に示される例は開放型冷却塔471)に、第2の流路切替手段42の弁423(または弁424)へ取り付け可能な仮設管45−1と、開放型冷却塔471で冷却後の水を貯水槽33へ戻す(流入させる)仮設管45−2との2本の仮設管45(45−1,45−2)の一端を取り付ける作業を行っておく方が良い。この準備作業が完了したら、第1次段階から第2次段階へ移行することができる。
第1次段階から第2次段階への移行は、第1のステップとして、補給水ポンプ34を停止させる。続く第2のステップとして、弁423に取り付けられている仮設管45(図2)を取り外し、開放型冷却塔471の入力端と取り付けられている仮設管45−1の他端を弁423に取り付ける(繋ぎ変える)とともに、開放型冷却塔471の出力端と取り付けられている仮設管45−2の他端を貯水槽33に流入するように配設する(仮設管45の切り替え)。続く第3のステップとして、補給水ポンプ34を起動する。第1〜3のステップが完了すると、第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aは第1次段階(図2)から第2次段階(図3)への移行が完了する。
尚、弁424が設けられている場合(図1〜4)には、弁423に取り付けられている仮設管45(図2)を取り外すことなく、そのまま、開放型冷却塔471の入力端と取り付けられている仮設管45−1の他端(弁424に取り付け可能に構成される)を弁424に取り付け、その後に弁423と弁424の開閉状態を切り替えることによって、第2のステップを行うことができる。この場合、弁423に取り付けられている仮設管45(図2)を繋ぎ変える必要がないので、更に素早く第1次段階から第2次段階への移行することができる。
第2次段階へ移行している第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10A(図3)では、補給水ポンプ34を起動することによって、貯水槽33の水は、補給水ポンプ34で汲み上げられて第1の流路切替手段41A(ヘッダー411および弁413)を経由して緊急冷却水供給系統14の流路へ流入し、緊急冷却水供給系統14の流路から一次冷却器22に流入し、一次冷却器22から第2の流路切替手段42(ヘッダー421および弁424)を経由して開放型冷却塔471へ流入し、開放型冷却塔471から貯水槽33へ流入する循環流路を循環する。
このように、第2次段階へ移行している第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aでは、一次冷却器22を通水した後の温水を開放型冷却塔471によって冷却(熱交換)した後に貯水槽33へ戻すことができるので、変圧器11の熱を放熱することができるだけでなく、第1次段階よりも低い温度で水が貯水槽33へ戻る結果、気化による減少分を少なく抑えることができる。従って、同じ条件での変圧器11の運転環境下においては、貯水槽33の水の加熱を防ぐことができ、蒸発による少しずつの消費を考慮しても、変圧器11の冷却を第1次段階よりも長期間に亘って継続できる。
尚、通常運用時から第1次段階へ移行する工程、および第1次段階から第2次段階へ移行する工程では、弁423と弁424とが逆に使用されて良い。すなわち、通常運用時から第1次段階へ移行する工程では、仮設管45(図2)の一端を弁423に取り付けているが、弁423の代わりに弁424に取り付けることができる。この場合、第1次段階から第2次段階へ移行する工程では、開放型冷却塔471の入力端と取り付けられている仮設管45−1の他端(弁423に取り付け可能に構成される)は、弁424の代わりに弁423に取り付けられる。
続いて、第2次段階から第3次段階への移行は、移行する作業時間、すなわち、補給水ポンプ34を停止させる時間をより短くする観点から、非常用冷却設備47としての開放型冷却塔471に補給水を供給する補給水入力端に仮設管45−3の一端を取り付けておく事前準備を行っておく方が好ましい。
第2次段階から第3次段階への移行は、第1のステップとして、補給水ポンプ34を停止させる。続く第2のステップとして、一端が開放型冷却塔471の補給水入力端に取り付けられる仮設管45−3の他端を第1の流路切替手段41Aの弁414に取り付けるとともに、仮設管45−2の他端(貯水槽33側の端)を第3の流路切替手段43の弁433に取り付ける。続く第3のステップとして、弁413を閉じるとともに弁414と弁433とを開く。
これにより、通常運用時と同様に、貯水槽33から弁414を経由して補給水を非常用冷却設備47(開放型冷却塔471)へ供給する系統と、冷却水ポンプ21の出力端から、一次冷却器22、第2の流路切替手段42の弁424、非常用冷却設備47(開放型冷却塔471)、および第3の流路切替手段43の弁433を経由して冷却水ポンプ21の入力端へ戻る系統とがそれぞれ確保される。
続く第4のステップとして冷却水ポンプ21を起動する。冷却水ポンプ21を起動すると、冷却水ポンプ21から送り出された冷却水は、一次冷却器22、第2の流路切替手段42の弁424、非常用冷却設備47(開放型冷却塔471)、および第3の流路切替手段43の弁433を経由して冷却水ポンプ21へ戻る循環流路を循環する。第1〜4のステップが完了すると、第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aは第2次段階(図3)から第3次段階(図4)への移行が完了する。
第3次段階へ移行している第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10A(図4)では、弁413を閉じるとともに弁414を開くことによって、貯水槽33の水は、緊急冷却水供給系統14の流路へ流入せずに、弁414および仮設管45−3を通って開放型冷却塔471へ導入される。尚、補給水ポンプ34は、補給水の補給が必要な場合に起動される。
また、冷却水ポンプ21を起動することによって、冷却水ポンプ21から送水される冷却水は、緊急冷却水供給系統14の流路へ流入せずに一次冷却器22へ流入し、一次冷却器22から第2の流路切替手段42(ヘッダー421および弁424)を経由して開放型冷却塔471へ流入し、開放型冷却塔471から第3の流路切替手段43(弁433およびヘッダー431)を経由して冷却水ポンプ21へ流入する循環流路を循環する。
このように、第3次段階へ移行している第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aでは、通常運用時と同様に冷却水ポンプ21による変圧器11の冷却が可能となるので、補給水ポンプ34から送水される水を用いる第1,2次段階では採り得ない、例えば、100%負荷等の高負荷による変圧器11の運転が可能となる。さらに、他の水源(例えば、防火水槽等の貯水施設、湖沼、ダム、池、河川、水を積載したタンクローリーなどの給水車両等)から貯水槽33への給水が可能な状態になれば、貯水槽33に水を補給することによって、更に長期の運用が可能になる。
尚、第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aは、地下変電所の変圧器冷却システムを新設する場合のみならず、既存の地下変電所の変圧器冷却システムに対して、大幅なシステム変更や多くの機器の追加をすることなく適用することができる。続いて、従来適用される地下変電所の変圧器冷却システムに対して、第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aを適用する例について説明する。
図7は地下変電所の変圧器冷却システムの基本構成の一例として二次冷却器23が屋外(屋上)に設置される構成例を示す説明図であり、図8は地下変電所の変圧器冷却システムの基本構成の一例として二次冷却器23が屋内に設置される構成例を示した説明図である。
従来適用される地下変電所の変圧器冷却システムは、二次冷却器23が設置される場所によって図7,8に示されるような二つの方式に大別されるが、第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aは、上記何れの方式についても大幅なシステム変更や大幅な機器の追加をすることなく適応可能である。尚、図7,8においては一部構成が省略されているが、地下階には図1に示される貯水槽33および補給水ポンプ34が存在しているものとする。また、図8においては、図1に示される補給水槽31が屋内に設置されているものとする。
図7に示されるような従来の地下変電所の変圧器冷却システムに対して、第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aを構成するには、緊急冷却水供給系統14の流路と、第1〜3の流路切替手段41A,42,43を追加する必要があるものの、緊急冷却水供給系統14の流路は変電設備の規模が大きいものでも十数メートル[m]程度で済み、第1〜3の流路切替手段41A,42,43は、ヘッダー411,421,431と弁412〜414,422〜424,432,433とで構成されるので、システム変更が軽微、かつ、追加する機器も調達の容易な基本的部品が少数(10点程度)で済む。
一方、図8に示されるような従来の地下変電所の変圧器冷却システムは、二次冷却器23が屋内に設置されているため、二次冷却器23を介して放熱される変圧器11の熱を強制的に屋外へ排出する必要がある。そこで、吸気ダクトから取り込んだ冷たい空気を二次冷却器23に通し、二次冷却器23を介して変圧器11の熱を吸収した空気を送風機49で強制的に排気している。
図8に示される地下変電所の変圧器冷却システムに対して、第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aを構成する場合であっても、基本的には図7に示される場合と同様にシステムを構築でき、貯水槽33から供給される水に吸収させた変圧器11の熱を屋外へ放熱することができる。
図8に示される地下変電所の変圧器冷却システムの場合、図7に示される地下変電所の変圧器冷却システムよりも、一次冷却器22と二次冷却器23との距離が短い分だけ建物の倒壊に対して強く、二次冷却器23の機能が停止してしまうような事態は想定し難いようにも思われる。しかし、図8に示される地下変電所の変圧器冷却システムの場合、火災時等の発生によって吸気ダクトおよび排気ダクトを含むフロア内の全ての通気口が閉じてしまうことがある。このような事態に陥ると、二次冷却器23の熱を放熱できず、二次冷却器23の機能が停止してしまうと考えられるため、図8に示される地下変電所の変圧器冷却システムに対しても第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aは有益なシステムといえる。
このように、第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aおよび第1の変圧器冷却方法では、地震や火事等の災害に見舞われて二次冷却器23の機能が停止してしまった緊急時の場合においても、通常、補給水槽31へ補給水を送る補給水ポンプ34を使って地下に貯えられた貯水槽33の水を冷却水として一次冷却器22に直接供給することができるので、非常用冷却設備47が無い場合でも、数日程度の期間であれば、貯水槽33への水の補給無しに変圧器11の冷却を継続できるので、応急処置的な必要最低限度の変圧器11の運用が可能となる(第1次段階)。
仮に数日程度の期間内に非常用冷却設備47ができない場合であっても、貯水槽33へ水を補給することができれば、さらに長い期間に亘って変圧器11の冷却を継続することができる。従って、第1次段階へ移行した後は、貯水槽33への水補給を定期的に継続することによって、必要最低限度の変圧器11の運用をより長期間に亘って継続することができる。
また、第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aおよび第1の変圧器冷却方法では、非常用冷却設備47を調達できれば、仮設の流路となる仮設管45(45−1,45−2)を非常用冷却設備47に取り付け、既に弁423に取り付けられている仮設管45と仮設管45−1との繋ぎ変え、または仮設管45−1を弁424へ取り付け、その後、弁423を閉止して弁424を開放する等のシステムの改修を伴わない簡単な作業によって、一次冷却器22を通水した後の温水を開放型冷却塔471によって冷却(熱交換)した後に貯水槽33へ戻すことができる(第2次段階)。
第2次段階は、同じ条件で変圧器11を運転した場合に第1次段階よりも貯水槽33の水の減少量を少なく抑えることができ、変圧器11の冷却を第1次段階よりも長期間に亘って継続できる利点がある。第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aおよび第1の変圧器冷却方法を適用すれば、システムの改修を伴わない簡単な作業によって、第1次段階よりも貯水槽33への水を補給することなく変圧器11の冷却を継続できる期間が長い第2次段階へ移行させることができる。
さらに、第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aおよび第1の変圧器冷却方法は、仮設管45−2,45−3の取り付けや弁413,414,433の開閉操作等のシステムの改修を伴わない簡単な作業によって、通常運用時と同様に冷却水ポンプ21による変圧器11の冷却が可能となる(第3次段階)。
第3次段階に移行した第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aは、通常運用時の第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aと比べて、二次冷却器23が非常用冷却設備47になっている点と一部の配管が仮設管45となっている点とで相違するものの、変圧器11の冷却に関する作用および効果の点では、実質的な相違はない。すなわち、第3次段階では、第1,2次段階では行い得ない高負荷(例えば、通常運用時の負荷に対して100%の負荷)での変圧器11の運転が可能となる利点がある。
従って、第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aおよび第1の変圧器冷却方法を適用すれば、システムの改修を伴わない簡単な作業によって、通常運用時と同等レベルの高負荷で変圧器11を運転することが可能な第3次段階へ移行させることができる。
また、第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aおよび第1の変圧器冷却方法によれば、通常運用時に使用されない機器との接続に仮設管45を使用することで、従来の地下変電所の変圧器冷却システムから改修する場合に必要な作業量を最低限度に抑えることができるとともに、緊急運用時において段階を移行する際の繋ぎ変え等を容易に行うことができる。
さらに、第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aおよび第1の変圧器冷却方法によれば、従来の地下変電所の変圧器冷却システムに対して、調達の容易な少数(10点程度)の基本的部品を追設する軽微なシステム変更によって、第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aへの変更が可能なので、大幅なシステム変更や大量の機器の追加を要することなく、従来の地下変電所の変圧器冷却システムから第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aへの改造(改修)が可能となる。
なお、図1〜4に示される第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aは、一例を示したものであり、必ずしも図示される構成に限定されるものではない。例えば、図1に示される第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10A(通常運用時)では、第1の流路切替手段41Aが弁414によって開閉自在なポートを備えているが、このポートは、配管の接続または切断や弁の追設等のシステムの比較的軽微な改修工事を許容するのであれば、省略することもできる。
また、第2次段階および第3次段階に移行している第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aの構成についても、図3,4に示される構成例に限らず、他の構成例を採用することもできる。
図9および図10は、第2次段階に移行している開放型冷却塔471を用いた第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aおよびその冷却系統の変形例を概略的に示したシステム概略図である。また、図11は、第3次段階に移行している密閉型冷却塔473を用いた第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aおよびその冷却系統の変形例を概略的に示したシステム概略図である。尚、図9〜11は、図の明りょう性や簡潔性を考慮して、図3,4に示される第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aの構成要素のうち、非常用冷却設備47における熱交換と関係が薄い構成等の一部構成を省略している。
図9,10に示される第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10A(第2次段階)では、開放型冷却塔471と、熱交換器とを接続して構成される非常用冷却設備47が追設される。なお、熱交換器は、例えば、液体の熱交換に適しているプレート式熱交換器472で構成される。また、開放型冷却塔471から水槽33−4に流入する水を汲み上げてプレート式熱交換器472の2次側の入力端へ送り出す非常用冷却水ポンプ51が追設される。
図9に示される第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aでは、弁424とプレート式熱交換器472の1次側の入力端とが仮設管45で接続され、プレート式熱交換器472の2次側の出力端と開放型冷却塔471の入力端とが仮設管45−1で接続され、非常用冷却水ポンプ51の出力端とプレート式熱交換器472の2次側の入力端とが仮設管45で接続される。
また、開放型冷却塔471の出力端には仮設管45−2が取り付けられ、プレート式熱交換器472の1次側の出力端には仮設管45が取り付けられる。さらに、仮設管45−2から流出する水を非常用冷却水ポンプ51が設置される水槽33−4に流入させる。さらにまた、プレート式熱交換器472の1次側の出力端に取り付けられる仮設管45から流出する水を非常用冷却水ポンプ51が設置される水槽33−4から最も遠くに位置する水槽33−1に流入させる。
プレート式熱交換器472の1次側の出力端に取り付けられる仮設管45から流出する水を非常用冷却水ポンプ51が設置される水槽33−4から最も遠くに位置する水槽33−1に流入させるのは、プレート式熱交換器472で熱交換された水は熱交換して幾分低温となるものの開放型冷却塔471で冷却される水槽33−4に流入する冷水と比較して相対的に高温であり、開放型冷却塔471から水槽33−4に流入する水の温度が上昇するのを防いで熱交換量を高く維持するためである。また、開放型冷却塔471で幾分汚れやすい水と一次冷却器22(図9において省略)に流入する水とを分離する意味合いもある。
このように、図9に示される第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aでは、一次冷却器22を通水した後の温水を開放型冷却塔471によって冷却(熱交換)した後に貯水槽33(水槽33−4)へ戻し、さらに、プレート式熱交換器472を通して放熱することができるので、図3に示される第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aと同様に変圧器11の熱を放熱することができる。
図10に示される第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aでは、図9に示される第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aに対して、非常用冷却設備47の構成要素は異ならないが、連通管37が蓋53で塞がれることにより、補給水ポンプ34が設置される水槽33−1と連通する水槽群33−1,33−2と非常用冷却水ポンプ51が設置される水槽33−4と連通する水槽群33−3,33−4とを隔離している点と、プレート式熱交換器472の1次側の出力端に取り付けられる仮設管45から流出する水が流入する位置との点で異なる。
図10に示される第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aでは、補給水ポンプ34が設置される水槽33−1と連通する水槽群33−1,33−2と非常用冷却水ポンプ51が設置される水槽33−4と連通する水槽群33−3,33−4とが隔離されている。また、プレート式熱交換器472の1次側の出力端に取り付けられる仮設管45から流出する位置は、補給水ポンプ34が設置される水槽33−1と連通する水槽群33−1,33−2のうち、補給水ポンプ34が設置される水槽33−1から最も遠くに位置する水槽33−2である。
プレート式熱交換器472の1次側の出力端に取り付けられる仮設管45から流出する水が、補給水ポンプ34が設置される水槽33−1と連通する水槽群33−1,33−2のうち、補給水ポンプ34が設置される水槽33−1から最も遠くに位置する水槽33−2に流入するようにしたのは、貯水槽33に貯水される水が温度上昇する速さをなるべく遅くするためである。
このように、図10に示される第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aでは、一次冷却器22(図10において省略)を通水した後の温水を開放型冷却塔471によって冷却(熱交換)した後に貯水槽33(水槽33−4)へ戻し、さらに、プレート式熱交換器472を通して放熱することができる。
また、図10に示される第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aでは、補給水ポンプ34が設置される水槽33−1と連通する水槽群33−1,33−2と非常用冷却水ポンプ51が設置される水槽33−4と連通する水槽群33−3,33−4とが隔離されているので、開放型冷却塔471から混入した汚れが一次冷却器22(図10において省略)を冷却する系統に混入するのを防止できるとともに、プレート式熱交換器472の一次側と二次側との温度差を確実に維持できる。
図11に示される第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10A(第3次段階)では、非常用冷却設備47として密閉型冷却塔473が設置される。補給水ポンプ34、弁414を介して、弁474から供給される水は、密閉型冷却塔473の散布水であり、散布水の一部は蒸発して、密閉冷却管内を流れる冷却水を冷却する。また、密閉型冷却塔473は大気開放されていないため、密閉型冷却塔473の他、温度が変化することによる膨張や収縮を吸収(調整)するための流路内圧力調整手段が追設される。
流路内圧力調整手段は、図11に示される例では、液面調節機能を有する圧力容器476と、弁478とで構成され、密閉型冷却塔473の密閉冷却管内を流れる冷却水の膨張および収縮は、圧力容器476の液面の変動で吸収される。尚、圧力容器476は、非常用の補給水槽でも良い。
密閉型冷却塔473は、開放型冷却塔471よりもコストも割高で、重量が重く搬入および組立の作業性が悪いという短所があるものの、外気と直接接触して熱交換(冷却)する訳ではないので、水質が悪化しにくく負荷側への影響を小さく抑えることができる点や、内蔵される熱交換器で腐食やスケール(水垢)が起こりにくくなる点等の長所がある。
[第2の実施形態]
図12〜15は、本発明の第2の実施形態に係る地下変電所緊急時変圧器冷却システムの一実施例である地下変電所緊急時変圧器冷却システム(以下、「第2の地下変電所緊急時変圧器冷却システム」と称する)10Bおよびその冷却系統を概略的に示したシステム概略図であり、それぞれ、通常運用時(図12)、第1次段階(図13)、第2次段階(図14)、および第3次段階(図15)における第2の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Bおよびその冷却系統のシステム概略図である。
第2の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Bは、第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aに対して、第1の流路切替手段41Aの代わりに第1の流路切替手段41Bが設けられる点と、弁61が追設される点と、弁413と弁61との間の流路を弁413および弁61と着脱可能な仮設管45で構成した点とで相違するものの、その他の点は実質的に相違しない。そこで、本実施形態では、第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aに対する相違点を中心に説明し、第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aの構成要素と実質的に相違しない構成要素については同じ符号を付して説明を省略する。
通常運用時の第2の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10B(図12)は、通常運用時の第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10A(図1)に対して、第1の流路切替手段41Aの代わりに第1の流路切替手段41Bが設けられる。
第1の流路切替手段41Bは、3個のポート(入力端と出力端)を備える流路切替手段であり、第1の流路切替手段41Aに対して、弁414を省いた構成である。従って、第1の流路切替手段41Bは、例えば、少なくとも2個のポートが開閉自在に構成された3個のポートを備えるヘッダー411であり、例えば、弁412,413を開閉することによって、貯水槽33の補給水の供給先を、補給水槽31(通常運用時)、または一次冷却器22(第1,2次段階)および非常用冷却設備47(第3次段階)の何れか一方に切り替える。
第1の流路切替手段41Bの3個のポートのうち開閉しないポートは貯水槽33と接続される。また、残りの開閉自在な2個のポートとなる弁412,413については、弁412が補給水槽31と接続され、弁413が第1,2次段階では仮設管45を介して弁61と接続され、第3次段階では仮設管45−3を介して非常用冷却設備47(図15)と接続される。
弁61は、弁413と一次冷却器22の入力端との間であって、冷却水ポンプ21の出力端と一次冷却器22の入力端とを接続する冷却水供給系統12の流路よりも弁413に近い個所に設けられ、補給水系統13の流路と冷却水供給系統12の流路とを接続する緊急冷却水供給系統14の流路を開閉する。弁61は、通常運用時、および第3次段階では閉止されており、第1,2次段階では開放される。
第2の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Bでは、通常運用時(図12)において、弁413と弁61とは物理的に切り離されている(接続する流路が存在しない)が、第1次段階(図13)および第2次段階(図14)では、弁413と弁61とが仮設管45で接続され、緊急冷却水供給系統14の流路として物理的に接続される。第3次段階(図15)では、弁413と弁61とが再び物理的に切り離され、弁413は仮設管45−3と接続される一方、弁61は閉止される。
続いて、本発明の第2の実施形態に係る地下変電所の緊急時変圧器冷却方法として、第2の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Bを用いた地下変電所の変圧器11の冷却方法(以下、単に「第2の変圧器冷却方法」と称する)について説明する。
第2の変圧器冷却方法は、二次冷却器23の機能が停止(喪失)してしまった場合(緊急運用時の場合:図13,14,15)に、第1次段階、第2次段階、および第3次段階へ移行可能な点は第1の変圧器冷却方法と同様であるが、詳細なステップは幾つか相違する。具体的には、通常運用時(図12)から第1次段階(図13)へ移行するステップと、第2次段階(図14)から第3次段階(図15)へ移行するステップが相違している。そこで、以下の第2の変圧器冷却方法の説明では、上記相違点を中心に説明し、第1の変圧器冷却方法の説明と重複する説明を省略(または簡略)する。
第2の変圧器冷却方法では、第2の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Bが通常運用時に緊急冷却水供給系統14の流路を有していないため、通常運用時から第1次段階への移行する際に、弁413と弁61とを接続する仮設管45を取り付けるステップが最初に必要となる(第1のステップ)。その後、第1の変圧器冷却方法の第1〜3のステップを行い(第2〜4のステップ)、第5のステップとして、閉じている第1の流路切替手段41Aの弁413と、弁61と、第2の流路切替手段42の弁423とを開く。
すなわち、補給水系統13の流路のうち弁412から補給水槽31側の流路と冷却水供給系統12の流路のうち弁422から二次冷却器23側の流路とを閉じ、緊急冷却水供給系統14の流路と弁423を開くことで、貯水槽33の水を一次冷却器22に通水させて貯水槽33へ戻す循環流路に切り替える。
続く第6のステップとして、補給水ポンプ34を起動する。これによって、第1の変圧器冷却方法と同様に、貯水槽33の水を一次冷却器22に通水させて貯水槽33へ戻す循環流路に供給することができる。第2の変圧器冷却方法は、第1〜6のステップが完了すると、第2の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Bは、第1次段階への移行が完了する。
また、第2の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Bの第2次段階から第3次段階への移行は、第1の変圧器冷却方法に対して、弁413と接続される仮設管45を弁413から取り外すステップをさらに備える点と、第1の変圧器冷却方法の第2のステップにおける仮設管45−3の他端の取付先と、弁61を閉止するステップをさらに備える点とで相違するが、その他のステップは同様である。
すなわち、第2の変圧器冷却方法では、第1のステップとして、補給水ポンプ34を停止させる。続く第2のステップとして、第1の流路切替手段41Bの弁413と弁61とを閉止して、弁413に取り付けられる仮設管45を取り外す。続く第3のステップとして、一端が開放型冷却塔471の補給水入力端に取り付けられる仮設管45−3の他端を弁413に取り付けるとともに、仮設管45−2の他端(貯水槽33側の端)を第3の流路切替手段43の弁433に取り付ける。
続く第4のステップとして、弁413と弁433とを開く。これにより、通常運用時と同様に、貯水槽33から弁413を経由して補給水を非常用冷却設備47(開放型冷却塔471)へ供給する系統と、冷却水ポンプ21の出力端から、一次冷却器22、第2の流路切替手段42の弁424、非常用冷却設備47(開放型冷却塔471)、および第3の流路切替手段43の弁433を経由して冷却水ポンプ21の入力端へ戻る循環系統とがそれぞれ確保される。
続く第5のステップとして冷却水ポンプ21を起動する。冷却水ポンプ21を起動すると、冷却水ポンプ21から送り出された冷却水は、一次冷却器22、第2の流路切替手段42の弁424、非常用冷却設備47(開放型冷却塔471)、および第3の流路切替手段43の弁433を経由して冷却水ポンプ21へ戻る循環流路を循環する。また、開放型冷却塔471からの蒸発等で冷却水の水量が低下すると、散布水槽の液面が低下して補給水ポンプ34により貯水槽33の冷却用補給水が供給される。第1〜5のステップが完了すると、第2の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Bは、第2次段階から第3次段階への移行が完了する。
このように、第2の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Bおよび第2の変圧器冷却方法によれば、第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aおよび第1の変圧器冷却方法と同様の効果を得ることができる。
また、第2の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Bは、従来の地下変電所の変圧器冷却システムから改修する場合において、第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Aよりも、追設する弁や配管の点数が少なく、二次冷却器23の機能が停止してしまった緊急時の場合に、第1次段階、第2次段階、および第3次段階へ順次移行可能な地下変電所緊急時変圧器冷却システムへの改修をより容易に行うことができる。
以上、第1,2の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10A,10Bおよび第1,2の変圧器冷却方法によれば、地震や火事等の災害に見舞われて二次冷却器23の機能が停止してしまった緊急時の場合においても、通常、補給水槽31へ補給水を送る補給水ポンプ34を使って地下に貯えられた貯水槽33の水を冷却水として一次冷却器22に直接供給することができるので、非常用冷却設備47が無い場合でも、数日程度の期間であれば、貯水槽33への水の補給無しに変圧器11の冷却を継続できるので、応急処置的な必要最低限度の変圧器11の運用が可能となる(第1次段階)。
また、第1,2の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10A,10Bおよび第1,2の変圧器冷却方法によれば、既に弁423に取り付けられている仮設管45と仮設管45−1との繋ぎ変え、または仮設管45−1を弁424へ取り付け、その後、弁423を閉止して弁424を開放する等のシステムの改修を伴わない簡単な作業によって、一次冷却器22を通水した後の温水を開放型冷却塔471によって冷却(熱交換)した後に貯水槽33へ戻すことができる(第2次段階)。
さらに、第1,2の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10A,10Bおよび第1,2の変圧器冷却方法によれば、仮設管45−2,45−3の取り付けや弁413,414,433の開閉操作等のシステムの改修を伴わない簡単な作業によって、通常運用時と同様に冷却水ポンプ21による変圧器11の冷却が可能となる(第3次段階)。第3次段階へ移行することによって、第1,2次段階では行い得ない高負荷(例えば、通常運用時の負荷に対して100%の負荷)での変圧器11の運転が可能となる。また、第2,3次段階で他の水源から貯水槽33等の冷却水の循環流路に水を補給することによって、更に長期に変圧器11を運転することができる。
また、第1,2の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10A,10Bおよび第1,2の変圧器冷却方法によれば、従来の地下変電所の変圧器冷却システムに対しても、調達の容易な少数(10点程度)の基本的部品を追設する軽微なシステム変更によって、第1,2の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10A,10Bへ変更することができるので、大幅なシステム変更や大量の機器の追加を要することなく、従来の地下変電所の変圧器冷却システムから改造(改修)して第1,2の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10A,10Bを構築することができる。
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階では、上述した実施例以外にも様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、追加、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。例えば、第2の地下変電所緊急時変圧器冷却システム10Bの第1の流路切替手段41Bに弁414を追設すること、すなわち、第1の流路切替手段41Bの代わりに第1の流路切替手段41Aを設ける地下変電所緊急時変圧器冷却システムを構築することもできる。
10A 第1の地下変電所緊急時変圧器冷却システム
10B 第2の地下変電所緊急時変圧器冷却システム
11 変圧器
12 冷却水供給系統
13 補給水系統
14 緊急冷却水供給系統
21 冷却水ポンプ
22 一次冷却器
23 二次冷却器
31 補給水槽
32 膨張配管
33,33x,33y 貯水槽
33−1〜33−4 水槽
34 補給水ポンプ
35 オーバーフロー管
37 連通管
41A,41B 第1の流路切替手段
411 ヘッダー
412,413,414 弁(二方弁)
415,416 三方弁
418 T字継手
42 第2の流路切替手段
421 ヘッダー
422,423,424 弁(二方弁)
43 第3の流路切替手段
431 ヘッダー
432,433 弁(二方弁)
45(45−1〜45−3) 仮設管
47 非常用冷却設備
471 開放型冷却塔
472 プレート式熱交換器
473 密閉型冷却塔
474,477,478 弁
476 圧力容器
49 送風機
51 非常用冷却水ポンプ
53 蓋
61 弁

Claims (12)

  1. 地下変電所に設置される変圧器の冷却システムにおいて、
    前記変圧器の発生熱を冷却水で冷却する一次冷却器と、前記一次冷却器とは離れた位置に設置され、前記一次冷却器を通過した後の冷却水である温水を冷却する二次冷却器とを備え、
    前記一次冷却器と前記二次冷却器とを冷却する、又蒸発などで一部失われる前記冷却水を補給する冷却用補給水を貯水し、前記冷却用補給水を補給する補給水槽と、前記補給水槽に補給する前記冷却用補給水を貯水するとともに補給水ポンプを備える貯水槽とを接続し、前記貯水槽から前記補給水槽に前記冷却用補給水を送る流路を有する補給水系統と、通常運用時に前記一次冷却器および前記二次冷却器に冷却水を供給する流路として、前記一次冷却器の入力端と前記一次冷却器の入力端へ冷却水を供給する冷却水ポンプの出力端とが接続され、前記一次冷却器の出力端と前記二次冷却器の入力端とが接続され、前記二次冷却器の出力端と前記冷却水ポンプの入力端とが接続されることによって、前記冷却水が循環可能に形成される流路を有する冷却水供給系統とを接続し、前記貯水槽の水を前記補給水系統および冷却水供給系統の流路を介して前記一次冷却器側に供給する流路を有する緊急冷却水供給系統と、
    前記貯水槽と接続される1個の入力端と、前記補給水槽と接続される開閉自在な第1の出力端と、前記一次冷却器の入力端と接続される開閉自在な第2の出力端とを含む複数個の出力端とを備え、前記貯水槽から導入される前記冷却用補給水の供給先を選択的に切り替える第1の流路切替手段と、
    前記一次冷却器の出力端と接続される1個の入力端と、前記二次冷却器の入力端と接続される開閉自在な第3の出力端と、前記第3の出力端とは異なる開閉自在な第4の出力端とを含む複数個の出力端とを備え、前記一次冷却器から導入される前記温水の供給先を選択的に切り替える第2の流路切替手段と、
    前記冷却水供給系統の外部に設置される冷却設備であって前記二次冷却器の冷却機能が停止した状態となった場合に前記緊急冷却水供給系統に組み込まれて用いられ、前記二次冷却器に代わって前記一次冷却器を通過した後の冷却水である温水を冷却する非常用冷却設備と、をさらに設け、
    前記二次冷却器の冷却機能が停止した状態となった場合に、少なくとも第1の水循環流路および第2の水循環流路を含む複数の水循環流路から一つの水循環流路を形成可能に構成されており、
    前記第1の水循環流路は、前記冷却水ポンプと前記補給水ポンプを停止させた状態で、前記第1の出力端と前記第3の出力端とを閉じ、一端から放出される流体が前記貯水槽へ流入するように配設される第1の仮設管の他端を前記第4の出力端に取り付け、前記第2の出力端と前記第4の出力端とを開いて、前記補給水ポンプを起動させることによって、前記貯水槽に貯水される前記冷却用補給水を、前記第2の出力端、前記一次冷却器、前記第4の出力端、および前記第1の仮設管を経由させて前記貯水槽へ戻して循環させながら前記冷却水として前記一次冷却器へ供給可能な流路であり、
    前記第2の水循環流路は、前記第1の水循環流路における前記補給水ポンプを停止させた状態で、前記第2の流路切替手段により前記一次冷却器から導入される前記温水の供給先を、前記非常用冷却設備に切り替え、一端から放出される流体が前記貯水槽へ流入するように配設される第2の仮設管の他端を前記非常用冷却設備の出力端に取り付け、前記補給水ポンプを起動させることによって、前記貯水槽に貯水される前記冷却用補給水を、前記第2の出力端、前記一次冷却器、前記第2の流路切替手段、前記非常用冷却設備および前記第2の仮設管を経由させて前記貯水槽へ戻して循環させながら前記冷却水として前記一次冷却器へ供給可能な流路であることを特徴とする地下変電所の緊急時変圧器冷却システム。
  2. 前記二次冷却器の出力端と開閉自在に接続される第1の入力端と、前記第1の入力端とは異なる開閉自在な第2の入力端と、前記冷却水ポンプの入力端と開閉自在に接続される出力端とを備え、前記第1の入力端、および前記第2の入力端の何れか一方から導入される流体を前記冷却水ポンプの入力端と開閉自在に接続される前記出力端へ案内する第3の流路切替手段と、をさらに設けて構成されることを特徴とする請求項1に記載の地下変電所の緊急時変圧器冷却システム。
  3. 前記第2の出力端と前記一次冷却器の入力端との間にあって、前記冷却水ポンプの出力端と前記一次冷却器の入力端とを接続する流路よりも前記第2の出力端に近い個所に第1の弁をさらに設け、
    前記緊急冷却水供給系統の流路は、前記第2の出力端と前記第1の弁とに着脱自在な第3の仮設管で構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の地下変電所の緊急時変圧器冷却システム。
  4. 前記第1の流路切替手段は、前記貯水槽と接続される入力端と、前記第1の出力端と、前記第2の出力端とを備えるヘッダー、および前記貯水槽と接続される入力端と、前記第1の出力端と、前記第2の出力端とを備え、少なくとも、前記第1の出力端が閉じていて前記第2の出力端が開いている状態と前記第1の出力端が開いていて前記第2の出力端が閉じている状態とを切り替え可能な三方弁の何れか一方で構成されることを特徴とする請求項3に記載の地下変電所の緊急時変圧器冷却システム。
  5. 前記第2の流路切替手段は、前記第3の出力端および前記第4の出力端とは異なる開閉自在な出力端であって、前記第2の水循環流路へ切り替える場合に、前記非常用冷却設備の入力端に一端が取り付けられる第3の仮設管の他端を取り付け可能な第5の出力端を備えることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の地下変電所の緊急時変圧器冷却システム。
  6. 前記第2の水循環流路へ切り替える場合、前記第4の出力端に取り付けられている前記第1の仮設管の他端を取り外して代わりに前記第4の出力端に取り付け可能な第4の仮設管を前記第4の出力端と前記非常用冷却設備の入力端に取り付けることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の地下変電所の緊急時変圧器冷却システム。
  7. 前記第2の出力端と前記一次冷却器の入力端との間にあって、前記冷却水ポンプの出力端と前記一次冷却器の入力端とを接続する流路よりも前記第2の出力端に近い個所に第1の弁をさらに設け、前記緊急冷却水供給系統の流路が、前記第2の出力端と前記第1の弁とに着脱自在な前記第3の仮設管で構成されており、
    前記二次冷却器の冷却機能が停止した状態となった後に、前記貯水槽から前記第2の出力端を経由して前記冷却用補給水を前記非常用冷却設備へ供給する系統と、前記冷却水ポンプの出力端から、前記一次冷却器、前記第4の出力端または前記第5の出力端、前記非常用冷却設備、および前記第2の入力端を経由して前記冷却水ポンプの入力端へ戻る系統との2個の独立した系統を確保して前記冷却水ポンプの運転を再開する場合、
    前記第2の入力端と前記非常用冷却設備を接続する第4の仮設管を取り付け、前記非常用冷却設備に前記冷却用補給水を供給する補給水入力端と前記第2の出力端とを接続する第5の仮設管を取り付け、前記第1の弁を閉じることによって、前記2個の独立した系統の確保が可能に構成されることを特徴とする請求項5に記載の地下変電所の緊急時変圧器冷却システム。
  8. 地下変電所に設置される変圧器の発生熱を冷却水で冷却する一次冷却器と、前記一次冷却器とは離れた位置に設置され、前記一次冷却器を通過した後の冷却水である温水を冷却する二次冷却器とを備え、前記一次冷却器と前記二次冷却器とを冷却する、又蒸発などで一部失われる前記冷却水を補給する冷却用補給水を貯水し、前記冷却用補給水を補給する補給水槽と、前記補給水槽に補給する前記冷却用補給水を貯水するとともに補給水ポンプを備える貯水槽とを接続し、前記貯水槽から前記補給水槽に前記冷却用補給水を送る流路を有する補給水系統と、通常運用時に前記一次冷却器および前記二次冷却器に冷却水を供給する流路として、前記一次冷却器の入力端と前記一次冷却器の入力端へ冷却水を供給する冷却水ポンプの出力端とが接続され、前記一次冷却器の出力端と前記二次冷却器の入力端とが接続され、前記二次冷却器の出力端と前記冷却水ポンプの入力端とが接続されることによって、前記冷却水が循環可能に形成される流路を有する冷却水供給系統とを接続し、前記貯水槽の水を前記補給水系統および冷却水供給系統の流路を介して前記一次冷却器側に供給する流路を有する緊急冷却水供給系統と、前記貯水槽と接続される1個の入力端と、前記補給水槽と接続される開閉自在な第1の出力端と、前記一次冷却器の入力端と接続される開閉自在な第2の出力端とを含む複数個の出力端とを備え、前記貯水槽から導入される前記冷却用補給水の供給先を選択的に切り替える第1の流路切替手段と、前記一次冷却器の出力端と接続される1個の入力端と、前記二次冷却器の入力端と接続される開閉自在な第3の出力端と、前記第3の出力端とは異なる開閉自在な第4の出力端とを含む複数個の出力端とを備え、前記一次冷却器から導入される前記温水の供給先を選択的に切り替える第2の流路切替手段と、前記二次冷却器の出力端と開閉自在に接続される第1の入力端と、前記第1の入力端とは異なる開閉自在な第2の入力端と、前記冷却水ポンプの入力端と開閉自在に接続される出力端とを備え、前記第1の入力端、および前記第2の入力端の何れか一方から導入される流体を前記冷却水ポンプの入力端と開閉自在に接続される前記出力端へ案内する第3の流路切替手段と、をさらに設けて構成される冷却システムを用いた地下変電所の緊急時変圧器冷却方法であり、
    前記二次冷却器の冷却機能が停止した状態となった場合に、前記冷却水ポンプと前記補給水ポンプとを停止させ、前記冷却水ポンプと前記補給水ポンプとが停止した状態で、前記第1の出力端と前記第3の出力端とを閉じ、一端から放出される流体が前記貯水槽へ流入するように配設される仮設管の他端を前記第4の出力端に取り付けてから前記第2の出力端と前記第4の出力端とを開いて、前記補給水ポンプを起動させることによって、前記貯水槽に貯水される前記冷却用補給水を、前記第2の出力端、前記一次冷却器、前記第4の出力端、および前記仮設管を経由させて前記貯水槽へ戻し、前記一次冷却器と前記貯水槽とを循環させながら前記冷却水として前記一次冷却器へ供給し、前記冷却用補給水を消費しながら前記一次冷却器を冷却する第1次段階のステップと、
    前記冷却システムに対して、前記一次冷却器からの温水を熱交換した後に前記貯水槽へ戻す非常用冷却設備がさらに設けられた後に、前記第2の流路切替手段が前記貯水槽と前記一次冷却器と前記非常用冷却設備との間に前記冷却用補給水が循環する循環流路に切り替えることによって、前記非常用冷却設備が前記貯水槽と前記一次冷却器と前記非常用冷却設備との間で循環する前記冷却用補給水を冷却する第2次段階のステップと、を備えることを特徴とする地下変電所の緊急時変圧器冷却方法。
  9. 前記貯水槽が複数の水槽を直列に連通して構成され、前記非常用冷却設備が冷却塔である場合、
    前記貯水槽の複数の水槽のうち、前記補給水ポンプが設置される水槽とは別の水槽に設置される非常用冷却水ポンプと、熱交換器が前記第4の出力端から前記冷却塔へ向かう温水と、前記非常用冷却水ポンプが汲み上げた水との間で熱交換し、前記温水と熱交換した後の水を前記非常用冷却水ポンプが設置される水槽から最も遠くに位置する水槽へ流入させる熱交換器とをさらに設けることによって、前記第4の出力端から前記非常用冷却設備へ向かう温水を、前記熱交換器と前記冷却塔とが冷却するステップをさらに備えることを特徴とする請求項8記載の地下変電所の緊急時変圧器冷却方法。
  10. 前記貯水槽が連通する連通管を塞いで前記補給水ポンプが設置される水槽と連通する水槽群と前記非常用冷却水ポンプが設置される水槽と連通する水槽群とを隔離している場合、
    前記第4の出力端から前記非常用冷却設備へ向かう温水を、前記熱交換器と前記冷却塔とが冷却するステップで、前記温水と熱交換した後の水が流入する前記水槽は、前記補給水ポンプが設置される水槽と連通する水槽群のうち、前記補給水ポンプが設置される水槽から最も遠くに位置する水槽であることを特徴とする請求項9記載の地下変電所の緊急時変圧器冷却方法。
  11. 前記冷却システムが、前記第2の出力端と前記一次冷却器の入力端との間に設けられる第1の弁をさらに設けられており、前記第2の出力端と前記第1の弁とを接続する流路が前記第2の出力端と前記第1の弁とに着脱自在な仮設管で構成されている場合、
    前記第2の入力端と前記非常用冷却設備を接続する配管を取り付け、前記非常用冷却設備に補給水を供給する補給水入力端と前記第2の出力端とを接続する仮設管を取り付け、前記第1の弁を閉じることによって、前記貯水槽から前記第2の出力端を経由して前記補給水を前記非常用冷却設備へ供給する系統と、前記冷却水ポンプの出力端から、前記一次冷却器、前記第4の出力端、前記非常用冷却設備、および前記第2の入力端を経由して前記冷却水ポンプの入力端へ戻る系統とを確保し、前記非常用冷却設備を前記貯水槽に貯水される前記補給水の供給無しで稼働させ、前記貯水槽に貯水される前記補給水を前記非常用冷却設備の前記補給水として使用する第3次段階へ移行するステップをさらに備えることを特徴とする請求項8から10の何れか1項に記載の地下変電所の緊急時変圧器冷却方法。
  12. 前記第1の流路切替手段が、前記第1の出力端と、前記第2の出力端と、第5の出力端との3個の出力端を備えて構成される場合、
    前記第2の入力端と前記非常用冷却設備を接続する配管を取り付け、前記非常用冷却設備に補給水を供給する補給水入力端と前記第5の出力端とを接続する仮設管を取り付け、前記第2の出力端を閉じることによって、前記貯水槽から前記第5の出力端を経由して前記補給水を前記非常用冷却設備へ供給する系統と、前記冷却水ポンプの出力端から、前記一次冷却器、前記第4の出力端、前記非常用冷却設備、および前記第2の入力端を経由して前記冷却水ポンプの入力端へ戻る系統とを確保し、前記非常用冷却設備を前記貯水槽に貯水される前記補給水の供給無しで稼働させ、前記貯水槽に貯水される前記補給水を前記非常用冷却設備の前記補給水として使用する第3次段階へ移行するステップをさらに備えることを特徴とする請求項8から10の何れか1項に記載の地下変電所の緊急時変圧器冷却方法。
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