JP2019039151A - 光制御具、採光システム、組立キット、重ね窓、構造体、建物、及び、重ね窓の製造方法 - Google Patents

光制御具、採光システム、組立キット、重ね窓、構造体、建物、及び、重ね窓の製造方法 Download PDF

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澤 峻 平 柳
木 康 弘 大
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木 康 弘 大
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Abstract

【課題】採光シートとともに用いることにともなって生じ得る、種々の問題に対処する光制御具を提供する。【解決手段】光制御具40は、入射光の進行方向を変えて透過させる採光シート20と、対面する位置に配置され、第1方向d1に配列された複数のスラット材50を有する。各スラット材50は、第1方向d1と非平行な第2方向d2に延びる。少なくとも一部のスラット材50の第1方向d1において第1の側を向く第1面51が、光拡散反射性を有する。【選択図】図2

Description

本開示は、採光シートとともに用いる光制御具、光制御具及び採光シートを含む採光システム、組立キット、重ね窓、構造体、建物、及び、重ね窓の製造方法に関する。
昼光利用による省エネルギーや照明コストの削減を目的に、採光シートが提案されている(例えば、特許文献1)。採光シートは、典型的には、窓に入射する太陽光の光路を跳ね上げ、室内奥に取り込むことを可能にする。
ところで、採光シートは、光を遮蔽可能な光制御具、典型的には遮光ルーバーやベネチアンブラインド等の遮光装置とともに使用されることがある。光制御具を用いることで、太陽の直射光に眩しさを感じることや、太陽の直射光による熱負荷を低減することが可能となる。
特開2015−101861号公報
しかしながら、光制御具を採光シートとともに用いた場合、種々の問題が生じ得ることが確認された。本開示は、このような点を考慮してなされたものであり、採光シートともに光制御具を用いることにともなって生じ得る種々の問題の少なくとも一つに対処することを目的とする。
本発明による第1の光制御具は、
入射光の進行方向を変えて透過させる採光シートと、対面する位置に配置される光制御具であって、
第1方向に配列された複数のスラット材を備え、
各スラット材は、前記第1方向と非平行な第2方向に延び、
少なくとも一部のスラット材の前記第1方向において第1の側を向く第1面が、光拡散反射性を有する。
本発明による第1の光制御具において、前記少なくとも一部のスラット材の前記第1面での拡散反射成分比、95%以上であってもよい。
本発明による第1の光制御具において、前記少なくとも一部のスラット材の前記第1面での拡散反射成分比は、当該スラット材の前記第1方向における前記第1の側とは反対側となる第2の側を向く第2面での拡散反射成分比よりも高くなっていてもよい。
本発明による第1の光制御具において、前記少なくとも一部のスラット材の前記第1面での反射光の強度の角度分布において、最高強度が得られる方向に対して両側に30度以下の任意の角度で傾斜した方向での強度が、最高強度の10%以上であるようにしてもよい。
本発明による第1の光制御具において、前記少なくとも一部のスラット材は、前記複数のスラット材の中で前記第1方向における前記第1の側とは反対側となる第2の側に配置されていてもよい。
本発明による第1の光制御具において、
前記光制御具は、一部分において前記採光シートに対面する位置に配置され、
前記少なくとも一部のスラット材は、前記採光シートに対面して位置していてもよい。
本発明による第2の光制御具は、
入射光の進行方向を変えて透過させる採光シートと、対面する位置に配置される光制御具であって、
第1方向に配列された複数のスラット材を備え、
各スラット材は、前記第1方向と非平行な第2方向に延び、
少なくとも一部のスラット材は、光拡散透過性を有する。
本発明による第2の光制御具において、前記少なくとも一部のスラット材の拡散透過成分比は、90%以上であってもよい。
前記少なくとも一部のスラット材の透過光の強度の角度分布において、最高強度が得られる方向に対して両側に30度以下の任意の角度で傾斜した方向での強度が、最高強度の20%以上である、請求項7又は8に記載の光制御具。
本発明による第2の光制御具において、前記少なくとも一部のスラット材は、前記複数のスラット材の中で前記第1方向における第2の側に配置されていてもよい。
本発明による第2の光制御具において、
前記光制御具は、一部分において前記採光シートに対面する位置に配置され、
前記少なくとも一部のスラット材は、前記採光シートに対面して位置していてもよい。
本発明による第3の光制御具は、
入射光の進行方向を変えて透過させる採光シートと、一部分において対面する位置に配置される光制御具であって、
第1方向に配列された複数のスラット材を有し、
各スラット材は、前記第1方向と非平行な第2方向に延び、
前記採光シートに対面する位置に配置されるスラット材の前記第1方向において第1の側を向く第1面での反射率が、前記採光シートに対面しない位置に配置されるスラット材の前記第1面での反射率よりも、低い。
本発明による第3の光制御具において、前記採光シートに対面する位置に配置されるスラット材の前記第1面での反射率は、30%以上70%以下となっていてもよい。
本発明による第3の光制御具において、前記採光シートに対面する位置に配置されるスラット材の前記第1方向において第1の側を向く第1面での反射率は、前記採光シートに対面しない位置に配置されるスラット材の前記第1面での反射率の50%以上70%以下となっていてもよい。
本発明による第3の光制御具において、前記採光シートに対面する位置に配置されるスラット材の前記第1面での反射率は、当該スラット材の前記第1方向における前記第1の側とは反対側となる第2の側を向く第2面での反射率よりも大きくなっていてもよい。
本発明による第4の光制御具は、
入射光の進行方向を変えて透過させる採光シートと、対面する位置に配置される光制御具であって、
第1方向に配列された複数のスラット材を有し、
各スラット材は、前記第1方向と非平行な第2方向に延び、
少なくとも一部のスラット材について、前記第2方向に直交する面での当該スラット材の両端部間の距離hに対する前記スラット材の前記第1方向への配置ピッチdの比の値(d/h)は、0.75以下となっていてもよい。
本発明による第4の光制御具において、
各スラット材は、前記第1方向と非平行な軸線を中心として回転可能に支持され、
前記少なくとも一部のスラット材についての前記比の値(d/h)は、0.5よりも大きくなっていてもよい。
本発明による第4の光制御具において、前記少なくとも一部のスラット材は、前記複数のスラット材の中で前記第1方向における第2の側に配置されていてもよい。
本発明による第4の光制御具において、
前記光制御具は、一部分において前記採光シートに対面する位置に配置され、
前記少なくとも一部のスラット材は、前記採光シートに対面して位置していてもよい。
本発明による第5の光制御具は、
入射光の進行方向を変えて透過させる採光シートと、対面する位置に配置される光制御具であって、
第1方向に配列された複数のスラット材を有し、
各スラット材は、前記第1方向と非平行な第2方向に延び、
或る隣り合う二つのスラット材に関する前記第2方向に直交する面での当該スラット材の両端部間の距離hに対する前記スラット材の前記第1方向への配置ピッチdの比の値(d/h)は、前記或る隣り合う二つのスラット材とは異なる他の隣り合う二つのスラット材に関する前記比の値(d/h)と、異なる。
本発明による第5の光制御具において、前記或る隣り合う二つのスラット材についての配置ピッチdは、前記他の隣り合う二つのスラット材についての配置ピッチdと異なるようにしてもよい。
本発明による第5の光制御具において、前記第1方向に連続して配列された少なくとも一部のスラット材のうちの、任意に選択される隣り合う二つのスラット材に関する前記比の値(d/h)は、前記少なくとも一部のスラット材のうちの、当該隣り合う二つのスラット材よりも前記第1方向における第1の側に位置する他の隣り合う二つのスラット材に関する前記比の値(d/h)以下となっていてもよい。
本発明による第5の光制御具において、前記第1方向に連続して配列された少なくとも一部のスラット材のうちの、任意に選択される隣り合う二つのスラット材に関する前記配置ピッチdは、前記少なくとも一部のスラット材のうちの、当該隣り合う二つのスラット材よりも前記第1方向における第1の側に位置する他の隣り合う二つのスラット材に関する前記配置ピッチd以下となっていてもよい。
本発明による第5の光制御具において、前記少なくとも一部のスラット材は、前記複数のスラット材の中で前記第1方向における前記第1の側とは反対側となる第2の側に配置されていてもよい。
本発明による第5の光制御具において、
前記光制御具は、一部分において前記採光シートに対面する位置に配置され、
前記少なくとも一部のスラット材は、前記採光シートに対面して位置していてもよい。
本発明による第5の光制御具において、
各スラット材は、前記第1方向と非平行な軸線を中心として回転可能に支持され、
任意に選択される二つのスラット材に関する前記比の値(d/h)は、0.85以下となっていてもよい。
本発明による第5の光制御具において、
各スラット材は、前記第1方向と非平行な軸線を中心として回転可能に支持され、
任意に選択される隣り合う二つのスラット材に関する前記比の値(d/h)は、0.5より大きくなっていてもよい。
本発明による第5の光制御具において、一部の光制御具に関する前記比の値(d/h)は、0.75以下となっていてもよい。
本発明による第6の光制御具は、
入射光の進行方向を変えて透過させる採光シートと、対面する位置に配置される光制御具であって、
第1方向に配列された複数のスラット材を有し、
各スラット材は、前記第1方向と非平行な第2方向に延び、
前記第1方向と平行で前記第2方向と直交する基準面において各スラット材の両端部を結ぶ方向が前記第1方向に直交する方向に対してなす角度を傾斜角とすると、或る一つのスラット材の前記傾斜角は、他の少なくとも一つのスラット材の前記傾斜角と異なる。
本発明による第6の光制御具において、
前記基準面において、スラット材の前記採光シートに近接する側の端部が、当該スラット材の前記採光シートから離間する側の端部よりも、前記第1方向における第1の側に位置する場合における、前記傾斜角の値を正の値とすると、
前記第1方向に連続して配列された少なくとも一部のスラット材のうちの任意に選択される一つのスラット材に関する前記傾斜角の値は、前記少なくとも一部のスラット材のうちの当該一つのスラット材よりも前記第1方向における第1の側に位置する他の一つのスラット材に関する前記傾斜角の値以上となってもよい。
本発明による第6の光制御具において、前記少なくとも一部のスラット材は、前記複数のスラット材の中で前記第1方向における前記第1の側とは反対側となる第2の側に配置されていてもよい。
本発明による第6の光制御具において、
前記光制御具は、一部分において前記採光シートに対面する位置に配置され、
前記少なくとも一部のスラット材は、前記採光シートに対面して位置していてもよい。
本発明による第3〜第6の光制御具のいずれかにおいて、少なくとも一部のスラット材の前記第1方向において第1の側を向く第1面が、光拡散反射性を有するようにしてもよい。
本発明による第3〜第6の光制御具のいずれかにおいて、少なくとも一部のスラット材は、光拡散透過性を有するようにしてもよい。
本発明による第4〜第6の光制御具のいずれかにおいて、前記採光シートに対面する位置に配置されるスラット材の前記第1方向において第1の側を向く第1面での反射率が、前記採光シートに対面しない位置に配置されるスラット材の前記第1面での反射率よりも、低くなっていてもよい。
本発明による第5及び第6の光制御具のいずれかにおいて、少なくとも一部のスラット材について、前記第2方向に直交する面での当該スラット材の両端部間の距離hに対する前記スラット材の前記第1方向への配置ピッチdの比の値(d/h)は、0.75以下であってもよい。
本発明による第6の光制御具において、或る隣り合う二つのスラット材に関する前記第2方向に直交する面での当該スラット材の両端部間の距離hに対する前記スラット材の前記第1方向への配置ピッチdの比の値(d/h)は、前記或る隣り合う二つのスラット材とは異なる他の隣り合う二つのスラット材に関する前記比の値(d/h)と、異なるようにしてもよい。
本開示による採光システムは、
入射光の進行方向を変えて透過させる採光シートと、
前記採光シートと対面する位置に配置される、本発明による第1〜第6の光制御具のいずれかと、を備える。
本開示による重ね窓の組立キットは、
第1透光部材と、
入射光の進行方向を変えて透過させる採光シートと、
本発明による第1〜第6の光制御具のいずれかと、を備える。
本開示による重ね窓の組立キットは、第1空間と第2空間とを区画する構造体の開口部に配置された透光部材に対面する位置に前記光制御具及び前記第1透光部材を支持する枠体を、更に備える。
本開示による重ね窓の組立キットにおいて、前記枠体は、前記透光部材を支持する枠部材および前記構造体の少なくとも一方に取り付け可能となっていてもよい。
本開示による重ね窓は、本開示による組立キットを備える。
本開示による重ね窓において、前記第1透光部材および前記透光部材の少なくとも一方は、合わせガラス、ペアガラス、又は、二重窓を構成するようにしてもよい。
本開示による構造体は、本開示による第1〜第6の光制御具のいずれか、本開示による採光システム、本開示による組立キット、又は、本開示による重ね窓を備える。
本開示による建物は、本開示による第1〜第6の光制御具のいずれか、本開示による採光システム、本開示による組立キット、又は、本開示による重ね窓を備える。
本開示による重ね窓の製造方法は、本開示による組立キットを構造体に設置する工程を備える。
本開示によれば、採光シートともに光制御具を用いることにともなって生じ得る種々の問題の少なくとも一つに対処することができる。
図1は、第1の実施の形態を説明するための図であって、採光システムを示す縦断面図である。 図2は、図1と同様の断面において図1の採光システムの作用を説明するための図である。 図3は、採光シートの一例を示す斜視図である。 図4は、図3のIV−IV線に沿った断面図である。 図5は、光制御具の一例を示す斜視図である。 図6は、図4に対応する図であって、採光シートの一変形例を示す断面図である。 図7は、図4に対応する図であって、採光シートの他の変形例を示す断面図である。 図8は、図4に対応する図であって、採光シートの更に他の変形例を示す断面図である。 図9は、図1に対応する図であって、採光システムの一変形例を示す図である。 図10は、図1に対応する図であって、採光システムの他の変形例を示す図である。 図11は、図1に対応する図であって、採光システムの更に他の変形例を示す図である。 図12は、図1に対応する図であって、採光システムの更に他の変形例を示す図である。 図13は、図1に対応する図であって、採光システムの更に他の変形例を示す図である。 図14は、図1に対応する図であって、採光システムの更に他の変形例を示す図である。 図15は、図1に対応する図であって、第2の実施の形態を説明するための図である。図15は、採光システムを示す縦断面図である。 図16は、図2に対応する図であって、図15の採光システムの作用を説明するための図である。 図17は、図2に対応する図であって、第3の実施の形態を説明するための図である。図17は、採光システムの作用を説明するための図である。 図18は、図2に対応する図であって、第4の実施の形態を説明するための図である。図18は、採光システムの一例を示す図である。 図19は、図2に対応する図であって、第4の実施の形態を説明するための図である。図18は、採光システムの他の例を示す図である。 図20は、図1に対応する図であって、第5の実施の形態を説明するための図である。図20は、採光システムの一例を示す縦断面図である。 図21は、図2に対応する図であって、図20の採光システムの作用を説明するための図である。 図22は、図1に対応する図であって、第5の実施の形態を説明するための図である。図22は、採光システムの他の例を示す縦断面図である。 図23は、図2に対応する図であって、図22の採光システムの作用を説明するための図である。 図24は、図1に対応する図であって、第6の実施の形態を説明するための図であって、採光システムを示す縦断面図である。 図25は、図2に対応する図であって、図24の採光システムの作用を説明するための図である。
以下、図面を参照して本開示の複数の実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
さらに、本明細書において、「シート」、「フィルム」、「板」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「シート」はフィルムや板と呼ばれ得るような部材も含む概念である。したがって、「採光シート」とは、「採光フィルム」や「採光板」と呼称の相違のみにおいて区別されない。
さらに、「シート面(フィルム面、板面)」とは、対象となるシート状(フィルム状、板状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状(フィルム状部材、板状部材)の平面と一致する面のことを指す。また、シート状(フィルム状、板状)の部材に対する法線方向とは、当該シート状(フィルム状、板状)の部材のシート面(フィルム面、板面)への法線方向のことを指す。
さらに、本明細書で言及する「入光側」及び「出光側」との用語は、太陽光を採光する光路を基準として用いられる。したがって、例えば図1、図2及び図4においては、第1空間SAの側となる図面における左側が入光側で、第2空間SBの側となる図面における右側が出光側となる。
以下に説明する採光システム5は、第1空間SA及び第2空間SBを区画する構造体2の開口OPに少なくとも部分的に対面するように配置される。構造体2は、典型的には、天井C及び床Fとともに建物1の内部、例えば室内を区画する壁Wとなる。ただし、この典型例に限られず、採光システム5が適用される構造体2は、自動車、電車、飛行機、車両等の移動体の区画壁、外殻等であってもよい。一般に、壁Wには、開口OPを塞ぐ透光部材10が設けられている。採光システム5は、採光シート20及び光制御具40を有している。採光シート20は、例えば透光部材10に貼合されて支持される。採光シート20は、透光部材10を透過する太陽光の進行方向を曲げて、第1空間SAから第2空間SBに取り込む。光制御具40は、面方向の広がりを持つ部材としてシート状に形成されている。光制御具40は、少なくとも部分的に採光シート20に対面する位置に配置されている。光制御具40は、採光シート20によって十分に進行方向を変更されなかった光等の光路を調整し、太陽光に眩しさを感じることを抑制し、太陽光による熱負荷を低減する。
その一方で、従来の光制御具を採光シートとともに用いた場合、光制御具の表面に眩しさを感じる、光制御具の表面に顕著な明暗ムラが視認される、眩しさや明暗ムラに対処しようとすると採光効率が低下してしまう、といった問題が生じた。そして以下に説明する各実施の形態では、これらの不具合の少なくとも一つに対処するための工夫がなされている。
<第1の実施の形態>
まず、図1〜図14を参照して、第1の実施の形態について説明する。
図1に示すように、採光システム5は、第1空間SA及び第2空間SBを区分けする構造体2に設けられる。採光システム5は、構造体2に設けられた採光用の開口OPの周辺に配置され、開口OPを介した採光をより効率的なものとする。開口OPには、透光部材10が設けられている。採光システム5の採光シート20は、透光部材10に積層され、透光部材10によって支持されている。図示された例において、採光シート20は、開口OPの上方領域uaに配置されている。その一方で、採光シート20は、開口OPの下方領域laには配置されていない。したがって、図示された例において、開口OPの下方領域laに入射する光は、採光シート20によって光路を制御されることはない。図示された例において、光制御具40は、開口OPの略全域に対面するようにして、配置されている。以下、各構成要素について説明する。
まず、透光部材10について説明する。透光部材10は、開口OPに設けられている。透光部材10は、採光システム5の採光シート20を支持する。図示された例において、透光部材10は、開口OPを物理的に塞いでいる。ただし、透光部材10は、光透過性を有し、少なくとも可視光の一部を透過する。透光部材10として、例えば、ガラスや樹脂板を用いることができる。透光部材10は、好ましくは可視光透過率が50%以上、より好ましくは可視光透過率が70%以上となる材料を用いて形成され得る。なお、可視光透過率は、紫外可視赤外分光光度計(日本分光株式会社製 V−670)を用いて、測定波長380nm〜780nm範囲の透過スペクトルを測定し、JIS A 5759記載の手順に従い算出される。
次に、採光シート20について説明する。
図1に示された例において、採光シート20は、透光部材10の上方領域uaに貼り付けられている。採光シート20は、第1空間SAから入射する太陽光の進行方向を、第1方向d1における第1の側s1から第2の側s2へと変更する。言い換えると、採光シート20は、第1空間SAから入射する太陽光の進行方向を、鉛直方向における下側から上側へ向くように変化させて、第2空間SBに導く。すなわち、採光シート20での光路変更機能により、採光シート20を透過する太陽光の一部が進行方向を偏向させられる。この跳ね上げ光は、第2空間SBの奥の領域まで到達することができる。これにより、外光を第2空間に有効に取り組むことが可能となる。
ここで、図3及び図4は、採光シート20の一具体例を示している。以下、この具体例に基づき、採光シート20を説明する。図3に示すように、採光シート20は、線状に延びる複数の第1部分22と、線状に延びる複数の第2部分23と、を有している。第1部分22及び第2部分23は、一方向に交互に配列されている。各第1部分22は、一方向と非平行な方向に線状に延びている。図示された例において、各第1部分22は、一方向と直交する他方向に直線状に延びている。各第2部分23は、一方向と非平行な方向に線状に延びている。図示された例において、各第2部分23は、一方向と直交する他方向に直線状に延びている。一方向及び他方向は、共に、採光シート20のシート面に沿っている。
図示された例において、第1部分22及び第2部分23が配列された一方向は、後述する光制御具40のスラット材50の配列方向に一致している。また、第1部分22及び第2部分23が延びる他方向は、後述する光制御具40のスラット材50の長手方向である第2方向d2と一致している。図示された例において、第1方向d1は鉛直方向と平行になっている。第1方向d1における第1の側s1は、鉛直方向における下側となり、第1方向d1における第2の側s2は、鉛直方向における上側となる。一方、図示された例において、第2方向d2は水平方向と平行になっている。また、採光シート20の法線方向ndは、水平方向と平行になっている。
図3及び図4に示すように、採光シート20は、第1部分22及び第2部分23を含む光制御層21と、光制御層21と積層された基材層29と、を有している。なお、本実施の形態において、基材層29は、後述する光制御層21の製造方法に起因して設けられているが、特に必須の構成要素ではない。基材層29は、一例として、単なる透明または半透明な樹脂製フィルムから形成され得る。
一方、光制御層21は、第1部分22及び第2部分23に加えて、第1部分22及び第2部分23を支持するシート状のベース部分(ランド部)24をさらに有している。このベース部分24は、第1部分22と一体的に形成されており、第1部分22とともに光制御層本体25を形成している。言い換えると、採光シート20の光制御層21は、複数の溝25aを形成された光制御層本体25と、光制御層本体25の複数の溝25a内にそれぞれ形成された第2部分23と、を有している。そして、光制御層本体25のうちの隣り合う溝25aの間の部分が、第1部分22を画成している。
図4には、採光シート20の主切断面として、第1部分22及び第2部分23の配列方向である第1方向d1及び採光シート20のシート面への法線方向ndの両方に平行となる断面にて、採光シート20が、示されている。図4に示すように、第2部分23は、光制御層21の基材層29側とは反対側の面の一部をなす底面26と、底面26から延び出た第1側面27及び第2側面28と、を含んでいる。
図示された例において、採光シート20のシート面に沿った第1側面27及び第2側面28の離間間隔は、採光シート20のシート面への法線方向に沿って底面26から離間するにつれて、互いに接近していき、最終的に互いに接続している。図示された例において、第2側面28は平坦面として形成されているが、第1側面27は折れ面として形成されている。とりわけ、図示された例では、第1側面27は、底面26に接続する急斜面27aと、底面26から離間した側に位置して第2側面28と接続する緩斜面27bと、を含んでいる。採光シート20のシート面への法線方向ndに対して急斜面27aがなす角度は、採光シート20のシート面への法線方向ndに対して緩斜面27bがなす角度よりも大きくなっている。
ここで、各第2部分23の第1側面27は、当該第2部分23と、当該第2部分23に対して第1方向d1における第2の側s2、すなわち上下方向における上側から隣接する第1部分22との間の界面を形成する。一方、各第2部分23の第2側面28は、当該第2部分23と、当該第2部分23に対して第1方向d1における第1の側s1、すなわち上下方向における下側から隣接する第1部分22との間の界面を形成する。広い角度範囲からの入射光を狭い角度範囲に偏向して採光する観点から、各第2部分と当該第2部分23に上側から隣接する第1部分22との界面は、すなわち、第2部分23の第1側面27は、入光側で上下方向における上方に位置し且つ出光側で上下方向における下方に位置するよう、採光シート20の法線方向ndに対して傾斜している。
また、入射光をより狭い角度範囲に偏向して採光する観点からは、図4に示された例のように、採光シート20への法線方向ndと第1及び第2部分22,23の配列方向である第1方向d1との両方に沿った図4に示された面内において、各第2部分23と当該第2部分23に上側から隣接する第1部分22との界面が採光シート20への法線方向ndに対してなす角度θa(図4参照)が、入光側から出光側へ向けて小さくなるように変化することが好ましい。
なお、角度θaが、「入光側から出光側へ向けて小さくなるように変化する」とは、角度θaが連続的に減少していく場合だけでなく、図4に示された例のように、角度θaが段階的に減少することも含む。さらに、角度θaの変化は、段階的と連続的の組み合わせであってもよい。また、段階的に変化する場合には、角度θaの変化は、二段階で変化するようにしてもよいし、三段階以上で変化するようにしてもよい。
図示された例において、第2部分23は、第1方向d1に沿って等間隔に配置されている。また、第2部分23は、断面形状を変化させることなく、第2方向d2に延びている。さらに、採光シート20に含まれる多数の第2部分23は、互いに同一に構成されている。以上の第2部分23の構成にともない、図示された例では、採光シート20に含まれる第1部分22は、第1方向d1に沿って等間隔に配置され、断面形状を変化させることなく第2方向d2に延び、且つ、互いに同一に構成されている。
図4に示された断面での、第2部分23の第1方向d1に沿った配列ピッチpは、一例として、1mm以下とすることができ、採光シート20のシート面への法線方向ndに沿った第2部分23の高さkは、1mm以下とすることができる。また、採光シート20のシート面への法線方向ndに沿った採光シート20の厚みは、100μ以上2mm以下とすることができる。
なお、採光シート20の第1方向d1に沿った第2部分23の幅wに対する、採光シート20のシート面への法線方向ndに沿った第2部分23の高さkの比、すなわち、k/wで表されるアスペクト比は、採光機能、及び、例えば遮光機能等のその他の機能を十分に発揮し得るよう、1より大きくなっていることが好ましく、5以上であることがさらに好ましい。また、このアスペクト比は、製造の安定性を考慮して、10以下であることが好ましい。
ただし、図3及び図4に示された採光シート20における以上に説明した第1部分22及び第2部分23の構成は、単なる例示であり、例えば後述する採光シート20の機能を考慮して適宜変更することが可能である。一例として、第2部分23の第1側面27を曲面として構成してもよい。第1側面27が曲面となっている場合にも、上述したように、各第2部分と当該第2部分23に上側から隣接する第1部分22との界面が採光シート20への法線方向ndに対してなす角度θa(図3参照)が、入光側から出光側へ向けて小さくなるように変化することが好ましい。また、第2部分23の断面形状を、台形形状等の種々の形状に変更することができる。また、採光シート20に含まれる多数の第1部分22の間で、形状や配列が異なるようにしてもよいし、同様に、採光シート20に含まれる多数の第2部分23の間で、形状や配列が異なるようにしてもよい。
次に、第1部分22及び第2部分23の材料について説明する。
まず、第1部分22は透明に形成されている。本明細書において「透明」とは、可視光透過率が50%以上となっていることを意味している。ただし、本実施の形態における第1部分22の可視光透過率は、70%以上となっていることが好ましく、90%以上となっていることがより好ましい。
また、本実施の形態において、ベース部分24は第1部分22と同一の材料を用いて第1部分22と一体的に形成されている。第1部分22及びベース部分24をなす光制御層本体25に用いられる材料として、例えば、樹脂材料、とりわけ電離放射線の照射により硬化する電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。電離放射線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、可視光線硬化性樹脂、近赤外線硬化性樹脂等が挙げられる。樹脂材料の具体例としては、アクリル樹脂が挙げられる。
第2部分23は、第1部分22と同様に、透明に形成されていてもよい。第2部分23の屈折率は、第1部分22の屈折率と異なっている。この結果、第1部分22と第2部分23との界面が、屈折率差を有し、可視光を反射する面として機能し得る。第1部分22側から入射した可視光を第1部分22と第2部分23との界面で効率的に反射させるためには、第2部分23の屈折率を第1部分22の屈折率よりも小さくなるように調節することが好ましい。
また、図4に例示された一つの第2部分23のように、第2部分23は、バインダーとして機能する主部23aと、主部23a中に分散された任意の機能性含有物23bと、を有するようにしてもよい。主部23aの屈折率は、第1部分22の屈折率と異なっており、この結果、第1部分22と第2部分23との界面が、屈折率差を有し、可視光を反射する面として機能し得る。
第2部分23又は第2部分23の主部23aに用いられる材料として、例えば、樹脂材料、とりわけ電離放射線の照射により硬化する電離放射線硬化性樹脂の硬化物を用いることができる。電離放射線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、可視光線硬化性樹脂、近赤外線硬化性樹脂等が挙げられる。樹脂材料の具体例としては、第1部分22に用いるアクリル樹脂とは屈折率が異なるアクリル樹脂が挙げられる。もっとも、機能性含有物23bを有する場合にその機能性含有物23bによって第2部分23の屈折率が変わるのであれば、第1部分22に用いるものと同じアクリル樹脂を用いてもよい。
一方、第2部分23の機能性含有物23bは、種々の機能を期待されて主部23a中に分散されており、一例として、熱線吸収材や着色材とすることができる。熱線吸収材として、赤外光波長帯域に吸収特性を有し、且つ、可視光波長帯域に透過特性を有する粒子が用いられる。着色材としては、可視光波長帯域の少なくとも一部の波長域の光を吸収する機能を有した粒子を用いることができる。着色材の一例として、顔料、より具体的には、カーボンブラック、黒鉛、窒化チタン等の黒色顔料や、酸化チタン等の白色顔料を用いることができる。また、紺色、青色、紫色等の青みを帯びた粒子、赤みを帯びた粒子、黄色みを帯びた粒子等を着色材として用いてもよい。着色材としての機能性含有物23bを第2部分23に用いることにより、第2部分23を着色することができる。この際、第2部分23の色味等も考慮した上で、採光シート20に意匠性を付与することができる。
以上のような構成からなる、光制御層21は次のようにして製造され得る。まず、第1部分22及びベース部分24をなす光制御層本体25を、例えば、電子線、紫外線等の電離放射線の照射により硬化する特徴を有するエポキシアクリレート等の硬化性材料を用いて、作製する。具体的には、光制御層本体25の溝25aの構成(配置、形状等)に対応した凸部を有する型ロール、言い換えると、第1部分22の構成(配置、形状等)に対応した凹部を有する型ロールを準備する。当該型ロールとニップロールとの間に基材層29をなすようになるシートを送り込み、該シートの送り込みに合わせて、硬化性材料を型ロールと基材層29との間に供給する。その後、基材層29上に供給された未硬化状態で液状の硬化性材料が型ロールの凹部に充填されるように、型ロールおよびニップロールで該硬化性材料を押圧する。このとき、型ロールの凹部の深さより厚くなるように、すなわち、型ロールと基材層29とが接触しないように、硬化性材料を基材層29上に供給しておくことによって、上述したベース部分(ランド部)24が、第1部分22と一体的に硬化性材料から形成されるようになる。以上のようにして基材層29と型ロールとの間に未硬化で液状の硬化性材料を充填した後、光を照射して該硬化性材料を硬化(固化)させることによって光制御層本体25を形成することができる。
次に、硬化することによって主部23aをなすようになる硬化性材料と、必要に応じて任意の機能性含有物23bと、を含んだ未硬化で液状の組成物を用いて第2部分23を作製する。硬化することによって主部23aをなすようになる硬化性材料として、電離放射線により硬化する特徴を有するウレタンアクリレート等の硬化性材料を用いることができる。まず、先に形成された光制御層本体25上に組成物を供給する。その後、隣り合う第1部分22の間の形成された溝25a、すなわち、型ロールの凸部に対応していた部分の内部に、ドクターブレードを用いながら、組成物を充填しつつ、該溝25a外に溢出した余剰分の組成物を掻き落としていく。その後、第1部分22の間の組成物に電離放射線を照射して硬化させることにより、第2部分23が形成される。これにより、基材層29、並びに、基材層29上に設けられたベース部分24と、ベース部分24上に設けられた第1部分22及び第2部分23と、を有する採光シート20が作製される。
なお、採光シート20が、第1部分22及び第2部分23に加えて、種々の機能を期待された機能層をさらに有するようにしてもよい。例えば、採光シート20が、最も第2空間SB側となる層として、耐擦傷性を有したハードコート層をさらに有するようにしてもよい。
次に、光制御具40について説明する。
光制御具40は、少なくとも一部の光の直進を規制する装置である。光制御具40は、採光シート20の出射側に配置される。光制御具40は、少なくとも一部分において、採光シート20と対面する。光制御具40は、採光シート20からの跳ね上げ光L11の進行を許容する一方で、採光シート20で期待された方向に進行方向を補正され得なかった光L12の直進を規制する。光制御具40は、採光シート20で期待された方向に進行方向を補正され得なかった光L12の進行方向を曲げる、または、当該光L12を吸収する等して、当該光L12を遮蔽する。すなわち、光制御具40は、昼光利用に有効ではない光を遮光する遮光装置として機能する。昼光利用に有効ではない光は、第2空間SBに居る人が感じる眩しさの原因や、不要な温度上昇の原因ともなる。したがって、光制御具40によれば、第2空間SBに居る人が眩しさを感じることを抑制することができ、第2空間SB内部での温度上昇を抑制することもできる。
図1に示すように、光制御具40は、第1方向d1に配列された複数のスラット材50と、スラット材50を支持するための支持具41と、を有している。スラット材50は、長手方向を有する薄板状の部材である。各スラット材50は、第1方向d1と非平行な第2方向d2に延びている。図示された例において、第1方向d1は第2方向d2と直交している。また、既に説明したように、第1方向d1は、鉛直方向に一致し、第2方向d2は、水平方向に一致している。図1及び図2に示すように、薄板状のスラット材50は、第1方向d1における第1の側s1を向く第1面51と、第1方向d1における第2の側s2を向く第2面52と、を主面として含んでいる。また、スラット材50は、その長手方向に直交する図1及び図2の断面において、入光側に位置する第1端部53と、出光側に位置する第2端部54と、を含んでいる。
なお、図1に示された例において、薄板状のスラット材50は湾曲している。そして、第2面52が凸面となり、第1面51が凹面となっている。ただし、図1に示された例に限られず、第2面52が凹面となり、第1面51が凸面となるようにしてもよい。なお、図1、及び、図1と同様の視野を示す図9〜図15,図20,図22,図24以外の図においては、湾曲を省略してスラット材50を示しているが、これらの図に示すように、スラット材50は平板状に形成されていてもよい。また、図2、及び、図2と同様の視野を示す図16〜図19,図21,図23,図25では、採光シート20の詳細な構成の図示を省略している。
スラット材50は、一例として、耐食アルミニウム合金からなる薄板材、木材からなる薄板材、樹脂からなる薄板材を用いることができる。このようなスラット材50は、不透明であり、可視光遮光性を有している。スラット材50は、可視光を反射する機能を有し、入射光の進行方向を変化させるようにしてもよい。また、スラット材50の表面に、遮熱、防汚、抗菌、消臭機能を付与するための機能層が形成されていてもよい。一例として、フッ素コートや酸化チタンコートをスラット材50に設けることができる。
図1及び図2に示すように、支持具41は、跳ね上げ光L11,L21の直進を許容可能な姿勢にて、スラット材50を保持することができる。より具体的には、跳ね上げ光L11,L21が、スラット材50の第1面51や第2面52に入射することなく隣り合う二つのスラット材50の間を通過し得るように、支持具41はスラット材50を保持することができる。図1及び図2に示されたスラット材50は、跳ね上げ光L11,L21の光路を確保すべく、採光シート20に近接する側の第1端部53が第1方向d1における第1の側s1に位置するとともに、採光シート20から離間する側の第2端部54が第1方向d1における第2の側s2に位置するよう、その姿勢を支持具41によって調整されている。
光制御具40は、図5に示されるように、ブラインド44として構成されていてもよい。ブラインド44として構成された光制御具40の支持具41は、スラット材50の向き、すなわち、薄板状のスラット材50の板面の向きを変更可能に、スラット材50を支持する。また、光制御具40に含まれるスラット材50の各々が、支持具41によって、他のスラット材50と平行に維持されながら向きを調整されるようにしてもよいし、他のスラット材50から独立して向きを調整され得るようにしてもよい。
図1に示された例において光制御具40は、採光シート20に正対しない領域にも配置されている。このような光制御具40は、採光シート20に正対しない領域において、通常のブラインドとして遮光機能を発揮することができる点において好ましい。この例において、ブラインド44は、採光シート20に正対する第1群のスラット材50の向きと、第1群のスラット材50の下方に位置する採光シート20に正対しない第2群のスラット材50の向きと、を互いから独立して制御可能としてもよい。この際、第1群に含まれる複数のスラット材50の向きは平行に維持され、第2群に含まれる複数のスラット材50の向きは平行に維持されるようにしてもよい。或いは、第1群に含まれるスラット材50の各々が、支持具41によって、他のスラット材50から独立して向きを調整され得るようにしてもよい。同様に、第2群に含まれるスラット材50の各々が、支持具41によって、他のスラット材50から独立して向きを調整され得るようにしてもよい。
ここで、図5に示されたブラインド44として構成された光制御具40について説明する。ブラインド44として構成された光制御具40の支持具41は、構造体2への取付具となる取付ボックス45と、取付ボックス45から垂下し且つ第1方向d1に間隔をあけて多数のスラット材50を支持するラダーコード47と、スラット材50を引き上げるための昇降コード48と、ラダーコード47及び昇降コード48に連結された操作グリップ46と、を有している。ラダーコード47は、スラット材50の向きを制御することができ、例えば、ブラインド44に含まれるすべてのスラット材50を概ね平行となるように維持する。そして、操作グリップ46を介してラダーコード47を操作することにより、スラット材50の姿勢を制御することができる。また、操作グリップ46を介して昇降コード48を操作することにより、第1の側s1のスラット材50から順に第1方向d1における間隔を狭めるようにして、多数のスラット材50を第2の側s2へ引き上げることができる。この際、多数のスラット材50の少なくとも一部が取付ボックス45内に収容され、且つ、開口OPに装着された採光シート20が室内に露出し得る。同様に、操作グリップ46を介して昇降コード48を操作することにより、第1の側s1に集められたスラット材50を、採光シート20に対面する位置に下げることができる。
ただし、図5に示されたブラインド44において、取付ボックス45、操作グリップ46、ラダーコード47,昇降コード48、並びに、操作グリップ46を介してラダーコード47及び昇降コード48を操作する機構は、既知の種々の構成を採用することができる。
ところで、第1の実施の形態では、従来の採光システムの不具合に対処するため、少なくとも一部のスラット材50の第1面51が光拡散反射性を有している。第1面51は、第1方向d1における第1の側s1を向く面、すなわち図示された例において鉛直方向における下側を向く面である。後述するように、第1面51に光拡散反射性を付与することで、第1面51での反射に起因する眩しさを効果的に回避することができる。防眩性を確保する観点から、このスラット材50の第1面51での拡散反射成分比は95%以上であることが好ましい。また、防眩性を確保する観点から、このスラット材50の第1面51での拡散反射率〔%〕は、60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。さらに、防眩性を確保する観点から、このスラット材50の第1面51での鏡面反射率〔%〕は、3.0%以下となっていることが好ましい。
ここで、拡散反射成分比〔%〕は、拡散反射率〔%〕の反射率〔%〕に対する割合であって、言い換えると、全ての反射光に含まれる拡散反射光の割合〔%〕を意味する。反射率〔%〕とは、入射光に対する全ての反射光の割合である。そして、このすべての反射光には、拡散反射成分および鏡面反射成分の両方が含まれる。つまり、反射率〔%〕は、拡散反射率〔%〕および鏡面反射率〔%〕を足し合わせた値〔%〕となる。
反射率〔%〕は、紫外可視赤外分光光度計(日本分光株式会社製 V−670)、及び150mmφ積分球ユニット(日本分光株式会社製 ILN−725VA)を用い、光線入射角40度条件設定にて、測定波長380nm〜780nm範囲の反射スペクトルを測定し、JIS A 5759記載の手順に従い算出される。鏡面反射率(%)は、紫外可視赤外分光光度計(日本分光株式会社製 V−670)、及び自動絶対反射率測定ユニット(日本分光株式会社製 ARMN−735)を用い、光線入射角40度条件設定にて、測定波長380nm〜780nm範囲の反射スペクトルを測定し、JIS A 5759記載の手順に従い算出される。拡散反射率〔%〕は、反射率〔%〕から鏡面反射率〔%〕を引いた値〔%〕として特定される。
一例として、表面凹凸形状を第1面51に付与することで、スラット材50の第1面51に拡散反射機能を付与することができる。すなわち、粗面として形成された第1面51が、光拡散反射性を発現することできる。
第1面51に光拡散反射性を付与されたスラット材50において、第1方向d1における第2の側s2、すなわち図示された例では鉛直方向における上側を向く第2面52は、光拡散反射性を有している必要はない。したがって、このスラット材50において、第1面51での拡散反射成分比〔%〕が、第2面52の拡散反射成分比〔%〕よりも大きくなっていてもよい。このようなスラット材50によれば、防眩を実現しながら、昼光の利用効率の改善を図ることが可能となる。
さらに、スラット材50の第1面51へ光線を入射させた際の反射光の強度の角度分布において、最高強度が得られる方向に対して両側に30度以下の任意の角度で傾斜した方向での強度、すなわち、最高強度が得られる方向を中心とした60度の角度範囲内の任意の方向での強度が、最高強度の10%以上であることが好ましく、最高強度の15%以上であることがより好ましい。また、スラット材50の第1面51へ光線を入射させた際の反射光の強度の角度分布において、最高強度が得られる方向に対して両側に15度以下の任意の角度で傾斜した方向での強度、すなわち、最高強度が得られる方向を中心とした30度の角度範囲内の任意の方向での強度が、最高強度の15%以上であることが好ましく、最高強度の20%以上であることがより好ましい。このような条件が満たされる場合、スラット材50の第1面51における拡散反射特性が強くなり、防眩機能を改善することができる。なお、反射光の強度の角度分布は、入射光の光路上に位置し且つ反射面の法線方向と平行な面上で強度測定方向を変化させていき、取得する。反射光の強度の角度分布は、三次元変角分光測色システム(村上色彩技術研究所 GCMS−11)を用いて測定した値とする。また、入射光は、入射角40°でスラット材に入射させる。
なお、第1面51に光拡散反射性を有するスラット材50は、第1方向d1における第2の側s2、すなわち図示された例では、鉛直方向における上側に配置されていることが有効である。この領域において、眩しさが感知されやすいためである。
また、図1に示された例において、光制御具40は、その一部において、採光シート20に対面している。そして、採光シート20に正対する全て又は一部のスラット材50に対して、光拡散反射性が第1面51に付与されていることが好ましい。その一方で、採光シート20に正対しないスラット材50も含めて、光制御具40に含まれる全てのスラット材50に対して、光拡散反射性が第1面51に付与されていてもよいし、光拡散反射性が第1面51に付与されていなくてもよい。
次に、以上の構成からなる採光システム5及び光制御具40の作用について説明する。
第1空間SA及び第2空間SBを区画する構造体2の開口OPに向かう光、とりわけ太陽光は、透光部材10を透過して、採光シート20に入射する。図4に示すように、採光シート20は、屈折率界面を形成する第1部分22及び第2部分23を含んだ光制御層21を有している。そして、第1部分22及び第2部分23の長手方向である第2方向d2は、鉛直方向と交差する方向、とりわけ図示された例では水平方向に延びるようになる。また、第1部分22及び第2部分23の配列方向である第1方向d1は、図示された例において、鉛直方向に延びる。このため、図4に示すように、採光シート20が装着された開口OPに向けて斜め上方から入射する太陽光L41,L42は、第1部分22と第2部分23の第1側面27との界面に入射しやすくなり、多くの光が、この界面にて反射する。そして、太陽光L41,L42が第2部分23の第1側面27上で反射することにより、当該光の進行方向は、上側に曲げられる。言い換えると、第1部分22を介して採光シート20に入射してその後に第2部分23の第1側面27に到達した光は、当該第1側面27上での反射によって、上方に跳ね上げられるようになる。
とりわけ、図示された形態では、採光シート20の第2部分23が第1部分22よりも低屈折率となっている。したがって、採光シート20の第1部分22に入射した光は、第2部分23の第1側面27と第1部分22との界面での全反射条件を満たすようにして、当該界面に入射することができる。全反射による反射によれば、反射損失が生じないため、太陽光を効率的に利用することが可能となる。
図1及び図2に示すように、採光シート20の出光側には、遮光機能を有した光制御具40が配置されている。採光シート20の組み合わせにおいて、光制御具40のスラット材50は、その板面が入光側となる第1端部53よりも出光側となる第2端部54において上方に位置するように傾斜した姿勢で、支持具41によって保持されている。したがって、採光シート20での光路を変更する機能により光路を上方に曲げられた跳ね上げ光L11,L21は、光制御具40のスラット材50の間を通過することが可能となる。この跳ね上げ光L11,L21は、進行方向を跳ね上げられているので、透光部材10が設置された位置から離間した室内の奥側の領域まで到達することができる。すなわち、この採光システム5によれば、室内照明のための採光機能が有効に発現されるので、室内灯具の使用を抑制することができ、省エネルギー及びCOの削減を図ることができる。
加えて、本実施の形態では、図4に示すように、第2部分23の第1側面27は、入光側に急斜面27aを有し出光側に緩斜面27bを有している。このような構成においては、まず大まかな傾向として、水平面に対して比較的に大きく傾いた方向に進む光L41が急斜面27aに入射しやすくなり、その一方で、水平面に対して比較的に大きく傾いていない方向に進む光L42は急斜面27aに入射することなく緩斜面27bに入射しやすくなる。急斜面27aは、水平面に対する傾斜がきつい方向からの光L32の進行方向を大きく立ち上げ過ぎないように曲げる。これにより、水平面に対して比較的に大きく傾いた方向から入射し且つ急斜面27aで反射した光L42と、水平面に対して比較的に大きく傾いていない方向から入射し且つ急斜面27aに入射することなく緩斜面27bで反射した光L42が、概ね近い方向に出射し、開口OPから離間した室内の奥側へ当該光を効果的に誘導することが可能となる。
すなわち図示された例に代表されるように、採光シート20への法線方nd向と第1及び第2部分22,23の配列方向である第1方向d1との両方に沿った面内において、各第2部分23と当該第2部分23に上側から隣接する第1部分22との界面が採光シート20への法線方向ndに対してなす角度θaが入光側から出光側へ向けて小さくなるように変化する場合、採光シート20内で進路変更して透過する光の出射方向をより狭い角度範囲に絞り込むことができる。この結果、採光シート20を透過した光は、採光シート20の出光側に配置された光制御具40のスラット材50間を通過しやすくなり、より高い効率での採光が可能となる。
ただし、図1に示すように、採光シート20での光路変更機能によって、所望の方向に光路を曲げられない光L12も発生し得る。例えば、採光シート20の法線方向ndに対して大きく傾斜しない光L12、典型的には、採光シート20の法線方向よりも僅かに下側に傾斜した方向に進む光L12も生じ得る。このような光は、第2空間SBに居る人の顔に向けて進みやすく、結果として、当該人が眩しさを感じる原因となる。また、採光シート20に入射する光の一部L13は、採光シート20で進行方向を大きく変化させることなく透過する。このような光L13は、おおよそ、太陽からの直達光と同様の光路を取り、眩しさを感じる原因や、第2空間SB内における不所望な温度上昇の原因となる。
このような光L12,L13に対して、光制御具40のスラット材50は、遮光機能を有効に発揮することができる。すなわち、スラット材50は、その板面が入光側となる第1端部53よりも出光側となる第2端部54において上方に位置するように傾斜した姿勢で、支持具41によって保持されている。したがって、採光シート20の法線方向に対して大きく傾斜しない光L12や、採光シート20の法線方向よりも下側に傾斜した方向に進む光L13は、スラット材50の第2面52に入射しやすくなる。この結果、これらの光L12,L13が遮光され、防眩および遮熱機能が発揮される。すなわち、この採光システム5によれば、採光シート20と組み合わせ用いられる光制御具40での遮光機能や遮熱機能によっても、空調機器等の電化製品の使用量を抑制することが可能となり、省エネルギー及びCOの削減を図ることができる。
以上に説明したように、採光シート20での光路変更機能により、採光シート20を透過した光の一部L11,L21が進行方向を跳ね上げられる。この跳ね上げ光L11,L21は、光制御具40のスラット材50間を通過して、第2空間SB、例えば屋内の奥の領域まで到達することができる。その一方で、光制御具40は、採光シート20にともなって生じる不所望光L12,L13を遮蔽して、防眩機能および遮熱機能を発現する。すなわち、光制御具40は、不所望な光L12,L13に対して遮光機能を発揮する一方で、跳ね上げ光L11,L21の第2空間SBへの進行を害することなく、これにより、太陽光を第2空間SBに有効に取り組むことが可能となる。
ところが、採光シート20の背面に光制御具40を設けた場合、第2空間SBから、光制御具40が眩しく観察されることが生じた。この原因について調査を行ったところ、採光シート20を光制御具40と組み合わせて使用することにともなって、これまで生じていなかった次に説明する問題が生じ得ることが確認された。
まず、図2に示すように、採光シート20で進行方向を偏向させられた跳ね上げ光の一部L22aが、スラット材50の間を通過することなく、スラット材50の第1面(裏面、下面)に入射していた。そして、スラット材50は、入光側となる第1端部53よりも出光側となる第2端部54の方が上側に位置する姿勢で保持されている。したがって、スラット材50の下側を向く第1面51で正反射した光L22aは、おおむね、第2空間SBに居る人に向けて進み、このため、光制御具40が眩しく観察されていた。
また、図2に示すように、採光シート20で大きく進行方向を変化させられなかった光の一部L23aが、一つのスラット材50の上側を向く第2面52で反射し、次に、当該スラット材50の上側に位置する他の一つのスラット材50の下側を向く第1面51に入射していた。スラット材50の下側を向く第1面51で正反射した光L23aは、おおむね、第2空間SBに居る人に向けて進み、このため、光制御具40が眩しく観察されていた。
このような反射は、連続して配置された複数のスラット材51の第1面51で生じる。そして、第2空間SBに居る人は、連続配置された複数のスラット材51からの反射光が、スラット材の配列方向に延びる輝線として視認された。
このような不具合に対して、第1の実施の形態では、少なくとも一部のスラット材50の第1方向d1において第1の側s1、すなわち下側を向く第1面(裏面、下面)51が、光拡散反射性を有している。したがって、図2に示すように、第1面51で反射された光L22,L23は拡散する。これにより、採光シート20とともに光制御具40を用いることにともなって生じていた眩しさに効果的に対処することができる。すなわち、第2空間SBの側から観察した際に光制御具40が眩しく観察されることを効果的に防止することができる。とりわけ、第1面51での拡散反射成分比が95%以上となっている場合には、通常の注意力での観察において、光制御具40に眩しさを感じることはなかった。また、スラット材50の第1面51での反射光の強度の角度分布において、最高強度が得られる方向に対して両側に30度以下の任意の角度で傾斜した方向での強度が、最高強度の10%以上となっている場合にも、光制御具40に眩しさを感じることはなかった。
ここで、本件発明者が実施した実験結果の一部を示す。この実験では、図1に示された採光システムを作製した。採光システムは、図3及び図4を主に参照して説明した上述の採光シートと、サンプル1〜17に係る光制御具と、を組み合わせた。光制御具は、図5を主に参照して説明した上述の構成を有するものとした。ただし、サンプル1〜17に係る光制御具の間で、スラット材の反射特性及び反射配向特性が異なるようにした。
室内と室外を区画する壁部に形成された開口部に、作製した採光システムを実際に組み込んで、室内側からの観察において、眩しさを感じるか否かを確認した。サンプルの反射特性、反射配向特性および眩しさの確認結果を表1に示す。
Figure 2019039151
なお、表1には、サンプルの反射特性として、反射率〔%〕、鏡面反射率〔%〕、拡散反射率〔%〕、拡散反射成分比〔%〕を示している。また、サンプルの反射配向特性として、スラット材の第1面での反射光強度の角度分布における、最高強度が得られる方向に対して両側に15度以下の角度で傾斜した方向での最低となる強度の、最高強度に対する割合〔%〕を、「±15°」の欄に示し、スラット材の第1面での反射光強度の角度分布における、最高強度が得られる方向に対して両側に30度以下の角度で傾斜した方向での最低となる強度の、最高強度に対する割合〔%〕を、「±30°」の欄に示している。
また表1の「防眩効果」の欄において、光制御具を室内側から観察した際に、連続配置された複数のスラット材の配列方向に延びる輝線が視認され且つ眩しさを感じたサンプルに対して「×」を付し、採光システムへの光線入射角やスラット材の向きに応じて輝線の存在が確認されることがあったが問題となる程度の眩しさを感じなかったサンプルに対して「○」を付し、輝線の存在が確認されなかったサンプルに対して「◎」を付した。
ところで、採光時に、スラット材50は、その板面が入光側となる第1端部53の側から出光側となる第2端部54の側に向けてしだいに上方に位置するように傾斜した姿勢で、支持具41によって保持されている。図2に示すように、このような姿勢にあるスラット材50の第2面52で正反射する光L23,L24の進行方向は、第1方向d1において第2の側s2、すなわち上側に向けられる。そして、第2面52での反射によって上側に向けられた光の一部L24は、隣り合う他のスラット材50へ入射することなく第2空間SBの奥に進む。このような光は、眩しさの原因とならないだけでなく、室内照明に有効に用いられる。したがって、第1面51が光拡散反射性を有する場合、第2面52は光拡散反射性を有している必要はない。むしろ、第2面52が光拡散反射性を有していない場合には、太陽光のより有効な利用が可能となる。この点において、スラット材50の第1面51での拡散反射成分比〔%〕が、当該スラット材の第2面52での拡散反射成分比〔%〕よりも高くなっていることが好ましい。また、スラット材50の第1面51での拡散反射率〔%〕が、当該スラット材の第2面52での拡散反射率〔%〕よりも高くなっていることが好ましい。
また、第1面51に付与される光拡散反射性は、当該光制御具40を採光シート20と組み合わせて用いた場合に生じる眩しさに対処するものである。したがって、第1面51に光拡散反射性を付与されるスラット材50は、採光シート20に正対して位置していることが有効である。更に、人は、鉛直方向における上側に位置するスラット材50から誘導される光を眩しく感じる傾向がある。したがって、第1面51に光拡散反射性を付与されるスラット材50は、第1方向d1における第2の側s2に位置していることが有効である。
なお、採光シート20が設けられていない領域、すなわち、開口OPの上方領域uaを除く位置には、光制御具40のみが設けられている。この領域においては、光制御具40に本来的に期待された種々の遮光機能が、光制御具40によって、発揮され得る。ブラインド44によって光制御具40が形成されている場合、ブラインド44に本来的に期待された種々の機能、例えば、遮光機能、遮熱機能、のぞき見防止機能等が、発揮され得る。そして、この領域に配置されたスラット材50は、第1面51における光拡散反射性を有していてもよいし、有していなくてもよい。
以上に説明したように、第1の実施の形態において、採光システム5の光制御具40は、入射光の進行方向を第1方向d1における第1の側s1から第2の側s2へ変えて透過させる採光シート20に対面して配置される。光制御具40は、第1方向d1に配列された複数のスラット材50を有している。各スラット材50は、第1方向d1と非平行な第2方向d2に延びている。少なくとも一部のスラット材50の第1方向d1において第1の側を向く第1面(裏面、下面)51が、光拡散反射性を有している。
採光シート20の背面に光制御具40が設けられている場合、採光シート20で進行方向を偏向させられた跳ね上げ光の一部L22,L23が、スラット材50の間を通過することなく、スラット材50の第1面51に入射する。スラット材50は、跳ね上げ光の光路を確保すべく、採光時には採光シート20に近接する側の第1端部53が第1方向d1における第1の側(下側)s1に位置するとともに、採光シート20から離間する側の第2端部54が第1方向d1における第2の側(上側)s2に位置するよう、その姿勢を調整される。このような姿勢に保持されたスラット材50の第1面51に入射した光は、スラット材の第1面で正反射した場合、採光シート20の法線方向ndに対して大きく傾斜しない方向に進むようになる可能性がある。そして、採光シート20と光制御具40との組み合わせに起因したこのような反射光L22a,L23aは、第2空間SBに居る人に眩しく感知されるようになる。この点について、本実施の形態では、少なくとも一部のスラット材50の第1面51が光拡散反射性を有している。したがって、反射光L22,L23が拡散され、第2空間SBに居る人が感知する眩しさを効果的に低減することができる。
なお、上述してきた第1の実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した第1の実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の第1の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
上述した第1の実施の形態において、図3及び図4を参照して採光シート20の一例について説明した。しかしながら、後に説明する他の実施の形態についても同様に適用可能であるが、採光シート20は、上述した例に限られず、例えば図6〜図8に示すように種々の形式の採光シート20を利用することができる。
図6は、プリズム型の採光シート20を示す縦断面図である。図6に示された採光シート20は、シート状の本体部31と、本体部31上に配列された複数の単位プリズム32と、を有している。複数の単位プリズム32は、一方向に配列されている。各単位プリズム32は、一方向と非平行な方向に線状に延びている。図示された例において、各単位プリズム32は、一方向に直交する他方向に直線状に延びている。また、複数の単位プリズム32は、一方向に隙間無く配列されている。一方向及び他方向は、共に、採光シート20のシート面に沿っている。とりわけ図示された例において、単位プリズム32の配列方向である一方向は、光制御具40のスラット材50の配列方向である第1方向d1に一致している。また、単位プリズム32の長手方向である他方向は、光制御具40のスラット材50の長手方向である第2方向d2に一致している。
図6に示された例において、採光シート20の入光側面が、単位プリズム32によって形成されたプリズム面33となっている。各単位プリズム32は、第1方向d1における第1の側s1に位置する第1プリズム面33aと、第1方向d1における第2の側s2に位置する第2プリズム面33bと、を有している。第2プリズム面33bは、太陽光L61の入射面となり、第1プリズム面33aは、入射した太陽光L61を全反射により跳ね上げる反射面となる。
なお、図6に示されたプリズム型の採光シート20は、屈折率が1である空気との界面での全反射により光を偏向させる。したがって、全反射の臨界角条件が広く、広範な角度域からの入射光に対し、光偏向機能を発現することができる。そのため、他の種類の採光シートと比較して、鉛直上方向への光跳ね上げ量が大きく、スラット面での眩しさが年中を通して問題になりやすい。したがって、このようなプリズム型の採光シートとの組み合わせにおいて、防眩機能を発現可能な光制御具40は非常に有用である。
プリズム型の採光シート20としては、図6に示された例とは異なり、単位プリズム32が本体部31から出光側に突出していてもよい。また、プリズム型の採光シート20における光路変更機能が、全反射ではなく、屈折や回折によって生じるようにしてもよい。
図7は、クレーズ型の採光シート20を示す縦断面図である。クレーズは、クレイズとも表記されることがあり、樹脂フィルムに形成された略直線状のひび、あるいは割れ目を意味している。とりわけ、図7に示されたクレーズは、樹脂フィルムに形成されるひびあるいは割れ目の壁面間に樹脂フィブリル35a、すなわち繊維状の樹脂が残存している。ただし、図7に示された例とは異なり、樹脂フィブリル35aが残存していない単なるクラックからなるクレーズを採用してもよい。
図7に示された採光シート20は、樹脂フィルムからなる本体部34を有している。本体部34の入光側となる面に、複数のクレーズ35が形成されている。複数のクレーズ35は、一方向に配列されている。各クレーズ35は、一方向と非平行な方向に線状に延びている。図示された例において、各クレーズ35は、一方向に直交する他方向に直線状に延びている。一方向及び他方向は、共に、採光シート20のシート面に沿っている。とりわけ図示された例において、クレーズ35の配列方向である一方向は第1方向d1に一致し、光制御具40のスラット材50の配列方向である第1方向d1に一致している。また、クレーズ35の長手方向である他方向は、光制御具40のスラット材50の長手方向である第2方向d2に一致している。
クレーズ35は、例えば、刃物やブレードなどの先端が鋭利な直線状の板で、直線に沿った微小な曲げ変形を樹脂フィルムに付与することで得ることができる。この場合、クレーズ35内には、樹脂フィブリル35aおよび空隙35bが存在するようになる。なお、図6においては、1つの空隙35bのみを代表的に図示している。図7に示された例において、クレーズ35内に進行した太陽光L71は、樹脂フィブリル35aと空隙35bとの界面において反射、とりわけ全反射し、その進行方向を跳ね上げられる。クレーズ型の採光シート20では、空隙35bが不規則的に設けられるので、太陽光L71は、或る程度限られた角度範囲内で拡散し、これにより、ぎらつきの発生を効果的に抑制することができる。このような採光シート20は、採光シート20自体が光拡散効果を有し防眩機能を発現するため、防眩機能を有する光制御具20との組み合わせによって、より効果的に眩しさを低減することができる。
図8は、ミラールーバー型の採光シート20を示す縦断面図である。図8に示された採光シート20は、本体部36と、本体部に形成された複数の反射部37と、を有している。複数の反射部37は、一方向に配列されている。各反射部37は、一方向と非平行な方向に線状に延びている。図示された例において、各反射部37は、一方向に直交する他方向に直線状に延びている。一方向及び他方向は、共に、採光シート20のシート面に沿っている。とりわけ図示された例において、反射部37の配列方向である一方向は、光制御具40のスラット材50の配列方向である第1方向d1に一致している。また、反射部37の長手方向である他方向は、光制御具40のスラット材50の長手方向である第2方向d2に一致している。
本体部36には切り込み36aが形成され、この切り込み36a内に反射部37が設けられている。図8に示された例において、太陽光L81は、反射部37の上面37aにおいて反射し、その進行方向を跳ね上げられる。反射部37は、例えば、切り込み36a内に充填されたアルミニウム等の高反射率材料によって形成される。この例において、反射部37での反射は、正反射、言い換えると鏡面反射になる。他の例として、反射部37は、切り込み36a内の空隙としてもよい。この例において、反射部37での反射は、屈折率差を利用した全反射とすることができる。
また、採光シート20が光拡散層を有するようにしてもよい。一例として、図8に示された採光シート20は、光拡散層38を有している。光拡散層38は、光拡散機能を有することで、防眩機能を発現することができる。このような光拡散層38を有する採光シート20によれば、防眩機能を有する光制御具20との組み合わせによって、より効果的に眩しさを低減することができる。
他の変形例として、上述した第1の実施の形態では、光制御具40の一部が、採光シート20に対面する例を示したが、これに限られない。例えば、図9に示すように、光制御具40に含まれる全てのスラット材50が、光制御具40に対面して配置されるようにしてもよい。また、上述した第1の実施の形態において、採光シート20が、透光部材10の上方領域ua上のみに配置されている例を示したが、これに限られない。例えば、採光シート20が、透光部材10の下方領域la上のみに配置されるようにしてもよいし、透光部材10の中央領域上のみに配置されるようにしてもよいし、図10に示すように透光部材10の全領域上に配置されるようにしてもよい。なお、これらの変形例も、後に説明する他の実施の形態に対しても同様に適用可能である。
他の変形例として、後に説明する他の実施の形態に対しても同様に当てはまるが、採光シート20及び光制御具40を含む採光システム5は、種々の形式の透光部材、開口OP、構造体2に対して適用可能である。
例えば、上述した第1の実施の形態において、採光シート20が、第2空間SBの側から透光部材10に積層されている例を示したが、この例に限れられず、第1空間SAの側から透光部材10に積層されていてもよい。
また、上述した第1の実施の形態において、開口OPに単一の透光部材10が設けられ、この透光部材10に対して採光システム5が適用される例を示したが、これに限られない。図10に示すように、透光部材10が、複数の透光部材を接合してなる合わせガラスとして形成されていてもよい。とりわけ、図10に示された例では、特に限定されるものではないが、採光シート20が、合わせガラスをなす複数の透光部材の間に配置されている。
また、空隙を介在させて配置された複数の透光部材10を有する重ね窓3が開口OPに設けられ、この重ね窓3に対して採光システム5が適用されるようにしてもよい。図11に示された例において、構造体2の開口OPには枠部材16が設置されている。枠部材16には、透光部材10と第1透光部材11とが保持されている。透光部材10が、入光側となる第1空間SA側に位置し、第1透光部材11が、出光側となる第2空間SB側に位置している。透光部材10及び第1透光部材11の間には、空隙が形成されている。透光部材10及び第1透光部材11は、いわゆるペアガラスを構成している。なお、第1透光部材11は、上述した透光部材10と同様に構成され得る。第1透光部材11は、透光部材10と同一の材料で形成されていてもよいし、透光部材10とは異なる材料で形成されていてもよい。図11に示された例では、第1透光部材11に第2空間SBの側から採光シート20が積層されている。ただし、この例に限られず、採光シート20は、第1透光部材11に第1空間SAの側から積層されていてもよいし、透光部材10に第1空間SAの側から積層されていてもよいし、透光部材10に第2空間SBの側から積層されていてもよい。
さらに、図12〜図14に示された例において、構造体2の開口OPに設けられた重ね窓3は、はいわゆる二重窓となっている。図12〜図14に示された例において、開口OPに枠部材16が設けられ、枠部材16が透光部材10を保持している。また、枠部材16には、枠部材16とは別途に枠体17が設けられており、枠体17が第1透光部材11を保持している。枠部材16に支持された透光部材10と、枠体17に支持された第1透光部材11との間には、空隙が形成されている。図示された例において、透光部材10が、入光側となる第1空間SA側に位置し、外窓を形成している。第1透光部材11が、出光側となる第2空間SB側に位置し、内窓を形成している。
図示された例において、枠体17は、構造体2に取り付けられているが、枠部材16に取り付けられるようにしてもよい。また、枠体17は、構造体2や枠部材16に後付けで設置されるようにしてもよく、この例において、枠体17は、構造体2や枠部材16から取り外し可能となっていてもよい。図12に示された例において、光制御具40の支持具41は、枠体17に取り付けられている。採光シート20は、第1透光部材11に第2空間SBの側から積層されている。ただし、この例に限られず、採光シート20は、第1透光部材11に第1空間SAの側から積層されていてもよいし、透光部材10に第1空間SAの側から積層されていてもよいし、図13に示すように透光部材10に第2空間SBの側から積層されていてもよい。また、採光シート20の配置にともなって、光制御具40も、図示された第1透光部材11の第2空間SB側に限られることなく、透光部材10及び第1透光部材11の間に配置されていてもよい。
図14に示された例において、枠体17には、第1透光部材11に加えて第2透光部材12も保持されている。図14に示された例では、内窓が、第1透光部材11及び第2透光部材12を有するペアガラスとなっている。図14に示された例において、採光シート20は、第1透光部材11に第2空間SBの側から積層されている。ただし、この例に限られず、採光シート20は、第1透光部材11に第1空間SAの側から積層されていてもよいし、第2透光部材12に第1空間SAの側から積層されていてもよいし、第2透光部材12に第2空間SBの側から積層されていてもよいし、透光部材10に第1空間SAの側から積層されていてもよいし、透光部材10に第2空間SBの側から積層されていてもよい。また、図14に示された例において、光制御具40は、第1透光部材11及び第2透光部材12の間において、枠体17に支持されている。ただし、光制御具40の配置は、採光シート20と同様に種々の変更が可能であり、例えば、第2透光部材12の第2空間SB側に支持されていてもよいし、透光部材10と第1透光部材11の間に支持されていてもよい。
なお、第1透光部材11、採光シート20及び光制御具40は、組立キット4として取り扱われても良い。すなわち、第1透光部材11、採光シート20及び光制御具40の組み合わせが、組立キット4として流通または販売され、建物1や移動体に設置されるようにしてもよい。組立キット4は、枠体17を更に有していても良い。この場合、組立キット4に含まれる採光シート20を、いずれかの透光部材10,11,12に貼合し、次に、枠体17を枠部材16又は構造体2に設置し、光制御具40を枠体17に取り付けることで、組立キット4を設置して重ね窓3を作製することができる。
なお、以上において第1の実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
<第2の実施の形態>
次に、図16及び図17を参照して、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態は、光制御具40のスラット材50が光拡散透過性を有することを特徴としており、その他において他のいずれかの実施の形態と同一に構成され得る。例えば、採光システム5が適用される構造体2、開口OP、透光部材、採光システム5の採光シート20、光制御具40の支持具41については、その変形例も含めて上述の第1の実施の形態と同一に構成され得る。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、他のいずれかの実施の形態と同様に構成され得る部分について、他の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
第2の実施の形態では、従来の採光システムの不具合に対処するため、少なくとも一部のスラット材50が光拡散透過性を有している。後述するように、スラット材50に光拡散透過性を付与することで、スラット材50での反射に起因する眩しさを効果的に回避することができる。防眩性を確保する観点から、このスラット材50の光拡散透過成分比は90%以上であることが好ましい。また、採光と防眩とを両立させる観点から、スラット材50の拡散透過率は、40%以上70%以下であることが好ましい。
ここで、拡散透過成分比〔%〕は、拡散透過率〔%〕の透過率〔%〕に対する割合であって、言い換えると、全ての透過光に含まれる拡散透過光の割合を意味する。透過率〔%〕とは、入射光に対する全ての透過光の割合である。そして、このすべての透過光には、拡散透過成分および正透過成分の両方が含まれる。つまり、透過率〔%〕は、拡散透過率〔%〕および正透過率〔%〕を足し合わせた値〔%〕となる。
透過率〔%〕は、紫外可視赤外分光光度計(日本分光株式会社製 V−670)、及び150mmφ積分球ユニット(日本分光株式会社製 ILN−725VA)を用い、光線入射角40度条件設定にて、測定波長380nm〜780nm範囲の反射スペクトルを測定し、JIS A 5759記載の手順に従い算出される。正透過率(%)は、紫外可視赤外分光光度計(日本分光株式会社製 V−670)、及び自動絶対反射率測定ユニット(日本分光株式会社製 ARMN−735)を用い、光線入射角40度条件設定にて、測定波長380nm〜780nm範囲の反射スペクトルを測定し、JIS A 5759記載の手順に従い算出される。拡散透過率〔%〕は、透過率〔%〕から正透過率〔%〕を引いた値〔%〕として特定される。
さらに、スラット材50の第1面51へ光線を入射させた際の透過光の強度の角度分布において、最高強度が得られる方向に対して両側に30度以下の任意の角度で傾斜した方向での強度、すなわち、最高強度が得られる方向を中心とした60度の角度範囲内の任意の方向での強度が、最高強度の20%以上であることが好ましく、最高強度の40%以上であることがより好ましい。このような条件が満たされる場合、スラット材50の拡散透過特性が強くなり、防眩機能を改善することができる。なお、透過光の強度の角度分布は、入射光の光路上に位置し且つ入射面の法線方向と平行な面上で強度測定方向を変化させていき、取得する。透過光の強度の角度分布は、三次元変角分光測色システム(村上色彩技術研究所 GCMS−11)を用いて測定した値とする。また、入射光は、入射角40°でスラット材に入射させる。
なお、光拡散透過性を有するスラット材50は、第1方向d1における第2の側s2、すなわち図示された例では、鉛直方向における上側に配置されていることが有効である。この領域において、眩しさが感知されやすいためである。
また、図15に示された例において、光制御具40は、その一部において、採光シート20に対面している。そして、採光シート20に正対する全て又は一部のスラット材50に対して、光拡散透過性が付与されていることが好ましい。その一方で、採光シート20に正対しないスラット材50も含めて、光制御具40に含まれる全てのスラット材50に対して、光拡散透過性が付与されていてもよいし、付与されていなくてもよい。
次に、以上の構成からなる採光システム5及び光制御具40の作用について説明する。
既に第1の実施の形態において説明したように、採光シート20は、第1空間SAの側から入射してくる光を、その進行方向を跳ね上げるように変化させて、透過させる。図15及び図16に示すように、採光時、採光シート20の出光側に位置するスラット材50は、その板面が入光側となる第1端部53の側よりも出光側となる第2端部54の側で上方に位置するように傾斜した姿勢で、支持具41によって保持されている。したがって、跳ね上げ光L151,L161は、光制御具40のスラット材50の間を通過することが可能となる。跳ね上げ光L151,L161は、透光部材10が設置された位置から離間した室内の奥側の領域まで到達することができる。すなわち、この採光システム5によれば、室内照明のための採光機能が有効に発現されるので、室内灯具の使用を抑制することができ、省エネルギー及びCOの削減を図ることができる。
ところが、採光シート20の背面に光制御具40を設けた場合、第2空間SBから、光制御具40が眩しく観察されることが生じた。この原因について調査を行ったところ、採光シート20を光制御具40と組み合わせて使用することにともなって、これまで生じていなかった次に説明する問題が生じ得ることが確認された。
まず、図16に示すように、採光シート20で進行方向を偏向させられた跳ね上げ光の一部L162aが、スラット材50の間を通過することなく、スラット材50の第1面(裏面、下面)に入射していた。そして、スラット材50は、入光側となる第1端部53よりも出光側となる第2端部54の方が上側に位置する姿勢で保持されている。したがって、スラット材50の下側を向く第1面51で正反射した光L162aは、おおむね、第2空間SBに居る人に向けて進み、このため、光制御具40が眩しく観察されていた。
また、図16に示すように、採光シート20で大きく進行方向を変化させられなかった光の一部L163aが、一つのスラット材50の上側を向く第2面52で反射し、次に、当該スラット材50の上側に位置する他の一つのスラット材50の下側を向く第1面51に入射していた。スラット材50の下側を向く第1面51で正反射した光L163aは、おおむね、第2空間SBに居る人に向けて進み、このため、光制御具40が眩しく観察されていた。
このような不具合に対して、第2の実施の形態では、少なくとも一部のスラット材50が、光拡散透過性を有している。したがって、図16に示すように、スラット材50に入射する光L162,L163は、当該スラット材50の第1面51や第2面52で反射されることなく、当該スラット材50を拡散しながら透過する。これにより、採光シート20とともに光制御具40を用いることにともなって生じていた眩しさに効果的に対処することができる。すなわち、第2空間SBの側から観察した際に光制御具40が眩しく観察されることを効果的に防止することができる。とりわけ、第1面51での拡散透過成分比が90%以上となっている場合には、通常の注意力での観察において、光制御具40に眩しさを感じることはなかった。また、スラット材50の透過光の強度の角度分布において、最高強度が得られる方向に対して両側に30度以下の任意の角度で傾斜した方向での強度が、最高強度の20%以上となっている場合にも、光制御具40に眩しさを感じることはなかった。
ここで、本件発明者が実施した実験結果の一部を示す。この実験では、図1に示された採光システムを作製した。採光システムは、図3及び図4を主に参照して説明した上述の採光シートと、サンプル18〜24に係る光制御具と、を組み合わせた。光制御具は、図5を主に参照して説明した上述の構成を有するものとした。ただし、サンプル1〜17に係る光制御具の間で、スラット材の透過特性及び透過配向特性が異なるようにした。
室内と室外を区画する壁部に形成された開口部に作製した採光システムを実際に組み込んで、室内側からの観察において、眩しさを感じるか否かを確認した。サンプルの透過特性、透過配向特性および眩しさの確認結果を表2に示す。
Figure 2019039151
なお、表2には、サンプルの透過特性として、透過率〔%〕、正透過率〔%〕、拡散透過率〔%〕、拡散透過成分比〔%〕を示している。また、サンプルの透過配向特性として、スラット材の透過光強度の角度分布における、最高強度が得られる方向に対して両側に15度以下の角度で傾斜した方向での最低となる強度の、最高強度に対する割合〔%〕を、「±15°」の欄に示し、スラット材の透過光強度の角度分布における、最高強度が得られる方向に対して両側に30度以下の角度で傾斜した方向での最低となる強度の、最高強度に対する割合〔%〕を、「±30°」の欄に示している。
また表2の「防眩効果」の欄において、光制御具を室内側から観察した際に、連続配置された複数のスラット材の配列方向に延びる輝線が視認され且つ眩しさを感じたサンプルに対して「×」を付し、輝線の存在が確認されなかったサンプルに対して「○」を付した。
このようなスラット材50に付与される光拡散透過性は、当該光制御具40を採光シート20と組み合わせ用いた場合に生じる眩しさに対処するものである。したがって、光拡散透過性を付与されるスラット材50は、採光シート20に正対して位置していることが有効である。更に、人は、鉛直方向における上側に位置するスラット材50から誘導される光を眩しく感じる傾向がある。したがって、光拡散透過性を付与されるスラット材50は、第1方向d1における第2の側s2に位置するスラット材50であることが有効である。
なお、図15に示すように、採光シート20での光路変更機能によって所望の方向に光路を曲げられない光も発生し得る。例えば、採光シート20の法線方向に対して大きく傾斜しない光L152、典型的には、採光シート20の法線方向よりも僅かに下側に傾斜した方向に進む光L152も生じ得る。このような光は、第2空間SBに居る人の顔に向けて進みやすく、結果として、当該人が眩しさを感じる原因となる。光制御具40を採光シート20とともに設置する理由の一つは、このような眩しさに対する対処するためのである、光透過性を有さないスラット材であれば、眩しさの原因となる光を遮蔽することによって防眩機能を発揮することができる。一方、光拡散透過性を有するスラット材50も、上述したように、眩しさの原因となる光の直進を規制することで、防眩機能を十分に発揮することができる。
なお、図15に示すように、採光シート20が設けられていない領域、すなわち、開口OPの上方領域uaを除く下方領域laには、光制御具40のみが設けられている。この領域laに位置するスラット材50が光透過性を有していない場合、この領域において光制御具40は遮光装置として機能し得る。とりわけ、ブラインド44によって光制御具40が形成されている場合には、ブラインド44に本来的に期待された種々の機能、例えば、遮光機能、遮熱機能、のぞき見防止機能等が、発揮され得る。したがって、採光シート20に正対しない領域に配置されたスラット材50は、光拡散透過性を有していてもよいし、有していなくてもよい。
以上に説明したように、第2の実施の形態において、採光システム5の光制御具40は、入射光の進行方向を第1方向d1における第1の側s1から第2の側s2へ変えて透過させる採光シート20に対面して配置される。光制御具40は、第1方向d1に配列された複数のスラット材50を有している。各スラット材50は、第1方向d1と非平行な第2方向d2に延びている。少なくとも一部のスラット材50が、光拡散透過性を有している。
採光シートでの光路変更機能により、採光シート20を透過した光の一部L151,L161が進行方向を偏向させられる。この跳ね上げ光L151,L161は、第2空間(例えば屋内)SBの奥の領域まで到達することができる。これにより、外光を第2空間SBに有効に取り組むことが可能となる。その一方で、採光シート20の背面に光制御具40が設けられている場合、採光シート20で進行方向を偏向させられた跳ね上げ光L162,L163の一部が、スラット材50の間を通過することなく、スラット材50の第1面(裏面、下面)に入射する。スラット材50は、跳ね上げ光の光路を確保すべく、採光時には採光シート20に近接する側の第1端部53が第1方向d1における第1の側(下側)s1に位置するとともに、採光シート20から離間する側の第2端部54が第1方向d1における第2の側(上側)s2に位置するよう、その姿勢を調整される。このような姿勢に保持されたスラット材50の第1面51に入射した光は、スラット材50の第1面51で反射した後に、採光シート20の法線方向ndに対して大きく傾斜しない方向に進むようになる。そして、採光シート20と光制御具40との組み合わせに起因したこのような反射光L162a,L163aは、第2空間に居る人に眩しく感知されるようになる。この点について、本実施の形態では、少なくとも一部のスラット材50が光拡透過性を有している。したがって、スラット材50の第1面51での反射を効果的に抑制することができる。また、スラット材50を透過した光は拡散される。したがって、第2空間SBに居る人が感知する眩しさを効果的に低減することができる。
なお、上述してきた第2の実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。例えば、第1の実施の形態と同様に、採光シート20の構成を適宜変更してもよいし、採光システム5が適用される構造体2、開口OP、透光部材の構成を適宜変更してもよいし、支持具41の構成を適宜変更してもよい。また、第1の実施の形態と同様に、透光部材、採光シート20及び光制御具40が、組立キット4を構成して、この組立キット4の単位で取り扱われるようにしてもよい。
<第3の実施の形態>
次に、図17を参照して、第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態は、採光シート20に対面する位置に配置されたスラット材50と、採光シート20に対面しない位置に配置されたスラット材50とで、第1面51での反射率が異なる点を特徴としており、その他において他のいずれかの実施の形態と同一に構成され得る。例えば、採光システム5が適用される透光部材、採光システム5の採光シート20、光制御具40の支持具41については、その変形例も含めて上述の第1の実施の形態と同一に構成され得る。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、他の実施の形態と同様に構成され得る部分について、他の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
第3の実施の形態では、図1に示された例のように、光制御具40は、その一部分において、採光シート20に対面する。すなわち、光制御具40に含まれる一部のスラット材50は採光シート20に対面し、残りのスラット材50は採光シート20に対面しない。ここで対面するとは、採光シート20の法線方向ndに沿って対面するか否かで判断する。
採光シート20に対面する位置に配置されるスラット材50の第1方向d1において第1の側(下側)s1を向く第1面(裏面、下面)51での反射率〔%〕が、採光シート20に対面しない位置に配置されるスラット材50の第1面(裏面、下面)51での反射率〔%〕よりも、低くなっている。後述する不具合を回避する観点から、採光シート20に対面する位置に配置されるスラット材50の第1方向d1において第1の側(下側)s1を向く第1面(裏面、下面)51での反射率〔%〕は、採光シート20に対面しない位置に配置されるスラット材50の第1面(裏面、下面)51での反射率〔%〕の50%以上70%以下となっており、且つ、採光シート20に対面する位置に配置されるスラット材50の第1面51での反射率は30%以上70%以下であることが好ましい。ここで、反射率〔%〕は、入射光に対する全ての反射光の割合〔%〕であり、すべての反射光には、鏡面反射光および拡散反射光が含まれる。紫外可視赤外分光光度計(日本分光株式会社製 V−670)、及び150mmφ積分球ユニット(日本分光株式会社製 ILN−725VA)を用い、光線入射角40度条件設定にて、測定波長380nm〜780nm範囲の反射スペクトルを測定し、JIS A 5759記載の手順に従い算出される。
次に、以上の構成からなる採光システム5及び光制御具40の作用について説明する。
既に第1の実施の形態において説明したように、採光シート20は、第1空間SAの側から入射してくる光を、その進行方向を跳ね上げるように変化させて、透過させる。図17に示すように、採光時、採光シート20の出光側に位置するスラット材50は、その板面が入光側となる第1端部53の側よりも出光側となる第2端部54の側で上方に位置するように傾斜した姿勢で、支持具41によって保持されている。したがって、跳ね上げ光L171は、光制御具40のスラット材50の間を通過することが可能となる。跳ね上げ光L171は、透光部材10が設置された位置から離間した室内の奥側の領域まで到達することができる。
ただし、図1に示すように、採光シート20での光路変更機能によって、光路を十分に跳ね上げられない光L12,L13も発生し得る。既に説明したように、このような光L12,L13は、眩しさや温度上昇の原因となる。光制御具40は、これらの光L12,L13を遮光し、防眩および遮熱機能が発揮される。すなわち、光制御具40は、不所望な光L12,L13に対して遮光機能を発揮する一方で、跳ね上げ光L11,L171の第2空間SBへの進行を害することなく、これにより、太陽光を第2空間SBに有効に取り組むことが可能となる。
ところが、採光シート20の背面に光制御具40を設けた場合、第2空間SBから、光制御具40の採光シート20と対面する領域が全体的に眩しく観察されることがあった。この原因について調査を行ったところ、採光シート20を光制御具40と組み合わせて使用することにともなって、これまで生じていなかった次に説明する問題が生じ得ることが確認された。
まず、図17に示すように、採光シート20で進行方向を偏向させられた跳ね上げ光の一部L172aが、スラット材50の間を通過することなく、スラット材50の第1面(裏面、下面)に入射していた。そして、スラット材50は、入光側となる第1端部53よりも出光側となる第2端部54の方が上側に位置する姿勢で保持されている。したがって、スラット材50の下側を向く第1面51で反射した光L172aは、おおむね、第2空間SBに居る人に向けて進み、このため、光制御具40が眩しく観察されていた。
また、図17に示すように、採光シート20で大きく進行方向を変化させられなかった光の一部L173aが、一つのスラット材50の上側を向く第2面52で反射し、次に、当該スラット材50の上側に位置する他の一つのスラット材50の下側を向く第1面51に入射していた。スラット材50の下側を向く第1面51で反射した光L173aは、おおむね、第2空間SBに居る人に向けて進み、このため、光制御具40が眩しく観察されていた。
このような不具合に対して、第3の実施の形態では、採光シート20に対面する位置に配置されるスラット材50の第1方向d1において第1の側(下側)s1を向く第1面(裏面、下面)51での反射率が、採光シート20に対面しない位置に配置されるスラット材50の第1面(裏面、下面)51での反射率よりも、低くなっている。この結果、図17に示すように、採光シート20に対面して配置されたスラット材50からの反射光L172r,L173rの光量を抑えることができる。この点について鋭意検討を重ねたところ、光制御具40の採光シート20に対面する領域が眩しく観察される現象は、いわゆる明暗グレアの発生であり、光制御具40の採光シート20に対面する領域からの反射光量そのものだけでなく、光制御具40の採光シート20に対面する領域と、当該領域に隣接する光制御具40の採光シート20に対面しない領域と、の明暗差にも大きく起因していた。このため、光制御具40の採光シート20に対面する領域からの反射光量と、光制御具40の採光シート20に対面しない領域からの反射光量とを揃えることによって、眩しさを顕著に低減し得ることが知見された。したがって、採光シート20に対面する位置に配置されるスラット材50の第1面51での反射率を、採光シート20に対面しない位置に配置されるスラット材50の第1面51での反射率よりも低くすることで、眩しさを効果的に低減することができた。
なお、採光シート20に対面する位置に配置されるスラット材50の第1面51での反射率が30%以上70%以下となっている場合には、通常の注意力での観察において、光制御具40に眩しさを感じることはなかった。
ところで、採光時に、スラット材50は、その板面が入光側となる第1端部53の側よりも出光側となる第2端部54において上方に位置するように傾斜した姿勢で、支持具41によって保持されている。図17に示すように、このような姿勢にあるスラット材50の第2面52で正反射する光L173,L174の進行方向は、第1方向d1において第2の側s2、すなわち上側に向けられる。そして、第2面52での反射によって上側に向けられた光の一部L174は、隣り合う他のスラット材50へ入射することなく第2空間SBの奥に進む。このような光は、眩しさの原因とならないだけでなく、室内照明に有効に用いられる。したがって、第1面51の反射率を抑えた場合、第2面52の反射率を抑える必要はない。むしろ、第2面52が高反射率を有している場合には、太陽光のより有効な利用が可能となる。この点において、採光シート20に対面する位置に配置されたスラット材50について、第2面52での反射率が第1面51での反射率よりも高くなっていることが好ましい。
以上に説明したように、第3の実施の形態において、採光システム5の光制御具40は、入射光の進行方向を第1方向d1における第1の側s1から第2の側s2へ変えて透過させる採光シート20に対面して配置される。光制御具40は、第1方向d1に配列された複数のスラット材50を有している。各スラット材50は、第1方向d1と非平行な第2方向d2に延びている。採光シート20に対面する位置に配置されるスラット材50の第1方向d1において第1の側(下側)s1を向く第1面(裏面、下面)51での反射率が、採光シート20に対面しない位置に配置されるスラット材50の第1面(裏面、下面)51での反射率よりも、低くなっている。
採光シート20での光路変更機能により、採光シート20を透過した光の一部L171が進行方向を偏向させられる。この跳ね上げ光L171は、第2空間(例えば屋内)SBの奥の領域まで到達することができる。これにより、外光を第2空間SBに有効に取り組むことが可能となる。その一方で、採光シート20の背面に光制御具40が設けられている場合、採光シート20で進行方向を偏向させられた跳ね上げ光L172,L173の一部が、スラット材50の間を通過することなく、スラット材50の第1面(裏面、下面)51に入射する。スラット材50は、跳ね上げ光の光路を確保すべく、採光時には採光シートに近接する側の第1端部53が第1方向d1における第1の側(下側)s1に位置するとともに、採光シート20から離間する側の第2端部54が第1方向d1における第2の側(上側)s2に位置するよう、その姿勢を調整される。このような姿勢に保持されたスラット材50の第1面51に入射した光は、スラット材50の第1面51で反射した後に、採光シート20の法線方向ndに対して大きく傾斜しない方向に進むようになる。採光シート20と光制御具40との組み合わせに起因したこのような反射光は、第2空間SBに居る人に眩しく感知されるようになる。ここで、光制御具40は、その一部分において、採光シート20と対面することがある。この場合、光制御具40の採光シート20と対面しない領域では眩しさの問題が生じないため、コントラストにより、光制御具40の採光シート20と対面する領域では、実際の明るさ以上に眩しく感知されるようになる。
この点について、本実施の形態では、採光シート20に対面する位置に配置されるスラット材50の第1面(裏面、下面)51での反射率が、採光シート20に対面しない位置に配置されるスラット材50の第1面(裏面、下面)51での反射率よりも、低くなっている。このため、採光シート20に対面する位置に配置されるスラット材50の第1面51での反射を効果的に抑制することができる。これにより、光制御具40の採光シート20と対面しない領域と、光制御具40の採光シート20と対面する領域での明るさの差を効果的に低減することができる。この結果、第2空間SBに居る人が感知する眩しさを効果的に低減することができる。
なお、上述してきた第3の実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。例えば、第1及び第2の実施の形態と同様に、採光シート20の構成を適宜変更してもよいし、採光システム5が適用される構造体2、開口OP、透光部材の構成を適宜変更してもよいし、支持具41の構成を適宜変更してもよい。また、第1及び第2の実施の形態と同様に、透光部材、採光シート20及び光制御具40が、組立キット4を構成して、この組立キット4の単位で取り扱われるようにしてもよい。
また、第1の実施の形態で説明した光拡散反射性を、第3の実施の形態のスラット材50の第1面51が有するようにしてもよい。また、第2の実施の形態で説明した光拡散透過性を、第3の実施の形態のスラット材50が有するようにしてもよい。
<第4の実施の形態>
次に、図18及び図19を参照して、第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態は、スラット材50の幅hに対するスラット材50の配列ピッチdの比の値α(α=d/h)を調整した点を特徴としており、その他において他のいずれかの実施の形態のいずれかと同一に構成され得る。例えば、採光システム5が適用される構造体2、開口OP、透光部材、採光システム5の採光シート20、光制御具40の支持具41については、その変形例も含めて上述の第1の実施の形態と同一に構成され得る。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、他の実施の形態と同様に構成され得る部分について、他の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
第4の実施の形態では、少なくとも一部のスラット材50について、当該スラット材50の長手方向である第2方向d2に直交する断面上での当該スラット材50の両端部53,54間の距離(当該スラット材の幅)hに対するスラット材50の第1方向d1への配置ピッチdの比の値α(α=d/h)が、0.75以下となっている。比の値αを0.75以下とすることで、優れた防眩性能と優れた採光効率の両方を確保することができる。
なお、隣り合う二つのスラット材50の間で、第2方向d2に直交する断面上での対象となる二つのスラット材50の両端部53,54間の距離hが互いに異なることもあり得る。この場合、当該隣り合う比の値αの算出には、二つのスラット材50のh値のうちのより小さい値を採用することとする。このような比の値の算出方法は、第4の実施の形態だけでなく、他の実施の形態においても同様とする。
また、図5を参照して説明したように光制御具40がブラインド44として構成されている場合、比の値αは、0.5よりも大きくなっていることが好ましい。ブラインド44として構成された光制御具40の支持具41は、第1方向d1と非平行な軸線を中心としてスラット材50を回転可能に支持する。図6に示すように、典型的には、各スラット材50は、その長手方向である第2方向d2と平行な軸線を中心として回転する。そして、比の値αが0.5より大きく設定されている場合、スラット材50を最も立ち上げた状態で、言い換えると、スラット材50の板面がスラット材50の配列方向である第1方向d1に最も沿うようにした状態で、第1方向d1のいずれかの位置において、三つのスラット材50が重なることを回避することができる。すなわち、ブラインド44で遮光を行いたい場合に、スラット材50の板面が第1方向d1に対してなす角度を小さくすることができる。これにより、第1方向d1に対して直交する方向からの光だけでなく、斜め方向からの光をも効果的に遮光することが可能となる。
次に、以上の構成からなる採光システム5及び光制御具40の作用について説明する。
既に第1の実施の形態において説明したように、採光シート20は、第1空間SAの側から入射してくる光を、その進行方向を跳ね上げるように変化させて、透過させる。図18及び19に示すように、採光時、採光シート20の出光側に位置するスラット材50は、その板面が入光側となる第1端部53の側よりも出光側となる第2端部54の側で上方に位置するように傾斜した姿勢で、支持具41によって保持されている。したがって、跳ね上げ光L181,L182,L183,L191,L192,L193は、光制御具40のスラット材50の間を通過することが可能となる。跳ね上げ光L181〜L183,L191〜L193は、透光部材10が設置された位置から離間した室内の奥側の領域まで到達することができる。
また、図1に示すように、採光シート20での光路変更機能によって、光路を十分に跳ね上げられない光L12も発生し得る。既に説明したように、このような光L12は、眩しさの原因となる。光制御具40は、これらの光L12を遮光し、防眩機能を発揮することも期待されている。すなわち、光制御具40は、不所望な光L12に対して防眩機能を発揮しながら、跳ね上げ光L181〜L183,L191〜L193の第2空間SBへの進行を許容し、これにより、太陽光を第2空間SBに有効に取り組むことを期待されている。
ところが、市販されているブラインドを市販されている採光シートと組み合わせて用いた場合、防眩機能と採光機能とを両立できなかった。この点について調査を行ったところ、まず、防眩機能については、図18及び図19に示すように、スラット材50の配列方向である第1方向d1に隣り合う二つのスラット材50のうちの、第1方向d1における第1の側s1に位置するスラット材50の第2の側s2となる第2端部54と、第1方向d1における第2の側s2に位置するスラット材50の第1の側s1となる第1端部53が、採光シート20の法線方向ndに重なる場合、及び、この状態からさらにスラット材50が立ち上がって隣り合う二つのスラット材50が第1方向d1において重複して配置される領域を増やした場合に、優れた防眩機能が発揮されることが知見された。出光側となる第2端部54が入光側となる第1端部53よりも第1方向d1における第2の側s2に位置する姿勢にてスラット材50が支持される採光時に、第1方向d1に隣り合う二つのスラット材50が、第1方向d1において重なり合うようにして配置されることで、採光シート20の法線方向に進む光、並びに、採光シート20の法線方向から第1方向d1における第1の側s1に傾斜した方向に進む光の直進を、スラット材50で遮蔽することができる。
その一方で、人が眩しく感じる原因となる主たる光は、採光シート20によって十分に光路を調整されず、採光シート20の法線方向ndよりも下方に傾斜した方向に進む光である。このような光は、強度が強く且つ比較的光量も多い。このような光を遮蔽することで、優れた防眩性が確保され得る。
なお、第1方向d1に隣り合う二つのスラット材50が、第1方向d1において重なり合うようにするには、つまり、優れた防眩機能を確保するには、スラット材50を立ち上げる、言い換えると、スラット材50の板面が第1方向d1に対してなす角度を小さくすることが有効である。しかしながら、図18及び図19に二点鎖線で示されたスラット材50Xは、採光シート20で有効に光路変更機能を及ぼされた跳ね上げ光L181〜L183,L191〜L193まで遮蔽してしまう。すなわち、図18及び図19に二点鎖線で示されたスラット材50Xは、防眩機能及び採光機能の両立を図ることができない。
この点について、第4の実施の形態では、少なくとも一部のスラット材50について、当該スラット材50の長手方向である第2方向d2に直交する断面上での当該スラット材50の両端部53,54間の距離hに対するスラット材50の第1方向d1への配置ピッチdの比の値α(α=d/h)を、0.75以下としている。このようなスラット材50は、採光シート20との組み合わせにおいて跳ね上げ光の通過に適切な傾斜角に保持された状態で、つまり第1方向d1に対して比較的大きな傾斜角度をなすように保持された状態で、隣り合う他のスラット材50で第1方向d1において重なり合うことできる。これにより、防眩機能および採光機能の両立を可能としている。
なお、比の値αは、スラット材50の両端部53,54間の距離hと、スラット材50の第1方向d1への配置ピッチdに依存する。図18に示された例において、二点鎖線で示されたスラット材50Xは、実線で示されたスラット材50と同一の幅hを有する一方で、実線で示されたスラット材50とは異なるピッチdで配置されている。図19に示された例において、二点鎖線で示されたスラット材50Xは、実線で示されたスラット材50と同一ピッチで配列される一方で、実線で示されたスラット材50とは異なる幅hを有している。図18及び図19に実線で示されたスラット材50の比の値αは略0.64となっており、図18及び図19に二点鎖線で示されたスラット材50の比の値αは略0.82となっている。
このようなスラット材50は、当該光制御具40を採光シート20と組み合わせ用いた場合に生じる眩しさに対処しながら、併せて採光を確保するものである。したがって、比の値αを0.75以下に調節されるスラット材50は、採光シート20に正対して位置していることが有効である。更に、人は、鉛直方向における上側に位置するスラット材50から誘導される光を眩しく感じる傾向がある。したがって、比の値αを0.75以下に調節されるスラット材50は、第1方向d1における第2の側s2に位置するスラット材50であることが有効である。
なお、採光シート20が設けられていない領域、例えば図1に示された例では開口OPの上方領域uaを除く下方領域laには、光制御具40のみが設けられている。この領域laに位置するスラット材50は遮光装置として機能し得る。とりわけ、ブラインド44によって光制御具40が形成されている場合には、ブラインド44に本来的に期待された種々の機能、例えば、遮光機能、遮熱機能、のぞき見防止機能等が、発揮され得る。したがって、採光シート20に正対しない領域に配置されたスラット材50は、一般的なブラインドに組み込まれたスラット材と同様に、比の値αは、0.80以上0.90以下としてもよい。
以上に説明したように、第4の実施の形態において、採光システム5の光制御具40は、入射光の進行方向を第1方向d1における第1の側s1から第2の側s2へ変えて透過させる採光シート20に対面して配置される。光制御具40は、第1方向d1に配列された複数のスラット材50を有している。各スラット材50は、第1方向d1と非平行な第2方向d2に延びている。そして、少なくとも一部のスラット材について、第2方向d2に直交する面上での当該スラット材50の両端部53,54間の距離(当該スラット材の幅)hに対するスラット材50の第1方向d1への配置ピッチdの比の値α(α=d/h)は、0.75以下となっている。
採光シート20での光路変更機能により、採光シート20を透過した光の一部L181〜L183,L191〜L193が進行方向を跳ね上げられる。この跳ね上げ光L181〜L183,L191〜L193は、第2空間(例えば屋内)SBの奥の領域まで到達することができる。これにより、外光を第2空間SBに有効に取り組むことが可能となる。その一方で、採光シート20を透過する光には、進行方向を十分に跳ね上げられることなく、採光シート20の法線方向ndよりも下方に傾斜した方向に進む光L12、典型的には水平方向に対して下方に傾斜した方向に進む光L12も含まれる。このような光L12は、仮に光制御具40を透過した場合、第2空間SB内に居る人に非常に感知されやすく、当該人が眩しさを感じる原因となり得る。この問題に対処するには、このような眩しさの原因となる光を光制御具40のスラット材50で遮蔽することが考えられる。しかしながら、採光シート20の法線方向ndに対して大きく傾斜しない方向に進む光の光路をスラット材50で遮蔽しようとすると、スラット材50を採光シートの法線方向に対して大きく傾斜させる必要がある。その一方で、このように大きく傾斜して立ち上がったスラット材50は、採光に有効に利用され得る跳ね上げ光L181〜L183,L191〜L193の光路も塞いでしまう。すなわち、跳ね上げ光L181〜L183,L191〜L193は、スラット材50の間を通過することができず、スラット材50で反射又は吸収されることになるといった不具合が生じていた。
この点について、本実施の形態では、少なくとも一部のスラット材50について、第2方向d2に直交する面上での当該スラット材50の両端部53,54間の距離(当該スラット材の幅)hに対するスラット材50の第1方向d1への配置ピッチdの比の値α(α=d/h)は、0.75以下に調整されている。このようなスラット材50は、従来のスラット材50と比較して、短ピッチで配置される又は長い幅を有する。そして、このスラット材50によれば、当該スラット材50を必要以上に立ち上がった姿勢に維持することなく、採光シート20の法線方向ndに対して第1方向d1における第1の側s1に傾斜した方向に進む光の光路を塞ぐことができる。つまり、採光シート20を透過する光に含まれる眩しさの原因となっていた光をスラット材50で遮蔽しながら、採光に有効に用いられる跳ね上げ光L181〜L183,L191〜L193がスラット材50の間を通過することを可能にする。この結果、第2空間SBに居る人が感知する眩しさを効果的に低減しながら採光を行うことができる。
なお、上述してきた第4の実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。例えば、第1〜第3の実施の形態と同様に、採光シート20の構成を適宜変更してもよいし、採光システム5が適用される構造体2、開口OP、透光部材の構成を適宜変更してもよいし、支持具41の構成を適宜変更してもよい。また、第1〜第3の実施の形態と同様に、透光部材、採光シート20及び光制御具40が、組立キット4を構成して、この組立キット4の単位で取り扱われるようにしてもよい。
また、第1の実施の形態で説明した光拡散反射性を、第4の実施の形態のスラット材50の第1面51が有するようにしてもよい。また、第2の実施の形態で説明した光拡散透過性を、第4の実施の形態のスラット材50が有するようにしてもよい。さらに、第3の実施の形態で説明した反射率の関係を、第4の実施の形態に適用するようにしてもよい。
<第5の実施の形態>
次に、図20〜図23を参照して、第5の実施の形態について説明する。第5の実施の形態は、スラット材50の幅hに対するスラット材50の配列ピッチdの比の値α(α=d/h)が、光制御具40に含まれる複数のスラット材50の間で、一定ではないことを特徴としており、その他において他のいずれかの実施の形態と同一に構成され得る。例えば、採光システム5が適用される構造体2、開口OP、透光部材、採光システム5の採光シート20、光制御具40の支持具41については、その変形例も含めて上述の第1の実施の形態と同一に構成され得る。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、他の実施の形態と同様に構成され得る部分について、他の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
第5の実施の形態では、或る隣り合う二つのスラット材50に関する第2方向d2に直交する面での当該スラット材50の両端部53,54間の距離(当該スラット材の幅)hに対するスラット材50の第1方向d1への配置ピッチdの比の値α(α=d/h)は、或る隣り合う二つのスラット材50とは別の他の隣り合う二つのスラット材50に関する比の値α(α=d/h)と異なっている。とりわけ、第1方向d1に連続して配列された少なくとも一部のスラット材50のうちの、或る隣り合う二つのスラット材50に関する比の値α(α=d/h)が、或る隣り合う二つのスラット材50とは別の他の隣り合う二つのスラット材50に関する比の値α(α=d/h)と異なっている。
なお、比の値αは、スラット材50の両端部53,54間の距離hと、スラット材50の第1方向d1への配置ピッチdに依存する。比の値の変化は、或る隣り合う二つのスラット材50と他の隣り合う二つのスラット材50との間で、図20及び図21に示す例のように、hの値を一定として、dの値を変化させることによって実現されてもよい。また、比の値の変化は、或る隣り合う二つのスラット材50と他の隣り合う二つのスラット材50との間で、図22及び図23に示す例のように、dの値を一定として、hの値を変化させることによって実現されてもよい。さらに、比の値の変化は、或る隣り合う二つのスラット材50と他の隣り合う二つのスラット材50との間で、dの値およびhの値の両方を変化させることによって実現されてもよい。
また、第1方向d1に連続して配列された少なくとも一部のスラット材50のうちの、任意に選択される隣り合う二つのスラット材50に関する比の値α(α=d/h)は、少なくとも一部のスラット材50のうちの、当該隣り合う二つのスラット材50よりも第1方向d1における第1の側(下側)s1に位置する他の隣り合う二つのスラット材50に関する比の値α(d/h)以下となっていることが好ましい。つまり、第1方向d1に連続して配列された少なくとも一部のスラット材50に関して、比の値αが、第1方向d1における第2の側s2から第1の側s1に向けてしだいに大きくなっていくことが好ましい。
例えば図20及び図21に示す例のように、第1方向d1に連続して配列された少なくとも一部のスラット材50のうちの、任意に選択される隣り合う二つのスラット材50に関する配置ピッチdを、少なくとも一部のスラット材50のうちの、当該隣り合う二つのスラット材50よりも第1方向d1における第1の側(下側)s1に位置する他の隣り合う二つのスラット材50に関する配置ピッチd以下としてもよい。また、図22及び図23に示すように、第1方向d1に連続して配列された少なくとも一部のスラット材50のうちの、任意に選択される一つのスラット材50の両端部53,54間の距離hを、少なくとも一部のスラット材50のうちの、当該一つのスラット材50よりも第1方向d1における第1の側(下側)s1に位置する他の一つのスラット材50に関する両端部53,54間の距離h以上としてもよい。
ここで、第1方向d1に連続して配列された少なくとも一部のスラット材50とは、一例として、採光シート20に正対する領域に位置する複数のスラット材50とすることができる。この例において、一部のスラット材以外のスラット材50は、採光シート20に対面しておらず、遮光装置として機能し得る。したがって、比の値αは、採光効率を考慮して決定されるよりも、その遮光機能を考慮して決定されるようにしてもよい。とりわけ、ブラインド44によって光制御具40が形成されている場合には、ブラインド44に本来的に期待された種々の機能、例えば、遮光機能、遮熱機能、のぞき見防止機能等を考慮して比の値αを決定することが好ましく、比の値αは、0.80以上0.90以下とすることができる。
図20〜図23に示す例において、光制御具40は、三つの領域、すなわち第1領域z1、第2領域z2、第3領域z3に区分けされている。第1領域z1、第2領域z2、第3領域z3は、この順番にて、第1方向d1に沿って第2の側s2から第1の側s1に向けて配置されている。各領域z1,z2,z3は、複数のスラット材50を含んでいる。各領域z1,z2,z3内に含まれるスラット材50は、互いに同一の構成を有している。すなわち、各領域z1,z2,z3内において、第2方向d2に直交する面でのスラット材50の両端部53,54間の距離hは一定であり、且つ、スラット材50の配列ピッチdも一定である。この結果、各領域z1,z2,z3内において、距離hに対する配列ピッチdの比の値αも一定となる。
図20及び図21に示された例について、更に詳細に説明する。図21は、図20の各領域z1,z2,z3内に含まれる二つのスラット材50を示している。図20及び図21に示された例において、第1領域z1内に含まれるスラット材50の幅h1は、第2領域z2内に含まれるスラット材50の幅h2と同一となっており、第3領域z3内に含まれるスラット材50の幅h3とも同一となっている。一方、第1領域z1内に含まれるスラット材50の第1方向d1への配置ピッチd1は、第2領域z2内に含まれるスラット材50の第1方向d1への配置ピッチd2よりも小さく、また、第2領域z2内に含まれるスラット材50の第1方向d1への配置ピッチd2は、第3領域z3内に含まれるスラット材50の第1方向d1への配置ピッチd3よりも小さい。結果として、第1領域z1内に含まれるスラット材50に関する比の値α(α=d1/h1)は、第2領域z2内に含まれるスラット材50に関する比の値α(α=d2/h2)よりも小さく、また、第2領域z2内に含まれるスラット材50に関する比の値α(α=d2/h2)は、第3領域z3内に含まれるスラット材50に関する比の値α(α=d3/h3)よりも小さい。
次に、図22及び図23に示された例について、更に詳細に説明する。図22は、図23の各領域z1,z2,z3内に含まれる二つのスラット材50を示している。図22及び図23に示された例において、第1領域z1内に含まれるスラット材50の第1方向d1への配置ピッチd1は、第2領域z2内に含まれるスラット材50の第1方向d1への配置ピッチd2と同一であり、第3領域z3内に含まれるスラット材50の第1方向d1への配置ピッチd3とも同一である。一方、第1領域z1内に含まれるスラット材50の幅h1は、第2領域z2内に含まれるスラット材50の幅h2よりも大きく、また、第2領域z2内に含まれるスラット材50の幅h2は、第3領域z3内に含まれるスラット材50の幅h3よりも大きい。結果として、第1領域z1内に含まれるスラット材50に関する比の値α(α=d1/h1)は、第2領域z2内に含まれるスラット材50に関する比の値α(α=d2/h2)よりも小さく、また、第2領域z2内に含まれるスラット材50に関する比の値α(α=d2/h2)は、第3領域z3内に含まれるスラット材50に関する比の値α(α=d3/h3)よりも小さい。
なお、図20及び図21に示された採光システム5の光制御具40に含まれる複数のスラット材50は同じ向きに保持されている。すなわち、スラット材50の板面が、第1方向d1及び第2方向d2の両方向に直交する方向に対してなす角度は、図20及び図21に示された採光システム5の光制御具40に含まれる複数のスラット材50の間で同一となっている。同様に、図22及び図23に示された採光システム5の光制御具40に含まれる複数のスラット材50は同じ向きに保持されている。
次に、以上の構成からなる採光システム5及び光制御具40の作用について説明する。
既に第1の実施の形態において説明したように、採光シート20は、第1空間SAの側から入射してくる光を、その進行方向を跳ね上げるように変化させて、透過させる。図20〜図23に示すように、採光時、採光シート20の出光側に位置するスラット材50は、その板面が入光側となる第1端部53の側よりも出光側となる第2端部54の側で上方に位置するように傾斜した姿勢で、支持具41によって保持されている。したがって、跳ね上げ光L201,L211,L213,L215,L221,L231,L233,L235は、光制御具40のスラット材50の間を通過することが可能となる。跳ね上げ光は、透光部材10が設置された位置から離間した室内の奥側の領域まで到達することができる。
また、図20及び図22に示すように、採光シート20での光路変更機能によって、光路を十分に跳ね上げられない光L202,L222も発生し得る。既に説明したように、このような光L202,L222は、眩しさの原因となる。光制御具40は、これらの光L202,L222を遮光し、防眩機能を発揮することも期待されている。すなわち、光制御具40は、不所望な光L202,L222に対して防眩機能を発揮しながら、跳ね上げ光L201,L211,L213,L215,L221,L231,L233,L235の第2空間SBへの進行を許容し、これにより、太陽光を第2空間SBに有効に取り組むことを期待されている。
ただし、市販されているブラインドを市販されている採光シートと組み合わせて用いた場合、防眩機能と採光機能とを両立できなかった。この理由は、第4の実施の形態において既に説明したように、防眩機能を向上させるにはスラットを立ち上げることが有効である一方、立ち上げられたスラットによって跳ね上げ光の光路が遮られてしまうことにある。第4の実施の形態においては、比の値αを調節することで、防眩機能および採光機能の両立を図った。
そして、更に鋭意検討を重ねた結果として、スラット材50の配列方向である第1方向d1における各位置または各領域において、透過すべき光および遮光すべき光が異なることを知見した。すなわち、開口OPを観察する方向に依存して、スラット材50の配列方向である第1方向d1に沿った一方の側に近接する領域と、第1方向d1における他方の側に近接する領域とで、透過すべき光および遮光すべき光が異なることが知見された。
典型的には、図20及び図22に示すように、鉛直方向における上側となる領域、図示された例では第1領域z1は、第2空間SBに居る人の顔に正対しやすく、併せて、第2空間SBに居る人の顔と第1空間SAに位置する太陽とを結ぶ線分上に位置しやすい傾向にある。このため、当該領域から漏れ出す光は、僅かであっても、眩しく感じられる傾向が強い。図20〜図23に示された例では、採光シート20で跳ね上げられなかった光L202,L212,L222,L232は眩しさの原因となりやすい。したがって、この領域に対面するスラット材50は、水平方向に対して大きく傾斜しない方向に進む光、とりわけ水平方向に対して下方に傾斜して進む光を遮蔽することが好ましい。
その一方で、図20及び図22に示すように、鉛直方向において第1領域z1からしだいに離間するにつれて、漏れ光が眩しさに与える影響は小さくなる。図20〜図23に示された例では、採光シート20で跳ね上げられなかった光L203,L214,L216,L223,L234,L236は眩しさの原因とはなりにくい。したがって、のぞき見防止等の防眩以外での必要性がなければ、採光を重視して、スラット材50の間に隙間が形成されるようにしてもよい。
このような知見に基づき、第5の実施の形態では、或る隣り合う二つのスラット材50に関する第2方向d2に直交する面での当該スラット材50の両端部53,54間の距離(当該スラット材の幅)hに対するスラット材50の第1方向d1への配置ピッチdの比の値α(α=d/h)は、或る隣り合う二つのスラット材50とは異なる他の隣り合う二つのスラット材50に関する比の値α(α=d/h)と、異なっている。ここで、跳ね上げ光L201,L211,L213,L215,L221,L231,L233,L235がスラット材50間を通過し得るように、スラット材50が一定の向きに調節されているとすると仮定する。この仮定において、優れた防眩機能を確保するためには、スラット材50の幅hを広げること及びスラット材50の配列ピッチを短くすることが有効となる。このような調節により、跳ね上げ光L201,L211,L213,L215,L221,L231,L233,L235の光路とは異なる方向に進む光が、スラット材50によってその光路を遮られやすくなる。一方、採光量を増大させるためには、スラット材50の幅hを狭めること及びスラット材50の配列ピッチを長くすることが有効となる。このような調整により、跳ね上げ光L201,L211,L213,L215,L221,L231,L233,L235の光路とは異なる方向に進む光も、スラット材50間を通過しやすくなる。すなわち、採光システム5の設置状況に応じて第1方向d1に沿った各位置での採光機能および防眩機能を調節することができる。これにより、採光システム5全体として採光機能および防眩機能の両方を改善することができる。
また、第1方向d1に連続して配列された少なくとも一部のスラット材50のうちの、任意に選択される隣り合う二つのスラット材50に関する比の値α(α=d/h)は、少なくとも一部のスラット材のうちの、当該隣り合う二つのスラット材50よりも第1方向d1における第1の側s1に位置する他の隣り合う二つのスラット材50に関する比の値α(α=d/h)以下とすることが好ましい。このような光制御具40によれば、比の値α(α=d/h)が第1方向d1における第1の側s1から第2の側s2へ向けてしだいに小さくなっていく。
なお、この変化は、図20〜図23に示された例のように段階的であってもよいし、図20〜図23に示された例とは異なり連続的であってもよいし、段階的と連続的の組み合わせであってもよい。また、段階的に変化する場合には、比の値αの変化は、二段階で変化するようにしてもよいし、三段階以上で変化するようにしてもよい。この構成によれば、第1方向d1に沿った各領域においてスラット材50の傾斜角を一定又は概ね一定に保ちながら、採光シート20の法線方向ndに対して大きく傾斜しない方向に進む光の取り込み効率を、第1方向d1における第1の側s1から第2の側s2へ向けてしだいに低下させることできる。したがって、光制御具40の第1方向d1における第2の側s2となる領域に人の顔が正対する場合に、当該人が感じる眩しさを効果的に低減しながら、全体としての採光効率を効果的に改善することができる。
具体的な適用として、図20及び図22に示す例のように、スラット材50が鉛直方向に配列される場合には、上側に位置するスラット材50の比の値αを小さくし、下側に向かうにつれて比の値αを大きくしていくことが好ましい。このような適用によれば、眩しさを効果的に抑制しながら、採光を効率的に行うことができる。図21において、光L212,L214,L216は、同一方向に進む光であり、図23において、光L232,L234,L236は、同一方向に進む光である。このうち、漏れ光が眩しさに強い影響を与え得る第1領域z1から射出する光L212,L232は、スラット材50によって光路を遮蔽されている。その一方で、漏れ光が眩しさに影響を与えにくい第2領域z2及び第3領域z3から射出する光L214,L216,L234,L236は、跳ね上げ光L211,L213,L215,L231,L233,L235とともに、スラット材50に間を通過することが許容されている。
さらに、図20及び図21に示された例において、或る隣り合う二つのスラット材50についての配置ピッチdを、他の隣り合う二つのスラット材についての配置ピッチdとは異なるようにしている。この採光システム5のように、配置ピッチdによって比の値α(α=d/h)を変化させることによれば、スラット材50の両端部53,54間の距離(当該スラット材の幅)hを一定に保ちながら、或いは、スラット材50の両端部53,54間の距離(当該スラット材の幅)hを大きく変化させることなく、比の値α(α=d/h)を変化させることが可能となる。このような構成によれば光制御具40の大型化を防止しながら、眩しさの低減および採光効率の改善を図ることができる。
また、図5を参照して説明したように光制御具40がブラインド44として構成されている場合、採光システム5の光制御具40に含まれるスラット材50の比の値αは、0.5よりも大きく0.85以下であることが好ましい。比の値αを0.5よりも大きくすることが好ましい理由は、第4の実施の形態で既に説明した理由と同一である。一方、比の値αが0.85よりも大きくなると、スラット材50の幅hに対してスラット材50の配列ピッチdが大きくなり過ぎる。この結果、採光システム5の設置状況によっては、防眩機能およびのぞき見防止機能が不十分となる可能性がある。
採光システム5の光制御具40に含まれるスラット材50の一部について、比の値α(α=d/h)を0.75以下とすることが好ましい。既に第4の実施の形態で説明したように、比の値α(α=d/h)を0.75とすることで高い採光効率とともに優れた防眩性能の両立を実現することができる。図20〜図23に示された例では、第1領域z1に位置するスラット材50の比の値αを0.75とすることで、第2空間SBに居る人が眩しさを感じることを効果的に防止することができるとともに、第1領域z1から有効に採光することが可能となる。
以上に説明したように、第5の実施の形態において、採光システム5の光制御具40は、入射光の進行方向を第1方向d1における第1の側s1から第2の側s2へ変えて透過させる採光シート20に対面して配置される。光制御具40は、第1方向d1に配列された複数のスラット材50を有している。各スラット材50は、第1方向d1と非平行な第2方向d2に延びている。そして、或る隣り合う二つのスラット材50に関する第2方向d2に直交する面での当該スラット材50の両端部53,54間の距離(当該スラット材の幅)hに対するスラット材50の第1方向d1への配置ピッチdの比の値α(α=d/h)は、或る隣り合う二つのスラット材50とは別の他の隣り合う二つのスラット材50に関する比の値α(α=d/h)と異なっている。
採光シート20での光路変更機能により、採光シート20を透過した光の一部L201,L211,L213,L215,L221,L231,L233,L235が進行方向を跳ね上げられる。この跳ね上げ光L201,L211,L213,L215,L221,L231,L233,L235は、第2空間(例えば屋内)SBの奥の領域まで到達することができる。これにより、外光を第2空間SBに有効に取り組むことが可能となる。その一方で、採光シート20を透過する光には、進行方向を十分に跳ね上げられることなく、採光シートの法線方向、典型的には水平方向に対して大きく傾斜しない方向に進む光L202,L203,L212,L214,L216,L222,L223,L232,L234,L236も含まれる。従来の光制御具40を用いて、しかも跳ね上げ光L201,L211,L213,L215,L221,L231,L233,L235がスラット材50の間を通過することができるようにスラット材50の傾斜角が調節されている多くの場合、このような光L202,L203,L212,L214,L216,L222,L223,L232,L234,L236は、跳ね上げ光と同様に、スラット材50の間を通過することが可能となる。そして、このような光は、正対する方向から観察されることで、非常に眩しく感知されることになる。ただし、正対する方向から観察しなければ、採光に有効に利用され得る光となる。つまり、採光シート20の法線方向ndに対して大きく傾斜しない方向に進む光は、光制御具40の或る領域において遮蔽されることが好ましく、光制御具40の他の領域において透過されることが好ましい。
これに対して本実施の形態では、或る隣り合う二つのスラット材50に関する第2方向d2に直交する面での当該スラット材50の両端部53,54間の距離(当該スラット材の幅)hに対するスラット材50の第1方向d1への配置ピッチdの比の値α(α=d/h)は、或る隣り合う二つのスラット材50とは別の隣り合う二つのスラット材50に関する比の値α(α=d/h)と異なるようになっている。したがって、比の値α(α=d/h)を操作することで、スラット材50の傾斜角を第1方向d1に沿った各領域z1,z2,z3において一定または概ね一定に保ちながら、採光シート20の法線方向ndに対して大きく傾斜しない方向に進む光をどの程度遮蔽するかを調節することができる。具体的には、比の値α(α=d/h)を小さくすることで、スラット材50の傾斜角を一定又は概ね一定に保ちながら、採光シート20の法線方向ndに対して大きく傾斜しない方向に進む光を通しにくくすることができ、比の値α(α=d/h)を大きくすることで、スラット材50の傾斜角を一定又は概ね一定に保ちながら、採光シート20の法線方向ndに対して大きく傾斜しない方向に進む光を通しやすくすることができる。
なお、スラット材50の傾斜角を第1方向d1に沿った各領域z1,z2,z3において一定又は概ね一定に保つことで、第1方向d1に沿った各領域z1,z2,z3において跳ね上げ光の光量、すなわち採光に最も適した光の光量を概ね一定とすることができる。したがって、光制御具40に含まれる複数のスラット材50の中で、比の値α(α=d/h)を調節することで、第1方向d1に沿った各領域z1,z2,z3において、採光シート20の法線方向ndに対して大きく傾斜しない方向に進む光の第2空間SBへの取り込み量を調節することができる。この結果、第2空間SBに居る人が感知する眩しさを効果的に低減しながら効率的に採光を行うことができる。
上述してきた第5の実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。例えば、第1〜第4の実施の形態と同様に、採光シート20の構成を適宜変更してもよいし、採光システム5が適用される構造体2、開口OP、透光部材の構成を適宜変更してもよいし、支持具41の構成を適宜変更してもよい。また、第1〜第4の実施の形態と同様に、透光部材、採光シート20及び光制御具40が、組立キット4を構成して、この組立キット4の単位で取り扱われるようにしてもよい。なお、光制御具40がブラインドとして構成される場合、第1領域z1に属するスラット材50の向きと、第2領域z2に属するスラット材50の向きと、第3領域z3に属するスラット材50の向きが、互いから独立して調節可能であってもよい。その一方で、一つの領域に属する複数のスラット材50の向きは互いに平行に維持されるようにしてもよい。
また、第1の実施の形態で説明した光拡散反射性を、第5の実施の形態のスラット材50の第1面51が有するようにしてもよい。さらに、第2の実施の形態で説明した光拡散透過性を、第5の実施の形態のスラット材50が有するようにしてもよい。さらに、第3の実施の形態で説明した反射率の関係を、第5の実施の形態に適用するようにしてもよい。さらに、第4の実施の形態で説明した比の値αを0.75以下とする構成を、第5の実施の形態に適用するようにしてもよい。
<第6の実施の形態>
次に、図24及び図25を参照して、第6の実施の形態について説明する。第6の実施の形態は、第1方向d1に連続して配列された少なくとも一部のスラット材50のうちの或る一つのスラット材50の傾斜角θxは、少なくとも一部のスラット材50のうちの他の一つのスラット材50の傾斜角θxと異なることを特徴としており、その他において他のいずれかの実施の形態と同一に構成され得る。例えば、採光システム5が適用される構造体2、開口OP、透光部材、採光システム5の採光シート20、光制御具40の支持具41については、その変形例も含めて上述の第1の実施の形態と同一に構成され得る。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、他の実施の形態と同様に構成され得る部分について、他の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
第6の実施の形態では、図24及び図25に示すように、或る一つのスラット材50の傾斜角θxは、少なくとも一部のスラット材50のうちの他の一つのスラット材50の傾斜角θxと異なっている。すなわち、第1方向d1に連続して配列された少なくとも一部のスラット材50の間で、傾斜角θxが一定ではない。さらには、第1方向d1に連続して配列された少なくとも一部のスラット材50のうちの或る一つのスラット材50の傾斜角θxは、少なくとも一部のスラット材50のうちの他の一つのスラット材50の傾斜角θxと異なっている。すなわち、第1方向d1に連続して配列された少なくとも一部のスラット材50の間で、傾斜角θxが一定ではない。
ここで、傾斜角θx〔°〕とは、第1方向d1と平行で第2方向d2と直交する基準面において、各スラット材50の両端部53,54を結ぶ方向dxが第1方向d1に直交する基準方向dsに対してなす角度のことである。傾斜角θxは、採光シート20に近接する入光側となる第1端部53が第1方向d1における第1の側s1に位置し且つ採光シート20から離間する出光側となる第2端部54が第1方向d1における第2の側s2に位置する場合に正の値をとり、第1端部53が第1方向d1における第2の側s2に位置し且つ第2端部54が第1方向d1における第1の側s1に位置する場合に負の値を取ることとする。また、第1方向d1と平行で第2方向d2と直交する基準面は、図24および図25に示された面であり、図1,図2及び図9〜図23も基準面を示している。さらに、第1方向d1に直交する基準方向dsは、図示された例において、採光シート20の法線方向ndと一致する。
また、第1方向d1に連続して配列された少なくとも一部のスラット材50のうちの任意に選択される一つのスラット材50に関する傾斜角θxの値は、少なくとも一部のスラット材50のうちの当該一つのスラット材50よりも第1方向d1における第1の側s1に位置する他の一つのスラット材50に関する傾斜角θxの値以上となることが好ましい。つまり、第1方向d1に連続して配列された少なくとも一部のスラット材50に関して、傾斜角θxが、第1方向d1における第2の側s2から第1の側s1に向けてしだいに小さくなっていくことが好ましい。
ここで、第1方向d1に連続して配列された少なくとも一部のスラット材50とは、一例として、採光シート20に正対する領域に位置する複数のスラット材50とすることができる。この例において、一部のスラット材以外のスラット材50は、採光シート20に対面しておらず、遮光装置として機能し得る。したがって、傾斜角θxは、後述するように採光効率を考慮して決定されるよりも、その遮光機能を重視して決定されるようにしてもよい。
図24に示す例において、光制御具40は、三つの領域、すなわち第1領域z1、第2領域z2、第3領域z3に区分けされている。第1領域z1、第2領域z2、第3領域z3は、この順番にて、第1方向d1に沿って第2の側s2から第1の側s1に向けて配置されている。各領域z1,z2,z3は、複数のスラット材50を含んでいる。各領域z1,z2,z3内に含まれる複数のスラット材50の間で、傾斜角θxは互いに同一となっている。図25は、図24の各領域z1,z2,z3内に含まれる二つのスラット材50を示している。図24及び図25に示された例において、第1領域z1内に含まれるスラット材50の傾斜角θx1は、第2領域z2内に含まれるスラット材50の傾斜角θx2よりも大きく、また、第2領域z2内に含まれるスラット材50の傾斜角θx2は、第3領域z3内に含まれるスラット材50の傾斜角θx3よりも大きい。
また、図24及び図25に示された採光システム5の光制御具40に含まれる複数のスラット材50は、どの領域z1,z2,z3に属しているかに依らず、互いに同一の構成を有している。すなわち、第1領域z1に含まれるスラット材50、第2領域z2に含まれるスラット材50、及び、第3領域z3に含まれるスラット材50が、互いに同一の構成を有している。より具体的には、図24及び図25に示された採光システム5の光制御具40に含まれる複数のスラット材50の間で、第2方向d2に直交する面でのスラット材50の両端部53,54間の距離(当該スラット材の幅)hは一定であり、且つ、スラット材50の配列ピッチdも一定である。したがって、第4及び第5の実施の形態で説明した比の値α(α=d/h)、すなわち、第2方向d2に直交する面上での当該スラット材50の両端部53,54間の距離(当該スラット材の幅)hに対するスラット材50の第1方向d1への配置ピッチdの比の値(d/h)は、光制御具40に含まれる複数のスラット材50の間で互いに同一となっている。
なお、第6の実施の形態においても、第1〜第5の実施の形態と同様に、複数スラットを支持する支持具41は、ブラインド44として構成され、スラット材50の傾斜角θxを調節可能としてもよい。この例において、第1領域z1に属するスラット材50の向きと、第2領域z2に属するスラット材50の向きと、第3領域z3に属するスラット材50の向きが、互いから独立して調節可能であってもよい。その一方で、一つの領域z1,z2,z3に属する複数のスラット材50の向きは互いに平行に維持されるようにしてもよい。
次に、以上の構成からなる採光システム5及び光制御具40の作用について説明する。
既に第1の実施の形態において説明したように、採光シート20は、第1空間SAの側から入射してくる光を、その進行方向を跳ね上げるように変化させて、透過させる。図24及び図25に示すように、採光時、採光シート20の出光側に位置するスラット材50は、その板面が入光側となる第1端部53の側よりも出光側となる第2端部54の側で上方に位置するように傾斜した姿勢で、支持具41によって保持されている。したがって、跳ね上げ光L241,L251,L253,L255は、光制御具40のスラット材50の間を通過することが可能となる。跳ね上げ光は、透光部材10が設置された位置から離間した室内の奥側の領域まで到達することができる。
また、図24に示すように、採光シート20での光路変更機能によって、光路を十分に跳ね上げられない光L242も発生し得る。既に説明したように、このような光L242は、眩しさの原因となる。光制御具40は、眩しさの原因となる光L242を遮光し、防眩機能を発揮することも期待されている。すなわち、光制御具40は、不所望な光L242に対して防眩機能を発揮しながら、跳ね上げ光L241,L251,L253,L255の第2空間SBへの進行を許容し、これにより、太陽光を第2空間SBに有効に取り組むことを期待されている。
その一方で、既に第5の実施の形態において説明したように、更に鋭意検討を重ねた結果として、スラット材50の配列方向である第1方向d1における各位置または各領域において、透過すべき光および遮光すべき光が異なることを知見した。すなわち、開口OPを観察する方向に依存して、スラット材50の配列方向である第1方向d1に沿った一方の側に寄った領域と、第1方向d1における他方の側に寄った領域とで、透過すべき光および遮光すべき光が異なることが知見された。
典型的には、図24及び図25に示すように、鉛直方向における上側となる領域、図示された例における第1領域z1は、第2空間SBに居る人の顔に正対しやすく、併せて、第2空間SBに居る人の顔と第1空間SAに位置する太陽とを結ぶ線分上に位置しやすい傾向にある。このため、当該領域から漏れ出す光は、僅かであっても、眩しく感じられる傾向が強い。図24及び図25に示された例では、採光シート20で跳ね上げられなかった光L242,L252は眩しさの原因となりやすい。したがって、この領域に対面するスラット材50は、水平方向に対して大きく傾斜しない方向に進む光を遮蔽することが好ましい。
その一方で、図24及び図25に示すように、鉛直方向において第1領域z1からしだいに離間するにつれて、漏れ光が眩しさに与える影響は小さくなる。図24及び図25に示された例では、採光シート20で跳ね上げられなかった光L254,L256は眩しさの原因とはなりにくい。したがって、のぞき見防止等の必要性がなければ、採光を重視して、水平方向に対して大きく傾斜しない方向に進む光も含めて光を積極的に取り込むようにすることが好ましい。
このような知見に基づき、第6の実施の形態では、第1方向d1と平行で第2方向d2と直交する基準面において各スラット材50の両端部53,54を結ぶ方向dxが第1方向d1に直交する基準方向dsに対してなす角度を傾斜角θxとして、或る一つのスラット材50の傾斜角θxは、他の少なくとも一つのスラット材50の傾斜角θxと異なっている。
ここで、跳ね上げ光L241,L251,L253,L255を取り込みながら防眩機能を確保するには、スラット材50の傾斜角θxを大きくすることが有効となる。傾斜角θxを大きくすることで、跳ね上げ光L241,L251,L253,L255の光路とは異なる方向に進む光L242,L252は、スラット材50によってその光路を遮られやすくなる。一方、採光量を増大させるためには、スラット材50の傾斜角θxを0°に近づけることが有効となる。このような調整により、跳ね上げ光L241,L251,L253,L255の光路とは異なる方向に進む光L243,L254,L256も、スラット材50の間を通過しやすくなる。
すなわち、採光システム5の設置状況に応じて第1方向d1に沿った各位置での採光機能および防眩機能を調節することができる。これにより、採光システム5全体として採光機能および防眩機能の両方を改善することができる。
また、第1方向d1に連続して配列された少なくとも一部のスラット材50のうちの、任意に選択される一つのスラット材50に関する傾斜角θxの値は、少なくとも一部のスラット材50のうちの当該一つのスラット材50よりも第1方向d1における第1の側s1に位置する他の一つのスラット材50に関する傾斜角θxの値以上となっていることが好ましい。このような光制御具40によれば、傾斜角θxが第1方向d1における第1の側s1から第2の側s2へ向けてしだいに小さくなっていく。
この採光システム5によれば、スラット材50の構成や上述した比の値αを一定としながら、採光シート20の法線方向ndに対して大きく傾斜しない方向に進む光の取り込み効率を、第1方向d1における第1の側s1から第2の側s2へ向けてしだいに低下させることできる。したがって、光制御具40の第1方向d1における最も第2の側s2となる領域に人の顔が正対する場合に、当該人が感じる眩しさを効果的に低減しながら、全体としての採光効率を効果的に改善することができる。
なお、この変化は、図24及び図25に示された例のように段階的であってもよいし、図24及び図25に示された例とは異なり連続的であってもよいし、段階的と連続的の組み合わせであってもよい。また、段階的に変化する場合には、傾斜角θxの変化は、二段階で変化するようにしてもよいし、三段階以上で変化するようにしてもよい。
具体的な適用として、図24に示す例のように、スラット材50が鉛直方向に配列される場合には、上側に位置するスラット材50の傾斜角θxを大きくし、下側に向かうにつれて傾斜角θxを小さくしていくことが好ましい。このような適用によれば、眩しさを効果的に抑制しながら、採光を効率的に行うことができる。図25において、光L252,L254,L256は、同一方向に進む光である。このうち、漏れ光が眩しさに強い影響を与え得る第1領域z1から射出する光L252は、スラット材50によって光路を遮蔽されている。その一方で、漏れ光が眩しさに影響を与えにくい第2領域z2及び第3領域z3から射出する光L254,L256は、跳ね上げ光L251,L253,L255とともに、スラット材50に間を通過することが許容されている。
以上に説明したように、第6の実施の形態において、採光システム5の光制御具40は、入射光の進行方向を第1方向d1における第1の側s1から第2の側s2へ変えて透過させる採光シート20に対面して配置される。光制御具40は、第1方向d1に配列された複数のスラット材50を有している。各スラット材50は、第1方向d1と非平行な第2方向d2に延びている。そして、第1方向d1と平行で第2方向d2と直交する基準面において各スラット材50の両端部53,54を結ぶ方向が第1方向d1に直交する方向に対してなす角度を傾斜角θxとすると、或る一つのスラット材50の傾斜角θxは、他の少なくとも一つのスラット材50の傾斜角θxと異なっている。
採光シート20での光路変更機能により、採光シート20を透過した光の一部L241,L251,L253,L255が進行方向を跳ね上げられる。この跳ね上げ光L241,L251,L253,L255は、第2空間(例えば屋内)SBの奥の領域まで到達することができる。これにより、外光を第2空間SBに有効に取り組むことが可能となる。その一方で、採光シート20を透過する光には、進行方向を十分に跳ね上げられることなく、採光シートの法線方向、典型的には水平方向に対して大きく傾斜しない方向に進む光L242,L243,L252,L254,L256も含まれる。このような光L242,L243,L252,L254,L256が、跳ね上げ光とともにスラット材50の間を通過して正対する方向から観察されると、非常に眩しく感知されることになる。ただし、正対する方向から観察しなければ、採光に有効に利用され得る光となる。つまり、採光シート20の法線方向ndに対して大きく傾斜しない方向に進む光は、光制御具40の或る領域において遮蔽されることが好ましく、光制御具40の他の領域において透過されることが好ましい。
これに対して本実施の形態では、第1方向d1と平行で第2方向d2と直交する基準面において各スラット材50の両端部53,54を結ぶ方向が第1方向d1に直交する方向に対してなす角度を傾斜角θxとすると、或る一つのスラット材50の傾斜角θxは、他の少なくとも一つのスラット材50の傾斜角θxと異なっている。したがって、傾斜角θxを操作することで、スラット材50の構成を第1方向d1に沿った各領域z1,z2,z3において一定または概ね一定に保ちながら、採光シート20の法線方向ndに対して大きく傾斜しない方向に進む光をどの程度遮蔽するかを調節することができる。具体的には、傾斜角θxを大きくすることで、スラット材50の構成を一定又は概ね一定に保ちながら、採光シート20の法線方向ndに対して大きく傾斜しない方向に進む光を通しにくくすることができ、傾斜角θxを小さくすることで、スラット材50の構成を一定又は概ね一定に保ちながら、採光シート20の法線方向ndに対して大きく傾斜しない方向に進む光を通しやすくすることができる。
なお、上述してきた第6の実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。例えば、第1〜第5の実施の形態と同様に、採光シート20の構成を適宜変更してもよいし、採光システム5が適用される構造体2、開口OP、透光部材の構成を適宜変更してもよいし、支持具41の構成を適宜変更してもよい。また、第1〜第5の実施の形態と同様に、透光部材、採光シート20及び光制御具40が、組立キット4を構成して、この組立キット4の単位で取り扱われるようにしてもよい。
また、第1の実施の形態で説明した光拡散反射性を、第6の実施の形態のスラット材50の第1面51が有するようにしてもよい。また、第2の実施の形態で説明した光拡散透過性を、第6の実施の形態のスラット材50が有するようにしてもよい。さらに、第3の実施の形態で説明した反射率の関係を、第6の実施の形態に適用するようにしてもよい。さらに、第4の実施の形態で説明した比の値αを0.75以下とする構成を、第6の実施の形態に適用するようにしてもよいし、第5の実施の形態で説明した比の値αを変化させる構成を、第6の実施の形態に適用するようにしてもよい。
1 建物
2 構造体
3 重ね窓
4 組立キット
5 採光システム
10 透光部材
11 第1透光部材
12 第2透光部材
16 枠部材
17 枠体
20 採光シート
21 光制御層
22 第1部分
23 第2部分
23a 主部
23b 機能性含有物
24 ベース部分
25 光制御層本体
25a 溝
26 底面
27 第1側面
27a 急斜面
27b 緩斜面
28 第2側面
29 基材層
31 本体部31
32 単位プリズム
33 プリズム面
33a 第1プリズム面
33b 第2プリズム面
34 本体部
35 クレーズ
35a 樹脂フィブリル
35b 空隙
36 本体部
36a 切り込み
37 反射部
37a 上面
40 光制御具
41 支持具
44 ブラインド
45 取付ボックス
46 操作グリップ
47 ラダーコード
48 昇降コード
50 スラット材
50X スラット材
51 第1面
52 第2面
53 第1端部
54 第2端部
d1 第1方向
d2 第2方向
s1 第1の側
s2 第2の側
nd 法線方向
OP 開口
W 壁
C 天井
F 床
z1 第1領域
z2 第2領域
z3 第3領域
θx 傾斜角
dx 方向
ds 方向
SA 第1空間
SB 第2空間
ua 上方領域
la 下方領域

Claims (46)

  1. 入射光の進行方向を変えて透過させる採光シートと、対面する位置に配置される光制御具であって、
    第1方向に配列された複数のスラット材を備え、
    各スラット材は、前記第1方向と非平行な第2方向に延び、
    少なくとも一部のスラット材の前記第1方向において第1の側を向く第1面が、光拡散反射性を有する、光制御具。
  2. 前記少なくとも一部のスラット材の前記第1面での拡散反射成分比は、95%以上である、請求項1に記載の光制御具。
  3. 前記少なくとも一部のスラット材の前記第1面での拡散反射成分比は、当該スラット材の前記第1方向における前記第1の側とは反対側となる第2の側を向く第2面での拡散反射成分比よりも高い、請求項1又は2に記載の光制御具。
  4. 前記少なくとも一部のスラット材の前記第1面での反射光の強度の角度分布において、最高強度が得られる方向に対して両側に30度以下の任意の角度で傾斜した方向での強度が、最高強度の10%以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光制御具。
  5. 前記少なくとも一部のスラット材は、前記複数のスラット材の中で前記第1方向における前記第1の側とは反対側となる第2の側に配置されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光制御具。
  6. 前記光制御具は、一部分において前記採光シートに対面する位置に配置され、
    前記少なくとも一部のスラット材は、前記採光シートに対面して位置する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光制御具。
  7. 入射光の進行方向を変えて透過させる採光シートと、対面する位置に配置される光制御具であって、
    第1方向に配列された複数のスラット材を備え、
    各スラット材は、前記第1方向と非平行な第2方向に延び、
    少なくとも一部のスラット材は、光拡散透過性を有する、光制御具。
  8. 前記少なくとも一部のスラット材の拡散透過成分比は、90%以上である、請求項7に記載の光制御具。
  9. 前記少なくとも一部のスラット材の透過光の強度の角度分布において、最高強度が得られる方向に対して両側に30度以下の任意の角度で傾斜した方向での強度が、最高強度の20%以上である、請求項7又は8に記載の光制御具。
  10. 前記少なくとも一部のスラット材は、前記複数のスラット材の中で前記第1方向における第2の側に配置されている、請求項8又は9に記載の光制御具。
  11. 前記光制御具は、一部分において前記採光シートに対面する位置に配置され、
    前記少なくとも一部のスラット材は、前記採光シートに対面して位置する、請求項8〜10のいずれか一項に記載の光制御具。
  12. 入射光の進行方向を変えて透過させる採光シートと、一部分において対面する位置に配置される光制御具であって、
    第1方向に配列された複数のスラット材を有し、
    各スラット材は、前記第1方向と非平行な第2方向に延び、
    前記採光シートに対面する位置に配置されるスラット材の前記第1方向において第1の側を向く第1面での反射率が、前記採光シートに対面しない位置に配置されるスラット材の前記第1面での反射率よりも、低い、光制御具。
  13. 前記採光シートに対面する位置に配置されるスラット材の前記第1面での反射率は、30%以上70%以下である、請求項12に記載の光制御具。
  14. 前記採光シートに対面する位置に配置されるスラット材の前記第1方向において第1の側を向く第1面での反射率は、前記採光シートに対面しない位置に配置されるスラット材の前記第1面での反射率の50%以上70%以下となっている、請求項12又は13に記載の光制御具。
  15. 前記採光シートに対面する位置に配置されるスラット材の前記第1面での反射率は、当該スラット材の前記第1方向における前記第1の側とは反対側となる第2の側を向く第2面での反射率よりも大きい、請求項12〜14のいずれか一項に記載の光制御具。
  16. 入射光の進行方向を変えて透過させる採光シートと、対面する位置に配置される光制御具であって、
    第1方向に配列された複数のスラット材を有し、
    各スラット材は、前記第1方向と非平行な第2方向に延び、
    少なくとも一部のスラット材について、前記第2方向に直交する面での当該スラット材の両端部間の距離hに対する前記スラット材の前記第1方向への配置ピッチdの比の値(d/h)は、0.75以下である、光制御具。
  17. 各スラット材は、前記第1方向と非平行な軸線を中心として回転可能に支持され、
    前記少なくとも一部のスラット材についての前記比の値(d/h)は、0.5よりも大きい、請求項16に記載の光制御具。
  18. 前記少なくとも一部のスラット材は、前記複数のスラット材の中で前記第1方向における第2の側に配置されている、請求項16又は17に記載の光制御具。
  19. 前記光制御具は、一部分において前記採光シートに対面する位置に配置され、
    前記少なくとも一部のスラット材は、前記採光シートに対面して位置する、請求項16〜18のいずれか一項に記載の光制御具。
  20. 入射光の進行方向を変えて透過させる採光シートと、対面する位置に配置される光制御具であって、
    第1方向に配列された複数のスラット材を有し、
    各スラット材は、前記第1方向と非平行な第2方向に延び、
    或る隣り合う二つのスラット材に関する前記第2方向に直交する面での当該スラット材の両端部間の距離hに対する前記スラット材の前記第1方向への配置ピッチdの比の値(d/h)は、前記或る隣り合う二つのスラット材とは異なる他の隣り合う二つのスラット材に関する前記比の値(d/h)と、異なる、光制御具。
  21. 前記或る隣り合う二つのスラット材についての配置ピッチdは、前記他の隣り合う二つのスラット材についての配置ピッチdと異なる、請求項20に記載の光制御具。
  22. 前記第1方向に連続して配列された少なくとも一部のスラット材のうちの、任意に選択される隣り合う二つのスラット材に関する前記比の値(d/h)は、前記少なくとも一部のスラット材のうちの、当該隣り合う二つのスラット材よりも前記第1方向における第1の側に位置する他の隣り合う二つのスラット材に関する前記比の値(d/h)以下である、請求項20又は21に記載の光制御具。
  23. 前記第1方向に連続して配列された少なくとも一部のスラット材のうちの、任意に選択される隣り合う二つのスラット材に関する前記配置ピッチdは、前記少なくとも一部のスラット材のうちの、当該隣り合う二つのスラット材よりも前記第1方向における第1の側に位置する他の隣り合う二つのスラット材に関する前記配置ピッチd以下である、請求項20〜22のいずれか一項に記載の光制御具。
  24. 前記少なくとも一部のスラット材は、前記複数のスラット材の中で前記第1方向における前記第1の側とは反対側となる第2の側に配置されている、請求項22又は23に記載の光制御具。
  25. 前記光制御具は、一部分において前記採光シートに対面する位置に配置され、
    前記少なくとも一部のスラット材は、前記採光シートに対面して位置する、請求項22〜24のいずれか一項に記載の光制御具。
  26. 各スラット材は、前記第1方向と非平行な軸線を中心として回転可能に支持され、
    任意に選択される二つのスラット材に関する前記比の値(d/h)は、0.85以下である、請求項20〜25いずれか一項に記載の光制御具。
  27. 各スラット材は、前記第1方向と非平行な軸線を中心として回転可能に支持され、
    任意に選択される隣り合う二つのスラット材に関する前記比の値(d/h)は、0.5より大きい、請求項20〜26のいずれか一項に記載の光制御具。
  28. 一部の光制御具に関する前記比の値(d/h)は、0.75以下である、請求項20〜27のいずれか一項に記載の光制御具。
  29. 入射光の進行方向を変えて透過させる採光シートと、対面する位置に配置される光制御具であって、
    第1方向に配列された複数のスラット材を有し、
    各スラット材は、前記第1方向と非平行な第2方向に延び、
    前記第1方向と平行で前記第2方向と直交する基準面において各スラット材の両端部を結ぶ方向が前記第1方向に直交する方向に対してなす角度を傾斜角とすると、或る一つのスラット材の前記傾斜角は、他の少なくとも一つのスラット材の前記傾斜角と異なる、光制御具。
  30. 前記基準面において、スラット材の前記採光シートに近接する側の端部が、当該スラット材の前記採光シートから離間する側の端部よりも、前記第1方向における第1の側に位置する場合における、前記傾斜角の値を正の値とすると、
    前記第1方向に連続して配列された少なくとも一部のスラット材のうちの任意に選択される一つのスラット材に関する前記傾斜角の値は、前記少なくとも一部のスラット材のうちの当該一つのスラット材よりも前記第1方向における第1の側に位置する他の一つのスラット材に関する前記傾斜角の値以上となる、請求項29に記載の光制御具。
  31. 前記少なくとも一部のスラット材は、前記複数のスラット材の中で前記第1方向における前記第1の側とは反対側となる第2の側に配置されている、請求項29又は30に記載の光制御具。
  32. 前記光制御具は、一部分において前記採光シートに対面する位置に配置され、
    前記少なくとも一部のスラット材は、前記採光シートに対面して位置する、請求項29〜31のいずれか一項に記載の光制御具。
  33. 少なくとも一部のスラット材の前記第1方向において第1の側を向く第1面が、光拡散反射性を有する、請求項12〜32のいずれか一項に記載の光制御具。
  34. 少なくとも一部のスラット材は、光拡散透過性を有する、請求項12〜32のいずれか一項に記載の光制御具。
  35. 前記採光シートに対面する位置に配置されるスラット材の前記第1方向において第1の側を向く第1面での反射率が、前記採光シートに対面しない位置に配置されるスラット材の前記第1面での反射率よりも、低い、請求項16〜32のいずれか一項に記載の光制御具。
  36. 少なくとも一部のスラット材について、前記第2方向に直交する面での当該スラット材の両端部間の距離hに対する前記スラット材の前記第1方向への配置ピッチdの比の値(d/h)は、0.75以下である、請求項20〜28のいずれか一項に記載の光制御具。
  37. 或る隣り合う二つのスラット材に関する前記第2方向に直交する面での当該スラット材の両端部間の距離hに対する前記スラット材の前記第1方向への配置ピッチdの比の値(d/h)は、前記或る隣り合う二つのスラット材とは異なる他の隣り合う二つのスラット材に関する前記比の値(d/h)と、異なる、請求項29〜32のいずれか一項に記載の光制御具。
  38. 入射光の進行方向を変えて透過させる採光シートと、
    前記採光シートと対面する位置に配置される請求項1〜37のいずれか一項に記載の光制御具と、を備える、採光システム。
  39. 第1透光部材と、
    入射光の進行方向を変えて透過させる採光シートと、
    請求項1〜37のいずれか一項に記載の光制御具と、を備える、重ね窓の組立キット。
  40. 第1空間と第2空間とを区画する構造体の開口部に配置された透光部材に対面する位置に前記光制御具及び前記第1透光部材を支持する枠体を、更に備える、請求項39に記載の組立キット。
  41. 前記枠体は、前記透光部材を支持する枠部材および前記構造体の少なくとも一方に取り付け可能となっている、請求項40に記載の組立キット。
  42. 請求項39〜41のいずれか一項に記載の組立キットを備える、重ね窓。
  43. 請求項40または41に記載の組立キットを備え、
    前記第1透光部材および前記透光部材の少なくとも一方は、合わせガラス、ペアガラス、又は、二重窓を構成する、重ね窓。
  44. 請求項1〜37のいずれか一項に記載の光制御具、請求項38に記載の採光システム、請求項39〜41のいずれか一項に記載の組立キット、又は、請求項42又は43に記載の重ね窓を備える、構造体。
  45. 請求項1〜37のいずれか一項に記載の光制御具、請求項38に記載の採光システム、請求項39〜41のいずれか一項に記載の組立キット、又は、請求項42又は43に記載の重ね窓を備える、建物。
  46. 請求項39〜41のいずれか一項に記載の組立キットを、構造体に設置する工程を備える、重ね窓の製造方法。
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