JP2016068142A - スポット溶接方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】750〜2500MPaの鋼板を少なくとも1枚含む複数枚の鋼板により形成されるスポット溶接継手の十字引張力を向上させる。
【解決手段】重ね合せた複数枚の鋼板のうち少なくとも1枚が、引張強度750〜2500MPaの高強度鋼板であり、溶接電極で、重ね合せた複数枚の鋼板を、下記(1)式を満たす加圧力FE(N)で加圧して、本溶接電流Iw(kA)を通電し、該通電の終了直後、上記加圧力FE(N)を保持して、下記(2)式を満たす冷却時間t(ms)冷却して、冷却後、下記(1)式を満たす加圧力FE(N)を保持して、下記(3)式を満たす後通電電流Ip(kA)を、下記(4)式を満たす後通電時間tp(ms)、後通電し、前記冷却及び後通電を1又は2回以上繰り返す。1960×h≦FE≦3920×h(1)、h:鋼板の板厚(mm)、1≦tS≦300(2)、0.6×Iw≦Ip≦Iw(3)、1≦tP≦500(4)
【選択図】図3

Description

本発明は、複数枚の鋼板を重ね合せてスポット溶接するスポット溶接方法に関するものである。
近年、自動車分野では、低燃費化やCO排出量の削減のため、車体を軽量化することが求められている。また、衝突安全性の向上のため、車体部材を高強度化することが求められている。これらの要求を満たすためには、車体や部品などに高強度鋼板を使用することが有効である。車体の組立や部品の取付けなどには、主として、スポット溶接が使われている。引張強度が750MPa以上の鋼板を少なくとも1枚含む複数枚の鋼板をスポット溶接する場合には、溶接継手の強度が問題となる。
複数枚の鋼板を重ね合わせ、スポット溶接して形成した継手(以下「スポット溶接継手」ともいう)において、引張強度は重要な特性である。かかる引張強度には、せん断方向に引張荷重を負荷して測定する引張せん断力(TSS)と、剥離方向に引張荷重を負荷して測定する十字引張力(CTS)と、がある。なお、引張せん断力と十字引張力の測定方法は、JIS Z3136及びJIS Z 3137に規定されている。
引張強度が270〜600MPaの複数枚の鋼板により形成されるスポット溶接継手のCTSは、鋼板の強度の増加に伴い増加する。したがって、引張強度が270〜600MPaの鋼板により形成されるスポット溶接継手では、継手強度に関する問題は生じ難い。しかし、引張強度が750MPa以上の鋼板を少なくとも1枚含む複数枚の鋼板により形成されるスポット溶接継手におけるCTSは、鋼板の引張強度が増加しても、増加しないか、又は、減少する。
一般に、引張強度が750MPa以上の鋼板を少なくとも1枚含む複数枚の鋼板により形成されるスポット溶接継手では、CTSが低下し易い。変形能の低下により溶接部への応力集中が高まることと、溶接部に焼きが入ることにより溶接部の靱性が低下することが、その理由である。このため、引張強度が750MPa以上の鋼板を少なくとも1枚含む複数枚の鋼板により形成されるスポット溶接継手におけるCTSの向上が求められる。
引張強度が750MPa以上の鋼板を少なくとも1枚含む複数枚の鋼板により形成されるスポット溶接継手における強度と靭性を確保する方法として、本通電の後に、後通電を行う2段通電方法がある。特許文献1には、本通電が終了してから一定時間が経過した後に、テンパー通電を行うことにより、スポット溶接継手(ナゲット部及び熱影響部)を焼鈍して、硬さを低下させる方法が記載されている。
しかし、この方法では、テンパー通電を行う前に、マルテンサイト変態をほぼ完了させる必要がある。このため、本通電の終了後、長い冷却時間が必要になる。さらに、この方法では、ナゲットが軟化してせん断力が低下する。
また、引張強度が750MPa以上の鋼板を少なくとも1枚含む複数枚の鋼板により形成されるスポット溶接継手における強度と靭性を確保する方法として、溶接後に、溶接とは別の加熱手段で溶接部を加熱する方法がある。特許文献2には、溶接後に、溶接部を高周波で加熱して焼戻し処理する方法が記載されている。
しかし、この方法では、溶接後に別工程が必要となり作業手順が煩雑になる。また、この方法では、高周波を利用するための特殊な装置が必要となる。さらに、この方法では、ナゲットが軟化してせん断力が低下する。
また、特許文献3には、本溶接によりナゲットを形成した後に、本溶接電流以上の電流で後通電する方法が記載されている。しかし、この方法では、後通電時間を長くすると、ナゲット径が拡大するだけで、組織が通常の溶接と同じになる。
特許文献4には、引張強度が440MPa以上の鋼板をスポット溶接する方法が記載されている。この方法では、鋼板の成分組成を、C×P≦0.0025、P:0.015%以下、S:0.01%以下に規制する。そして、溶接後、溶接部に300℃×20分程度の熱処理を施す。しかし、この方法では、適用可能な鋼板が限定される。さらに、この方法では、溶接に長時間を要して生産性が低い。
特許文献5には、ナゲット外層域のミクロ組織と、ミクロ組織中の炭化物の平均粒径及び個数密度と、を規定した高強度鋼板(引張強度:750〜1850MPa、炭素当量Ceq:0.22〜0.55質量%)のスポット溶接継手が記載されている。しかし、ナゲットの外側で破断する場合には、ナゲットの組織は何の寄与もしないので、ミクロ組織に係る規定は意味がない。
特許文献6には、引張強度が900〜1850MPa、板厚が1.8〜2.8mmの鋼板をスポット溶接する方法が記載されている。この方法では、溶接後、引き続き、溶接電流の0.5倍〜0.9倍の電流で、溶接時間の0.3倍〜0.5倍の時間、後通電を行う。しかし、この方法では、本溶接と後通電との間の時間についての検討が十分になされておらず、継手強度の向上に寄与するものではない。
特開2002−103048号公報 特開2009−125801号公報 特開2010−115706号公報 特開2010−059451号公報 国際公開第2011/025015号 特開2011−005544号公報
以上のような背景から、従来、引張強度が750〜2500MPaの鋼板を少なくとも1枚含む複数枚の鋼板により形成されるスポット溶接継手においては、靱性が不足し易く、十分に高い十字引張力を確保することが難しい。そこで、本発明は、750〜2500MPaの鋼板を少なくとも1枚含む複数枚の鋼板により形成されるスポット溶接継手の十字引張力を向上させるスポット溶接方法を提供することを目的とする。
そこで、本発明者らは、上記課題を解決する方法について、冶金学的視点及び力学的視点から鋭意検討した。その結果、溶融凝固部(以下「ナゲット」という)内部の靭性を確保するだけでは、十字引張試験の際、ナゲット内部で生じる低荷重破断を抑制できても、ナゲット周辺部で生じる低荷重破断を抑制できないことが判明した。
そして、信頼性の高いスポット溶接継手を得るためには、ナゲット内部だけでなく、ナゲット周辺部の破断荷重をも併せて改善することが必要であり、そのためには、溶融部の内周に凝固域が形成された後、凝固域と、凝固域を囲む熱影響部を、高温に、所定時間、保持することが重要であることを見出した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨とするところは以下の通りである。
(1)複数枚の鋼板を重ね合わせてスポット溶接するスポット溶接方法であって、
前記複数枚の鋼板のうち少なくとも1枚の鋼板は、引張強度が750〜2500MPaの高強度鋼板であり、
前記高強度鋼板の下記(A)式で表される炭素当量Ceqは、0.20〜0.55質量%であり、
前記重ね合わせた複数枚の鋼板を、溶接電極により、下記(B)式を満たす加圧力FE(N)で加圧した状態で、本溶接電流IW(kA)を、前記溶接電極に通電する本溶接を行う工程と、
前記本溶接を行う工程が終了した後、
下記(B)式を満たす加圧力FE(N)を保持して、下記(C)式を満たす冷却時間tS(msec)、通電を休止し鋼板を冷却し、その後つづけて、下記(D)式を満たす後通電電流IP(kA)を、下記(E)式を満たす後通電時間tP(msec)、前記溶接電極に通電して後通電する冷却・後通電を行う工程と、
前記冷却・後通電を行う工程を1又は2回以上繰り返す工程と、
前記繰り返す工程が終了した後、
前記(B)式を満たす加圧力FE(N)を、下記(F)式を満たす保持時間tH(msec)保持した後、前記加圧力FE(N)での加圧を解放する工程と、
を有することを特徴とするスポット溶接方法。
Ceq=[C]+[Si]/30+[Mn]/20+2[P]+4[S] ・・・(A)
1960×h≦FE≦3920×h ・・・(B)
1≦tS≦300 ・・・(C)
0.6×IW≦IP≦IW ・・・(D)
1≦tP≦500 ・・・(E)
0≦tH≦300 ・・・(F)
前記(A)式における[C]、[Si]、[Mn]、[P]、及び[S]は、それぞれC、Si、Mn、P、及びSの各含有量(質量%)であり、前記(B)式におけるhは、前記鋼板の板厚(mm)である。
(2)複数枚の鋼板を重ね合わせてスポット溶接するスポット溶接方法であって、
前記複数枚の鋼板のうち少なくとも1枚の鋼板は、引張強度が750〜2500MPaの高強度鋼板であり、
前記高強度鋼板の下記(A)式で表される炭素当量Ceqは、0.20〜0.55質量%であり、
前記重ね合わせた複数枚の鋼板を、溶接電極により、下記(B)式を満たす加圧力FE(N)で加圧した状態で、下記(C)式を満たす前通電電流If(kA)を、下記(D)式を満たす前通電時間tf(msec)、前記溶接電極に通電する前通電を行う工程と、
前記前通電を行う工程が終了した後、
下記(B)式を満たす加圧力FE(N)を保持して、下記(E)式を満たす前通電後冷却時間tC(msec)、前記複数枚の鋼板を冷却する前通電後冷却を行う工程と、
前記前通電後冷却を行う工程が終了した後、
下記(B)式を満たす加圧力FE(N)を保持して、本溶接電流IW(kA)を、前記溶接電極に通電する本溶接を行う工程と、
前記本溶接を行う工程が終了した後、
下記(B)式を満たす加圧力FE(N)を保持して、下記(F)式を満たす冷却時間tS(msec)、通電を休止し鋼板を冷却し、その後つづけて、下記(G)式を満たす後通電電流IP(kA)を、下記(H)式を満たす後通電時間tP(msec)、前記溶接電極に通電して後通電する冷却・後通電を行う工程と、
前記冷却・後通電を行う工程を1又は2回以上繰り返す工程と、
前記繰り返す工程が終了した後、
前記(B)式を満たす加圧力FE(N)を、下記(I)式を満たす保持時間tH(msec)保持した後、前記加圧力FE(N)での加圧を解放する工程と、
を有することを特徴とするスポット溶接方法。
Ceq=[C]+[Si]/30+[Mn]/20+2[P]+4[S] ・・・(A)
1960×h≦FE≦3920×h ・・・(B)
0.40×IW≦If<IW ・・・(C)
20≦tf ・・・(D)
0≦tC<≦250 ・・・(E)
1≦tS≦300 ・・・(F)
0.6×IW≦IP≦IW ・・・(G)
1≦tP≦500 ・・・(H)
0≦tH≦300 ・・・(I)
前記(A)式における[C]、[Si]、[Mn]、[P]、及び[S]は、それぞれC、Si、Mn、P、及びSの各含有量(質量%)であり、前記(B)式におけるhは、前記鋼板の板厚(mm)である。
本発明によれば、750〜2500MPaの鋼板を少なくとも1枚含む複数枚の鋼板により形成されるスポット溶接継手の十字引張力を向上させることができる。
スポット溶接を開始する際の、2枚の鋼板と溶接電極の配置の一例を示す図である。 スポット溶接により形成されたナゲットと熱影響部の一例を模式的に示す図である。 通電パターンの態様例1を示す図である。 凝固してナゲットとなる溶融部の凝固途中の態様の一例を模式的に示す図である。 通電パターンの態様例2を示す図である。
本発明者らは、本溶接の後に後通電を行う従来の技術では、引張強度が750〜2500MPaの鋼板を少なくとも1枚含む複数枚の鋼板により形成されるスポット溶接継手の十字引張力(CTS)を十分に向上させることができない理由について、冶金学的視点及び力学的視点から鋭意調査した。なお、以下の説明では、引張強度が750〜2500MPaの鋼板を必要に応じて「高強度鋼板」と称する。
その結果、前記従来の技術のように、ナゲット内部の靱性を改善するだけでは、十字引張試験の際に、ナゲットの内部で生じる低荷重破断を抑制できても、ナゲットの周辺の熱影響部(HAZ)で生じる低荷重破断を十分に抑制できないことが判明した。熱影響部とは、Ac1点以上、溶融温度未満に加熱された鋼板の部位のことである。
このように、本発明者らは、信頼性の高いスポット溶接継手を得るためには、ナゲットの内部だけでなく、ナゲットの周辺部の破断荷重をも併せて改善することが必要であることを見出した。そのために、本実施形態では、溶融部の内周に凝固域が形成された後、凝固域と、凝固域を囲む熱影響部を、高温に長時間保持する。
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に説明する各実施形態は、溶融部の内周に形成された凝固域と、当該凝固域を囲む熱影響部とを、高温に長時間保持することを基本とする。ただし、単に、従来の保持時間を超えて長時間保持するだけでは、信頼性の高い溶接継手を得ることはできない。
[高強度鋼板]
まず、スポット溶接に使用する鋼板について説明する。
(鋼種)
鋼種は特に限定されない。例えば、2相組織型(例えば、フェライト中にマルテンサイトを含む組織、フェライト中にベイナイトを含む組織)、加工誘起変態型(フェライト中に残留オーステナイトを含む組織)、焼入れ型(マルテンサイト組織)、微細結晶型(フェライト主体組織)等、何れの型の鋼種でもよい。
本実施形態では、いずれの鋼種の高強度鋼板を用いたスポット溶接継手でも、継手強度の“低下及びばらつき”を抑制して、破断形態を良好なものとするので、信頼性の高い溶接継手を得ることができる。
なお、高強度鋼板と重ね合わせる鋼板の鋼種も特に限定されない。高強度鋼板の鋼種と異なる鋼種の鋼板でもよい。例えば、高強度鋼板と重ね合わせる鋼板を軟鋼板としてもよい。また、高強度鋼板と重ね合わせる鋼板を、当該高強度鋼板の鋼種と同じ鋼種の鋼板でもよい。
(引張強度)
複数枚重ね合せた鋼板のうち少なくとも1枚の鋼板(高強度鋼板)の引張強度は、750〜2500MPaとする。通常、高強度鋼板の引張強度が増加するほど、高い継手強度が必要である。スポット溶接継手の十字引張力(CTS)は、590〜780MPa級鋼板では、鋼板の強度に比例して増加するが、780MPa以上の強度の鋼板では、減少する。
高強度鋼板の引張強度が750MPa未満であると、元々、十字引張力が高く、また、スポット溶接継手に対する負荷が小さい。したがって、溶接部における破断形態の劣化や、継手強度に関する問題は生じ難い。よって、高強度鋼板の引張強度を750MPa以上とする。
高強度鋼板の引張強度が2500MPaを超えると、継手強度の“低下とばらつき”を抑制することが難しくなる。さらに、このことに伴い、溶接部における破断形態の劣化、及び、ナゲット内部での欠陥や割れの発生を抑制することが難しくなる。よって、高強度鋼板の引張強度を2500MPa以下とする。
なお、高強度鋼板と重ね合せる鋼板の引張強度も特に限定されない。高強度鋼板と重ね合わせる鋼板を、引張強さが750MPa〜2500MPaの高強度鋼板としてもよいし、引張強度が750MPa未満の鋼板としてもよい。例えば、自動車分野等で使用される鋼部材である場合、使用される鋼部材に応じて、引張強度を選択すればよい。
(板厚)
高強度鋼板の板厚は特に限定されない。例えば、自動車の車体等に一般に用いられている高強度鋼板の板厚(0.5mm〜3.2mm)程度であればよい。ただし、高強度鋼板の板厚の増加に伴ってナゲットの周囲での応力集中が増加するので、高強度鋼板の板厚は2.6mm以下が好ましい。
高強度鋼板と重ね合わせる鋼板の板厚は特に限定されない。重ね合わせる複数枚の鋼板の板厚が、相互に異なっていてもよい。例えば、3枚以上の鋼板を重ね合せる場合、3枚以上の鋼板の各々の板厚が異なっていてもよい。3枚以上の鋼板のうち、少なくとも一枚が高強度鋼板であればよく、その他は軟鋼板でもよい。また、3枚以上の鋼板を重ね合せる場合、少なくとも2枚の鋼板の板厚が同じでもよい。なお、一般に、鋼板の厚さは6mm以下である。
(炭素当量Ceq)
高強度鋼板の、以下の(1)式で表される炭素当量Ceqは、0.20〜0.55質量%の範囲とする。炭素当量Ceqが0.20質量%未満では、引張強度が、前述した高強度鋼板の引張強度の下限値である750MPa以上の引張強度が得られない。一方、炭素当量Ceqが0.55質量%超では、引張強度が、前述した高強度鋼板の引張強度の上限値である2500MPaを超えるので、好ましくない。高強度鋼板と重ね合せる鋼板のCeqは、どのような値でもよい。
Ceq=[C]+[Si]/30+[Mn]/20+2[P]+4[S] ・・・(1)
[C]、[Si]、[Mn]、[P]、及び[S]は、それぞれC、Si、Mn、P、及びSの各含有量(質量%)である。
(成分組成)
前述した高強度鋼板の引張強度(750MPa〜2500MPa)を確保できる成分組成を選択すればよい。スポット溶接後の鋼部材が、主として、自動車分野等で使用されることを考慮すれば、高強度鋼板の成分組成は、以下の成分組成が好ましい。なお、以下において、「%」は「質量%」を意味する。
C:0.07〜0.45%
Cは、鋼の引張強度を高める元素である。鋼中のCの含有量が多いほど、ナゲットの強度を高めることができる。しかし、鋼中のCの含有量が0.07%未満であると、750MPa以上の引張強度を得ることが難しい。一方、鋼中のCの含有量が0.45%を超えると、高強度鋼板の加工性が低下する。したがって、高強度鋼板のCの含有量は、0.07〜0.45%が好ましい。
Si:0.001〜2.50%
Siは、固溶強化及び組織強化により、鋼の強度を高める元素である。しかし、鋼中のSiの含有量が2.50%を超えると、鋼の加工性が低下する。一方、鋼中のSiの含有量を工業的に0.001%未満に低減することは技術的に難しい。したがって、高強度鋼板のSiの含有量は、0.001%〜2.50%が好ましい。
Mn:0.8〜5.0%
Mnは、鋼の強度を高める元素である。しかし、鋼中のMnの含有量が5.0%を超えると、鋼の加工性が劣化する。一方、鋼中のMnの含有量が0.8%未満であると、750MPa以上の引張強度を得るのが難しい。したがって、高強度鋼板のMnの含有量は、0.8〜5.0%が好ましい。
P:0.03%以下
Pは、ナゲットを脆化する元素である。鋼中のPの含有量が0.03%を超えると、ナゲット内の割れが生じ易くなり、十分に高い継手強度を得ることが難しい。したがって、高強度鋼板のPの含有量は、0.03%以下が好ましい。なお、鋼中のPの含有量を0.001%未満に低減することは、コストの点で、好ましくない。したがって、高強度鋼板のPの含有量は、0.001%以上が好ましい。ただし、高強度鋼板のPの含有量を、0.001%未満にしてもよい。
S:0.01%以下
Sは、ナゲットを脆化する元素である。また、Sは、Mnと結合して粗大なMnSを形成し、鋼の加工性を阻害する元素である。鋼中のSの含有量が0.01%を超えると、ナゲット内の割れが生じ易くなることにより、十分に高い継手強度を得ることが難しくなる。さらに、鋼の加工性が低下する。したがって、高強度鋼板のSの含有量は、0.01%以下が好ましい。なお、鋼中のSの含有量を0.0001%未満に低減することは、コストの点で、好ましくない。したがって、高強度鋼板のSの含有量は、0.0001%以上が好ましい。ただし、高強度鋼板のSの含有量を、0.0001%未満にしてもよい。
N:0.01%以下
Nは、粗大な窒化物を形成し、鋼の加工性を劣化させる元素である。また、Nは、溶接時のブローホールの発生原因になる元素である。鋼中のNの含有量が0.01%を超えると、鋼の加工性の劣化やブローホールの発生が顕著となる。したがって、高強度鋼板のNの含有量は、0.01%以下が好ましい。なお、鋼中のNの含有量を0.0005%未満に低減することは、コストの点で、好ましくない。したがって、高強度鋼板のNの含有量は、0.0005%以上が好ましい。ただし、高強度鋼板のNの含有量を、0.0005%未満にしてもよい。
O:0.01%以下
Oは、酸化物を形成し、鋼の加工性を劣化させる元素である。鋼中のOの含有量が0.01%を超えると、鋼の加工性の劣化が顕著となる。したがって、高強度鋼板のOの含有量は0.01%以下が好ましい。なお、高強度鋼板のOの含有量を0.0005%未満に低減することは、コストの点で、好ましくない。したがって、高強度鋼板のOの含有量は、0.0005%以上が好ましい。ただし、高強度鋼板のOの含有量を、0.0005%未満にしてもよい。
Al:1.00%以下
Alは、フェライト安定化元素であり、ベイナイト変態時のセメンタイト析出抑制等の効果がある。このため、鋼組織の制御のために含有されている。また、Alは脱酸材としても機能する。その一方で、Alは酸化しやすい。Alの含有量が1.00%を超えていると、介在物が増加することにより、鋼の加工性が劣化しやすくなる。したがって、高強度鋼板のAlの含有量は、1.00%以下であることが好ましい。
高強度鋼板は、以上の主要元素の他に、必要に応じて、以下の元素を選択的に含有してもよい。
Ti、Nb、V:0.005〜0.20%
Ti、Nb、及び、Vは、析出強化と、フェライト結晶粒の成長の抑制による細粒強化と、再結晶の抑制による転位強化と、の少なくとも何れか1つにより、鋼の強度の上昇に寄与する元素である。しかし、いずれの元素も、鋼中の含有量が0.005%未満であると、添加効果が発現し難い。一方、鋼中の含有量が0.20%を超えると、鋼の加工性を阻害する。したがって、高強度鋼板におけるこれらの元素の含有量は、いずれも、0.005〜0.20%が好ましい。
B:0.0001〜0.01%
Bは、鋼組織を制御して鋼を強化する元素である。しかし、鋼中のBの含有量が0.0001%未満であると、添加効果が発現し難い。一方、鋼中のBの含有量が0.01%を超えると、添加効果が飽和する。したがって、高強度鋼板のBの含有量は、0.0001〜0.01%が好ましい。
Cr:0.01〜2.0%
Ni:0.01〜2.0%
Cu:0.01〜2.0%
Mo:0.01〜0.8%
Cr、Ni、Cu、及びMoは、鋼の強度の向上に寄与する元素である。これらの元素は、例えば、Mn(強度向上元素)の一部に代えて用いることができる。しかし、いずれの元素も、鋼中の含有量が0.01%未満であると、強度の向上に寄与しない。
したがって、高強度鋼板におけるこれらの元素の含有量は、いずれも、0.01%以上が好ましい。一方、Cr、Ni、及びCuの鋼中の含有量が2.0%を超えると、鋼中のMoの含有量が0.8%を超えている場合に、酸洗時や熱間加工時に支障が生じることがある。したがって、高強度鋼板のCr、Ni、及びCuの含有量は、2.0%以下が好ましい。また、高強度鋼板のMoの含有量は、0.8%以下が好ましい。
Ca、Ce、Mg、及びREMの少なくとも1種:合計で0.0001〜1.0%
Ca、Ce、Mg、及びREM(rare earth metal)は、脱酸後の酸化物の大きさや、熱延鋼板中に存在する硫化物の大きさを小さくして、鋼の加工性の向上に寄与する元素である。しかし、鋼中におけるこれらの元素の含有量が合計で0.0001%未満であると、添加効果が発現し難い。一方、鋼中におけるこれらの元素の含有量が合計で1.0%を超えると、鋼の加工性が低下する。したがって、高強度鋼板におけるこれらの元素の含有量は、合計で、0.0001〜1.0%が好ましい。
なお、REMは、ランタノイド系列に属する元素であり、REM及びCeは、製鋼の段階でミッシュメタルとして溶鋼に添加することができる。また、LaやCeの他に、ランタノイド系列の元素が複合で含有されていてもよい。
高強度鋼板における以上の各元素以外の残部は、Fe及び不可避的不純物とすればよい。なお、前述のCr、Ni、Cu、Mo、B、Ti、Ni、及びVについては、いずれも前記下限値未満の微量を不純物として含有することが許容される。また、Ca、Ce、Mg、La、及びREMについても、その合計量の前記下限値未満の微量を不純物として含有することが許容される。
以上、高強度鋼板の成分組成について説明したが、高強度鋼板と重ね合わせる鋼板の成分組成は、どのような成分組成でもよい。
(めっき)
高強度鋼板の表面にめっき層が形成されていてもよい。さらに、高強度鋼板と重ね合わせる鋼板の表面にめっき層が形成されていてもよい。めっき層の種類は、例えば、Zn系、Zn−Fe系、Zn−Ni系、Zn−Al系、Zn−Mg系、Pb−Sn系、Sn−Zn系、Al-Si系等が挙げられる。
Zn系めっき層を備えた高強度鋼板としては、例えば、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、及び電気亜鉛めっき鋼板、等が挙げられる。高強度鋼板の表面にめっき層が形成されていると、スポット溶接継手が優れた耐食性を示す。めっき層が、高強度鋼板の表面に合金化した亜鉛めっき層である場合、優れた耐食性が得られ、また、塗料の密着性が良好になる。
めっき層の目付け量も特に限定されない。高強度鋼板の片面におけるめっき層の目付け量を100g/m2以下とすることが好ましい。高強度鋼板の片面における目付け量が100g/m2を超えると、めっき層が溶接の際の障害となる場合がある。めっき層は、高強度鋼板の片面だけに形成されていても、両面に形成されていてもよい。なお、めっき層の表層に無機系又は有機系の皮膜(例えば、潤滑皮膜等)等が形成されていてもよい。以上のめっき層に関する条件は、高強度鋼板と重ね合わせられる鋼板についても同じである。
次に、スポット溶接方法の例を説明する。
<スポット溶接方法の例1>
まず、スポット溶接方法の例1を説明する。
[スポット溶接]
図1は、スポット溶接を開始する際の、少なくとも1枚の高強度鋼板を含む2枚の鋼板と溶接電極の配置の一例を示す図である。図1に示すように、鋼板1A、1Bを、板面が互いに向き合うように重ね合わせる。重ね合わせられた鋼板1A、1Bを、上下から溶接電極2A、2Bで挟み、所要の加圧力を加えて、溶接電極2A、2Bを通電する。
図2は、スポット溶接により形成されたナゲットと熱影響部の一例を模式的に示す図である。図3は、溶接電極に通電する際の通電パターンの態様例1を示す図である。なお、ここでは、説明を簡単にするために、少なくとも1枚の高強度鋼板を含む2枚の鋼板をスポット溶接する場合を例に挙げて示す。しかし、前述したように、少なくとも1枚の高強度鋼板を含む3枚以上の鋼板をスポット溶接する場合であっても、以下に示す方法と同一の方法でスポット溶接を行うことができる。
図1に示すようにして、鋼板1A、1Bと、溶接電極2A、2Bを配置する。そして、図3に示す通電パターンで通電すると、図2に示すように、鋼板1A、1Bの境界に、ナゲット3が形成される。さらに、ナゲット3の周囲に、熱影響部4が形成される。なお、鋼板1A、1Bの少なくとも何れか一方は、前述した高強度鋼板である。
図3に示す通電パターンは、以下の通りである。なお、以下の電流は、溶接電極2A及び溶接電極2Bの間を流れる電流である。
まず、電流値が本溶接電流IW(kA)になるまで、電流値を0(ゼロ)から漸増(アップスロープ)させる。そして、電流値を本溶接電流IW(kA)にして本溶接を行う。
本溶接が終了すると、電流値を0(ゼロ)にし、電流値が0(ゼロ)の状態を冷却時間(凝固時間)tS(msec)保持する。冷却時間tS(msec)が経過すると、電流値を後通電電流IP(kA)にし、電流値が後通電電流IP(kA)の状態を後通電時間tP(msec)保持し、後通電を行う。1回目の後通電が終了すると、冷却及び後通電を一つの工程とし、1又は2回以上繰り返す。
冷却及び後通電の繰り返しが終了すると、電流値を0(ゼロ)にする。なお、図3に示す保持時間tH(msec)は、後述するように、後通電を終了した後、加圧力FE(N)を保持する時間である。また、電流値が本溶接電流IW(kA)になるまで、電流値を0(ゼロ)から漸増(アップスロープ)させずに、電流値を直ちに本溶接電流IW(kA)にしてもよい。
(加圧力:FE
重ね合わせた複数枚の鋼板を、溶接電極2A及び2Bにより、以下の(2)式を満たす加圧力FEで加圧しながら、本溶接電流IWを通電する。
1960×h≦FE≦3920×h ・・・(2)
h:鋼板の板厚(mm)
溶接電極2A、2Bの鋼板1A、1Bに対する加圧力FEは、ナゲット3の内部及び熱影響部4での欠陥や割れの発生に大きく影響する。加圧力FEが、「1960×h」(N)未満であると、ナゲット3の内部及び熱影響部4での欠陥及び割れの発生を抑制することが難しくなる。その結果、スポット溶接継手の破断形態を改善できず、継手強度の向上、及び継手強度のばらつきの低減を達成し難い。
一方、加圧力FEが「3920×h」(N)を超えると、鋼板1A、1Bの領域のうち、溶接電極2A、2Bが接触する領域が大きくへこむ。したがって、外観が損なわれるだけでなく、継手強度が低下する。また、「3430×h」(N)を超える加圧力FEを得るには、溶接ガン(溶接電極2A、2Bに加圧力を加えて通電する装置)が、剛性の高いロボットアームを有する必要がある。したがって、本実施形態では、溶接電極2A、2Bの鋼板1A、1Bに対する加圧力FEを、「1960×h」(N)以上「3920×h」(17N)以下とする。
なお、溶接電極2A、2Bの先端径が大きくなり過ぎると、溶接電極2A、2Bの先端での面圧が低下する。これにより、破断形態の改善が難しくなる。さらに、破断形態の改善に伴う、継手強度の向上、及び、継手強度のばらつきの低減を達成することが難しくなる。したがって、溶接電極2A、2Bの先端径は6mm〜8mm程度が好ましい。
前記(2)式において、hは、鋼板の板厚(mm)である。2枚の鋼板の板厚が異なる(図2に示す例では、鋼板1A、1Bの板厚が異なる)場合がある。この場合、例えば、2枚の鋼板の板厚の算術平均値(鋼板1Aの板厚と鋼板1Bの板厚の算術平均値)を前記(2)式中の「h」として用いればよい。3枚以上の複数枚の鋼板をスポット溶接する場合には、例えば、当該複数枚の鋼板の板厚の総和を求め、当該総和を2分した値を前記(2)式の「h」として用いればよい。
(本溶接電流:IW
以上の加圧力FEで鋼板1A、1Bを加圧しながら、溶接電極2A、2Bに、本溶接電流IWを通電し、本溶接を行う。本溶接電流IW及び本溶接時間(本溶接電流IWを流している時間)は特に限定されない。従来、所要の大きさのナゲットを安定して得るのに採用している溶接電流、通電時間と同程度の溶接電流、通電時間を、本溶接電流IW及び本溶接時間として採用すればよい。
なお、例えば、本溶接時間における本溶接電流を自乗した値の本溶接時間における平均値の平方根(すなわち、本溶接電流の実効値)、又は、本溶接電流の最大値を、本溶接電流IWとして採用することができる。
スポット溶接設備については、従来の一般的なスポット溶接設備をそのまま用いることができる。また、溶接電極等についても、従来の溶接電極をそのまま用いることができる。電源についても特に限定されず、交流電源、直流インバータ、交流インバータ等を用いることができる。
(冷却時間:tS
本溶接電流IWを、所定の時間、溶接電極2A、2Bに通電し、当該通電が終了した直後、本溶接のとき(本溶接電流IWを通電しているとき)の加圧力FEをそのまま保持しながら、通電を止める。そして、以下の式(3)を満たす冷却時間tS(msec)、その状態を保持する。これにより、溶融部を、当該溶融部の外周(すなわち溶融部の他の領域との境界)から凝固させて、内側に未凝固域が残る殻状の凝固域を形成する。なお、以下の説明では、溶融部の他の領域との境界を、必要に応じて溶融境界と称する。
1≦tS≦300・・・(3)
本溶接電流IWの通電が終了した直後から、溶融部の凝固が、溶融境界から始まる。図4は、凝固してナゲットとなる溶融部の凝固途中の態様の一例を模式的に示す図である。鋼板1A、1Bに加圧力FEで加圧しながら溶接電極2A、2Bに本溶接電流IWを通電すると、凝固してナゲット3となる溶融部が形成される。その後、通電が終了すると、溶融境界3aから凝固が始まり、冷却時間tSが経過すると、凝固域5が形成される。この時点で、凝固域5の内部には、未凝固域6が残る。凝固域5の周囲には、熱影響部4が形成される。
未凝固域6が凝固してナゲットが形成される。本実施形態では、未凝固域6が存在しているときに、後通電を開始する。即ち、冷却時間tSが、後通電の開始時の凝固域5の幅(板面方向の長さ)を決定することになる。
炭素量が比較的多い高強度鋼板では、本溶接後の冷却時間tSで冷却される過程でマルテンサイト変態が生じる。このとき、旧オーステナイト粒が大きいと、見かけのマルテンサイト変態温度が上昇する。このマルテンサイト変態温度が上昇することによって、自動焼戻し(オートテンパー)が生じやすくなる。したがって、後述する後通電によって熱影響部4の靱性が向上する。この効果を得るためには、熱影響部4がオーステナイト単相である必要がある。そのために、冷却時間tSを、300msec以下にする必要がある。
また、本溶接後冷却時間tSが300msecを超えると、温度が低下して凝固域5が拡大する。したがって、ナゲット3の外周部及びナゲット3の周辺の熱影響部4で後述する後通電の効果(組織改善・偏析改善の効果)を得るために、長時間の後通電を要する。よって、スポット溶接継手の生産性が低下する。このように、300msecを超える冷却時間tSは現実的でない。スポット溶接継手の生産性の低下を避けるため、本溶接後冷却時間tSを、250msec以下にするのがより好ましい。
一方、冷却時間tSが1msec未満であると、溶融部の凝固が十分でなくなり、凝固域5の幅が狭くなる。また、冷却時間tSが、1msec未満であると、旧オーステナイト粒が大きくなり過ぎ、後述する後通電によって熱影響部4の靱性が逆に低下する。したがって、後述する後通電の効果(組織改善・偏析改善の効果)が得られず、継手強度を十分に向上することが難しくなる。
また、凝固域5の形成を促すには、冷却時間tSの間、無通電とすることが好ましい。ただし、凝固域5の形成速度と温度を調整するため、冷却時間t、本溶接電流IWの0.5倍以下の電流を、溶接電極2A、2Bに通電してもよい。そして、冷却時間tS、本溶接のときの加圧力FEをそのまま保持すれば、作業効率上、好ましい。しかしながら、冷却時間tSにおける加圧力FEを、前記(2)式を満たす範囲で、本溶接のときの加圧力FEと異ならせてもよい。
(後通電電流:IP、後通電時間:tP
本溶接後、(3)式を満たす冷却時間tSが経過して、所要の幅の凝固域5が形成された直後、本溶接のときの加圧力FE(N)を保持して、以下の(4)式を満たす後通電電流IP(kA)を、以下の(5)式を満たす後通電時間tP(msec)、溶接電極2A、2Bに通電し、後通電を行う。
0.6×IW≦IP≦IW ・・・(4)
W:本溶接電流(kA)
1≦tP≦500 ・・・(5)
前述したように、後通電における加圧力FEを、前記(2)式を満たす加圧力とする。この加圧力FEは、通常、本溶接のとき(本溶接電流IWを通電するとき)、及び溶融部を溶融境界から凝固させて、殻状の凝固域5を形成するとき(冷却時間tS)における加圧力FEと同じにすると、作業効率上、好ましい。しかし、前記(2)式を満たす範囲であれば、後通電時間tPにおける加圧力FEを必ずしもこれらのときと同じにする必要はない。
本発明者らは、後通電電流IPに関して、次のような調査及び検討を行った。
まず、スポット溶接継手におけるプラグ破断は、熱影響部4で生じる。したがって、プラグ破断強度の差異は、熱影響部4での亀裂の伝搬に対する抵抗力の差、すなわち、熱影響部4の靭性の差に起因すると推定した。そこで、後通電を実施した溶接継手と、後通電を実施していない溶接継手において、熱影響部4の靱性に大きく影響するPとSの濃度分布をFE−EPMAで測定した。
その結果、後通電を実施した溶接継手の熱影響部4では、後通電を実施していない溶接継手の熱影響部4に比べ、PとSの偏析が大幅に軽減されていた。すなわち、後通電で発生する熱により、ナゲット3の外周部及び熱影響部4が高温に保持されて、PとSの偏析が大幅に軽減されたと推測される。
このように、後通電電流IPは、殻状の凝固域5の組織や偏析と、凝固が完了したナゲット3の組織や偏析と、熱影響部4の組織や偏析とに大きく影響する。そのため、後通電電流IPが「0.6×IW」(kA)未満であると、凝固域5及び熱影響部4は入熱が十分でなく、組織や偏析を改善する効果(組織改善・偏析改善の効果)が得られず、熱影響部4の靱性を向上させる効果が得られない。
一方、後通電によって、溶融境界の内周に形成された凝固域5が再溶融すると、再凝固した再凝固域においてPとSの偏析が増大し、ナゲット3の靭性が低下する。その結果、低荷重でも、ナゲット3の内部で破断する。それ故、後通電電流IPは、凝固域5が溶融しない値の電流であることが要求される。すなわち、IW≧IPであることが要求される。
よって、(4)式では、後通電電流IPを、「0.6×IW」(kA)以上「IW」(kA)未満とする。ただし、組織や偏析を改善する効果をより確実に得るために、後通電電流IPを、「0.70×IW」(kA)以上「0.98×IW」(kA)以下にするのが好ましい。なお、本溶接電流IWとして実効値を採用する場合には、後通電電流IPも実効値を採用するのが好ましい。また、本溶接電流IWとして最大値を採用する場合には、後通電電流IPも最大値を採用するのが好ましい。
一方、後通電時間tPは、(3)式のようにして冷却時間tSを定めることにより起こりやすくなる、後通電による自動焼戻しによる熱影響部4の靱性の向上に必要な時間とする。
また、ナゲット3の外周部、及びその周囲の熱影響部4におけるP、Sの偏析を軽減し、ナゲット3及び熱影響部4の靭性を十分に改善するためには、ナゲット3の外周部及び熱影響部4に一定量を超える熱量を供給できる、後通電時間tPが必要である。
ナゲット3の外周部及び熱影響部4で、PとSが拡散して偏析が低減するには、この領域を1050℃以上に加熱する必要がある。そのため、後通電時間tPを1msec以上として、溶接電極2A、2Bに通電する。これにより、凝固域5及び熱影響部4における組織と偏析を改善し、溶接継手の信頼性を高める。
また、後通電時間tPが、500msec超であると、熱影響部4が拡大し、靱性が低下する。したがって、後通電時間tPを、500msec以下にする。好ましくは、150msec以下である。
(冷却及び後通電の繰り返し)
後通電の後、後通電のときの加圧力FEをそのまま保持しながら、通電を止める。そして、(3)式を満たす冷却時間tS(msec)、その状態を保持する。(4)式を満たす後通電電流IP(kA)を、(5)式を満たす後通電時間tP(msec)、溶接電極2A、2Bに通電し、2回目の後通電を行う。すなわち、冷却及び後通電を1又は2回以上繰り返す。
後通電電流IP及び合計の後通電時間tPを同一とした場合、冷却及び後通電を1又は2回以上繰り返すことで、後通電を1回行う場合と比較して、スポット溶接の連続打点性が向上する。よって、冷却及び後通電の工程を1又は2回以上繰り返して行う。
後通電における加圧力FEを、前記(2)式を満たす加圧力とする。この加圧力FEは、通常、溶接のとき(本溶接電流IWを通電するとき)、溶融部を溶融境界から凝固させて、殻状の凝固域5を形成するとき(冷却時間tS)、1回目の後通電のとき(後通電電流IPを通電するとき)における加圧力FEと同じにすると、作業効率上、好ましい。しかし、前記(2)式を満たす範囲であれば、後通電時間tPにおける加圧力FEを必ずしもこれらのときと同じにする必要はない。
また、2回目以降の冷却及び後通電における冷却時間tS、後通電電流IP、後通電時間tPは、1回目の後通電における冷却時間tS、後通電電流IP、後通電時間tPと同じにすると、作業効率上、好ましい。しかし、前記(3)〜(5)式を満たす範囲であれば、2回目以降の冷却及び後通電における冷却時間tS、後通電電流IP、後通電時間tPを必ずしもこれらのときと同じにする必要はない。
また、凝固域5及び熱影響部4における組織と偏析を改善し、靱性を向上させるために、後通電における各後通電時間tPの合計を、80msec以上とすることが好ましい。また、後通電における各後通電時間tPの合計が2000msec超であると、熱影響部4が拡大し、靱性が低下することがある。したがって、各後通電時間tPの合計を、2000msec以下にすることが好ましい。
(保持時間:tH
以上の条件で冷却及び後通電を行った後、相互に重ね合わせた鋼板1A、1Bを、溶接電極2A、2Bで、以下の(6)式で規定する保持時間tH(msec)、加圧保持した後、加圧を解放する。
0≦tH≦300 ・・・(6)
なお、(6)式に示す範囲の保持時間tHで、鋼板1A、1Bを溶接電極2A、2Bで加圧保持する際の加圧力FE(N)は、例えば、前記(2)式で規定する範囲である。
保持時間tHは、ナゲット3及び熱影響部4の組織や、ナゲット3内の欠陥や割れの発生に影響する。保持時間tHが300(msec)を超えると、スポット溶接継手の生産性が低下する。したがって、本実施形態では、保持時間tHを300(msec)以下とする。保持時間tHは、空冷を早期に開始して、所期の効果を安定して得るためには短い方が望ましい。
なお、現存の溶接機では、溶接ガンの動作に遅れが生じるため、実際の保持時間tHは、通常、設定した保持時間tHより長くなる。したがって、このことを考慮に入れて、保持時間tHを設定する必要がある。
また、後通電のときにもナゲット3の温度が低下する。このため、保持時間tHを短くした場合でも収縮欠陥や割れが生じにくい。したがって、溶接電極2A、2Bを鋼板1A、1Bから即時に離隔させることが可能であれば、保持時間tHを0(ゼロ)にしてもよい。保持時間を0(ゼロ)にしない場合には、(6)式は、以下の(6a)式になる。
0<tH≦300 ・・・(6a)
<スポット溶接方法の例2>
次に、スポット溶接方法の例2を説明する。スポット溶接方法の例1では、本溶接、冷却及び後通電の繰り返しを行う場合を例に挙げて説明した。これに対し、スポット溶接方法の例2では、前通電を行った後に、本溶接、冷却及び後通電の繰り返しを行う場合を例に挙げて説明する。このように、本例は、例1に対し、前通電が追加されたことが異なる。したがって、本例の説明において、例1と同一の部分については、図1〜図4に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
本例においても、図1に示すように、鋼板1Aと鋼板1Bを、板面が互いに向き合うように重ね合わせる。重ね合わせられた鋼板1Aと鋼板1Bを、上下から溶接電極2Aと溶接電極2Bで挟み、所要の加圧力を加えて通電する。本例でも、説明を簡単にするために、少なくとも1枚の高強度鋼板を含む2枚の鋼板をスポット溶接する場合を例に挙げて示す。ただし、少なくとも1枚の高強度鋼板を含む3枚以上の鋼板をスポット溶接する場合であっても、以下に示す方法と同一の方法でスポット溶接を行うことができる。例えば、少なくとも2枚の高強度鋼板を含む3枚以上の鋼板のうち、少なくとも2枚の高強度鋼板同士を重ねた状態にして、当該3枚以上の鋼板をスポット溶接することができる。
一般に高強度鋼板は、電気抵抗が大きいため、本溶接の際に、発熱しやすい。また、本溶接の際に、相互に隣り合う2枚の鋼板の間の隙間が存在し得る。本溶接の際に、溶融金属の内圧が、コロナボンドに作用する外圧を超えると、散りが発生する。前通電の目的の一つは、この散りの発生を抑制することである。
図5は、溶接電極に通電する際の通電パターンの態様例2を示す図である。
まず、電流値を前通電電流If(kA)にし、電流値が前通電電流If(kA)の状態を前通電時間tf(msec)保持し、前通電を行う。前通電時間tf(msec)が経過すると、電流値を0(ゼロ)にし、電流値が0(ゼロ)の状態を前通電後冷却時間tC(msec)保持する。前通電後冷却時間tCが経過すると、電流値を本溶接電流IW(kA)にして本溶接を行う。
本溶接が終了すると、電流値を0(ゼロ)にし、電流値が0(ゼロ)の状態を冷却時間(凝固時間)tS(msec)保持する。冷却時間tS(msec)が経過すると、電流値を後通電電流IP(kA)にし、電流値が後通電電流IP(kA)の状態を後通電時間tP(msec)保持し、後通電を行う。1回目の後通電が終了すると、冷却及び後通電を一つの工程とし、1又は2回以上繰り返す。
冷却及び後通電の繰り返しが終了すると、電流値を0(ゼロ)にする。なお、図5に示す保持時間tH(msec)は、例1で説明したように、後通電を終了した後、加圧力FE(N)を保持する時間である。また、前通電の開始時に、電流値を直ちに前通電電流If(kA)にせず、電流値が前通電電流If(kA)になるまで、電流値を0(ゼロ)から漸増(アップスロープ)させてもよい。
(加圧力:FE
重ね合わせた複数枚の鋼板を、溶接電極2A及び2Bにより、前記(2)式を満たす加圧力FEで加圧しながら、前通電電流Ifを通電する。前通電においては、隣り合う2枚の鋼板1A、1Bの隙間を抑制するために、重ね合わせた複数枚の鋼板を加圧する。本実施形態では、前通電における加圧力FEの範囲を、本溶接及び後通電における加圧力FEの範囲と同じ範囲にすることにより、作業効率を高めるようにする。
(前通電電流:If、前通電時間:tf
以上の加圧力FEで鋼板1A、1Bを加圧しながら、溶接電極2A、2B間に、以下の(7)式を満たす前通電電流If(kA)を、以下の(8)式を満たす前通電時間tf(msec)、通電し、前通電を行う。
0.40×IW≦If<IW ・・・(7)
W:本溶接電流(kA)
20≦tf ・・・(8)
前通電電流Ifを本溶接電流IW以上にすると、前通電の際に散りが発生する虞がある。一方、前通電電流Ifを本溶接電流IWの0.4倍未満にすると、鋼板1A、1Bに与える熱量が十分でなくなる。そうすると、鋼板1A、1Bを軟化させることができず、前述した加圧により、鋼板1A、1Bの間の隙間を十分に低減することができなくなり、本溶接の際に散りが発生する虞がある。
以上のことから、本実施形態では、前通電電流Ifを、本溶接電流IWの0.4倍以上、本溶接電流IW未満とする。ただし、散りの発生をより確実に抑制するために、前通電電流Ifを、本溶接電流IWの0.6倍以上、本溶接電流IWの0.95倍以下の範囲にするのが好ましい。
なお、本溶接電流IWとして実効値を採用する場合には、前通電電流Ifも実効値を採用するのが好ましい。また、本溶接電流IWとして最大値を採用する場合には、前通電電流Ifも最大値を採用するのが好ましい。
前通電時間tfが20msec未満であると、鋼板1A、1Bに与える熱量が十分でなくなる。そうすると、鋼板1A、1Bを軟化させることができず、前述した加圧により、鋼板1A、1Bの間の隙間を十分に低減することができなくなり、本溶接の際に散りが発生する虞がある。前記(7)式に示す範囲の本溶接電流IWであれば、前通電時間tfが長くても、前溶接の際に散りが発生することを抑制することができる。したがって、前通電時間tfの上限値は、特に定めないが、スポット溶接継手の生産性を考慮すれば、300msec以下が好ましい。
(前通電後冷却時間:tC
前通電電流Ifを、前通電時間tf、通電し、当該通電が終了した直後、前通電のとき(前通電電流Ifを通電しているとき)の加圧力FEをそのまま保持しながら、通電を止める。そして、以下の(9)式を満たす前通電後冷却時間tC(msec)、その状態を保持する。
0≦tC<250 ・・・(9)
コロナボンドの成長のために、前通電後冷却時間tCを0(ゼロ)超の時間とすることができる。ただし、前通電の際に散りの発生がなければ、前通電後冷却時間tCを0(ゼロ)にすることができる。また、前通電後冷却時間tCが250msec以上になると、鋼板1A、1Bが冷却され過ぎ、本溶接の際に、鋼板1A、1Bが馴染まなくなる虞がある。20〜50msecが好ましい。
(本溶接電流:IW
前通電後冷却時間tCが経過した直後、前通電のときの加圧力FEをそのまま保持しながら、溶接電極2A、2B間に、本溶接電流IWを通電し、本溶接を行う。例1で説明したように、本溶接電流IW及び本溶接時間(本溶接電流IWを通電している時間)は特に限定されない。なお、本溶接時間に、前通電のときの加圧力FEをそのまま保持すれば、作業効率上、好ましい。しかしながら、本溶接時間における加圧力FEを、前記(2)式を満たす範囲で、前通電のときの加圧力FEと異ならせてもよい。
(冷却時間:tS
本溶接電流IWを、所定の時間、通電し、当該通電が終了した直後、前通電及び本溶接のときの加圧力FEをそのまま保持しながら、通電を止める。そして、前記(3)式を満たす冷却時間tS(msec)、その状態を保持する。
冷却時間tSを決定する方法は、例1と同じである。なお、例1で説明したように、スポット溶接継手の生産性の低下を避けるため、冷却時間tSを、250msec以下にするのがより好ましい。また、凝固域5の形成を促すには、冷却時間tSの間、無通電とすることが好ましいが、凝固域5の形成速度と温度を調整するため、冷却時間tSに、本溶接電流IWの0.5倍以下の電流を通電してもよい。また、冷却時間tSに、前通電及び本溶接のときの加圧力FEをそのまま保持すれば、作業効率上、好ましい。しかしながら、本溶接後冷却時間tSにおける加圧力FEを、前記(2)式を満たす範囲で、前通電及び本溶接のときの加圧力FEと異ならせてもよい。
(後通電電流:IP、後通電時間:tP
本溶接後、(3)式を満たす冷却時間tSが経過して、所要の幅の凝固域5が形成された直後、本溶接のときの加圧力FE(N)を保持して、(4)式を満たす後通電電流IP(kA)を、(5)式を満たす後通電時間tP(msec)、溶接電極2A、2Bに通電し、後通電を行う。
後通電電流IP、後通電時間tPを決定する方法は、例1と同じである。なお、例1で説明したように、組織や偏析を改善する効果をより確実に得るために、後通電電流IPを、「0.70×IW」(kA)以上「0.98×IW」(kA)にするのが好ましい。また、後通電時間tPに、前通電及び本溶接のときの加圧力FEをそのまま保持すれば、作業効率上、好ましい。
(冷却及び後通電の繰り返し)
後通電の後、後通電のときの加圧力FEをそのまま保持しながら、通電を止める。そして、(3)式を満たす冷却時間tS(msec)、その状態を保持する。(4)式を満たす後通電電流IP(kA)を、(5)式を満たす後通電時間tP(msec)、溶接電極2A、2Bに通電し、2回目の後通電を行う。すなわち、冷却及び後通電を1又は2回以上繰り返す。
2回目以降の冷却及び後通電における冷却時間tS、後通電電流IP、後通電時間tPを決定する方法は、例1と同じである。また、凝固域5及び熱影響部4における組織と偏析を改善し、靱性を向上させるために、後通電における各後通電時間tPの合計を、80msec以上とすることが好ましい。また、後通電における各後通電時間tPの合計が2000msec超であると、熱影響部4が拡大し、靱性が低下することがある。したがって、各後通電時間tPの合計を、2000msec以下にすることが好ましい。
(保持時間:tH
以上の条件で冷却及び後通電を行った後、相互に重ね合わせた鋼板1A、1Bを、溶接電極2A、2Bで、前記(6)式で規定される保持時間tH(msec)、加圧保持した後、加圧を解放する。
保持時間tHを決定する方法は、例1と同じである。なお、例1で説明したように、実際の保持時間tHが、設定した保持時間tHより長くなることを考慮に入れて、保持時間tHを設定する必要がある。また、例1で説明したように、保持時間tHを0(ゼロ)にしてもよい。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
表1に示す鋼板A、Bを準備した。鋼板Aは、板厚:2.0(mm)、引張強度:1470MPa級のホットスタンプ鋼板の表面にAlめっきを施したものである。鋼板Bは、板厚:1.6(mm)、引張強度:1470MPa級のホットスタンプ鋼板の表面にAlめっきを施したものである。また、表1に示す鋼板C、D、E、Fを準備した。鋼板Cは、板厚:1.2(mm)、引張強度:1180MPa級の冷延鋼板の表面にZnめっきを施したものである。鋼板Dは、板厚:1.4(mm)、引張強度:980MPa級の冷延鋼板である。鋼板Eは、板厚:1.2(mm)、引張強度:590MPa級の冷延鋼板である。鋼板Fは、板厚:1.4(mm)、引張強度:2550MPa級の冷延鋼板である。
なお、表1に示すCeqは、(1)式で示される炭素当量である。また、表1では、表記の都合上、Cの含有量のみを示す。鋼板A〜Dは、前述した成分組成を、前述した上下限の範囲内で含有する鋼板である。
Figure 2016068142
同鋼種、同板厚の組み合わせで、2枚の鋼板を重ね合わせ、表2及び表3に示す番号1−1〜18、2−1〜15の溶接条件にて、サーボガンタイプの溶接機を用いてスポット溶接を行った。本溶接においてアップスロープは実施していない。そして、JIS Z 3137に規定の方法で、スポット溶接継手のCTS(十字引張力)を測定した。測定結果を表4及び表5のCTSの欄及び通常溶接継手強度比の欄に示す。
表4及び表5において、通常溶接継手強度比は、番号1−1〜18、2−1〜15に示す溶接条件にて形成されたスポット溶接継手のCTS(以下、「非通常溶接の溶接継手のCTS」とする)から、本溶接後の冷却と後通電とを行わない他は、当該溶接条件と同じ条件にて形成されたスポット溶接継手のCTS(以下、「通常溶接の溶接継手のCTS」とする)を減算した値を、非通常溶接の溶接継手のCTSで割った値に、100を掛けたものである。
通常溶接継手強度比が20%以上向上したか否かを判定基準としているのは、通常溶接継手強度比が20%以上向上していれば、非通常溶接の溶接継手のCTSと通常溶接の溶接継手のCTSに有意差があるといえるからである。
全ての溶接において、先端の曲率半径:40(mm)の銅製のドームラジアス型の電極を用いた。鋼板A、Bは、先端径8(mm)の電極を用い、溶接した。鋼板C、Dは、先端径6(mm)の電極を用い、溶接した。なお、加圧中は、加圧力を変えないようにした。
また、表3に示す番号2−1〜15の溶接条件(前通電を行う溶接条件)でスポット溶接を行う際には、2枚の鋼板の間に隙間を挿入し、本溶接時における散りの発生の有無を調査した。調査結果を表5の「隙間を入れた場合の散りの有無」の欄に示す。厚みが2mmの2枚のスペーサを、電極の狙い位置を介して、間隔を有して相互に対向するように、2枚の鋼板の間に配置する。スペーサと電極の狙い位置との間隔を20mmとした。
Figure 2016068142
Figure 2016068142
Figure 2016068142
Figure 2016068142
表4及び表5に示すように、番号1−1〜5、1−10、11、16、及び、2−1〜4、2−6、7の発明例では、本発明のスポット溶接方法の要件が満たされている(表4、表5、参照)。したがって、通常のスポット溶接による溶接継手の継手強度に比べて高い継手強度(20%以上の通常溶接継手強度比)を有する溶接継手が得られている。
本発明によれば、継手強度が充分に高く、信頼性の高いスポット溶接継手を得ることができる。よって、本発明は、スポット溶接を製造技術として用いる産業において利用可能性が高いものである。
1A 鋼板
1B 鋼板
2A 溶接電極
2B 溶接電極
3 ナゲット
3a 溶融境界
4 熱影響部
5 凝固域
6 未凝固域

Claims (2)

  1. 複数枚の鋼板を重ね合わせてスポット溶接するスポット溶接方法であって、
    前記複数枚の鋼板のうち少なくとも1枚の鋼板は、引張強度が750〜2500MPaの高強度鋼板であり、
    前記高強度鋼板の下記(A)式で表される炭素当量Ceqは、0.20〜0.55質量%であり、
    前記重ね合わせた複数枚の鋼板を、溶接電極により、下記(B)式を満たす加圧力FE(N)で加圧した状態で、本溶接電流IW(kA)を、前記溶接電極に通電する本溶接を行う工程と、
    前記本溶接を行う工程が終了した後、
    下記(B)式を満たす加圧力FE(N)を保持して、下記(C)式を満たす冷却時間tS(msec)、通電を休止し鋼板を冷却し、その後つづけて、下記(D)式を満たす後通電電流IP(kA)を、下記(E)式を満たす後通電時間tP(msec)、前記溶接電極に通電して後通電する冷却・後通電を行う工程と、
    前記冷却・後通電を行う工程を1又は2回以上繰り返す工程と、
    前記繰り返す工程が終了した後、
    前記(B)式を満たす加圧力FE(N)を、下記(F)式を満たす保持時間tH(msec)保持した後、前記加圧力FE(N)での加圧を解放する工程と、
    を有することを特徴とするスポット溶接方法。
    Ceq=[C]+[Si]/30+[Mn]/20+2[P]+4[S] ・・・(A)
    1960×h≦FE≦3920×h ・・・(B)
    1≦tS≦300 ・・・(C)
    0.6×IW≦IP≦IW ・・・(D)
    1≦tP≦500 ・・・(E)
    0≦tH≦300 ・・・(F)
    前記(A)式における[C]、[Si]、[Mn]、[P]、及び[S]は、それぞれC、Si、Mn、P、及びSの各含有量(質量%)であり、前記(B)式におけるhは、前記鋼板の板厚(mm)である。
  2. 複数枚の鋼板を重ね合わせてスポット溶接するスポット溶接方法であって、
    前記複数枚の鋼板のうち少なくとも1枚の鋼板は、引張強度が750〜2500MPaの高強度鋼板であり、
    前記高強度鋼板の下記(A)式で表される炭素当量Ceqは、0.20〜0.55質量%であり、
    前記重ね合わせた複数枚の鋼板を、溶接電極により、下記(B)式を満たす加圧力FE(N)で加圧した状態で、下記(C)式を満たす前通電電流If(kA)を、下記(D)式を満たす前通電時間tf(msec)、前記溶接電極に通電する前通電を行う工程と、
    前記前通電を行う工程が終了した後、
    下記(B)式を満たす加圧力FE(N)を保持して、下記(E)式を満たす前通電後冷却時間tC(msec)、前記複数枚の鋼板を冷却する前通電後冷却を行う工程と、
    前記前通電後冷却を行う工程が終了した後、
    下記(B)式を満たす加圧力FE(N)を保持して、本溶接電流IW(kA)を、前記溶接電極に通電する本溶接を行う工程と、
    前記本溶接を行う工程が終了した後、
    下記(B)式を満たす加圧力FE(N)を保持して、下記(F)式を満たす冷却時間tS(msec)、通電を休止し鋼板を冷却し、その後つづけて、下記(G)式を満たす後通電電流IP(kA)を、下記(H)式を満たす後通電時間tP(msec)、前記溶接電極に通電して後通電する冷却・後通電を行う工程と、
    前記冷却・後通電を行う工程を1又は2回以上繰り返す工程と、
    前記繰り返す工程が終了した後、
    前記(B)式を満たす加圧力FE(N)を、下記(I)式を満たす保持時間tH(msec)保持した後、前記加圧力FE(N)での加圧を解放する工程と、
    を有することを特徴とするスポット溶接方法。
    Ceq=[C]+[Si]/30+[Mn]/20+2[P]+4[S] ・・・(A)
    1960×h≦FE≦3920×h ・・・(B)
    0.40×IW≦If<IW ・・・(C)
    20≦tf ・・・(D)
    0≦tC<≦250 ・・・(E)
    1≦tS≦300 ・・・(F)
    0.6×IW≦IP≦IW ・・・(G)
    1≦tP≦500 ・・・(H)
    0≦tH≦300 ・・・(I)
    前記(A)式における[C]、[Si]、[Mn]、[P]、及び[S]は、それぞれC、Si、Mn、P、及びSの各含有量(質量%)であり、前記(B)式におけるhは、前記鋼板の板厚(mm)である。
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