JP5900626B2 - ディーゼルエンジンの制御装置 - Google Patents
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Description
本発明は、ディーゼルエンジンの制御装置に関する。
JP2003−97329Aには、可変圧縮比機構を備え、始動時や低負荷時に圧縮比を相対的に高くし、かつ高負荷時に圧縮比を相対的に低くするディーゼルエンジンが開示されている。このディーゼルエンジンでは、低圧縮比となる高負荷時に、他段階(例えば5回)のパイロット噴射が実行される。
JP2003−97329Aに記載のディーゼルエンジンでは、高圧縮比となる始動時や低負荷時にも、多段階のパイロット噴射が実行される。このように複数回のパイロット噴射が実行されると、パイロット噴射された燃料の着火が早まり、燃焼室内での燃焼が拡散燃焼となって、炭化水素(HC)が多く発生する。そのため、始動時や低負荷時には、前半のパイロット噴射を中止し、中止した分のパイロット噴射量を後半のパイロット噴射量に加算するようにしている。
しかしながら、JP2003−97329Aでは、低圧縮比状態での燃焼性の改善は検討されていない。そのため、低圧縮比状態においてパイロット噴射を多段化するだけでは、グロープラグへの通電時かつ低外気温条件での冷間始動時における燃焼性の改善は望めない。
本発明の目的は、グロープラグへの通電時かつ低外気温条件での冷間始動時において、燃焼性を改善可能なディーゼルエンジンの制御装置を提供することである。
本発明のある態様によれば、冷間始動時にディーゼルエンジンの燃焼室を加熱するグロープラグと、メイン噴射に先立つパイロット噴射を多段階で実行可能なコモンレール式燃料噴射装置と、コモンレール式燃料噴射装置を制御する制御部と、を備えるディーゼルエンジンの制御装置が提供される。制御部は、グロープラグへの通電時かつ外気温が0℃以下での冷間始動時に、パイロット噴射を2回以上の多段階で実行するようにコモンレール式燃料噴射装置を制御する。また、制御部は、初回のパイロット噴射の噴射量を、メイン噴射の噴射量を超えず、かつ各パイロット噴射の噴射量の和である総パイロット噴射量に対して35%から80%までの範囲内で設定する、と共に、冷却水温、油温、外気温の少なくとも一つの温度が低下するほど、初回のパイロット噴射量の総パイロット噴射量に占める比率が大きくなるように、初回のパイロット噴射量を設定する。さらに、制御部は、初回以降に実行される残りのパイロット噴射の1回分の噴射量を、初回のパイロット噴射の噴射量よりも小さく設定する。
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態によるディーゼルエンジン1の制御システムの概略構成図である。
図1に示すように、ディーゼルエンジン1は、車両用のエンジンであって、吸気通路2を備えている。ディーゼルエンジン1に供給される吸気は、吸気通路2に備えられる過給器10の吸気コンプレッサ10Aによって過給される。過給された吸気は、インタークーラ3で冷却され、吸気絞り弁4を通過した後、コレクタ5を経て各気筒の燃焼室内へ流入する。
ディーゼルエンジン1は、コモンレール式燃料噴射装置6をさらに備えている。コモンレール式燃料噴射装置6は、高圧燃料ポンプ7と、コモンレール8と、燃料噴射弁9と、を備えている。燃料タンクに貯蔵されている燃料は、コモンレール式燃料噴射装置6によってディーゼルエンジン1に供給される。つまり、燃料は高圧燃料ポンプ7により燃料タンクからコモンレール8に送られ、コモンレール8内の高圧状態の燃料は各燃料噴射弁9からそれぞれの燃焼室に噴射供給される。燃焼室内に流入した吸気と燃料噴射弁9から噴射された燃料は燃焼室内で圧縮着火により燃焼し、燃焼後の排気は排気通路11へ排出される。
排気通路11に排出された排気の一部は、EGRガスとして、EGR通路12を通じて吸気側に還流される。EGR通路12には、当該EGR通路12を流れるEGRガスの流量を制御するためのEGR弁13が設けられている。
還流されない残りの排気は、排気通路11の下流側へと導かれ、過給器10の排気タービン10Bを通過する時に当該排気タービン10Bを駆動する。排気タービン10Bのスクロール入口には、可変ノズル10Dが設けられている。なお、可変ノズル10Dを駆動するため、過給器10には油圧駆動式又は電気駆動式のアクチュエータ10Eが設けられている。
可変ノズル10Dを絞って可変ノズル開度を小さくすると、排気の流速が増加し、排気タービン10Bの回転速度が上昇する。これにより、排気タービン10Bと同軸に連結された吸気コンプレッサ10Aの回転速度が上昇し、吸気コンプレッサ10Aによって吸気が過給される。
一方、可変ノズル10Dを開いて可変ノズル開度を大きくすると、排気の流速が低下し、排気タービン10Bの回転速度が低下する。これにより、吸気コンプレッサ10Aの回転速度も低下し、吸気コンプレッサ10Aによる吸気の過給が停止される。
ディーゼルエンジン1は、制御部としてのコントローラ21によって制御される。コントローラ21は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成されている。
コントローラ21には、アクセルセンサ22によって検出されるアクセルペダル踏込量(アクセル開度信号)と、クランク角センサ23によって検出されるエンジン回転速度信号とが入力される。
コントローラ21は、エンジン負荷(アクセル開度)及びエンジン回転速度に基づいて、メイン噴射の燃料噴射時期及び燃料噴射量を算出し、これらに対応する開弁指令信号を燃料噴射弁9に出力する。また、コントローラ21は、目標EGR率と目標吸入空気量とが得られるようにEGR制御と過給圧制御を協調して行う。
排気タービン10Bよりも下流の排気通路11には、排気に含まれるパティキュレートを捕集するフィルタ14が配置されている。フィルタ14のパティキュレート堆積量が所定の閾値に達すると、コントローラ21は、メイン噴射直後の膨張行程又は排気行程でポスト噴射を行うことにより、フィルタ14の再生処理を実行する。
コントローラ21には、目標となる再生温度が得られるポスト噴射量及びポスト噴射時期がエンジン負荷とエンジン回転速度とに対応して記憶されている。そして、コントローラ21は、エンジン負荷とエンジン回転速度とに応じた最適なポスト噴射量とポスト噴射時期で、ポスト噴射を行う。これにより、フィルタ14に堆積しているパティキュレートを燃焼除去し、フィルタ14を再生する。
フィルタ14に堆積しているパティキュレートの全てを燃焼除去する完全再生を実行するためには、再生処理時にフィルタ14の許容温度を超えない範囲で、フィルタ14内の温度(パティキュレート燃焼温度)を高めることが必要となる。そのため、フィルタ14よりも上流の排気通路11には、酸化触媒15が配置されている。
再生処理時におけるポスト噴射によって流入する排気に含まれるHC及びCOを触媒15により燃焼させることで、フィルタ14内の温度を高めて、フィルタ14でのパティキュレートの燃焼を促進させる。
なお、触媒15は、酸化触媒に限られず、酸化機能を備える触媒(例えば三元触媒)であってもよい。
また、触媒15をフィルタ14の上流側に別体で設けるのではなく、フィルタ14を構成する担体に酸化触媒をコーティングしてもよい。この場合には、パティキュレートが燃焼する際の酸化反応が促進されるので、フィルタ14内の温度が上昇しやすく、パティキュレートの燃焼を効率的に促進させることが可能となる。
ところで、ディーゼルエンジン1では冷間時に始動性が低下するため、ディーゼルエンジン1は、燃焼室ごとに冷間始動用のグロープラグ31を備えている。グロープラグ31は、燃焼室内に臨むように設けられており、冷間始動時等に燃焼室内の混合気の温度を上昇させて着火を補助する。
図2は、ディーゼルエンジン1の1つの気筒41を上から見た模式図である。
図2に示すように、気筒41のシリンダボア42の上部に燃焼室43が形成され、燃料噴射弁9は燃焼室43内に臨んで設けられるとともに燃焼室43の上部中央位置に配置される。燃料噴射弁9の周囲には、2つの吸気弁44、45と2つの排気弁46、47が配置されている。燃料噴射弁9の先端には例えば8つの噴孔が形成されており、燃料は各噴孔からシリンダボア42の壁面に向けて噴射される。燃料噴射弁9から噴射された燃料は、周方向に等しい間隔をあけて8方向に噴射される。燃焼室43内には図中矢印方向のスワール流が生じるようになっており、このスワール流によって噴霧燃料Fは図2において時計回転方向に曲げられる。
グロープラグ31は、例えば2つの吸気弁44、45の間の位置から燃焼室43内に臨むように設けられている。エンジン冷間時には、グロープラグ31に電流が通電される。燃料噴射弁9からの噴霧燃料Fが、通電によって加熱されたグロープラグ31の周辺に供給されると、グロープラグ31近傍の混合気が着火して種火となり、混合気全体に燃え広がる。
なお、グロープラグ31が設けられる位置は、2つの吸気弁44、45の間に限られるものでなく、吸気弁44、45と排気弁46、47の間や2つの排気弁46、47の間であってもよい。また、吸気弁の数や排気弁の数、燃料噴射弁の噴孔の数は、必要に応じて任意に設定される。
最近のディーゼルエンジン1においては、エンジン圧縮比は、15前後、より具体的には15.5以下の低圧縮比に設定される傾向にある。このように低圧縮比化することのメリットは、ディーゼルエンジン1の出力を向上させ、排気中のNOxを低減し、ポンピングロスを低減できる点にある。つまり、低圧縮比化により気筒内圧の最大値が低下する分、燃料噴射弁9から燃料をより多く燃焼室43内に噴射することが可能となり、これによってエンジンの出力が向上する。低圧縮比化により燃焼室43内における燃焼温度を低下させることができ、これによりNOxの発生を抑制することが可能となる。また、圧縮比が低下するため、ポンピングロスも低減される。
その一方で、低圧縮比化により、例えば−25℃といった低外気温条件での冷間始動時に、失火が発生する等、燃焼室43内における混合気の燃焼性が悪化する。
本発明者らは、低外気温条件での冷間始動時における失火を抑制するためには、グロープラグ31の有する燃料着火源としての機能を有効活用することが重要であることに着目した。つまり、ディーゼルエンジン1では、メイン噴射に先立って行われるパイロット噴射による燃料をグロープラグ31の近傍に導いて燃焼の核となる火種を形成することで、冷間始動時における燃焼安定性の改善を図る。
しかしながら、グロープラグ31近傍に導く燃料が多すぎると、燃料気化時にグロープラグ31から奪われる熱量が増えてしまう。そうすると、グロープラグ31が冷却されすぎて、グロープラグ31によって火種を形成させることができなくなる。
1回のパイロット噴射による燃料過多に起因するグロープラグ31の冷却を回避するためには、パイロット噴射を2回以上に多段化することによって、1回当たりのパイロット噴射の燃料量(パイロット噴射量)を低減する必要がある。1回当たりのパイロット噴射量を低減すれば、所定時間当たりにグロープラグ31から奪われる熱量が少なくなり、グロープラグ31の温度低下を抑制することが可能となる。
ところで、上述したJP2003−97329Aには、可変圧縮比機構を備え、始動時や低負荷時に圧縮比を相対的に高くし、かつ高負荷時に圧縮比を相対的に低くするディーゼルエンジンが開示されている。このディーゼルエンジンでは、低圧縮比となる高負荷時に複数回のパイロット噴射を実行し、高圧縮比となる始動時や低負荷時にも複数回のパイロット噴射を実行する。しかしながら、JP2003−97329A1では低圧縮比状態での燃焼性の改善は検討されておらず、低圧縮比状態においてパイロット噴射を多段化する場合には、グロープラグへの通電時かつ低外気温条件での冷間始動時における燃焼性の改善は望めない。
これに対して、本実施形態では、グロープラグ31への通電時かつ低外気温条件での冷間始動時に、複数回分のパイロット噴射全体の熱発生量をクランク角で微分した値が予め定められた所定値以上となるように、パイロット噴射の回数及び各パイロット噴射量を決定する。これによって、着火時のグロープラグ31の温度低下を抑制でき、かつグロープラグ31の近傍の当量比を高く維持することが可能となる。その結果、グロープラグ31への通電時かつ低外気温条件での冷間始動時に、燃焼室43内での混合気の燃焼性を改善することができる。
図3は、本発明者らが検討した異なる4つのパイロット噴射パターンを示す図である。
図3に示すように、ケース4は本実施形態の噴射パターンであり、ケース1〜3は参考例1〜3としての噴射パターンである。各パイロット噴射パターンでは、複数回のパイロット噴射が実行され、最終回のパイロット噴射後にメイン噴射が実行される。IT1〜IT4はパイロット噴射の噴射時期を示し、IT5はメイン噴射の噴射時期を示す。IT5は、圧縮上死点TDCの直前に設定されている。パイロット噴射及びメイン噴射の燃料量は三角印の高さで表されており、その高さが高いほど燃料量が多いことを意味している。
メイン噴射の燃料量(以下「メイン噴射量」という。)と、全てのパイロット噴射量の合計(総パイロット噴射量)とを合わせた燃料量は、ケース1〜4においてそれぞれ同じに設定されている。さらに、ケース1〜4とも、メイン噴射量よりも総パイロット噴射量のほうが多くなっている。
参考例1としてのケース1では、初回のパイロット噴射量Q3をIT1で、2回目のパイロット噴射量Q4をIT3で噴射する。ケース1はメイン噴射の前にパイロット噴射が2回行われる噴射パターンであり、2回目のパイロット噴射量Q4の方が初回のパイロット噴射量Q3よりも多く設定されている。
参考例2としてのケース2では、ケース1の初回のパイロット噴射を2回に分割して噴射時期をIT1、IT2とし、3回目のパイロット噴射の噴射時期をIT4としたものである。分割された各パイロット噴射量Q5はQ3の半分に設定され、3回目のパイロット噴射量はQ4に設定される。
参考例3としてのケース3では、初回のパイロット噴射をIT1で行い、2回目のパイロット噴射をIT3で行う。また、メイン噴射量をQ1からQ2へと減少させ、その減少分の燃料(Q1−Q2)を初回のパイロット噴射量に加算している。したがって、初回のパイロット噴射量は、Q3に(Q1−Q2)を加算したQ6に設定される。2回目のパイロット噴射量はQ4に設定される。
本実施形態としてのケース4では、初回のパイロット噴射をIT1で行い、2回目のパイロット噴射をIT2で行い、三回目のパイロット噴射をIT4で行う。初回のパイロット噴射量はQ4であり、2回目及び3回目のパイロット噴射量はQ5(=Q3の半分)である。これにより、初回のパイロット噴射量Q4が総パイロット噴射量Qpitotalに占める比率は、2回目のパイロット噴射量Q5及び3回目のパイロット噴射量Q5の和が総パイロット噴射量Qpitotalに占める比率よりも大きく設定される。以下、初回のパイロット噴射量が総パイロット噴射量に占める比率を初回パイロット噴射量比率といい、2回目及び3回目の各パイロット噴射量の和が総パイロット噴射量に占める比率を残りパイロット噴射量比率という。
なお、ケース4では、初回のパイロット噴射の噴射量Q4はメイン噴射の噴射量Q1よりも小さく設定されており、2回目及び3回目のパイロット噴射の噴射量Q5は初回のパイロット噴射の噴射量Q4よりも小さく設定されている。
上記4つのケースについて実機での実験を行うことにより、グロープラグ31への通電時かつ低外気温条件での冷間始動時における図4及び図5に示す特性を得た。また、4つのケースについてシミュレーションを行うことにより、グロープラグ31への通電時かつ低外気温条件での冷間始動時における図6A及び図6Bの特性を得た。
図4は、本発明者らが初めて見い出した特性である。図4の横軸は、多段階のパイロット噴射全体による熱発生量をクランク角で微分した値dQpilot/dθ[J/deg]を示す。図4の縦軸は、多段階のパイロット噴射及びメイン噴射による1サイクルの燃焼により得られる図示平均有効圧Pi[MPa]を示す。ここで、1サイクルとは、1つの気筒における吸気行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の4行程分の期間を意味する。
パイロット噴射全体による熱発生量Qpilotの計算の仕方について、図7を参照して説明する。図7の横軸はクランク角[deg]を示し、図7の縦軸は1サイクル中における燃焼室での熱発生率[J/deg]を示す。
図7に示すように、パイロット噴射を実行する場合には、複数回のパイロット噴射全体にる熱発生で熱発生率は低ピークP1(1山目)を有する波形となり、その後のメイン噴射による熱発生で熱発生率は高ピークP2(2山目)を有する波形となる。このように熱発生率の波形は2つのピークを有する波形となり、1山目の面積(図7のハッチング部の面積)を計算することで、パイロット噴射全体による熱発生量Qpilot[J]が得られる。
このように得られたパイロット噴射全体による熱発生量Qpilot[J]を複数回のパイロット噴射によって熱発生が生じたクランク角区間[deg]で除算することで、dQpilot/dθ[J/deg]を算出することができる。
図7では、圧縮上死点TDCで熱発生の低ピークP1が生じているが、これは実機実験に使用したディーゼルエンジンがたまたま圧縮上死点TDCで熱発生のピークが生じるエンジンであったからである。したがって、本発明は、このようなエンジンにのみ適用されるのではなく、圧縮上死点TDCよりも前や後ろで低ピークP1が生じるディーゼルエンジンにも適用可能である。
図4に戻り、実機実験により得られた図示平均有効圧特性について説明する。
図4に示すように、dQpilot/dθが大きくなるほど、図示平均有効圧PiはAからBへと増加する。dQpilot/dθが所定値D以上の領域(B〜Cの範囲)では、図示平均有効圧Piはほぼ一定値となる。ここで、図3に示したケース1〜3におけるdQpilot/dθはD未満の領域に含まれ、ケース4におけるdQpilot/dθはD以上の領域に含まれることが判明した。
図4において、dQpilot/dθが所定値D未満の領域は、dQpilot/dθの値が大きいほど、多段階のパイロット噴射全体による発熱量が大きくなり、この影響を受けて図示平均有効圧Piが上昇することを示している。一方、dQpilot/dθが所定値D以上の領域は、図示平均有効圧Piが所定値Dでの値より大きくならず平衡値となることを示している。
つまり、dQpilot/dθが所定値D以上の領域にある場合には、グロープラグ31の近傍に形成される火種が順調に成長しており、燃焼室内での混合気の燃焼が安定している。この逆に、dQpilot/dθが所定値D未満の領域にある場合には、多段階のパイロット噴射を実行しても発熱の程度が小さく、グロープラグ31の近傍に火種が形成されていないか、又は火種が形成されていても順調に成長しておらず、失火が生じる可能性がある。したがって、グロープラグ31への通電時かつ低外気温条件での冷間始動時における燃焼性を改善するためには、dQpilot/dθが所定値D以上となるように、パイロット噴射の回数及び各パイロット噴射量を決定すればよいこととなる。
なお、図4に示した図示平均有効圧の傾向はエンジン仕様によって変化しないが、B〜Cの期間における図示平均有効圧Piの値及び所定値Dの値はエンジン仕様によって変化する。したがって、エンジン仕様毎に図4に示すような特性を得て、その特性に基づいて所定値Dは定められる。
次に、図5は、ケース1〜4における図示平均有効圧Pi及び図示平均有効圧の変動率(Pi変動率)を示す図である。図示平均有効圧Piは棒グラフで表わされており、Pi変動率は折れ線で表わされている。
図5に示すように、ケース2における図示平均有効圧はケース1及びケース3の図示平均有効圧よりも高くなっているものの、これらケース1〜3の図示平均有効圧はケース4の図示平均有効圧よりも低くなっている。これは、図4を参照して説明した通りである。これに対して、Pi変動率は、ケース1、ケース2、ケース3の順に大きくなり、ケース4が最も小さくなっている。燃焼室内の燃焼が安定している場合には、Pi変動率は小さくなる。
次に、図6A及び図6Bを参照して、ケース1〜4における平均グロープラグ近傍温度及び平均グロープラグ近傍当量比を説明する。図6Aは、ケース1〜4における平均グロープラグ近傍温度を示す図である。図6Bは、ケース1〜4における平均グロープラグ近傍当量比を示す図である。
ここで、グロープラグ近傍温度とは、燃焼室内においてグロープラグ31の近傍の温度をシミュレーションによって算出した値である。また、当量比は空燃比の逆数を理論空燃比の逆数で除した値であり、当量比1.0が理論空燃比に相当する。グロープラグ近傍当量比は、グロープラグ31の近傍の局所的な当量比であり、燃焼室全体の平均的な当量比ではない。グロープラグ近傍当量比は、グロープラグ31の近傍の当量比をシミュレーションによって算出した値である。グロープラグ近傍当量比が1.0より大きい場合にはグロープラグ31の近傍の混合気はリッチとなり、グロープラグ近傍当量比が1.0より小さい場合にはグロープラグ31の近傍の混合気はリーンとなる。
図6A及び図6Bに示すように、ケース1の場合よりケース2の場合の方が、平均グロープラグ近傍温度が高く、かつ平均グロープラグ近傍当量比も大きくなっている。ところが、ケース3の場合は、ケース2の場合と比較して、平均グロープラグ近傍当量比は大きくなるものの、平均グロープラグ近傍温度は低下している。この現象は、ケース3ではメイン噴射量を低下させる代わりに初回のパイロット噴射量を増加させていることに起因している。したがって、ケース3では、初回のパイロット噴射によってグロープラグ31の近傍に一度に到達する燃料が多く、グロープラグ31が冷却され、失火が生じやすい状態になっている。
一方、ケース4の場合には、ケース1〜3のいずれの場合よりも、平均グロープラグ近傍温度が高く、かつ平均グロープラグ近傍当量比が大きくなっている。このようにケース4の場合は、燃焼室内の混合気が安定的に燃焼する状態となっている。
次に、図8を参照して、初回パイロット噴射量比率の特性について説明する。図8は、冷却水温と初回パイロット噴射量比率との関係を示す特性図である。初回パイロット噴射量比率は、初回のパイロット噴射の噴射量を決定するために用いられる値である。
図8に示すように、初回パイロット噴射量比率は、零下の領域において冷却水温Tw[℃]が低くなるほど大きく設定される。冷却水温が0℃では初回パイロット噴射量比率は約35%に設定され、冷却水温が−30℃では初回パイロット噴射量比率は約80%に設定される。このように冷却水温Twが低くなるほど初回パイロット噴射量比率を大きくするのは、−30℃といった極低温の温度域においても、噴射された燃料がグロープラグ31に接触する確率を向上させるためである。図8の特性はエンジン仕様によってほとんど変化することがなく、初回パイロット噴射量比率はエンジン仕様によらず35%から80%の間の値に設定される。
図8の横軸は、冷却水温Twの代わりに、外気温や、ディーゼルエンジン1の潤滑に使用される油の温度であってもよい。本実施形態はグロープラグ31への通電時かつ低外気温条件での冷間始動時を対象とするので、このような状態では冷却水温、油温、及び外気温を同一視することができる。
次に、図9を参照して、コントローラ21が実行する燃料噴射制御処理について説明する。
図9は、コントローラ21が実行する燃料噴射制御処理のルーチンを示すフローチャートである。燃料噴射制御処理は、メイン噴射量及び3回の各パイロット噴射量を算出して出力するための処理である。燃料噴射制御処理は、今回の燃料噴射時における初回のパイロット噴射時期よりも所定クランク角前のタイミングで一回実行される。
S1(ステップ1)では、コントローラ21は、メイン噴射量Qmain[mm3/st.]を算出する。
例えばアイドル運転状態であれば目標アイドル回転速度が予め定めており、この目標アイドル回転速度が得られるようにメイン噴射量Qmainが予め定められている。したがって、コントローラ21は、予め定められているメイン噴射量Qmainを読み出す。メイン噴射量Qmainは一定値であり、メイン噴射量Qmainで目標アイドル回転速度が得られない場合には、フィードバック制御することで、目標アイドル回転速度が得られるようにメイン噴射量Qmainが調整される。
S2〜5では、コントローラ21は、以下の条件〔1〕〜〔4〕が全て成立するか否かを判定し、全て成立する場合にS6の処理を実行する。一方、条件〔1〕〜〔4〕のいずれかかが成立しない場合には、コントローラ21は、S13の処理を実行してメイン噴射量Qmainをレジスタに出力する。なお、S13において、メイン噴射量Qmainをメモリに保存してもよい。このように条件〔1〕〜〔4〕のいずれかかが成立しない場合には、パイロット噴射は実行されず、メイン噴射だけが実行されることとなる。
〔1〕グロープラグ31への通電中であること。
〔2〕外気温Taが0℃以下であること。
〔3〕アイドル運転状態であること。
〔4〕冷却水温Twが所定値未満であること。
グロープラグ31に通電する期間は、エンジン冷間始動時から例えば数十秒といった短い期間である。上記〔1〕を条件とするのは、低圧縮化したディーゼルエンジン1での極低温時にグロープラグ31の燃料着火源としての機能を有効活用するためである。
上記〔2〕を条件とするのは、外気温Taが0℃以下である低外気温条件で、燃焼が不安定となるからである。外気温Taは、外気温センサ32(図1参照)によって検出される。
上記〔3〕を条件とするのは、アイドル運転状態で最も燃焼が不安定となるためである。コントローラ21は、例えばアクセル開度がゼロの場合に、アイドル運転状態であると判定する。
上記〔4〕を条件とするのは、冷却水温Twが所定値未満であるエンジン冷間時に燃焼が不安定となるためである。冷却水温Twは、水温センサ33(図1参照)によって検出される。なお、条件〔3〕及び条件〔4〕については必要に応じて省略してもよい。
S6では、コントローラ21は、総パイロット噴射量Qpitotal[mm3/st.]を算出する。総パイロット噴射量Qpitotalは、エンジン負荷とエンジン回転速度から総パイロット噴射量マップを検索することにより算出される。グロープラグ31への通電時かつ低外気温条件での冷間始動時には、総パイロット噴射量Qpitotalはメイン噴射量Qmainより多くなることがある。
S7では、コントローラ21は、冷却水温Twから図8に示したテーブルを検索することにより、初回パイロット噴射量比率を算出する。図8に示したように、初回パイロット噴射量比率は冷却水温Twが低くなるほど大きく設定される。これは、極低温になるほど燃料噴霧が気化しにくくなり、その分多く燃料を噴射することで燃料噴霧がグロープラグ31に接触する確率を高める必要があるためである。
本実施形態では、S3で外気温Taを用い、S5及びS7で冷却水温Twを用いているが、これに限られるものでない。例えば、S5及びS7では、冷却水温Twに代えて、油温を用いてもよい。また、S7のみで、冷却水温Twに代えて、油温を用いてもよい。さらに、S7では冷却水温Twに代えて外気温Taを用いてもよく、この場合にはS3の処理を省略することができる。
S8では、コントローラ21は、失火が発生する程度までエンジン回転の角速度が低下しているか否かを判定する。
例えば4気筒直列エンジンではクランク角で180度毎に燃料噴射時期が訪れるので、コントローラ21は180度間隔でエンジン回転の角速度を算出する。クランク角センサ23(角速度検出部)により検出されるエンジン回転速度Neは単位がrpmであるので、これを60で除算すると、分母を秒とする回転速度V[回/s]が得られる。前々サイクルに得た回転速度Vから前サイクルに得た回転速度Vを差し引いた回転速度差ΔVに(360/所定時間)[deg/(回・s)]を乗ずれば、エンジン回転の角速度ωを時間で微分した角加速度α[deg/s2]が得られる。
燃焼が良好であるか、あるいは失火が生じているかは、エンジン回転の角速度ωに現れる。失火が生じているときには、エンジン回転の角速度ωが低下する。エンジン回転の角速度ωが低下するときには、エンジン回転の角加速度αはマイナスとなるので、絶対値で扱えばよい。コントローラ21は、角加速度αの絶対値が閾値以上となっている場合に、エンジン回転の角速度ωが低下していると判断し、S9の処理を実行する。
なお、コントローラ21は、クランク角センサ23により検出されるエンジン回転速度に基づいて算出されるエンジン回転の角速度ωが失火判定用閾値よりも低下した場合に、エンジン回転の角速度ωが低下したと判定してもよい。
S9では、コントローラ21は、S7で算出された初回パイロット噴射量比率に一定値である減少割合を乗算し、改めて初回パイロット噴射量比率を算出する。減少割合は、予め適合された値である。
エンジン回転の角速度ωが低下し、失火が生じている場合には、ディーゼルエンジン1のシリンダ内に燃焼していない燃料が残留する。シリンダ内に残留する燃料は加熱されているので、着火性が高くなっている。したがって、今サイクルの燃料噴射時における初回のパイロット噴射時には、前サイクルの燃料噴射時における初回のパイロット噴射量より少ない燃料を供給すればよい。そのため、S9において、今回の初回パイロット噴射量比率を減少させる。上記したS8及びS9の処理を実行することで、エンジン回転の角速度ωが低下している場合であっても良好な燃焼状態を得ることが可能となる。
一方、S8においてエンジン回転の角速度ωが低下していないと判定された場合には、コントローラ21は、失火が生じていないと判断してS10の処理を実行する。
S10では、コントローラ21は、S7で算出された初回パイロット噴射量比率又はS9で減量された初回パイロット噴射量比率を用いて、次式により初回パイロット噴射量Qpi1[mm3/st.]を算出する。初回パイロット噴射量Qpi1は、S1で算出されたメイン噴射量Qmainを超えないように設定される。
S11では、コントローラ21は、S6で算出されたQpitotal及びS10で算出されたQpi1を用いて、次式により2回目のパイロット噴射量Qpi2[mm3/st.]、3回目のパイロット噴射量Qpi3[mm3/st.]を算出する。2回目及び3回目のパイロット噴射量Qpi2、Qpi3は、初回パイロット噴射量Qpi1よりも小さく設定される。
上記のように算出される初回パイロット噴射量Qpi1、2回目パイロット噴射量Qpi2、及び3回目パイロット噴射量Qpi3は、グロープラグ31への通電時かつ低外気温条件での冷間始動時において、多段階のパイロット噴射全体による熱発生量をクランク角で微分した値が図4の所定値D以上となるように適合された値となっている。
S12では、コントローラ21は、メイン噴射量Qmain、初回パイロット噴射量Qpi1、2回目パイロット噴射量Qpi2、及び3回目パイロット噴射量Qpi3をレジスタに出力する。なお、S12において、各噴射量をメモリに保存してもよい。
初回のパイロット噴射、2回目のパイロット噴射、3回目のパイロット噴射、及びメイン噴射の各噴射時期は、図3のケース4に示すように予め定められた時期に設定されている。つまり、初回パイロット噴射の噴射時期は時期IT1に設定され、2回目パイロット噴射の噴射時期は時期IT2に設定され、3回目パイロット噴射の噴射時期は時期IT4に設定される。また、メイン噴射の噴射時期は時期IT5に設定される。
コントローラ21は、初回のパイロット噴射、2回目のパイロット噴射、3回目のパイロット噴射、及びメイン噴射の各噴射時期となった時に、燃料噴射弁9を開弁制御する。これにより、燃料噴射弁9は、Qpi1、Qpi2、Qpi3、及びQmainの各噴射量の燃料を燃焼室に供給する。
ここで、本実施形態によるディーゼルエンジン1の制御装置の作用効果について説明する。
本実施形態によるディーゼルエンジン1の制御装置は、冷間始動時に燃焼室を加熱するグロープラグ31と、メイン噴射に先立つパイロット噴射を多段階で実行可能なコモンレール式燃料噴射装置6と、コモンレール式燃料噴射装置6を制御するコントローラ21と、を備える。コントローラ21は、グロープラグ31への通電時かつ低外気温条件での冷間始動時において、多段階のパイロット噴射全体による熱発生量をクランク角で微分した値(dQpilot/dθ)が予め定められた所定値D以上となるように、パイロット噴射の回数及び各パイロット噴射の噴射量を決定する。
より具体的には、コントローラ21は、グロープラグ31への通電時かつ外気温が0℃以下での冷間始動時に、パイロット噴射を2回以上の多段階で実行するようにコモンレール式燃料噴射装置6を制御する。そして、コントローラ21は、初回のパイロット噴射の噴射量を、メイン噴射の噴射量を超えず、かつ各パイロット噴射の噴射量の和である総パイロット噴射量に対して35%から80%までの範囲内で設定する。この時、コントローラ21は、初回以降に実行される残りのパイロット噴射の1回分の噴射量を、初回のパイロット噴射の噴射量よりも小さく設定する。なお、パイロット噴射の回数は、図3におけるケース4のように3回程度が好ましい。
上記のように設定された多段階のパイロット噴射を実行することで、着火時のグロープラグ31の温度低下を防止しつつ、グロープラグ31近傍の当量比を高く維持することが可能となる。その結果、低外気温条件での冷間始動時に、燃焼室での混合気の燃焼を安定させることができる。
本実施形態では、パイロット噴射を初回のパイロット噴射とこれに続く残りのパイロット噴射とで構成される2回以上の多段とし、初回パイロット噴射量比率を残りパイロット噴射量比率より大きく設定する。パイロット噴射の2回以上の多段化により燃料の気化を促進して、グロープラグ31近傍の当量比を高めることができる。また、初回パイロット噴射量比率の増大及び残りパイロット噴射量比率の減少により、メイン噴射直前でのグロープラグ31からの熱の吸収を低減し、グロープラグ31の温度低下を抑制できる。これにより、グロープラグ31近傍の当量比、グロープラグ31の温度を高く保つことが可能となり、燃焼室での混合気の燃焼を安定させることができる。
本実施形態では、初回パイロット噴射量比率は、図8に示すように冷却水温Twが低下するほど大きく設定される。これにより、グロープラグ31への通電時かつ低外気温条件での冷間始動時における冷却水温Twに応じた最適な燃料噴射制御を実行することができる。その結果、外気温等によらず、グロープラグ31近傍の当量比及びグロープラグ31の温度を高く保つことが可能となり、燃焼室内における燃焼をより安定させることができる。
本実施形態では、クランク角センサ23により検出されるエンジンの角速度ωが失火判定用閾値よりも低下している場合に、初回パイロット噴射量比率が小さくなるように補正する。これにより、グロープラグ31への通電時かつ低外気温条件での冷間始動時に、失火によりエンジン回転の角速度が低下した場合であっても、良好な燃焼状態を得ることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
本実施形態では、図3のケース4に示すようにパイロット噴射の回数は3回であるが、パイロット噴射の回数は2回以上であればよい。また、本実施形態では、2回目のパイロット噴射量と3回目のパイロット噴射量を同量としているが、初回パイロット噴射量よりも2回目及び3回目のパイロット噴射量が少なければよく、これらパイロット噴射量を同量に設定する必要はない。
本願は2012年9月3日に日本国特許庁に出願されたJP2012−192941、及び2012年9月7日に日本国特許庁に出願されたJP2012−197770に基づく優先権を主張し、これら出願の全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。
Claims (3)
- ディーゼルエンジンの制御装置であって、
冷間始動時に前記ディーゼルエンジンの燃焼室を加熱するグロープラグと、
メイン噴射に先立つパイロット噴射を多段階で実行可能なコモンレール式燃料噴射装置と、
前記コモンレール式燃料噴射装置を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記グロープラグへの通電時かつ外気温が0℃以下での冷間始動時に、前記パイロット噴射を2回以上の多段階で実行するように前記コモンレール式燃料噴射装置を制御し、
初回のパイロット噴射の噴射量を、前記メイン噴射の噴射量を超えず、かつ各パイロット噴射の噴射量の和である総パイロット噴射量に対して35%から80%までの範囲内で設定する、と共に、冷却水温、油温、外気温の少なくとも一つの温度が低下するほど、前記初回のパイロット噴射量の前記総パイロット噴射量に占める比率が大きくなるように、前記初回のパイロット噴射量を設定し、
初回以降に実行される残りのパイロット噴射の1回分の噴射量を、前記初回のパイロット噴射の噴射量よりも小さく設定する、
ディーゼルエンジンの制御装置。 - 請求項1に記載のディーゼルエンジンの制御装置であって、
前記制御部は、前記グロープラグへの通電時かつ外気温が0℃以下での冷間始動時に、前記パイロット噴射を3回以上の多段階で実行するように前記コモンレール式燃料噴射装置を制御する、
ディーゼルエンジンの制御装置。 - ディーゼルエンジンの制御装置であって、
冷間始動時に前記ディーゼルエンジンの燃焼室を加熱するグロープラグと、
メイン噴射に先立つパイロット噴射を多段階で実行可能なコモンレール式燃料噴射装置と、
前記コモンレール式燃料噴射装置を制御する制御部と、
エンジンの角速度を検出する角速度検出部と、を備え、
前記制御部は、
前記グロープラグへの通電時かつ外気温が0℃以下での冷間始動時に、前記パイロット噴射を3回以上の多段階で実行するように前記コモンレール式燃料噴射装置を制御し、
初回のパイロット噴射の噴射量を、前記メイン噴射の噴射量を超えず、かつ各パイロット噴射の噴射量の和である総パイロット噴射量に対して35%から80%までの範囲内で設定する、と共に、
前記角速度検出部により検出されたエンジンの角速度が閾値より低下した場合に、前記初回のパイロット噴射量の前記総パイロット噴射量に占める比率が小さくなるように、前記初回のパイロット噴射量を設定する、
ディーゼルエンジンの制御装置。
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