JP6410493B2 - 浸透性スタンプ - Google Patents
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Description
特に可逆熱変色性スタンプ用インキ組成物を用いたインキでは、特許文献2に記載されているように、可逆熱変色性組成物を内包させたマイクロカプセル顔料を用いることから顔料が大きくなり、捺印時における押圧力が印字体に十分に掛からないで、紙面に塗布した印像が薄くなってしまう場合があった。
「1.連続気泡を有する多孔質熱可塑性樹脂で形成した印字体にインキを含浸させてスタンプ本体の前方に装着した浸透性スタンプであって、前記印字体の側面に前記インキが流出しないようシール部を形成し、前記印字体の表面に部分的なシール部を設けて印面を形成し、前記スタンプ本体の前方に前記印字体を装着させる装着凹部を形成し、前記装着凹部の中央に円環状の円環凸部を突設すると共に、前記円環凸部と同じ高さで該円環凸部の外側面と前記装着凹部の内側面とを連接する複数の起立壁を放射状に突設し、前記複数の起立壁に、前記円環凸部の外側面から外方へ向かって漸次拡幅する拡幅部を前記装着凹部の内側面と離隔して形成し、前記印字体を前記スタンプ本体の装着凹部に該印字体の裏面が該装着凹部の円環凸部および起立壁に当接するよう装着させることにより、捺印時において、前記印字体を前記スタンプ本体の円環凸部の前端面および起立壁の前端面で押圧し、前記印字体に含浸させたインキを該印字体の表面に設けたシール部の隙間から流出させて紙面へ塗布し、圧縮された前記印字体の裏面より流出したインキを前記円環凸部の内側に形成された孔部および前記複数の起立壁の間に形成された複数の放射状の溝部に一時収容させることを特徴とする浸透性スタンプ。」である。
さらに装着凹部の底面には、円環凸部と同じ高さで該円環凸部の外側面と装着凹部の内側面とを連接する複数の起立壁を放射状に突設してあることから、印面の中央以外の周辺も起立壁の前端面で印字体を押圧して、印面の中央以外の周辺も印像を明確に紙面へ形成することが可能となる。また、放射状に形成した起立壁の間には複数の放射状の溝部を形成することから、捺印時において印字体が圧縮された際には、印字体の裏面から複数の溝部にインキが流出して、印字体の印面の中央の周辺からインキが過剰に流出してしまうことを防止することができる。
装着凹部の孔部や複数の溝部に一時収容されたインキは、印字体が圧縮から解放された後に、印字体の裏面より再び印字体に含浸される。尚、孔部や複数の溝部が互いに区分けされることにより、一時収容されたインキは印字体から流出した位置に戻ることとなり、印字体に対してインキが偏って含浸されてしまうことがない。
また、放射状に形成する起立壁の数は、特に限定されるものではなく、装着凹部の大きさに応じて形成すればよい。
特に、前記印像の変化は、熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包させることで、組成変化を生じることなく長期間安定して発現できるものとなる。
マイクロカプセル顔料に内包される熱変色性組成物としては、繰り返しの使用性、温度変化の正確性等の点から、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物が好適である。
さらに、特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報、特開平8−39936号公報等に記載されている比較的大きなヒステリシス特性(ΔH=8〜50℃)を示すものも適用できる。
前記樹脂エマルションとしては、ポリアクリル酸エステル、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、α−オレフィン−マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリウレタン等の水分散体が挙げられ、前記アルカリ可溶性樹脂としては、スチレン−マレイン酸共重合体、エチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられ、前記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等を挙げることができ、一種又は二種以上を混合して用いることができる。
さらに、N−アルキル−2−ピロリドンとアニオン系界面活性剤の混合物、ポリビニルアルコールとアクリル系樹脂の混合物等、剪断減粘性を示す化合物を添加して印像の固着性や粘度調整を行うこともできる。
前記pH調整剤としては、アンモニア、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、トリエタノールアミンやジエタノールアミン等の水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等が挙げられる。
前記防腐剤或いは防黴剤としては、石炭酸、1、2−ベンズイソチアゾリン−3−オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等が挙げられる。
その他、溶剤の浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤やノニオン、アニオン、カチオン系界面活性剤、ジメチルポリシロキサン等の消泡剤を添加することもできる。
浸透性スタンプ1は、PP樹脂(ポリプロピレン)で成形したスタンプ本体2の前方開口2aに形成した円形状の装着凹部20に、印面3aを有し浸透材であるEVA樹脂(エチレン・酢酸ビニル共重合体)で成形した印字体3の後方部3bを装着し、スタンプ本体2の後方開口2bに、SEBS樹脂(スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)で成形した摩擦体4の前方部4aを装着してある。また、スタンプ本体2の前方には円筒部2cを設け、その後方に形成した角筒部2dにキャップ5を着脱できるようにしてある。
摩擦体4は、後端面4bに凹部4cを形成してあり、凹部4cの表面に前記音譜と同様の図柄6aを印刷した紙製のラベル6を粘着材(図示せず)で貼着してある。
また、円環凸部21の前端面21b、起立壁22の前端面22a、拡幅部24の前端面24aは同じ高さで平らに形成してあり、各前端に接着剤を塗布して印字体3の接着が行われる。尚、本実施例では、起立壁22に拡幅部24を形成してあることから、装着凹部20に印字体3を接着する際の接着面が広くなって、接着強度を高めることができた。
図7と図8は浸透性スタンプの捺印時における印字体の裏面側で生じるインキの流れを模式的に示しており、図7は装着凹部20に形成した起立壁22の位置であり、図8は起立壁22の間に形成した溝部25の位置である。
印字体3が圧縮した際には、図7Aおよび図8Aで示すように、印字体3に含浸された中央のインキ(図示せず)が矢印Sの方向へ流出して、装着凹部20に形成した孔部23に一時収容され、図8Aで示すように、印字体3に含浸された中央以外の周辺のインキ(図示せず)が矢印Tの方向へ流出して、装着凹部20に形成した溝部25に一時収容される。
また、捺印した後に印字体3を紙面100から離すと、印字体3が圧縮された状態から解放され、図7Bおよび図8Bで示すように、装着凹部20の孔部23に一時収容されたインキ(図示せず)が矢印S’の方向へ戻って印字体3の中央に再び含浸され、図8Bで示すように、装着凹部20の溝部25に一時収容されたインキ(図示せず)が矢印T’の方向へ戻って印字体3の中央以外の周辺に再び含浸される。
また、捺印時において印字体3が圧縮された際には、印字体3の裏面から装着凹部20に形成した孔部23および溝部25にインキが一時収容されるので、印字体3の印面3aの中央およびそれ以外の周辺からもインキが過剰に流出することはなく、印像101は滲むことがなかった。
2…スタンプ本体、2a…前方開口、2b…後方開口、
2c…円筒部、2d…角筒部、
20…装着凹部、20a…内側面、
21…円環凸部、21a…外側面、21b…前端、
22…起立壁、22a…前端、
23…孔部、24…拡幅部、24a…前端、
25…溝部、26…外溝部、
3…印字体、3a…印面、3b…後方部、
3c…音符の図柄、30…シール部、31…シール部、
4…摩擦体、4a…前方部、4b…後端面、4c…凹部、
5…キャップ、6…ラベル、6a…図柄、
100…紙面、101…印像。
Claims (1)
- 連続気泡を有する多孔質熱可塑性樹脂で形成した印字体にインキを含浸させてスタンプ本体の前方に装着した浸透性スタンプであって、前記印字体の側面に前記インキが流出しないようシール部を形成し、前記印字体の表面に部分的なシール部を設けて印面を形成し、前記スタンプ本体の前方に前記印字体を装着させる装着凹部を形成し、前記装着凹部の中央に円環状の円環凸部を突設すると共に、前記円環凸部と同じ高さで該円環凸部の外側面と前記装着凹部の内側面とを連接する複数の起立壁を放射状に突設し、前記複数の起立壁に、前記円環凸部の外側面から外方へ向かって漸次拡幅する拡幅部を前記装着凹部の内側面と離隔して形成し、前記印字体を前記スタンプ本体の装着凹部に該印字体の裏面が該装着凹部の円環凸部および起立壁に当接するよう装着させることにより、捺印時において、前記印字体を前記スタンプ本体の円環凸部の前端面および起立壁の前端面で押圧し、前記印字体に含浸させたインキを該印字体の表面に設けたシール部の隙間から流出させて紙面へ塗布し、圧縮された前記印字体の裏面より流出したインキを前記円環凸部の内側に形成された孔部および前記複数の起立壁の間に形成された複数の放射状の溝部に一時収容させることを特徴とする浸透性スタンプ。
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