JP6414156B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の制御装置に関するものである。
燃焼室内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁を備えた圧縮自着火式の内燃機関において、燃焼室で発生するスモークの量を低減する技術が種々提案されている。
例えば、特許文献1に記載の装置では、そうした圧縮自着火式の内燃機関であるディーゼルエンジンの吸排気系に可変容量型の過給機を備えるようにしている。こうした可変容量型の過給機には、タービンホイールに吹き付けられる直前の排気が通過する排気流路に可動ベーンが取り付けられている。この可動ベーンの開度を変更すると、タービンホイールに吹き付けられる排気の流速が変化して吸気の過給圧が変化するため、燃焼室内に流入する空気の量が変化する。
そこで、同文献1に記載の装置では、燃料噴射量とセンサで検出された吸入空気量とに基づいて燃焼室内の実空燃比を算出し、この算出された実空燃比が、スモークの発生しやすい空燃比となっているときには、可動ベーンの開度を調整して燃焼室内に流入する空気の量を増やすことにより、スモークの発生量を減少させている。
特開2002−115554号公報
ところで、上記文献1に記載の装置は、燃焼室全体における平均空燃比を算出している。しかし、燃焼室内では局所的な空燃比が平均空燃比よりも低くなることがある。例えば燃焼室内を流れる気流の勢いが弱いときなどには、燃焼室内で燃料が燃焼する燃焼場へと流入する空気の量が減少することにより、燃焼場の空燃比が平均空燃比よりも低くなることがある。この場合には、燃焼場の酸素量が少なくなるため、燃焼場においてスモークの発生量が多くなるおそれがある。
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃焼場の酸素不足に起因して発生するスモークの量を低減することのできる内燃機関の制御装置を提供することにある。
上記課題を解決する内燃機関の制御装置は、可動ベーンを有する可変容量型の過給機と、燃焼室内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁とを備える圧縮自着火式の内燃機関に適用される制御装置である。そして、この制御装置は、前記可動ベーンの開度を調整することにより吸気の過給圧を制御する過給圧制御部と、前記燃料噴射弁から噴射された燃料の燃焼場の空燃比である局所空燃比を算出する局所空燃比算出部と、前記局所空燃比が予め定められた要求空燃比よりもリッチな空燃比であるか否かを判定する空燃比判定部と、前記空燃比判定部によって前記局所空燃比が前記要求空燃比よりもリッチな空燃比であると判定されるときには前記過給圧を増大させる過給圧変更部と、を備えている。
同構成では、燃焼場の空燃比である局所空燃比を求めるようにしており、この局所空燃比が予め定められた要求空燃比よりもリッチな空燃比となっており、燃焼場においてスモークが多く発生する可能性があるときには、過給機によって過給される吸気の過給圧が増大される。このようにして過給圧が増大されると、燃焼室内に流入する空気の量が増えることによって燃焼場の酸素量も増大するため、燃焼場の酸素不足に起因して発生するスモークの量を低減することができる。なお、同構成の上記要求空燃比としては、燃焼場でのスモークの発生量を許容可能な量にまで抑えることのできる空燃比を設定することが好ましい。
また、上記制御装置において、前記過給圧制御部は、機関運転状態に基づいて設定される目標過給圧となるように前記過給圧を制御するとともに、前記過給圧変更部は、前記局所空燃比が前記要求空燃比となっているときの前記燃焼場の酸素量を要求酸素量としたときに、前記燃焼場の酸素量が前記要求酸素量となるように前記目標過給圧を変更することが好ましい。
同構成によれば、上記空燃比判定部によって局所空燃比が要求空燃比よりもリッチな空燃比であると判定される場合、つまり燃焼場の酸素量が上記要求酸素量に対して不足した状態になっている場合には、燃焼場の酸素量が要求酸素量となるように目標過給圧が変更される。このように不足している酸素量を補うために目標過給圧が変更されると、その変更後の目標過給圧は、酸素量が不足していると判定されたときの目標過給圧よりも高い値になるため、過給圧は増大するようになる。そしてこの過給圧の増大時には、燃焼場の酸素不足に応じた分だけ過給圧は増大されるため、燃焼場の酸素不足を適切に補うことができる。
燃料が燃焼する上記燃焼場の容積は、燃料噴射弁から噴射された燃料の噴霧到達距離や、噴射された燃料が燃焼を開始するときのピストン位置によって変化する。また、燃料が燃焼を開始するときのピストン位置は、燃料の噴射時期が関係している。そのため、燃焼場の容積は、燃料の噴霧到達距離及び燃料の噴射時期に基づいて求めることができる。また、そうして求められる燃焼場の容積内における空気の量である燃焼場空気量は、燃焼室内に入る空気の量が多いときほど多くなるため、燃焼室内に入る空気の量に基づいて求めることができる。そして、その求められた上記燃焼場空気量と燃焼場に噴射される燃料の量との比率を算出することにより、上記局所空燃比を算出することが可能である。
そこで、上記制御装置において、前記内燃機関の吸気通路には、燃焼室内に入る空気の量を検出する吸入空気量センサが設けられており、前記局所空燃比算出部は、前記燃焼場に噴射される燃料の噴霧到達距離及び燃料の噴射時期に基づいて前記燃焼場の容積を算出するとともに、前記容積内の空気量である燃焼場空気量を前記吸入空気量センサによって検出される前記空気の量に基づいて算出し、前記燃焼場に噴射される燃料の量に対する前記燃焼場空気量の比率を算出することにより前記局所空燃比を算出する、という構成を採用することにより、上記局所空燃比を求めることができる。
また、上記制御装置において、当該制御装置は、前記燃料噴射弁の燃料噴射パターンとして多段噴射を実行するとともに、前記局所空燃比算出部が算出する前記局所空燃比が、前記多段噴射のうちで最も噴射量の多いメイン噴射の実行時における前記燃焼場の空燃比であり、前記空燃比判定部によって前記局所空燃比が前記要求空燃比よりもリッチな空燃比であると判定されるときには、前記過給圧変更部による前記過給圧の増大が不可能な状態か否かを判定する増大判定部と、前記増大判定部によって前記過給圧の増大が不可能な状態であると判定されるときには、前記メイン噴射を単噴射から分割噴射に変更する分割噴射部と、を備えるようにしてもよい。
同構成によれば、スモークの発生量を抑えるための過給圧の増大が不可能なときには、メイン噴射の分割噴射が行われる。このようにしてメイン噴射の分割噴射が行われると、その分割噴射で最初に噴射された燃料が燃焼することにより燃焼室内の温度が高まる。そのため、分割噴射で次に噴射された燃料は、燃料噴射弁からの噴射後、速やかに燃焼するようになる。従って、分割噴射で最初に噴射された燃料と比較して、次に噴射された燃料は燃料噴射弁に近い位置で燃焼するようになり、最初に噴射された燃料の燃焼場と、次に噴射された燃料の燃焼場とは異なるようになる。そのため、分割噴射された燃料は、それぞれ十分な酸素量が確保されている領域で燃焼するようになり、これにより燃焼場の酸素不足に起因して発生するスモークの量を低減することができる。
内燃機関の制御装置の一実施形態について、これが適用される内燃機関及びその周辺構成を示す概略図。 同実施形態の内燃機関に設けられたピストンの頂面の形状を示す断面図。 同実施形態の内燃機関において、燃料噴射が行われたときの燃料噴霧の状態を示すキャビティの平面図。 1つの噴射孔から噴射された燃料の噴霧状態を示す模式図。 同実施形態の内燃機関において、燃料噴射が行われたときの燃料噴霧の状態を示す燃焼室の部分断面図。 同実施形態の内燃機関において、燃料噴射が行われたときの燃料噴霧の状態を示す燃焼室の部分断面図。 同実施形態の内燃機関において、燃料噴射が行われたときの燃料噴霧の状態を示す燃焼室の部分断面図。 同実施形態の内燃機関において、燃料噴射が行われたときの燃料噴霧の状態を示す燃焼室の部分断面図。 同実施形態において過給圧制御を行うための処理手順を示すフローチャート。 同実施形態においてスモークの発生量を低減するために実行される一連の処理手順を示すフローチャート。 局所空燃比とスモーク発生量との関係を示すグラフ。 同実施形態において局所空燃比を算出するための処理手順を示すフローチャート。 同実施形態において過給圧を増大させるための処理手順を示すフローチャート。 同実施形態においてメイン噴射を分割して実施するための処理手順を示すフローチャート。 同実施形態における第2メイン噴射量及び第3メイン噴射量の設定態様を示すグラフ。
以下、内燃機関の制御装置を具体化した一実施形態について、図1〜図15を参照して説明する。
図1に、本実施形態の制御装置が適用された圧縮自着火式の内燃機関であるディーゼルエンジン(以下、単に「エンジン」という)及び同エンジンの周辺構成を示す。
エンジン1には複数の気筒70が設けられている。シリンダヘッド2には、各気筒70毎に設けられた燃料噴射弁4が取り付けられている。燃料噴射弁4には、燃料を噴射する噴射孔が複数設けられており、各噴射孔から気筒70内の燃焼室71に向けて燃料が噴射される。また、シリンダヘッド2には、新気を燃焼室71に導入するための吸気ポートや、燃焼ガスを燃焼室71から排出するための排気ポート6が設けられている。
各燃料噴射弁4は、高圧燃料を蓄圧するコモンレール9に接続されている。コモンレール9はサプライポンプ10に接続されている。サプライポンプ10は燃料タンク内の燃料を吸入するとともにコモンレール9に高圧燃料を供給する。コモンレール9に供給された高圧燃料は、各燃料噴射弁4から燃焼室71内に噴射される。
吸気ポートにはインテークマニホールド7が接続されている。インテークマニホールド7は吸気通路3に接続されている。吸気通路3内には吸入空気量を調整するための吸気絞り弁16が設けられている。吸気絞り弁16の回動軸には、吸気絞り弁16の開度を調整するためのアクチュエータ17が接続されている。
排気ポート6にはエキゾーストマニホールド8が接続されている。エキゾーストマニホールド8は排気通路26に接続されている。
排気通路26の途中には、排気を利用して燃焼室71内に導入される吸入空気を過給する可変容量型の過給機(以下、ターボチャージャという)11が設けられている。ターボチャージャ11は、排気が吹き付けられることによって回転するタービンホイールが収められたタービンハウジング11Aと、吸入空気を過給するコンプレッサタービンが収められたコンプレッサハウジング11Bとを備えている。タービンハウジング11Aには、タービンホイールに排気を導くための排気流路が形成されており、その排気流路の途中には、同排気流路の流路断面積を変更するための可動式ベーンであるノズルベーン11vが設けられている。ノズルベーン11vには、同ノズルベーン11vの開度を調整するためのアクチュエータが接続されている。このノズルベーン11vの開度を調整することで同ノズルベーン11vが設けられた排気流路の流路断面積が狭くなるほど、タービンホイールに吹き付けられる排気の流速は速くなるため、過給圧は増大するようになる。
ターボチャージャ11のコンプレッサハウジング11Bと吸気絞り弁16との間の吸気通路3には、インタークーラ18が設けられている。このインタークーラ18によって、ターボチャージャ11の過給により温度上昇した吸入空気の冷却が図られる。
タービンハウジング11Aよりも下流の排気通路26には、排気を浄化する浄化部材30が設けられている。この浄化部材30の内部には、排気の流れ方向に対して直列に酸化触媒31及びフィルタ32が配設されている。
酸化触媒31には、排気中のHC(炭化水素)を酸化処理する触媒が担持されている。また、フィルタ32は、排気中のPM(粒子状物質)を捕集する部材であって多孔質のセラミックで構成されており、さらにはPMの酸化を促進させるための触媒が担持されている。排気中のPMは、フィルタ32の多孔質の壁を通過する際に捕集される。
また、タービンハウジング11Aと浄化部材30との間の排気通路26には、添加剤としての燃料を酸化触媒31やフィルタ32に供給するための燃料添加弁5が設けられている。この燃料添加弁5は、燃料供給管27を介して上記サプライポンプ10に接続されている。なお、燃料添加弁5の配設位置は、排気系にあって浄化部材30よりも上流側であれば適宜変更することが可能である。
上記フィルタ32に捕集されたPMの量が所定値を超えると、フィルタ32の再生を図るために、燃料添加弁5から燃料が噴射される。燃料添加弁5から噴射された燃料は、酸化触媒31に達すると酸化され、これにより排気温度の上昇が図られる。そして、酸化触媒31にて昇温された排気がフィルタ32に流入することによってフィルタ32は昇温され、これによりフィルタ32に堆積したPMが酸化して減少することによりフィルタ32が再生される。
この他、エンジン1には排気再循環装置(以下、EGR装置という)が設けられている。このEGR装置は、排気の一部を吸気通路3に戻してエンジン1の燃焼室71内における混合気の燃焼温度を低下させることにより、燃焼室71で発生するNOxの量を低減させる装置である。このEGR装置は、吸気通路3とエキゾーストマニホールド8とを連通するEGR通路13、EGR通路13に設けられたEGR弁15、及びEGR通路13の途中に設けられたEGRクーラ14等により構成されている。機関運転状態に応じてEGR弁15の開度が調整されることにより、排気通路26から吸気通路3に戻される排気の量であるEGR量が調整される。また、EGRクーラ14によってEGR通路13内を流れる排気が冷却される。
エンジン1には、機関運転状態を検出するための各種センサが取り付けられている。例えば、吸入空気量センサであるエアフロメータ19は、エンジン1に吸入される空気の質量流量(g/s)である吸入空気量GAを検出する。絞り弁開度センサ20は吸気絞り弁16の開度TAを検出する。クランク角センサ21は、エンジン1が備えるクランクシャフトのクランク角を検出し、同クランク角センサ21の検出信号から機関回転速度NEが算出される。アクセルセンサ22はアクセルペダルの踏み込み量であるアクセル操作量ACCPを検出する。外気温センサ23は、外気温THoutを検出する。燃圧センサ24は、コモンレール9内の燃圧PFを検出する。
また、浄化部材30に設けられた差圧センサ110は、フィルタ32の上流側の排気圧と下流側の排気圧との圧力差ΔPEを検出する。この圧力差ΔPEは、フィルタ32に捕集されたPMの量を推定する際に利用される。浄化部材30よりも下流の排気通路26に設けられた排気温度センサ120は、フィルタ32を通過した後の排気の温度を検出する。インタークーラ18と吸気絞り弁16との間の吸気通路3には、インタークーラ18を通過した後の空気の温度である出口空気温度THAEを検出する空気温度センサ130が設けられている。吸気絞り弁16よりも下流の吸気通路3には、ターボチャージャ11によって過給された空気の過給圧PIMを検出する過給圧センサ140が設けられている。EGR通路13には、EGRクーラ14を通過した後のEGRガスの温度である出口EGR温度THEGRを検出するEGR温度センサ150が設けられている。
これら各種センサの検出信号は制御装置80に入力される。この制御装置80は、中央処理制御装置(CPU)、各種プログラムやマップ等を予め記憶した読出専用メモリ(ROM)、CPUの演算結果等を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)、タイマカウンタ、入力インターフェース、出力インターフェース等を備えたマイクロコンピュータを中心に構成されている。
そして、制御装置80により、例えば燃料噴射弁4や燃料添加弁5の燃料噴射制御、サプライポンプ10の吐出圧力制御、吸気絞り弁16を開閉するアクチュエータ17の駆動量制御、EGR弁15の開度制御、ノズルベーン11vの開度制御等、エンジン1の各種制御が行われる。
例えば制御装置80は、機関回転速度NEや機関負荷などに基づいてコモンレール9内の燃料の目標圧力を算出し、実際の燃圧PFが目標圧力となるようにサプライポンプ10の吐出圧力を制御する。
また、制御装置80は、燃料噴射弁4の燃料噴射パターンとして、パイロット噴射、プレ噴射、メイン噴射、アフタ噴射、及びポスト噴射といった周知の多段噴射を実行する。これら各噴射のうちのメイン噴射は、例えば以下のようにして実施される。まず、制御装置80は、燃料噴射弁4の燃料噴射量Qを機関回転速度NEや機関負荷などに基づいて算出する。次に、制御装置80は、算出された燃料噴射量Qのうちの予め定められた割合分(例えば90%程度など)をメイン噴射量QMとして設定する。次に、制御装置80は、燃料噴射弁4からメイン噴射量QMに相当する分の燃料を噴射するために必要なメイン噴射時間TAUmをメイン噴射量QM及び燃圧PFに基づいて設定するとともに、メイン噴射を開始するメイン噴射時期Tmを機関回転速度NE等に基づいて設定する。そして、制御装置80は、メイン噴射時期Tmが到来すると燃料噴射弁4を開弁させてメイン噴射を開始し、メイン噴射時期Tmからメイン噴射時間TAUmが経過した時点で燃料噴射弁4を閉弁させることにより、メイン噴射を完了する。
また、制御装置80は、機関回転速度NEや機関負荷などに基づいて目標EGR率を算出する。なお、EGR率とは、「気筒70内に流入するEGR量/(気筒70内に流入する新気量+気筒70内に流入するEGR量)」で求められる値である。そして、制御装置80は、実際のEGR率が目標EGR率となるようにEGR弁15の開度を制御する。
ところで、燃焼室71内を流れる気流の勢いが弱くなる、あるいは燃焼室71内に流れ込む吸入空気量そのものが少なくなるなどの理由により、燃焼室71内において燃料の燃焼場に存在する酸素の量が燃料の量に対して不足した状態になると、燃焼場から多くのスモークが発生するおそれがある。
そこで、制御装置80は、以下に説明する簡易な態様にて、そうした燃焼場の容積を算出するとともに、同容積内に存在する空気量を求めることにより、燃焼場の空燃比(燃料に対する空気の質量比)である局所空燃比AFLを算出する。そして、算出された局所空燃比AFLに基づき、燃焼場の酸素が不足していると判断できる場合には、ターボチャージャ11によって過給される吸気の過給圧PIMを増大させて、燃焼室71内に流入する空気の量を増やすことにより燃焼場の酸素量を増やし、これによりスモークの発生量を低減するようにしている。また、過給圧の増大が不可能なときには、メイン噴射量QMを複数回に分割して噴射する、つまりメイン噴射の分割噴射を実行することによりスモークの発生量を低減するようにしている。
なお、本実施形態では、燃料噴射弁4の燃料噴射パターンとして上述した多段噴射を行うようにしており、そうした多段噴射のうちで最も燃料噴射量の多いメイン噴射時にスモークが発生しやすい。そこで、メイン噴射時における上記局所空燃比AFLを算出するようにしている。
こうしたスモークの発生量を低減するために一連の処理を実行する制御装置80は、ソフトウェア及びハードウェアのうちの少なくとも一方で構成されている機能部として、過給圧制御部80A、局所空燃比算出部80B、空燃比判定部80C、過給圧変更部80D、増大判定部80E、及び分割噴射部80Fを有している。
過給圧制御部80Aは、機関運転状態に基づいて目標過給圧PIMPを設定する。そして、過給圧制御部80Aは、過給圧PIMが目標過給圧PIMPとなるようにノズルベーン11vの開度を調整することによりターボチャージャ11の過給圧制御を行う。
局所空燃比算出部80Bは、上記局所空燃比AFLを算出する。
空燃比判定部80Cは、算出された局所空燃比AFLが予め定められた要求空燃比AFDよりもリッチな空燃比であるか否かを判定する。
過給圧変更部80Dは、空燃比判定部80Cによって局所空燃比AFLが要求空燃比AFDよりもリッチな空燃比であると判定されるときには、ターボチャージャ11によって過給される吸気の過給圧PIMを増大させる。
増大判定部80Eは、空燃比判定部80Cによって局所空燃比AFLが要求空燃比AFDよりもリッチな空燃比であると判定されるときに、過給圧変更部80Dによる過給圧PIMの増大が不可能な状態か否かを判定する。
分割噴射部80Fは、増大判定部80Eによって過給圧PIMの増大が不可能な状態であると判定されるときに、燃料のメイン噴射を単噴射から分割噴射に変更する。ちなみに、メイン噴射の単噴射とは、1回のメイン噴射でメイン噴射量QMの全量を噴射する噴射態様のことである。
以下、局所空燃比AFLの算出や、スモークの発生量を低減するための一連の処理について説明する。
まずはじめに、燃料が噴射されるキャビティを備えたピストン90について説明する。
図2に、気筒70内に配設されたピストン90の頂面形状を示す。なお、以下では、ピストン90の中心軸Cの延伸方向をピストン90の上下方向という。また、ピストン90の中心軸Cに直交する方向をピストン90の水平方向という。
ピストン90の頂面中央には、キャビティ91が凹設されている。このキャビティ91内には、同キャビティ91の中央上方に配設された燃料噴射弁4から燃料が噴射される。
キャビティ91は、同キャビティ91の開口縁91Gから下方に向かって延びる側壁面91Dと、キャビティ91の底面を形成する底壁面91Aと、キャビティ91の底面中央から隆起した円錐状の突起91Bとで構成されている。突起91Bにおいて底壁面91Aに繋がる周縁部分は、底壁面91A側に向かって屈曲しており、この屈曲した箇所は、底壁面91Aから突起91Bに向かって進んできた燃料をキャビティ91の上方に巻き上げるための巻き上げ部91Cとなっている。
開口縁91Gの外側には、同開口縁91Gの全周を取り囲む環状の傾斜面91Eが形成されている。この傾斜面91Eは、開口縁91Gからピストン90の上方に向かって傾斜している。傾斜面91Eの外側には、ピストン90の水平方向に広がる環状のスキッシュ面91Fが形成されている。
キャビティ91と、シリンダヘッド2の底面と、各気筒毎に形成されている円筒状のシリンダボア73とで囲まれた空間によって、燃料が燃焼する上記燃焼室71が形成される。
図3に示すように、キャビティ91内には、燃料噴射弁4を中心にして放射状に燃料FLが噴射される。噴射された燃料FLは噴霧状になって広がっていき、噴霧の先端部分近傍で燃焼することにより、キャビティ91内には、酸素を取り込みながら燃料が燃焼する燃焼場NPが形成される。本実施形態では、そうした燃焼場NPの容積を簡易な態様で求めるために、同燃焼場NPの形状を、ピストン90の中心軸Cと同軸な円筒形状であると仮定しており、以下では、燃焼場NPの外径を「外径R1」、内径を「内径R2」と称する。
図4に、燃料噴射弁4が有する複数の噴射孔のうちの1つから噴射された燃料噴霧の状態を示す。
燃料噴射弁4の噴射孔から噴射された燃料FLは、その周りに空気を巻き込む巻き込み領域AMを形成しながら噴霧状となって燃焼室71内を進んでいく。こうした燃料の噴霧到達距離Lspは、空気密度ρa、燃料密度ρf、燃料噴射時の筒内圧と燃料の噴射圧との差圧ΔP、噴射孔径d、及び燃料の噴射時間tに基づき、周知の式(例えば広保の式や、和栗らによる噴霧の運動量理論式など)である次式(1)及び次式(2)に基づいて算出可能である。
なお、上記分裂時間tcは、燃料噴射弁4から噴射された燃料が粒状から噴霧状に変化するまでの時間であり、実験等を通じて予め求められている。
燃料の噴射時間tが分裂時間tc未満であるときには、上記式(1)に基づいて噴霧到達距離Lspを算出することができる。また、燃料の噴射時間tが分裂時間tc以上であるときには、上記式(2)に基づいて噴霧到達距離Lspを算出することができる。
ここで、上記式(1)及び式(2)から分かるように、燃料の噴射時間tが長いほど、あるいはコモンレール9内の燃圧PFが高く、上記差圧ΔPが大きいときほど、噴霧到達距離Lspは長くなる。そこで、本実施形態では、燃圧PFと、メイン噴射時間TAUmに相関するメイン噴射量QMと、噴霧到達距離Lspとの対応関係が予めの実験等を通じて求められている。そしてそれらの対応関係が噴霧到達距離マップとして制御装置80の記憶装置に記憶されており、その噴霧到達距離マップを参照することにより、燃圧PF及びメイン噴射量QMに応じた噴霧到達距離Lspを求めるようにしている。
ちなみに、そうした噴霧到達距離マップを用意しておく代わりに、上記式(1)や上記式(2)を使って噴霧到達距離Lspを算出することも可能である。
他方、噴射孔から噴射された燃料FLは、燃料噴霧の先端部分に集まり、その先端部分周辺の酸素とともに燃焼するのであるが、同先端部分に集まる燃料FLの全体形状は略球体形状であり、その半径FLrは、本発明者の経験則から、次式(3)にて近似値を求めることができる。

FLr=Lsp・tan(θm/2) …(3)
Lsp:噴霧到達距離
θm:噴霧角

上記式(3)における噴霧角θmは、燃料噴霧の中心線HCを基準として、空気の巻き込み領域AMを含む燃料噴霧の広がりを示す角度である。
また、燃料噴霧の先端部分に集まる燃料FLの直径を、以下、燃料長さLYという。この燃料長さLYは上記半径FLrの2倍であるため、次式(4)で表すことができる。

LY=2・Lsp・tan(θm/2) …(4)

また、図5に示すように、以下では、ピストン90の水平方向における距離であって、ピストン90の中心軸Cから上記側壁面91Dまでの距離を壁面距離L1という。また、側壁面91Dの高さ、つまりピストン90の上下方向における底壁面91Aから開口縁91Gまでの長さを壁面高さL2という。また、ピストン90の水平方向における距離であって、ピストン90の中心軸Cから突起91Bにおいて巻き上げ部91Cが屈曲している部分までの距離を巻き上げ部距離L3という。また、ピストン90の水平方向における距離であって、ピストン90の中心軸Cから燃料噴射弁4の噴射孔までの距離を噴射孔距離L4という。また、ピストン90の水平方向に対する燃料噴霧の中心線HCの傾斜角を、燃料の噴射角θsという。また、ピストン90の水平方向における距離であって、燃料噴射弁4から噴射された燃料FLの最先端部とピストン90の中心軸Cとの間の距離、つまりピストン90の水平方向における燃料FLの飛距離を燃料飛距離Ltopという。この燃料飛距離Ltopは次式(5)で表すことができる。

Ltop=Lsp・cosθs+L4 …(5)
Lsp:噴霧到達距離
θs:燃料の噴射角
L4:噴射孔距離

次に、図6〜図8を参照して、燃焼場NPの容積である燃焼場容積NPvの求め方について説明する。
図6は、燃料噴射弁4から噴射された燃料FLの噴霧到達距離Lspが短く、燃料FLがキャビティ91の側壁面91Dにまで届かない場合の燃焼場NPを示す。
この図6に示す状態のときの燃焼場NPの外径R1は、次式(6)に示すように、燃料飛距離Ltopと等しくなる。

R1=Ltop …(6)

そして、燃焼場NPの内径R2は、次式(7)に示すように、燃料飛距離Ltopから上記燃料長さLYを減じた値で表すことができる。

R2=Ltop−LY …(7)

図7は、先の図6に示す状態よりも噴霧到達距離Lspが長いときの燃料FLの飛散状態を示しており、燃料FLがキャビティ91の側壁面91Dに当たるものの底壁面91Aにまでは広がらない場合の燃焼場NPを示す。
この図7に示す状態のときには、燃料FLの大部分が側壁面91Dの表面で広がり、燃料FLの一部は傾斜面91Eに沿ってピストン90の外周方向に広がる。この場合には、傾斜面91Eに沿って広がる燃料FLの最先端部が外径R1となり、このときの燃焼場NPの外径R1は、上記式(6)と同様に燃料飛距離Ltopと等しくなる。また、この場合の燃焼場NPの内径R2は、次式(8)に示すように、上記壁面距離L1から上記燃料長さLYを減じた値と等しくなる。

R2=L1−LY …(8)

図8は、先の図7に示す状態よりも噴霧到達距離Lspが長いときの燃料FLの飛散状態を示しており、キャビティ91の側壁面91Dに当たった燃料FLが底壁面91Aにまで広がる場合の燃焼場NPを示す。
この図8に示す状態のときには、燃料FLの大部分が側壁面91Dから底壁面91Aにかけて広がり、一部は傾斜面91Eに沿ってピストン90の外周方向に広がる。この場合には、傾斜面91Eに沿って広がる燃料FLの最先端部が外径R1となり、このときの燃焼場NPの外径R1は、上記式(6)と同様に燃料飛距離Ltopと等しくなる。また、この場合の燃焼場NPの内径R2は、底壁面91Aで広がった燃料FLの最先端部から側壁面91Dまでの距離を距離Tとすると、上記壁面距離L1から距離Tを減じた値と等しくなる。ここで、距離Tは、燃料飛距離Ltopから上記壁面距離L1と上記壁面高さL2とを減じた値になるため、図8に示す状態のときの内径R2は、次式(9)にて求められる。

R2=L1−(Ltop−L1−L2) …(9)

なお、底壁面91Aを広がった燃料FLが上記巻き上げ部91Cに達すると、巻き上げ部91Cに達した燃料FLは上方に巻き上げられる。そのため、底壁面91Aを広がる燃料FLは、巻き上げ部91Cを超えてピストン90の中心側に広がることはない。従って、図8に示す状態のときには、上記巻き上げ部距離L3が内径R2の最小値になる。
先の図6〜図8に示したように、燃焼場NPの広がり方は、燃料噴射弁4から噴射された燃料の噴霧到達距離Lspに応じて変化する。また、先の図6〜図8に示した燃焼場NPの上下方向の高さを燃焼場高さHとした場合に、この燃焼場高さHは、キャビティ91の底面に対向するシリンダヘッド2の底面とキャビティ91の底面との間の距離であり、メイン噴射によって噴射された燃料が燃焼室71で燃焼し始めるときのピストン90の位置によって決まる。
先の図6〜図8に示した、ピストン90の中心軸Cに沿った燃焼場NPの断面形状の面積は、外径R1、内径R2、燃焼場高さH、及びピストン90の形状に基づいて算出することが可能である。そして、ピストン90の中心軸Cを中心にして上記燃焼場NPの断面形状を回転させることにより得られる回転体の体積を算出することにより、燃焼場容積NPvは求めることができる。
ここで、上記式(6)〜上記式(9)に示されるように、燃焼場NPの外径R1及び内径R2は、噴霧到達距離Lspの関数になっている。また、燃焼場高さHは、メイン噴射時期Tmに相関する値である。
つまり、燃料が燃焼する燃焼場NPの容積は、燃料噴射弁4から噴射された燃料の噴霧到達距離Lspや、噴射された燃料が燃焼を開始するときのピストン90の位置によって変化する。また、燃料が燃焼を開始するときのピストン90の位置は、メイン噴射時期Tmが関係している。そのため、燃焼場容積NPvは、噴霧到達距離Lsp及びメイン噴射時期Tmに基づいて求めることができる。
そこで、本実施形態では、噴霧到達距離Lspとメイン噴射時期Tmと燃焼場容積NPvとの対応関係が予めの実験等を通じて求められている。そしてそれらの対応関係が燃焼場容積マップとして制御装置80の記憶装置に記憶されている。
なお、そうした燃焼場容積マップを用意しておく代わりに、上述した回転体の体積を機関運転中に算出することによって燃焼場容積NPvを求めてもよい。
(過給圧制御)
次に、制御装置80の過給圧制御部80Aが実行する過給圧制御の処理手順について、図9を参照しつつ説明する。なお、図9に示す処理は、所定周期毎に繰り返し実行される。
本処理が開始されると、過給圧制御部80Aは、燃料噴射量Q等に代表される機関負荷及び機関回転速度NEに基づいて過給圧PIMの目標値である目標過給圧PIMPを算出する(S10)。
次に、過給圧制御部80Aは、ノズルベーン11vの開度指令値の基本値である基本開度指令値VNbを機関負荷及び機関回転速度NEに基づいて算出する(S20)。
なお、本実施形態では、ノズルベーン11vの開度指令値が「0%」のときにはノズルベーン11vは全開状態となっており、開度指令値が「100%」のときにはノズルベーン11vは全閉状態となっている。従って、ノズルベーン11vの開度指令値が大きくなるほど、ノズルベーン11vの開度は小さくなって同ノズルベーン11vが設けられた排気流路の流路断面積は狭くなり、過給圧は増大する。
次に、過給圧制御部80Aは、目標過給圧PIMPと過給圧PIMとの偏差に基づいてフィードバック補正項KVNを算出する(S30)。このフィードバック補正項KVNは、PID制御における周知の補正項であり、上記偏差に基づいて各別に算出した比例項、積分項、及び微分項を加算した値である。なお、過給圧PIMが目標過給圧PIMPよりも低いときには、フィードバック補正項KVNは正の値であって且つ上記偏差が大きいときほど同フィードバック補正項KVNの絶対値は大きくなるように、当該フィードバック補正項KVNは算出される。これにより過給圧PIMが目標過給圧PIMPに満たないときには、ノズルベーン11vの開度が小さくなるように補正されて過給圧PIMは増大される。また、過給圧PIMが目標過給圧PIMPよりも高いときには、フィードバック補正項KVNは負の値であって且つ上記偏差が大きいときほど同フィードバック補正項KVNの絶対値は大きくなるように、当該フィードバック補正項KVNは算出される。これにより過給圧PIMが目標過給圧PIMPを超えているときには、ノズルベーン11vの開度が大きくなるように補正されて過給圧PIMは低下する。
次に、過給圧制御部80Aは、ノズルベーン11vの開度指令値VNpを算出する(S40)。このステップS40において、過給圧制御部80Aは、上記基本開度指令値VNbに上記フィードバック補正項KVNを加算した値を算出し、その算出された値をノズルベーン11vの開度指令値VNpとして設定する。そして、過給圧制御部80Aは、開度指令値VNpに基づいてノズルベーン11vの開度を調整して(S50)、本処理を一旦終了する。
こうした過給圧制御が行われることにより、過給圧PIMが目標過給圧PIMPとなるようにノズルベーン11vの開度はフィードバック制御される。
(スモークの発生量を低減するための処理手順)
次に、燃焼場におけるスモークの発生量を低減するために実行される一連の処理手順について図10を参照しつつ説明する。なお、本処理は、制御装置80によって所定周期毎に繰り返し実行される。
本処理が開始されると、まず、制御装置80の局所空燃比算出部80Bは、局所空燃比AFLの算出処理を実行する(S100)。このステップS100における処理の詳細は後述する。そして、制御装置80の空燃比判定部80Cは、算出された局所空燃比AFLが予め定められた要求空燃比AFDよりもリッチであるか否か、つまり算出された局所空燃比AFLが要求空燃比AFDよりも小さい値であるか否かを判定する(S200)。この要求空燃比AFDは次のような値である。
図11に示すように、局所空燃比AFLの値が大きいほど、つまり燃焼場NPに供給される燃料の量に対して燃焼場NP内に存在する空気の質量が多いほど、燃焼場NPで発生するスモークの量は少なくなる。そこで、燃焼場NPのスモーク発生量について許容できる最大値をスモークの目標発生量とし、その目標発生量に対応する局所空燃比AFLを要求空燃比AFDとして設定している。こうして設定される要求空燃比AFDは、燃焼場NPでのスモークの発生量を許容可能な量にまで抑えることのできる空燃比である。
ステップS200にて、局所空燃比AFLが要求空燃比AFDよりもリッチではないと判定されるときには(S200:NO)、制御装置80は、本処理を一旦終了する。
一方、ステップS200にて、局所空燃比AFLが要求空燃比AFDよりもリッチであると判定されるときには(S200:YES)、制御装置80の増大判定部80Eは、過給圧PIMの増大が不可能な状態であるか否かを判定する(S300)。このステップS300において増大判定部80Eは、ノズルベーン11vの開度指令値VNpが同ノズルベーン11vの全閉状態に相当する値となっている場合に、過給圧PIMの増大が不可能な状態であると判定する。
ステップS300において、過給圧PIMの増大が不可能な状態ではないと判定されるときには(S300:NO)、制御装置80の過給圧変更部80Dは、過給圧PIMの増大処理を実行する(S400)。このステップS400における処理の詳細は後述する。そして、制御装置80は、本処理を一旦終了する。
一方、ステップS300にて、過給圧PIMの増大が不可能な状態であると判定されるときには(S300:YES)、制御装置80の分割噴射部80Fは、メイン噴射量QMを複数回に分割して噴射する、メイン噴射の分割噴射を実行する(S500)。このステップS500では、メイン噴射が単噴射から分割噴射に変更される。本実施形態におけるメイン噴射の分割噴射は、メイン噴射量QMの量に応じてメイン噴射を2回または3回に分割して実施される。このステップS500における処理の詳細は後述する。そして、制御装置80は、本処理を一旦終了する。
(局所空燃比の算出処理)
次に、上記ステップS100における局所空燃比AFLの算出処理について、図12を参照しつつ説明する。
図12に示すように、本処理が開始されると、制御装置80の局所空燃比算出部80Bは、現在の燃圧PF及びメイン噴射量QMに基づき、上記噴霧到達距離マップを参照して噴霧到達距離Lspを求める(S110)。
次に、局所空燃比算出部80Bは、噴霧到達距離Lsp及びメイン噴射時期Tmに基づき、上記燃料場容積マップを参照して燃焼場容積NPvを求める(S120)。
次に、局所空燃比算出部80Bは、メイン噴射時期Tmに基づいて燃焼室容積NSvを求める(S130)。この燃焼室容積NSvは、メイン噴射された燃料が燃焼を開始するときの燃焼室71の容積であって、メイン噴射時期Tmと燃焼室容積NSvとの対応関係が予めの実験等を通じて求められている。そしてそれらの対応関係が燃焼室容積マップとして制御装置80の記憶装置に記憶されており、ステップS130では、この燃焼室容積マップを参照して燃焼室容積NSvが求められる。
次に、局所空燃比算出部80Bは、吸入空気量GA及び機関回転速度NEに基づき、ピストン90の1ストロークで1つの気筒に吸入された空気の量である筒内空気量TKを算出する(S140)。
次に、局所空燃比算出部80Bは、燃焼室容積NSv及び筒内空気量TKに基づいて燃焼室71内の空気密度KMを算出する(S150)。ここでは、筒内空気量TK(質量)を燃焼室容積NSvで除することにより、燃焼室71内の空気密度KMが算出される。
次に、局所空燃比算出部80Bは、燃焼室71内の空気密度KMを酸素密度SMに換算する(S160)。空気中における窒素と酸素の質量割合は、概ね窒素75.524%、酸素23.139%となっている。従って、空気中における酸素の質量比は、約「0.23」になる。そこで、ステップS160では、燃焼室71内の空気密度KMに「0.23」を乗じることにより燃焼室71内の酸素密度SMが算出される。
次に、局所空燃比算出部80Bは、燃焼場NPに存在する酸素量(質量)である燃焼場酸素量NPSを算出する(S170)。ここでは、燃焼室71内の酸素密度SMに燃焼場容積NPvを乗じることにより、燃焼場酸素量NPSが算出される。
次に、局所空燃比算出部80Bは、燃焼場酸素量NPSを燃焼場NPの空気量(質量)である燃焼場空気量NPKに換算する(S180)。上述したように、空気中における酸素の質量割合は、概ね23.139%となっている。従って、「100%」を「23.139%」で除した値は約「4.32」となり、ここでは、燃焼場酸素量NPSに「4.32」を乗じることにより燃焼場空気量NPKが算出される。
次に、局所空燃比算出部80Bは、燃焼場空気量NPK(質量)をメイン噴射量QM(質量)で除することにより、燃焼場NPの空燃比を、つまり上記局所空燃比AFLを算出して(S190)、本処理を終了する。
(過給圧の増大処理)
次に、上記ステップS400における過給圧PIMの増大処理について、図13を参照しつつ説明する。
図13に示すように、本処理が開始されると、制御装置80の過給圧変更部80Dは、燃焼場NPの要求酸素量NPDSを算出する(S410)。燃焼場NPの要求酸素量NPDSは、燃焼場NPにおけるスモークの発生量を上述した目標発生量にまで低減するために必要な酸素の量(質量)であり、局所空燃比AFLが上記要求空燃比AFDとなっているときの燃焼場NPの酸素量に相当する。この燃焼場NPの要求酸素量NPDSは、上記の要求空燃比AFDに対して、メイン噴射量QMと、空気中における酸素の質量比である「0.23」とを乗じることによって算出される。
次に、過給圧変更部80Dは、燃焼場NPの要求酸素密度NPDSMを算出する(S420)。ここでは、燃焼場NPの要求酸素量NPDSを、先の図12に示した上記ステップS120において読み込んだ燃焼場容積NPvにて除することにより、燃焼場NPの要求酸素密度NPDSMが算出される。
次に、過給圧変更部80Dは、燃焼室71の要求酸素量NSDSを算出する(S430)。燃焼室71の要求酸素量NSDSは、燃焼室71内における酸素量の分布が均一であるとしたときに、燃焼場NPの酸素量が上記要求酸素量NPDSとなるために必要とされる燃焼室71内の酸素量である。このステップS430では、燃焼場NPの要求酸素密度NPDSMに対して、先の図12に示したステップS130において読み込んだ燃焼室容積NSvを乗することにより、燃焼室71の要求酸素量NSDSが算出される。
次に、過給圧変更部80Dは、燃焼室71の要求空気量NSDKを算出する(S440)。ここでは、燃焼室71の要求酸素量NSDSに「4.32」を乗じることにより燃焼室71の要求空気量NSDKが算出される。
次に、過給圧変更部80Dは、燃焼室71の要求空気量NSDK等に基づき、次式(10)を使って要求過給圧PIMDを算出する(S450)。

PIMD={Gcy・R・Tb・((2・60)/(ηVb・ED・NE))}−Patm …(10)

Gcy:筒内気体量(Gcy=要求空気量NSDK+EGR量EA)
R:気体定数(固定値)
Tb:吸気温
ηVb:体積効率(エンジン1において固有の値)
ED:エンジン1の排気量
NE:機関回転速度
Patm:大気圧(制御装置80に設けられた大気圧センサにて検出)

上記の筒内気体量Gcyは、ピストン90の1ストロークで1つの気筒内に吸入される気体の量であり、燃焼室71の要求空気量NSDKにEGR量EAを加算した値である。
この筒内気体量Gcyの算出に際して加算されるEGR量EAは、現在のEGR率において要求空気量NSDKが確保された状態でのEGR量であり、次式(11)に基づいて算出される。

EA=(要求空気量NSDK×現在のEGR率)/(100−現在のEGR率) …(11)

なお、現在のEGR率は、EGR弁の開度、吸気絞り弁16の開度、及び現在の過給圧PIMなどに基づき、本処理とは別の処理にて推定される。
また、上記吸気温Tbは、燃焼室71に流れ込む吸気の温度であり、次式(12)に基づいて算出される。

Tb={THAE・(NSDK/Gcy)}+{THEGR・(EA/Gcy)} …(12)

THAE:出口空気温度(インタークーラ18を通過した後の空気の温度)
NSDK:要求空気量
Gcy:筒内気体量
THEGR:出口EGR温度(EGRクーラ14を通過した後のEGRガスの温度)
EA:上記式(11)から求められるEGR量

次に、過給圧変更部80Dは、ステップS450で算出された要求過給圧PIMDを目標過給圧PIMPとして設定し(S460)、本処理を終了する。
このようにして要求過給圧PIMDが目標過給圧PIMPとして設定されると、先に説明した過給圧制御を通じて、過給圧PIMが要求過給圧PIMDとなるようにノズルベーン11vの開度がフィードバック制御されることにより、過給圧PIMが増大される。
(メイン噴射の分割噴射)
次に、上記ステップS500におけるメイン噴射の分割処理について、図14及び図15を参照しつつ説明する。
図14に示すように、本処理が開始されると、制御装置80の分割噴射部80Fは、第1メイン噴射量QM1、第2メイン噴射量QM2、及び第3メイン噴射量QM3を設定する(S510)。第1メイン噴射量QM1は、メイン噴射において最初に実施される第1メイン噴射時の燃料噴射量である。第2メイン噴射量QM2は、メイン噴射において第1メイン噴射よりも遅角側の時期に実行される第2メイン噴射時の燃料噴射量である。そして、第3メイン噴射量QM3は、メイン噴射において第2メイン噴射よりも遅角側の時期に実行される第3メイン噴射時の燃料噴射量である。
第1メイン噴射量QM1は、上述した燃焼場NPの空燃比が分割時要求空燃比AFDDVとなるように設定される。この分割時要求空燃比AFDDVは、第1メイン噴射から第3メイン噴射までの各噴射時にそれぞれ発生するスモークの量の総和が、上述したスモークの目標発生量と同等になるように、各噴射時における最大空燃比を定めた値であり、予めの実験等を通じて適切な値が設定されている。換言すれば、燃焼場NPの空燃比が上述した要求空燃比AFDとなっているときに発生するスモークの量よりも、第1メイン噴射から第3メイン噴射までの各噴射時においてそれぞれ発生するスモークの量が少なくなるように、各噴射時におけるスモークの発生量を低減することのできる空燃比が分割時要求空燃比AFDDVとなっている。従って、この分割時要求空燃比AFDDVは、上述した要求空燃比AFDよりも大きい値、つまりリーン寄りの値となっている。
そして、上記燃焼場空気量NPKを上記分割時要求空燃比AFDDVで除することによって第1メイン噴射量QM1が求められる(QM1=NPK/AFDDV)
また、第2メイン噴射量QM2及び第3メイン噴射量QM3は、予めの実験等を通じて設定されているマップであって制御装置80に予め記憶されている噴射量マップを参照しつつメイン噴射量QMに基づいて設定される。
図15に、噴射量マップによる第2メイン噴射量QM2及び第3メイン噴射量QM3の設定態様を示す。
なお、図15に示す要求燃料量QMDとは、第2メイン噴射で噴射された燃料の燃焼場における空燃比や、第3メイン噴射で噴射された燃料の燃焼場における空燃比が上記分割時要求空燃比AFDDVになるときの燃料量であり、予めの実験等を通じて適切な値が求められている。ちなみに、分割噴射の各噴射時におけるスモーク発生量の総和が、上述したスモークの目標発生量と同等になるのであれば、第1メイン噴射及び第2メイン噴射及び第3メイン噴射のそれぞれで分割時要求空燃比AFDDVを異ならせてもよい。
図15に示すように、メイン噴射量QMが第1メイン噴射量QM1以下の場合には、第2メイン噴射量QM2は「0」に設定される。そして、メイン噴射量QMが第1メイン噴射量QM1よりも多くなると、メイン噴射量QMの増大に伴って第2メイン噴射量QM2は徐々に増えていく。そして、第2メイン噴射量QM2が上記要求燃料量QMDに達すると、その後はメイン噴射量QMが増大しても第2メイン噴射量QM2は要求燃料量QMDに固定される。他方、第2メイン噴射量QM2が上記要求燃料量QMDに達すると、それまで「0」に設定されていた第3メイン噴射量QM3は、メイン噴射量QMの増大に伴って徐々に増えていく。なお、第1メイン噴射量QM1と第2メイン噴射量QM2の最大値である上記要求燃料量QMDと第3メイン噴射量QM3との総和が、メイン噴射量QMの最大値QMmaxを超えないように、要求燃料量QMDや第3メイン噴射量QM3は適切に設定されている。
こうした第1メイン噴射量QM1及び第2メイン噴射量QM2及び第3メイン噴射量QM3の設定により、第2メイン噴射量QM2が要求燃料量QMDに達するまでは、メイン噴射が2回に分割される。そして、第2メイン噴射量QM2が要求燃料量QMDに達した以降は、メイン噴射が3回に分割される。
第1メイン噴射量QM1及び第2メイン噴射量QM2及び第3メイン噴射量QM3を設定すると、制御装置80の分割噴射部80Fは、機関回転速度NE等に基づいて設定される各噴射時期に合わせて第1メイン噴射から第3メイン噴射を実施することにより、メイン噴射の分割噴射を実行する(S520)。なお、第3メイン噴射量QM3が「0」に設定されているときには、ステップS520において、第1メイン噴射及び第2メイン噴射を実施することにより、メイン噴射の分割噴射を実行する。そして、本処理を終了する。
以上説明した本実施形態によれば、以下の作用効果を得ることができる。
(1)燃焼場NPの空燃比である局所空燃比AFLを求めるようにしている(図10のステップS100)。そして、局所空燃比AFLが要求空燃比AFDよりもリッチな空燃比であると判定される場合(図10のステップS200:YES)、つまり燃焼場NPの酸素量が上記の要求酸素量NPDSに対して不足した状態になっている場合には、過給圧PIMを増大させることが不可能かどうか判定される(図10のステップS300)。そして、過給圧PIMを増大させることが可能な場合には(図10のステップS300:NO)、過給圧PIMの増大処理が行われる(図10のステップS400)。
この過給圧PIMの増大処理では、燃焼場NPの酸素量を上記要求酸素量NPDSにまで増やすために必要な要求過給圧PIMDが算出される(図13のステップS410〜ステップS450)。そして、その算出された要求過給圧PIMDが目標過給圧PIMPとして設定される(図13のステップS460)。このように、不足している酸素量を補うために要求過給圧PIMDが目標過給圧PIMPとして設定されると、その変更後の目標過給圧PIMP(=要求過給圧PIMD)は、酸素量が不足していると判定されたときの目標過給圧PIMPよりも高い値になり、過給圧PIMは増大する。このようにして過給圧PIMが増大されると、燃焼室71に流入する空気の量が増えることによって燃焼場NPの酸素量も増大するため、燃焼場NPでの酸素不足に起因して発生するスモークの量を低減することができる。また、上記要求過給圧PIMDを算出することにより過給圧PIMの増大を図るようにしているため、燃焼場NPの酸素不足に応じた分だけ過給圧PIMは増大される。従って、燃焼場NPの酸素不足を適切に補うことができる。
(2)過給圧を増大させることができないときには(図10のステップS300:YES)、メイン噴射の分割噴射が行われる。このようにして分割噴射が行われると、まず、第1メイン噴射にて噴射された燃料が燃焼することによって燃焼室71内の温度が高まるため、第2メイン噴射で噴射された燃料は、燃料噴射弁4からの噴射後、速やかに燃焼するようになる。つまり、第2メイン噴射で噴射された燃料は、第1メイン噴射にて噴射された燃料と比較して、燃料噴射弁4に近い位置で燃焼するようになるため、第2メイン噴射で噴射された燃料の燃焼場と、第1メイン噴射にて噴射された燃料の燃焼場とは異なるようになる。従って、第1メイン噴射で噴射された燃料や、第2メイン噴射で噴射された燃料は、それぞれ十分な酸素量が確保されている領域で燃焼するようになる。そのため、第1メイン噴射で噴射された燃料が燃焼する燃焼場や、第2メイン噴射で噴射された燃料が燃焼する燃焼場では、酸素不足に起因して発生するスモークの量を低減することができる。
同様に、第2メイン噴射にて噴射された燃料が燃焼することによって燃焼室71内の温度は更に高まるため、第3メイン噴射で噴射された燃料は、燃料噴射弁4からの噴射後、さらに速やかに燃焼するようになる。つまり、第3メイン噴射で噴射された燃料は、第2メイン噴射にて噴射された燃料と比較して、燃料噴射弁4により近い位置で燃焼するようになるため、第3メイン噴射で噴射された燃料の燃焼場と、第2メイン噴射にて噴射された燃料の燃焼場とは異なるようになる。従って、第3メイン噴射にて噴射された燃料も、十分な酸素量が確保されている領域で燃焼するようになる。そのため、第3メイン噴射で噴射された燃料が燃焼する燃焼場でも、酸素不足に起因して発生するスモークの量を低減することができる。
(3)燃焼室71内の燃焼場におけるスモークの発生量を低減することができるため、スモークを成分として含む上記PMの量も減少するようになる。従って、こうしたPM量の減少に起因する各種効果も得られるようになる。
例えば、単位時間当たりにフィルタ32に捕集されるPMの量が少なくなるために、フィルタ32の再生周期が長くなる。フィルタ32の再生周期が長くなると、フィルタ32の再生回数が減少するため、フィルタ32を再生するために必要な燃料の量を低減することができる。また、PMの堆積によるフィルタ32の圧力損失の増大も抑えられるようになるため、そうした圧力損失による機関出力の低下を補うための燃料消費も抑えることができる。また、フィルタ32の上流側端面にPMが付着することによりフィルタ32が詰まる現象、いわゆる端面詰まりが起きにくくなるため、フィルタ32の使用寿命を延ばすことができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更して実施することもできる。
・上述した過給圧PIMの増大処理では、燃焼場NPの酸素量を上述した要求酸素量NPDSにまで増やすために必要な要求過給圧PIMDを算出し、その算出した要求過給圧PIMDを目標過給圧PIMPとすることによって過給圧PIMを増大させた。この他、簡易的には、先の図9におけるステップS10の処理で算出される目標過給圧PIMPに対して、予め定めた所定値を加算することにより過給圧PIMを増大させてもよい。この場合でも、燃焼室71に流入する空気の量が増えることによって燃焼場NPの酸素量も増大するため、燃焼場NPの酸素不足によるスモークの発生を抑制することができる。
・メイン噴射を最大で3回分割するようにしたが、そうした分割回数の最大値は適宜変更することができる。
・過給圧を増大させることができないときには(図10のステップS300:YES)、メイン噴射の分割噴射を実行するようにしたが、そうした分割噴射を省略してもよい。つまり、先の図10に示したステップS300及びステップS500の処理を省略して、ステップS200で肯定判定されるときには、次の処理として、ステップS400の処理を実行するようにしてもよい。この場合でも、上記(2)以外の作用効果を得ることができる。
・噴射量マップを使って第2メイン噴射量QM2や第3メイン噴射量QM3を設定するようにした。この他、第2メイン噴射で噴射される燃料の燃焼場における空燃比や、第3メイン噴射で噴射される燃料の燃焼場における空燃比を、上述した局所空燃比AFLと同様に機関運転中において実際に算出し、その算出した空燃比が分割時要求空燃比AFDDVとなるように、第2メイン噴射量QM2や第3メイン噴射量QM3を算出するようにしてもよい。
・エンジン1は、ディーゼルエンジンであった。その他、燃焼室内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁を備えた圧縮自着火式の内燃機関であれば、上記実施形態や変形を適用することができる。
1…エンジン、2…シリンダヘッド、3…吸気通路、4…燃料噴射弁、5…燃料添加弁、6…排気ポート、7…インテークマニホールド、8…エキゾーストマニホールド、9…コモンレール、10…サプライポンプ、11…過給機(ターボチャージャ)、11A…タービンハウジング、11B…コンプレッサハウジング、11v…ノズルベーン、13…EGR通路、14…EGRクーラ、15…EGR弁、16…吸気絞り弁、17…アクチュエータ、18…インタークーラ、19…エアフロメータ、20…絞り弁開度センサ、21…クランク角センサ、22…アクセルセンサ、23…外気温センサ、24…燃圧センサ、26…排気通路、27…燃料供給管、30…浄化部材、31…酸化触媒、32…フィルタ、70…気筒、71…燃焼室、73…シリンダボア、80…制御装置、80A…過給圧制御部、80B…局所空燃比算出部、80C…空燃比判定部、80D…過給圧変更部、80E…増大判定部、80F…分割噴射部、90…ピストン、91…キャビティ、91A…底壁面、91B…突起、91C…巻き上げ部、91D…側壁面、91E…傾斜面、91F…スキッシュ面、91G…開口縁、110…差圧センサ、120…排気温度センサ、130…空気温度センサ、140…過給圧センサ、150…EGR温度センサ、FL…燃料。

Claims (3)

  1. 可動ベーンを有する可変容量型の過給機と、燃焼室内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁とを備える圧縮自着火式の内燃機関に適用される制御装置であって、
    当該制御装置は、
    前記可動ベーンの開度を調整することにより前記過給機による吸気の過給圧を制御する過給圧制御部と、
    前記燃料噴射弁から噴射された燃料の燃焼場の空燃比である局所空燃比を算出する局所空燃比算出部と、
    前記局所空燃比が予め定められた要求空燃比よりもリッチな空燃比であるか否かを判定する空燃比判定部と、
    前記空燃比判定部によって前記局所空燃比が前記要求空燃比よりもリッチな空燃比であると判定されるときには前記過給圧を増大させる過給圧変更部と、を備え
    当該制御装置は、前記燃料噴射弁の燃料噴射パターンとして多段噴射を実行するとともに、
    前記局所空燃比算出部が算出する前記局所空燃比が、前記多段噴射のうちで最も噴射量の多いメイン噴射の実行時における前記燃焼場の空燃比であり、
    前記空燃比判定部によって前記局所空燃比が前記要求空燃比よりもリッチな空燃比であると判定されるときには、前記過給圧変更部による前記過給圧の増大が不可能な状態か否かを判定する増大判定部と、
    前記増大判定部によって前記過給圧の増大が不可能な状態であると判定されるときには、前記メイン噴射を単噴射から分割噴射に変更する分割噴射部と、を備える
    内燃機関の制御装置。
  2. 前記過給圧制御部は、機関運転状態に基づいて設定される目標過給圧となるように前記過給圧を制御するとともに、
    前記過給圧変更部は、前記局所空燃比が前記要求空燃比となっているときの前記燃焼場の酸素量を要求酸素量としたときに、前記燃焼場の酸素量が前記要求酸素量となるように前記目標過給圧を変更する
    請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記内燃機関の吸気通路には、燃焼室内に入る空気の量を検出する吸入空気量センサが設けられており、
    前記局所空燃比算出部は、前記燃焼場に噴射される燃料の噴霧到達距離及び燃料の噴射時期に基づいて前記燃焼場の容積を算出するとともに、前記容積内の空気量である燃焼場空気量を前記吸入空気量センサによって検出される前記空気の量に基づいて算出し、前記燃焼場に噴射される燃料の量に対する前記燃焼場空気量の比率を算出することにより前記局所空燃比を算出する
    請求項1または2に記載の内燃機関の制御装置。
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