JP6413381B2 - ゲル状栄養組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、栄養補給を目的として使用される経口用途のゲル状栄養組成物に関する。
現代人の生活形態は多様性を増すと共に、その食生活のスタイルも著しく変化している。その特徴として、食事時間に制約があり非常に短時間で食べなければならなかったり、家庭や食堂などの食事をするのに適した場所での食事がとれなかったり、外食が増え摂取する栄養のバランスが著しく乱れたりすることなどが挙げられる。特に、メタボリックシンドロームなどの言葉で分かるように、エネルギーの過剰摂取、蛋白質や食物繊維、ビタミン、ミネラルの摂取不良などが指摘されている。そこで近年、従来の打錠タイプのいわゆるサプリメントだけでなく短時間で場所を問わず飲食でき、しかも栄養バランスに優れている飲料タイプやドリンクゼリータイプなどの健康機能食品として栄養機能を持つ組成物の需要が増している。
栄養組成物の中でも、販売のときにはすでに飲料やドリンクゼリーの性状であるものは、事前に水と容器を用意し、溶解作業を行う必要がある用時調整用粉末と比較すると、利便性に優れており現代人の生活形態に適している。特に、飲料と比べドリンクゼリーは半固形物を喫食することから食事の満足感を得ることが可能である。また飲料と比べ保型性があり食後の胃内滞留時間も長くなることから、満腹感が持続するため、栄養組成物の剤形として非常に優れている。
ゲル状栄養組成物は、栄養補給を目的としていることから、蛋白質、油脂、ミネラル、ビタミン類が適宜含有される。特にたんぱく質を含むゲル状栄養組成物は酸による凝集やミネラルによる凝集により不均一性を生じ、食感の悪さや見た目の悪さにより商品価値が低くなる。また、生体内の代謝維持に必要な必須脂肪酸を含む油脂を含有したゲル状栄養組成物はその製造に対し乳化安定性など一定の技術開発が必要であることから、健康機能食品市場における製品数はほとんどない。なぜなら、乳化安定性に乏しいとオイルオフと呼ばれる油脂の分離が生じ、油っぽい風味を与えてしまうだけでなく、オイルオフまで至らない乳化粒子の浮上であるクリーミングが起きても見た目の不均一感により商品価値が低くなる。
果汁ジュースに代表されるように、栄養組成物はpHを3.0〜4.0の酸性とすることで爽やかな酸味を呈し、日常に摂取が可能な喫食に優れた風味となる。また、pHを酸性とすることで加熱殺菌工程における殺菌条件を緩和することが可能であることから、製造工程においても有利である。
以上の背景より、酸性条件下において蛋白質、油脂、ミネラルなどの栄養成分を含有したゲル状栄養組成物の開発が求められていた。さらには、ゲル状栄養組成物には、大きくは、調合時の乳化性、耐熱乳化保持性2つの性能に対する要求が厳しく、これら性能の改善のためには、嗜好品としてのゲル状食品に用いられる技術を直ちに応用することができない。ゲル状栄養組成物が、水に対して乳化分散しにくい油脂や、乳化系を破壊に作用するミネラル等の栄養成分を高濃度で含有するためである。また、外観の均一性も品質の重要なポイントである。
ゲル状栄養組成物の開発においては、これらの要求を満たすために、様々な方法が試みられてきた。例えば酸性安定性を有する乳清蛋白質を用いて、蛋白質とカルシウムを高含有し、爽やかな酸味を有するゲル状組成物を得る方法を開示している。この方法でゲルを調整すると、酸性条件下で透明に溶解するホエイ(乳清)蛋白質分離物を用いても、記載条件のカルシウム含量を添加して加熱殺菌を行うと、蛋白質の部分的な凝集を生じてしまい、食感や、見た目の均一性を得ることができない。
特許文献2には、大豆多糖類を用いることで乳清蛋白質加水分解物の荷電をマイナス荷電に維持させることで、酸性条件下でジェランガムを用いても凝集沈殿を生じず優れたゲル強度が得られる技術が開示されている。本技術により酸性条件化で安定的に蛋白質が配合され、優れた食感のゼリーを得ることができるが、大豆多糖類で処理された蛋白質はその荷電が弱く、容易にミネラルによる凝集、沈殿を生じてしまい、カルシウムやマグネシウムなどを含有することが難しい。また、凝集物により、均一性を得ることができない。
特許文献3には、特定のペプチド、糖質、ポリグリセリン脂肪酸エステルの組合せによる、蛋白質、油脂、およびミネラルなどをバランスよく含む酸性の液状栄養組成物の調製法が開示されている。しかし、この技術では乳化安定化を目的とした均質化処理のために、高圧ホモジナイザーを用いての高圧力条件での均質化処理によってようやく乳化安定化が得られる。このような高い高せん断条件は、ゲル状栄養組成物に対しては、粘度が高すぎるために装置能力的に適用することがほとんど不可能であるし、適用できたとしても、高分子化合物であるゲル化剤が強いせん断力により高分子鎖の減成を招き、目的とする物性が得られない問題が生じる恐れがある。液状栄養組成物における解決手段は、ゲル状栄養組成物に対して、直ちに応用することは難しい。
国際公開第2004/028279号パンフレット 特開2005−6663号公報 特開2012−135257号公報
本発明は、蛋白質、油脂、ミネラルをバランスよく含みながら、高度な製造設備を必要とせずに高い乳化安定性を有する酸性のゲル状栄養組成物を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、乳化剤として特定の非荷電性高分子性乳化剤と、特定の(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルを組み合わせて、油脂に対して特定の比率で使用することによって、前記の課題を解決できることの知見を見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の(1)〜(8)である。
(1)蛋白質、乳化剤、油脂、ミネラル、ゲル化剤、および水を含有するゲル状栄養組成物であって、ゲル状栄養組成物の固形分がゲル状栄養組成物全体に対して3〜20質量%であり、
前記蛋白質は、実質的にペプチドのみまたはペプチドとアミノ酸とからなり、
前記乳化剤は、(A)非荷電性高分子性乳化剤、および(B)HLBが6.0〜9.5で(ポリ)グリセリル残基の分子量が150〜400である(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルを含み、油脂100質量部に対して前記(A)を6〜300質量部および前記(B)を5〜190質量部含有する、ゲル状栄養組成物。
(2)前記非荷電性高分子性乳化剤(A)がオクテニルコハク酸デンプンナトリウムである前記の(1)に記載のゲル状栄養組成物。
(3)重量平均分子量1000〜5000の植物性ペプチドを含む前記の(1)または(2)に記載のゲル状栄養組成物
(4)前記蛋白質が、さらにコラーゲンペプチドを含有する前記の(1)〜(3)のいずれかに記載のゲル状栄養組成物
(5)さらにミネラルを含有する、前記の(1)〜(4)のいずれかに記載のゲル状栄養組成物。
(6)加熱殺菌処理されたものである、前記の(1)〜(5)のいずれかに記載のゲル状栄養組成物。
(7)前記加熱殺菌処理後の乳化粒子径が4〜14μmである、前記の(1)〜(6)に記載のゲル状栄養組成物。
(8)pHが3.0〜4.0である、前記の(1)〜(7)のいずれかに記載のゲル状栄養組成物。
本発明によれば、蛋白質、油脂、ミネラルをバランスよく含みながら、高度な製造設備を必要とせずに高い乳化安定性を有し、カップゼリー、テトラパックゼリー、およびスティックゼリーなどにも適用できるゲル状の栄養組成物が提供される。
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、栄養補給を目的として使用される、ゲル状の栄養組成物に関する。
(ゲル状栄養組成物)
本発明のゲル状栄養組成物は、ゼリー、ゼリー飲料、ドリンクゼリー、クラッシュゼリーなどの呼称で呼ばれるゲル状の栄養組成物が代表的なものであるが、これに限られるものではない。基本組成としては、水、蛋白質、脂質、ゲル化剤、ビタミン、ミネラルから構成され、そのバランスは厚生労働省において策定された「日本人の食事摂取基準(2010年度版)」などを参考にして、それぞれの目的に則して設定される。
(pH)
本発明のゲル状栄養組成物は、嗜好に合わせて自由にpHを設定することができるが、好ましくはpHが3.0〜4.0であり、さらに好ましくはpHが3.5〜4.0である。pHを該範囲にすることによって、果汁ジュースやヨーグルト等に代表される爽やかな飲み口とすることができる。また、pHが酸性であると、殺菌条件を緩和することが可能であり経済上のメリットが得られる傾向にある。ゲル状栄養組成物が酸性の場合、ゲル状栄養組成物中に含まれる蛋白質の凝集等が生じ白濁が生じやすくなるほか、凝集により蛋白質が有する強固な乳化安定性が失われ、耐熱乳化保持性が得られなくなるが、本発明によれば、pHが3.0〜4.0の場合であっても、調合時の乳化性と耐熱乳化保持性が高く、均一感を有するゲル状栄養組成物を提供できる。ゲル状栄養組成物におけるpHの調整方法は、当業者に公知の方法で行うことができる。例えば、pHを低くするために酸味料等を用いることができる。酸味料としては、特に限定されず一般に用いられるものを使用できるが、例えば、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、乳酸、グルコン酸、フィチン酸、リン酸等が挙げられる。酸味の味質の点から、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸が好ましく用いられる。
(固形分)
ゲル状栄養組成物における固形分とは、ゲル状栄養組成物中に溶存している固形分濃度を意味し、質量%で示される。ここでの固形分とは、蛋白質や糖質など各種水溶性物質の濃度を示す指標であり、20℃における屈折率を測定し、ショ糖溶液の質量/質量パーセントに換算(ICUMSA(国際砂糖分析法統一委員会)の換算表を使用)した値を用いる。固形分の測定は、一般に市販されている屈折計を用いればよく、例えば、デジタル屈折計(アタゴ手持屈折計、(株)アタゴ製)で測定することができる。本発明のゲル状栄養組成物は、固形分が3〜20質量%であり、好ましくは5〜20質量%である。固形分が3質量%よりも低い場合、栄養学的価値が失われる。さらに固形分が20質量%より高い場合、良好な栄養バランスを考慮すると必然的にその固形分のほとんどが糖質となる。しかし、蛋白質、油脂、ミネラル、ビタミン類などの生体内の代謝維持に必須な栄養成分と異なり、現代人のライフスタイルには過剰なエネルギー源として摂取されてしまうのみで、栄養過多を促進するだけであることから、栄養学的に好ましくない。さらには、固形分つまり糖質が多くなると、調合時の粘性が高くなるので、本発明の調合時の乳化性も必ずしも必要なくなる。
調合時の乳化性とは、ゲル状栄養組成物を調合する際の乳化性に関する性能であり、調合後の均一分散性と乳化粒径の評価によって評価することができる。ゲル状栄養組成物は調合時の流動性が低いため、用いる装置能力の限界、或いはゲル化剤高分子鎖の切断の回避から、高くても25MPa以下の均質化圧力で調製される。
ゲル状栄養組成物は、無菌状態で製品供給されるよう、乳化分散操作後、容器充填の前後で高温に曝される加熱殺菌の工程を経なければならない。耐熱乳化保持性とは、この加熱殺菌後の乳化安定性を意味する。高温下では分子運動の増大によって乳化粒子の合一や成分の凝集が起こりやすくなり、これに抗する性能が必要である。前記の調整時の乳化性が乳化安定性のうちでも「乳化のしやすさ」に近い性能であるのに対し、これとは異なり、耐熱乳化保持性は「乳化の保ちやすさ」に近い性能であるといえる。これらの乳化が不十分であると、大量製造時の均一な成分の充填ができなくなるだけでなく、オイルオフと呼ばれる油脂の分離が生じ油っぽい風味を与えてしまう。オイルオフまで至らない乳化粒子の浮上であるクリーミングがおきても見た目の不均一感により商品価値が低下する。
次に、ゲル状栄養組成物に含有される各成分等について順に説明する。
(蛋白質)
本明細書において、蛋白質という用語は、高分子の蛋白質だけでなく、低分子のペプチドおよびそれらの構成要素であるアミノ酸をも含むものとして使用する。本発明のゲル状栄養組成物において、蛋白質は、実質的にペプチドのみまたはペプチドとアミノ酸とからなる。ペプチドとしては、例えば、ゼラチン、乳、大豆、鶏卵、鶏肉、魚肉、豚肉、牛肉、小麦、とうもろこし等を、アルカリ若しくは酸または酵素等を用いて分解した物が挙げられる。アミノ酸としては、例えば、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−メチオニン、L−システイン、L−フェニルアラニン、L−チロシン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−バリン、L−ヒスチジン等が挙げられる。実質的にペプチドのみまたはペプチドとアミノ酸とからなるとは、本発明の効果を失わせない範囲で、ペプチドおよびアミノ酸以外の蛋白質、すなわち高分子の蛋白質を含むことを許容することを意味する。ペプチドおよびアミノ酸以外の蛋白質は、ゲル状栄養組成物全体に対して、2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましい。ペプチドおよびアミノ酸以外の蛋白質がこの程度の量であることを、蛋白質は実質的にペプチドのみまたはペプチドとアミノ酸とからなるという。
(蛋白質のコラーゲンペプチド)
本発明のゲル状栄養組成物には、蛋白質としてコラーゲンペプチドを用いることができる。コラーゲンペプチドはゼラチンの酸、アルカリまたは酵素による分解物であり、その重量平均分子量は、通常2000〜50000、好ましくは4000〜20000である。分子量が小さすぎると遊離アミノ酸や低分子のペプチドによる苦味やえぐ味が強くなり、分子量が大きすぎるとゲル化性が充分に失われず、20〜28℃を境に、温度が低くなるとゲルが固くなり、温度が高くなるとゲルが柔らかくなってしまい、品質の安定性が得られない。コラーゲンペプチドは容易に溶解し、酸性領域で熱殺菌を経る場合においても透明に溶解する利点を持つ。コラーゲンペプチドの由来としては、牛や豚や魚や鳥などの骨や皮や鱗や鶏冠などが挙げられる。
(蛋白質の植物性ペプチド)
本発明のゲル状栄養組成物には、蛋白質として重量平均分子量が1000〜5000の植物性ペプチドを用いることが好ましい。好ましくは植物ペプチドの重量平均分子量が2000〜3000である。重量平均分子量が1000より小さいと臭味や苦味や旨味が強くなる。逆に5000より大きいと、ペプチド自身が不要化し白濁沈殿しゲル化を阻害したり、乳化粒子の粗大化を引き起こし乳化安定性が低下したりする。この乳化安定性が低下するメカニズムについては必ずしも明確にはなっていないが以下のようなことが考えられる。本発明は後述する乳化剤が、乳化構造を維持する重要な役割を果たす。しかし、植物性蛋白質は疎水性部位と親水性部位を併せ持ち、乳化機能を有するため、分解の程度が少ないと、乳化機能が残存し、乳化剤の乳化機能を阻害してしまうと考えられる。平均分子量が小さい植物性ペプチドは油水界面に相互作用するだけの疎水性部位を持たないために、乳化に影響を与えないものと推測される。植物性ペプチドの種類としては、大豆ペプチド、大麦ペプチド、小麦ペプチド、小麦胚芽ペプチド、エンドウペプチド、コメペプチドが挙げられる。なかでも大豆ペプチドは後述するアミノ酸スコアが高く、非常に望ましい。
(蛋白質の乳ペプチド)
本発明のゲル状栄養組成物には、分解度が23〜35の乳ペプチドを用いることが好ましい。分解度が大きすぎると、臭味または苦味が強くなる。分解度が小さすぎると、ペプチド自身が不溶化し白濁沈澱を生じる。また、高分子体がゲル状栄養組成物中に分散していることで、ゲル化剤の機能が阻害され、求める物性が得られなくなる恐れがある。乳ペプチドの種類としては、総合乳蛋白質ペプチド、カゼインペプチド、およびホエイ(乳清)ペプチド等が挙げられる。
本発明のゲル状栄養組成物に配合するペプチドは、蛋白質の栄養学的な質を表すアミノ酸スコアと、健康機能食品としての消費者イメージから植物性ペプチド、特に大豆ペプチドが好適に用いられる。そして、植物性ペプチドのみで構成すると植物性ペプチド特有の苦味を感じやすいため、コラーゲンペプチドと併用することが好ましく、栄養学的なアミノ酸組成を優れたものとするため適宜遊離アミノ酸を併用することがさらに好ましい。スポーツニュートリションをターゲットとした健康機能食品の場合は植物性ペプチドに変えて、乳ペプチドとすることも消費者イメージの点から同様に好ましい。
ゲル状栄養組成物中の蛋白質の含有量としては、ゲル状栄養組成物全体に対して、好ましくは2〜10質量%であり、より好ましくは4〜8質量%である。蛋白質の含有量が少なすぎると栄養学的な価値が低くなり、の含有量が多すぎると蛋白質特有の味が強くなりすぎる。
(油脂)
油脂は、本発明の効果に影響を与えない限り特に限定されず、一般に食用として利用されているものを使用できる。油脂としては、例えば、MCTの他にナタネ油、大豆油、コーン油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、ヒマワリ油、オリーブ油、米油、シソ油等の植物性油脂、並びに牛脂、豚脂、乳脂、魚油などが挙げられ、好ましくはMCTである。油脂の添加量としては、好ましくは0.1〜3質量%であり、より好ましくは0.5〜2.5質量%である。油脂の添加量が低すぎる場合、ゲル状栄養組成物に求められる栄養学的な価値が失われ、油脂の添加量が多すぎる場合、油滴によりゲル化剤の網目構造が阻害され、ゲル化剤の機能が十分に発揮できなくなる。
(乳化剤)
本発明のゲル状栄養組成物は、乳化剤として、非荷電性高分子性乳化剤(A)と(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル(B)を含有する。
<非荷電性高分子性乳化剤(A)>
本発明において、非荷電性高分子性乳化剤(A)とは、蛋白質を主成分とせず、多糖を主成分とした界面活性能を有する物質をいう。非荷電性高分子性乳化剤(A)としては、例えばアルケニルコハク酸デンプンエステル金属塩等の加工デンプン、トラガントガム、コーンファイバーガムなどが挙げられる。アルケニルコハク酸デンプンエステル金属塩とは、炭素数5〜22のアルケニル基を有するコハク酸のデンプンエステルの金属塩である。アルケニル基を有するコハク酸としてオクテニルコハク酸、デセニルコハク酸、ドデセニルコハク酸、テトラデセニルコハク酸、ヘキサデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸等が挙げられる。金属塩としてはナトリウムの他、マグネシウム、鉄、カルシウム等が挙げられる。この中でもオクテニルコハク酸を用いたデンプンエステルのナトリウム塩が好ましい。
オクテニルコハク酸デンプンナトリウムとは、デンプンを無水オクテニルコハク酸でエステル化して得られる加工デンプンのナトリウム塩をいう。原料デンプンとしては、馬鈴薯デンプン、タピオカデンプン、コーンデンプン(コーンスターチ)、ワキシーコーンスターチ、およびそれらの加水分解物等が挙げられる。通常、デンプンの懸濁液をアルカリ性下、無水オクテニルコハク酸物で処理して得ることができる。無水物の開環反応で生成する2−(4−オクテニル)コハク酸の片端のカルボキシル基がデンプンのグルコース残基の水酸基(2、3、6位)とエステル結合し、もう片端のカルボキシル基がナトリウム塩である構造を有している。本発明に用いるオクテニルコハク酸デンプンナトリウムの純度は、オクテニルコハク酸基が乾燥物換算で3質量%以下、残存オクテニルコハク酸が0.8質量%以下であることが好ましい。
オクテニルコハク酸デンプンナトリウムは市販品として得ることもできる。例えば、日本NSC(株)製の「PURITYGUM BE」、「PURITY GUM2000」、および「Nクリーマー46」、松谷化学工業(株)製「エマルスター500」およびTATE&LYLE社製「MIRA−MIST SE」等が挙げられる。
本発明のゲル状栄養組成物は、非荷電性高分子性乳化剤(A)を油脂100質量部に対し、7.5〜200質量部、好ましくは15〜100質量部含有する。非荷電性高分子性乳化剤(A)の含有量が少なすぎると十分な耐熱乳化保持性が得られず、多すぎると調合液の増粘による著しい作業性の低下や、高分子体であるためにゲル化剤の機能が阻害され、求める物性が得られなくなる。
非荷電性高分子性乳化剤(A)はその構造上、疎水基と比べ親水基の分子量が非常に大きく、非荷電性高分子性乳化剤(A)を用いて調合したO/Wエマルションは物理的反発力が付与され、耐熱乳化保持性を付与することができる。しかしながら、非荷電性高分子性乳化剤(A)は界面張力低下能が非常に弱いので、単独で乳化しようとするためには、非荷電性高分子性乳化剤(A)の添加量を著しく高くして油脂との接触量を所望以上とするか、強いせん断力を与えて油脂との接触効率を高める必要がある。しかしながら、本発明のようなゲル状栄養組成物では、非荷電性高分子性乳化剤(A)の添加量を増量すると自身の高分子体がゲル化剤の高分子ネットワークの形成を立体的に阻害してしまうことや、ホモミキサーなどによる強いせん断力を与えた場合、大量の気泡がゾル中に混入して均一な充填作業ができなくなることから、このような方法はとることができない。また、本発明のゲル状栄養組成物は、冷却によるゲル化前の調合時におけるゾルの粘度は5〜50mPa・s程度が適切であり、これらの粘度以上とすると気泡が内容液中から抜けず、均一な均質化や充填作業ができなくなる。そのため、本発明では(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル(B)との併用が必須である。
<(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル(B)>
本発明において「(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル」とは、グリセリン脂肪酸エステルと、ジグリセリン以上のポリグリセリンの脂肪酸エステルとを合わせたものを意味する。
本発明に用いる(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル(B)は、HLBが6.0〜9.5であり、好ましくは6.2〜8.7である。HLBが低すぎると目的となるO/W乳化物を形成できなくなり、高すぎると界面張力低下能が弱くなり、乳化物の調合に高いせん断力が必要となり、プロペラ攪拌だけでは十分に乳化ができない。
本発明に用いる(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル(B)は、(ポリ)グリセリル残基の分子量が150〜400であり、好ましくは165〜265である。分子量が低すぎると十分な乳化能が失われ乳化を不安定化し、高すぎると耐熱乳化保持性が得られがたくなる傾向にある。
本発明に用いる(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル(B)としては、具体的には例えば、モノステアリン酸ジグリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ペンタグリセリン、トリオレイン酸ペンタグリセリン、トリミリスチン酸ペンタグリセリン、トリパルミチン酸ペンタグリセリン、クエン酸モノステアリン酸ジグリセリン、クエン酸モノオレイン酸ジグリセリン、コハク酸モノステアリン酸モノグリセリン、モノミリスチン酸ジグリセリン、モノパルミチン酸ジグリセリン、ジアセチル酒石酸モノステアリン酸モノグリセリン等が挙げられる。
本発明のゲル状栄養組成物は、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル(B)を油脂100質量部に対し、5〜190質量部、好ましくは6〜170質量部、さらに好ましくは7〜155質量部含有する。(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル(B)の含有量が少なすぎると調合時の乳化性が得られ難く、多すぎると乳化剤による独特の風味を呈することから、嗜好性が失われる。傾向にある。
本発明において、非荷電性高分子性乳化剤(A)と(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル(B)とを上記の特定量使用することによって初めて、調合時の乳化性、耐熱乳化保持性という要求される乳化性能を満たすゲル状栄養組成物が得られる。
本発明に用いる(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル(B)は、前述のように、HLBの範囲と、(ポリ)グリセリル残基の分子量の範囲とによって規定される。HLBとは界面活性剤の親水疎水性を表す一般的な特性値である。従来の乳化技術であれば、2種類以上のHLBの高低異なる範囲の乳化剤を組み合わせて高い圧力条件下で均質化処理を行うことによって、乳化粒子を0.1μm以下まで微細化して、乳化安定性(調合時の乳化性、耐熱乳化保持性)を付与する。しかしながら、ゲル状栄養組成物に対しては、先述した理由により高い圧力条件下で均質化処理ができないことから、0.1μm以下の乳化粒子径まで微細化することが難しい。
本発明者らは、従来技術とは全く逆の発想で、乳化粒子を微細化しない、粗大な状態で耐熱乳化保持性が得られるゲル状栄養組成物を見出した。
本発明で使用する(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル(B)において、(ポリ)グリセリル残基の分子量は、HLBとは異なる親水性の指標であると考えられる。(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル(B)分子の片端にある疎水性の脂肪酸残基が油滴界面に吸着して乳化分散させるが、もう一端にあるポリグリセリル残基が、非荷電性高分子性乳化剤(A)と良好に相互作用することによって、油滴界面に吸着した(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル(B)の界面にさらに非荷電性高分子性乳化剤(A)が付着するものと考えられる。非荷電性高分子性乳化剤(A)は嵩高い高分子鎖ドメインを形成するため、油滴に物理的反発力を付与する。そのため、分子運動の激しくなる加熱殺菌工程においても、1μm以上の粗大な乳化粒子径を維持しながら、油滴の分散安定化を可能にすると推測される。なお、(ポリ)グリセリル残基の分子量が高過ぎる場合は、非荷電性高分子性乳化剤(A)の油滴への吸着が嵩高い(ポリ)グリセリル残基による反発によって阻害されると推測される。
非荷電性高分子性乳化剤(A)と同様に、油滴に対して高分子鎖ドメインの形成による物理的反発力の付与を及ぼす保護コロイド剤として、カゼインナトリウムやホエイ(乳清)などの蛋白質が存在するが、高ミネラル環境下での非凝集性の保持や、pHの汎用性に劣ることから、本発明において、非荷電性高分子性乳化剤(A)を用いることが必須である。
以上のような推定されるメカニズムにより、乳化剤として、非荷電性高分子性乳化剤(A)と(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル(B)とを上記の特定量含有した本発明のゲル状栄養組成物は、調合時の乳化性、耐熱乳化保持性、均一性という優れた特性を有する。
(ゲル化剤)
本発明に用いるゲル化剤としては、非荷電性多糖類である寒天の他に、荷電性多糖類であるカラギーナンやジェランガムなどを使用することができるが、耐酸性や食感の改質の容易さから、カラギーナンやジェランガムを用いることが好ましい。また、食感改質成分として、キサンタンガム、カードラン、ローカストビーンガム、グアーガム、タマリンドガム、サイリウムシードガム、ペクチン、グルコマンナン等の多糖類を使用することができるが、キサンタンガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、ペクチンを使用することが好ましい。多糖類の配合量としては通常0.1〜2質量%であり、好ましくは、0.1〜1.0質量%である。多糖類の配合量が少な過ぎるとき、ゼリーとして喫食に適した十分な食感を形成できない恐れがあり、配合量が多過ぎるとき、調合時の粘度が高くなり、気泡が抜けにくくなるため品質の安定性が得られない恐れがある。
本発明の効果を損なわない範囲において、その他、栄養成分を充足させるため、物性補助のため、風味向上のために、糖質、ミネラル類、ビタミン類、食物繊維、甘味料、果汁、香料、色素、酸味料などを加えても良い。
糖質としては、例えば、単糖類、二糖類、水あめ、糖アルコール、オリゴ糖、デキストリン等が挙げられる。
ミネラル類としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、銅、亜鉛、セレン、クロム、マンガン、モリブデンなどが挙げられる。
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、パントテン酸、葉酸、ナイアシン、ビオチンなどが挙げられる。これらのミネラル類、ビタミン類は、あらかじめ必要な割合で配合してあるミネラルミックス、ビタミンミックスとして販売しているものを用いても良い。また、ミネラル含有酵母を使用しても良い。
食物繊維としては、例えば、難消化性デキストリン、サイクロデキストリンなどの水溶性食物繊維や、微結晶セルロースなどの不溶性食物繊維などが上げられる。
(ゲル状栄養組成物の製造方法)
本発明のゲル状栄養組成物は、一例として、調合工程、均質化工程、充填工程、殺菌工程の4工程により製造することができる。調合工程では、例えば、ゲル化剤と水を混合し、混合液をゲル化剤の溶解温度以上まで加熱し、粘調なゾル状となるまで攪拌した後に、ゲル化温度以上を保持しながら前記の各種原料を投入し、十分に溶解させることができる。この際、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル(B)は加熱した油脂に完全に溶解させた後に混合することが好ましい。ゲル状栄養組成物の製造において、調合時の乳化性はその後の工程で均一に油脂を分散させ、均一な状態で次の均質化工程に送り込むために重要である。さらに、均質化工程としては、ホモジナイザーなどの均質化装置を用いることが好ましい。この際、ホモジナイザーの均質化圧力は、通常25MPa以下、好ましくは15MPa以下とすることができる。充填工程では、例えば、プレートヒーターまたはチューブラーヒーターなどによる熱交換器により90℃以上に加熱されたゾル状の栄養組成物を、スパウト付パウチなどに必要量充填し、密栓することができる。殺菌工程では、例えば、パウチに充填されたゲル状栄養組成物を90℃以上の温水、または蒸気中に静置し、殺菌処理を行うことができる。静置時間としては、商業上の無菌性が確保できる時間とすることが望ましく、10分間以上が好ましく、20分間以上がより好ましい。この際、加熱による分子運動の増大によって乳化粒子の合一や凝集が起こりやすくなるため、これに抗する高い耐熱乳化保持性が求められる。その後、溶液が凍結しない程度の温度で冷却を行い、ゲル化させることができる。
上記の方法によって調合・殺菌された本発明のゲル状栄養組成物は、好ましくは、4〜14μmの乳化粒子径を有する。乳化粒子径の測定は、ゲル状栄養組成物を加熱溶解によりゾル状に変化させた後に適量の純水で希釈したサンプルを(株)堀場製作所製レーザー回折式粒度分布計LA−950に供した。乳化粒子はその粒径が小さいほど乳化安定性に優れ、大きいほど不安定であることは、ストークスの法則によって一般的に知られているが(食品コロイド入門(西成勝好監訳)幸書房p93)、本発明によれば、乳化粒子径が比較的大きくても、安定な乳化系を形成し、見た目にも均一性のあるゲル状栄養組成物となすことができる。
以下、本発明のゲル状栄養組成物について、実施例、比較例を示して具体的に説明する。
<pHの測定方法>
ゲル状栄養組成物のpHは、通常のガラス電極を25℃におけるゲル状栄養組成物にさしこんで測定した。
<乳化粒子径の測定方法>
ゲル状栄養組成物を加熱溶解によりゾル状に変化させた後に、適量の純水で希釈したサンプルを(株)堀場製作所製レーザー回折式粒度分布計LA−950に供して測定した。
<固形分の測定方法>
ゲル状栄養組成物をヘラ等を用いて均質に破砕し、20℃に調温後に(株)アタゴ製デジタル屈折計DBX−55に供して測定した。
<調合時の乳化性、および耐熱乳化保持性の評価方法>
調合時の乳化性の評価としては、ゲル状栄養組成物の製造過程において、調合工程を終えた調合液を65℃にて静置後、乳化状態を目視にて判定した。
耐熱乳化保持性の評価としては、ゲル状栄養組成物の製造過程における殺菌工程として90℃で静置後、乳化状態を目視にて判定を行った。
評価の基準は調合時の乳化性、および耐熱乳化保持性とも、次の通りである。
◎:30分経過後、油脂が均一に分散している
○:30分未満20分以上油脂が均一に分散している
△:20分未満10分以上油脂が均一に分散している
×:10分未満で油脂の分散が均一でなくなる
(実施例1)
<栄養成分の配合>
表1に示す原材料の配合で、本発明のゲル状栄養組成物の調合を行った。調合条件は、表2に示す。具体的な調合の操作としては、ゲル状栄養組成物全体に対する配合量として、重量平均分子量5200のコラーゲンペプチド2.4質量%、重量平均分子量2380の大豆ペプチド2.5質量%、L−トリプトファン0.1質量%、L−ロイシン0.2質量%、L−メチオニン0.1質量%、L−ヒスチジン0.1質量%、L−バリン0.1質量%、L−フェニルアラニン0.3質量%、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム0.3質量%、モノステアリン酸ジグリセリン0.15質量%、MCT1.9質量%、精製イワシ油0.1質量%、難消化性デキストリン1.0質量%、クエン酸3ナトリウム0.1質量%、クエン酸3カリウム0.1質量%、乳酸カルシウム0.3質量%、硫酸マグネシウム0.2質量%、クエン酸(結晶)1.1質量%、パイナップル5倍濃縮透明果汁2.0質量%、デンプン分解物(デキストリン)3.0質量%、微量ミネラルミックス0.1質量%、ビタミンミックス0.5質量%、パイナップル香料0.1質量%、ベニバナ色素0.02質量%、スクラロース製剤0.1質量%を水も含めて総質量1600gとなるように65℃の温水に溶解させ、やはり、ゲル状栄養組成物全体に対する配合量として、ジェランガム0.2質量%を水も含めて総質量400gとなるよう混合し、85℃10分間加熱して溶解させたものと混ぜ合わせ、総質量2000gとなるよう調合した。次いで、これを65℃で維持したまま均質化圧15MPaで1回処理した。65℃で維持したまま100gずつアルミパウチに密封充填し、90℃15分間でボイル殺菌した。
Figure 0006413381
Figure 0006413381
上記の通り調合・殺菌を行った本発明のゲル状栄養組成物について、前記の性能評価を行った。結果を栄養評価の算出値とともに表3に示す。栄養成分は蛋白質5g/100g、糖質3g/100g、油脂2g/100g、食物繊維1g/100g、殺菌後でpH3.85、食感良好、均一性、調合時の乳化性・耐熱乳化保持性ともに良好であった。
Figure 0006413381
(実施例2〜7)
本発明のゲル状栄養組成物として、実施例1における乳化剤の種類を変更した以外は実施例1と同じにして行った。結果を乳化剤の配合とともに表4に示す。
(実施例8〜11)
上記実施例5における乳化剤の配合量を変更した以外は実施例5と同じにして行った。結果を乳化剤の配合とともに表4に示す。
(実施例12〜15)
上記実施例1における乳化剤の配合量を変更した以外は実施例1と同じにして行った。結果を乳化剤の配合とともに表4に示す。
Figure 0006413381
(比較例1〜6)
本発明でないゲル状栄養組成物として、実施例1における乳化剤の種類および配合量を変更した以外は実施例1と同じにして行った。結果を乳化剤の配合とともに表5に示す。
(比較例7〜10)
前記実施例5における乳化剤の配合量を変更した以外は実施例5と同じにして行った。結果を乳化剤の配合とともに表5に示す。
Figure 0006413381
(実施例16〜17、比較例11〜12)
表6および7に示すように、上記実施例5における蛋白質中の大豆ペプチドの種類を変更した以外は、実施例5と同じにしてゲル状栄養組成物を調合した。原材料の種類および配合量は、大豆ペプチド以外は実施例17〜18、比較例13〜14を通して共通であり、大豆ペプチドの種類については表9に示す。調合されたゲル状栄養組成物について、pH、食感、乳化粒子径、均一性、調合時の乳化性、耐熱乳化保持性の評価結果を表9に示す。
Figure 0006413381
Figure 0006413381
(実施例18〜20)
表8および9に示すように、上記実施例5におけるゲル化剤の配合量を変更した以外は実施例5と同じにしてゲル状栄養組成物を調合した。原材料の種類および配合量は、ゲル化剤以外は実施例18〜20を通して共通であり、ゲル化剤の配合については表9に示す。調合されたゲル状栄養組成物について、pH、食感、乳化粒子径、均一性、調合時の乳化性、耐熱乳化保持性の評価結果を表9に示す。
Figure 0006413381
Figure 0006413381
(実施例21〜22)
表10および11に示すように、上記実施例5における油脂の種類を変更した以外は実施例5と同じにしてゲル状栄養組成物を調合した。原材料の種類および配合量は、油脂以外は実施例21〜22を通して共通である。調合されたゲル状栄養組成物について、pH、食感、乳化粒子径、均一性、調合時の乳化性、耐熱乳化保持性の評価結果を表11に示す。
Figure 0006413381
Figure 0006413381
表4に示すように、実施例1〜15では調合時の乳化性および耐熱乳化保持性はともに良好であり、乳化安定性に優れたゼリーが得られた。なお、乳化系を破壊する方向に作用するミネラルを含有する実施例1〜15でも良好な効果を奏したことから、実施例1〜15からミネラルを除いた場合は、さらに良好な効果を奏すると期待できる。食物繊維は、乳化性や均一感に影響を与え難いので、実施例1〜15から食物繊維を除いた場合は実施例1〜15と同等の効果を奏すると考えられる。
一方、表5の比較例1〜4で明らかな通り、本発明に用いる(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル(B)に代えて、HLBや(ポリ)グリセリル残基の分子量が本発明に規定される範囲外である(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルを使用した場合には、ことごとく耐熱乳化保持性が得られなかった。すなわち、HLBが低すぎる比較例1、グリセリル残基が低すぎる比較例2では、耐熱乳化保持性が得られなかった。比較例3におけるHLBが高過ぎる場合では、調合時の乳化性が得られなかった。グリセリル残基の分子量が高過ぎる比較例4の場合においては、耐熱乳化保持性が得られなかった。このような結果となったのは、油滴表面に結合した(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルのグリセリル残基が立体障害となり、オクテニルコハク酸デンプンナトリウムが油滴に界面吸着できないためと考えられる。
オクテニルコハク酸デンプンナトリウムを用いず、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル(B)のみを用いた場合には、比較例6の結果から明らかな通り、調合時の乳化性は得られるものの、耐熱乳化保持性が得られない。
本発明に用いる(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル(B)が少ない比較例7の場合、安定なO/Wエマルションが形成できず、オクテニルコハク酸デンプンナトリウムが効率的に油滴界面へ付着できないため、耐熱乳化保持性が得られなかったと考えられる。また、オクテニルコハク酸デンプンナトリウムが少ない比較例8の場合、乳化粒子に十分な反発力が付与できず、耐熱乳化保持性が低下した。(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル(B)が多い比較例9の場合、調合時の乳化性は良好であり、耐熱乳化保持性においても可であったが、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル(B)が増加したことでミセルによるゲル化剤の網目構造形成を阻害し、良好な食感のゲルが得られなかった。オクテニルコハク酸デンプンナトリウムが多い比較例10の場合も同様に、溶液が著しく増粘して気泡が大量に混入してしまい、作業性においても不可であり、またデンプン分子によるゲル化剤の網目構造形成を阻害し、良好な食感のゲルが得られなかった。
次に、表7に示すように、蛋白質が重量平均分子量5000以下の大豆ペプチドおよびコラーゲンペプチド、アミノ酸から構成される実施例1、16、および17では、調合時の乳化性、および耐熱保持性が全て良好であった。一方、重量平均分子量5000以上の大豆ペプチドおよびコラーゲンペプチド、アミノ酸から構成される比較例13、14では部分的な蛋白質の凝集が発生し、また食感も非常に柔らかくゼリーには不適であった。これは大豆ペプチドの分子量が大きくなるに連れてペプチドが有するカチオン性の表面電荷が高くなり、ゲル化剤として用いているジェランガムのアニオン性電荷と反応し、凝集を生じたためと考えられる。このことから、本発明の効果を奏するためには、蛋白質は、実質的に重量平均分子量5000以下の大豆ペプチドからなるように構成されるべきであることが明らかとなった。
ゲル化剤については、表9に示すように、いずれのゲル化剤を用いても乳化性に影響を及ぼさず、調製可能であった。このことから、本発明のゲル状栄養組成物は、ゲル化剤の種類に影響されず本発明の効果を奏することが示唆された。
MCT、植物性油脂、および/または動物性油脂を用いたいずれの実施例も良好な均一性および耐熱乳化安定性を示した。このことから、本発明のゲル状栄養組成物は、油脂の種類に影響されず本発明の効果を奏することが示唆された。

Claims (7)

  1. 蛋白質、乳化剤、油脂、ゲル化剤、および水を含有するゲル状栄養組成物であって、ゲル状栄養組成物の固形分がゲル状栄養組成物全体に対して3〜20質量%であり、
    前記蛋白質は、実質的にペプチドのみまたはペプチドとアミノ酸とからなり、前記ペプチドおよびアミノ酸以外の蛋白質は、前記ゲル状栄養組成物全体に対して、2質量%以下であり、
    前記乳化剤は、
    (A)非荷電性高分子性乳化剤、および
    (B)HLBが6.0〜9.5で(ポリ)グリセリル残基の分子量が150〜400である(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル
    を含み、前記非荷電性高分子性乳化剤(A)が、オクテニルコハク酸デンプンナトリウムであり、油脂100質量部に対して前記(A)を6〜300質量部および前記(B)を5〜190質量部含有する、ゲル状栄養組成物。
  2. 前記蛋白質が重量平均分子量1000〜5000の植物性ペプチドを含む請求項に記載のゲル状栄養組成物
  3. 前記蛋白質が、さらにコラーゲンペプチドを含有する請求項1または2に記載のゲル状栄養組成物
  4. さらにミネラルを含有する、請求項1〜のいずれか1項に記載のゲル状栄養組成物。
  5. 加熱殺菌処理されたものである、請求項1〜のいずれか1項に記載のゲル状栄養組成物。
  6. 前記加熱殺菌処理後の乳化粒子径が4〜14μmである、請求項1〜のいずれか1項に記載のゲル状栄養組成物。
  7. pHが3.0〜4.0である、請求項1〜のいずれか1項に記載のゲル状栄養組成物。
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