JP6413507B2 - インプリント方法およびインプリント装置 - Google Patents

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本発明は、所望のパターン(線、模様等の凹凸構造からなる図形)を有する薄膜および/またはパターンを有しない平滑な薄膜を有する構造体を製造するインプリント方法と、このインプリント方法に使用するインプリント装置に関する。
近年、フォトリソグラフィ技術に代わる微細なパターン形成技術として、インプリント方法を用いたパターン形成技術が注目されている。インプリント方法は、微細な凹凸構造を備えた型部材(モールド)を用い、凹凸構造を被成形樹脂層に転写することで微細構造を等倍転写するパターン形成技術である。例えば、被成形樹脂組成物として光硬化性樹脂組成物を用いたインプリント方法では、転写基板の表面に光硬化性樹脂組成物の液滴を供給し、所望の凹凸構造を有するモールドと転写基板とを所定の距離まで近接させて凹凸構造内に光硬化性樹脂組成物を充填し、この状態でモールド側から光を照射して光硬化性樹脂組成物を硬化させ、その後、モールドを樹脂層から引き離すことにより、モールドが備える凹凸が反転した凹凸構造(凹凸パターン)を有するパターン構造体を形成する。
このようなインプリント方法では、モールドを樹脂層から引き離す際に静電気が発生してモールドが帯電し、このモールドに雰囲気中の異物等が付着し易くなるという問題があった。モールドに異物等が付着した状態でインプリントを行うと、パターン構造体の欠陥が生じ、さらに、モールドの破損等を生じるおそれがあった。これに対応するために、例えば、モールドの電位が所定値以上となった場合に、モールドの除電を行うことが提案されている(特許文献1)。ここで、異物とは、インクジェット方式で供給された液滴がミストとして漂い乾燥した固形物、インクジェットヘッド等のインプリント装置を構成する部材から生じる微粒子、インプリント装置内に存在する塵等、インプリントに関与することを目的としていない物質である。
特開2009−286085号公報
インプリントにおいて生じる静電気の帯電としては、上記のように、モールドを樹脂層から引き離す際に発生する静電気の帯電(以下、剥離帯電とも記す)の他に、モールドと転写基板との接触、インクジェット方式で供給された液滴と転写基板との接触による静電気の帯電(以下、接触帯電とも記す)、転写基板を保持する保持装置等がステージ上を移動することによる静電気の帯電(以下、摩擦帯電とも記す)、帯電した物体(例えば、石英モールド)が導体(例えば、表面に金属層を備えたシリコンウエハである転写基板)に近接することにより導体(金属層)に電荷の偏りが生じることによる静電気の帯電(以下、誘導帯電とも記す)等が挙げられる。また、このような静電気の帯電が生じる対象物として、例えば、石英モールド、石英転写基板、シリコンウエハ、インクジェット方式で供給された液滴、装置内に存在する異物等が挙げられる。
静電気の帯電による問題として、上記の異物付着の他に、モールドと転写基板との接近時や、モールドを樹脂層から引き離す際に発生する静電気放電による破壊がある。静電気放電は、静電気の帯電によって2つの物体間に生じる電位差が、ある閾値を超えるときに発生する放電である。静電気放電が発生すると、瞬間的な電荷の移動により生じる熱エネルギーにより、モールドが備える凹凸構造や、転写基板に形成したパターン構造体の破壊が生じるおそれがある。しかし、従来の異物等の付着を防止するためのモールドの除電では、静電気放電による破壊を確実に防止できないという問題があった。
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたものであり、静電気放電による破壊を防止し、高精度のパターン構造体を安定して作製することができるインプリント方法とインプリント装置を提供することを目的とする。
このような目的を達成するために、本発明のインプリント方法は、被成形樹脂組成物を転写基板に供給する供給工程と、凹凸構造を有するモールドと前記転写基板とを近接させることにより前記モールドと前記転写基板との間に前記被成形樹脂組成物を展開し被成形樹脂層を形成する接触工程と、前記被成形樹脂層を硬化させることにより転写樹脂層とする硬化工程と、前記転写樹脂層と前記モールドを引き離すことにより、前記転写樹脂層であるパターン構造体を前記転写基板上に位置させた状態とする離型工程と、を有し、前記供給工程と前記接触工程との間、前記硬化工程と前記離型工程との間の少なく一方に、前記モールドと前記転写基板の電位差が許容値以内であるか否かを指標として、前記モールドおよび/または前記転写基板の除電の要否を判断する除電判断工程を有し、前記離型工程後に、静電気放電破壊による欠陥が前記パターン構造体に存在するか否かを判断する欠陥検査工程を有し、前記欠陥検査工程において静電気放電破壊による欠陥の存在が確認された場合、前記除電判断工程における許容値の上限を引き下げるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記欠陥検査工程は、欠陥検査が全数検査であり、検出された欠陥における異物の有無を観察し、異物が存在しない場合、次に、前記欠陥がパターン欠落欠陥であるか否かを判断し、パターン欠落欠陥であると判断された場合であって前記モールドの対応した箇所に異物詰まりが存在しない場合、および、パターン欠落欠陥ではないと判断された場合、静電気放電破壊による欠陥と判断するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記欠陥検査工程は、欠陥検査が抜き取り検査であり、検出された欠陥における異物の有無を観察し、異物が存在しない場合、次に、前記欠陥がパターン欠落欠陥であるか否かを判断し、パターン欠落欠陥であると判断された場合であって前記モールドの対応した箇所に異物詰まりが存在しない場合、および、パターン欠落欠陥ではないと判断された場合は、次に、前記欠陥が前記モールドを用いた以前のインプリントにおいて同じ箇所で発生しているかを検査し、同じ箇所で発生している場合、静電気放電破壊による欠陥と判断するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記除電判断工程では、前記モールドと前記転写基板の電位差が許容値を超える場合に、軟X線を照射することにより前記モールドおよび/または前記転写基板の除電を行うような構成とした。
また、本発明は、転写基板上にパターン構造体を形成するインプリント装置であって、モールドを保持するためのモールド保持部と、転写基板を保持するための基板保持部と、前記転写基板上に被成形樹脂組成物の液滴を供給するための液滴供給部と、前記モールドと前記転写基板の表面電位を測定する帯電電位検出部と、軟X線照射方式の静電気除去部と、前記モールド保持部、前記基板保持部、前記液滴供給部を制御すると共に、前記帯電電位検出部が測定した前記モールドと前記転写基板の電位差が許容値を超える場合に、軟X線を照射することにより前記モールドおよび/または前記転写基板を除電するように前記静電気除去部を制御する制御部を有するような構成とした。
本発明では、モールドが備える凹凸構造や転写基板に形成したパターン構造体に対する静電気放電による破壊が防止され、また、異物等の付着も防止され、高精度のパターン構造体を安定して作製することができる。
図1は、本発明のインプリント方法の一実施形態を説明するための工程図である。 図2は、欠陥検査工程における静電気放電破壊による欠陥の有無の判断手順の一例を示すフローチャートである。 図3は、パターン欠落欠陥の例を示す部分斜視図である。 図4は、本発明のインプリント装置の一実施形態を示す側面図である。 図5は、図4に示されるインプリント装置の平面図である。 図6は、本発明のインプリント装置の制御部による制御の一例を説明するためのフローチャート図である。 図7は、本発明のインプリント装置の制御部による制御の一例を説明するためのフローチャート図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
尚、図面は模式的または概念的なものであり、各部材の寸法、部材間の大きさの比等は、必ずしも現実のものと同一とは限らず、また、同じ部材等を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比が異なって表される場合もある。
[インプリント方法]
本発明のインプリント方法は、供給工程、接触工程、硬化工程、離型工程を有し、さらに、供給工程と接触工程との間、硬化工程と離型工程との間の少なくとも一方に除電判断工程を有し、離型工程後に欠陥検査工程を有している。
図1は、このような本発明のインプリント方法の一実施形態を説明するための工程図である。この図1を参照しながら本発明のインプリント方法を説明する。
<供給工程>
本発明では、転写基板1に被成形樹脂組成物の液滴5′を供給する(図1(A))。液滴5′の供給は、インクジェットヘッドからの液滴の吐出、ディスペンサーからの供給等により行うことができる。
本発明のインプリント方法に使用する転写基板1は適宜選択することができ、例えば、石英やソーダライムガラス、ホウ珪酸ガラス等のガラス、シリコンやガリウム砒素、窒化ガリウム等の半導体、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂基板、金属基板、あるいは、これらの材料の任意の組み合わせからなる複合材料基板であってよい。また、例えば、半導体やディスプレイ等に用いられる微細配線や、フォトニック結晶構造、光導波路、ホログラフィのような光学的構造等の所望のパターン構造物が形成されたものであってもよい。
被成形樹脂組成物は、インクジェットヘッド、ディスペンサー等の供給手段からの供給が可能な流動性を有するものであればよく、光硬化性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物、熱可塑性樹脂組成物等を挙げることができる。例えば、光硬化性樹脂組成物としては、主剤、開始剤、架橋剤により構成され、また、必要に応じて、モールドとの付着を抑制するための離型剤や、転写基板1との密着性を向上させるための密着剤を含有しているものであってよい。そして、インプリント方法により製造するパターン構造体の用途、要求される特性、物性等に応じて、使用する被成形樹脂組成物を適宜選択することができる。例えば、パターン構造体の用途がリソグラフィ用途であれば、エッチング耐性を有し、粘度が低く残膜厚みが少ないことが要求され、パターン構造体の用途が光学部材であれば、特定の屈折率、光透過性が要求され、これらの要求に応じて被成形樹脂組成物を適宜選択することができる。但し、いずれの用途であっても、使用するインクジェットヘッド等の供給手段への適合性を満たす特性(粘度、表面張力等)を具備していることが要求される。尚、インクジェットヘッドは、その構造および材質等に応じて、適合する液体の粘度、表面張力等が異なる。このため、使用する被成形樹脂組成物の粘度や表面張力等を適宜に調整すること、あるいは、使用する被成形樹脂組成物に適合するインクジェットヘッドを適宜に選択することが好ましい。
また、転写基板1上に供給する被成形樹脂組成物の液滴5′の個数、隣接する液滴の距離は、個々の液滴の滴下量、必要とされる被成形樹脂組成物の総量、転写基板に対する被成形樹脂組成物の濡れ性、後工程である接触工程における転写基板1とモールド3との間隙の大きさ等から適宜設定することができる。
<第1除電判断工程>
次に、第1除電判断工程において、転写基板1と使用するモールド3の電位差が許容値以内であるか否かを指標として、転写基板1および/またはモールド3の除電の要否を判断する。上記の供給工程では、必要に応じて転写基板1が保持された基板保持部を予めXYステージ上の供給位置に移動させるが、この基板保持部の移動により、静電気の帯電(摩擦帯電)が生じ、転写基板1の表面電位が増大する場合がある。また、例えば、インクジェットヘッドから吐出された被成形樹脂組成物の液滴が転写基板1と接触する際に、静電気の帯電(接触帯電)が生じ、転写基板1の表面電位が増大する場合がある。このような静電気の帯電により、転写基板1と使用するモールド3との電位差が大きくなると、転写基板1とモールド3との接近時に静電気放電が生じるおそれがある。静電気放電は、静電気の帯電によって2つの物体間に生じる電位差が、ある閾値を超えるときに発生する放電であり、静電気放電が発生すると、瞬間的な電荷の移動により生じる熱エネルギーにより、モールドが備える凹凸構造の破壊が生じることがある。このため、転写基板1と使用するモールド3の電位差が許容値を超える場合に、転写基板1および/またはモールド3の除電を行う。
電位差の許容値は、例えば、同様のパターン寸法、パターン配置、あるいは、パターン密度を有し、同様の材質であるモールドにおいて、過去に静電気放電が生じたときのデータ等を参照して決定することができる。
転写基板1、モールド3の除電は、軟X線照射方式により行うことができる。軟X線照射方式は、コロナ放電式による除電のような送風やエアパージによる発塵、放電針の先端の摩耗による発塵がなく良好である。しかし、軟X線は、放射状に広がって照射されるので、照射が不要な部分にも軟X線が照射され、多量の軟X線が照射されることによる部材の劣化、発塵のおそれがある。本発明では、第1除電判断工程において除電が必要と判断された場合のみ除電を実施するので、照射が不要な部分への多量の軟X線の照射を防止することができる。
このような第1除電判断工程は、上記の供給工程が終了した後に実施されるが、液滴5′が供給された転写基板1が保持された基板保持部をXYステージ上の転写位置に移動させた後、転写基板1とモールド3とが近接する前に実施してもよい。さらに、供給工程が終了した後、および、転写位置において転写基板1とモールド3とが近接する前の両段階で第1除電判断工程を実施することが好ましい。すなわち、転写基板1が保持された基板保持部をXYステージ上の転写位置に移動する際に、静電気の帯電(摩擦帯電)が生じ、転写基板1の表面電位が増大する場合がある。このため、供給工程が終了した後の第1除電判断工程の判断では、除電が不要と判断された場合であっても、転写基板1が保持された基板保持部がXYステージ上の転写位置に移動した段階で、転写基板1とモールド3の電位差が許容値を超える可能性がある。このような状態で転写基板1とモールド3を近接させると、静電気放電が生じるおそれがある。上記のように、供給工程が終了した後、および、転写位置において転写基板1とモールド3とが近接する前の両段階で第1除電判断工程を実施することにより、後述する接触工程における静電気放電を確実に防止することができる。
<接触工程>
次に、凹凸構造を備えたモールド3と転写基板1を近接させて、このモールド3と転写基板1との間に被成形樹脂組成物の液滴5′を展開することにより、被成形樹脂層5″を形成する(図1(B))。
図示例では、モールド3は凸構造部位3aを有するメサ構造であり、凹凸構造は凸構造部位3aに位置している。このようなモールド3の材質は適宜選択することができるが、被成形樹脂層5″が光硬化性である場合、照射光が透過可能な透明基板を用いて形成することができ、例えば、石英ガラス、珪酸系ガラス、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、アクリルガラス等、あるいは、これらの任意の積層材を用いることができる。モールド3の厚みは凹凸構造の形状、材料強度、取り扱い適性等を考慮して設定することができ、例えば、300μm〜10mm程度の範囲で適宜設定することができる。尚、モールド3はメサ構造を具備しないものであってもよい。
<硬化工程>
次いで、モールド3側から光照射を行い、被成形樹脂層5″を硬化させて、モールド3の凹凸構造が転写された転写樹脂層5とする(図1(C))。この硬化工程では、転写基板1が光透過性の材料からなる場合、転写基板1側から光照射を行ってもよく、また、転写基板1とモールド3の両側から光照射を行ってもよい。
被成形樹脂材料が熱硬化性樹脂、あるいは、熱可塑性樹脂である場合には、それぞれ被成形樹脂層5″に対して加熱処理、あるいは、冷却(放冷)処理を施すことにより硬化させることができる。
<第2除電判断工程>
次に、第2除電判断工程において、転写基板1とモールド3の電位差が許容値以内であるか否かを指標として、転写基板1およびモールド3の除電の要否を判断する。後述する離型工程では、モールド3を転写樹脂層5から引き離す際に、静電気の帯電(剥離帯電)が発生し、引き離されたモールド3と転写樹脂層5との間で静電気放電が生じるおそれがある。このため、モールド3を転写樹脂層5から引き離す前に、転写基板1とモールド3の電位差が許容値以内であるか判断し、許容値を超える場合に、転写基板1とモールド3の除電を行う。この転写基板1、モールド3の除電は、上記と同様に、軟X線照射方式により行うことができる。
この第2除電判断工程における転写基板1とモールド3の電位差の許容値は、上記の第1除電判断工程における転写基板1とモールド3の電位差が許容値と同じであってよく、また、異なるものであってもよい。例えば、モールド3を転写樹脂層5から引き離す際の静電気の帯電(剥離帯電)を考慮して、第1除電判断工程における許容値の上限よりも第2除電判断工程における許容値の上限を低く設定してもよい。
尚、この実施形態では、除電判断工程は、供給工程と接触工程との間で実施される第1除電判断工程と、硬化工程と離型工程との間で実施される第2除電判断工程からなるが、いずれか一方の除電判断工程のみであってもよい。
<離型工程>
次に、離型工程にて、転写樹脂層5とモールド3を引き離して、転写樹脂層5であるパターン構造体6を転写基板1上に位置させた状態とする(図1(D))。
<欠陥検査工程>
次いで、欠陥検査工程において、転写基板1上に形成したパターン構造体6に、静電気放電破壊による欠陥が存在するか否かを判断する。図2は、欠陥検査工程における静電気放電破壊による欠陥の有無の判断手順の一例を示すフローチャートである。欠陥検査工程について、図2を参照しながら説明する。
この欠陥検査工程では、まず、パターン構造体6を検査手段により観察して、欠陥の有無を判断する(ステップS01)。欠陥が検出されない場合(ステップS01の結果が“No”)、欠陥検査工程は終了する。欠陥が検出された場合(ステップS01の結果が“Yes”)、以下のようにして、当該欠陥が静電気放電破壊による欠陥であるか否かを判断する。
すなわち、検出された欠陥を観察して、異物の有無を判断する(ステップS02)。異物が存在する場合(ステップS02の結果が“Yes”)、パターン構造体6が異物を挟んだことによる欠陥であり、静電気放電破壊による欠陥ではないと判断し、欠陥検査工程は終了する。尚、異物とは、インクジェット方式で供給された液滴がミストとして漂い乾燥した固形物、インクジェットヘッド等のインプリント装置を構成する部材から生じる微粒子、インプリント装置内に存在する塵等、インプリントに関与することを目的としていない物質である。
一方、パターン構造体6の欠陥部位に異物が存在しない場合(ステップS02の結果が“No”)、当該欠陥がパターン欠落欠陥であるか判断する(ステップS03)。パターン欠落欠陥は、例えば、図3(A)〜図3(D)に示されるように、パターン構造体6が有するパターン6aに欠落6dが生じているような欠陥である。欠陥がパターン欠落欠陥であれば(ステップS03の結果が“Yes”)、モールド3の該当箇所に同じ寸法の異物詰まりが存在するか確認する(ステップS04)。そして、パターン構造体6のパターン欠落欠陥と同じ寸法の異物詰まりがモールド3に存在する場合(ステップS04の結果が“Yes”)には、静電気放電破壊による欠陥ではなく、モールド3の異物詰まりが原因の欠陥であると判断し、欠陥検査工程は終了する。
これに対して、欠陥がパターン欠落欠陥でない場合(ステップS03の結果が“No”)、あるいは、モールド3にパターン欠落欠陥と同じ寸法の異物詰まりが存在しない場合(ステップS04の結果が“No”)は、欠陥検査が全数検査であるか判断する(ステップS05)。パターン欠落欠陥ではない欠陥とは、例えば、パターンの傾き、倒れ、本来の位置から別の位置へのパターンの滑り等が挙げられる。また、全数検査であるとは、1個の転写基板において1回のみインプリント操作が行われ、複数個の転写基板に形成されたパターン構造体に対して必ず欠陥検査が行われる場合、および、1個の転写基板において複数回のインプリント操作がステップ&リピート方式で行われ、各インプリント操作において形成されたパターン構造体に対して必ず欠陥検査が行われる場合を意味する。したがって、1個の転写基板において1回のみインプリント操作が行われ、複数個の転写基板に形成されたパターン構造体6について、抜き取り的に欠陥検査が行われる場合、および、1個の転写基板において複数回のインプリント操作がステップ&リピート方式で行われ、各インプリント操作において形成されたパターン構造体に対して、抜き取り的に欠陥検査が行われる場合は、全数検査ではないこととなる。
欠陥検査が全数検査である場合(ステップS05の結果が“Yes”)、検出された欠陥は、静電気放電破壊による欠陥であると判断する(ステップS06)。そして、上記の第1除電判断工程、第2除電判断工程における許容値の上限を引き下げる(ステップS07)。これにより、以後のインプリントにおいて、除電が必要と判断される範囲が広がり、静電気放電破壊による欠陥の発生防止を図ることができる。
また、欠陥検査が全数検査でない場合(ステップS05の結果が“No”)、検出された欠陥が、同じモールド3を用いた以前のインプリントにおいて形成したパターン構造体6の同じ箇所で発生している繰り返し欠陥であるか検査する(ステップS08)。繰り返し欠陥ではない場合(ステップS08の結果が“No”)、今回のインプリントにおいて、転写基板1とモールド3との間における被成形樹脂組成物の展開不良による未充填欠陥であると判断し、欠陥検査工程は終了する。一方、繰り返し欠陥である場合(ステップS08の結果が“Yes”)、検出された欠陥は、静電気放電破壊による欠陥であると判断する(ステップS09)。ここでは、同じモールド3を用いた以前のインプリントにおいて形成したパターン構造体6を時系列で遡って検査し、同様の繰り返し欠陥が存在するパターン構造体に対して、静電気放電破壊による欠陥と判断する。そして、上記のステップS07の場合と同様に、第1除電判断工程、第2除電判断工程における許容値の上限を引き下げる(ステップS10)。これにより、以後のインプリントにおいて、除電が必要と判断される範囲が広がり、静電気放電破壊による欠陥の発生防止を図ることができる。
また、パターン構造体6に検出された欠陥が静電気放電破壊による欠陥と判断された場合、モールド3の凹凸構造の該当箇所も破壊されている。このため、必要であれば、モールド3の破壊部位の修復を行い、修復が困難であるときはモールドの交換を行って、次のインプリント操作へ進むことができる。
上記の検査手段は、パターン構造体の寸法等に応じて必要な解像能力を有するものを適宜選定することができ、例えば、光学顕微鏡、電子顕微鏡、光検査機(光の波長のレーザーでスキャンするタイプ)、X線検査機(小角X線散乱法の装置は、ナノスケールの周期構造の評価が可能)、電子線検査機(電子線でスキャンするタイプ)等を挙げることができる。
上述の本発明のインプリント方法では、モールドが備える凹凸構造や転写基板に形成したパターン構造体に対する静電気放電による破壊が防止され、また、異物等の付着も防止され、高精度のパターン構造体を安定して作製することができる。
尚、本発明のインプリント方法では、複数回のインプリントにおいて静電気放電破壊による欠陥の発生がみられない場合、第1除電判断工程、第2除電判断工程における許容値の設定が安全サイドに寄りすぎていることもあるので、許容値の設定を見直し、必要があれば、許容値の上限を引き上げてもよい。
[インプリント装置]
図4は本発明のインプリント装置の一実施形態を示す側面図であり、図5は図4に示されたインプリント装置の平面図である。図4、図5において、本発明のインプリント装置11は、モールド3を保持するためのモールド保持部12と、転写基板1を保持するための基板保持部14と、転写基板1上に被成形樹脂組成物の液滴を供給するための液滴供給部17と、モールド3の表面電位、転写基板1の表面電位を検出するための帯電電位検出部18と、軟X線照射方式の静電気除去部19と、モールド保持部12、基板保持部14、液滴供給部17、帯電電位検出部18、および、静電気除去部19を制御する制御部20と、を備えている。
(モールド保持部12)
インプリント装置11を構成するモールド保持部12は、モールド3を保持するものであり、モールド3の保持機構は、例えば、吸引による保持機構、機械挟持による保持機構、静電気による保持機構等であってよく、保持機構には特に制限はない。また、モールド保持部12は、昇降機構13により図示の矢印Z方向で昇降可能とされていてもよい。このようなモールド保持部12の上方には、被成形樹脂組成物として光硬化性樹脂組成物を使用した場合の樹脂硬化のために、図示しない光源、光学系が配設されている。
(基板保持部14)
インプリント装置11を構成する基板保持部14は、インプリント用の転写基板1を保持するものであり、転写基板1の保持機構は、例えば、吸引による保持機構、機械挟持による保持機構、静電気による保持機構等であってよく、保持機構には特に制限はない。この基板保持部14は、水平駆動機構16によってXYステージ15上を水平面内で移動可能とされている。尚、図4では、基板保持部14は液滴供給位置にあり、XYステージ15上を水平面内で移動させることにより、モールド保持部12下方の転写位置、欠陥検査を行い検査位置に移動可能である。尚、検査位置は、転写位置と同じ、あるいは、液滴供給位置を同じであってもよい。
(液滴供給部17)
インプリント装置11を構成する液滴供給部17は、基板保持部14に保持された転写基板1上に被成形樹脂組成物の液滴を供給するものであり、インクジェット装置(図示例ではインクジェットヘッド17Aのみを示している)を備えている。液滴供給部17が備えるインクジェット装置は、基板保持部14に保持された転写基板1上に被成形樹脂組成物の液滴を供給するためのインクジェットヘッド17Aの所望の動作、例えば、XYステージ15の水平面に平行な面内での往復動作等を可能とする駆動部、インクジェットヘッド17Aへのインク供給部等を具備している。
(帯電電位検出部18)
インプリント装置11を構成する帯電電位検出部18は、モールド保持部12に保持されるモールド3の表面電位、基板保持部14に保持される転写基板1の表面電位を測定するものである。図示例では、帯電電位検出部18は、モールド保持部12に保持されるモールド3の表面電位を測定するための表面電位センサ18Aと、基板保持部14に保持される転写基板1の表面電位を測定するための表面電位センサ18Bを備えている。帯電電位検出部18を構成する表面電位センサ18A,18Bは、固定式であってもよいし、可動式であってもよい。表面電位センサ18A,18Bが可動式である場合、帯電電位検出部18の非作動時には所定位置に待機可能であるように構成してもよい。また、表面電位センサ18Aは、可動の検出部を有し、転写基板1の表面電位を測定するための位置と、モールド3の表面電位を測定するための位置との間を移動可能なものであってよい。また、表面電位センサ18Aは、転写基板1の表面電位測定用の検出部、モールド3の表面電位測定用の検出部を備えているものであってもよい。
(静電気除去部19)
インプリント装置11を構成する静電気除去部19は、従来公知の軟X線照射方式の静電気除去装置を有している。図示例では、静電気除去部19は、モールド保持部12に保持されるモールド3に対して軟X線を照射できるように配設されている静電気除去装置19Aと、基板保持部14に保持される転写基板1に対して軟X線を照射できるように配設されている静電気除去装置19Bを備えている。また、静電気除去装置19Aは、基板保持部14がモールド保持部12下方の転写位置に位置しているときに、モールド3と転写基板1の両方に対して軟X線を照射できるように配置されている。静電気除去装置19A,19Bから照射される軟X線は、所望の角度で放射状(図5では、放射状の両端部を便宜的に二点鎖線で示している)に照射され、その照射中心の方向が、モールド保持部12に保持されたモールド3の中心部位、基板保持部14に保持された転写基板1の中心部位に向かう方向とされている。尚、本発明における軟X線とは、真空紫外線(VUV)領域と軟X線領域を含む範囲の領域での光を指し、数値としては波長λが、0.1nm≦λ≦30nmの範囲の光を指す。
このような静電気除去部19を構成する静電気除去装置19A,19Bは、固定式であってもよいし、可動式であってもよい。静電気除去装置19A,19Bが可動式である場合、静電気除去装置19A,19Bの非作動時には所定位置に待機可能であるように構成してもよい。
(制御部20)
インプリント装置11を構成する制御部20は、インプリント時の転写基板1に近接する降下位置、転写基板1が移動する際に退避する上昇位置等、所望の位置にモールド3を移動させるために、モールド保持部12の昇降機構13の矢印Z方向の昇降を制御するものである。また、液滴供給部17からの液滴供給を受ける位置、インプリント時のモールド保持部12下方の転写位置、検査位置等、所望の位置に転写基板1を移動させるために、水平駆動機構16による基板保持部14のXYステージ15上での移動を制御するものである。また、液滴供給部17が備えるインクジェット装置による液滴供給を制御するものである。また、帯電電位検出部18が検出したモールド3と転写基板1の電位差が許容値を超える場合に、静電気除去装置19A,19Bから軟X線を照射することにより、モールド3および/または転写基板1を除電するように静電気除去部19を制御するものである。
このような制御部20は、例えば、コンピュータであり、上記のような制御を実行するプログラムがプログラム格納部(図示せず)に格納されている。このプログラムは、例えば、ハードディスク(HD)、コンパクトディスク(CD)、DVD、フラッシュメモリ等のコンピュータに読み取り可能な記録媒体に記録されたものであって、その記録媒体から制御部20にインストールされたものであってもよい。
ここで、制御部20における制御について説明する。図6および図7は、制御部20による制御の一例を説明するためのフローチャート図である。
インプリントが開始されると、制御部20は、水平駆動機構16を作動させることにより、インプリント用の転写基板1を保持する基板保持部14をXYステージ15上の液滴供給位置に移動させる(ステップS21)。このようなXYステージ15上における基板保持部14の移動により、静電気の帯電(摩擦帯電)が生じ、転写基板1の表面電位が増大する場合がある。
次に、制御部20は、基板保持部13に保持されている転写基板1上の所望の領域に、液滴供給部17のインクジェットヘッド17Aから被成形樹脂組成物の液滴を吐出して供給する(ステップS22)。この液滴の供給は、本発明のインプリント方法の供給工程に対応する。この供給工程では、インクジェットヘッド17Aから吐出された被成形樹脂組成物の液滴が転写基板1と接触する際に、静電気の帯電(接触帯電)が生じ、転写基板1の表面電位が増大する場合がある。
次いで、制御部20は、帯電電位検出部18を作動させることにより、モールド保持部12に保持されるモールド3の表面電位を表面電位センサ18Aによって測定し、基板保持部14に保持される転写基板1の表面電位を表面電位センサ18Bによって測定する。そして、測定した転写基板1とモールド3の電位差が許容値以内であるか判断する(ステップS23)。このステップS23は、本発明のインプリント方法における上記の第1除電判断工程である。
この第1除電判断工程(ステップS23)において、転写基板1とモールド3の電位差が許容値以内ではないと判断(ステップS23にて“No”)された場合、制御部20は、静電気除去部19の静電気除去装置19Bを作動させることにより、転写基板1の除電を行う(ステップS24)。その後、制御部20は、水平駆動機構16を作動させることにより、インプリント用の転写基板1を保持する基板保持部14をXYステージ15上の液滴供給位置から転写位置へ移動させる(ステップS25)。一方、第1除電判断工程において、転写基板1とモールド3の電位差が許容値以内であると判断(ステップS23にて“Yes”)された場合、制御部20は、水平駆動機構16を作動させることにより、インプリント用の転写基板1を保持する基板保持部14をXYステージ15上の液滴供給位置から転写位置へ移動させる(ステップS25)。
次に、制御部20は、帯電電位検出部18を作動させることにより、モールド保持部12に保持されるモールド3の表面電位を表面電位センサ18Aによって測定し、基板保持部14に保持される転写基板1の表面電位を表面電位センサ18Bによって測定する。そして、測定した転写基板1とモールド3の電位差が許容値以内であるか判断する(ステップS26)。このステップS26は、本発明のインプリント方法における上記の第1除電判断工程である。上記のステップS23に加えて、再び第1除電判断工程を設けるのは、上記のステップS25において、XYステージ15上を基板保持部14が液滴供給位置から転写位置へ移動することにより、静電気の帯電(摩擦帯電)が生じ、転写基板1の表面電位が増大する場合があることを考慮したものである。
この第1除電判断工程において、転写基板1とモールド3の電位差が許容値以内ではないと判断(ステップS26にて“No”)された場合、制御部20は、静電気除去部19の静電気除去装置19Aを作動させることにより、転写基板1とモールド3の除電を行う(ステップS27)。その後、制御部20は、モールド保持部12の昇降機構13を作動させることにより、基板保持部14に保持されている転写基板1にモールド3を近接させる(ステップS28)。一方、第1除電判断工程において、転写基板1とモールド3の電位差が許容値以内であると判断(ステップS26にて“Yes”)された場合、制御部20は、モールド保持部12の昇降機構13を作動させることにより、基板保持部14に保持されている転写基板1にモールド3を近接させる(ステップS28)。
上記の転写基板1へのモールド3の近接(ステップS28)は、本発明のインプリント方法の接触工程に対応し、これにより、転写基板1とモールド3との間に被成形樹脂組成物を展開し被成形樹脂層を形成する。
次に、制御部20は、モールド保持部12が備える図示しない光源、光学系を作動させて、モールド3と転写基板1との間に位置している被成形樹脂層を硬化させる(ステップ29)。このステップS29は、本発明のインプリント方法における硬化工程である。
次いで、制御部20は、帯電電位検出部18を作動させることにより、モールド保持部12に保持されるモールド3の表面電位、基板保持部14に保持される転写基板1の表面電位を表面電位センサ18Aによって測定する。そして、測定した転写基板1とモールド3の電位差が許容値以内であるか判断する(ステップS30)。このステップS30は、本発明のインプリント方法における上記の第2除電判断工程である。
この第2除電判断工程において、転写基板1とモールド3の電位差が許容値以内ではないと判断(ステップS30にて“No”)された場合、制御部20は、静電気除去部19の静電気除去装置19Aを作動させることにより、転写基板1とモールド3の除電を行う(ステップS31)。その後、制御部20は、モールド保持部12の昇降機構13を作動させることにより、硬化された被成形樹脂層からモールド3を引き離す(ステップS32)。一方、第2除電判断工程において、転写基板1とモールド3の電位差が許容値以内であると判断(ステップS30にて“Yes”)された場合、制御部20は、モールド保持部12の昇降機構13を作動させることにより、硬化された被成形樹脂層からモールド3を引き離す(ステップS32)。
上記の被成形樹脂層からのモールド3の引き離し(ステップS32)は、本発明のインプリント方法の離型工程に対応し、これにより、転写基板1上に硬化した被成形樹脂層であるパターン構造体が位置した状態となる。
次いで、制御部20は、水平駆動機構16を作動させることにより、パターン構造体が形成された転写基板1を保持する基板保持部14をXYステージ15上の検査位置に移動させる(ステップS33)。
次に、転写基板1上に形成したパターン構造体に、静電気放電破壊による欠陥が存在するか否かを判断する(ステップS34)。
このステップS34において、静電気放電破壊による欠陥が存在すると判断(ステップS34にて“Yes”)された場合、インプリント工程における当該転写基板1とモールド3の電位差を参照する(ステップS35)。そして、ステップS23、ステップS26(第1除電判断工程)、および、ステップS34(第2除電判断工程)の少なくとも1つの許容値の上限を引き下げる(ステップS36)。除電判断の許容値の上限を引き下げることにより、以後のインプリントにおいて、除電が必要と判断される範囲が広がり、静電気放電破壊による欠陥の発生を防止することができる。上限が引き下げられた除電判断の許容値は、制御部20に入力され、格納される。また、パターン構造体に静電気放電破壊による欠陥が存在する場合、モールド3の凹凸構造の該当箇所も破壊されている。このため、必要に応じて、破壊部位の修復を行い、修復が困難であるときはモールドの交換を行う(ステップS37)。その後、ステップS21に戻り、次のインプリント操作へ進む。
一方、ステップS34において、静電気放電破壊による欠陥が存在しないと判断(ステップS34にて“No”)された場合、インプリントが必要回数に到達しているか否かを判断する(ステップS38)。インプリントが必要回数に到達していないと判断(ステップS38にて“No”)された場合、ステップS21に戻り、次のインプリント操作へ進む。また、インプリントが必要回数に到達していると判断(ステップS38にて“Yes”)された場合、インプリントを終了する。
上記のステップS34〜ステップS37は、本発明のインプリント方法の欠陥検査工程に対応し、静電気放電破壊による欠陥の有無は、例えば、図2を参照して説明した上述のような判断手順により行うことができる。ステップS34〜ステップS37における欠陥検査工程は、検査プログラムに従って実施されてもよく、また、人為的に行ってもよい。欠陥検査工程が人為的に実施される場合、ステップS36で上限が引き下げられた除電判断の許容値を制御部20に入力することが必要となる。
このような本発明のインプリント装置では、モールドが備える凹凸構造や転写基板に形成したパターン構造体に対する静電気放電による破壊が防止され、また、異物等の付着も防止され、これにより、高精度のパターン構造体を安定して作製することができる。
上述のインプリント装置の実施形態は例示であり、本発明は当該実施形態に限定されるものではない。例えば、制御部20を備えていないものであってもよい。
また、上述のインプリント装置11では、被成形樹脂層を硬化させるための光源、光学系(図示せず)がモールド保持部12側に配設されているが、これは、使用するモールド3が石英等の光透過性材料からなることを前提としたものである。使用するモールド3が遮光性材料からなり、基板保持部14から転写基板1を介した光照射が可能である場合、光源、光学系は、基板保持部14側に配設することができる。また、使用するモールド3が光透過性材料からなるものであっても、基板保持部14から転写基板1を介した光照射が可能である場合、光源、光学系を基板保持部14側に配設してもよく、また、光源、光学系をモールド保持部12側、および、基板保持部14側の双方に配設してもよい。また、被成形樹脂組成物として熱硬化性樹脂を使用する場合には、本発明のインプリント装置は、光源、光学系が配設されていない構成であってもよい。
インプリント方法を用いた種々のパターン構造体の製造、基板等の被加工体へ微細加工等に適用可能である。
1…転写基板
3…モールド
5′…液滴
5″…被成形樹脂層
5…転写樹脂層
6…パターン構造体
11…インプリント装置
12…モールド保持部
14…基板保持部
17…液滴供給部
18…帯電電位検出部
19…静電気除去部
20…制御部

Claims (5)

  1. 被成形樹脂組成物を転写基板に供給する供給工程と、
    凹凸構造を有するモールドと前記転写基板とを近接させることにより前記モールドと前記転写基板との間に前記被成形樹脂組成物を展開し被成形樹脂層を形成する接触工程と、
    前記被成形樹脂層を硬化させることにより転写樹脂層とする硬化工程と、
    前記転写樹脂層と前記モールドを引き離すことにより、前記転写樹脂層であるパターン構造体を前記転写基板上に位置させた状態とする離型工程と、を有し、
    前記供給工程と前記接触工程との間、前記硬化工程と前記離型工程との間の少なく一方に、前記モールドと前記転写基板の電位差が許容値以内であるか否かを指標として、前記モールドおよび/または前記転写基板の除電の要否を判断する除電判断工程を有し、
    前記離型工程後に、静電気放電破壊による欠陥が前記パターン構造体に存在するか否かを判断する欠陥検査工程を有し、
    前記欠陥検査工程において静電気放電破壊による欠陥の存在が確認された場合、前記除電判断工程における許容値の上限を引き下げることを特徴とするインプリント方法。
  2. 前記欠陥検査工程は、欠陥検査が全数検査であり、検出された欠陥における異物の有無を観察し、異物が存在しない場合、次に、前記欠陥がパターン欠落欠陥であるか否かを判断し、パターン欠落欠陥であると判断された場合であって前記モールドの対応した箇所に異物詰まりが存在しない場合、および、パターン欠落欠陥ではないと判断された場合、静電気放電破壊による欠陥と判断することを特徴とする請求項1に記載のインプリント方法。
  3. 前記欠陥検査工程は、欠陥検査が全数検査ではなく、検出された欠陥における異物の有無を観察し、異物が存在しない場合、次に、前記欠陥がパターン欠落欠陥であるか否かを判断し、パターン欠落欠陥であると判断された場合であって前記モールドの対応した箇所に異物詰まりが存在しない場合、および、パターン欠落欠陥ではないと判断された場合は、次に、前記欠陥が前記モールドを用いた以前のインプリントにおいて同じ箇所で発生しているかを検査し、同じ箇所で発生している場合、静電気放電破壊による欠陥と判断することを特徴とする請求項1に記載のインプリント方法。
  4. 前記除電判断工程では、前記モールドと前記転写基板の電位差が許容値を超える場合に、軟X線を照射することにより前記モールドおよび/または前記転写基板の除電を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のインプリント方法。
  5. 転写基板上にパターン構造体を形成するインプリント装置において、
    モールドを保持するためのモールド保持部と、
    転写基板を保持するための基板保持部と、
    前記転写基板上に被成形樹脂組成物の液滴を供給するための液滴供給部と、
    前記モールドと前記転写基板の表面電位を測定する帯電電位検出部と、軟X線照射方式の静電気除去部と、
    前記モールド保持部、前記基板保持部、前記液滴供給部を制御すると共に、前記帯電電位検出部が測定した前記モールドと前記転写基板の電位差が許容値を超える場合に、軟X線を照射することにより前記モールドおよび/または前記転写基板を除電するように前記静電気除去部を制御する制御部と
    を有することを特徴とするインプリント装置。
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