第1の発明は、被調理材を収容する容器と、前記容器の周囲に配設し前記容器を加熱する加熱手段と、前記容器内の被調理材の撹拌を行う撹拌手段と、前記被調理材の温度を直接的或いは間接的に検知する温度検知手段と、前記温度検知手段で検知された被調理材の温度に基づいて、前記被調理材として低アミロース米、中アミロース米、高アミロース米のうちの少なくとも一方の生の米粒、あるいは、低アミロース米、中アミロース米、高アミロース米のうちの少なくとも一方から炊飯したごはん、あるいは、低アミロース米、中アミロース米、高アミロース米のうちの少なくとも一方をすり潰して得た米粉、と水と、を用い、前記加熱手段と前記撹拌手段を駆動制御することにより被調理材から米ペーストを作成する撹拌工程と、被調理材の発酵から焼成までを自動的に行う制御手段と、操作条件を設定する操作部と、を備え、前記制御手段が、前記操作部によって設定された操作条件に基づいて、低アミロース米を用いたときの発酵工程の制御条件と、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いたときの発酵工程の制御条件と、を異なるように制御するようにしたものである。
これによって、低アミロース米を用いた場合でも、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いた場合でも、ふっくらとしたパンを作成することが可能となる。
第2の発明は、特に、第1の発明の前記発酵工程中に、低アミロース米を用いた場合に、撹拌工程より作成した米ペーストをその状態で保持する第一の発酵工程と、第一の発酵工程から得られた米ペーストを、前記撹拌工程で米ペーストを撹拌するより短い時間、断
続的に撹拌する断続撹拌工程と、断続撹拌工程から得られた米ペーストをその状態で保持する第二の発酵工程を有するようにしたものである。
これによって、低アミロース米から作成された米ペーストの強度が増し、発酵工程中に米ペースト内部に生じるガスや焼成工程中に米ペースト内部で膨張するガスの保持力があがり、発酵工程中および焼成工程中に生地が破れにくくなる。
第3の発明は、特に、第1の発明または第2の発明の前記制御手段が、低アミロース米を用いたときの発酵工程時間を、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いたときの発酵工程時間より短く駆動制御するようにしたものである。
これによって、低アミロース米を用いた場合でも、作成された米ペーストが、発酵工程中に米ペースト内部に生じるガスや焼成工程中に米ペースト内部で膨張するガスを保持することができ、発酵工程中および焼成工程中に生地が破れることなく、ふっくらとしたパンを作ることが可能になる。
第4の発明は、特に、第1〜3の発明のいずれか1つの前記制御手段が、低アミロース米を用いたときの発酵工程中の加熱手段による容器の温度が、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いたときの発酵工程中の加熱手段による容器の温度より低くなるように駆動制御するようにしたものである。
これによって、発酵工程中に低アミロース米から作成した米ペースト内部に生じる単位時間あたりのガスの量を均一にして、米ペースト内部での急なガスの発生をなくすことができ、発酵により米ペーストの体積が膨張していく過程で、急に生地が破れるのを防ぐことができる。また、米ペースト内部には均一な気泡孔ができるが、大きな気泡孔ができずに発酵工程を終了することができ、キメの細やかなパンの作成が可能になる。
第5の発明は、特に、第1、第2、第4のいずれか1つの発明の前記制御手段が、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いたときの撹拌工程で得る米ペーストの温度より低い所定の温度で、低アミロース米を用いたときの撹拌工程で米ペーストを得るように、前記加熱手段を駆動制御するようにしたものである。
これによって、低アミロース米を用いた場合の発酵開始温度を低くして、発酵工程開始時に米ペースト内部に生じるガスの量を少なくすることができ、発酵工程中および焼成工程中に生地がより破れにくくなる。また、発酵開始温度を低くなることで、米ペースト内部に生じる気泡孔はさらに小さくなり、よりキメの細やかなパンを作ることが可能になる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における自動製パン器の要部断面図、図2は本発明の第1の実施の形態における容器と撹拌手段の要部断面図であり、図2(A)は平面断面図であり、図2(B)は図2(A)のA−A線断面図である。
図1と図2において、本実施の形態1における自動製パン器は、機器本体21内部に設けた焼成室22と、焼成室22内に着脱自在に収納され被調理材を収納する有底の容器(焼成ケース)23が配設してある。この容器23には、Dカット部を形成した回転軸40が底面を貫通して配置され、回転軸40は動力伝達手段41を介してモータ20と連結し
ている。この容器23内には、撹拌手段としての練り羽根24が設けてあり、撹拌工程中において、練り羽根24により被調理材の撹拌を行うようになっている。撹拌手段としての練り羽根24は混合部24aと粉砕部24bとボス24cが一体に構成され、ボス24cは回転軸40に嵌合している。モータ20が回転することにより、動力伝達手段41を介して回転軸40が回転し、練り羽根24が回転する。練り羽根24の混合部24aと粉砕部24bは、ボス24cから回転軸40の半径方向へ延出して形成されている。混合部24aは、特に、図2に示すように練り羽根24の回転方向に対して翼のように流線形状を有している。
粉砕部24bは平滑な平面で構成され、粉砕部24bと対向する容器23の底部37には凹凸形状を構成し粉砕部24bに向かう突起物38が容器23の中心から放射状に複数形成されている。練り羽根24が回転したとき突起物38の頂部は粉砕部24bの平面と隙間h2を有して離間している。容器23の底部37と粉砕部24bの平面との隙間は、穀物粒Rの短径r1より大きい隙間h1と、穀物粒Rの短径r1より小さい隙間h2を有している。大きい隙間h1は、容器23の底部37から粉砕部24bの平面までの距離であり、小さい隙間h2は突起物38から粉砕部24bの平面までの距離である。
例えば米粒Rを例にとると一般的に縦長であり、縦長方向に直交する中央部の断面は楕円形状となっている。この楕円の短径r1が米粒Rの最短長であり、米粒Rの短径r1よりも大きい隙間h1を設けることで米粒Rが大きい隙間h1に入り込み、短径r1よりも小さい隙間h2があることで入り込んだ米粒Rは隣接する突起物38の間に閉じ込められる。
また、機器本体21の上部には開口部を覆う開閉自在な外蓋25が設けてあり、焼成室22内の下方の容器23の外周に位置して外周部より容器23を加熱する加熱手段26が設けてある。容器23の温度を検知して被調理材の温度を間接的に検知する温度検知手段27が容器23に当接して設けてある。温度検知手段27で検出された被調理材の温度に基づき、機器本体21上部に配設した操作部28で設定された設定内容に対応する所定のシーケンスで、制御手段29によって加熱手段26及び練り羽根24を駆動制御し、被調理材として低アミロース米、中アミロース米、高アミロース米のうちの少なくとも一方の生の米粒と水から米ペーストを作成する撹拌工程と、被調理材の発酵工程から焼成工程までを自動的に行うようになっている。
また、容器23の近傍には容器23を冷却する冷却手段30が設けてある。工程中の被調理材の温度を温度検知手段27で検知し、制御手段29が、温度検知手段27で検知した温度が所定の温度範囲になるように冷却手段30を駆動制御するようになっている。冷却手段30は、冷却ファン30aと吸い込み口30bから構成されている。
なお、機器本体21の上部の外蓋25の内側には、発泡誘起材料を自動投入する発泡誘起材料自動投入器33と、砂糖と塩を自動投入する砂糖塩自動投入器34が配設してある。機器本体21の底部からは電源コード35が引き出されており、機器本体21に収納できるようになっている。ここで、発泡誘起材料とは、例えば、ドライイースト、生イースト、天然酵母、グアガム、糀、ベーキングパウダーなどのイースト類のことを指す。
さらに、操作部28には、調理工程を開始させるスタートボタン36、操作条件である低アミロース米コースを選択する低アミロース米コースボタン28aと、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を選択する中アミロース米あるいは高アミロース米コースボタン28bが配設してある。制御手段29は、操作部28によって設定された操作条件に基づいて、低アミロース米を用いて製パンする制御条件と、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いて製パンする制御条件との
製パンの調理工程を開始させるようになっている。
以上のように構成された自動製パン器について、以下その動作を説明する。
図3に、本発明の実施の形態1における自動製パン器の調理工程図を示す。図4に、本発明の実施の形態における発酵工程の温度と時間の関係図を示す。
まず最初に、使用者が低アミロース米を用いて製パンするときの動作について説明する。まず、はじめに使用者が電源コード35をコンセントに接続すると、電源コード35を通じて、制御手段29に電力が供給される。さらに、使用者が、被調理材として低アミロース米の生の米粒と水と発泡誘起材料と、を容器23に、発泡誘起材料を発泡誘起材料自動投入器33に、砂糖と塩と、を砂糖塩自動投入器34に投入する。撹拌工程を終えた米ペーストを発酵させるために、発泡誘起材料を発泡誘起材料自動投入器33に、砂糖と塩と、を砂糖塩自動投入器34に投入している。
その後、使用者が操作部28で低アミロース米コースボタン28aを押してから、スタートボタン36を押すと、制御手段29が駆動して、モータ20に電力を供給してモータ20が回転することにより、動力伝達手段41を介して回転軸40と練り羽根24が回転し、撹拌工程が開始する。
撹拌工程において図2に示すように、米粒を効率よくすり潰すためには粉砕部24bと容器23の隙間h1に米粒Rを誘い込み、米粒Rにせん断応力と圧縮応力を負荷する必要がある。
練り羽根24はモータ20によって回転動作しているため、次々に米粒Rが短径r1よりも大きい隙間h1から入って隣接する突起物38の間に蓄積され、米粒Rは短径r1よりも小さい隙間h2から追い出される際に粉砕部24bと突起物38とによって、せん断応力と圧縮応力が負荷され細かくすり潰され、撹拌工程の終了時には米ペーストが出来上がる。撹拌工程が開始して7時間経過した頃には、米ペーストの作成が完了する。
なお、撹拌工程が開始して1時間程度経過すると、容器23の底部37と米粒との間で発生する摩擦熱と、米粒と練り羽根24の間で発生する摩擦熱により、被調理材の温度が上昇してくる。米でんぷんの糊化温度は、米種によるが、50〜80度と言われており、少しでも糊化が起こると、1粒の米粒におけるかたさの偏りが生じ、米粒のすり潰し及び撹拌が不均一になる可能性があった。そこで、被調理材の温度を所定の温度範囲にするため、撹拌工程が開始して1時間程度経過したときに、制御手段29が冷却手段30を駆動するように制御する。本実施の形態の撹拌工程においては、糊化が完全に起こらないように、被調理材の温度が28〜33℃付近であることが望ましい。
そのため、制御手段29が、温度検知手段27で検知した温度が所定の温度範囲(28〜33℃程度)になるように、冷却手段30を駆動制御する。具体的には、冷却ファン30aを回し、吸い込み口30bから焼成室22の熱風を外に逃がして、被調理材の温度を冷却する。
撹拌工程が開始して7時間経過して、米ペーストの作成が完了した後には、制御手段29が、発泡誘起材料自動投入器33と砂糖塩自動投入器34を作動させ、発泡誘起材料と砂糖と塩と、を容器23に自動投入するように制御する。発泡誘起材料と砂糖と塩と、が容器23に自動投入された後、制御手段29が、モータ20に供給される電力を変化させ、練り羽根24の回転速度を変えて、混ぜ工程を開始するように制御する。練り羽根24を回転させて発泡誘起材料と砂糖と塩と米ペーストを混合する。混ぜ工程が開始して40分経過した頃には、被調理材は発泡誘起材料と砂糖と塩と米ペーストの混合が完了し、米
ペースト中で、発泡誘起材料と砂糖と塩が均一に分散している状態になる。
その後、制御手段29が発酵工程を開始するように制御する。発酵工程における被調理材の温度は38〜42℃程度であることが望ましいので、制御手段29は、冷却手段30を停止、かつ、容器23の加熱手段26を作動させ、発酵工程開始時に容器23の温度が38℃程度になるように制御する。
発酵工程が開始して20分経過すると、発酵工程が終了する。図4に示すように、このときの容器23の温度が40.2℃程度になっていると望ましい。
一般的に、低アミロース米から作成した米ペーストは、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方から作成した米ペーストに比べて、やわらかく、発酵工程中に米ペースト内部に生じるガスや焼成工程中に米ペースト内部で膨張するガスを保持しにくい。中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いたときの発酵状態に比べて、低アミロース米を用いたときの発酵状態を弱め、発酵工程中に、低アミロース米から作成した米ペースト内部に生じるガスの量を、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方から作成した米ペースト内部に生じるガスの量に比べて、少なくすることで、低アミロース米を用いた場合でも、発酵工程中に米ペースト内部に生じるガスや焼成工程中に米ペースト内部に膨張するガスを保持することができ、発酵工程中および焼成工程中に生地が破れることなく、ふっくらとしたパンを作ることができる。
制御手段29が、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いたときの発酵工程時間に比べて、低アミロース米を用いたときの発酵工程時間を短く駆動制御することで、低アミロース米を用いたときの発酵状態を、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いたときの発酵状態に比べて、弱め、発酵工程中に、低アミロース米から作成した米ペースト内部に生じるガスの量を、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方から作成した米ペースト内部に生じるガスの量に比べて、少なくする。
なお、低アミロース米を用いたときの発酵工程時間は、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いたときの発酵工程時間の6割程度が望ましい。
その後、制御手段29はさらに容器23の温度を上げるように加熱手段26を制御し、焼成工程を開始するように制御し、パンを作成する。焼成工程における容器23の温度は160〜180℃程度が望ましく、焼成時間は40分程度が望ましい。
次に、使用者が中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いて製パンするときの動作について説明する。
まず、はじめに使用者が電源コード35をコンセントに接続すると、電源コード35を通じて、制御手段29に電力が供給される。さらに、使用者が、被調理材として中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方の生の米粒と水と発泡誘起材料と、を容器23に、発泡誘起材料を発泡誘起材料自動投入器33に、砂糖と塩と、を砂糖塩自動投入器34に投入する。撹拌工程を終えた米ペーストを発酵させるために、発泡誘起材料を発泡誘起材料自動投入器33に、砂糖と塩と、を砂糖塩自動投入器34に投入している。
その後、使用者が操作部28で中アミロース米あるいは高アミロース米コースボタン28bを押してから、スタートボタン36を押すと、制御手段29が駆動して、モータ20
に電力を供給してモータ20が回転することにより、動力伝達手段41を介して回転軸40と練り羽根24が回転し、撹拌工程が開始する。
撹拌工程において図2に示すように、米粒を効率よくすり潰すためには粉砕部24bと容器23の隙間h1に米粒Rを誘い込み、米粒Rにせん断応力と圧縮応力を負荷する必要がある。
練り羽根24はモータ20によって回転動作しているため、次々に米粒Rが短径r1よりも大きい隙間h1から入って隣接する突起物38の間に蓄積され、米粒Rは短径r1よりも小さい隙間h2から追い出される際に粉砕部24bと突起物38とによって、せん断応力と圧縮応力が負荷され細かくすり潰され、撹拌工程の終了時には米ペーストが出来上がる。撹拌工程が開始して7時間経過した頃には、米ペーストの作成が完了する。
なお、撹拌工程が開始して1時間程度経過すると、容器23の底部37と米粒との間で発生する摩擦熱と、米粒と練り羽根24の間で発生する摩擦熱により、被調理材の温度が上昇してくる。米でんぷんの糊化温度は、米種によるが、50〜80度と言われており、少しでも糊化が起こると、1粒の米粒におけるかたさの偏りが生じ、米粒のすり潰し及び撹拌が不均一になる可能性があった。そこで、被調理材の温度を所定の温度範囲にするため、撹拌工程が開始して1時間程度経過したときに、制御手段29が冷却手段30を駆動するように制御する。本実施の形態の撹拌工程においては、糊化が完全に起こらないように、被調理材の温度が28〜33℃付近であることが望ましい。
そのため、制御手段29が、温度検知手段27で検知した温度が所定の温度範囲(28〜33℃程度)になるように、冷却手段30を駆動制御する。具体的には、冷却ファン30aを回し、吸い込み口30bから焼成室22の熱風を外に逃がして、被調理材の温度を冷却する。
撹拌工程が開始して7時間経過して、米ペーストの作成が完了した後には、制御手段29が、発泡誘起材料自動投入器33と砂糖塩自動投入器34を作動させ、発泡誘起材料と砂糖と塩と、を容器23に自動投入するように制御する。発泡誘起材料と砂糖と塩と、が容器23に自動投入された後、制御手段29が、モータ20に供給される電力を変化させ、練り羽根24の回転速度を変えるように制御する。練り羽根24を回転させて発泡誘起材料と砂糖と塩と米ペーストを混合する。40分経過した頃には、被調理材は発泡誘起材料と砂糖と塩と米ペーストの混合が完了し、米ペースト中で、発泡誘起材料と砂糖と塩が均一に分散している状態になる。
その後、制御手段29が発酵工程を開始するように制御する。発酵工程における被調理材の温度は38〜42℃程度であることが望ましいので、制御手段29は、冷却手段30を停止、かつ、容器23の加熱手段26を作動させ、発酵開始時に容器23の温度が38℃程度になるように制御する。
中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いた場合には、発酵工程が開始して35分経過すると、発酵工程が終了する。図4に示すように、このときの容器23の温度が42℃程度になっていると望ましい。
その後、制御手段29はさらに容器23の温度を上げるように加熱手段26を制御し、焼成工程を開始するように制御し、パンを作成する。焼成工程における容器23の温度は160〜180℃程度が望ましく、焼成時間は40分程度が望ましい。
以上のように、本実施の形態においては、制御手段29が、前記操作部28によって設
定された操作条件に基づいて、低アミロース米を用いたときの発酵工程の制御条件と、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いたときの発酵工程の制御条件と、を異なるように制御することにより、使用者は、低アミロース米を用いた場合でも、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いた場合でも、ふっくらとしたパンを作成することが可能となる。
さらに、制御手段29が、低アミロース米を用いたときの発酵工程時間を、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いたときの発酵工程時間より短く駆動制御することにより、低アミロース米を用いた場合でも、作成された米ペーストが、発酵工程中に米ペースト内部に生じるガスや焼成工程中に米ペースト内部で膨張するガスを保持することができ、発酵工程中および焼成工程中に生地が破れることなく、ふっくらとしたパンを作ることが可能になる。なお、低アミロース米を用いたときの発酵工程時間は、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いたときの発酵工程時間の6割程度が望ましい。
なお、本実施の形態では、練り羽根24と、突起物38を有した容器23の底部37で米粒をすり潰しながら撹拌して、米ペーストを作成しているが、他の手段をとっても構わない。
また、本実施の形態では、使用者が生の米粒と水を使用しているが、低アミロース米、中アミロース米、高アミロース米のうちの少なくとも一方から炊飯したごはん、あるいは、低アミロース米、中アミロース米、高アミロース米のうちの少なくとも一方をすり潰して得た米粉を用いても構わない。だだし、材料や各工程の所要時間は異なる。
例えば、低アミロース米、中アミロース米、高アミロース米のうちの少なくとも一方から炊飯したごはんの場合、被調理材には、低アミロース米、中アミロース米、高アミロース米のうちの少なくとも一方から炊飯したごはん以外に、強力粉と発泡誘起剤と砂糖と塩と水が用いられる。中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方から炊飯したごはんを用いた場合、撹拌工程に40分、混ぜ工程に40分、発酵工程に2時間、焼成工程に40分かかり、およそ4時間で、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方から炊飯したごはんを含むごはんパンが作成できる。
ここで、低アミロース米、中アミロース米、高アミロース米のうちの少なくとも一方から炊飯したごはんの場合、低アミロース米を用いたときの発酵工程時間を、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いたときの発酵工程時間より短く駆動制御することにより、本実施の形態で説明した同等の作用効果が得られるものである。
また、低アミロース米、中アミロース米、高アミロース米のうちの少なくとも一方をすり潰して得た米粉の場合、被調理材には、低アミロース米、中アミロース米、高アミロース米のうちの少なくとも一方をすり潰して得た米粉以外に、水あめなどの増粘剤と発泡誘起剤と砂糖と塩と水が用いられる。中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方をすり潰して得た米粉を用いた場合、撹拌工程に40分、混ぜ工程に30分、発酵工程に40分、焼成工程に40分かかり、およそ2時間30分で、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方をすり潰して得た米粉を含む米粉パンが作成できる。
ここで、低アミロース米、中アミロース米、高アミロース米のうちの少なくとも一方をすり潰して得た米粉の場合、低アミロース米を用いたときの発酵工程時間を、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いたときの発酵工程時間より短
く駆動制御することにより、本実施の形態で説明した同等の作用効果が得られるものである。
(実施の形態2)
本発明の第2の実施の形態において、上記第1の実施の形態と相違する事項についてのみ説明し、同様の構成や作用効果等を有するものについては上記第1の実施の形態の説明を援用する。
本発明の第2の実施の形態が、上記の第1の実施の形態と異なる部分は、低アミロース米を用いたときの発酵工程時間を、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いたときの発酵工程時間より短く駆動制御せずに、低アミロース米を用いたときの発酵工程中の加熱手段を、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いたときの発酵工程中の加熱手段より緩やかに駆動制御するところと、低アミロース米を用いた場合、発酵工程中に、撹拌工程より作成した米ペーストをその状態で保持する第一の発酵工程と、第一の発酵工程から得られた米ペーストを、前記撹拌工程で米ペーストを撹拌するより短い時間、断続的に撹拌する断続撹拌工程と、断続撹拌工程から得られた米ペーストをその状態で保持する第二の発酵工程を有するところ、である。
以下、本発明の第2の実施の形態について、その動作を説明する。
図5は、本発明の実施の形態2における自動製パン器の調理工程図、図6は、本発明の実施の形態2における発酵工程の温度と時間の関係図である。
まず最初に、使用者が低アミロース米を用いて製パンするときの動作について説明する。まず、はじめに使用者が電源コード35をコンセントに接続すると、電源コード35を通じて、制御手段29に電力が供給される。さらに、使用者が、被調理材として低アミロース米の生の米粒と水と発泡誘起材料と、を容器23に、発泡誘起材料を発泡誘起材料自動投入器33に、砂糖と塩と、を砂糖塩自動投入器34に投入する。撹拌工程を終えた米ペーストを発酵させるために、発泡誘起材料を発泡誘起材料自動投入器33に、砂糖と塩と、を砂糖塩自動投入器34に投入している。
その後、使用者が操作部28で低アミロース米コースボタン28aを押してから、スタートボタン36を押すと、制御手段29が駆動して、モータ20に電力を供給してモータ20が回転することにより、動力伝達手段41を介して回転軸40と練り羽根24が回転し、撹拌工程が開始する。
撹拌工程において図2に示すように、米粒を効率よくすり潰すためには粉砕部24bと容器23の隙間h1に米粒Rを誘い込み、米粒Rにせん断応力と圧縮応力を負荷する必要がある。
練り羽根24はモータ20によって回転動作しているため、次々に米粒Rが短径r1よりも大きい隙間h1から入って隣接する突起物38の間に蓄積され、米粒Rは短径r1よりも小さい隙間h2から追い出される際に粉砕部24bと突起物38とによって、せん断応力と圧縮応力が負荷され細かくすり潰され、撹拌工程の終了時には米ペーストが出来上がる。撹拌工程が開始して7時間経過した頃には、米ペーストの作成が完了する。
なお、撹拌工程が開始して1時間程度経過すると、容器23の底部37と米粒との間で発生する摩擦熱と、米粒と練り羽根24の間で発生する摩擦熱により、被調理材の温度が上昇してくる。米でんぷんの糊化温度は、米種によるが、50〜80度と言われており、少しでも糊化が起こると、1粒の米粒におけるかたさの偏りが生じ、米粒のすり潰し及び撹拌が不均一になる可能性があった。そこで、被調理材の温度を所定の温度範囲にするた
め、撹拌工程が開始して1時間程度経過したときに、制御手段29が冷却手段30を駆動するように制御する。本実施の形態の撹拌工程においては、糊化が完全に起こらないように、被調理材の温度が28〜33℃付近であることが望ましい。
そのため、制御手段29が、温度検知手段27で検知した温度が所定の温度範囲(28〜33℃程度)になるように、冷却手段30を駆動制御する。具体的には、冷却ファン30aを回し、吸い込み口30bから焼成室22の熱風を外に逃がして、被調理材の温度を冷却する。
撹拌工程が開始して7時間経過して、米ペーストの作成が完了した後には、制御手段29が、発泡誘起材料自動投入器33と砂糖塩自動投入器34を作動させ、発泡誘起材料と砂糖と塩と、を容器23に自動投入するように制御する。発泡誘起材料と砂糖と塩と、が容器23に自動投入された後、制御手段29が、モータ20に供給される電力を変化させ、練り羽根24の回転速度を変え、混ぜ工程が開始するように制御する。練り羽根24を回転させて発泡誘起材料と砂糖と塩と米ペーストを混合する。混ぜ工程が開始して40分経過した頃には、被調理材は発泡誘起材料と砂糖と塩と米ペーストの混合が完了し、米ペースト中で、発泡誘起材料と砂糖と塩が均一に分散している状態になる。
その後、制御手段29が第一の発酵工程を開始するように制御する。この第一の発酵工程では、撹拌工程で作成した米ペーストをその状態で保持する。
発酵中の被調理材の温度は38〜42℃程度であることが望ましいので、制御手段29は、冷却手段30を停止、かつ、容器23の加熱手段26を作動させ、第一の発酵工程開始時に容器23の温度が38℃程度になるように制御する。
第一の発酵工程が開始して10分経過すると、制御手段29は断続的撹拌工程を開始するように制御する。断続的撹拌工程では、第一の発酵工程から得られた米ペーストを、撹拌工程で米ペーストを撹拌するより短い時間、断続的に数回、撹拌が行われる。撹拌は、1分間、その間に2〜3回行うのが望ましい。発酵中の米ペーストを断続的に撹拌する、いわゆる、パンチを行うことで、低アミロース米から作成された米ペーストの強度が増し、発酵工程中に生じるガスや焼成工程に膨張するガスの保持力があがる。
その後、断続的撹拌工程が開始して1分経過すると、制御手段29は第二の発酵工程を開始するように制御する。第二の発酵工程は、断続的撹拌工程から得られた米ペーストをその状態で保持する。
第二の発酵工程が開始して24分経過すると、第二の発酵工程が終了する。図6に示すように、このときの容器23の温度が40℃程度になっていると望ましい。このとき、第一の発酵工程が開始してから、35分が経過している。
制御手段29が、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いたときの発酵工程中の加熱手段26に比べて、低アミロース米を用いたときの発酵工程中の加熱手段26を緩やかに駆動制御することで、発酵工程中に、低アミロース米から作成した米ペースト内部に生じる単位時間あたりのガスの量を、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方から作成した米ペースト内部に生じる単位時間あたりの量に比べて、均一にして、米ペースト内部での急なガスの発生をなくすことができ、発酵により米ペーストの体積が膨張していく過程で、急に生地が破れるのを防ぐことができる。また、米ペースト内部には均一な気泡孔ができるが、大きな気泡孔ができずに発酵工程を終了することができ、キメの細やかなパンの作成が可能になる。
その後、制御手段29はさらに容器23の温度を上げるように加熱手段26を制御し、焼成工程を開始するように制御し、パンを作成する。焼成工程における容器23の温度は160〜180℃程度が望ましく、焼成時間は40分程度が望ましい。
次に、使用者が中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いて製パンするときの動作について説明する。
まず、はじめに使用者が電源コード35をコンセントに接続すると、電源コード35を通じて、制御手段29に電力が供給される。さらに、使用者が、被調理材として中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方の生の米粒と水と発泡誘起材料と、を容器23に、発泡誘起材料を発泡誘起材料自動投入器33に、砂糖と塩と、を砂糖塩自動投入器34に投入する。撹拌工程を終えた米ペーストを発酵させるために、発泡誘起材料を発泡誘起材料自動投入器33に、砂糖と塩と、を砂糖塩自動投入器34に投入している。
その後、使用者が操作部28で中アミロース米あるいは高アミロース米コースボタン28bを押してから、スタートボタン36を押すと、制御手段29が駆動して、モータ20に電力を供給してモータ20が回転することにより、動力伝達手段41を介して回転軸40と練り羽根24が回転し、撹拌工程が開始する。
撹拌工程において図2に示すように、米粒を効率よくすり潰すためには粉砕部24bと容器23の隙間h1に米粒Rを誘い込み、米粒Rにせん断応力と圧縮応力を負荷する必要がある。
練り羽根24はモータ20によって回転動作しているため、次々に米粒Rが短径r1よりも大きい隙間h1から入って隣接する突起物38の間に蓄積され、米粒Rは短径r1よりも小さい隙間h2から追い出される際に粉砕部24bと突起物38とによって、せん断応力と圧縮応力が負荷され細かくすり潰され、撹拌工程の終了時には米ペーストが出来上がる。撹拌工程が開始して7時間経過した頃には、米ペーストの作成が完了する。
なお、撹拌工程が開始して1時間程度経過すると、容器23の底部37と米粒との間で発生する摩擦熱と、米粒と練り羽根24の間で発生する摩擦熱により、被調理材の温度が上昇してくる。米でんぷんの糊化温度は、米種によるが、50〜80度と言われており、少しでも糊化が起こると、1粒の米粒におけるかたさの偏りが生じ、米粒のすり潰し及び撹拌が不均一になる可能性があった。そこで、被調理材の温度を所定の温度範囲にするため、撹拌工程が開始して1時間程度経過したときに、制御手段29が冷却手段30を駆動するように制御する。本実施の形態の撹拌工程においては、糊化が完全に起こらないように、被調理材の温度が28〜33℃付近であることが望ましい。
そのため、制御手段29が、温度検知手段27で検知した温度が所定の温度範囲(28〜33℃程度)になるように、冷却手段30を駆動制御する。具体的には、冷却ファン30aを回し、吸い込み口30bから焼成室22の熱風を外に逃がして、被調理材の温度を冷却する。
撹拌工程が開始して7時間経過して、米ペーストの作成が完了した後には、制御手段29が、発泡誘起材料自動投入器33と砂糖塩自動投入器34を作動させ、発泡誘起材料と砂糖と塩と、を容器23に自動投入するように制御する。発泡誘起材料と砂糖と塩と、が容器23に自動投入された後、制御手段29が、モータ20に供給される電力を変化させ、練り羽根24の回転速度を変え、混ぜ工程が開始するように制御する。練り羽根24を回転させて発泡誘起材料と砂糖と塩と米ペーストを混合する。混ぜ工程が開始して40分
経過した頃には、被調理材は発泡誘起材料と砂糖と塩と米ペーストの混合が完了し、米ペースト中で、発泡誘起材料と砂糖と塩が均一に分散している状態になる。
その後、制御手段29が発酵工程を開始するように制御する。発酵工程における被調理材の温度は38〜42℃程度であることが望ましいので、制御手段29は、冷却手段30を停止、かつ、容器23の加熱手段26を作動させ、発酵開始時に容器23の温度が38℃程度になるように制御する。
中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いた場合には、発酵工程が開始して35分経過すると、発酵工程が終了する。図6に示すように、このときの容器23の温度が42℃程度になっていると望ましい。
その後、制御手段29はさらに容器23の温度を上げるように加熱手段26を制御し、焼成工程を開始するように制御し、パンを作成する。焼成工程における容器23の温度は160〜180℃程度が望ましく、焼成時間は40分程度が望ましい。
以上のように、本実施の形態においては、本実施の形態特有の作用効果のみを記載すると、制御手段29が、低アミロース米を用いたときの発酵工程中の加熱手段26を、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いたときの発酵工程中の加熱手段26より緩やかに駆動制御することにより、発酵工程中に低アミロース米から作成した米ペースト内部に生じる単位時間あたりのガスの量を均一にして、米ペースト内部での急なガスの発生をなくすことができ、発酵により米ペーストの体積が膨張していく過程で、急に生地が破れるのを防ぐことができる。また、米ペースト内部には均一な気泡孔ができるが、大きな気泡孔ができずに発酵工程を終了することができ、キメの細やかなパンの作成が可能になる。なお、低アミロース米を用いたときの発酵工程中の温度勾配は、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いたときの発酵工程中の温度勾配の6割程度が望ましい。
また、本実施の形態においては、低アミロース米を用いた場合、発酵工程中に、撹拌工程より作成した米ペーストをその状態で保持する第一の発酵工程と、第一の発酵工程から得られた米ペーストを、撹拌工程で米ペーストを撹拌するより短い時間、断続的に撹拌する断続撹拌工程と、断続撹拌工程から得られた米ペーストをその状態で保持する第二の発酵工程を有することにより、低アミロース米から作成された米ペーストの強度が増し、発酵工程中に米ペースト内部に生じるガスや焼成工程中に米ペースト内部で膨張するガスの保持力があがり、発酵工程中および焼成工程中に生地が破れにくくなる。
なお、本実施の形態では、練り羽根24と、突起物38を有した容器23の底部37で米粒をすり潰しながら撹拌して、米ペーストを作成しているが、他の手段をとっても構わない。
また、本実施の形態では、使用者が生の米粒と水を使用しているが、低アミロース米、中アミロース米、高アミロース米のうちの少なくとも一方から炊飯したごはん、あるいは、低アミロース米、中アミロース米、高アミロース米のうちの少なくとも一方をすり潰して得た米粉を用いても構わない。だだし、材料や各工程の所要時間は異なる。
例えば、低アミロース米、中アミロース米、高アミロース米のうちの少なくとも一方から炊飯したごはんの場合、被調理材には、低アミロース米、中アミロース米、高アミロース米のうちの少なくとも一方から炊飯したごはん以外に、強力粉と発泡誘起剤と砂糖と塩と水が用いられる。中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方から炊飯したごはんを用いた場合、撹拌工程に40分、混ぜ工程に40分、発酵工程に2時間
、焼成工程に40分かかり、およそ4時間で、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方から炊飯したごはんを含むごはんパンが作成できる。
ここで、低アミロース米、中アミロース米、高アミロース米のうちの少なくとも一方から炊飯したごはんの場合、低アミロース米を用いたときの発酵工程中の加熱時間を、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いたときの発酵工程中の加熱時間より穏やかに駆動制御することにより、本実施の形態で説明した同等の作用効果が得られるものである。
さらに、低アミロース米から炊飯したごはんの場合、発酵工程中に、撹拌工程より作成した米ペーストをその状態で保持する第一の発酵工程と、第一の発酵工程から得られた米ペーストを、撹拌工程で米ペーストを撹拌するより短い時間、断続的に撹拌する断続撹拌工程と、断続撹拌工程から得られた米ペーストをその状態で保持する第二の発酵工程を有することにより、本実施の形態で説明した同等の作用効果が得られるものである。
また、低アミロース米、中アミロース米、高アミロース米のうちの少なくとも一方をすり潰して得た米粉の場合、被調理材には、低アミロース米、中アミロース米、高アミロース米のうちの少なくとも一方をすり潰して得た米粉以外に、水あめなどの増粘剤と発泡誘起剤と砂糖と塩と水が用いられる。中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方をすり潰して得た米粉を用いた場合、撹拌工程に40分、混ぜ工程に30分、発酵工程に40分、焼成工程に40分かかり、およそ2時間30分で、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方をすり潰して得た米粉を含む米粉パンが作成できる。
ここで、低アミロース米、中アミロース米、高アミロース米のうちの少なくとも一方をすり潰して得た米粉の場合、低アミロース米を用いたときの発酵工程中の加熱時間を、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いたときの発酵工程中の加熱時間より穏やかに駆動制御することにより、本実施の形態で説明した同等の作用効果が得られるものである。
さらに、低アミロース米をすり潰して得た米粉の場合、発酵工程中に、撹拌工程より作成した米ペーストをその状態で保持する第一の発酵工程と、第一の発酵工程から得られた米ペーストを、撹拌工程で米ペーストを撹拌するより短い時間、断続的に撹拌する断続撹拌工程と、断続撹拌工程から得られた米ペーストをその状態で保持する第二の発酵工程を有することにより、本実施の形態で説明した同等の作用効果が得られるものである。
(実施の形態3)
本発明の第3の実施の形態において、上記第2の実施の形態と相違する事項についてのみ説明し、同様の構成や作用効果等を有するものについては上記第2の実施の形態の説明を援用する。
本発明の第3の実施の形態が、上記の第2の実施の形態と異なる部分は、低アミロース米を用いたときの発酵工程中の加熱手段を、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いたときの発酵工程中の加熱手段26より緩やかに駆動制御せずに、制御手段29が、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いたときの撹拌工程で得る米ペーストの温度より低い所定の温度で、低アミロース米を用いたときの撹拌工程で米ペーストを得るように、加熱手段26を駆動制御するところである。
以下、本発明の第3の実施の形態について、その動作を説明する。
図7は、本発明の実施の形態3における自動製パン器の調理工程図、図8は、本発明の実施の形態3における発酵工程の温度と時間の関係図である。
まず最初に、使用者が低アミロース米を用いて製パンするときの動作について説明する。まず、はじめに使用者が電源コード35をコンセントに接続すると、電源コード35を通じて、制御手段29に電力が供給される。さらに、使用者が、被調理材として低アミロース米の生の米粒と水と発泡誘起材料と、を容器23に、発泡誘起材料を発泡誘起材料自動投入器33に、砂糖と塩と、を砂糖塩自動投入器34に投入する。撹拌工程を終えた米ペーストを発酵させるために、発泡誘起材料を発泡誘起材料自動投入器33に、砂糖と塩と、を砂糖塩自動投入器34に投入している。
その後、使用者が操作部28で低アミロース米コースボタン28aを押してから、スタートボタン36を押すと、制御手段29が駆動して、モータ20に電力を供給してモータ20が回転することにより、動力伝達手段41を解して回転軸40と練り羽根24が回転し、撹拌工程が開始する。
撹拌工程において図2に示すように、米粒を効率よくすり潰すためには粉砕部24bと容器23の隙間h1に米粒Rを誘い込み、米粒Rにせん断応力と圧縮応力を負荷する必要がある。
練り羽根24はモータ20によって回転動作しているため、次々に米粒Rが短径r1よりも大きい隙間h1から入って隣接する突起物38の間に蓄積され、米粒Rは短径r1よりも小さい隙間h2から追い出される際に粉砕部24bと突起物38とによって、せん断応力と圧縮応力が負荷され細かくすり潰され、撹拌工程の終了時には米ペーストが出来上がる。撹拌工程が開始して7時間経過した頃には、米ペーストの作成が完了する。
なお、撹拌工程が開始して1時間程度経過すると、容器23の底部37と米粒との間で発生する摩擦熱と、米粒と練り羽根24の間で発生する摩擦熱により、被調理材の温度が上昇してくる。米でんぷんの糊化温度は、米種によるが、50〜80度と言われており、少しでも糊化が起こると、1粒の米粒におけるかたさの偏りが生じ、米粒のすり潰し及び撹拌が不均一になる可能性があった。そこで、被調理材の温度を所定の温度範囲にするため、撹拌工程が開始して1時間程度経過したときに、制御手段29が冷却手段30を駆動するように制御する。本実施の形態の撹拌工程においては、糊化が完全に起こらないように、被調理材の温度が28〜33℃付近であることが望ましい。
そのため、制御手段29が、温度検知手段27で検知した温度が所定の温度範囲(28〜33℃程度)になるように、冷却手段30を駆動制御する。具体的には、冷却ファン30aを回し、吸い込み口30bから焼成室22の熱風を外に逃がして、被調理材の温度を冷却する。
撹拌工程が開始して7時間経過して、米ペーストの作成が完了した後には、制御手段29が、発泡誘起材料自動投入器33と砂糖塩自動投入器34を作動させ、発泡誘起材料と砂糖と塩と、を容器23に自動投入するように制御する。発泡誘起材料と砂糖と塩と、が容器23に自動投入された後、制御手段29が、モータ20に供給される電力を変化させ、練り羽根24の回転速度を変え、混ぜ工程が開始するように制御する。練り羽根24を回転させて発泡誘起材料と砂糖と塩と米ペーストを混合する。混ぜ工程が開始して40分経過した頃には、被調理材は発泡誘起材料と砂糖と塩と米ペーストの混合が完了し、米ペースト中で、発泡誘起材料と砂糖と塩が均一に分散している状態になる。
その後、制御手段29が第一の発酵工程を開始するように制御する。この第一の発酵工
程では、撹拌工程で作成した米ペーストをその状態で保持する。
発酵中の被調理材の温度は38〜42℃程度であることが望ましいが、本実施の形態では敢えて、制御手段29は、冷却手段30を停止させ、かつ、容器23の加熱手段26を作動させ、第一の発酵工程開始時に容器23の温度が35℃程度になるように制御する。
第一の発酵工程が開始して10分経過すると、制御手段29は断続的撹拌工程を開始するように制御する。断続的撹拌工程では、第一の発酵工程から得られた米ペーストを、撹拌工程で米ペーストを撹拌するより短い時間、断続的に数回、撹拌が行われる。撹拌は、1分間、その間に2〜3回行うのが望ましい。発酵中の米ペーストを断続的に撹拌する、いわゆる、パンチを行うことで、低アミロース米から作成された米ペーストの強度が増し、発酵工程中に生じるガスや焼成工程に膨張するガスの保持力があがる。
その後、断続的撹拌工程が開始して1分経過すると、制御手段29は第二の発酵工程を開始するように制御する。第二の発酵工程は、断続的撹拌工程から得られた米ペーストをその状態で保持する。
第二の発酵工程が開始して24分経過すると、第二の発酵工程が終了する。図8に示すように、このときの容器23の温度が39℃程度になっていると望ましい。このとき、第一の発酵工程が開始してから35分経過している。
制御手段29が、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いたときの撹拌工程で得る米ペーストの温度より低い所定の温度で、低アミロース米を用いたときの撹拌工程で米ペーストを得るように、加熱手段26を駆動制御するようにしたものである。
これによって、低アミロース米を用いた場合の発酵開始温度を低くして、発酵工程開始時に米ペースト内部に生じるガスの量を少なくすることができ、発酵工程中および焼成工程中に生地がより破れにくくなる。また、発酵開始温度を低くなることで、米ペースト内部に生じる気泡孔はさらに小さくなり、よりキメの細やかなパンを作ることが可能になる。
その後、制御手段29はさらに容器23の温度を上げるように加熱手段26を制御し、焼成工程を開始するように制御し、パンを作成する。焼成工程における容器23の温度は160〜180℃程度が望ましく、焼成時間は40分程度が望ましい。
次に、使用者が中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いて製パンするときの動作について説明する。
まず、はじめに使用者が電源コード35をコンセントに接続すると、電源コード35を通じて、制御手段29に電力が供給される。さらに、使用者が、被調理材として中アミロース米あるいは高アミロース米の生の米粒と水と発泡誘起材料と、を容器23に、発泡誘起材料を発泡誘起材料自動投入器33に、砂糖と塩と、を砂糖塩自動投入器34に投入する。撹拌工程を終えた米ペーストを発酵させるために、発泡誘起材料を発泡誘起材料自動投入器33に、砂糖と塩と、を砂糖塩自動投入器34に投入している。
その後、使用者が操作部28で中アミロース米あるいは高アミロース米コースボタン28bを押してから、スタートボタン36を押すと、制御手段29が駆動して、モータ20に電力を供給してモータ20が回転することにより、動力伝達手段41を介して回転軸40と練り羽根24が回転し、撹拌工程が開始する。
撹拌工程において図2に示すように、米粒を効率よくすり潰すためには粉砕部24bと容器23の隙間h1に米粒Rを誘い込み、米粒Rにせん断応力と圧縮応力を負荷する必要がある。
練り羽根24はモータ20によって回転動作しているため、次々に米粒Rが短径r1よりも大きい隙間h1から入って隣接する突起物38の間に蓄積され、米粒Rは短径r1よりも小さい隙間h2から追い出される際に粉砕部24bと突起物38とによって、せん断応力と圧縮応力が負荷され細かくすり潰され、撹拌工程の終了時には米ペーストが出来上がる。撹拌工程が開始して7時間経過した頃には、米ペーストの作成が完了する。
なお、撹拌工程が開始して1時間程度経過すると、容器23の底部37と米粒との間で発生する摩擦熱と、米粒と練り羽根24の間で発生する摩擦熱により、被調理材の温度が上昇してくる。米でんぷんの糊化温度は、米種によるが、50〜80度と言われており、少しでも糊化が起こると、1粒の米粒におけるかたさの偏りが生じ、米粒のすり潰し及び撹拌が不均一になる可能性があった。そこで、被調理材の温度を所定の温度範囲にするため、撹拌工程が開始して1時間程度経過したときに、制御手段29が冷却手段30を駆動するように制御する。本実施の形態の撹拌工程においては、糊化が完全に起こらないように、被調理材の温度が28〜33℃付近であることが望ましい。
そのため、制御手段29が、温度検知手段27で検知した温度が所定の温度範囲(28〜33℃程度)になるように、冷却手段30を駆動制御する。具体的には、冷却ファン30aを回し、吸い込み口30bから焼成室22の熱風を外に逃がして、被調理材の温度を冷却する。
撹拌工程が開始して7時間経過して、米ペーストの作成が完了した後には、制御手段29が、発泡誘起材料自動投入器33と砂糖塩自動投入器34を作動させ、発泡誘起材料と砂糖と塩と、を容器23に自動投入するように制御する。発泡誘起材料と砂糖と塩と、が容器23に自動投入された後、制御手段29が、モータ20に供給される電力を変化させ、練り羽根24の回転速度を変え、混ぜ工程が開始するように制御する。練り羽根24を回転させて発泡誘起材料と砂糖と塩と米ペーストを混合する。混ぜ工程が開始して40分経過した頃には、被調理材は発泡誘起材料と砂糖と塩と米ペーストの混合が完了し、米ペースト中で、発泡誘起材料と砂糖と塩が均一に分散している状態になる。
その後、制御手段29が発酵工程を開始するように制御する。発酵工程における被調理材の温度は38〜42℃程度であることが望ましいので、制御手段29は、冷却手段30を停止、かつ、容器23の加熱手段26を作動させ、発酵開始時に容器23の温度が38℃程度になるように制御する。
中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いた場合には、発酵工程が開始して35分経過すると、発酵工程が終了する。図8に示すように、このときの容器23の温度が42℃程度になっていると望ましい。
その後、制御手段29はさらに容器23の温度を上げるように加熱手段26を制御し、焼成工程を開始するように制御し、パンを作成する。焼成工程における容器23の温度は160〜180℃程度が望ましく、焼成時間は40分程度が望ましい。
以上のように、本実施の形態においては、本実施の形態特有の作用効果のみを記載すると、制御手段29が、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いたときの撹拌工程で得る米ペーストの温度より低い所定の温度で、低アミロース米を
用いたときの撹拌工程で米ペーストを得るように、加熱手段26を駆動制御することにより、低アミロース米を用いた場合の発酵開始温度を低くして、発酵工程開始時に米ペースト内部に生じるガスの量を少なくすることができ、発酵工程中および焼成工程中に生地がより破れにくくなる。また、発酵開始温度を低くなることで、米ペースト内部に生じる気泡孔はさらに小さくなり、よりキメの細やかなパンを作ることが可能になる。
なお、低アミロース米を用いたときの発酵開始温度は、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いたときの発酵工程開始温度より5℃程度低いのが望ましい。
また、本実施の形態では、使用者が生の米粒と水を使用しているが、低アミロース米、中アミロース米、高アミロース米のうちの少なくとも一方から炊飯したごはん、あるいは、低アミロース米、中アミロース米、高アミロース米のうちの少なくとも一方をすり潰して得た米粉を用いても構わない。だだし、材料や各工程の所要時間は異なる。
例えば、低アミロース米、中アミロース米、高アミロース米のうちの少なくとも一方から炊飯したごはんの場合、被調理材には、低アミロース米、中アミロース米、高アミロース米のうちの少なくとも一方から炊飯したごはん以外に、強力粉と発泡誘起剤と砂糖と塩と水が用いられる。中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方から炊飯したごはんを用いた場合、撹拌工程に40分、混ぜ工程に40分、発酵工程に2時間、焼成工程に40分かかり、およそ4時間で、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方から炊飯したごはんを含むごはんパンが作成できる。
ここで、低アミロース米、中アミロース米、高アミロース米のうちの少なくとも一方から炊飯したごはんの場合、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いたときの撹拌工程で得る米ペーストの温度より低い所定の温度で、低アミロース米を用いたときの撹拌工程で米ペーストを得るように、加熱手段26を駆動制御することにより、本実施の形態で説明した同等の作用効果が得られるものである。
さらに、低アミロース米から炊飯したごはんの場合、発酵工程中に、撹拌工程より作成した米ペーストをその状態で保持する第一の発酵工程と、第一の発酵工程から得られた米ペーストを、撹拌工程で米ペーストを撹拌するより短い時間、断続的に撹拌する断続撹拌工程と、断続撹拌工程から得られた米ペーストをその状態で保持する第二の発酵工程を有することにより、本実施の形態で説明した同等の作用効果が得られるものである。
また、低アミロース米、中アミロース米、高アミロース米のうちの少なくとも一方をすり潰して得た米粉の場合、被調理材には、低アミロース米、中アミロース米、高アミロース米のうちの少なくとも一方をすり潰して得た米粉以外に、水あめなどの増粘剤と発泡誘起剤と砂糖と塩と水が用いられる。中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方をすり潰して得た米粉を用いた場合、撹拌工程に40分、混ぜ工程に30分、発酵工程に40分、焼成工程に40分かかり、およそ2時間30分で、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方をすり潰して得た米粉を含む米粉パンが作成できる。
ここで、低アミロース米、中アミロース米、高アミロース米のうちの少なくとも一方をすり潰して得た米粉の場合、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いたときの撹拌工程で得る米ペーストの温度より低い所定の温度で、低アミロース米を用いたときの撹拌工程で米ペーストを得るように、加熱手段26を駆動制御することにより、本実施の形態で説明した同等の作用効果が得られるものである。
さらに、低アミロース米をすり潰して得た米粉の場合、発酵工程中に、撹拌工程より作成した米ペーストをその状態で保持する第一の発酵工程と、第一の発酵工程から得られた米ペーストを、撹拌工程で米ペーストを撹拌するより短い時間、断続的に撹拌する断続撹拌工程と、断続撹拌工程から得られた米ペーストをその状態で保持する第二の発酵工程を有することにより、本実施の形態で説明した同等の作用効果が得られるものである。
さらに、低アミロース米を用いたときの発酵工程中の加熱手段26を、中アミロース米あるいは高アミロース米のうちの少なくとも一方を用いたときの発酵工程中の加熱手段26より緩やかに駆動制御して、図9に示すように、第一の発酵工程開始時に容器23の温度が35℃程度で、かつ、第二の発酵工程終了時に容器23の温度が37℃程度にしてもよい。