JP6410677B2 - 熱音響機関 - Google Patents

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本発明は、作動媒体が充填され音波が伝播する音響筒に、作動媒体を外部から加熱する加熱部と前記作動媒体を外部から冷却する冷却部と前記加熱部と前記冷却部との間で音波を増幅する再生部とから成る原動機を少なくとも1つ以上設ける熱音響機関に関する。
従来、音響筒の軸心方向において、異なる温度の媒体により再生部の一端側と他端側との間で温度勾配を発生させることで、熱エネルギを音波の振動エネルギへ変換する技術として、熱音響機関が知られている(特許文献1を参照)。
当該特許文献1に開示の熱音響機関では、例えば、ヘリウム等の作動媒体が充填され音波が伝播する音響筒に、作動媒体を外部から加熱する加熱部と作動媒体を外部から冷却する冷却部と加熱部と冷却部との間で音波の振動エネルギを増幅する再生部とから成る原動機とを備えている。
熱音響機関にあっては、特許文献1に開示の技術に示されるように、再生部を構成する音響筒の筒内部に、移動する作動媒体と熱の授受を行う微細流路(又は、微細構造部材)が配設されており、当該再生部を構成する音響筒の筒径と共鳴部を構成する音響筒の筒径とが同一である場合、当該再生部での作動媒体が通流可能な流域断面積は、共鳴部の流域断面積に比べて小さくなる。作動流体の流域断面積が急激に変化(急激に増加)すると、当該作動流体を伝播する音波が、その変化部位で開孔端反射が発生し、進行波の一部が当該反射波に打ち消され、音波エネルギが減少することにある。
そこで、特許文献1に開示の技術にあっては、再生部を構成する音響筒の筒径を共鳴部を構成する音響筒の筒径よりも大径にすると共に、再生部を構成する音響筒の軸心方向で両端に、共鳴部側から再生部側へ向けて徐々に拡径する拡径部を備える。
そして、当該特許文献1に開示の技術にあっては、再生部の一端側に設けられる拡径部の筒内部に複数のフィンを配設し、当該拡径部の外径部位に熱交換媒体(例えば、空気)を通流させることで加熱部を構成すると共に、再生部の他端側に設けられる拡径部の筒内部に複数のフィンを配設し、当該拡径部の外径部位に冷却媒体(例えば、冷却水)を通流させることで冷却部を構成している。
特開2013−096387号公報
上記特許文献1に開示の技術にあっては、特に、加熱部と冷却部とが、拡径部に設けられており、十分に拡径しきっていない領域に複数のフィンが配設され、当該フィンを介して音響筒の内部の作動媒体と熱交換媒体との熱交換が行われるため、比較的小さい伝熱面積にて、作動媒体と熱交換媒体との熱交換を行う必要があった。
更には、熱交換媒体は、音響筒の外径部位を通流するだけであるため、熱交換媒体の温熱(又は冷熱)が十分に作動媒体に伝導しているとは言い難く、改善の余地があった。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、加熱部及び冷却部における熱交換媒体と作動媒体との熱交換効率を高め得る構成を採用しつつも、音響筒の筒全長に亘って、作動媒体の流域断面積の大幅な変化を防止して、効率向上を図ることができる熱音響機関を提供する点にある。
上記目的を達成するための熱音響機関は、
作動媒体が充填され音波が伝播する音響筒に、前記作動媒体を外部から加熱する加熱部と前記作動媒体を外部から冷却する冷却部と前記加熱部と前記冷却部との間で音波を増幅する再生部とから成る原動機を少なくとも1つ以上設け、
前記加熱部を構成する加熱用音響筒及び前記冷却部を構成する冷却用音響筒の内径を、前記原動機以外の共鳴部を構成する共鳴用音響筒の内径よりも大径に構成し、
前記共鳴用音響筒と前記加熱用音響筒との間を、前記共鳴用音響筒から前記加熱用音響筒へ向けて徐々に拡径して両者を接続する加熱部側拡径部を備えると共に、前記共鳴用音響筒と前記冷却用音響筒との間を、前記共鳴用音響筒から前記冷却用音響筒へ向けて徐々に拡径して両者を接続する冷却部側拡径部を備えた熱音響機関であって、その特徴構成は、
前記加熱部及び前記冷却部は、前記加熱用音響筒及び前記冷却用音響筒の筒外径部に前記作動媒体と熱交換する熱交換媒体を通流する筒外径側媒体通流部と、前記加熱用音響筒及び前記冷却用音響筒の筒内部に前記熱交換媒体を通流する筒内部側媒体通流部とを備え、
前記加熱部側拡径部及び前記冷却部側拡径部の夫々には、前記共鳴用音響筒側から隣接する前記加熱用音響筒側又は前記冷却用音響筒側の夫々へ向けて徐々に拡径して延びる流域断面積調整部材を備え、
前記流域断面積調整部材の夫々は、大径側の端部が、前記音響筒の軸心に直交する断面視において、隣接する前記加熱用音響筒又は前記冷却用音響筒が有する前記筒内部側媒体通流部に重畳する状態で備えられている点にある。
上記特徴構成によれば、加熱部を構成する加熱用音響筒及び冷却部を構成する冷却用音響筒は、拡径部とは別に構成されているから、共鳴部を構成する共鳴用音響筒の筒径に比して、十分に大径とすることができ、従来技術に比べ、当該大径の加熱用音響筒及び冷却用音響筒での伝熱面積(伝熱量)を稼ぐことができる。
更に、加熱用音響筒及び冷却用音響筒には、作動媒体に温熱又は冷熱を与える熱交換媒体を通流する部位として、音響筒の筒外径部に設けられる筒外径側媒体通流部に加えて、音響筒の筒内部に設けられる筒内部側媒体通流部を備えているから、音響筒の外径側と筒内部側との双方から温熱又は冷熱を、作動媒体へ与えることができ、作動媒体への熱伝達量を増加させることができる。結果、加熱部及び冷却部での熱交換効率を十分に高めることができる。
ここで、加熱用音響筒及び冷却用音響筒の内部に筒内部側媒体通流部を備える場合、当該筒内部側媒体通流部を備える分だけ、音響筒を通流する作動媒体の流域断面積が小さくなるため、例えば、加熱部側拡径部と加熱用音響筒との間及び冷却部側拡径部と冷却用音響筒との間において、流域断面積の急激な変化が発生し、その部位にて開口端反射が発生する虞がある。
そこで、上記特徴構成にあっては、加熱部側拡径部及び冷却部側拡径部の夫々に、共鳴用音響筒側から隣接する加熱用音響筒側及び冷却用音響筒側の夫々へ向けて徐々に拡径して延びる流域断面積調整部材を備えている。これにより、加熱部側拡径部と加熱用音響筒との間及び冷却部側拡径部と冷却用音響筒との間において、流域断面積の急激な変化を防止し、その部位での音波の開口端反射の発生を抑制できる。
更に、流域断面積調整部材の夫々は、その大径側の端部、即ち、加熱部側又は冷却部側の端部が、音響筒の軸心に直交する断面視において、隣接する加熱用音響筒又は冷却用音響筒が有する内部側媒体通流部に重畳する状態で備えているから、音波が、直接、筒内部側媒体通流部で反射することも抑制できる。
結果、加熱部及び冷却部における熱交換媒体と作動媒体との熱交換効率を高め得る構成を採用しつつも、音響筒の筒全長に亘って、作動媒体の流域断面積の大幅な変化を防止して、音波の減衰を抑制し、効率向上を図ることができる熱音響機関を実現できる。
尚、本発明において、流域断面積調整部材の大径側の端部が、音響筒の筒軸心に直交する断面視において、隣接する加熱用音響筒又は冷却用音響筒が有する筒内部媒体通流部に重畳する状態で備えられているとしたが、当該明細書において、重畳するとは、その一部が重なり合っていれば良く、すべてが完全に重なり合っている状態のものに限らないものとする。
熱音響機関の更なる特徴構成は、
前記加熱部及び前記冷却部は、前記筒外径側媒体通流部と前記筒内部側媒体通流部とを架橋する状態で配設される複数の伝熱フィンを備えている点にある。
上記特徴構成によれば、加熱部及び冷却部において、筒外径側媒体通流部と筒内部側媒体通流部との間に、双方を架橋する状態で複数の伝熱フィンを備えているから、加熱部用音響筒及び冷却部用音響筒の内部の作動媒体を、筒外径側媒体通流部と筒内部側媒体通流部とに加え、複数の伝熱フィンを介しても加熱(又は冷却)することができ、より一層、加熱部及び冷却部における熱交換媒体と作動媒体との熱交換を促進して、熱交換効率を向上させることができる。
尚、ここで、伝熱フィンが架橋する状態で設けられているとは、熱伝導可能な状態で接続されていることを言うものとし、他の部材(例えば、音響筒)を介して接続する状態も含むものとする。
熱音響機関の更なる特徴構成は、
前記筒内部側媒体通流部は、前記音響筒の軸心に直交する断面視において、前記加熱用音響筒及び前記冷却用音響筒の筒中央部位に配設され、
複数の前記伝熱フィンは、前記音響筒の軸心に直交する断面視において、前記筒内部側媒体通流部から前記筒外径側媒体通流部へ向けて放射状に延びる状態で配設されている点にある。
上記特徴構成によれば、筒内部側媒体通流部を、音響筒の軸心に直交する断面視において、加熱用音響筒及び冷却用音響筒の筒中央部位に配設しているから、例えば、筒中央部位からズレた位置に位置している場合に比べ、音波の乱れを生じさせ難い状態にできる。
更に、複数の伝熱フィンを、音響筒の軸心に直交する断面視において、筒内部側媒体通流部から筒外径側媒体通流部へ向けて放射状に延びる状態で配設しているから、何れの伝熱フィンについても、一方側と他方側との双方から略均等に熱交換媒体からの温熱又は冷熱を伝達でき、その温熱又は冷熱を、作動媒体に対し効率的に伝達できる。
熱音響機関の更なる特徴構成は、
前記再生部には、前記音響筒の軸心に直交する断面視において前記筒内部側媒体通流部に重畳する状態で、前記再生部を構成する再生用音響筒の一端から他端まで軸心方向に延びる筒状軸心部材を備えている点にある。
加熱用音響筒及び冷却用音響筒の双方には、筒内部側媒体通流部を備えているから、加熱用音響筒と再生部を構成する再生用音響筒との間、冷却用音響筒と再生用音響筒との間において、流域断面積の急激な変化が生じる虞がある。また、流域断面積の急激な変化は生じない場合であっても、再生用音響筒側から加熱用音響筒又は冷却用音響筒へ音波が伝播するときに、音波が筒内部側媒体通流部で反射してしまい、音波が減衰する虞がある。
上記特徴構成によれば、再生部には、音響筒の軸心に直交する断面視において内部側加熱用媒体通流部及び内部側冷却用媒体通流部に重畳する状態で、再生用音響筒の一端から他端まで軸心方向に延びる筒状軸心部材を備えることで、加熱用音響筒と再生用音響筒との間、冷却用音響筒と再生用音響筒との間において、流域断面積の急激な変化を防止できると共に、再生用音響筒側から加熱用音響筒又は冷却用音響筒へ伝播する音波の筒内部側媒体通流部での反射を抑制できる。
熱音響機関の更なる特徴構成は、
前記筒状軸心部材は、中空筒形状であり、その内部に断熱性ガスが充填されている点にある。
筒状軸心部材は、上述したように、再生用音響筒の一端から他端まで軸心方向に沿って延びるから、筒状軸心部材の一端側は加熱用音響筒に接続されると共に、筒軸心部材の他端側は冷却用音響筒に接続されるから、当該筒状軸心部材が熱を伝達し易い場合、加熱部と冷却部とが筒状軸心部材を介して熱的に短絡する虞がある。
上記特徴構成によれば、筒状軸心部材を、中空筒形状とすると共にその内部に断熱性ガスを充填する構成を採用することで、少なくとも当該筒状軸心部材の内部での断熱性を保つことができ、加熱部と冷却部との間が熱的に短絡することを抑制できる。これにより、再生部の一端側と他端側とで温度勾配を良好に確保して、音波の増幅を良好に図ることができる。
尚、加熱部と冷却部との筒状軸心部材を介した熱の伝導を抑制する(断熱性を高める)観点からは、筒状軸心部材自身を断熱性の高い材料から構成することが好ましい。
熱音響機関の更なる特徴構成は、
前記筒状軸心部材は、自身の外部と内部とを連通する開孔が形成されており、前記内部に前記音響筒から前記作動媒体が前記断熱性ガスとして流入可能に構成されている点にある。
上記特徴構成によれば、筒状軸心部材に、開孔を形成することで、音響筒内に充填された作動媒体を、筒状軸心部材の内部にも充填することができる。これにより、筒状軸心部材の内部へ容易にガスを充填することができ、例えば、筒状軸心部材を金属等で埋める場合に比べ、断熱性を高めることができる。
更に、上記特徴構成の如く、筒状軸心部材に開孔を形成することで、音響筒に作動媒体を充填したときに、筒状軸心部材の内部と外部とでの圧力差をなくすことができるため、筒状軸心部材の耐圧を考慮する必要がなくなり、設計の自由度が高めることができる。
熱音響機関の更なる特徴構成は、
前記流域断面積調整部材は、円錐形状又は多角錐形状であり、底面が前記加熱部側又は前記冷却部側に向けられると共に、頭頂点が前記共鳴部側に向けられる状態で配設され、
前記頭頂点は、前記共鳴用音響筒と前記加熱部側拡径部又は前記冷却部側拡径部との境界部位の近傍に位置する状態で設けられている点にある。
本発明では、共鳴用音響筒とそれより大径の加熱用音響筒との間を加熱部側拡径部で接続すると共に、共鳴用音響筒とそれより大径の冷却用音響筒との間を冷却部側拡径部で接続しているのであるが、円錐形状を含む多角錐形状の流域断面積調整部材を、上記特徴構成の如く配設することで、拡径部における流域断面積の急激な変化を適切に抑制することができる。
熱音響機関の更なる特徴構成は、
前記加熱部側拡径部に設けられる前記流域断面積調整部材の前記頭頂点は、前記共鳴用音響筒と前記加熱部側拡径部との境界部位を基準位置として、前記加熱部側拡径部の側へ前記共鳴用音響筒の筒径の12%の長さ引退した位置から、前記共鳴用音響筒の側へ前記共鳴用音響筒の筒径の13%の長さ突出した位置までの間に位置すると共に、
前記冷却部側拡径部に設けられる前記流域断面積調整部材の前記頭頂点は、前記共鳴用音響筒と前記冷却部側拡径部との境界部位を基準位置として、前記冷却部側拡径部の側へ前記共鳴用音響筒の筒径の12%の長さ引退した位置から、前記共鳴用音響筒の側へ前記共鳴用音響筒の筒径の13%の長さ突出した位置までの間に位置すると共に、
前記加熱部側拡径部及び前記冷却部側拡径部の夫々は、円錐台形状であり、前記音響筒の軸心方向に沿う断面視において、拡大角度が18°以下に設定されている点にある。
本願の発明者らは、鋭意研究することにより、上記特徴構成により、加熱部側拡径部及び冷却部側拡径部における音波の開口端反射を十分に抑制でき、当該部位における音波の減衰率を1%以内に押さえることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
実施形態に係る熱音響設備の概略構成図 加熱部を示す図面であり、図1のII−II断面図 シミュレーションの比較対照に関する加熱部(及び冷却部)を示す図面 加熱部の伝熱フィンへの熱伝導状態、及び当該伝熱フィンから作動媒体への熱伝導状態を示すイメージ図 流域断面積調整部材の音響筒に対する配置状態、及び加熱部側拡径部の拡大角度の説明をするための概略図 加熱部側拡径部における音波の減衰状態のシミュレーションを説明するためのイメージ図
実施形態に係る熱音響機関100は、加熱部30、冷却部50における熱交換媒体HW、CWと作動媒体との熱交換効率を高め得る構成を採用しつつも、音響筒の筒全長に亘って、作動媒体の流域断面積の大幅な変化を防止して、音波の減衰を抑制し、効率向上を図ることができるものに関する。
当該熱音響機関100は、図1に示すように、作動媒体が充填され音波が伝播する音響筒Cに、作動媒体を外部から加熱する加熱部30と作動媒体を外部から冷却する冷却部50と加熱部30と冷却部50との間で音波を増幅する再生部40とから成る原動機を少なくとも1つ以上設けている。
当該原動機にあっては、加熱部30及び冷却部50における作動媒体と熱交換媒体との熱交換効率の向上、及び再生部40における音波のエネルギの増幅率を向上させるべく、加熱部30を構成する加熱用音響筒31、冷却部50を構成する冷却用音響筒51、及び再生用音響筒41の内径(図1でΦ2)を、原動機以外の共鳴部10、70を構成する共鳴用音響筒11、71の内径(図1でΦ1)よりも大径に構成している。
そして、異なる内径の共鳴用音響筒11と加熱用音響筒31とを連通接続するべく、共鳴用音響筒11と加熱用音響筒31との間を、共鳴用音響筒11から加熱用音響筒31へ向けて徐々に拡径して両者を接続する加熱部側拡径部20を備えると共に、異なる内径の共鳴用音響筒71と冷却用音響筒51とを連通接続するべく、共鳴用音響筒71と加熱用音響筒31との間を、共鳴用音響筒71から冷却用音響筒51へ向けて徐々に拡径して両者を接続する冷却部側拡径部60を備えている。当該構成により、音響筒Cの共鳴部10、70に対して、原動機が備えられていることになる。
ここで、当該実施形態に係る熱音響機関100にあっては、加熱部30及び冷却部50における熱交換媒体と作動媒体との熱交換効率の向上を図るべく、加熱部30及び冷却部50において、以下の構成を採用している。
加熱部30は、図1又は図2に示すように、加熱用音響筒31の筒外径部に作動媒体と熱交換する高温媒体HW(熱交換媒体の一例:例えば、エンジンの排熱を保有するエンジン冷却水)を通流する筒外径側媒体通流部32bと、加熱用音響筒31の筒内部に高温媒体HWを通流する筒内部側媒体通流部32dとを備え、当該筒外径側媒体通流部32bと筒内部側媒体通流部32dとは、第1連通部32c及び第2連通部32eとにより連通接続されている。
説明を追加すると、筒外径側媒体通流部32bには、図2に示すように、外部から高温媒体HWを受け入れる高温媒体流入部32aが設けられると共に、当該筒外径側媒体通流部32bにおける高温媒体流入部32aが設けられている部位と対向する部位に、高温媒体流出部32fが設けられている。尚、当該実施形態にあっては、高温媒体流入部32a、第1連通部32c、筒内部側媒体通流部32d、第2連通部32e、及び高温媒体流出部32fが、円環状の筒外径側媒体通流部32bの直径に沿う一直線上に設けられている。
当該構成を採用することにより、高温媒体流入部32aから流入した高温媒体HWは、その一部が、二手に分岐する形態で筒外径側媒体通流部32bを通流して高温媒体流出部32fに導かれると共に、その残部が、第1連通部32cと筒内部側媒体通流部32dと第2連通部32eを通流して高温媒体流出部32fに導かれることとなる。
尚、当該実施形態にあっては、例えば、筒外径側媒体通流部32bの流路径と、第1連通部32c及び第2連通部32eの流路径とを適切に設定する形態で、筒外径側媒体通流部32bの側を通流する高温媒体HWの流量と、筒内部側媒体通流部32dの側を通流する高温媒体HWの流量との比を適切に設定している。
ここで、当該実施形態にあっては、筒内部側媒体通流部32dは、図1、2に示すように、中空円筒形状であり、その筒軸心を音響筒C(加熱用音響筒31)の軸心Pに沿わせる形態で配設されている。
更に、当該実施形態にあっては、図2に示すように、筒外径側媒体通流部32bと筒内部側媒体通流部32dとの間を架橋する形態で、複数の伝熱フィン33を備えている。説明を加えると、当該複数の伝熱フィン33は、図2に示すように、その一端部33aを筒内部側媒体通流部32dに溶接等により伝熱可能に接続すると共に、その他端部33bを筒外径側媒体通流部32bに伝熱可能に接続した状態で、音響筒Cの軸心Pを中心として放射状に配設されている。更に、複数の伝熱フィン33は、その伝熱面を、加熱用音響筒31及び冷却用音響筒51を伝播する音波の伝播方向(図1、2で矢印Xに沿う方向)に沿わせる状態で配設されている。
当該構成を採用することにより、複数の伝熱フィン33には、その一端部33a側とその他端部33b側との双方から、高温媒体HWの温熱が熱伝達することになり、当該複数の伝熱フィン33から作動媒体への伝熱量を増大させ、加熱部30での熱交換効率の向上を図っている。
冷却部50の構成についても、加熱部30の構成と実質的に同一の構成を有している。 即ち、冷却部50は、図1に示すように、冷却用音響筒51の筒外径部に作動媒体と熱交換する低温媒体CW(熱交換媒体の一例:例えば、冷却水)を通流する筒外径側媒体通流部52bと、冷却用音響筒51の筒内部に低温媒体CWを通流する筒内部側媒体通流部52dとを備え、当該筒外径側媒体通流部52bと筒内部側媒体通流部52dとは、第1連通部52cと第2連通部52eとにより連通接続されている。
更に、当該実施形態にあっては、冷却部50の筒内部側媒体通流部52dは、図1に示すように、中空円筒形状であり、その筒軸心を音響筒C(冷却用音響筒51)の軸心Pに沿わせる形態で配設されており、軸心Pに直交する断面視において、冷却部50の筒内部側媒体通流部52dと、同一位置に配置されると共に同一形状に構成されている。
また、当該冷却部50の筒外径側媒体通流部52bと筒内部側媒体通流部52dとの間を架橋する形態で、複数の伝熱フィン53が配設されている。当該複数の伝熱フィン53の配設状態は、加熱部30に設けられる複数の伝熱フィン33の配設状態と同一であるので説明を割愛する。
再生部40は、加熱部30と冷却部50との間に設けられ、再生部40を構成する再生用音響筒41の内径は、加熱用音響筒31及び冷却用音響筒51の筒径(内径)Φ2と同一に構成され、その一端が加熱用音響筒31に接続されると共にその他端が冷却用音響筒51に接続されている。
再生用音響筒41の内部には、再生用音響筒41の軸心Pにその軸心を一致させると共に、再生用音響筒41の一端から他端まで伸びる中空円筒形状の筒状軸心部材80が設けられている。
説明を追加すると、当該筒状軸心部材80は、一旦側が加熱部30の筒内部側媒体通流部32dに接続されると共に他端が冷却部50の筒内部側媒体通流部52dに接続され、再生用音響筒41の軸心Pに直交する断面視において、加熱部30の筒内部側媒体通流部32dと、冷却部50の筒内部側媒体通流部52dと同一形状で且つ完全に重なる状態で配設されている。当該筒状軸心部材80には、その筒周壁に、自身の内部と再生用音響筒41の内部とを連通する複数の開孔81、82(当該実施形態にあっては、2つ)が設けられており、使用状態において、筒状軸心部材80の内部に作動媒体が充填されるように構成されている。これにより、筒状軸心部材80は、比較的高い断熱性を保った状態で、加熱部30の筒内部側媒体通流部32dと冷却部50の筒内部側媒体通流部52dとを、両者を熱的に短絡させない状態で接続することとなる。尚、断熱性を高める意味からは、筒状軸心部材80自身を断熱性の高い材料にて構成することが好ましい。
再生用音響筒41の内部で筒状軸心部材80の外部には、再生用音響筒41の軸心Pに直交する方向に板面を沿わせた状態で、当該軸心Pに沿って複数の薄い薄板状部材42が等間隔に配設されている。当該薄板状部材42は、例えば、厚さが50μm以上100μm以下で、300枚〜600枚程度設けられる。更に、薄板状部材42には、軸心Pに沿う方向に貫通する多数の管通孔が、その直径が200μm〜300μm程度で、設けられている。
作動媒体は、音響筒Cの内部において、その軸心Pに沿う方向で、微小な揺らぎを生じている状態で、存在している。換言すると、作動流体は、加熱部30と冷却部50との両者間において、一方側から他方側への進行波と、他方側から一方側への進行波とを形成する形態で、揺らいでいる。
作動流体は、冷却部50から加熱部30の側への進行波を形成する場合、加熱部30の近傍での薄板状部材42の複数の管通孔を通過するときに当該管通孔の内壁に接触して加熱されると共に、加熱部30の伝熱フィン33の伝熱面に直接加熱されることで膨張する。一方、作動媒体は、加熱部30から冷却部50の側への進行波を形成する場合、冷却部50の近傍で薄板状部材42の管通孔を通過するときに当該管通孔の内壁に接触して冷却されると共に、冷却部50の伝熱フィン53の伝熱面に接触して直接冷却されることで収縮する。これにより、進行波としての音波が自己励起振動を起こし、その振動エネルギが増幅される形態で、熱エネルギが音波の振動エネルギに変換される。
作動媒体としては、酸素や窒素等のからなる空気から構成することができる。ここで、加熱部30、再生部40、及び冷却部50での熱交換が迅速になされることが望ましいため、作動媒体としては、熱拡散係数の高いヘリウム、水素が望ましい。また、発電を目的とする場合、図示は省略するが、音波により回転翼を回転させることで発電させる発電機を設けることとなるが、このような構成を採用するときには、作動媒体としては分子量が大きい気体が好ましいため、アルゴン等の気体を混合しても良い。尚、熱的に安定していることから、当該実施形態では、作動媒体としてヘリウムを用いている。
尚、熱音響機関100において、音響筒Cの長さは、原動機での音波の振動エネルギの増幅率を所定以上に維持すべく、再生部40の薄板状部材42の貫通孔の孔径に依存する形態で音響筒C内で自励される音波の波長により決定される。例えば、作動媒体として、ヘリウムを用いる場合で、筒内圧力が1MPa、筒内温度が20℃の場合、音響筒Cの筒軸長さは7m程度のものが用いられる。
上述したように、加熱用音響筒31の筒径(内径)及び冷却用音響筒51の筒径(内径:図1でΦ2)は、共鳴用音響筒11、71の筒径(内径:図1でΦ1)よりも大径に構成されている。このため、共鳴用音響筒11と加熱用音響筒31との間には、共鳴用音響筒11から加熱用音響筒31の側へ徐々に拡径する加熱部側拡径部20が設けられていると共に、共鳴用音響筒71と冷却用音響筒51との間には、共鳴用音響筒71から冷却用音響筒51の側へ徐々に拡径する冷却部側拡径部60が設けられている。当該加熱部側拡径部20と冷却部側拡径部60の夫々は、円錐台形状を有しており、加熱部側拡径部20は、小径側の端部が、共鳴用音響筒11に接続されると共に、大径側の端部が加熱用音響筒31に接続されており、冷却部側拡径部60は、小径側の端部が、共鳴用音響筒71に接続されると共に、大径側の端部が冷却用音響筒51に接続されている。
以上のような構成において、加熱部30及び冷却部50にて高い熱交換量を確保するためには、加熱用音響筒31及び冷却用音響筒51の筒径(図1でΦ1)を比較的大きくする必要があるが、加熱部側拡径部20(及び冷却部側拡径部60)の拡径角度(図1で、αで示す角度)を所定角度以上大きくすると、音波の開孔端反射が発生し、音響筒C内での音波の速度減衰が発生し、音波エネルギの低下がおきる。
当該実施形態に係る熱音響機関100にあっては、当該音波エネルギの低下を防ぐべく、加熱部側拡径部20に、共鳴用音響筒11側から隣接する加熱用音響筒31側へ向けて徐々に拡径して延びる円錐形状の流域断面積調整部材21を備えると共に、冷却部側拡径部60に、共鳴用音響筒71側から隣接する冷却用音響筒51側へ向けて徐々に拡径して延びる円錐形状の流域断面積調整部材61を備えている。
加熱部側拡径部20に備えられる流域断面積調整部材21は、大径側の端部である底面23が、加熱部30の筒内部側媒体通流部32dに隙間なく接続されると共に、音響筒Cの軸心Pに直交する断面視において、加熱部30の筒内部側媒体通流部32dと同形状で、完全に一致する状態で配設されている。更に、その頭頂点22は、共鳴用音響筒11と加熱部側拡径部20との境界部位の近傍に配設されている。
一方、冷却部側拡径部60に備えられる流域断面積調整部材61は、加熱部側拡径部20に備えられる流域断面積調整部材21と、再生部40の軸心P方向での中央位置を挟んで対称に設けられている。説明を加えると、冷却部側拡径部60に備えられる流域断面積調整部材61は、大径側の端部である底面63が、冷却部50の筒内部側媒体通流部52dに隙間なく接続されると共に、音響筒Cの軸心Pに直交する断面視において、冷却部50の筒内部側媒体通流部52dと同形状で、完全に一致する状態で配設されている。更に、その頭頂点52は、共鳴用音響筒71と冷却部側拡径部60との境界部位の近傍に配設されている。
以上の構成を採用することにより、加熱部側拡径部20及び冷却部側拡径部60において、筒径の急拡大を抑制し、音波の開孔端反射(又は、各部材での直接的な反射)を良好に防止している。
〔加熱部及び冷却部の熱交換効率のシミュレーション結果〕
当該実施形態に係る加熱部30及び冷却部50は、従来技術として上述した先行技術文献に開示の技術に比べて独特の構造を有している。そこで、当該構成を採用した場合と、先行技術文献に開示の技術の構成(以下、比較対称の構成と略称する場合がある)を使用を採用した場合との熱交換効率を比較するシミュレーションを行った。ここで、加熱部30及び冷却部50は、同一形状であるため、以下では、加熱部30に係るシミュレーション結果を示すこととする。
尚、比較対象の構成は、計算を容易にするため、図3に示すように、複数の伝熱フィン33を、加熱用音響筒31の直径に平行に備えるものとした。
当該実施形態に係る構成にあっては、図4(a)に示すように、軸心Pに沿う断面視において、伝熱フィン33の筒径方向での一端側と他端側との双方から熱が入熱(図4(a)でHin)して、作動媒体としてのヘリウムに熱を出力(図4(a)でHout)することとした。一方、比較対称に係る構成にあっては、図4(b)に示すように、軸心Pに沿う断面視において、伝熱フィン33の筒径方向での一端側(筒外径側)からのみ熱が入熱(図4(b)でHin)して、作動媒体としてのヘリウムに熱を出力(図4(b)でHout)することとした。
共通の構成としては、伝熱フィン33の音響筒Cの軸心Pに沿う方向での長さを50mmとし、当該実施形態での加熱用音響筒31での流域断面積(図2でS1)と、比較対象の構成での加熱用音響筒31での流域断面積(図3でS2)とは同一となるように、両者の加熱用音響筒31の筒径(図2、3でΦ2)を各別に設定した。因みに、当該実施形態に係る構成での加熱用音響筒31の筒径は376mmとし、比較対象に係る構成での加熱用音響筒31の筒径は323mmとした。更に、当該実施形態に係る構成での筒内部側媒体通流部32dの径(図2でΦ3)は、192mmとした。
また、共鳴用音響筒11の筒径は、200mmとし、加熱部側拡径部20の軸心Pに沿う長さは500mmとし、加熱部側拡径部20の拡大角度(図1でα)は、7度とした。
更に、伝熱フィン33は、熱伝導率が100W/mKの物体(例えば、Cu)で構成されているものとし、音響筒Cの内部には、10MPa、250℃のヘリウムが充填されているものとした。
更に、ヘリウム密度を1.8kg/m3とし、伝熱フィン33からヘリウムへの熱伝達係数は、強制対流による平行板間での熱伝達であると仮定して、パラメータを以下のように設定して算出した。ヘリウムの強制対流の速度(以下、速さスケールと略称)は、70Hz・振幅20mmで物質が振動すると推定した際の振動速度実効値を6.22m/sとし、伝熱フィン33の間隔(以下、長さスケールと略称)を3mmと仮定し、ヘリウムの粘度・熱伝導率・比熱は、常圧と同じ値と仮定した。これらの値を用いて、レイノルズ数(=密度×長さスケール×速さスケール÷粘度)を1680と算出し、プラントル数(=比熱×粘度÷熱伝導率)を0.69と算出し、層流ヌッセルト数(=0.664×レイノルズ数0.5×プラントル数0.333)を24.1と算出した。
これにより、熱伝達係数(=ヌッセルト数×長さスケール×熱伝導率)を1200W/m2Kと導出した。当該熱伝達係数に伝熱フィン33の単位面積毎での温度差を乗算したものを順次導出し、伝熱フィン33の伝熱面積で積分することで、単位時間当たりの伝熱量を導出した。
当該シミュレーション結果によると、当該実施形態に係る構成の単位時間当たり伝熱量は、3813.409Wであり、比較対象に係る構成での単位時間当たりの伝熱量は、32737.094Wとなり、39.3%の伝熱量の改善効果が見込まれるという結果が得られた。
尚、以上のシミュレーションで示した具体的な数値は、例示であり、スケールを変えた場合にも、当該実施形態に係る構成が、比較対称に係る構成に比べて、熱交換効率が向上することが確認されている。
〔加熱部側拡径部の拡大角度、及び流域断面積調整部材の頭頂点の位置について〕
当該実施形態に係る熱音響機関100において、加熱部側拡径部20の近傍における流域断面積の拡大率が一定以上になる場合、音波の開孔端反射が発生し、音波のエネルギが減少する。そこで、以下に示す条件において、シミュレーションを実行し、加熱部側拡径部20の拡大角度(図1でα)、及び流域断面積調整部材21の頭頂点22の位置の適正位置を推定した。尚、当該シミュレーションに関しても、冷却部側拡径部60は加熱部側拡径部20と対称形状であるので、加熱部側拡径部20に関するシミュレーションについて、説明することとする。
具体的には、加熱部側拡径部20を、図6に示すように、音響筒Cの軸心P方向で、単位長さ(1mm)の単位領域に分割する場合、音響筒Cでの音波エネルギが無損失であるときには、開孔端反射の理論式により、各単位領域での進行波をU+、反射波をU-、流域断面積をAとして、以下のようにあらわされる。
+ i+1=(1−γ)DU+ i−γ(U- i-1) ・・・(式1)
- i=γD-2+ i+(1+γ)D-1- i-1 ・・・(式2)
γ=(Ai−Ai-1)/(Ai+Ai-1) ・・・(式3)
ここで、Dは位相遅れであり、今回は1として考慮しないものとする。
一般に、上記(式3)において、γが大きくなるほど、加熱部側拡径部20の内部を進んだ際の音波の速度が低下し、それにより音波エネルギが減少する。
当該実施形態にあっては、以下の条件において、γが、比較対象の音響筒(共鳴用音響筒11の筒径が200mm、加熱部側拡径部20の軸心Pに沿う長さが500mm、加熱部側拡径部20の拡大角度(図1でα)が7度の音響筒)に比べ、速度減衰率を1%以内に抑えられる値となるように、加熱部側拡径部20の拡大角度、流域断面積調整部材21の頭頂点22の位置を決定した。
ちなみに、頭頂点22の位置は、共鳴用音響筒11と加熱部側拡径部20との境界部位(図5でX0で示す部位)を基準として、そこからの変位量を、共鳴用音響筒11の筒径Φ1に対する比率として表すこととし、加熱部側拡径部20の側へ引退した場合(図5で22b)をプラスの値で、共鳴用音響筒11の側へ突出した場合(図5で22a)をマイナスの値で表している。
以下に、音波の速度減衰率を1%以内に抑えるための拡大角度と、拡大角度の夫々に対して、設定可能な頭頂点22の位置を示す。
Figure 0006410677
つまり、当該シミュレーションからは、拡大角度αの最大値は、18度であり、当該18度に設定した場合には、頭頂点22の位置は、−13.0%以上+12.0%以下に設定することにより、音波の速度減衰率を1%に抑えられることが確認された。
尚、拡大角度αを小さくすると、頭頂点22の位置の許容範囲は、上記〔表1〕に示すように広げられることが確認できている。
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、一の熱音響機関に設けられる原動機は、1つとしたが、別に2つ以上を設ける構成を採用しても構わない。
(2)音響筒Cは、上記実施形態に示すように、ループ形状のもののみでなく、直管形状のものも含むものとする。また、ループ形状の筒に直管形状の筒を連結した形状の音響筒も含むものとする。
(3)上記実施形態では、音響筒Cに音波の振動から電力を発生させる電力発生機を備え、音波から電力を取り出す熱音響機関の実施形態を示した。
しかしながら、音波から冷熱を取り出す熱音響機関も本発明の権利範囲に含むものである。具体的には、音響筒Cの一の原動機の加熱器へ、工場等からの排熱を保有する媒体を供給するように構成すると共に、他の原動機の冷却器から冷熱を回収する構成を採用しても構わない。
(4)上記実施形態にあっては、第1連通部32c及び第2連通部32eの夫々を、一の流路で構成する例を示したが、それらの夫々は、複数の流路で構成しても構わない。
(5)筒内部側媒体通流部32d、52dは、中空円筒形状であり、音響筒C(加熱用音響筒31、冷却用音響筒51)の軸心に直交する断面視において、円形である例を示したが、別に多角形形状等の構成を採用しても構わない。
当該構成を採用する場合、流域断面積調整部材21、61は、その大径側の端部(加熱部30側の端部、又は冷却部50側の端部)が、音響筒Cの軸心Pに直交する断面視において、筒内部側媒体通流部32d、52dと同一の多角形形状とすることが好ましい。
また、再生部40の内部に設けられる筒状軸心部材80についても、音響筒Cの軸心Pに直交する断面視において、筒内部側媒体通流部32d、52dと同一の多角形形状とすることが好ましい。
尚、上記実施形態にあっては、流域断面積調整部材21、61の大径側の端部(加熱部30側の端部、又は冷却部50側の端部)、及び再生部40の内部に設けられる筒状軸心部材80は、その音響筒Cの軸心Pに直交する断面視において、筒内部側媒体通流部32d、52dと同一形状で、完全に重なる状態で配設される構成例を示したが、別に同一形状でなくても良く、その一部が重なる状態(本明細書にあっては重畳する状態という)であれば、本願の目的は良好に達成される。
つまり、当該別実施形態においては、流域断面積調整部材21、61は、多角錐形状となり、筒状軸心部材80は、多角柱形状となる。
(6)上記実施形態にあっては、筒外径側媒体通流部32bと筒内部側媒体通流部32dとの間を架橋する形態で、複数の伝熱フィン33を備える構成を示したが、当該伝熱フィン33を設けない構成を採用しても構わない。
当該伝熱フィン33を設けない構成を採用する場合には、例えば、筒外径側媒体通流部32bと筒内部側媒体通流部32dとを連通接続する第1連通部32c及び第2連通部32eを、複数設ける構成を採用し、熱交換媒体と作動媒体との熱交換効率を高めることが好ましい。
(7)上記実施形態において、筒状軸心部材80は、開孔81、82を有し、内部に作動流体が流入するように構成されている例を示した。
しかしながら、当該筒状軸心部材80は、開孔81、82を有さない気密な内部空間を有する中空筒形状の部材から構成しておも構わない。この場合、筒状軸心部材80の内部には、加熱部30側と冷却部50側との熱的な短絡を回避する観点から、断熱性を有するガスを充填するか、又は真空にすることが好ましい。
(8)上記実施形態では、音波エネルギは、電力として取り出す形態について例示したが、別に冷熱として取り出す形態を採用しても構わない。
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
本発明の熱音響機関は、加熱部及び冷却部における熱交換媒体と作動媒体との熱交換効率を高め得る構成を採用しつつも、音響筒の筒全長に亘って、作動媒体の流域断面積の大幅な変化を防止して、効率向上を図ることができる熱音響機関として、有効に利用可能である。
10 :共鳴部
11 :共鳴用音響筒
20 :加熱部側拡径部
21 :流域断面積調整部材
22 :頭頂点
30 :加熱部
31 :加熱用音響筒
32a :高温媒体流入部
32b :筒外径側媒体通流部
32d :筒内部側媒体通流部
32f :高温媒体流出部
33 :伝熱フィン
40 :再生部
50 :冷却部
51 :冷却用音響筒
52 :頭頂点
52b :筒外径側媒体通流部
52d :筒内部側媒体通流部
53 :伝熱フィン
60 :冷却部側拡径部
61 :流域断面積調整部材
70 :共鳴部
71 :共鳴用音響筒
80 :筒状軸心部材
81、82:開孔
100 :熱音響機関
C :音響筒
CW :低温媒体
HW :高温媒体
P :軸心
α :拡大角度

Claims (8)

  1. 作動媒体が充填され音波が伝播する音響筒に、前記作動媒体を外部から加熱する加熱部と前記作動媒体を外部から冷却する冷却部と前記加熱部と前記冷却部との間で音波を増幅する再生部とから成る原動機を少なくとも1つ以上設け、
    前記加熱部を構成する加熱用音響筒及び前記冷却部を構成する冷却用音響筒の内径を、前記原動機以外の共鳴部を構成する共鳴用音響筒の内径よりも大径に構成し、
    前記共鳴用音響筒と前記加熱用音響筒との間を、前記共鳴用音響筒から前記加熱用音響筒へ向けて徐々に拡径して両者を接続する加熱部側拡径部を備えると共に、前記共鳴用音響筒と前記冷却用音響筒との間を、前記共鳴用音響筒から前記冷却用音響筒へ向けて徐々に拡径して両者を接続する冷却部側拡径部を備えた熱音響機関であって、
    前記加熱部及び前記冷却部は、前記加熱用音響筒及び前記冷却用音響筒の筒外径部に前記作動媒体と熱交換する熱交換媒体を通流する筒外径側媒体通流部と、前記加熱用音響筒及び前記冷却用音響筒の筒内部に前記熱交換媒体を通流する筒内部側媒体通流部とを備え、
    前記加熱部側拡径部及び前記冷却部側拡径部の夫々には、前記共鳴用音響筒側から隣接する前記加熱用音響筒側又は前記冷却用音響筒側の夫々へ向けて徐々に拡径して延びる流域断面積調整部材を備え、
    前記流域断面積調整部材の夫々は、大径側の端部が、前記音響筒の軸心に直交する断面視において、隣接する前記加熱用音響筒又は前記冷却用音響筒が有する前記筒内部側媒体通流部に重畳する状態で備えられている熱音響機関。
  2. 前記加熱部及び前記冷却部は、前記筒外径側媒体通流部と前記筒内部側媒体通流部とを架橋する状態で配設される複数の伝熱フィンを備えている請求項1に記載の熱音響機関。
  3. 前記筒内部側媒体通流部は、前記音響筒の軸心に直交する断面視において、前記加熱用音響筒及び前記冷却用音響筒の筒中央部位に配設され、
    複数の前記伝熱フィンは、前記音響筒の軸心に直交する断面視において、前記筒内部側媒体通流部から前記筒外径側媒体通流部へ向けて放射状に延びる状態で配設されている請求項2に記載の熱音響機関。
  4. 前記再生部には、前記音響筒の軸心に直交する断面視において前記筒内部側媒体通流部に重畳する状態で、前記再生部を構成する再生用音響筒の一端から他端まで軸心方向に延びる筒状軸心部材を備えている請求項1〜3の何れか一項に記載の熱音響機関。
  5. 前記筒状軸心部材は、中空筒形状であり、その内部に断熱性ガスが充填されている請求項4に記載の熱音響機関。
  6. 前記筒状軸心部材は、自身の外部と内部とを連通する開孔が形成されており、前記内部に前記音響筒から前記作動媒体が前記断熱性ガスとして流入可能に構成されている請求項5に記載の熱音響機関。
  7. 前記流域断面積調整部材は、円錐形状又は多角錐形状であり、底面が前記加熱部側又は前記冷却部側に向けられると共に、頭頂点が前記共鳴部側に向けられる状態で配設され、
    前記頭頂点は、前記共鳴用音響筒と前記加熱部側拡径部又は前記冷却部側拡径部との境界部位の近傍に位置する状態で設けられている請求項1〜6の何れか一項に記載の熱音響機関。
  8. 前記加熱部側拡径部に設けられる前記流域断面積調整部材の前記頭頂点は、前記共鳴用音響筒と前記加熱部側拡径部との境界部位を基準位置として、前記加熱部側拡径部の側へ前記共鳴用音響筒の筒径の12%の長さ引退した位置から、前記共鳴用音響筒の側へ前記共鳴用音響筒の筒径の13%の長さ突出した位置までの間に位置すると共に、
    前記冷却部側拡径部に設けられる前記流域断面積調整部材の前記頭頂点は、前記共鳴用音響筒と前記冷却部側拡径部との境界部位を基準位置として、前記冷却部側拡径部の側へ前記共鳴用音響筒の筒径の12%の長さ引退した位置から、前記共鳴用音響筒の側へ前記共鳴用音響筒の筒径の13%の長さ突出した位置までの間に位置すると共に、
    前記加熱部側拡径部及び前記冷却部側拡径部の夫々は、円錐台形状であり、前記音響筒の軸心方向に沿う断面視において、拡大角度が18°以下に設定されている請求項7に記載の熱音響機関。
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