JP6410185B2 - シラン含有ガス又はシラン含有廃液の燃焼方法及び燃焼装置 - Google Patents
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ここに、シランとは、SiH4(モノシラン)、Si2H6(ジシラン)、Si(CH3O)4(テトラメトキシシラン)のようにSi、H、Oの化合物だけでなく、SiH2Cl2(ジクロロシラン)のようにClを含有した化合物も指称するものである。
特に、特許文献1のように、シラン含有ガスの吹き出し流路を主バーナーに組み込むと、優に1000℃を超える火炎中にシラン含有ガスを噴出することになるので、シラン中の珪素(Si)と酸素(O2)または水蒸気(H2O)と反応して生成した二酸化珪素(SiO2)が溶融または焼結して、炉内壁やノズルに付着し、ノズルの閉塞を招く、あるいは炉内壁への堆積によっては燃焼が安定しない、または炉内の閉塞などの問題を招くことを知見した。
(1)炉壁に複数の開孔を設け、炉壁全体から炉内に向けて空気を供給し炉壁表面温度を溶融及び焼結温度以下として付着、閉塞を防止する。
(2)炉壁に水冷ジャケットの設置、炉壁全体から炉内へ空気を供給することで炉壁表面温度(燃焼炉の内部を構成する鋼材の表面温度)を溶融及び焼結温度以下として付着、閉塞を防止する。
本発明は、シラン含有ガスの場合とシラン含有廃液の場合がある。
燃焼炉の上部に、下向きに燃料と燃焼空気による燃焼バーナーを設け、
それより下方の位置に、前記燃焼炉の周方向に複数配置された吹出しノズルを設け、これらの吹出しノズルは、その中心側から外方側に向けて、シラン含有ガス又はシラン含有廃液の流路、不活性ガス流路、燃焼空気流路を有しており、
前記燃焼バーナーによって生成される火炎の下端より下方位置に、前記吹出しノズルの各流路から各流体を吹出し、
前記燃焼バーナーによって生成される火炎の中心線と、前記吹出しノズルの吹出し指向線との交点より下方の温度を1000℃未満、850℃以上とする、ものである。
加えて、シラン含有ガス又はシラン含有廃液は燃焼バーナーの火炎に供給することなく、燃焼バーナーの火炎より下方に供給する。
また、本発明によれば、燃焼炉の構造を複雑にすることなく燃焼状態を制御することにより、二酸化珪素(SiO2)の溶融または焼結によりノズルや炉内壁への付着、閉塞を防止することができる。
かかる多重管構造の吹出しノズルは、前述のように、シラン含有ガス又はシラン含有廃液の流れを、不活性ガスの流れによって包むことができる。
この操作としては、吹き出しノズルから供給される不活性ガス、燃焼空気、シラン含有ガス又はシラン含有廃液の各供給量のうち少なくとも1つを調整する操作を挙げることができる。
炉内下部温度を1000℃未満、850℃以上とするのが好適である。
不活性ガスである窒素および空気による冷却効果、並びに窒素による処理要素の阻害を原因とする燃焼遅延効果により、シラン含有ガス又はシラン含有廃液の燃焼領域を炉下方まで拡大させることができる。
したがって、燃焼バーナー火炎より前方の温度を二酸化珪素(SiO2)が焼結を起こす温度の約1000℃未満に抑制できる。その結果、炉内壁への二酸化珪素(SiO2)の付着を防止することができる。
さらにシラン含有ガス又はシラン含有廃液が高カロリーな場合は、窒素による燃焼遅延効果がより働きバーナー火炎前方の温度より炉下方の温度が高くなる。よって、炉内下部温度器による炉内下部温度に基づく、温度制御のみで二酸化珪素(SiO2)の溶融、焼結防止が行え、ノズル及び炉内壁において二酸化珪素(SiO2)が付着、閉塞することを防止することができる。
また塩素(Cl)を含有するシラン含有ガス又はシラン含有廃液を処理する場合においても、炉壁表面温度を抑制する従来技術ではなく、耐火物を適切な厚みとすることで表面温度を露点腐食温度以上(70〜80℃以上)の温度に維持することができ、鋼材の腐食を防止できる。
燃焼炉と、この燃焼炉の上部に、下向きに設けられた燃料と燃焼空気による燃焼バーナーと、燃焼バーナーの下方に設けられた吹出しノズルとを含み、
前記吹出しノズルは、その中心側から外方側に向けて、シラン含有ガス又はシラン含有廃液の流路、不活性ガス流路、燃焼空気流路を有していることを特徴とするものである。
その燃焼装置によれば、前述の本発明の燃焼方法を達成できる。
シラン含有ガス又はシラン含有廃液の流路の出口に対して、不活性ガス流路の出口が同一か前方に位置しており、並びに前記不活性ガス流路の出口に対して、燃焼空気流路の出口が後方に位置している燃焼装置構成であるのが、より望ましい。
具体的には、シラン中の珪素(Si)が酸素(O2)または水蒸気(H2O)と反応して生成した二酸化珪素(SiO2)が溶融または焼結して炉内壁や吹出しノズルに付着し、付着したものが成長して閉塞することを防止できる。
図1は、本発明のシラン含有ガス又はシラン含有廃液の燃焼方法に使用する燃焼装置の実施形態例を示すものである。
燃焼炉1は、縦型円筒状炉体5を有し、その頂部中央には燃焼バーナー(たとえばボルテックスバーナー)2が設けられていて、この燃焼バーナー2からはLPG、天然ガス、重油等の燃料Fが燃焼用空気(図示せず)によって下向きに燃焼炉1内に噴射されて燃焼させられるとともに、この燃焼バーナー2の周りの燃焼炉1の肩部には、処理要素(シラン含有ガス又はシラン含有廃液)Gを燃焼炉1内に噴霧する複数の吹出しノズル3が周方向に等間隔に、かつ円筒状をなす燃焼炉1の中心線に向けて斜め下向きに設けられている。
他の実施形態として炉内下部温度検出器Suのみを備えるものでも良い。
なお、多重管構造であるのが、環状筒状のフローを形成するために好適であるが、特に、不活性ガス流路、燃焼空気流路については、環状位置において軸線方向に沿って多数の細管を配置したものでもよい。
不活性ガス(窒素、アルゴンなど)の供給量は、不活性ガス流路の出口Eiでの流速が2〜10m/sec、またはシラン含有ガス又はシラン含有廃液Gの1kgに対して0.3〜6.0Nm3の範囲(すなわち0.3〜6.0Nm3/kg)が望ましい。このように不活性ガスの供給量を所定の範囲とすることで、吹出しノズル3の出口近傍においてシラン含有ガス又はシラン含有廃液と燃焼空気が混合することを防止するとともに、シラン含有廃液と燃焼空気とが混合した場合であっても吹出しノズル3に二酸化珪素が付着することを防止することが可能となる。更に上記記載の供給量を採用することで、不活性ガスがシラン含有ガス又はシラン含有廃液の燃焼遅延要因の一つとなり、燃焼炉上方におけるシラン含有ガス又はシラン含有廃液の燃焼を抑制することになる。
1000℃以上であると、二酸化珪素の焼結又は溶融を生じ、上述の閉塞などを招く。850℃未満であると、未燃成分が生じる可能性がある。
このボルテックスバーナーによる火炎Bの長さLは、燃焼バーナーの径Dに対して実質的に約1.5Dの関係にある。このことを基準に、交点Xを定めることができる。
実施例1及び実施例2は、図2及び図3に示す装置によるものである。
比較例1及び比較例2は、実施例1及び実施例2に対して、その不活性ガス流路に空気を流した空気を流した例である。結果を表1に示す。
Claims (7)
- シラン含有ガス又はシラン含有廃液を燃焼炉に供給して燃焼する方法において、
燃焼炉の上部に、下向きに燃料と燃焼空気による燃焼バーナーを設け、
それより下方の位置に、前記燃焼炉の周方向に複数配置された吹出しノズルを設け、これらの吹出しノズルは、その中心側から外方側に向けて、シラン含有ガス又はシラン含有廃液の流路、不活性ガス流路、燃焼空気流路を有しており、
前記燃焼バーナーによって生成される火炎の下端より下方位置に、前記吹出しノズルの各流路から各流体を吹出し、
前記燃焼バーナーによって生成される火炎の中心線と、前記吹出しノズルの吹出し指向線との交点より下方の温度を1000℃未満、850℃以上とする、
ことを特徴とするシラン含有ガス又はシラン含有廃液の燃焼方法。 - 前記不活性ガス流路の出口での不活性ガスの流速を2〜10m/sec、またはシラン含有ガス又はシラン含有廃液1kgに対して0.3〜6.0Nm3の範囲とする請求項1記載のシラン含有ガス又はシラン含有廃液の燃焼方法。
- 前記燃焼バーナーによって生成される火炎の中心線と、前記吹出しノズルの吹出し指向線との交点より下方に位置し、燃焼炉の垂直方向に異なる2点のうち、上方位置の炉内上部温度に対して下方位置において前記炉内上部温度より高い燃焼温度または炉内上部温度が、二酸化珪素(SiO2)が溶融または焼結する温度以下でシラン含有ガス又はシラン含有廃液を燃焼処理することを特徴とする請求項1または2記載のシラン含有ガス又はシラン含有廃液の燃焼方法。
- 前記上方位置に設けた上部温度検出器による炉内上部温度に対して、前記下方位置に設けた炉内下部温度検出器による炉内下部温度が高くなる操作を行う請求項1記載のシラン含有ガス又はシラン含有廃液の燃焼方法。
- 上記操作が、吹き出しノズルから供給される不活性ガス、燃焼空気、シラン含有ガス又はシラン含有廃液の各供給量のうち少なくとも1つを調整する操作であることを特徴とする請求項4記載のシラン含有ガス又はシラン含有廃液の燃焼方法。
- 前記シラン含有ガス又はシラン含有廃液の高位発熱量が0kJ/kg以上46,000kJ/kg以下であって、前記炉内下方温度が850℃以上、1000℃未満となるよう、吹き出しノズルから供給される不活性ガス、燃焼空気、シラン含有ガス又はシラン含有廃液の各供給量のうち少なくとも1つを制御することを特徴とする請求項5記載のシラン含有ガス又はシラン含有廃液の燃焼方法。
- シラン含有ガス又はシラン含有廃液を燃焼炉に供給して燃焼する装置であって、
燃焼炉と、この燃焼炉の上部に、下向きに設けられた燃料と燃焼空気による燃焼バーナーと、燃焼バーナーの下方に設けられた吹出しノズルとを含み、
前記吹出しノズルは多重管構造を有し、その中心側から外方側に向けて、シラン含有ガス又はシラン含有廃液の流路、不活性ガス流路、燃焼空気流路とされ、
シラン含有ガス又はシラン含有廃液の流路の出口に対して、不活性ガス流路の出口が同一か前方に位置しており、並びに前記不活性ガス流路の出口に対して、燃焼空気流路の出口が後方に位置している、
ことを特徴とするシラン含有ガス又はシラン含有廃液の燃焼装置。
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