JP2013234820A - 熱音響機関 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱音響機関10は、熱エネルギを音響エネルギに変換する原動機12が設けられた第一ループ管11と、原動機12で変換した音響エネルギを熱エネルギに変換する受動機15,16が設けられた第二ループ管14と、第一ループ管および第二ループ管を連通する連結直管17とを備えている。この熱音響機関は、第二ループ管の一端14aおよび他端14b間のループ長さがLに設定され、一端から他端に向けて音響エネルギが伝播されるように一端および他端が連結直管に連通されている。さらに、第二ループ管のうち、一端から他端に向けてL×(0.6〜1)離れた部位に受動機が設けられている。
【選択図】図1
Description
第一ループ管および第二ループ管を連結直管で連通することにより、第一ループ管、第二ループ管および連結直管で共鳴管が形成され、共鳴管の内部に気体(作動流体)が封入される(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1の熱音響機関は、第一ループ管および第二ループ管の二つのループ管を備えることにより、いわゆるダブルループ型の熱音響機関という。
さらに、受動機は、高温熱源との熱交換をおこなう高温熱交換器と、低温熱源との熱交換をおこなう低温熱交換器とを備えている。
一方、受動機の低温熱交換器を、例えば環境温度に保つことにより、受動機の高温熱交換器を加熱して熱が得られ、得られた熱を利用して暖房などをおこなうことができる。
このため、冷熱量や加熱量を効率よく回収するための工夫が要求され、この観点から改良の余地が残されていた。
これにより、音響エネルギ(音波)を受動機に効率よく伝播できるので、受動機から冷熱量や加熱量を効率よく得る(回収する)ことができる。
ここで、連結直管から第二ループ管の一端に伝播された音響振動(音波)は他端に向けて伝播されるので、第二ループ管の一端側は他端側より音響エネルギ(音波)の速度振幅が大きい。
これにより、音響エネルギ(音波)を受動機に効率よく伝播できるので、受動機から冷熱量や加熱量を効率よく得る(回収する)ことができる。
図1に示すように、熱音響機関10は、ループ状に形成された第一ループ管11と、第一ループ管11に設けられた原動機12と、ループ状に形成された第二ループ管14と、第二ループ管14に設けられた上流側受動機(受動機)15および下流側受動機(受動機)16と、第一ループ管11および第二ループ管14を連通する連結直管17とを備えている。
すなわち、熱音響機関10は、第一ループ管11および第二ループ管14の二つのループ管を備えた、いわゆるダブルループ型の熱音響機関である。
第一ループ管11の右縦管24に原動機12が設けられている。
この原動機12は、右縦管24の内部に収納されたスタック26と、スタック26の下端に設けられた高温熱交換器27と、スタック26の上端に設けられた低温熱交換器28とを備えている。
高温熱交換器27は、例えば、内燃機関の廃熱を供給可能な熱源31に連通されている。
また、低温熱交換器28は、冷却水を供給可能な冷却水供給源33に連通されている。
この第二ループ管14は、第二ループ管14の軸線上において、第二ループ管14の一端14aおよび他端14b間のループ長さがL=1500mmに設定されている。
第二ループ管14の左縦管43に上流側受動機15および下流側受動機16が設けられている。
この上流側受動機15は、左縦管43の内部に収納された上流側スタック46と、上流側スタック46の上端に設けられた上流側高温熱交換器47と、上流側スタック46の下端に設けられた上流側低温熱交換器48とを備えている。
多数枚のメッシュ薄板49が積層されることにより、左縦管43の軸方向に沿わせた多数の上流側微少流路(流路)51が形成されている。
上流側微少流路51は、上端および下端が左縦管43の内部に連通されている(図2参照)。
ここで、上流側微少流路51の流路断面積S1を、便宜上、メッシュ格子寸法に基づいて、0.21mm2(0.46mm×0.46mm)と現す。
よって、上流側受動機15が第二ループ管14の一端14a側に設けられ、下流側受動機16が第二ループ管14の他端14b側に設けられている。
上流側受動機15および下流側受動機16間に距離Aを確保する理由については図6で詳しく説明する。
ここで、ループ長さL=1500mmである。
よって、配置位置45は1500×(0.6〜1)=900〜1500mmであり、左縦管43に位置する。
これにより、第二ループ管14の一端14aから60〜100%離れた900〜1500mmの位置が配置位置45となる。
上流側受動機15および下流側受動機16の配置位置45をL×(0.6〜1)に設定した理由については図5で詳しく説明する。
この下流側受動機16は、左縦管43の内部に収納された下流側スタック66と、下流側スタック66の上端に設けられた下流側高温熱交換器67と、下流側スタック66の下端に設けられた下流側低温熱交換器68とを備えている。
多数枚のメッシュ薄板69が積層されることにより、左縦管43の軸方向に沿わせた多数の下流側微少流路(流路)71が形成されている。
下流側微少流路71は、上端および下端が左縦管43の内部に連通されている。
ここで、下流側微少流路71の流路断面積S2を、便宜上、メッシュ格子寸法に基づいて、0.03mm2(0.178mm×0.178mm)と現す。
よって、第二ループ管14の他端14b側に設けられた下流側微少流路71の流路断面積S2より、第二ループ管14の一端14a側に設けられた上流側微少流路51の流路断面積S1が大きく設定されている。
下流側微少流路71の流路断面積S2より上流側微少流路51の流路断面積S1を大きく設定した理由については図7で詳しく説明する。
第一ループ管11、第二ループ管14および連結直管17で共鳴管18が形成されている。この共鳴管18の内部に、窒素、ヘリウム、アルゴンやヘリウムおよびアルゴンの混合ガスなどの気体(不活性ガス、作動流体)58が封入されている。
また、第二ループ管14の一端14aは、連結直管17の軸線方向の上方に、軸線方向に対して交差する方向を向いて連通されている。
よって、連結直管17に伝播された音響振動(音波)は、第二ループ管14の一端14aを経て他端14bに向けて矢印Aの如く伝播される。
これにより、スタック26が発振して右縦管24内の気体58が自励振動を起こす。気体58が自励振動を起こすことにより、第一ループ管11内に音響振動(音波)が発生し、発生した音波が連結直管17および第二ループ管14を経て上流側受動機15に伝播する。
よって、上流側受動機15に音波が伝播されることにより、上流側スタック46が振動し、上流側低温熱交換器48が冷却される。
この状態で、下流側受動機16の下流側高温熱交換器67が、低温熱交換器28から導かれた冷却水で冷却されている。
よって、下流側受動機16に音波が伝播されることにより、下流側スタック66が振動し、下流側低温熱交換器68が冷却される。
このように、2つの受動機(すなわち、上流側受動機15および下流側受動機16)で冷凍部53を冷却することにより、冷凍部53を十分に冷却することが可能になる。
これにより、コージェネレーション装置60が本来備えている内燃機関の廃熱を回収して室内暖房などに利用する機能に加えて、冷却機能を備えることが可能になり使い勝手の向上を図ることができる。
これにより、第一ループ管11の原動機12と、第二ループ管14の上流側受動機15および下流側受動機16を二つに分けて分離できるので用途の拡大を図ることができる。
図5は、上流側受動機15および下流側受動機16から回収可能な冷熱量と下流側受動機16の配置位置との関係を説明するグラフである。
縦軸に冷熱量(W)を示し、横軸に受動機の配置位置(mm)を示す。
グラフG1は1つの受動機の配置位置と冷熱量との関係を示す。
グラフG1に示すように、1つの受動機を配置位置45(900〜1500mm)に設けた状態において受動機から180Wの冷熱量を回収することが可能である。
よって、グラフG2に示すように、下流側受動機16を配置位置1020〜1500mmに設けた状態において2つの受動機15,16から180Wを超える冷熱量を回収することが可能である。
配置位置1000mmは配置位置1020mmの近傍である。
これにより、2つの受動機(上流側受動機15および下流側受動機16)を配置位置45(900〜1500mm)の範囲に設けることにより、1つの受動機に比べて冷熱量を効率よく得る(回収する)ことができる。
よって、上流側受動機15および下流側受動機16を一端14aから他端14bに向けてL×(0.6〜1)離れた配置位置45に設けることにより音波の伝播を各受動機15,16で抑制しないようにできる。
そこで、実施例において、上流側受動機15および下流側受動機16を一端14aから他端14bに向けてL×(0.6〜1)離れた配置位置45に設けるように設定した。
よって、上流側受動機15および下流側受動機16を他端14bに近づけることにより熱音響機関10の性能を高めることができる。
図6は、上流側受動機15および下流側受動機16から回収可能な冷熱量と上流側受動機15および下流側受動機16間の距離Aとの関係を説明するグラフである。
縦軸に冷熱量(W)を示し、横軸に上流側受動機15および下流側受動機16間の距離A(mm)を示す。
グラフG3は1つの受動機から回収可能な冷熱量を示す。
グラフG3に示すように、第二ループ管14に1つの受動機を設けた状態において受動機から180Wの冷熱量を回収することが可能である。
グラフG4に示すように、2つの受動機15,16の配置位置45に上流側受動機15および下流側受動機16を設けることにより2つの受動機15,16から180Wを超える冷熱量を回収することが可能である。
さらに、グラフG4に示すように、上流側受動機15および下流側受動機16間の距離Aが200mmのとき、270Wの冷熱量を回収することが可能である。
また、上流側受動機15および下流側受動機16間の距離Aが100mmのとき、310Wの冷熱量を回収することが可能である。
そこで、上流側受動機15および下流側受動機16間の距離Aを、好ましくは200mm以内に小さく設定した。
このように、上流側受動機15および下流側受動機16間の距離Aを小さくすることにより熱音響機関10の性能を高めることができる。
図7は、上流側受動機15および下流側受動機16から回収可能な冷熱量と上流側受動機15の流路断面積S1との関係を説明するグラフである。
縦軸に冷熱量(W)を示し、横軸に上流側受動機15の流路断面積S1を示す。
グラフG5は1つの受動機から回収可能な冷熱量を示す。1つの受動機の微少流路(流路)を形成するメッシュ薄板のサイズは80メッシュである。
グラフG5に示すように、1つの受動機の微少流路を80メッシュの薄板で形成することにより受動機から180Wの冷熱量を回収することが可能である。
グラフG6において、上流側受動機15および下流側受動機16間の距離Aは200mmである。また、下流側受動機16の微少流路71(図4参照)は80メッシュの薄板で形成されている。
すなわち、上流側受動機15の微少流路51を60メッシュや40メッシュの薄板で形成することにより、上流側微少流路51の流路断面積S1を下流側微少流路71の流路断面積S2より大きくできる。
よって、速度振幅が大きな部位に流路断面積S1の大きな上流側受動機15を設けることができるので、音響エネルギ(音波)の伝播を上流側受動機15で抑制する虞がない。
これにより、音響エネルギ(音波)で下流側受動機16から冷熱量を得る(回収する)ことができる。
そこで、実施例において、下流側受動機16の微少流路71を80メッシュ、上流側受動機15の微少流路51を40メッシュとして、下流側受動機16の流路断面積S2より上流側受動機15の流路断面積S1を大きく設定した。
例えば、前記実施例では、複数の受動機として上流側受動機15および下流側受動機16の2個の受動機を設けた例について説明したが、これに限らないで、3個以上の受動機を設けることも可能である。
具体的には、図1に示す上流側受動機15の上流側低温熱交換器48や下流側受動機16の下流側低温熱交換器68を、例えば環境温度に保つことにより、上流側受動機15の上流側高温熱交換器47や下流側受動機16の下流側高温熱交換器67を加熱して熱を得る(回収する)ことができる。得られた熱を利用して暖房などをおこなうことができる。
Claims (2)
- 熱エネルギを音響エネルギに変換する原動機が設けられた第一ループ管と、
前記原動機で変換した音響エネルギを熱エネルギに変換する受動機が設けられた第二ループ管と、
前記第一ループ管および前記第二ループ管を連通する連結直管と、を備えた熱音響機関において、
前記第二ループ管の一端および他端間のループ長さがLに設定され、
前記一端から前記他端に向けて前記音響エネルギが伝播されるように前記一端および前記他端が前記連結直管に連通され、
前記第二ループ管のうち、前記一端から前記他端に向けてL×(0.6〜1)離れた部位に前記受動機が設けられたことを特徴とする熱音響機関。 - 前記受動機が前記第二ループ管に複数設けられ、
複数の受動機は、それぞれ前記第二ループ管に沿わせた流路が設けられ、
複数の受動機のうち、前記他端側の受動機に設けられた流路の流路断面積より、前記一端側の受動機に設けられた流路の流路断面積を大きくしたことを特徴とする請求項1記載の熱音響機関。
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