JP6409470B2 - スポット溶接方法 - Google Patents
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Description
(1) 複数枚の鋼板を重ね合わせてスポット溶接するスポット溶接方法であって、
前記複数枚の鋼板のうち少なくとも1枚の鋼板は、引張強度が750〜2500MPaの高強度鋼板であり、
前記高強度鋼板の下記(A)式で表される炭素当量Ceqは、0.20〜0.55質量%であり、
前記重ね合わせた複数枚の鋼板を、溶接電極により、下記(B)式を満たす加圧力FE(N)で加圧した状態で、本溶接電流IW(kA)を前記溶接電極に通電して溶融部を形成する本溶接を行う工程と、
前記本溶接を行う工程が終了した後、
下記(B)式を満たす加圧力FE(N)を保持して、下記(C)式を満たす冷却時間tS(msec)、通電を休止し鋼板を冷却して前記溶融部に凝固域を形成し、その後つづけて、下記(D)式を満たす後通電電流IP(kA)を、下記(E)式を満たす後通電時間tP(msec)、前記溶接電極に通電して、前記凝固域が再溶融しないように後通電する1回目の冷却・後通電を行う工程と、
1回目の冷却・後通電を行う工程が終了した後、下記(B)式を満たす加圧力F E (N)を保持して、下記(C)式を満たす冷却時間t S (msec)通電を休止し、その後つづけて、下記(D)式を満たす後通電電流I P (kA)を、下記(E)式を満たす後通電時間t P (msec)通電して、前記凝固域が再溶融しないように後通電する冷却・後通電を行う工程を1又は2回以上繰り返す工程と、
前記繰り返す工程が終了した後、
前記(B)式を満たす加圧力FE(N)を、下記(F)式を満たす保持時間tH(msec)保持した後、前記加圧力FE(N)での加圧を解放する工程と、
を有することを特徴とするスポット溶接方法。
Ceq=[C]+[Si]/30+[Mn]/20+2[P]+4[S] ・・・(A)
1960×h≦FE≦3920×h ・・・(B)
1≦tS≦300 ・・・(C)
0.6×IW≦IP <IW ・・・(D)
1≦tP≦500 ・・・(E)
0≦tH≦300 ・・・(F)
前記(A)式における[C]、[Si]、[Mn]、[P]、及び[S]は、それぞれC、Si、Mn、P、及びSの各含有量(質量%)であり、前記(B)式におけるhは、前記鋼板の板厚(mm)である。
(2)複数枚の鋼板を重ね合わせてスポット溶接するスポット溶接方法であって、
前記複数枚の鋼板のうち少なくとも1枚の鋼板は、引張強度が750〜2500MPaの高強度鋼板であり、
前記高強度鋼板の下記(A)式で表される炭素当量Ceqは、0.20〜0.55質量%であり、
前記重ね合わせた複数枚の鋼板を、溶接電極により、下記(B)式を満たす加圧力FE(N)で加圧した状態で、下記(C)式を満たす前通電電流If(kA)を、下記(D)式を満たす前通電時間tf(msec)、前記溶接電極に通電する前通電を行う工程と、
前記前通電を行う工程が終了した後、
下記(B)式を満たす加圧力FE(N)を保持して、下記(E)式を満たす前通電後冷却時間tC(msec)、前記複数枚の鋼板を冷却する前通電後冷却を行う工程と、
前記前通電後冷却を行う工程が終了した後、
下記(B)式を満たす加圧力FE(N)を保持して、本溶接電流IW(kA)を前記溶接電極に通電して溶融部を形成する本溶接を行う工程と、
前記本溶接を行う工程が終了した後、
下記(B)式を満たす加圧力FE(N)を保持して、下記(F)式を満たす冷却時間tS(msec)、通電を休止し鋼板を冷却して前記溶融部に凝固域を形成し、その後つづけて、下記(G)式を満たす後通電電流IP(kA)を、下記(H)式を満たす後通電時間tP(msec)、前記溶接電極に通電して、前記凝固域が再溶融しないように後通電する1回目の冷却・後通電を行う工程と、
1回目の冷却・後通電を行う工程が終了した後、下記(B)式を満たす加圧力F E (N)を保持して、下記(F)式を満たす冷却時間t S (msec)通電を休止し、その後つづけて、下記(G)式を満たす後通電電流I P (kA)を、下記(H)式を満たす後通電時間t P (msec)通電して、前記凝固域が再溶融しないように後通電する冷却・後通電を行う工程を1又は2回以上繰り返す工程と、
前記繰り返す工程が終了した後、
前記(B)式を満たす加圧力FE(N)を、下記(I)式を満たす保持時間tH(msec)保持した後、前記加圧力FE(N)での加圧を解放する工程と、
を有することを特徴とするスポット溶接方法。
Ceq=[C]+[Si]/30+[Mn]/20+2[P]+4[S] ・・・(A)
1960×h≦FE≦3920×h ・・・(B)
0.40×IW≦If<IW ・・・(C)
20≦tf ・・・(D)
0≦tC<≦250 ・・・(E)
1≦tS≦300 ・・・(F)
0.6×IW≦IP <IW ・・・(G)
1≦tP≦500 ・・・(H)
0≦tH≦300 ・・・(I)
前記(A)式における[C]、[Si]、[Mn]、[P]、及び[S]は、それぞれC、Si、Mn、P、及びSの各含有量(質量%)であり、前記(B)式におけるhは、前記鋼板の板厚(mm)である。
まず、スポット溶接に使用する鋼板について説明する。
鋼種は特に限定されない。例えば、2相組織型(例えば、フェライト中にマルテンサイトを含む組織、フェライト中にベイナイトを含む組織)、加工誘起変態型(フェライト中に残留オーステナイトを含む組織)、焼入れ型(マルテンサイト組織)、微細結晶型(フェライト主体組織)等、何れの型の鋼種でもよい。
複数枚重ね合せた鋼板のうち少なくとも1枚の鋼板(高強度鋼板)の引張強度は、750〜2500MPaとする。通常、高強度鋼板の引張強度が増加するほど、高い継手強度が必要である。スポット溶接継手の十字引張力(CTS)は、590〜780MPa級鋼板では、鋼板の強度に比例して増加するが、780MPa以上の強度の鋼板では、減少する。
高強度鋼板の板厚は特に限定されない。例えば、自動車の車体等に一般に用いられている高強度鋼板の板厚(0.5mm〜3.2mm)程度であればよい。ただし、高強度鋼板の板厚の増加に伴ってナゲットの周囲での応力集中が増加するので、高強度鋼板の板厚は2.6mm以下が好ましい。
高強度鋼板の、以下の(1)式で表される炭素当量Ceqは、0.20〜0.55質量%の範囲とする。炭素当量Ceqが0.20質量%未満では、引張強度が、前述した高強度鋼板の引張強度の下限値である750MPa以上の引張強度が得られない。一方、炭素当量Ceqが0.55質量%超では、引張強度が、前述した高強度鋼板の引張強度の上限値である2500MPaを超えるので、好ましくない。高強度鋼板と重ね合せる鋼板のCeqは、どのような値でもよい。
Ceq=[C]+[Si]/30+[Mn]/20+2[P]+4[S] ・・・(1)
[C]、[Si]、[Mn]、[P]、及び[S]は、それぞれC、Si、Mn、P、及びSの各含有量(質量%)である。
前述した高強度鋼板の引張強度(750MPa〜2500MPa)を確保できる成分組成を選択すればよい。スポット溶接後の鋼部材が、主として、自動車分野等で使用されることを考慮すれば、高強度鋼板の成分組成は、以下の成分組成が好ましい。なお、以下において、「%」は「質量%」を意味する。
Cは、鋼の引張強度を高める元素である。鋼中のCの含有量が多いほど、ナゲットの強度を高めることができる。しかし、鋼中のCの含有量が0.07%未満であると、750MPa以上の引張強度を得ることが難しい。一方、鋼中のCの含有量が0.45%を超えると、高強度鋼板の加工性が低下する。したがって、高強度鋼板のCの含有量は、0.07〜0.45%が好ましい。
Siは、固溶強化及び組織強化により、鋼の強度を高める元素である。しかし、鋼中のSiの含有量が2.50%を超えると、鋼の加工性が低下する。一方、鋼中のSiの含有量を工業的に0.001%未満に低減することは技術的に難しい。したがって、高強度鋼板のSiの含有量は、0.001%〜2.50%が好ましい。
Mnは、鋼の強度を高める元素である。しかし、鋼中のMnの含有量が5.0%を超えると、鋼の加工性が劣化する。一方、鋼中のMnの含有量が0.8%未満であると、750MPa以上の引張強度を得るのが難しい。したがって、高強度鋼板のMnの含有量は、0.8〜5.0%が好ましい。
Pは、ナゲットを脆化する元素である。鋼中のPの含有量が0.03%を超えると、ナゲット内の割れが生じ易くなり、十分に高い継手強度を得ることが難しい。したがって、高強度鋼板のPの含有量は、0.03%以下が好ましい。なお、鋼中のPの含有量を0.001%未満に低減することは、コストの点で、好ましくない。したがって、高強度鋼板のPの含有量は、0.001%以上が好ましい。ただし、高強度鋼板のPの含有量を、0.001%未満にしてもよい。
Sは、ナゲットを脆化する元素である。また、Sは、Mnと結合して粗大なMnSを形成し、鋼の加工性を阻害する元素である。鋼中のSの含有量が0.01%を超えると、ナゲット内の割れが生じ易くなることにより、十分に高い継手強度を得ることが難しくなる。さらに、鋼の加工性が低下する。したがって、高強度鋼板のSの含有量は、0.01%以下が好ましい。なお、鋼中のSの含有量を0.0001%未満に低減することは、コストの点で、好ましくない。したがって、高強度鋼板のSの含有量は、0.0001%以上が好ましい。ただし、高強度鋼板のSの含有量を、0.0001%未満にしてもよい。
Nは、粗大な窒化物を形成し、鋼の加工性を劣化させる元素である。また、Nは、溶接時のブローホールの発生原因になる元素である。鋼中のNの含有量が0.01%を超えると、鋼の加工性の劣化やブローホールの発生が顕著となる。したがって、高強度鋼板のNの含有量は、0.01%以下が好ましい。なお、鋼中のNの含有量を0.0005%未満に低減することは、コストの点で、好ましくない。したがって、高強度鋼板のNの含有量は、0.0005%以上が好ましい。ただし、高強度鋼板のNの含有量を、0.0005%未満にしてもよい。
Oは、酸化物を形成し、鋼の加工性を劣化させる元素である。鋼中のOの含有量が0.01%を超えると、鋼の加工性の劣化が顕著となる。したがって、高強度鋼板のOの含有量は0.01%以下が好ましい。なお、高強度鋼板のOの含有量を0.0005%未満に低減することは、コストの点で、好ましくない。したがって、高強度鋼板のOの含有量は、0.0005%以上が好ましい。ただし、高強度鋼板のOの含有量を、0.0005%未満にしてもよい。
Alは、フェライト安定化元素であり、ベイナイト変態時のセメンタイト析出抑制等の効果がある。このため、鋼組織の制御のために含有されている。また、Alは脱酸材としても機能する。その一方で、Alは酸化しやすい。Alの含有量が1.00%を超えていると、介在物が増加することにより、鋼の加工性が劣化しやすくなる。したがって、高強度鋼板のAlの含有量は、1.00%以下であることが好ましい。
Ti、Nb、及び、Vは、析出強化と、フェライト結晶粒の成長の抑制による細粒強化と、再結晶の抑制による転位強化と、の少なくとも何れか1つにより、鋼の強度の上昇に寄与する元素である。しかし、いずれの元素も、鋼中の含有量が0.005%未満であると、添加効果が発現し難い。一方、鋼中の含有量が0.20%を超えると、鋼の加工性を阻害する。したがって、高強度鋼板におけるこれらの元素の含有量は、いずれも、0.005〜0.20%が好ましい。
Bは、鋼組織を制御して鋼を強化する元素である。しかし、鋼中のBの含有量が0.0001%未満であると、添加効果が発現し難い。一方、鋼中のBの含有量が0.01%を超えると、添加効果が飽和する。したがって、高強度鋼板のBの含有量は、0.0001〜0.01%が好ましい。
Ni:0.01〜2.0%
Cu:0.01〜2.0%
Mo:0.01〜0.8%
Cr、Ni、Cu、及びMoは、鋼の強度の向上に寄与する元素である。これらの元素は、例えば、Mn(強度向上元素)の一部に代えて用いることができる。しかし、いずれの元素も、鋼中の含有量が0.01%未満であると、強度の向上に寄与しない。
Ca、Ce、Mg、及びREM(rare earth metal)は、脱酸後の酸化物の大きさや、熱延鋼板中に存在する硫化物の大きさを小さくして、鋼の加工性の向上に寄与する元素である。しかし、鋼中におけるこれらの元素の含有量が合計で0.0001%未満であると、添加効果が発現し難い。一方、鋼中におけるこれらの元素の含有量が合計で1.0%を超えると、鋼の加工性が低下する。したがって、高強度鋼板におけるこれらの元素の含有量は、合計で、0.0001〜1.0%が好ましい。
高強度鋼板の表面にめっき層が形成されていてもよい。さらに、高強度鋼板と重ね合わせる鋼板の表面にめっき層が形成されていてもよい。めっき層の種類は、例えば、Zn系、Zn−Fe系、Zn−Ni系、Zn−Al系、Zn−Mg系、Pb−Sn系、Sn−Zn系、Al-Si系等が挙げられる。
まず、スポット溶接方法の例1を説明する。
図1は、スポット溶接を開始する際の、少なくとも1枚の高強度鋼板を含む2枚の鋼板と溶接電極の配置の一例を示す図である。図1に示すように、鋼板1A、1Bを、板面が互いに向き合うように重ね合わせる。重ね合わせられた鋼板1A、1Bを、上下から溶接電極2A、2Bで挟み、所要の加圧力を加えて、溶接電極2A、2Bを通電する。
まず、電流値が本溶接電流IW(kA)になるまで、電流値を0(ゼロ)から漸増(アップスロープ)させる。そして、電流値を本溶接電流IW(kA)にして本溶接を行う。
重ね合わせた複数枚の鋼板を、溶接電極2A及び2Bにより、以下の(2)式を満たす加圧力FEで加圧しながら、本溶接電流IWを通電する。
1960×h≦FE≦3920×h ・・・(2)
h:鋼板の板厚(mm)
以上の加圧力FEで鋼板1A、1Bを加圧しながら、溶接電極2A、2Bに、本溶接電流IWを通電し、本溶接を行う。本溶接電流IW及び本溶接時間(本溶接電流IWを流している時間)は特に限定されない。従来、所要の大きさのナゲットを安定して得るのに採用している溶接電流、通電時間と同程度の溶接電流、通電時間を、本溶接電流IW及び本溶接時間として採用すればよい。
本溶接電流IWを、所定の時間、溶接電極2A、2Bに通電し、当該通電が終了した直後、本溶接のとき(本溶接電流IWを通電しているとき)の加圧力FEをそのまま保持しながら、通電を止める。そして、以下の式(3)を満たす冷却時間tS(msec)、その状態を保持する。これにより、溶融部を、当該溶融部の外周(すなわち溶融部の他の領域との境界)から凝固させて、内側に未凝固域が残る殻状の凝固域を形成する。なお、以下の説明では、溶融部の他の領域との境界を、必要に応じて溶融境界と称する。
1≦tS≦300・・・(3)
本溶接後、(3)式を満たす冷却時間tSが経過して、所要の幅の凝固域5が形成された直後、本溶接のときの加圧力FE(N)を保持して、以下の(4)式を満たす後通電電流IP(kA)を、以下の(5)式を満たす後通電時間tP(msec)、溶接電極2A、2Bに通電し、後通電を行う。
IW:本溶接電流(kA)
1≦tP≦500 ・・・(5)
まず、スポット溶接継手におけるプラグ破断は、熱影響部4で生じる。したがって、プラグ破断強度の差異は、熱影響部4での亀裂の伝搬に対する抵抗力の差、すなわち、熱影響部4の靭性の差に起因すると推定した。そこで、後通電を実施した溶接継手と、後通電を実施していない溶接継手において、熱影響部4の靱性に大きく影響するPとSの濃度分布をFE−EPMAで測定した。
後通電の後、後通電のときの加圧力FEをそのまま保持しながら、通電を止める。そして、(3)式を満たす冷却時間tS(msec)、その状態を保持する。(4)式を満たす後通電電流IP(kA)を、(5)式を満たす後通電時間tP(msec)、溶接電極2A、2Bに通電し、2回目の後通電を行う。すなわち、冷却及び後通電を1又は2回以上繰り返す。
以上の条件で冷却及び後通電を行った後、相互に重ね合わせた鋼板1A、1Bを、溶接電極2A、2Bで、以下の(6)式で規定する保持時間tH(msec)、加圧保持した後、加圧を解放する。
0≦tH≦300 ・・・(6)
0<tH≦300 ・・・(6a)
次に、スポット溶接方法の例2を説明する。スポット溶接方法の例1では、本溶接、冷却及び後通電の繰り返しを行う場合を例に挙げて説明した。これに対し、スポット溶接方法の例2では、前通電を行った後に、本溶接、冷却及び後通電の繰り返しを行う場合を例に挙げて説明する。このように、本例は、例1に対し、前通電が追加されたことが異なる。したがって、本例の説明において、例1と同一の部分については、図1〜図4に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
まず、電流値を前通電電流If(kA)にし、電流値が前通電電流If(kA)の状態を前通電時間tf(msec)保持し、前通電を行う。前通電時間tf(msec)が経過すると、電流値を0(ゼロ)にし、電流値が0(ゼロ)の状態を前通電後冷却時間tC(msec)保持する。前通電後冷却時間tCが経過すると、電流値を本溶接電流IW(kA)にして本溶接を行う。
重ね合わせた複数枚の鋼板を、溶接電極2A及び2Bにより、前記(2)式を満たす加圧力FEで加圧しながら、前通電電流Ifを通電する。前通電においては、隣り合う2枚の鋼板1A、1Bの隙間を抑制するために、重ね合わせた複数枚の鋼板を加圧する。本実施形態では、前通電における加圧力FEの範囲を、本溶接及び後通電における加圧力FEの範囲と同じ範囲にすることにより、作業効率を高めるようにする。
以上の加圧力FEで鋼板1A、1Bを加圧しながら、溶接電極2A、2B間に、以下の(7)式を満たす前通電電流If(kA)を、以下の(8)式を満たす前通電時間tf(msec)、通電し、前通電を行う。
IW:本溶接電流(kA)
20≦tf ・・・(8)
前通電電流Ifを、前通電時間tf、通電し、当該通電が終了した直後、前通電のとき(前通電電流Ifを通電しているとき)の加圧力FEをそのまま保持しながら、通電を止める。そして、以下の(9)式を満たす前通電後冷却時間tC(msec)、その状態を保持する。
0≦tC<250 ・・・(9)
前通電後冷却時間tCが経過した直後、前通電のときの加圧力FEをそのまま保持しながら、溶接電極2A、2B間に、本溶接電流IWを通電し、本溶接を行う。例1で説明したように、本溶接電流IW及び本溶接時間(本溶接電流IWを通電している時間)は特に限定されない。なお、本溶接時間に、前通電のときの加圧力FEをそのまま保持すれば、作業効率上、好ましい。しかしながら、本溶接時間における加圧力FEを、前記(2)式を満たす範囲で、前通電のときの加圧力FEと異ならせてもよい。
本溶接電流IWを、所定の時間、通電し、当該通電が終了した直後、前通電及び本溶接のときの加圧力FEをそのまま保持しながら、通電を止める。そして、前記(3)式を満たす冷却時間tS(msec)、その状態を保持する。
本溶接後、(3)式を満たす冷却時間tSが経過して、所要の幅の凝固域5が形成された直後、本溶接のときの加圧力FE(N)を保持して、(4)式を満たす後通電電流IP(kA)を、(5)式を満たす後通電時間tP(msec)、溶接電極2A、2Bに通電し、後通電を行う。
後通電の後、後通電のときの加圧力FEをそのまま保持しながら、通電を止める。そして、(3)式を満たす冷却時間tS(msec)、その状態を保持する。(4)式を満たす後通電電流IP(kA)を、(5)式を満たす後通電時間tP(msec)、溶接電極2A、2Bに通電し、2回目の後通電を行う。すなわち、冷却及び後通電を1又は2回以上繰り返す。
以上の条件で冷却及び後通電を行った後、相互に重ね合わせた鋼板1A、1Bを、溶接電極2A、2Bで、前記(6)式で規定される保持時間tH(msec)、加圧保持した後、加圧を解放する。
1B 鋼板
2A 溶接電極
2B 溶接電極
3 ナゲット
3a 溶融境界
4 熱影響部
5 凝固域
6 未凝固域
Claims (2)
- 複数枚の鋼板を重ね合わせてスポット溶接するスポット溶接方法であって、
前記複数枚の鋼板のうち少なくとも1枚の鋼板は、引張強度が750〜2500MPaの高強度鋼板であり、
前記高強度鋼板の下記(A)式で表される炭素当量Ceqは、0.20〜0.55質量%であり、
前記重ね合わせた複数枚の鋼板を、溶接電極により、下記(B)式を満たす加圧力FE(N)で加圧した状態で、本溶接電流IW(kA)を前記溶接電極に通電して溶融部を形成する本溶接を行う工程と、
前記本溶接を行う工程が終了した後、
下記(B)式を満たす加圧力FE(N)を保持して、下記(C)式を満たす冷却時間tS(msec)、通電を休止し鋼板を冷却して前記溶融部に凝固域を形成し、その後つづけて、下記(D)式を満たす後通電電流IP(kA)を、下記(E)式を満たす後通電時間tP(msec)、前記溶接電極に通電して、前記凝固域が再溶融しないように後通電する1回目の冷却・後通電を行う工程と、
1回目の冷却・後通電を行う工程が終了した後、下記(B)式を満たす加圧力F E (N)を保持して、下記(C)式を満たす冷却時間t S (msec)通電を休止し、その後つづけて、下記(D)式を満たす後通電電流I P (kA)を、下記(E)式を満たす後通電時間t P (msec)通電して、前記凝固域が再溶融しないように後通電する冷却・後通電を行う工程を1又は2回以上繰り返す工程と、
前記繰り返す工程が終了した後、
前記(B)式を満たす加圧力FE(N)を、下記(F)式を満たす保持時間tH(msec)保持した後、前記加圧力FE(N)での加圧を解放する工程と、
を有することを特徴とするスポット溶接方法。
Ceq=[C]+[Si]/30+[Mn]/20+2[P]+4[S] ・・・(A)
1960×h≦FE≦3920×h ・・・(B)
1≦tS≦300 ・・・(C)
0.6×IW≦IP <IW ・・・(D)
1≦tP≦500 ・・・(E)
0≦tH≦300 ・・・(F)
前記(A)式における[C]、[Si]、[Mn]、[P]、及び[S]は、それぞれC、Si、Mn、P、及びSの各含有量(質量%)であり、前記(B)式におけるhは、前記鋼板の板厚(mm)である。 - 複数枚の鋼板を重ね合わせてスポット溶接するスポット溶接方法であって、
前記複数枚の鋼板のうち少なくとも1枚の鋼板は、引張強度が750〜2500MPaの高強度鋼板であり、
前記高強度鋼板の下記(A)式で表される炭素当量Ceqは、0.20〜0.55質量%であり、
前記重ね合わせた複数枚の鋼板を、溶接電極により、下記(B)式を満たす加圧力FE(N)で加圧した状態で、下記(C)式を満たす前通電電流If(kA)を、下記(D)式を満たす前通電時間tf(msec)、前記溶接電極に通電する前通電を行う工程と、
前記前通電を行う工程が終了した後、
下記(B)式を満たす加圧力FE(N)を保持して、下記(E)式を満たす前通電後冷却時間tC(msec)、前記複数枚の鋼板を冷却する前通電後冷却を行う工程と、
前記前通電後冷却を行う工程が終了した後、
下記(B)式を満たす加圧力FE(N)を保持して、本溶接電流IW(kA)を前記溶接電極に通電して溶融部を形成する本溶接を行う工程と、
前記本溶接を行う工程が終了した後、
下記(B)式を満たす加圧力FE(N)を保持して、下記(F)式を満たす冷却時間tS(msec)、通電を休止し鋼板を冷却して前記溶融部に凝固域を形成し、その後つづけて、下記(G)式を満たす後通電電流IP(kA)を、下記(H)式を満たす後通電時間tP(msec)、前記溶接電極に通電して、前記凝固域が再溶融しないように後通電する1回目の冷却・後通電を行う工程と、
1回目の冷却・後通電を行う工程が終了した後、下記(B)式を満たす加圧力F E (N)を保持して、下記(F)式を満たす冷却時間t S (msec)通電を休止し、その後つづけて、下記(G)式を満たす後通電電流I P (kA)を、下記(H)式を満たす後通電時間t P (msec)通電して、前記凝固域が再溶融しないように後通電する冷却・後通電を行う工程を1又は2回以上繰り返す工程と、
前記繰り返す工程が終了した後、
前記(B)式を満たす加圧力FE(N)を、下記(I)式を満たす保持時間tH(msec)保持した後、前記加圧力FE(N)での加圧を解放する工程と、
を有することを特徴とするスポット溶接方法。
Ceq=[C]+[Si]/30+[Mn]/20+2[P]+4[S] ・・・(A)
1960×h≦FE≦3920×h ・・・(B)
0.40×IW≦If<IW ・・・(C)
20≦tf ・・・(D)
0≦tC<≦250 ・・・(E)
1≦tS≦300 ・・・(F)
0.6×IW≦IP <IW ・・・(G)
1≦tP≦500 ・・・(H)
0≦tH≦300 ・・・(I)
前記(A)式における[C]、[Si]、[Mn]、[P]、及び[S]は、それぞれC、Si、Mn、P、及びSの各含有量(質量%)であり、前記(B)式におけるhは、前記鋼板の板厚(mm)である。
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