JP4522191B2 - 熱音響装置 - Google Patents

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Description

本発明は、熱音響効果を利用して対象物を冷却し、若しくは、加熱しうる熱音響装置に関するものであり、より詳しくは、スタックにおける熱交換の効率性を向上させるようにした熱音響装置に関するものである。
音響効果を利用した熱交換装置の従来技術に関しては下記の特許文献1や非特許文献1に記載されるようなものなどが存在する。
特許文献1に記載される装置は、熱音響効果を利用した冷却装置に関するものであり、ヘリウムやアルゴン、若しくはこれらの混合ガスを封入したループ管の内部に、高温側熱交換器及び低温側熱交換器に挟まれた第一のスタックと、高温側熱交換器及び低温側熱交換器に挟まれた蓄冷器とを設け、第一のスタック側の高温側熱交換器を加熱することによって自励による定在波及び進行波を生じさせ、蓄冷器側の低温側熱交換器を冷却するようにしたものである。
また、非特許文献1にも同様に、熱音響効果を利用した冷却装置の実験的検討が開示されている。この実験に用いられる冷却装置も、内部にヘリウムやアルゴン、若しくはこれらの混合ガスを封入したループ管と、ヒーター(高温側熱交換器)及び低温側熱交換器とに挟まれた第一のスタックと、この第一のスタックの対向する位置に設けられた第二のスタックとを設けて構成したもので、第一のスタック側に設けられたヒーター(高温側熱交換器)を加熱するとともに、低温側熱交換器に水道水を循環させることによって第一のスタック内に温度勾配を発生させ、この温度勾配と逆方向に発生する自励の音波によって、第二のスタック側を冷却するようにしたものである。この文献によれば、所定の条件のもと、温度計が設けられる部分で約16℃の温度低下が確認されている。
特開2000−88378号公報 坂本眞一、村上和宏、渡辺好章 著「熱音響効果を用いた音響冷却現象の実験的検討」社団法人 電子情報通信学会 信学技報 TECHNICAL REPORT OF IEICE. US2002-118(2003-02)
ところで、このような冷却装置において、効率良く温度を下げるためには、定在波及び進行波を迅速に発生させ、また、スタックの導通路内において効率良く熱交換をさせる必要がある。
これに対して、本願の発明者は、特願2004−091686号において、定在波及び進行波を迅速に発生させることに関し、種類の異なるガスを注入する方法を提案している。このガスの注入方法は、あらかじめループ管内にヘリウムガスを封入しておき、自励による定在波及び進行波を発生させた後に、アルゴンガスを注入するようにしたものである。この方法によれば、音速が速く、プラントル数も小さく、比重も小さいヘリウムガスを先に封入しているので、迅速に定在波及び進行波を発生させることができ、更に、定在波及び進行波を発生させた後に、音速が遅く、プラントル数も大きく、比重も大きいアルゴンをループ管内に注入していくので、スタック内における熱交換の効率性を向上させることができるようになる。
更に、本願の発明者は、同特許出願において、スタックの形状に関する提案も行っている。このスタックは、中心から外側に向かって内径を大きくした導通路や、同様に中心から外側に向かって内径を小さくした導通路を有するものであり、また、微小の球状セラミクスを多数敷き詰めて導通路を蛇行させるようにしたものである。
これらの研究を進めた結果、本願発明者は、次のようなことを判明するに至った。
すなわち、ループ管内に封入される作動流体の粘性が高い場合、スタックの導通路内に存在する作動流体の粘性境界層が厚くなってしまい、迅速に定在波及び進行波を発生させることができず、また、また、粘性による音エネルギーの損失が大きくなる。一方、音エネルギーから熱エネルギーへの変換は、導通路内に存在する作動流体の膨張や収縮などによって行われるわけであるが、この熱交換を行う際、熱境界層の厚みが薄いと、壁面との間で大きな熱交換を行うことができない。
そこで、本発明は、このような熱境界層や粘性境界層の厚さ、定在波及び進行波の発生時間、音エネルギーの損失、スタック内における熱交換の効率性などを考慮して、最も熱交換に効率の良い熱音響装置を提供することを目的とするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、ループ管の内部に、第一高温側熱交換器と第一低温側熱交換器に挟まれた第一のスタックと、第二高温側熱交換器と第二低温側熱交換器に挟まれた第二のスタックとを具備してなり、第一のスタックに温度勾配を生じさせることによって自励の音波を発生させ、当該音波によって前記第二低温側熱交換器を冷却し、又は/及び、前記第二高温側熱交換器を加熱する熱音響装置であって、前記第一のスタック、又は/及び、第二のスタックの導通路内に形成される熱境界層が導通路全体を覆っていない場合、導通路内における粘性境界層が導通路の半径を超えない範囲で熱境界層の厚さδ α から粘性境界層の厚さδ ν を引いた差が最大となるように、ループ管の長さ、作動流体の状態、導通路の径のうち少なくとも一つを設定したものである。
このように構成すれば、導通路内における熱境界層の厚さが大きくなるように設定されているので、熱境界層内に蓄えられている熱量、すなわち、壁面に対して熱交換を行うことのできる熱量を大きくすることができ、第二のスタック側をより大きく冷却、もしくは、より大きく加熱することができるようになる。また、粘性境界層が薄くなるように設定されているので、迅速に定在波及び進行波を発生させることができ、また、粘性による音エネルギーの損失を減少させることができるようになる。さらに、粘性境界層の厚みを導通路の半径よりも小さくすることによって、自励による音波が自然と二波長の定在波及び進行波の状態に遷移してしまうことを防止することができる。また、導通路全体を熱境界層が覆っていないことに対する熱交換量の不足を、定在波及び進行波の発生時間の短縮化や音エネルギーの損失低減で補うことができるようになる。
また、別の発明では、ループ管内の作動流体の状態を調整する調整手段を設けるようにする。
このように構成すれば、既に設置されているループ管の長さを変更することなく、また、既にループ管内に取り付けられているスタックを取り外して再度導通路の径の異なるスタックを取り付ける必要がなくなり、簡単に熱境界層や粘性境界層の厚みを設定することができるようになる。
このような作動流体の状態を調整する方法としては、ループ管の管部をオーバーラップさせた状態でスライドさせる伸縮機構を採用することができる。
また、別の方法としては、ループ管に接続された気体注入装置によって作動流体の圧力を変化させる方法も採用することができる。
さらには、自励による音波が発生した後、熱境界層を厚くするように圧力を設定することもできる。
本発明によれば、導通路内における熱境界層の厚さが大きくなるように設定されているので、熱境界層内に蓄えられている熱量、すなわち、壁面に対して熱交換を行うことのできる熱量を大きくすることができ、第二のスタック側をより大きく冷却、もしくは、より大きく加熱することができるようになる。また、粘性境界層が薄くなるように設定されているので、迅速に定在波及び進行波を発生させることができ、また、粘性による音エネルギーの損失を減少させることができるようになる。さらに、粘性境界層の厚みを導通路の半径よりも小さくすることによって、自励による音波が自然と二波長の定在波及び進行波の状態に遷移してしまうことを防止することができる。また、導通路全体を熱境界層が覆っていないことに対する熱交換量の不足を、定在波及び進行波の発生時間の短縮化や音エネルギーの損失低減で補うことができるようになる。
以下、本発明に係る熱音響装置における一実施の形態について図面を参照しながら説明する。
この実施の形態における熱音響装置1は、図1に示すように、全体として略長方形状に構成されたループ管2の内部に、第一高温側熱交換器4及び第一低温側熱交換器5に挟まれた第一のスタック3aと、第二高温側熱交換器6及び第二低温側熱交換器7に挟まれた第二のスタック3bとを具備してなるもので、第一のスタック3a側の第一高温側熱交換器4を加熱することによって第一低温側熱交換器5との間の熱の移動方向と反対方向に自励による定在波及び進行波を発生させ、この定在波及び進行波を第二のスタック3b側へ伝搬させ、第二のスタック3b側でその進行方向と反対側に熱を移動させて第二低温側熱交換器7を冷却させるようにしたものである。そして、この実施の形態では、図2に示すように、第一のスタック3a及び第二のスタック3bの導通路30内に形成される熱境界層30αの厚さδαを大きく、かつ、粘性境界層30νの厚さδνを小さくするようにして熱交換の効率性を向上させるようにしている。この境界層30α、30νの厚さδα、δνを設定する方法としては、ループ管2の全体の長さLを変える方法や、そのループ管2内に封入される作動流体の物理的性質を変える方法、また、スタック3a、3bの導通路30の半径R(導通路30が円形でない場合は、対向する壁面との距離の1/2)を変える方法などがある。以下に、熱音響装置1の構成、及び、各境界層30α、30νの厚さδα、δνを設定する方法などについて詳細に説明する。
この熱音響装置1を構成するループ管2は、地面から起立した状態(好ましくは、鉛直状)に設けられる一対の直線管部2aと、これら直線管部2aを連結する連結管部2bとを具備して構成される。これらの直線管部2aや連結管部2bは、金属製のパイプで構成されるが、これに限らず、透明なガラス、もしくは樹脂などによって構成することもできる。透明なガラスや樹脂などの材料で構成した場合は、第一のスタック3aや第二のスタック3bの位置、管内の状況を容易に観察することができる。また、直線管部2aの長さは、連結管部2bの長さよりも長く設定される。このように直線管部2aを長くすることによってループ管2内の暖気と冷気の逃げ場所を確保し、第一のスタック3a及び第二のスタック3b内の温度勾配を大きくすることができ、迅速に第一のスタック3aから自励の音波を発生させることができる。
そして、このループ管2の内部には、ヘリウム、アルゴン、ヘリウムとアルゴンの混合気体や、空気などの作動流体が封入される。これらの作動流体は、粘性による損失を防止する場合には比較的プラントル数の小さな気体(例えば、ヘリウム)が使用され、また、熱交換や熱伝導の効率を向上させる場合には比較的プラントル数の大きな気体(例えば、アルゴン)が使用される。更に、粘性による損失を防止するとともに熱交換の効率性を向上させる場合は、音波の発生しやすい第一の作動流体を封入した状態で定在波及び進行波を発生させ、その後、熱交換に効率性の良い第二の作動流体を注入すると良い。このように第二の作動流体を注入する場合、ループ管2に気体注入装置9を接続しておき、この気体注入装置9から最適な圧力となるように気体を注入していく。この圧力としては、0.01MPa〜5.0MPaとなるように設定される。
一方、ループ管2内に設けられる第一のスタック3a及び第二のスタック3bは、ループ管2の内側に接するように円柱状に構成され、その長手方向に沿って直線状の導通路30を有するように構成される。この導通路30は、断面形状が正方形状、ハニカム形状、円形となっており、その導通路30内に存在する作動流体との間で効率よく熱交換を行えるように構成される。図2では、正方形状の断面を有するスタックの例を示している。
この導通路30内に形成される作動流体の熱境界層30α及び粘性境界層30νとの関係については、一般に式1及び式2のように表される。
δα=(2α/ω)1/2・・・(式1)
δν=(2ν/ω)1/2・・・(式2)
ここで、αは熱拡散率、νは動粘性率、ωは角周波数であってループ管2内に発生する定在波及び進行波の周波数をfとした場合に「ω=2πf」で表されるものである。
これらの境界層のうち、熱境界層30αは、スタック3a・3bの壁面の境界条件(作動流体の温度=壁面温度)を満たし、その領域内でのみ壁面との間で熱交換を行いうる層状の領域である。すなわち、熱境界層30α以外の領域(図2における白い矩形領域)では壁面に対して全く影響を与えず、熱交換も行われない。このため、この熱境界層30αを厚くすれば壁面との間で交換しうる熱量が大きくなる。
一方、粘性境界層30νは、粘性の影響を無視できる外側の主流領域との間に形成される速度勾配の大きな層状の領域である。この粘性境界層30ν内においては、壁面での境界条件(速度=0)に大きく影響され、粘性境界層30νの外側領域に比べて速度が遅くなる。このため、粘性境界層30νの厚みδνが大きくなると、定在波及び進行波が発生しにくくなり、また、音エネルギーの損失が大きくなる。
このため、スタック3a・3bにおける熱交換の効率性を向上させるためには、導通路30内に存在する熱境界層30αの厚みを大きくして、熱交換量を大きくする、一方、粘性境界層30νの厚みを小さくして、定在波及び進行波を迅速に発生させ、また、音エネルギーの損失を低減させる必要がある。すなわち、
δα→max & δν→min・・・(式3)
の条件に近づけるように、ループ管2の長さL、作動流体の状態、導通路30の半径Rを設定する必要がある。以下に、各設定方法について説明する。
<ループ管2の長さを設定する場合>
ループ管2の長さLを変化させると、式1・式2におけるωが変化する。なぜなら、ループ管2の長さLが変化した場合、ループ管2内に発生する定在波及び進行波の周波数fが変化するからである。このため、式3の条件を満たすようにループ管2の長さLを設定する。このループ管2の長さLを各種変更した場合における各境界層30α、30νの厚みδα、δνの変化を図3に示す。図3a(上図)はループ管2の長さLを変化させた場合の各境界層30α、30νの厚みδα、δνを示したものであり、管内に一波長の定在波及び進行波が存在しているとした場合の計算値を示したものである。一方、図3b(下図)は計測によって得られた各境界層30α、30νの厚みδα、δνを示したものである。図3a、図3bにおいて横軸はループ管2の長さLを示しており、縦軸は、各境界層30α、30νの厚みδα、δνを示している。また、図中の太い破線は、導通路30の半径Rを示しており、この半径Rを超える境界層30α、30νの厚みδα、δν部分は、実質的に導通路30全体を境界層30α、30νが覆っていることを示している。図3aの計算値においては、すべての管長さLで導通路30全体を熱境界層30αが覆っており、また、管長さL=2500mmを超える状態においては、すべての管長さLで導通路30全体を粘性境界層30νが覆っている。このため、図3aにおいては、粘性境界層30νの厚みの最も小さい管長さL=1900mmに設定するのが良い。
ところが、図3bに示す計測値では、管長さL=1900mmの部分だけ一波長の定在波及び進行波の計算値と一致しており、それ以外の部分では、計算値とは異なる。これは、粘性境界層30νが導通路30のすべてを覆ってしまうと定在波及び進行波が発生せず、自然と二波長の定在波及び進行波の状態に推移するからである。このため、この計測値によれば、熱境界層30αの厚みδαの最も大きい部分である管長さL<2000mmもしくは、管長さL<3600mmの範囲内であって、粘性境界層30νの厚みδνの最も小さい部分(管長さL=2050mm、又は、管長さL=3600mm)に設定するのが良い。
このように図3a、図3bのように一波長時における計算値と計測値との値は異なるが、粘性境界層30νの厚みδνが導通路30の半径Rを超える場合は、定在波及び進行波の波長を一つずつ増やして再計算を行い、その計算値に基づいてループ管2の長さLを設定すると、それぞれ同じ値を得ることができる。
このようにループ管2の長さLを各種変化させる場合、対向する直線管部2aもしくは連結管部2bをオーバーラップさせてスライドさせるような伸縮機構(図示せず)を設けておき、この伸縮機構によって自由にループ管2の長さLを変化させるようにすると良い。更に、このようにループ管2の長さLを変化させた場合、管内の圧力が変化するため、ループ管2に気体注入装置9を接続しておき、この気体注入装置9から適宜ループ管2の長さ変化に対応した量の気体を注入すると良い。
<作動流体の状態を設定する場合>
次に、作動流体の状態を設定する方法について説明する。作動流体の種類や圧力などを変化させると、式1・式2における熱伝導率α、動粘性率νが変化する。このため、式3の条件を満たすように作動流体の状態、すなわち、種類、混合率、圧力などを設定する。この作動流体の状態を設定する方法のうち、圧力のみを変化させた場合における各境界層30α、30νの厚みδα、δνの変化を図4及び図5に示す。図4はアルゴンを封入した状態における各ループ管2の長さ毎の粘性境界層30νの厚みδνを示したものである。また、図5は、同様にアルゴンを封入した状態における各ループ管2の長さ毎の熱境界層30αの厚みδαを示したものである。図4及び図5において、横軸は作動流体の圧力P(MPa)を示し、縦軸は、各境界層の厚み(mm)を示している。また、図中の太い破線は、導通路30の半径Rを示しており、図5における半径Rを超える熱境界層30αの厚み部分は、実質的に導通路30のすべてを熱境界層30αが覆っていることを示している。
このような状況において圧力を設定する場合についての効率の良い種々の条件を示す。まず、第一の条件として、熱境界層30αの厚さδαが導通路30の半径Rを超えるように作動流体の圧力を設定する。図5においては、L=1900mmでP<0.13Mpa、L=3270mmでP<0.2Mpa、L=3970mmでP<0.24MPaの範囲内で導通路30の半径Rを超えているので、この範囲内で圧力を設定する。このようにすれば、定在波及び進行波の発生が遅れたとしても、音波の発生した後においては、大きな熱交換を行うことができ、より第二のスタック3b側を大きく冷却することができる。また、第二の条件としては、粘性境界層30νの厚さδνが最も小さくなるように作動流体の圧力を設定する。このようにすれば、粘性境界層30νの厚さδνが小さくなるので、迅速に音波を発生させることができ、第二のスタック3b側の冷却開始時間を短縮化することができるようになるとともに、音エネルギーの伝搬の損失を低減させることができるようになる。図4においては、いずれの管長さLにおいてもP=0.5Mpaに設定すれば良い。また、第三の条件としては、熱境界層30αと粘性境界層30νの厚みの差(|δα−δν|)が最も大きくなるように圧力を設定する。このようにすれば、音波の発生時間の短縮化、音エネルギーの損失低減、熱交換量の大きさのすべてをバランス良く得ることができる。これらの条件は、使用環境に応じて適宜選択するのが良く、また、これとは別に、当初に音波の発生しやすい圧力に設定しておき、音波が発生した後においては、気体注入装置9などを用いて熱境界層30αを厚くするように圧力を設定しても良い。
<スタックの導通路30の半径を設定する場合>
次に、スタックの導通路30の半径Rを設定する場合について説明する。スタックの導通路30の半径Rは、式1及び式2のパラメータに含まれていないが、実質的には、粘性境界層30νの厚さδνが導通路30の半径Rを超えた場合、二波長の定在波及び進行波に推移するため、各境界層30α、30νの厚みδα、δνが変化する。このため、熱境界層30αを厚くするように、かつ、粘性境界層30νを薄くするように導通路30の半径Rを設定する。例えば、図3aにおいて、半径Rを大きくすれば、粘性境界層30νの厚みδνが半径Rを超えなくなるため、計測値(図3b)における各境界層30α、30νの厚みは一波長時における境界層30α、30νの計算値(図3a)と一致する。このため、熱境界層30αの厚さδαが大きくなるように導通路30の半径Rを設定するとともに、粘性境界層30νの厚さδνも小さくなるように導通路30の半径Rを設定する。この場合も同様に、第一の条件と同様に、熱境界層30αの厚みδαが導通路30の半径Rを超えるように、すなわち、熱境界層が最も厚い状態となるように導通路30の半径Rを設定し、熱交換量を大きくする。また、これとは別に、第二の条件と同様に、粘性境界層30νの厚さδνが最も小さくなるように導通路30の半径Rを設定して、迅速に音波を発生させ、また、音エネルギーの損失を低減させるようにする。また、第三の条件と同様に、熱境界層30αと粘性境界層30νの厚みの差(|δα−δν|)が最も大きくなるように圧力を設定し、音波の発生時間の短縮化、音エネルギーの損失低減、熱交換量の大きさのすべてをバランス良く得るようにする。なお、この導通路30については、第一のスタック2aと第二のスタック2bを同じ半径Rを有するように設定しても良く、もしくは、第一のスタック2aと第二のスタック2bの半径Rを互いに異なるようにしても良い。
このように上記実施の形態によれば、ループ管2の内部に、第一高温側熱交換器4と第一低温側熱交換器5に挟まれた第一のスタック3aと、第二高温側熱交換器6と第二低温側熱交換器7に挟まれた第二のスタック3bとを具備してなり、第一のスタック3aに温度勾配を生じさせることによって自励の音波を発生させ、当該音波によって前記第二低温側熱交換器7を冷却する熱音響装置1であって、前記第一のスタック3aや第二のスタック3bの導通路30内における粘性境界層が導通路の半径を超えない範囲で、熱境界層30αの厚さδ α から粘性境界層の厚さδ ν を引いた差が最大となるように、ループ管2の長さL、作動流体の状態、導通路30の半径Rのうち少なくとも一つを設定したので、熱境界層30α内に蓄えられている大きな熱量を交換することで、第二のスタック3b側をより大きく冷却することができ、もしくは、迅速に定在波及び進行波を発生させ、また、音エネルギーの損失を低減させることができるようになる。さらに、粘性境界層の厚みを導通路の半径よりも小さくすることによって、自励による音波が自然と二波長の定在波及び進行波の状態に遷移してしまうことを防止することができる。また、導通路全体を熱境界層が覆っていないことに対する熱交換量の不足を、定在波及び進行波の発生時間の短縮化や音エネルギーの損失低減で補うことができるようになる。
また、ループ管2の長さを調整する伸縮機構やループ管内の作動流体の状態を調整する気体注入装置9を設けるようにしたので、既に設置されているループ管2の長さを変更することなく、また、既にループ管2内に取り付けられているスタック3a、3bを取り外して再度導通路30の半径Rの異なるスタック3a、3bを取り付ける必要がなくなり、簡単に熱境界層30αや粘性境界層30νの厚みδα、δνを設定することができるようになる。
そして、自励による音波が発生した後に、気体注入装置9を用いて熱境界層を厚くするように圧力を設定した場合は、当初に音波の発生しやすい状態にすることができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく種々の態様で実施することができる。
例えば、上記実施の形態では、第一のスタック3a側を加熱し、第二のスタック3b側を冷却するようにしているが、これとは逆に、第一のスタック3a側を冷却し、第二のスタック3b側を加熱するようにしても良い。
また、上記実施の形態では、作動流体の状態を設定する方法として、圧力を変化させる場合について説明したが、圧力だけに限らず、気体注入装置9から異なる種類の作動流体を注入することによって熱伝導率α、動粘性率νを変化させるようにしても良い。
更に、上記実施の形態では、熱境界層30αの厚みδαを最も大きく、また、粘性境界層30νの厚みδνを最も小さくするように導通路30の半径R、ループ管2の長さL、作動流体の状態を設定するようにしているが、これらの設定値については、使用時における各種の外乱要因に対応すべく、最適値に対して前後20%の範囲内で設定するようにしても良い。
また、上記実施の形態では、自励による音波によって第二のスタック3b側を冷却するようにしているが、自励に限らず、スピーカーや振動装置などによって強制的に定在波を発生させるようにしても良い。
次に、上記実施の形態に関する実験を行った結果を示す。ループ管2の長をL=3.27m、スタックの導通路30の半径をR=0.35mmとし、また、ヘリウムとアルゴンを4:3の割合で混合した状態の作動流体をP=1.5MPaで封入した場合、第二のスタック3b側では39℃の低下を確認することができた。
本発明の一実施の形態を示す熱音響装置の概略図 スタックの導通路内における境界層の状態を示す図 ループ管の長さと各境界層の厚みとの関係を示す図 作動流体の圧力と粘性境界層の厚みとの関係を示す図 作動流体の圧力と熱境界層の厚みとの関係を示す図
符号の説明
1・・・熱音響装置
2・・・ループ管
2a・・・直線管部
2b・・・連結管部
3a・・・第一のスタック
3b・・・第二のスタック
4・・・第一高温側熱交換器
5・・・第一低温側熱交換器
6・・・第二高温側熱交換器
7・・・第二低温側熱交換器
9・・・気体注入装置
30・・・導通路
30ν・・・粘性境界層
30α・・・熱境界層

Claims (5)

  1. ループ管の内部に、第一高温側熱交換器と第一低温側熱交換器に挟まれた第一のスタックと、第二高温側熱交換器と第二低温側熱交換器に挟まれた第二のスタックとを具備してなり、第一のスタックに温度勾配を生じさせることによって自励の音波を発生させ、当該音波によって前記第二低温側熱交換器を冷却し、又は/及び、前記第二高温側熱交換器を加熱する熱音響装置であって、
    前記第一のスタック、又は/及び、第二のスタックの導通路内に形成される熱境界層が導通路全体を覆っていない場合、導通路内における粘性境界層が導通路の半径を超えない範囲で熱境界層の厚さδ α から粘性境界層の厚さδ ν を引いた差が最大となるように、ループ管の長さ、作動流体の状態、導通路の径のうち少なくとも一つを設定したことを特徴とする熱音響装置。
  2. ループ管内の作動流体の状態を調整する調整手段を設けた請求項に記載の熱音響装置。
  3. 前記調整手段が、ループ管の管部をオーバーラップさせた状態でスライドさせる伸縮機構によって構成されるものである請求項2に記載の熱音響装置。
  4. 前記調整手段が、ループ管に接続された気体注入装置によって作動流体の圧力を変化させるものである請求項2に記載の熱音響装置。
  5. 前記調整手段が、自励による音波が発生した後、熱境界層を厚くするように圧力を設定するものである請求項2に記載の熱音響装置。
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