JP6411587B2 - 採光システム - Google Patents

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本発明は、採光用の開口周辺に設置される採光システムに係り、とりわけ、開口周辺の美感を損なうことなく優れた採光機能を発揮することができる採光システムに関する。
例えば、特許文献1に開示されているように、太陽光を照明用の光として採光することが検討されている。特許文献1に開示された発明では、採光用開口の上方部分に対向してライトシェルフが設けられ、ライトシェルフの下方にブラインドが設けられている。ライトシェルフは、その傾倒角度を調節することにより、採光用開口の上方部分から室内へ入射する太陽光を上方に跳ね上げる。すなわち、ライトシェルフは、防眩の観点からの遮光機能を発揮しながら、同時に、太陽光を室内の上方空間に取り込む採光機能も発揮する。
なお、ブラインドは、ライトシェルフの下方に配置されているので、ライトシェルフの採光機能を害すことなく、遮光機能等の当該ブラインドに期待された機能を発揮することができる。
特開2006−222011号公報
ただし、特許文献1に開示された発明では、遮光および採光を十分に実現するため、ライトシェルフが室内側に大きく延び出している。このため、ライトシェルフは、周囲に調和することなく違和感を放ち、開口周辺の美感を大きく損なうことになる。このこともあり、実際に、このライトシェルフは十分に普及するに至っていない。その一方で、開口周辺の美感を損なうことなく優れた採光機能を発現し得るシステムが得られれば、このシステムの普及を通して、照明器具の使用を抑制することができ、省エネルギー及COの削減を図ることができる。
本発明は、以上の点を考慮したなされたものであって、開口周辺の美感を損なうことなく優れた採光機能を発揮することができる採光システムを提供することを目的とする。
本発明による採光システムは、
採光用の開口の少なくとも上方部分に設けられたシート状の光制御部材であって、入射光の進行方向を上方に変更して透過させる光制御部材と、
少なくとも前記開口のうちの前記光制御部材が設けられている部分よりも下方となる部分に対向して、配置されたブラインドと、を備える。
本発明による採光システムにおいて、前記ブラインドは、前記光制御部材にも対向して配置されていてもよい。
本発明による採光システムにおいて、前記光制御部材への法線方向及び上下方向に沿った面での観察において、前記光制御部材で進行方向を変えて前記光制御部材を透過した光の前記光制御部材からの出射方向の角度範囲は、当該光の前記光制御部材への入射方向の角度範囲よりも小さくなっていてもよい。
本発明による採光システムにおいて、
前記光制御部材は、上下方向と非平行な第1方向に延び且つ前記第1方向と非平行な第2方向に配列された複数の透明な第1部分と、前記第2方向に沿って前記第1部分と交互に配列され且つ前記第1部分とは異なる屈折率を有する複数の第2部分と、を有し、
前記光制御部材への法線方向及び前記第2方向に沿った面での観察において、前記第1部分と前記第2部分との界面で反射して光制御部材を透過した光の前記光制御部材からの出射方向の角度範囲は、当該光の前記光制御部材への入射方向の角度範囲よりも小さくなっていてもよい。
本発明による採光システムにおいて、
前記光制御部材は、上下方向と非平行な第1方向に延び且つ前記第1方向と非平行な第2方向に配列された複数の透明な第1部分と、前記第2方向に沿って前記第1部分と交互に配列され且つ前記第1部分とは異なる屈折率を有する複数の第2部分と、を有し、
前記光制御部材への法線方向及び前記第2方向に沿った面での観察において、前記第1部分と前記第2部分との界面で全反射して光制御部材を透過した光の前記光制御部材からの出射方向の角度範囲は、当該光の前記光制御部材への入射方向の角度範囲よりも小さくなっていてもよい。
本発明による採光システムにおいて、
前記光制御部材は、上下方向と非平行な第1方向に延び且つ前記第1方向と非平行な第2方向に配列された複数の透明な第1部分と、前記第2方向に沿って前記第1部分と交互に配列され且つ前記第1部分とは異なる屈折率を有する複数の第2部分と、を有し、
前記光制御部材への法線方向及び前記第2方向に沿った面内において、各第2部分と当該第2部分に上側から隣接する第1部分との界面が前記光制御部材への法線方向に対してなす角度は、入光側から出光側へ向けて小さくなるように変化してもよい。
本発明による物品は、上述した本発明による採光システムを備える。本発明における物品として、建物や、移動体または移動物を例示することができる。
本発明による採光システムによれば、採光用の開口周辺における美感を損なうことなく、優れた採光機能を発揮することができる。
図1は、本発明の一実施の形態を説明するための図であって、採光システムを示す側面図である。 図2は、採光システムの光制御部材を示す部分斜視図である。 図3は、図2のIII−III線に沿った断面図である。 図4は、採光システムのブラインドを示す斜視図である。 図5は、図1に対応する図であって、採光システムの一変形例を示す側面図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
さらに、本明細書において、「シート」、「フィルム」、「板」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「シート」はフィルムや板と呼ばれ得るような部材も含む概念である。
さらに、「シート面(フィルム面、板面)」とは、対象となるシート状(フィルム状、板状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状(フィルム状部材、板状部材)の平面と一致する面のことを指す。また、シート状(フィルム状、板状)の部材に対する法線方向とは、当該シート状(フィルム状、板状)の部材のシート面(フィルム面、板面)への法線方向のことを指す。
さらに、本明細書における「上下方向」とは、鉛直方向に平行な面内において水平方向と非平行な方向であり、必ずしても鉛直方向とは一致しない。また、「上」とは、上下方向における一方の側(又は方)であって、鉛直方向における「上」に近接する側(又は方)のことを指す。「下」とは、上下方向における「上」とは反対の側であって、鉛直方向における「下」に近接する側(又は方)のことを指す。
図1〜図4は、本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち図1は、採光システムを示す側面図であり、図2及び図3は、それぞれ、採光システムの光制御部材を示す斜視図または縦断面図であり、図4は、採光システムのブラインドを示す斜視図である。
以下に説明する採光システム10は、採光用の開口1の周辺に配置される装置であって、太陽光を効率的に採光するためのシステムである。採光システム10は、採光用の開口1の少なくとも上方部分に設けられた光制御部材20と、開口1に対面する領域のうちの少なくとも光制御部材20が設けられている部分よりも下方となる部分に対向して配置されたブラインド50と、を有している。光制御部材20は、面方向の広がりを持つ部材としてシート状に形成されており、図1に示すように、入射光の進行方向を上方に変更して透過させる。ここで説明する採光システム10によれば、詳しくは後述するように、太陽光のうちの直達光の開口を介した進入を効果的に防止して防眩を図りながらも、十分な採光を実施することができる。加えて、この採光システム10によれば、採光システム10によって光を採れ込まれるべき領域に突出する突出物等が設けられておらず、開口1周辺の美感、統一感を損なうこともない。
以下に説明する例において、採光システム10は、建物の採光用窓に適用されている。
開口1は、壁2に形成されており、ブラインド50は、壁2、天井3及び床4によって区画された室内に配置され、壁2に形成された採光用の開口1に対面するよう、壁2に取り付けられている。そして、開口1には、ガラス等からなる透明な窓材7を含む採光具6が取り付けられ、採光具6によって開口1が塞がれている。そして、光制御部材20は、窓材7に貼り付けられ又は一対の窓材7の間に挟み込まれて支持されて、窓材7とともに採光具6を形成し、或いは、窓材7の一部分をなして採光具6を形成している。
まず、光制御部材20について説明する。図1に示された例において、光制御部材20は、採光具6の上方部分に貼り付けられている。光制御部材20は、図2に示すように、そのシート面と平行な各々が第1方向d1に線状に延びる複数の第1部分31及び複数の第2部分32を有している。第1方向d1は、光制御部材20のシート面と平行に延び、且つ、図1に示すように、上下方向と非平行となっている。また、図2に示すように、第1部分31及び第2部分32は、第1方向d1と非平行な第2方向d2に交互に配列されている。第2方向d2は、光制御部材20のシート面と平行に延びており、図示された例においては、上下方向と平行になっている。
とりわけ、図示された例において、窓材7は、鉛直方向と平行に延び、結果として、光制御部材20のシート面も鉛直方向と平行になっている。また、第1方向d1及び第2方向d2は直交している。この結果、図示された例では、第1方向d1が水平方向に延び、第2方向d2が鉛直方向に延びている。
図2及び図3に示すように、本実施の形態における光制御部材20は、第1部分31及び第2部分32を含む光制御層30と、光制御層30と積層された基材層40と、を有している。なお、本実施の形態において、基材層40は、後述する光制御層30の製造方法に起因して設けられているが、特に必須の構成要素ではない。したがって、一例として、単なる透明または半透明な樹脂製フィルムから形成され得る。
一方、光制御層30は、第1部分31及び第2部分32に加えて、第1部分31及び第2部分32を支持するシート状のベース部分(ランド部)33をさらに有している。このベース部分33は、第1部分31と一体的に形成されており、第1部分31とともに光制御層本体34を形成している。言い換えると、光制御部材20の光制御層30は、複数の溝34aを形成された光制御層本体34と、光制御層本体34の複数の溝34a内にそれぞれ形成された第2部分32と、を有している。そして、光制御層本体34のうちの隣り合う溝34aの間の部分が、第1部分31を画成している。
図3には、光制御部材20の主切断面として、第1部分31及び第2部分32の配列方向である第2方向d2及び光制御部材20のシート面への法線方向ndの両方に平行となる断面にて、光制御部材20が、示されている。図3に示すように、第2部分32は、光制御層30の基材層40側とは反対側の面の一部をなす底面35と、底面35から延び出た第1側面36及び第2側面37と、を含んでいる。図示された例において、光制御部材20のシート面に沿った第1側面36及び第2側面37の離間間隔は、光制御部材20のシート面への法線方向に沿って底面35から離間するにつれて、互いに接近していき、最終的に互いに接続している。図示された例において、第2側面37は平坦面として形成されているが、第1側面36は折れ面として形成されている。とりわけ、図示された例では、第1側面36は、底面35に接続する急斜面36aと、底面35から離間した側に位置して第2側面37と接続する緩斜面36bと、を含んでいる。光制御部材20のシート面への法線方向ndに対して急斜面36aがなす角度は、光制御部材20のシート面への法線方向ndに対して緩斜面36bがなす角度よりも大きくなっている。
ここで、各第2部分32の第1側面36は、当該第2部分32と、当該第2部分32に対して上下方向における上側から隣接する第1部分31との間の界面を形成する。一方、各第2部分32の第2側面37は、当該第2部分32と、当該第2部分32に対して上下方向における下側から隣接する第1部分31との間の界面を形成する。広い角度範囲からの入射光を狭い角度範囲に偏向して採光する観点から、各第2部分と当該第2部分32に上側から隣接する第1部分31との界面は、すなわち、第2部分32の第1側面36は、入光側で上下方向における上方に位置し且つ出光側で上下方向における下方に位置するよう、光制御部材20の法線方向ndに対して傾斜している。また、入射光をより狭い角度範囲に偏向して採光する観点からは、図3に示された例のように、光制御部材20への法線方向ndと第1及び第2部分31,32の配列方向である第2方向d2との両方に沿った図3に示された面内において、各第2部分と当該第2部分32に上側から隣接する第1部分31との界面が光制御部材20への法線方向ndに対してなす角度θa(図3参照)が、入光側から出光側へ向けて小さくなるように変化することが好ましい。
なお、角度θaが、「入光側から出光側へ向けて小さくなるように変化する」とは、角度θaが連続的に減少していく場合だけでなく、図3に示された例のように、角度θaが段階的に減少することも含む。また、本明細書で言及する「入光側」及び「出光側」との用語は、太陽光を採光する光路を基準として用いられる。したがって、図1及び図3においては、図面における左側が入光側で、図面における出光側が右側となる。
図示された例において、第2部分32は、第2方向d2に沿って等間隔に配置されている。また、第2部分32は、断面形状を変化させることなく、第1方向d1に延びている。さらに、光制御部材20に含まれる多数の第2部分32は、互いに同一に構成されている。以上の第2部分32の構成にともない、図示された例では、光制御部材20に含まれる第1部分31は、第2方向d2に沿って等間隔に配置され、断面形状を変化させることなく第1方向d1に延び、且つ、互いに同一に構成されている。
図3に示された断面での、第2部分32の第2方向d1に沿った配列ピッチpは、一例として、1mm以下とすることができ、光制御部材20のシート面への法線方向ndに沿った第2部分32の高さhは、1mm以下とすることができる。また、光制御部材20のシート面への法線方向ndに沿った光制御部材20の厚みは、300μ以上2mm以下とすることができる。
なお、光制御部材20のシート面に沿った第2部分32の幅wに対する、光制御部材20のシート面への法線方向に沿った第2部分32の高さhの比、すなわち、h/wで表されるアスペクト比は、採光機能、及び、例えば遮光機能等のその他の機能を十分に発揮し得るよう、1より大きくなっていることが好ましく、5以上であることがさらに好ましい。また、このアスペクト比は、製造の安定性を考慮して、10以下であることが好ましい。
ただし、以上に説明した第1部分31及び第2部分32の構成は、単なる例示であり、例えば後述する光制御部材20の機能を考慮して適宜変更することが可能である。一例として、第2部分32の第1側面36を曲面として構成してもよい。第1側面36が曲面となっている場合にも、上述したように、各第2部分と当該第2部分32に上側から隣接する第1部分31との界面が光制御部材20への法線方向ndに対してなす角度θa(図3参照)が、入光側から出光側へ向けて小さくなるように変化することが好ましい。また、第2部分32の断面形状を、台形形状等の種々の形状に変更することができる。また、光制御部材20に含まれる多数の第1部分31の間で、形状や配列が異なるようにしてもよいし、同様に、光制御部材20に含まれる多数の第2部分32の間で、形状や配列が異なるようにしてもよい。
次に、第1部分31及び第2部分32の材料について説明する。
まず、第1部分31は透明に形成されている。本明細書において「透明」とは、可視光透過率が50%以上となっていることを意味している。ただし、本実施の形態における第1部分20の可視光透過率は、70%以上となっていることが好ましく、90%以上となっていることがより好ましい。
なお、本明細書における可視光透過率は、測定対象となる部位をなすようになる材料を東洋紡績製PETフィルム(品番:コスモシャインA4300、厚さ100μm)の上に膜厚1μmで成膜し、分光光度計((株)島津製作所製「UV−2450」、JISK0115準拠品)を用いて測定波長380nm〜780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される。同様に、後述する熱線透過率は、測定対象となる部位をなすようになる材料を東洋紡績製PETフィルム(品番:コスモシャインA4300、厚さ100μm)の上に膜厚1μmで成膜し、分光光度計((株)島津製作所製「UV−2450」、JISK0115準拠品)を用いて測定波長900nm〜2500nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される。
また、本実施の形態において、ベース部分33は第1部分31と同一の材料を用いて第1部分31と一体的に形成されている。第1部分31及びベース部分33をなす光制御層本体34に用いられる材料として、例えば、樹脂材料、とりわけ電離放射線の照射により硬化する電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。電離放射線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、可視光線硬化性樹脂、近赤外線硬化性樹脂等が挙げられる。樹脂材料の具体例としては、アクリル樹脂が挙げられる。
一方、第2部分32は、第1部分31とは異なる屈折率を有する。本実施の形態において、第2部分32は、バインダーとして機能する主部32aと、主部32a中に分散された任意の機能性含有物32bと、を有している。主部32aの屈折率は、第1部分31の屈折率と異なっており、この結果、第1部分31と第2部分32との界面が、屈折率差を有し、可視光を反射する面として機能する。第1部分31側から入射した可視光を第1部分31と第2部分32との界面で反射させるためには、第2部分32の屈折率を第1部分31の屈折率よりも小さくなるように調節することが好ましい。
第2部分32の主部32aに用いられる材料として、例えば、樹脂材料、とりわけ電離放射線の照射により硬化する電離放射線硬化性樹脂の硬化物を用いることができる。電離放射線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、可視光線硬化性樹脂、近赤外線硬化性樹脂等が挙げられる。樹脂材料の具体例としては、第1部分31に用いるアクリル樹脂とは屈折率が異なるアクリル樹脂が挙げられる。もっとも、機能性含有物32bを有する場合にその機能性含有物32bによって第2部分32の屈折率が変わるのであれば、第1部分31に用いるものと同じアクリル樹脂を用いてもよい。
一方、第2部分32の機能性含有物32bは、種々の機能を期待されて主部32a中に分散されており、一例として、熱線吸収材や着色材とすることができる。熱線吸収材として、赤外光波長帯域に吸収特性を有し、且つ、可視光波長帯域に透過特性を有する粒子が用いられる。具体的には、熱線吸収材として、透明性を有する無機ナノ粒子を用いることができ、例えば、アンチモン錫酸化物(ATO)、インジウム錫酸化物(ITO)、六ホウ化ランタン(LaB)、アルミニウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、酸化タングステン、六ホウ化セリウム、無水アンチモン酸亜鉛および硫化銅またはそれらの混合物のナノ粒子等を用いることができる。
また、着色材としては、可視光波長帯域の少なくとも一部の波長域の光を吸収する機能を有した粒子を用いることができる。着色材の一例として、顔料、より具体的には、カーボンブラック、黒鉛、窒化チタン等の黒色顔料や、酸化チタン等の白色顔料を用いることができる。また、紺色、青色、紫色等の青みを帯びた粒子、赤みを帯びた粒子、黄色みを帯びた粒子等を着色材として用いてもよい。着色材としての機能性含有物32bを第2部分32に用いることにより、第2部分32を着色することができる。この際、第2部分32の色味等も考慮した上で、光制御部材20に意匠性を付与することができる。
なお、以上のような構成からなる、光制御層30は次のようにして製造され得る。まず、第1部分31及びベース部分33をなす光制御層本体34を、例えば、電子線、紫外線等の電離放射線の照射により硬化する特徴を有するエポキシアクリレート等の硬化性材料を用いて、作製する。具体的には、光制御層本体34の溝34aの構成(配置、形状等)に対応した凸部を有する型ロール、言い換えると、第1部分31の構成(配置、形状等)に対応した凹部を有する型ロールを準備する。当該型ロールとニップロールとの間に基材層40をなすようになるシートを送り込み、該シートの送り込みに合わせて、硬化性材料を型ロールと基材層40との間に供給する。その後、基材層40上に供給された未硬化状態で液状の硬化性材料が型ロールの凹部に充填されるように、型ロールおよびニップロールで該硬化性材料を押圧する。このとき、型ロールの凹部の深さより厚くなるように、すなわち、型ロールと基材層40とが接触しないように、硬化性材料を基材層40上に供給しておくことによって、上述したベース部分(ランド部)33が、第1部分31と一体的に硬化性材料から形成されるようになる。以上のようにして基材層40と型ロールとの間に未硬化で液状の硬化性材料を充填した後、光を照射して該硬化性材料を硬化(固化)させることによって光制御層本体34を形成することができる。
次に、硬化することによって主部32aをなすようになる硬化性材料と、任意の機能性含有物32bと、を含んだ未硬化で液状の組成物を用いて第2部分32を作製する。硬化することによって主部32aをなすようになる硬化性材料として、電離放射線により硬化する特徴を有するウレタンアクリレート等の硬化性材料を用いることができる。まず、先に形成された光制御層本体34上に組成物を供給する。その後、隣り合う第1部分31の間の形成された溝34a、すなわち、型ロールの凸部に対応していた部分の内部に、ドクターブレードを用いながら、組成物を充填しつつ、該溝34a外に溢出した余剰分の組成物を掻き落としていく。その後、第1部分31の間の組成物に電離放射線を照射して硬化させることにより、第2部分32が形成される。これにより、基材層40、並びに、基材層40上に設けられたベース部分33と、ベース部分33上に設けられた第1部分31及び第2部分32と、を有する光制御部材20が作製される。
次に、ブラインド50について説明する。
図1に示すように、ブラインド50は、開口1のうちの光制御部材20が設けられている部分よりも下方となる部分に対向する領域だけでなく、光制御部材20に対向する領域にも広がるように、配置されている。すなわち、図示された例において、ブラインド50は、開口1の全域に対向するように配置されており、開口1の全域から入射してくる光に対して、遮光機能、遮熱機能等を発揮することができる。以下、ブラインド50の一例について説明するが、ここで説明する採光システム10に対しては、種々の既知なブラインドを用いることができる。
図4に示すように、ブラインド50は、上下方向に配列された多数のスラット20と、スラット20を支持及び操作するための手段と、を有している。スラット60は、羽根板とも呼ばれ、上下方向と非平行な方向に細長く延びる薄板状の部材として形成されている。とりわけ図示された例において、ブラインド50に含まれるスラット60は、鉛直方向に並べられるとともに、各スラットスラット60は水平方向に延びている。
ブラインド10は、壁2への取付具となる取付ボックス52と、取付ボックス52から垂下し且つ鉛直方向に間隔をあけて多数のスラット60を支持するラダーコード16と、スラット60を引き上げるための昇降コード58と、ラダーコード56及び昇降コード58に連結された操作グリップ54と、を有している。
本実施の形態において、ラダーコード56は、ブラインド50に含まれるすべてのスラット60を概ね平行となるよう、スラット60の傾きを制御する。そして、操作グリップ54を介してラダーコード56を操作することにより、スラット60の傾きを調整することができる。また、一方、操作グリップ54を介して昇降コード58を操作することにより、下方側のスラット60から順に鉛直方向における間隔を狭めるようにして、多数のスラット60を引き上げることができる。この際、多数のスラット60の少なくとも一部が取付ボックス52内に収容され、且つ、開口1に装着された採光具6が室内に露出する。
同様に、操作グリップ54を介して昇降コード58を操作することにより、上方に集められたスラット60を、採光具6に対面する位置に下げることができる。スラット60は、一例として、耐食アルミニウム合金からなる薄板材、木材からなる薄板材、樹脂からなる薄板材を用いることができる。このようなスラット60は、不透明であり、可視光遮光性を有している。スラット60は、可視光を反射する機能を有し、入射光の進行方向を変化させるようにしてもよい。また、スラット60の表面に、ブラインド50に対して遮熱、防汚、抗菌、消臭機能を付与するための機能層が形成されていてもよい。一例として、フッ素コートや酸化チタンコートをスラット60に設けることができる。
ただし、本実施の形態におけるブラインド50において、スラット60、取付ボックス52、操作グリップ54、ラダーコード56,昇降コード58、並びに、操作グリップ54を介してラダーコード56及び昇降コード58を操作する機構は、既知の種々の構成を採用することができる。
次に、以上に説明した採光システム10の作用について説明する。なお、光制御部材20が設けられていない領域、すなわち、開口1の上方部分を除く位置には、ブラインド50のみが設けられている。この領域においては、ブラインド50に本来的に期待された種々の機能が、ブラインド50によって、発揮され得る。
まず、ブラインド50単独の作用について説明する。操作グリップ54を操作することにより、開口1に装着された採光具6に対面する位置において上下に間隔をあけて配列された多数のスラット20の傾きを調整することができる。本実施の形態では、その板面が互いに平行となるようにして、薄板状のスラット60が配列されている。そして、操作グリップ54を操作することにより、ブラインド50に含まれるすべてのスラット60の傾きを調節することができる。
例えば、操作グリップ54を操作することにより、スラット60の板面が、入光側から出光側に向けてしだいに下方に位置するようにして、水平方向および鉛直方向の両方向に対し傾斜させることができる。この場合、スラット60の板面が、開口1を介した室内への太陽光の入射方向と概ね平行となり、太陽光を高い効率にて採光することができる。結果として、太陽光によって室内を明るく照明することができる。同時に、スラット60が不透明であることから、このスラット60によって、開口1を介した視認性を少なくともいくらか悪化させることができる。すなわち、スラット60により、採光を可能にしながら、併せて、室外から室内を覗き難くすることができる。
一方、図1に示すように、操作グリップ54を操作することにより、スラット60の板面が、入光側から出光側に向けてしだいに上方に位置するようにして、水平方向および鉛直方向の両方向に対し傾斜させることもできる。この場合、スラット60の板面が、開口1を介した室内への太陽光L13の入射方向と概ね直交し、太陽光を高い効率にて遮光することができる。これにより、採光システム10が設けられた建物の内部に、開口1を介して、太陽光L13がそのまま入射することを防止すること、すなわち直達光の進入を防止することができる。すなわち、防眩の観点からの遮光を可能にすることができる。同時に、スラット60が不透明であることから、このスラット60によって、開口1を介した視認性を少なくともいくらか悪化させることができる。すなわち、スラット60により、採光を可能にしながら、併せて、室外から室内を覗き難くすることも可能となる。
ところで、防眩の観点からブラインド50のスラット60の傾きを図1に示すように調整した場合、従来の開口1に対向してブラインドを単に配置した態様では、室内が暗くなってしまう。防眩のための遮光は室内を暗くするための遮光とは目的において異なり、すなわち、防眩のための遮光を実施しながら併せて室内を明るくする要求が生じていることが多い。このような場合、ブラインド50によって防眩の観点からの遮光を行うとともに、室内照明を用いて室内の明るさを補強する必要が生じていた。
一方、ここで説明する採光システム10を採用した場合、採光具6の上方部分に光制御部材20が設けられている。図3に示すように、光制御部材20は、屈折率界面を形成する第1部分31及び第2部分32を含んだ光制御層30を有している。そして、第1部分31及び第2部分32の長手方向である第1方向d1は、上下方向と交差する方向、とりわけ本例では水平方向に延びるようになり、その一方で、第1部分31及び第2部分32の配列方向である第2方向d2は、本例において鉛直方向に延びる。このため、図3に示すように、採光具6が装着された開口1に向けて斜め上方から入射する太陽光L31,L32,L33は、光制御部材20の第1部分31と第2部分32の第1側面36との界面に入射しやすくなり、さらに、この界面にて反射することができる。そして、太陽光L31,L32,L33が第2部分32の第1側面36上で反射することにより、当該光の進行方向は、上方に曲げられる。言い換えると、第1部分31を介して光制御部材20に入射してその後に第2部分32の第1側面36に到達した光は、当該第1側面36上での反射によって、上方に跳ね上げられるようになる。
なお、ここで言う「進行方向を上方に変更される又は曲げられる」とは、それまでの進行方向よりも上方の側に進行方向を変更される又は曲げられることを意味しており、光制御部材20の法線方向ndに対して上方に傾斜する進行方向を取ることを必ずしも意味していない。また、図3においては、採光具6のうちの窓材7の図示を省略している。
図1に示すように、光制御部材20での太陽光の光路を変更する機能により光路を上方に曲げられた光は、スラット60の板面が入光側から出光側に向けてしだいに上方に位置するように傾斜したブラインド50のスラット60間を通過することが可能となる。この光L11は、進行方向を跳ね上げられているので、窓材50が設置された位置から離間した室内の奥側の領域まで到達することができる。すなわち、光制御部材20は、遮光機能を発現するように調整されたスラット60の向きに適合するように、太陽光の光路を変更することができる。これにより、採光システム10は、ブラインド50で遮光機能を発現しながら、同時に、優れた採光機能を発揮することができる。すなわち、この採光システム10によれば、防眩のための遮光機能と例えば室内照明のための採光機能とが両立されるので、室内灯具の使用を抑制することができ、省エネルギー及びCOの削減を図ることができる。
とりわけ、図示された例では、光制御層30の一対の主面、すなわち入光側面と出光側面とが平行となっている。また、上述したように、各第2部分と当該第2部分32に上側から隣接する第1部分31との界面は、すなわち、第2部分32の第1側面36は、入光側で上下方向における上方に位置し且つ出光側で上下方向における下方に位置するよう、光制御部材20の法線方向ndに対して傾斜している。この結果、上方に大きく傾斜した方向から光制御部材20に入射する太陽光は、第2部分32の第1側面36と第1部分31との界面での反射により、光制御部材20からの出射角が光制御部材20への入射角よりも小さくなるように、進行方向を曲げられるようになる。これらのことから、光制御部材20への法線方向ndと第1及び第2部分31,32の配列方向である第2方向d2との両方に沿った面内において、つまり、図3に示された面での観察において、第2部分32の第1側面36と第1部分31との界面で反射するように上方に傾斜した方向から光制御部材20に入射して第2部分32の第1側面36と第1部分31との界面で反射するようになる太陽光の入射方向の角度範囲θi(図3参照)は、当該光の光制御部材20からの出射方向の角度範囲θoよりも大きくなる。すなわち、光制御部材20は、単に太陽光の進行方向を変更するだけでなく、進路変更された太陽光の出射方向をより狭い角度範囲内の方向に絞り込む。この結果、光制御部材20を透過した光L11,L12は、光制御部材20の出光側に配置されたブラインド50のスラット60間を通過しやすくなり、より高い効率での採光が可能となる。
さらに、図示された形態では、光制御部材20の第2部分32が第1部分31よりも低屈折率となっている。したがって、光制御部材20の第1部分31に入射した光は、第2部分32の第1側面36と第1部分31との界面での全反射条件を満たすようにして、当該界面に入射することができる。そして、この界面での全反射条件を満たすようにして当該界面に入射する光に対し、光制御部材20はより顕著に進行方向を絞り込む機能を発揮するようになる。すなわち、光制御部材20への法線方向nd及び第2方向d2に沿った面での観察において、光制御層30の第1部分31と第2部分32の第1側面36との界面へ全反射臨界角度より大きい入射角度で入射して該界面で全反射して光制御部材20を透過した光の光制御部材20からの出射方向の角度範囲θoは、当該光の光制御部材20への入射方向の角度範囲θiと比較して、より顕著に狭くすることが可能となる。すなわち、光制御部材20を透過する光の比較的に多くを占めるようになる全反射光が、より狭い角度範囲に絞り込まれ、この結果、より高い効率でブラインド50のスラット60間を通過して採光されるようになる。
加えて、本実施の形態では、図3に示すように、第2部分32の第1側面36は、入光側に急斜面36aを有し出光側に緩斜面36bを有している。このような構成においては、まず大まかな傾向として、水平面に対して比較的に大きく傾いた方向に進む光が急斜面36aに入射しやすくなり、その一方で、水平面に対して比較的に大きく傾いていない方向に進む光は急斜面36aに入射することなく緩斜面36bに入射しやすくなる。急斜面36aは、水平面に対する傾斜がきつい方向からの光L32の進行方向を大きく立ち上げ過ぎないように曲げ、開口1から離間した室内の奥側へ当該光を効果的に誘導することが可能となる。さらには図3に示されているように、水平面に対して大きく傾いた方向からの光L32を、一度急斜面36aで反射させた後に、出光側に位置する緩斜面36bで再度反射させることもできる。図3に示すように、水平面に対して比較的に大きく傾いた方向から入射し且つ第2部分32の第1側面36で複数回反射した光は、水平面に対して比較的に大きく傾いていない方向から入射し且つ急斜面36aに入射することなく緩斜面36bで反射した光L33と、概ね近い方向に出射するようになる。
すなわち図示された例に代表されるように、光制御部材20への法線方nd向と第1及び第2部分31,32の配列方向である第2方向d2との両方に沿った面内において、各第2部分32と当該第2部分32に上側から隣接する第1部分31との界面が光制御部材20への法線方向ndに対してなす角度が入光側から出光側へ向けて小さくなるように変化する場合、光制御部材20内で進路変更して透過する光の出射方向をより狭い角度範囲に絞り込むことができる。この結果、光制御部材20を透過した光は、光制御部材20の出光側に配置されたブラインド50のスラット60間を通過しやすくなり、より高い効率での採光が可能となる。
ところで、図3に示すように、第1部分31と第2部分32との界面で反射することなく第2部分32に入射した光L34は、第2部分32内において、機能性含有物32bから作用を及ぼされる。例えば、機能性含有物32bが可視光を吸収する機能を有している場合、図3の示すように、第2部分32内に入射した太陽光L34のうちの可視光の多くが、機能性含有物32bの可視光吸収性に起因して、第2部分32に吸収される。したがって、太陽からの可視光が、進行方向を変化させることなくそのまま室内に入射することを効果的に回避することができる。すなわち、防眩の観点から、室内への直達光を規制する遮光機能を発揮し、室内の人が眩しく感じることを防止することができる。また、機能性含有物32bが熱線を吸収する機能を有している場合、図3の示すように、第2部分32内に入射した太陽光L34のうちの熱線の多くが、機能性含有物32bの熱線吸収性に起因して、第2部分32に吸収される。したがって、太陽からの熱線が室内に入射することを効果的に回避することができ、遮熱機能を発揮することができる。第2部分32での遮光機能や遮熱機能によっても、空調機器や灯具等の電化製品の使用量を抑制することが可能となり、省エネルギー及びCOの削減を図ることができる。
また、第2部分32が、吸収剤として機能する機能性含有物32bをわずかにしか含んでいない、或いは、全く含んでいない場合には、第1部分31と第2部分32との界面で反射することなく第2部分32に入射した光が、第2部分32を通過して、光制御部材20を透過するようになる。図1に示すように、このような光L13は、おおよそ、直達光と同様の光路を取ることになるが、ブラインド50のスラット60によって遮光される。
したがって、このような光によって防眩のための遮光が害されることは極めて効果的に防止される。
以上のような本実施の形態によれば、開口1の上方部分に、採光されるべき領域(図示された例では「室内」)のうちの開口1から離間した位置まで光を誘導することが可能な光制御部材20が設置されている。この優れた採光機能を発現する光制御部材20は、シート状に形成されている。したがって、採光されるべき領域に向けて突出する部分が存在しない。この点において、開口1の周縁領域における美感を損なうことを効果的に回避することができる。加えて、突出部を含まないシート状の光制御部材20は、設置場所に関する制約が少なく、種々の開口1に設置することができる。すなわち、本実施の形態による採光システム10は、開口1の周縁領域における美感を損なうことを回避しながら、種々の開口1に対して適用することができる。
また、少なくとも開口1のうちの光制御部材20が設けられている部分よりも下方となる部分に対向して、ブラインド50が配置されている。このブラインド50によって、遮光機能、遮熱機能、覗き見防止機能等を発揮することができる。すなわち、光制御部材20とブラインド50とを有する採光システム10によれば、開口1を介して入射する光に対して、種々の有用な機能を発揮することができる。
加えて本実施の形態によれば、ブラインド50が、光制御部材20に対面する位置にも配置されている。このため、採光されるべき領域からの観察において、上述した例では室内からの観察において、ブラインド50によって、採光機能を発揮する光制御部材20を隠すことができ、開口1の周辺領域における美感や統一感を損なうことを極めて効果的に回避することができる。さらに、ブラインド50のスラット60を着色する等の工夫を施すことにより、開口1の周辺領域の意匠性を向上させることすら可能となる。
さらに、光制御部材20への法線方向ndと第1及び第2部分31,32の配列方向である第2方向d2との両方に沿った面での観察において、光制御部材20で進行方向を変えて光制御部材20を透過した光の光制御部材20からの出射方向の角度範囲θoが、当該光の光制御部材20への入射方向の角度範囲θiよりも小さくなるように、光制御部材20は入射光の進行方向を制御することが可能となる。このため、ブラインド50のスラット60が防眩のための遮光機能を発揮し得るように傾斜した状態においても、狭い角度範囲に出射方向を絞り込まれるようにして光制御部材20を透過した光が、スラット60間を通過して採光されるべき領域に入射することが可能となる。すなわち、本実施の形態による光制御部材20及びブラインド50の組み合わせによれば、防眩の観点から直達光を遮蔽する遮光機能を発揮しながら、同時に、採光を実現することができる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、適宜図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
例えば、上述した実施の形態において、ブラインド50は、開口1のうちの光制御部材20が設けられている部分よりも下方となる部分に対向する領域だけでなく、光制御部材20に対向する領域にも広がるように、配置されていた。しかしながら、これに限られず、図5に示すように、ブラインド50は、開口1のうちの光制御部材20が設けられている部分よりも下方となる部分に対向する領域だけに配置されていてもよい。図5に示された例においても、光制御部材20が、シート状に形成されて、採光されるべき領域に向けて突出する部分を持たないので、開口1の周縁領域における美感を損なうことを効果的に回避しながら、種々の開口1に対して採光システム10を適用することができる。
また、上述した実施の形態において、採光システム10が、建物の壁2に形成された開口1に適用される例を示したが、これに限られない。例えば、自動車、電車、飛行機、車両等の移動体に形成された開口に対して適用することも可能である。
さらに、図1に二点鎖線で示すように、光制御部材20とブラインド50との間となる位置に、左右方向や上下方向に移動可能に支持されたカーテン等の開閉可能な遮光手段65をさらに設けるようにしてもよい。上述の採光システム10では、ブラインド50によって直達光の遮光を行いながら、太陽光を取り入れることが可能となっている。そして、遮光手段65を利用することによれば、ブラインド50によって防眩のための遮光を実施している際に、採光システム10の介した採光の有無を制御することが可能となる。
さらに、上述した実施の形態において、光制御部材20の第1部分31と第2部分32との界面での反射によってその進行方向曲げることにより、所望の方向に太陽光を取り込む採光機能を発現するようにしたが、この例に限られない。光制御部材20が、いわゆるプリズム面を有し、プリズム面での反射や屈折によって光の進行方向を曲げて当該光を取り込むようにしてもよい。
さらに、光制御部材20が、第1部分31及び第2部分32に加えて、種々の機能を期待された機能層をさらに有するようにしてもよい。例えば、光制御部材20が、最も室内側となる層として、耐擦傷性を有したハードコート層をさらに有するようにしてもよい。
さらに、上述した実施の形態において、ブラインド50に含まれるすべてのスラット60の傾きが、平行となるようにして、一括してラダーコード56によって操作される例を示した。しかしながら、例えば、光制御部材20に対向する位置に配置されたスラットと、それ以外のスラットとが、別々のラダーコードによって操作されることにより、光制御部材20に対向する領域とそれ以外の領域との間で独立してスラット60の傾きが調整されるようにしてもよい。
1 開口
2 壁
3 天井
4 床
6 採光具
7 窓材
10 採光システム
20 光制御部材
30 光制御層
31 第1部分
32 第2部分
32a 主部
32b 機能性含有物
33 ベース部分
34 光制御層本体
34a 溝
35 底面
36 第1側面
36a 急斜面
36b 緩斜面
37 第2側面
40 基材層
50 ブラインド
52 取付ボックス
54 操作グリップ
56 ラダーコード
58 昇降コード
60 スラット

Claims (8)

  1. 採光用の開口の少なくとも上方部分に設けられたシート状の光制御部材であって、入射光の進行方向を上方に変更して透過させる光制御部材と、
    少なくとも前記開口のうちの前記光制御部材が設けられている部分よりも下方となる部分に対向して、配置されたブラインドと、
    前記開口に設置され前記光制御部材を支持する窓材と、を備え
    前記光制御部材は、上下方向と非平行な第1方向に延び且つ前記第1方向と非平行な第2方向に配列された複数の透明な第1部分と、前記第2方向に沿って前記第1部分と交互に配列され、且つ、前記第1部分とは異なる屈折率を有する複数の第2部分と、を有し、
    前記第2部分は、前記第2方向における一側を向く第1側面と、前記第2方向における他側を向く第2側面と、を有し、
    前記第1側面は、急斜面および緩斜面を含む折れ面として形成され、
    前記光制御部材の法線方向に対して前記急斜面がなす角度は、前記光制御部材の法線方向に対して前記緩斜面がなす角度よりも大きい、採光システム。
  2. 前記光制御部材は、一対の窓材の間に支持されている、請求項1に記載の採光システム。
  3. 前記ブラインドは、前記光制御部材にも対向して配置されている、請求項1又は2に記載の採光システム
  4. 前記光制御部材への法線方向及び上下方向に沿った面において、前記光制御部材で進行方向を変えて前記光制御部材を透過した光の前記光制御部材からの出射方向の角度範囲は、当該光の前記光制御部材への入射方向の角度範囲よりも小さい、請求項1〜3のいずれか一項に記載の採光システム。
  5. 前記光制御部材は、上下方向と非平行な第1方向に延び且つ前記第1方向と非平行な第2方向に配列された複数の透明な第1部分と、前記第2方向に沿って前記第1部分と交互に配列され且つ前記第1部分とは異なる屈折率を有する複数の第2部分と、を有し、
    前記光制御部材への法線方向及び前記第2方向に沿った面において、前記第1部分と前記第2部分との界面で反射して光制御部材を透過した光の前記光制御部材からの出射方向の角度範囲は、当該光の前記光制御部材への入射方向の角度範囲よりも小さい、請求項1又は2に記載の採光システム。
  6. 前記光制御部材は、上下方向と非平行な第1方向に延び且つ前記第1方向と非平行な第2方向に配列された複数の透明な第1部分と、前記第2方向に沿って前記第1部分と交互に配列され且つ前記第1部分とは異なる屈折率を有する複数の第2部分と、を有し、
    前記光制御部材への法線方向及び前記第2方向に沿った面において、前記第1部分と前記第2部分との界面で全反射して光制御部材を透過した光の前記光制御部材からの出射方向の角度範囲は、当該光の前記光制御部材への入射方向の角度範囲よりも小さい、請求項1又は2に記載の採光システム。
  7. 前記光制御部材は、上下方向と非平行な第1方向に延び且つ前記第1方向と非平行な第2方向に配列された複数の透明な第1部分と、前記第2方向に沿って前記第1部分と交互に配列され且つ前記第1部分とは異なる屈折率を有する複数の第2部分と、を有し、
    前記光制御部材への法線方向及び前記第2方向に沿った面内において、各第2部分と当該第2部分に上側から隣接する第1部分との界面が前記光制御部材への法線方向に対してなす角度は、入光側から出光側へ向けて小さくなるように変化する、請求項1又は2に記載の採光システム。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の採光システムを備える物品。
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