JP6418590B2 - 化合物及び着色硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
[1]1価のカチオン染料と2価のアニオンとからなる1価のアニオン染料と、発色基を有しない1価のカチオンとからなる造塩染料。
[2]2価のアニオンが、1価のアニオン部位を2つ有するアニオンである[1]に記載の造塩染料。
[3]2価のアニオンが、同じ1価のアニオン部位を2つ有する化合物である[2]に記載の造塩染料。
[4]2価のアニオンが、同じ1価のアニオン部位を2つ有する芳香族化合物又は同じ1価のアニオン部位を2つ有する複素芳香族化合物である[2]又は[3]に記載の造塩染料。
[5]1価のアニオン部位が、スルホネートアニオンである[2]〜[4]のいずれかに記載の造塩染料。
[6]2価のアニオンが、式(1−b)で表されるアニオンである[1]〜[5]の造塩染料。
(式中、R1bは、置換基を有していてもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。)
[7]1価のカチオン染料が、式(1−a)で表されるカチオンである[1]〜[6]のいずれか一項に記載の造塩染料。
[式(1−A)中、R1A〜R8Aは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、炭素数1〜20のアルキル基に含まれる−CH2−は−O−に置き換わっていてもよい。
R9A〜R12Aは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を表し、炭素数1〜20のアルキル基に含まれる−CH2−は−O−に置き換わっていてもよい。
Aは、置換基を有していてもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、または置換基を有していてもよい炭素数2〜10のヘテロ芳香族炭化水素基を表す。]
[8]発色基を有しない1価のカチオンが、重合性基、ケイ素原子及びリン原子からなる群から選ばれる置換基を少なくとも1つ有し、かつ発色基を有しないカチオンである[1]〜[7]のいずれか一項に記載の造塩染料。
[9][1]〜[8]のいずれか一項に記載の化合物を含む着色剤。
[10][9]に記載の着色剤と、樹脂と、重合性化合物と重合開始剤とを含む着色硬化性樹脂組成物。
[11][10]に記載の着色硬化性樹脂組成物を用いて形成される塗膜。
[12][10]に記載の着色硬化性樹脂組成物を用いて形成されるカラーフィルター。
[13][12]に記載のカラーフィルターを含む表示装置。
<造塩染料(I)>
1価のカチオン染料としては、式(1−a)で表されるカチオン染料及び該カチオン染料の互変異性体が挙げられる。
R9A〜R12Aは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を表し、炭素数1〜20のアルキル基に含まれる−CH2−は−O−に置き換わっていてもよい。
Aは、置換基を有していてもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、または炭素数2〜10の置換基を有していてもよいヘテロ芳香族炭化水素基を表す。]
R1A、R2A、R3A、R4A、R5A、R6A、R7A及びR8Aで表される炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、2−アルキルアダマンタン−2−イル基、1−(アダマンタン−1−イル)アルカン−1−イル基、ノルボルニル基、メチルノルボルニル基及びイソボルニル基が挙げられる。好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。
R1A、R2A、R3A、R4A、R5A、R6A、R7A及びR8Aで表される炭素数1〜20のアルキル基に含まれる−CH2−は−O−に置き換わっていてもよい。ただし、炭素数1〜20のアルキル基に含まれる−CH2−が−O−に置き換わった場合、−O−は炭素数としては含まない。
R1A、R2A、R3A、R4A、R5A、R6A、R7A及びR8Aで表される炭素数1〜20のアルキル基に含まれる−CH2−は−O−に置き換わった基としては、下記に記載の基が挙げられる。式中、*は結合手を表す。
R9A、R10A、R11A及びR12Aで表される炭素数1〜20のアルキル基に含まれる−CH2−は−O−に置き換わっていてもよい。ただし、炭素数1〜20のアルキル基に含まれる−CH2−が−O−に置き換わった場合、−O−は炭素数には含まない。
R9A、R10A、R11A及びR12Aで表される炭素数1〜20のアルキル基に含まれる−CH2−は−O−に置き換わった基としては、R1A、R2A、R3A、R4A、R5A、R6A、R7A及びR8Aで表される炭素数1〜20のアルキル基に含まれる−CH2−は−O−に置き換わった基と同じものが挙げられる。
R9A、R10A、R11A及びR12Aで表される炭素数1〜20のアルキル基が有していていてもよい置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等のハロゲン原子;アミノ基及びジメチルアミノ基等の−NR111R112(R111及びR112は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)が挙げられる。
R9A、R10A、R11A及びR12Aで表される置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基としては、下記に記載の基が挙げられる。*は窒素原子との結合手を表す。
R9A、R10A、R11A及びR12Aで表される炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基及びアントラセニル基が挙げられる。
R9A、R10A、R11A及びR12Aで表される炭素数6〜20のアリール基が有していてもよい置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素等のハロゲン原子;クロロメチル基、トリフルオロメチル基等の炭素数1〜6のハロアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ヒドロキシ基;スルファモイル基;メチルスルホニル基等の炭素数1〜6のアルキルスルホニル基が挙げられる。
Aで表される炭素数2〜10のヘテロ芳香族炭化水素基は、環の構成要素としてヘテロ原子を少なくとも1つ有していればよい。
ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が挙げられる。
Aで表される炭素数2〜10のヘテロ芳香族炭化水素基としては、ピリジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、チエニル基、ベンゾチエニル基が挙げられ、好ましくは炭素数2〜8のヘテロ芳香族炭化水素基であり、より好ましくは少なくとも1つの窒素原子を有する炭素数2〜8のヘテロ芳香族炭化水素基である。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基及びヘキシル基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアミノ基における置換基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜6のハロアルキル基及び置換基を有していてもよいアリール基が挙げられる。
炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、2−アルキルアダマンタン−2−イル基、1−(アダマンタン−1−イル)アルカン−1−イル基、ノルボルニル基、メチルノルボルニル基及びイソボルニル基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリール基におけるアリール基としては、フェニル基及びナフチル基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリール基における置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基及びtert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。
置換基を有するアミノ基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、フェニルアミノ基、2−フルオロフェニルアミノ基、2−クロロフェニルアミノ基、p−メトキシフェニルアミノ基、o−メチルフェニルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、N−フェニル−N−メチルアミノ基、N−(o−メチルフェニル)−N−メチルアミノ基、N−(o−メチルフェニル)−N−エチル基、N−フェニル−N−イソプロピルアミノ基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子が挙げられる。
炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、2−アルキルアダマンタン−2−イル基、1−(アダマンタン−1−イル)アルカン−1−イル基、ノルボルニル基、メチルノルボルニル基及びイソボルニル基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリール基におけるアリール基としては、フェニル基及びナフチル基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリール基における置換基としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基及びtert−ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基及びtert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;メチルスルホニル基等の炭素数1〜6のアルコキシスルホニル基;スルファモイル基;ヒドロキシ基が挙げられる。
炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、2−アルキルアダマンタン−2−イル基、1−(アダマンタン−1−イル)アルカン−1−イル基、ノルボルニル基、メチルノルボルニル基及びイソボルニル基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリール基におけるアリール基としては、フェニル基及びナフチル基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリール基における置換基としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基及びtert−ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基及びtert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;メチルスルホニル基等の炭素数1〜6のアルコキシスルホニル基;スルファモイル基;ヒドロキシ基が挙げられる。
置換基を有するアミノ基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、フェニルアミノ基、2−フルオロフェニルアミノ基、2−クロロフェニルアミノ基、p−メトキシフェニルアミノ基、o−メチルフェニルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、N−フェニル−N−メチルアミノ基、N−(o−メチルフェニル)−N−メチルアミノ基、N−(o−メチルフェニル)−N−エチル基、N−フェニル−N−イソプロピルアミノ基が挙げられる。
[式(1−a−1)中、Xは、酸素原子または硫黄原子を表す。
R45及びR46は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を表し、前記置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよい。
R55は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を表す。
R1A〜R12Aは、それぞれ、上記と同じ意味を表す。]
R45及びR46で表される炭素数1〜20のアルキル基が有していてもよい置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等のハロゲン原子;アミノ基及びジメチルアミノ基等の−NR111R112(R111及びR112は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)が挙げられる。
R45及びR46で表される置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基としては、R9A、R10A、R11A及びR12Aで表される炭素数1〜20のアルキル基が有していていてもよい置換基と同じものが挙げられる。
R45及びR46で表されるアリール基が有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;クロロメチル基、トリフルオロメチル基等の炭素数1〜6のハロアルキル基;ヒドロキシ基;スルファモイル基;メチルスルホニル基等の炭素数1〜6のアルキルスルホニル基が挙げられる。
R45及びR46で表される置換基を有していてもよいアリール基としては、下記に記載の基が挙げられる。*は窒素原子との結合手を表す。
R55で表される置換基を有していてもよいアリールとしては、R45及びR46で表される置換基を有していてもよいアリール基と同じものが挙げられる。
それぞれ独立して、水素原子、メチル基、フッ素原子又は塩素原子であることがより好ましい。
R9A、R10A、R11A及びR12Aは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基であることが好ましく、
それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜6のハロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はヒドロキシ基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数1〜8のアルキル基であることがより好ましい。
R45及びR46は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基であることが好ましく、
それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜6のハロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はヒドロキシ基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数1〜8のアルキル基であることがより好ましい。
R55は、炭素数1〜20のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基であることが好ましく、
ハロゲン原子、炭素数1〜6のハロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はヒドロキシ基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数1〜8のアルキル基であることがより好ましい。
1価のアニオン部位としては、スルホネートアニオン又はカルボキシラートアニオンが挙げられ、スルホネートアニオンが好ましい。
2価のアニオンは、1価のアニオン部位を2つ有する芳香族化合物又は1価のアニオン部位を2つ有する複素芳香族化合物であることが好ましく、1価のアニオン部位を2つ有する芳香族化合物であることがより好ましく、少なくとも1つのスルホネートアニオンを有する芳香族化合物であることがさらに好ましく、式(1−b)で表されるアニオンであることが特に好ましい。
R1bで表される炭素数6〜18の芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子等のハロゲン原子:ニトロ基:ヒドロキシ基:アミノ基:メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基及びtert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基:又はメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基及びtert−ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられ、好ましくはヒドロキシ基又はアミノ基である。
R1bで表される炭素数6〜18の芳香族炭化水素基がフェニル基である場合、1つの1価のアニオン部位に対して、もう1つの1価のアニオン部位は、メタ位又はオルト位であることが好ましい。
R1bで表される炭素数6〜18の芳香族炭化水素基がナフチル基である場合、1つの1価のアニオン部位は、もう1つのアニオン部位が結合している炭素原子と隣り合わない炭素原子に結合していることが好ましい。
発色基を有しない1価のカチオンとしては、重合性基、ケイ素原子及びリン原子からなる群から選ばれる置換基を少なくとも1つ有し、かつ発色基を有しない1価のカチオンが好ましい。
重合性基としては、エチレン性不飽和結合を有する基が挙げられ、例えば、アルケニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基等が挙げられる。
1価のカチオン部位は、アンモニウムイオンであることが好ましい。
[式(Z−1)中、R1は、炭素数1〜10のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる−CH2−は、−O−、−CO−、−NR11−、−OCO−、−COO−、−OCONH−、−CONH−または−NHCO−で置換されていてもよい。
R11は、炭素数1〜10のアルカンジイル基を表す。]
[式(Z−2)中、R2は炭素数1〜10のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる−CH2−は、−O−、−CO−、−NR21−、−OCO−、−COO−、−OCONH−、−CONH−または−NHCO−で置換されていてもよい。
R40、R41及びR42は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。
qは、1〜10の整数を表す。]
R2で表される炭素数1〜10のアルカンジイル基に含まれる−CH2−が、−O−、−CO−、−NR21−、−OCO−、−COO−、−OCONH−、−CONH−または−NHCO−で置換されている基は、R1で表される炭素数1〜10のアルカンジイル基に含まれる−CH2−が−O−、−CO−、−NR11−、−OCO−、−COO−、−OCONH−、−CONH−または−NHCO−で置換されている基と同じものが挙げられる。
R40、R41及びR42で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基及びtertブチル基が挙げられ、好ましくはメチル基又はエチル基である。
R40、R41及びR42で表される炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基及びtert−ブトキシ基が挙げられ、好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。
R40、R41及びR42は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基又は炭素数1〜4のアルコキシ基であることが好ましく、メトキシ基又はエトキシ基であることがより好ましい。
qは、1〜8の整数であることが好ましく、1〜3の整数であることがより好ましい。
[式(Z−3)中、R50、R51、R52及びR53は、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基又は置換されていてもよいフェニル基を表す。]
R50、R51、R52及びR53で表される炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、1−メチルブチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、1,5−ジメチルヘキシル基及び2−エチルヘキシル基等が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基又は2−エチルヘキシル基である。
R50、R51、R52及びR53で表される炭素数2〜10のアルケニル基としては、ビニル基、イソプロペニル基、ペンテニル基及びヘキセニル基等が挙げられ、好ましくはビニル基である。
まず、1価のカチオン染料は、例えば、式(C−II)で表される化合物と式(C−III)で表される化合物とを、反応させることにより製造することができる。かかる反応は、有機溶媒の存在下で行ってもよいし、無溶媒で行ってもよい。
[式中、R1A〜R12A及びAは、それぞれ前記と同じ意味を表す。]
有機溶媒の使用量は、式(C−II)で表される化合物1質量部に対して、好ましくは1〜300質量部であり、より好ましくは2〜200質量部である。
縮合剤の使用量は、式(C−II)で表される化合物1質量部に対して、好ましくは1〜20質量部であり、より好ましくは1〜5質量部である。
1価のアニオン染料を取得する方法は、反応混合物をアルコールに添加する方法が好ましい。反応混合物を添加するときの温度は、好ましくは−100〜50℃であり、より好ましくは−80〜0℃である。また、この後、同温度で0.5〜2時間程度攪拌することが好ましい。濾取した結晶は、水などで洗浄し、次いで乾燥することが好ましい。また必要に応じて、再結晶などの公知の手法によってさらに精製してもよい。
着色剤(A)は、造塩染料(I)を2種以上含んでもよい。
着色剤(A)は、造塩染料(I)のほかに、調色のため、即ち分光特性を調整するために、他の染料(A2)、顔料(P)、又はこれらの混合物を含んでいてもよい。
染料(A2)としては、油溶性染料、酸性染料、酸性染料のアミン塩や酸性染料のスルホンアミド誘導体などの染料が挙げられ、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)で染料に分類されている化合物や、染色ノート(色染社)に記載されている公知の染料が挙げられる。また、化学構造によれば、クマリン染料:含金アゾ染料:ピリドンアゾ染料:バルビツールアゾ染料:キノフタロン染料:メチン染料:シアニン染料:アントラキノン染料:トリフェニルメタン染料:キサンテン染料:テトラアザポルフィリン染料:フタロシアニン染料:及びこれらの混合物が挙げられる。
C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、128、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、194、214などの黄色顔料;
C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、73などのオレンジ色の顔料;
C.I.ピグメントグリーン7、36、58などの緑色顔料が挙げられる。
固形分の総量とは、着色硬化性樹脂組成物の総量から溶剤の含有量を除いた量のことをいう。固形分の総量及びこれに対する各成分の含有量は、例えば、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段で測定することができる。
樹脂(B)は、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。樹脂(B)としては、以下の樹脂[K1]〜[K6]等が挙げられる。
樹脂[K1];不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種(Ba)(以下「(Ba)」という場合がある)と、炭素数2〜4の環状エーテル構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(Bb)(以下「(Bb)」という場合がある)との共重合体;
樹脂[K2];(Ba)と(Bb)と、(Ba)と共重合可能な単量体(Bc)(ただし、(Ba)及び(Bb)とは異なる。)(以下「(Bc)」という場合がある)との共重合体;
樹脂[K3];(Ba)と(Bc)との共重合体;
樹脂[K4];(Ba)と(Bc)との共重合体に(Bb)を反応させた樹脂;
樹脂[K5];(Bb)と(Bc)との共重合体に(Ba)を反応させた樹脂;
樹脂[K6];(Bb)と(Bc)との共重合体に(Ba)を反応させ、さらにカルボン酸無水物を反応させた樹脂。
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、3−ビニルフタル酸、4−ビニルフタル酸、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、ジメチルテトラヒドロフタル酸、1、4−シクロヘキセンジカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸類;
メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、5−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のカルボキシ基を含有するビシクロ不飽和化合物類;
無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3−ビニルフタル酸無水物、4−ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン無水物等の不飽和ジカルボン酸類無水物;
こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等の2価以上の多価カルボン酸の不飽和モノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステル類;
α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸のような、同一分子中にヒドロキシ基及びカルボキシ基を含有する不飽和アクリレート類等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性の点や得られる樹脂のアルカリ水溶液への溶解性の点から、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等が好ましい。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。「(メタ)アクリロイル」及び「(メタ)アクリレート」等の表記も、同様の意味を有する。
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステル;
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジエトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチル−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−tert−ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(tert−ブトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(シクロヘキシルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のビシクロ不飽和化合物類;
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチレート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドカプロエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオネート、N−(9−アクリジニル)マレイミド等のジカルボニルイミド誘導体類;
スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メトキシスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性及び耐熱性の点から、スチレン、ビニルトルエン、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等が好ましい。
グリシジル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/N−シクロヘキシルマレイミド共重合体、3−メチル−3−(メタ)アクリルロイルオキシメチルオキセタン/(メタ)アクリル酸/スチレン共重合体等の樹脂[K2];
ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂[K3];
ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂等の樹脂[K4];
トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂等の樹脂[K5];
トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂にさらにテトラヒドロフタル酸無水物を反応させた樹脂等の樹脂[K6]等が挙げられる。
樹脂(B)としては、樹脂[K1]及び樹脂[K2]が好ましい。
樹脂(B)の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、好ましくは1.1〜6であり、より好ましくは1.2〜4である。
重合性化合物(C)は、重合開始剤(D)から発生した活性ラジカル及び/又は酸によって重合しうる化合物であり、例えば、重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物等が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物である。
エチレン性不飽和結合を3つ以上有する重合性化合物としては、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが好ましい。
<重合開始剤(D)>
重合開始剤(D)は、光や熱の作用により活性ラジカル、酸等を発生し、重合を開始しうる化合物であれば、公知の重合開始剤を用いることができる。活性ラジカルを発生する重合開始剤としては、O−アシルオキシム化合物、アルキルフェノン化合物、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物及びビイミダゾール化合物が挙げられる。
溶剤(E)は、当該分野で通常使用される溶剤を用いることができる。例えば、エステル溶剤(分子内に−COO−を含み、−O−を含まない溶剤)、エーテル溶剤(分子内に−O−を含み、−COO−を含まない溶剤)、エーテルエステル溶剤(分子内に−COO−と−O−とを含む溶剤)、ケトン溶剤(分子内に−CO−を含み、−COO−を含まない溶剤)、アルコール溶剤(分子内にOHを含み、−O−、−CO−及び−COO−を含まない溶剤)、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシドが挙げられる。
溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン及びN,N−ジメチルホルムアミドが好ましく、
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、及び3−エトキシプロピオン酸エチルがより好ましい。
着色硬化性樹脂組成物の固形分の総量は、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは8〜25質量%である。溶剤(E)の含有量が前記の範囲内にあると、塗布時の平坦性が良好になり、またカラーフィルタを形成した際に色濃度が不足しないために表示特性が良好となる傾向がある。
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、重合開始助剤、レベリング剤、充填剤、他の高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、光安定剤及び連鎖移動剤等の当該技術分野で公知の添加剤を含んでもよい。
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、例えば、着色剤(A)、樹脂(B)、重合性化合物(C)、重合開始剤(D)、並びに必要に応じて用いられる溶剤(E)、レベリング剤、重合開始助剤及びその他の成分を混合することにより調製できる。
顔料(P)は、予め溶剤(E)の一部又は全部と混合し、顔料の平均粒子径が0.2μm以下程度となるまで、ビーズミルなどを用いて分散させることが好ましい。この際、必要に応じて前記顔料分散剤、樹脂(B)の一部又は全部を配合してもよい。このようにして得られた顔料分散液に、残りの成分を、所定の濃度となるように混合することにより、目的の着色硬化性樹脂組成物を調製できる。
染料は、予め溶剤(E)の一部又は全部にそれぞれ溶解させて溶液を調製してもよい。該溶液を、孔径0.01〜1μm程度のフィルタでろ過することが好ましい。
混合後の着色硬化性樹脂組成物を、孔径0.1〜10μmのフィルタでろ過することが好ましい。
本発明の着色硬化性樹脂組成物から着色パターンを製造する方法としては、フォトリソグラフ法、インクジェット法、印刷法等が挙げられ、フォトリソグラフ法が好ましい。
フォトリソグラフ法は、着色硬化性樹脂組成物を基板に塗布し、乾燥させて着色組成物層を形成し、フォトマスクを介して該着色組成物層を露光して、現像する方法である。
フォトリソグラフ法において、露光の際にフォトマスクを用いないこと、及び/又は現像しないことにより、上記着色組成物層の硬化物である着色塗膜を形成することができる。このように形成した着色パターンや着色塗膜が本発明のカラーフィルタである。
作製するカラーフィルタの膜厚は、目的や用途等に応じて適宜調整することができ、通常、0.1〜30μm、好ましくは0.1〜20μm、より好ましくは0.5〜6μmである。
まず、着色硬化性樹脂組成物を基板上に塗布し、加熱乾燥(プリベーク)及び/又は減圧乾燥することにより溶剤等の揮発成分を除去して乾燥させ、平滑な着色組成物層を得る。
塗布方法としては、スピンコート法、スリットコート法、スリット アンド スピンコート法等が挙げられる。
加熱乾燥を行う場合の温度は、30〜120℃が好ましく、50〜110℃がより好ましい。加熱時間としては、10秒間〜60分間であることが好ましく、30秒間〜30分間であることがより好ましい。
減圧乾燥を行う場合は、50〜150Paの圧力下、20〜25℃で行うことが好ましい。
着色組成物層の膜厚は、目的とするカラーフィルタの膜厚に応じて適宜選択すればよい。
露光に用いられる光源としては、250〜450nmの波長の光を発生する光源が好ましい。例えば、350nm未満の光を、この波長域をカットするフィルタを用いてカットしたり、436nm付近、408nm付近、365nm付近の光を、これらの波長域を取り出すバンドパスフィルタを用いて選択的に取り出したりしてもよい。具体的には、水銀灯、発光ダイオード、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ等が挙げられる。
露光面全体に均一に平行光線を照射したり、フォトマスクと着色組成物層が形成された基板との正確な位置合わせを行うことができるため、マスクアライナ及びステッパ等の露光装置を使用することが好ましい。
アルカリ性化合物の水溶液中の濃度は、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.03〜5質量%である。さらに、現像液は、界面活性剤を含んでいてもよい。
現像方法は、パドル法、ディッピング法及びスプレー法等のいずれでもよい。さらに現像時に基板を任意の角度に傾けてもよい。
現像後は、水洗することが好ましい。
以下の合成例において、化合物の構造は質量分析(LC;Agilent製1200型、MASS;Agilent製LC/MSD型)で確認した。
冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、チオシアン酸カリウム36.3部およびアセトン160部を投入した後、室温で30分攪拌した。得られた混合物に、安息香酸クロリド(東京化成(株)社製)50部を10分かけて滴下し、室温で2時間攪拌した。得られた反応混合物を氷冷した後、N−エチル−o−トルイジン(東京化成(株)社製)45.7部を滴下し、さらに室温で30分攪拌した。得られた反応混合物を氷冷した後、30%水酸化ナトリウム水溶液34.2部を滴下し、室温で30分攪拌した。得られた反応混合物に、室温でクロロ酢酸35.3部を滴下し、7時間加熱還流した。次いで、反応混合物を室温まで放冷した後、反応溶液を水120部の中に注いだ後、トルエン200部を加えて30分攪拌した。得られた混合物を、30分静置し、有機層と水層に分離し、分液操作を行うことにより有機層を得た。得られた有機層を一規定塩酸200部、水200部、飽和食塩水200部で洗浄した。有機層へボウショウを加えて30分攪拌した後、ろ過して乾燥された有機層を得た。得られた有機層を溶媒留去して、淡黄色液体を得た。得られた淡黄色液体をカラムクロマトグラフィーで精製した。精製した淡黄色液体を減圧下60℃で乾燥し、式(B−I−1)で表される化合物を52.0部得た。
冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、式(B−I−1)で表される化合物9.3部、4、4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(東京化成(株)社製)10部およびトルエン20部を投入し、オキシ塩化リン14.8部を加えて95〜100℃で3時間攪拌した。得られた反応混合物を室温に冷却した後、イソプロパノール170部で希釈した。希釈した反応溶液を飽和食塩水300部の中に注いだ後、トルエン100部を加えて30分攪拌した。得られた混合物を、30分静置したところ、有機層と水層に分離した。分液操作を行うことにより有機層を得た。得られた有機層を飽和食塩水300部で洗浄した。有機層へボウショウを加えて30分攪拌した後、ろ過して乾燥された有機層を得た。得られた有機層を溶媒留去して、青紫色固体を得た。得られた青紫色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(A−II−1)で表される化合物を19.8部得た。
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z= 601.3[M−Cl]+
Exact Mass: 636.3
式(A−II−1)で表される化合物6.3部をイオン交換水500部に溶解させた。得られた混合物に、1,5-ジナフタレンスルホン酸(東京化成(株)社製)2.8部を加え、40℃で12時間攪拌した。得られた反応混合物を室温に冷却した後、生じた結晶をろ取し、イオン交換水で洗浄後、60℃で24時間乾燥し、式(A−II−2)で表される化合物を含む固体8.8部を得た。
式(A−II−2)で表される化合物を含む固体8.8部をイオン交換水500部に溶解させた。得られた混合物に、3−アミノプロピルエトキシシラン(東京化成(株)社製)2.2部を加え、30℃で12時間攪拌した。得られた反応混合物を室温に冷却した後、生じた結晶をろ取し、イオン交換水で洗浄後、60℃で24時間乾燥し、式(A2−Z2−4)で表される化合物を11.1部得た。
合成例3において、3−アミノプロピルエトキシシランの代わりに、下式(d−1)を用いる他は、同様に合成を行い、式(A2−Z1−1)で表される化合物を得た。
合成例3において、3−アミノプロピルエトキシシランの代わりに、下式(d−2)を用いる他は、同様に合成を行い、式(A2−Z3−1)で表される化合物を得た。
メタクリル酸19部、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルアクリレート及び3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イルアクリレートの混合物(含有比はモル比で50:50)(商品名「E−DCPA」、株式会社ダイセル製)171部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40部に溶解し、溶液を得た(以下、溶液(1)という場合がある。)。
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)26部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート120部に溶解し、溶液を得た(以下、溶液(2)とい場合がある。)。
還流冷却器、滴下ロート及び撹拌機を備えたフラスコ内を窒素雰囲気とし、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部を入れ、撹拌しながら85℃まで加熱した。次いで、該フラスコ内に、得られた溶液を約5時間かけて滴下した。次いで、溶液(2)を約5時間かけてフラスコ内に滴下した。
溶液(2)の滴下が終了した後、約3時間同温度に保持し、その後室温まで冷却して、固形分43.5%の共重合体(樹脂(B−1)の溶液を得た。得られた樹脂(B−1の重量平均分子量は8000、分子量分布は1.98、固形分換算の酸価は53mg−KOH/gであった。
実施例1
着色剤(A):式(A2−Z2−4)で表される染料 20部;
アルカリ可溶性樹脂(B):樹脂(B−1)(固形分換算)53部;
重合性化合物(C):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標) DPHA;日本化薬(株)製) 16部;
重合開始剤(D):N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン(イルガキュア(登録商標)OXE−01;BASF社製;O−アシルオキシム化合物) 4部;
溶剤(E):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 120部;
溶剤(E):4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン 480部;
並びに
レベリング剤(F):ポリエーテル変性シリコーンオイル
(トーレシリコーンSH8400;東レダウコーニング(株)製) 0.15部
を混合して着色硬化性樹脂組成物(1)を得た。
着色剤(A):式(A2−Z1−1)で表される染料 21部;
アルカリ可溶性樹脂(B):樹脂(B−1)(固形分換算)50部;
重合性化合物(C):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標) DPHA;日本化薬(株)製) 16部;
重合開始剤(D):N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン(イルガキュア(登録商標)OXE−01;BASF社製;O−アシルオキシム化合物) 4部;
溶剤(E):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 120部;
溶剤(E):4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン 480部;
並びに
レベリング剤(F):ポリエーテル変性シリコーンオイル
(トーレシリコーンSH8400;東レダウコーニング(株)製) 0.15部
を混合して着色硬化性樹脂組成物(2)を得た。
着色剤(A):式(A2−Z3−1)で表される染料 26部;
アルカリ可溶性樹脂(B):樹脂(B−1)(固形分換算)50部;
重合性化合物(C):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標) DPHA;日本化薬(株)製) 20部;
重合開始剤(D):N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン(イルガキュア(登録商標)OXE−01;BASF社製;O−アシルオキシム化合物) 4部;
溶剤(E):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 120部;
溶剤(E):4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン 480部;
並びに
レベリング剤(F):ポリエーテル変性シリコーンオイル
(トーレシリコーンSH8400;東レダウコーニング(株)製) 0.15部
を混合して着色硬化性樹脂組成物(3)を得た。
着色剤(A):式(A−III−1)で表される染料 26部;
アルカリ可溶性樹脂(B):樹脂(B−1)(固形分換算)53部;
重合性化合物(C):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標) DPHA;日本化薬(株)製) 16部;
重合開始剤(D):N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン(イルガキュア(登録商標)OXE−01;BASF社製;O−アシルオキシム化合物) 4部;
溶剤(E):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 120部;
溶剤(E):4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン 480部;
並びに
レベリング剤(F):ポリエーテル変性シリコーンオイル
(トーレシリコーンSH8400;東レダウコーニング(株)製) 0.15部
を混合して着色硬化性樹脂組成物(1’)を得た。
2インチ角のガラス基板(#1737;コーニング社製)上に、該着色硬化性樹脂組成物をスピンコート法で塗布した後、100℃で3分間プリベークして着色組成物層を形成した。冷却後、露光機(TME−150RSK;トプコン(株)製)を用いて、大気雰囲気下、150mJ/cm2の露光量(365nm基準)で露光した。尚、フォトマスクは使用しなかった。露光後の着色組成物層をオーブン中、180℃で20分間ポストベークを行うことにより、カラーフィルタ(膜厚2.8μm)を作製した。
着色感光性樹脂組成物の塗布膜を230℃で20分加熱し、塗布膜の加熱前後の色差(ΔEab*)を測色機(OSP−SP−200;OLYMPUS社製)を用いて測定した。実施例1、2、3及び比較例1で得られた塗布膜について以上の耐熱性評価を実施し、その色差(ΔEab*)を求めた。結果を下記表1に示す。
なお、色差(ΔEab*)は、その値が小さいほど高い耐熱性を有する材料であることを示す。
Claims (6)
- 1価のカチオン染料と2価のアニオンとからなる1価のアニオン染料と、色を有さない1価のカチオンとからなり、
1価のカチオン染料が、式(1−a−1)で表されるカチオンであり、
R9A〜R12Aは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を表し、炭素数1〜20のアルキル基に含まれる−CH2−は−O−に置き換わっていてもよい。
Xは、酸素原子または硫黄原子を表す。
R 45 は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を表し、前記置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基に含まれる−CH 2 −は、−O−に置き換わっていてもよい。
R 46 は、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を表す。
R 55 は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を表す。]
2価のアニオンが、式(1−b)で表されるアニオンであり、
色を有さない1価のカチオンが、式(Z−1)、式(Z−2)、及び式(Z−3−1)で表されるカチオンから選ばれるいずれか1つであることを特徴とする造塩染料。
R 11 は、炭素数1〜10のアルカンジイル基を表す。]
R 21 は、炭素数1〜10のアルカンジイル基を表す。
R 40 、R 41 及びR 42 は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。
qは、1〜10の整数を表す。]
- 請求項1に記載の造塩染料を含む着色剤。
- 請求項2に記載の着色剤と、樹脂と、重合性化合物と重合開始剤とを含む着色硬化性樹脂組成物。
- 請求項3に記載の着色硬化性樹脂組成物を用いて形成される塗膜。
- 請求項3に記載の着色硬化性樹脂組成物を用いて形成されるカラーフィルター。
- 請求項5に記載のカラーフィルターを含む表示装置。
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